La última cena (最後の晩餐) 1976年 歴史ドラマ
監督:トマス・グティエレス・アレア
脚本:トマス・グティエレス・アレア、マリア・エウヘニア・アヤス
原作:マヌエル・モレノ・フラヒナルス著"El ingenio(製糖場)"(部分)
撮影:マリオ・ガルシア・ホヤ
音楽:レオ・ブロウェル
編集:ネルソン・ロドリゲス
録音:ヘルミナル・エルナンデス
出演:ネルソン・ビジャグラ(伯爵)、シルバノ・レイ、ルイス・アルベルト・ガルシア(ドン・マヌエル)、ホセ・アントニオ・ロドリゲス(ガスパル)、サムエル・クラストン(奴隷アントニオ)、マリオ・バルマセダ、イデルフォンソ・タマヨ、ティト・フンコ、フリオ・エルナンデス、ミルタ・イバラ
ストーリー
18世紀末、聖週間にあたる数日間にハバナのある製糖場で起きた出来事ー
聖木曜日、所有する製糖場を訪れた伯爵は、専属の神父から奴隷たちのキリスト教理解が進まないこと、その一因が作業監督、マヌエルの横暴な振る舞いや悪行にある、と聞かされる。
折しもそのとき逃亡を企てた奴隷(セバスティアン)が捕まり、マヌエルの残酷な仕置きを目の当たりにした伯爵は、聖木曜日(洗足木曜日)にちなみ、12人の奴隷を選ぶよう命じ(その一人はセバスティアン)、彼らの足を洗い、口づけし、晩餐に招く。それは、贖罪を示すと同時に、奴隷たちにキリスト教の教えを説くためだった。
選ばれた12人の奴隷たちは、奇異に感じながらも、伯爵と食卓を共にする。大いに飲み、食べ、キリスト教の講釈を聞き、率直な疑問をはさみつつ、伯爵に信頼を寄せていく。そして、「翌日は聖金曜日だから働かなくてよい」という言葉を信じる。(注:カトリックの教えでは、聖金曜日は労働してはいけない)
聖金曜日、伯爵は朝早くに製糖場を去り、作業監督のマヌエルは、いつも通り奴隷たちを労働に追い立てるが、12人は伯爵の約束を理由に抵抗する。
神父は伯爵の家に駆け付け、聖金曜に労働を強要するマヌエルを諫めてもらおうとするが、伯爵は巧妙に交わそうとする。
そこへ、奴隷たちの反乱の知らせが届き、伯爵は激怒。武器をもって制圧するよう命じ、取って返す。
伯爵一行の怒りと到来を知った反乱奴隷たちは、作業場に火を付け、マヌエルを殺す。
聖土曜日 逃亡奴隷狩りが始まり、一人を除き全員が捕まり、殺される。
聖日曜日 殺されたマヌエルに捧げる教会を建てることを伯爵が誓う。 一方、逃げおおせた奴隷は、山へ向かっていた…
本作は、サラ・ゴメスに捧げられている。
※ サラ・ゴメス
キューバ映画におけるサラ・ゴメスの存在 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)
サラ・ゴメス@YIDFF | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)
受賞歴
第13回シカゴ国際映画祭・金賞(1977年)、ウェルバ(スペイン)第3回イベロアメリカ映画週間・審査員金賞(1976年)、1977年度ロンドン・フェスティバルにて優秀映画に選出、1977年度ベネズエラ映画批評家選出の最優秀映画賞、第7回フィゲイラ・デ・フォス(ポルトガル)国際映画祭グランプリ(1978年)、ビアリッツ(フランス)イベリア・ラテンアメリカ映画祭・グランプリ(1979年)
ポスター秘話
レネ・アスクイが語る『最後の晩餐』ポスター秘話 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)
日本での上映歴
1999年12月 彩の国さいたま国際映画祭
2016年1月 東京国立近代美術館フィルムセンター
Marysolより
昨年は私にとって映画のメッセージと現実が一致したようで、映画よりも現実を追っていましたが、今年はキューバ映画にハマったきっかけのトマス・グティエレス・アレア監督の作品を紹介し終えることを目標にします。(残り4作品!)
2年後に撮られた『天国の晩餐』の紹介の方が先になり、本作の紹介がだいぶ遅れましたが、久しぶりに見直してみて、非常にタイムリーだった!と思いました。(11Jを連想したからです)
上記のストーリーは本作の奥の深さを敢えて伝えきっていませんが(見てのお楽しみに!)、中心的テーマは「偽善」・「欺瞞」。
あらゆるシステムに潜む可能性があり、鑑賞後、私たちにもきっと思い当たることがあるでしょう。
次回は、マリオ先生の解説(すでに4年以上前に頂いていた)を紹介する予定です。→ こちらに紹介しました。
尚、本作はイタリアでデジタル修復され、2020年度ベネチア国際映画祭、ハバナ国際映画祭で上映されました。
アレア監督の名作が永遠に残ることになり、本当に嬉しいです。