手の込んだ難しいパッセージやうまくいかないフレーズについて
「(とにかく)メトロノームを使ってゆっくり練習しなさい」
と、吹奏楽部の先輩や先生にアドバイスを受けることがよくあると思います。
まさに、ゆっくり練習が上達の源流です。
そして、ゆっくり練習には大きく分けて3種類あると考えられます。
この3種類を意識的に使い分け、今自分が何をやっているのか認識しながら練習することで、ゆっくり練習の効果が上がり、スラスラ演奏できるようになります。
こんな皆さんに今日の記事はお役に立てると思います。
この記事では
ゆっくり練習の種類
各ゆっくり練習の目的と練習の着眼点
を解説します。
練習過程のどこにいるか知ると練習効果があがる
一口に「ゆっくり練習」と言っても練習過程の書くフェーズに沿って
「今はなんのためのゆっくり練習かな?」
と認識しながらやると練習効果があります。
練習過程には次のようなフェーズがあり、熟達へ向かっていきます。
例えば、「知る」ことを飛ばして「インプット」に手をつけたり、「インプット」を飛ばして「深める」に進んだりすると、途中で上達が止まります。
さらには、誤解したまま覚えてしまったり、恐怖や焦りと共にパッセージが記憶され、不健康な緊張につながります。
また、体の機能に反したやり方を身につけてしまう恐れもあります。
こうなると燃え尽き症候群を招いたり、舞台上で練習の成果を出せなかったり、怪我をしてしまったりと、心身ともにダメージを受けてしまいます。
ですので、楽譜を手にしてから演奏会等まで、上の図のような局面を順にプロセスし、作品の意図を具現化するための演奏技術を自由度を高めていくことが大切です。
ゆっくり練習についても、この練習フェーズに沿って練習目的や観察点をはっきり認識していけば、ただ漠然とメトロノームのテンポを落としてやるよりも、とても有効な練習になるのです。
ちなみに、「知る」「受け入れる」のフェーズを短縮できるのは、スケールやアルペッジオなどの演奏基礎技術、音楽理論、アナリーゼなどで音楽の仕組みについてよく知っていることが要素になります。
しかしながら、「基礎ができていないと曲が吹けない/吹いてはいけない」ということは一切ありません。基礎技術も曲練習もいつも並行して行うことができますから、安心してください。
ゆっくり練習3種類を見極めて能率アップ!
▶︎「受け入れてやりかたを探す」ためのゆっくり練習
初めて見る楽譜に書いてあることを
「へぇ〜、そうなんだぁ」
と読んで受け入れるフェーズです。
読む内容は
・リズム
・運指やポジションの組み合わせ
・あれば新しい運指やポジション
・変え指
・調性
・作品の意図
です。
これらをなどを受け入れながら、
“やりかた”を探すためにゆっくりなテンポで演奏しいきます。
▶︎「インプット」ためのゆっくり練習
「受け入れる」フェーズで見つけたやり方を、今度は自分の脳に覚えてもらいます。
・リズム
・運指やポジションの組み合わせ
・あれば新しい運指やポジション
・変え指
の一連の動きを自分にじっくり教えてあげるために、ゆっくりのテンポで演奏します。
こうして
・楽譜に書かれていること
・実際に出る音とそのリズム
・運指や体の動き全て
・どういったマインドで演奏しつづけるのか
をインプットしてくのです。
▶︎「思い出すため」ためのゆっくり練習
これは前述のフェーズ図にはないのですが、「インプット」フェーズの後半や、「深める」フェーズで実施されるゆっくり練習です。
その日の一番最初の練習では、まずゆっくりテンポで演奏し、どういった音楽でどのような動きとマインドなのかかを思い出す時間を作ると能率上がります。
思い出す内容は、運指やポジショニングだけでなく、息も含めて体のこと、メンタル、そして音楽の意図です。
練習はジャッジではありません。
ましてやギャンブルではありません。
練習とは、その日その時できることをまた1つ質高くするために記憶を整理することです。
「深める」のフェーズに入るまでは、その日の最初の練習で無防備に「できるかどうかやってみる」ことはしなくてもいいです。
その日の上達可能範囲を超えた無理なチャレンジは、記憶が混乱したり、恐怖がセットされたりするのでおすすめしません。
まとめ
- 練習のそれぞれの局面に合ったゆっくり練習が上達を促す
- ゆっくり練習は3種類あり「受け入れる」「インプット」「思い出す」に使える
- 社会人楽団の合奏練習にも取り入れられる
いかがでしたか?
ただ単純に「ゆっくりからだんだん速めていく」よりも、能率も上がり、メリハリも付き
メンタル的にも充実感が増すやりかたです。
また、ゆっくり練習って退屈になりがちですが、どこに注目すればいいかわかると心がワクワクし、さらに有意義な練習になります。
更にこのようなゆっくり練習をすることで、身につけた技術が将来的にも使える器楽演奏の「実力」として育ちます。
そうすると、将来、同じようなパターンの作品を演奏する際にはより短期間で「深める」フェーズに達することができ、とっても楽になりますよ。
ぜひ、今、自分が何のために練習するのか、そのためにゆっくり練習をどう使うのか観察してみてください!
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