今日の朝日新聞に、「夫が退職勧奨により自殺し、妻が慰謝料を求めて会社を提訴」という記事がありました。


記事によると、夫は長時間労働による過労で発病→入院とリハビリ→7ヶ月後復職→右半身にマヒが残り、会社は管理職としての職責が果たせないと判断→嘱託社員に降格→退職金の見積書を渡す→夫は退職勧奨と判断→うつ病を発症し自殺、とあります。


記事だけでは真偽のほどはよくわかりません。


でも、労働トラブルの現場に深く入り込んでいる私に言わせれば、こういった問題はどこの会社で起こっても不思議ではありません。


経営者や経営幹部の方たちは、私の知る限り会社を離れて家庭にもどればよき夫であり、よき父親です。しかし、会社に入れば会社の力学で動かざるをえず、ときには非情な行動にでることもあります。それが行き過ぎることも。


この事件のようなことが起こると、労働者およびそのご家族の方だけでなく、経営サイドの方も自責の念で心を痛めますし、会社のダメージも計り知れません。


だれもが不幸です。


私の仕事はまさにこのような不幸な出来事を事前にくい止めることであり、今さらながらその職責の重さをあらためて感じています。


だれでも知っている有名企業の管理職の方とお話しする機会がありました。


有名企業だからしっかりとした組織が出来上がっている印象を持っていたのですが、必ずしもそうではないようです。


「当社はコンプライアンスを掲げているが、パワハラといわれてもしかたのないことが起こっている」らしいのです。


「部長クラスには部長クラスの、課長クラスには課長クラスの目標という名のノルマが課されている。それがけっこうきつい。しかし、自分を守るためにはそれを達成するしかなく、その分、部下に厳しいノルマを要求する。そして、自分の要求に応えられない部下には激しく叱責することも珍しくない」とのこと。


叱責がいき過ぎて、精神的にまいってしまって休職する社員さんもいるらしい。


「上司も部下も余裕のない状態で仕事をしており、職場の雰囲気はけっしてよくない」ということです。


このお話しを伺う限りにおいては、職場の人間関係は大企業でも中小企業でもかわらない、いや中小企業の方が労使の距離が近いだけに人間関係は作りやすいかもしれませんね。


大企業が人間関係でゴタゴタしている間に、中小企業では「人の和」を結集してチームワークで大企業を追いこしたいですね。

私への仕事のご依頼は、圧倒的に経営者の方が多いのですが、たまに労働者の方からご依頼を受けることがあります。


先日も労働者の方から、「会社と残業代未払いについて話し合いをするので同席してほしい」というご依頼をうけ、お引き受けしました。


話し合いの場には、私とその労働者の方、会社から社長さんと専務さんが出席しました。


話し合いは、その労働者の方が未払い残業代を請求した後、会社批判を始めました。


その批判ですが、理路整然と説明され、その会社の事情をあまり知らない私でも納得できるものでした。


その批判は的を射ていたのでしょう、社長さんも専務さんもタジタジで感情的な反論しかできませんでした。


結局、会社はその方に過去2年分の未払い残業代全額を利息をつけて払うことになり、さらに会社都合退職として本来の額に相当額加算した退職金を支払うことになりました。


私は、この方は常識もあり頭もよく弁も立つので、会社がうまく育てていれば会社にとって大きな戦力になっただろうと思います。


この会社はお金を払ったうえに、おおきな戦力になる可能性のある人材を失い、二重に損をしたことになります。


従業員さんの中には非常識な方もおられるので、そういう方には経営者さんは強く指導しなければなりませんが、多少の感情の行き違いがきっかけで「上手に育てれば大きな戦力になる方」を失わないように注意していただきたいものです。


売上が減少するから労使関係が悪化するのか、労使関係が悪化するから売上が減少するのかはよくわかりませんが、売上と労使関係の状態には緊密な関係がありそうです。


大手企業は別ですが、中小零細企業で労使関係は悪いが売り上げは伸びているという会社を私は知りません。

短期的には売上が伸びることはあるかもしれませんが、長期的には必ず減少しています。


売上減少に悩む経営者さんは、労使関係の改善を考えてみてはいかがでしょうか。


「儲かっていないのに、給料を上げろというのか」と言われる経営者の方もおられるかもしれません。


しかし、労使関係の改善は賃金アップなどのコストをかけずにすることができます。


それは何と言っても労使間のコミュニケーションギャップを埋めるということです。


例えば、会社の現状を従業員さんにきちんと説明する。


会社のビジョンと従業員さんの考えをすり合わせる、などです。


労使関係が今以上に良くなれば売上が変わってくると思います。





労働トラブルの原因は労使のコミュニケーション不足がほとんどです。


そのとき思うことがあります。


管理職は何をしていたのだろうかと。


管理職のいない小さい会社は別として、従業員が二桁になってくると経営者1人では当然全従業員を管理できないので管理職を置きます。


管理職の大切な役割は、経営者と従業員とのコミュニケーションギャップを埋めることです。


経営者のビジョンや方針、考え方を部下である従業員に理解・納得させ、また、従業員の思いを吸い上げて経営者に伝えなければなりません。


でも、私の知る限りこの役割を意識している管理職の方は本当に少ないです。


ひどい場合は、管理職が部下といっしょになって経営者批判を公然としているケースもあります。


管理職を選任し教育するのは経営者ですから、結局は経営者の方の自己責任ではあるのですが。