『モダン・ラブ』 | やりすぎ限界映画入門

やりすぎ限界映画入門

ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『モダン・ラブ』
やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]

2018年/日本映画/115分
監督:福島拓哉
出演:稲村梓/高橋卓郎/芳野正朝/今村怜央/佐藤睦/ヤン・イメリック/川瀬陽太/町山博彦/大木雄高/園部貴一/草野康太/末田佳子

2018年 第34回 やりすぎ限界映画祭
2018年 ベスト10 第1位:『モダン・ラブ』
やりすぎ限界パルムドール/やりすぎ限界女優賞/やりすぎ限界男優賞/やりすぎ限界監督賞/やりすぎ限界脚本賞:『モダン・ラブ』


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界女優賞:稲村梓


やりすぎ限界男優賞:高橋卓郎


やりすぎ限界男優賞:今村怜央


やりすぎ限界男優賞:草野康太


■第2稿 2022年 12月24日 版

[「3作目」『モダン・ラブ』]




■「昨年末に NASAが発表した
  新惑星 エマノンに因んだ
  ブームが 到来しています
  大手自動車メーカーによる
  ニューブランドエコカー
  エマノンに始まり
  さまざまな業種で
  新惑星 エマノンをモチーフにした
  商戦が始まっています
  このようなブームが 世界中で
  同時多発的に起きることは
  珍しい現象ですが
  やはり 新しい惑星への
  期待感の現われでしょうか」





「福島拓哉監督」「サイコ・ラブ・ファンタジー三部作」「3作目」『モダン・ラブ』。




「NASAが発表した 新惑星 エマノン」の影響か、異常気象となる東京。恋人テル(高橋卓郎)が「行方不明」となって「5年」のミカ(稲村梓)は、毎日テルの「幻聴」と会話して生活する「サイコ」な日々を生きてる。だが本当に「幻聴」なのか? ミカはテルと再会するが、テルはミカのことを知らない。そしてミカはもう二人のミカ「自分」と出逢う。「ドッペルゲンガー」「パラレルワールド」…… 「新惑星エマノン」の影響か? 「世界線」が崩壊する。

[「モダン」]




「モダン」の意味を「また」調べる。「現代的であること」「今風で洒落ていること」。類語に「新しい」「現代」「斬新」「現代的」「最新」「最先端」………… など。「現代的な愛」「今風で洒落ている愛」「新しい愛」「最新の愛」「最先端の愛」………… とは?

[「多世界解釈」「パラレルワールド」]




「1作目と3作目だけの共通点」「エマノン」。名前さえない「得体のしれない何か」「新惑星エマノン」によって、「3作目」『モダン・ラブ』はミカの恋人テルが「消える話」。




だが「1作目」「エマノンウイルス」の「記憶」と違い、「3作目」は消えたはずの「恋人」が「多世界」で存在。「1作目だけない」「2作目と3作目だけの共通点」「多世界解釈」「パラレルワールド」。「2作目」の「婚約者ユイ」と「婚約者が消えてしまった男」のように、「ミカ」と「テル」は「パラレルワールド」で存在する。




「世界線」が崩壊し、出逢わないはずの「テルと出逢い恋が始まる世界のミカ」「テルが行方不明な世界のミカ」「テルが死んでる世界のミカ」の「3人のミカ」が出逢う。だが「3人のミカ」は、それぞれのミカが「脳内世界」で生み出した「妄想」なのかもしれない。






■「多世界ってのは本来
  実感できないからこそ
  存在するものだよね
  実感できないものは
  存在しないとは断言できないし
  存在する可能性も
  あるっていう話なんだけど」


当然「鶏」が「量子力学」など「何一つ殆ど砂粒ほども知らなかった」だが、「3人のミカ」は「多世界」「パラレルワールド」で「生きてるテル」を実感する。




■「多世界解釈 パラレルワールド 星
  ドッペルゲンガー 世界線 現実
  真実 嫉妬 妄想 憧れ 願い
  後悔 祈り 欲望 絶望 愛 夢
  記憶 リアル 壁 境界」


「記憶」が消える「1作目」、「全人類」が消える「2作目」、「恋人」が消える「3作目」だが、「3作目」『モダン・ラブ』では「さらに」、人間の「死」という概念が消える。

[「脳みそ」「想像力」]






『モダン・ラブ』を見て「一番」「ショック」「衝撃」だったのは「多世界解釈」。「多世界解釈」なんて「考え方」、「信念」「価値観」「倫理観」を「何一つ殆ど砂粒ほども知らなかった」。「多世界解釈」が実存するものなら、この世に「死」という「苦しみ」「哀しみ」はもはや存在しない。






■「俺さぁ いつも考えてんだ…
  頭がずっと動いててさ
  考えることやめられないんだよ
  子供の頃からずっとそうだ
  いつもいつも何か考えて
  今この瞬間だって何か考えている
  脳みそがさ…
  グルグル凄い勢いで-
  回転してるみたいに感じんだよ
  グルグルグルグル 回ってんの
  止まんない!
  超高速で回って
  考えんのやめられねぇんだよ!」


