死ぬはずだった夜‐63‐
やっと事情聴取を終えた。
1日中休む間もなかった……
夕方過ぎた辺りから
休日地元に帰っていた学生達が続々と戻ってくる。
みんなが帰ってくる前に
終わって良かった……
多分リエ達も帰ってきてるかな
びっくりするだろうな……
一緒に卒業旅行に行ったメンバーだけに
事実を伝える事にした。
そして、タオルを頭からかけ
リエ達が居る部屋へと向かった。
死ぬはずだった夜‐62‐
警察から事が事なので
公開捜査に切り替えようと言われた。
後は両親への連絡。
親だけには絶対知られたくない。
そう懇願した。
卒業式で私が答辞を詠む事を
楽しみに待ってるんだ。
お願いします
お願いします……
「あたしは大丈夫だからお願いします……」
人は大丈夫じゃない時程
大丈夫という言葉を使ってしまうものだ……
そんな気持ちを
警察も教官達も汲んでくれた。
結局公開捜査も
両親への連絡も無しになった。
死ぬはずだった夜‐61‐
だが知り合いの男も付き合った男も全て
犯人とは一致しなかった
調書は教科書のように分厚くできあがり、
その1枚1枚に自分の指紋を捺していく……
調書に間違いがない事の
証である指紋の捺印。
すぐに警察を呼ばなかった事も
部屋の指紋を消し重要な証拠を失くした事も……
自らの証言で捜査を混乱させてしまった事も……
誰のせいでもない。
犯人は
未だ見つかっていない……
今背負うトラウマは
自分がついた嘘の代償。
教官はこの寮ができて以来
前代未聞の事件だと言った。
そして卒業してから
同様の事件は起きていない。
それが救いだ……
自分がした事は間違っていると
批難されても仕方ない。
ただ……
その時の自分は
何度同じ目に遭ったとしても
同じ道を選んだだろう。