『007 ゴールデンアイ』 | やりすぎ限界映画入門

やりすぎ限界映画入門

ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『007 ゴールデンアイ』
☆☆☆☆★★[90]

1995年/イギリス=アメリカ映画/130分
監督:マーティン・キャンベル
出演:ピアース・ブロスナン/ショーン・ビーン/イザベラ・スコルプコ/ファムケ・ヤンセン/ジュディ・デンチ


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界男優賞:ピアース・ブロスナン


やりすぎ限界女優賞:イザベラ・スコルプコ


やりすぎ限界女優賞:ファムケ・ヤンセン


やりすぎ限界女優賞:ジュディ・デンチ


■第2稿 2016年 3月25日 版

[シリーズ第17作目]




4代目ティモシー・ダルトンから5代目ピアース・ブロスナンへ。『007 消されたライセンス』から6年。70年代後半から進歩したSFX技術は「CG」技術へ進化した。ジェームズ・キャメロン監督や『ジュラシック・パーク』を生み出した90年代。もはや「この世で作れない映像はない」時代がきた。ここから「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」が始まる第17作目『007 ゴールデンアイ』。




また「冷戦」終結によって資本主義対共産主義の構図が崩れた。ソ連崩壊は「アメリカ映画の敵」が消える大事件だった。『007 ゴールデンアイ』の敵が「MI6」を裏切った「身内」なことに世界情勢の変化が見える。また23作目『007 スカイフォール』は『007 ゴールデンアイ』の「極限のくそリアリズム版リメイク」で、「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」では到達できなかったリアリズムが追究された。同じ題材の「変化」を比較して見るのが面白い。

[第5位「5代目:ピアース・ブロスナン」]


■5代目ジェームズ・ボンド:ピアース・ブロスナン

「最もボンドのイメージに忠実」「過去の伝統と現代の時代との調和」「絶対外さない全出演作品の平均的面白さ」=「最も成績優秀なボンド」が5代目ピアース・ブロスナンだ。だがあまりに「はみ出さない」真面目さが「やりすぎ限界」の視点から物足りない。「成績優秀すぎ」だ。「バカすぎ」ロジャー・ムーア、「本気すぎ」ダニエル・クレイグ、「無茶しすぎ」ティモシー・ダルトン。これが「やりすぎ限界」という感覚。でも本当は「成績優秀すぎ」ピアース・ブロスナンも素直に尊敬する。

[「ギャグ映画」「シリアス映画」]




『007 ゴールデンアイ』は5代目ピアース・ブロスナン全4作品のベスト2。「ギャグ映画」「シリアス映画」に豹変する『007』において、5代目唯一の「会った直後に瞬間セックス」がない最も「シリアス映画」となった。だが4代目の失敗から「シリアス映画」はやはり許されなかったのか、以後ベスト1の『007 ダイ・アナザー・デイ』に向かって完全「ギャグ映画」に突き進む。「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」まで、ガイ・ハミルトン監督とルイス・ギルバート監督が完成させた40年間続いた「伝統」こそ『007』だった。

[「どうせCGだろ」]




「これは本当にやってるのかCGなのか?」 特殊撮影合成部分の「境」は完全に「消えた」。「もはやこの世で作れない映像はない」「CG」によって『007』も現代の映画となった。

「堺」が消えた「CG」によって映像は極限のくそリアリズムへ到達。だが本当に見えれば見えるほど「オリンピックアスリートを超える身体能力」やアクションの激化が、「本当なのか?」という疑問を生んだ。現代の情報化社会の視点で「真実」と「嘘」を騙し切ることはできない。「本当なのか?」が「どうせCGだろ」という冷静な視点に到達した。「堺」を消した究極のリアリズム映像が、新しい「やりすぎ」の「現代の視点でありえないもの」を生み出した。それを全て捨て去った先に到達したのが「『007』極限のくそリアリズム時代」となる。

[現代の視点でありえないもの]




■「やりすぎたCG」

レーザー光線はもはや “本物” にしか見えない。ここまでリアルだと現代の科学で本当に可能か不可能かもうわからない。「本当なのか?」疑問を感じた。






■「オリンピックアスリートを超える身体能力」

「堺」が消え「本当に飛行機に飛び乗った」としか見えない。ボンドの身体能力は「オリンピック金メダリスト」を超えた!




■美人すぎる一般人

爆発事故で生き残った一般人がこれほど壮絶 “ダイナマイト・ボンバー・ギャル” など「絶対ありえない」。映像が “本物” に見えれば見えるほど「嘘」も際立って見える。

[完全なる現代の映画]




だが何だかんだ言っても映像のリアリズムは壮絶。冒頭の潜入シーンから「本物のスパイ」に「近く」見せた、ピアース・ブロスナンの芝居やアクションの切れは圧倒的。ピアース・ブロスナンは1本目から過去4人のボンドをリアリズムにおいて凌駕した。“段取りにしか見えない殺陣” などもはや「死語」だ。ピアース・ブロスナンの新時代のアクションに漏らした。




また劇中の全てのアクションは称賛に値する迫力。「CG」によって過去16作品など敵わない完成度。戦車のシーンから最後の対決までノンストップで観客を引き込む見せ方は、完全なる現代の映画に仕上がってる。

[ジュディ・デンチ「M」圧倒的な「迫力」]




『007 ゴールデンアイ』より「M」がジュディ・デンチとなる。この異常な「存在感」と「迫力」が「芝居」なのか。ジュディ・デンチの「本当にそう見える」圧倒的迫力が、新しい『007』のリアリズムをさらに増した。

[イザベラ・スコルプコ=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





見た「瞬間」「結婚してほしい」と思った。文句なしの完全壮絶 “ダイナマイト・ボンバー・ギャル”。いくら「地味な格好」をしても絶対僕の目は誤魔化せない。“ボンド・ガール” 史上完全上位に君臨する。

[ファムケ・ヤンセン=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





『007 私が愛したスパイ』のキャロライン・マンローを超えた凄まじきビッチ! 「オナトップ」という名前もなぜか壮絶。“ボンド・ガール” 史上で強烈なインパクトを見せた。「心の弱い部分」をもの凄い勢いで攻撃され抵抗できなかった。




『007 ドクター・ノオ』
『007 ロシアより愛をこめて』
『007 ゴールドフィンガー』
『007 サンダーボール作戦』
『007は二度死ぬ』
『女王陛下の007』
『007 ダイヤモンドは永遠に』
『007 死ぬのは奴らだ』
『007 黄金銃を持つ男』
『007 私を愛したスパイ』
『007 ムーンレイカー』[前][後]
『007 ユア・アイズ・オンリー』
『007 オクトパシー』
『007 美しき獲物たち』
『007 リビング・デイライツ』[前][後]
『007 消されたライセンス』[前][後]
『007 ゴールデンアイ』
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
『007 慰めの報酬』[前][後]
『007 スカイフォール』[前][後]
『007 スペクター』

『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
『007』始末記②「作品」ベスト10
『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]

画像 2016年 3月