「1作目」「妻の脳みそ」と「3作目」「脳みそのオブジェ」が、「今」は「福島拓哉監督」の「サイコ」な「極限領域」「危険想像力」の象徴に見える。




■「私 テルを救えなかった
  私がテルに依存し過ぎてたんだと思う
  いつも一緒にいて
  テルが何考えてるのか
  何思ってるのか
  全部わかってたはずだったのに
  私たちは 互いに孤独を埋めて
  代わりに何かを失くしてしまった」


この世の「死」という「苦しみ」「哀しみ」が、「極限領域」「危険想像力」で「消える」「解釈」「教え」を見せた「福島拓哉監督」の「怖さ」にビビって震え上がり「泣きながら」、「震撼」「驚愕」「圧倒」「尊敬」「絶句」+「敬意」「賞賛」「崇拝」で大きい方を漏らしたあげく「出るもの全部出て何も出るものがなくなった」。




■「多分だけど
  君が死んでも
  他の二人は何にも変わらないし
  君の世界が終わるだけ
  二人は君の脳内にいるけど
  それと同時に
  他の人の誰かの脳内にもいるの
  僕だってそう 多分だけどね
  君は神様じゃないんだよ」
 「私も誰かの脳内にいる」
 「違う君がもっとたくさん存在してても
  おかしくない
  それにこんな体験すんのが
  君だけかどうかもわからない
  つまり
  君だけじゃない可能性もあるってこと」


『モダン・ラブ』を見て、「大切な人」の「死」の「苦しみ」「哀しみ」から救われる人間はいるかもしれない。

[「一対一の関係」「自分が自分でなくなる」「苦痛」]






「福島拓哉監督の脳みそ」を「解析」するなど「鶏」には「絶対不可能」なため、「勝手な解釈」で「勝手な想像」する以外もはやなす術はない。




「大したことない」「鶏程度」の恋愛経験「しか」ない僕は、この心境に到達するまで女性と深く関わったことがないが、人間は本来「一対一の関係」に「苦しさ」「辛さ」を感じるものなのかもしれない。




「結婚」の経験が一度もないから「勝手な想像」「しか」できないが、「結婚」を成立させるには互いが自分の「信念」「価値観」「倫理観」を曲げて他人に合わせなければ、生涯一緒にいることはできないはず。自分の「信念」「価値観」「倫理観」を曲げて「他人に合わせる」ことを、「自分が自分でなくなる」「苦痛」と思う人間が、実は多いのかもしれない。




「サイコ・ラブ・ファンタジー三部作」「全部」の大きな「共通点」をここに見た。『アワ ブリーフ エタニティ』「俺が忘れたフリをしたのは 怖かったからだ」。『LEGACY TIME』「何だよ面倒臭ぇなぁ」。そして『モダン・ラブ』「俺たちは深く繋がり過ぎた それが怖くなった」。


■『アワ ブリーフ エタニティ』より

■「俺と彼女は 互いに深く関係し合ってた
  だから怖くなった
  そう… 俺が忘れたフリをしたのは
  怖かったからだ」


「絶望を知って初めて、希望を描けるのだと信じている」と語る「福島拓哉監督」。「1作目」「2作目」「3作目」の「消える話」は、普段意識さえしてない本当は「もの凄く大切なもの」が消えることで、「今」「当り前」な「日常」が、実はどれほど「希望」に光り輝くものかを認識させたように見えた。だが「消える話」が見せたものはそれだけじゃなかった。


■『LEGACY TIME』より

■「何だよ面倒臭ぇなぁ」

自分の「信念」「価値観」「倫理観」を曲げて「他人に合わせる」のを「苦しさ」「辛さ」と思うこと、「一対一の関係」を「自分が自分でなくなる」「苦痛」と思うことが、どれだけ「相手」「恋人」を「哀しみ」「苦しみ」に追い込むかをも見せた。




■「こうするしかなかった
  俺たちは深く繋がり過ぎた
  それが怖くなった
  ミカを求めれば求めるほど
  俺は
  ミカの中に溶けていって
  いつか
  何も見えなくなるってわかったんだ
  離れないと
  二人とも消えて 何か違うものになる
  俺は ミカがミカでいるうちに
  自分をやめることにした
  ミカのためなのか
  自分のためなのかはもう
  わかんなかった」





「記憶」も「人類」も「恋人」も、「勝手に」「消えた」ら、「勝手に」「逃げた」ら、どれだけ「残された者」が「哀しみ」「苦しみ」に追い込まれるかを「サイコ・ラブ・ファンタジー三部作」は見せたのだと思う。「他人のことを考える人間」でなければ、「大切な人」を幸せにできない。




「現代的な愛」「今風で洒落ている愛」「新しい愛」「最新の愛」「最先端の愛」………… を意味する『モダン・ラブ』とは、「死」の「苦しみ」「哀しみ」さえ人間は、「想像力」で「消せる」「乗り越えられる」「愛」のことなのだと、「鶏」は「勝手な解釈」「勝手な想像」をした。『モダン・ラブ』を見て「鶏」は、「残された者」「大切な人」を「哀しみ」「苦しみ」に追い込まない人間になりたいと思った。




『アワ ブリーフ エタニティ』
『LEGACY TIME』
『モダン・ラブ』

画像 2022年 12月