サラ・ゴメス@YIDFF | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

今回の山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)では、サラ・ゴメスの特集上映がありました。が、私は10日しか参加できなかったので、見られたのはサラ・ゴメスの作品ではなく、彼女の死後、家族や知人に取材したスイスのドキュメタリー『サラ・ゴメスはどこ?』のみ。ちなみに、彼女の唯一の長編フィクション(ドキュメンタリーと融合)『ある方法で』は4年前の東京国際女性映画祭で見ました。


『ある方法で』http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10052519912.html
この作品についてのマリオ・ピエドラ(ハバナ大学)教授のコメントは必読!
サラ・ゴメスの特徴がよく分かると思います。
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10052625200.html


『サラ・ゴメスはどこ?』MARYSOL のキューバ映画修行-Where is Sara Gomez?
スイス/2005/スペイン語/カラー/ビデオ/52分
監督:アルサンドラ・ムラー
撮影:フルビオ・マリアーニ
編集:サムエラ・リナルディ
音楽:ガブリエル A. スコッティ
録音:ヘルミナル・エルナンデス
製作:ティツィアーナ・スダニ
製作会社・提供:AMIKA FILMS
(参考資料:シマ/島、いま―キューバから・が・に・を見る
青字部分はMarysolによる変更部分)


内容:
サラ・ゴメス亡き後、彼女の家族や知人、関係者にインタビューし、サラの人となりやキューバ映画における位置づけを明らかにする。その過程でキューバのアフロ文化の様相も必然的に織り込まれ、それが息子たちに受け継がれていることが見て取れる。


鑑賞メモ:
家族や知人へのインタビューを通して、サラ・ゴメスの情熱的で行動的で率直な人柄が伝わってくる。彼女の映画で録音を担当していた、ヘルミナル・エルナンデスが、夫であることを初めて知る。そして二人が知り合ったとき、サラが結婚していたこと、すでに娘がいたことも初耳。インタビューには、最初の娘のほか、ヘルミナルとの間に生まれた娘と息子(確かアルフレドという名前)が登場し、母=サラについて語る。
ただ、アルフレドを生んだことが、サラの体力を奪い、死を早めたと見る周囲の声にとまどう息子が気の毒だった。ネットで見た解説に“サラとヘルミナル、サラと子供たち、サラとアフロ文化、サラと映画とのラブ・ストーリー”とあったが、確かにそう言える。
何事にも全身全霊を傾けて、キューバ映画界を疾走したアフロ系女性監督というユニークな存在を浮き彫りにしている。


印象に残った発言:
*白人の女友達いわく「革命前は、アフロ系文化について全く何も知らなかった」。
*「キューバ人の世界は、その中に身を投じなければ分からない」
*『De cierta manera(原題)』は、キューバ人が日常よく使う表現。
 ※この発言を聞いて、マリオ先生に「どういう意味か?」尋ねたところ、英語訳の「One way or another」が訳としてピッタリだとのこと。要するに「まったく“そのとおり”ではないものの、“だいたい、そうだ”」という意味らしい。例えば、「サムライはヨーロッパの中世の騎士と同一ではないが、“ある意味で”そうである」というように。
とすると、邦題の『ある方法で』はチョット違うかな。タイトルの訳は難しいものだけれど、キューバ映画はダブル・ミーニングや風刺を含むことが多いから余計にムズカシイ…


拙ブログ関係記事:http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10442319120.html