円錐,三角錐,四角錐のような”錐体”の体積は,底面の面積×高さ×1/3で計算されることを証明する。
いま,FIG. 1 のような高さ で,底面の面積
の錐体を考える。錐体の頂点
から底面に垂直に下した点を
とする。錐体の底面の点
から頂点
に向かって
軸正方向ととる。いま,
の位置で,錐体の底面と相似な閉曲線を考える。点
は錐体の底面の点
と頂点
の直線が錐体の底面と相似な閉曲面と交わる点である。
は底面と相似な閉曲線上の
軸から点
までの角度を示す。線分
の長さを
と書き,線分
の長さを
と書く。点
から線分
の延長線上に垂直に下した点を
とすると,線分
の長さは,
である。したがって,三角形
の面積
は,
(1)
によって与えられる。いま,が
に比べて十分小さいときは,
,
と近似されるので,
(2)
によって与えられる。底面の閉曲線を表す関数 と底面に相似な閉曲線を表す関数
の関係から,
(3)
が得られる。したがって,(2)と(3)式より,
(4)
が得られる。底面に相似な閉曲面の面積 は,(4)式を
に関して積分して,
(5)
によって表される。 は錐体の底面の面積であり,
(6)
によって与えられる。(5)式と(6)式から,
(7)
の関係が導かれる。(7)式は,錐体の底面の面積とそれに相似な面積の比が,錐体の頂点から錐体の底面に下した垂線の長さと錐体の底面に相似な閉曲線に下した垂線の長さの比の2乗に等しいことを示している。錐体の体積は,
(8)
によって計算される。
【コメント】
錐体の体積の証明は,インターネットの記事にしばしば掲載されている。しかしながら,上述の(7)式を示した証明は全くないため,この記事でアップロードした。
このような問題を大学入試として出題してはいかがだろうか。