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今回は、『クルマのイラストで巡る東京百景#13』
東京都国立市(くにたち)にあります、自動車交通安全祈願発祥の地『谷保天満宮』さんと、ダラックです。
谷保天満宮
谷保(やぼ)天満宮さんは、東京都国立市(くにたち)の谷保(やほ)という町にあり、最寄の駅はJR南武線の谷保駅で、駅名も含めてこの辺りの地名は「やほ」となっています。
しかし、従来このあたりは「やぼ」と呼ばれておりましたので、谷保天満宮さんは「やほ」(YAHO)ではなく「やぼ」(YABO)と発音します。
余談ですが、2001年まで東京都下の北東部に「保谷市」という町があり、谷保は町名、保谷は市名でしたが、うっかり間違える人も少なくなかったようです。
2001年以降、保谷市は西東京市となっています。
先ずはイラストから
谷保天満宮さんは、亀戸天神社、湯島天神社と並ぶ関東三大天神で、加えて東日本最古の天満宮とされています。天満宮なので菅原道真公が祀られ、創建は903年(延喜3年)、菅原道真公の御三男である配祀菅原道武が官公没後に官公を祀る御廟を建てたことが始まりとされています。
自動車交通安全祈願発祥の地
ここからは、谷保天神さんと自動車の関わりについて触れていきます。
まだ日本の自動車産業が発足する50年以上前の1908年(明治41年)8月に、有栖川宮威仁親王(殿下)の声掛けにより、東京に存在する自動車11台が集まり、日比谷公園あたりをスタート地とした遠乗会(ツーリング)が開催されました。
日本初の自動車倶楽部
『オートモビル・クラブ・ジャパンの誕生』
そして、その遠乗会の目的地(ゴール)に指定されたのが『谷保天満宮』で、当日は境内梅林での食事会(ランチ)、第一生命保険の創業者である矢野恒太氏による自動車倶楽部「オートモビル・クラブ・ジャパン」の設立提案と賛同、安全祈願などが行われ、この11台が全車無事故で往路復路を完走したことにより、谷保天満宮さんが日本初の自動車の交通安全祈願発祥の地として名を高め、現在に至っているということです。
谷保天満宮さんは、甲州街道(2007年以降、この区間は都道256号線・八王子国立線)に面しており、遠乗会では、日比谷から四ツ谷、新宿を経由し、そのまま甲州街道を西に走り、一旦多摩川(立川市)に到着し、休憩後に谷保天満宮に戻ったとされています。
ちなみに、この頃はまだ多摩川に日野橋が架設されていなかったため、クルマではここまでしか行けなかったようです。
それにしても、真夏日に未舗装で砂埃が上がる甲州街道を片道約60kmも走破したとは、何とも大変な事だったのではないかと思います。
谷保天満宮とダラック
『自動車の宮様』有栖川宮威仁親王
今回なぜ谷保天満宮さんとダラックを合わせたかといいますと、このダラックは、先述した遠乗会の発起人である有栖川宮威仁親王が、ハンチング姿で自ら運転し、先頭を切って参加したクルマがこのダラックであったからです。
日本車第一号『タクリー号』の参加
当時の参加車両は、このダラックの他、フィアット、フォード、メルセデスの車種が記録されているようですが、更に特筆すべきは、1907年にオートモビール商会の内山駒之助氏がダラックやフォードA型を手本として作り上げた、まったくの初の国産ガソリン車「タクリー号」が3台参加し、無事に完走を果たしたということです。
『ガタクリ走るからタクリー号』と呼ばれたようですが、日本車が市場に出回る50年以上も前に作ってしまういう技術と試みは、その後の日本の自動車産業の大きな礎になったものと思われます。
当時のタクリー号は現存していませんが、オートモービルクラブジャパンさんがオースチン7ルビーという英国のヴィンテージカーをベースに製造、検査を通したレプリカモデルがあり、イベント等で大活躍しているようです。
このように、自動車との関わり、日本車黎明への礎を持つ谷保天満宮さんでは、自動車の安全、交通安全を祈願した自動車イベント『谷保天満宮旧車祭』が毎年開催され、2023年は12月10日(日)に開催が予定されています。(ACJ・オートモービルクラブジャパン主催)
谷保天満宮さんへクルマで参拝される際のご注意
谷保天満宮さんはJR南武線谷保駅からも徒歩数分で、他の駅からの路線バスも多数出ており大変便利な場所にありますが、クルマで参拝する場合は、少しだけ注意する点があります。
甲州街道(谷保天満宮前交差点)から境内に入ることになるのですが、この辺りは片側2車線であっても車幅が狭く、下り方向(日野橋交差点向け)から左折する場合は、歩道の歩行者に注意して、最徐行で進めば良いのですが、上り方向(中央道国立府中IC向け)からの右折による進入は右折車線、右折専用信号が無い上に、左側車線は谷保駅、国立駅方面に左折するクルマが多いため、右側車線に停止してしまうと交通の流れを停滞させてしまう恐れがあります。
かといって、一旦通り過ぎてターンを試みるにも、なかなか都合の良い場所がないエリアとなっています。
そういった道路事情を鑑み、右折はせずに谷保駅方向に左折し、踏切を超え、突き当りを右折→信号を右折→次の信号を右折、突き当りを左折で、再度先ほどと同じ踏切を超え、「谷保天満宮前交差点」を直進で境内に入った方が安全かつ親切かと思います。
但し、この道路(都道146号線)は、狭いながらも交差点の70mほど手前から2車線になってはいるのですが、右左折の指定しか無いため、社会通念上、左側の車線から交差点の左側に沿って徐行直進した方が右折車と絡む可能性を回避できると思いますし、仮に歩道手前で一時停止したとしても、後続車に追突される可能性は低いと思われます。
交通安全発祥の地の前の交差点で事故を起こしてしまっては元も子もありません!先ずは、安全運転を心がけましょう。
ダラック
ダラックは、1890年代のフランスの自動車メーカーです。
このメーカーが製造したクルマの評判は高く、アルファロメオやオペルといった有名メーカーがこのダラックのライセンス生産で創業を開始したほどでした。
後に『A Darracq and Company Limited』に売却、更にイギリスのサンビームと合併し、『サンビーム タルボット ダラック』となる。
時々、イラストの使用許諾のメッセージをいただくのですが、ウォーターマーク(透かし)が無い作品は、商用と改編無しという条件で、誰でも無料で使用いただけます。
大きなサイズはWEBサイトにありますので、必要に応じてダウンロードしてください。
今日はここまでです。
ご覧いただき、ありがとうございました。