自主独立的活動(精神)は反革命? | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

先週末、FBの友人リン・クルスの投稿で知った動画が今話題になっています。

去る1月9日のできごと

 

内容が分からない方のために説明すると― (*後日、英語字幕付きで見られるようになりました)
 キューバ出身で現在は米国在住の写真家ハビエル・カソ(なんと今や国際的女優アナ・デ・アルマスの兄!)が、ハバナに滞在中、長年の友人カップル=リン・クルス(女優・コラムニスト)&ミゲル・コユーラ(自主映画監督)を何度か訪問したことが当局から危険視され、公安に呼び出されて尋問を受けている様子をハビエル本人が録音し、それをミゲルが映像化したもの。

 

「どうして呼び出されたのか」と尋ねるハビエルに対する答えをかいつまんで紹介すると―
「リンに会ったからだ(彼女は警察のコントロール下にあるから)」
「彼らの作品を広めることは犯罪になりかねない。なぜなら彼らはお金を受け取っており、君がその運び屋の可能性が懸念されるからだ」
「これは警告だ」「キューバの警察は世界のベスト5に入っている」
「君は政令349条に反対だと投稿している」
「彼らのドキュメンタリー『NADIE』はフィデルを悪く言っている」
「ミゲルとリンはどこの組織にも属していない」

「彼らの家で活動してはいけない。なぜなら彼らはアーティストではないから」
「インディペンデント・アーティストはキューバでは違法である。法律でそう決まっている」
「法律を変え、銃を携えシエラに上れ」
「これでも大目に見ているんだ。君に罰金を課したり、旅程を遅延させたり、帰りの飛行機に乗れなくならないように」
「私はニンジャだ」「パトカーで君の家に行った方が簡単だったんだぞ」「そうなったら君の両親のイメージは悪くなる」
「君はまだキューバにいるんだ。飛行機の中ではない」
「君の妹は有名人だ」
「リンに金や物を渡してはならない」「リンと仕事をしたり、彼女の作品をプロモートすることは許されない」
「我々はCIAからの金は一銭たりとも許さない。それは麻薬と同じだ」
「改めて警告しておく」

 

ハビエル:「リンと会っては(集まっては)いけないとはどういう意味か?」
答:「この国でアーティストではない人の作品を投稿したりプロモーションすることは、米国やそれが法的に認められている国と違い、ここキューバでは犯罪になるのだ」

ハビエル:「キューバの外でやっても犯罪になるのか?」
答:「君はキューバ人か?」
ハビエル:「僕はキューバ人だ。でも米国に住んでいる。米国でしていることを投稿したら?」
答:「これは警告だ」
別の声:「これは兄から弟への助言だ」

 

Marysolより
ミゲル・コユーラと私が知り合ったのは2005年7月。そのときからずっと彼は私にとって友達です。

https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10002705298.html?frm=theme

ハバナに行けば必ず彼の家を訪問していましたが、最後に行った2017年暮れのときは、他のキューバ人から「家には行かず、会うなら外で会うように」アドバイスされました。「もし行ったら、密かに写真を撮られるだろう」とも。
すでに「何でも起こり得るよ」と日本でも言われていたので、帰りの空港で嫌がらせをされたらイヤだと思い、シネ・チャプリンの近くで会いました。

 

それにしてもハビエルがアナ・デ・アルマスのお兄さんだとは!
しかも、尋問にまったく動じず、落ち着いているのがスゴイ!

付録:ハビエル・カソの勇気と録音の歴史的(資料)価値を称えるエリエセル・アビラ

 

拙ブログは、ミゲルはもちろん、最近はリンの活動についてもよく投稿していますが、日本人が日本で書いているのだから大丈夫ですよね。

私としては、ミゲルやリンに対する不当な偏見が生まれないよう、彼らに関する過去記事を今後ここにアップしたいと思っています。

とりあえず、

ミゲルと会って考えたこと:https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10003052635.html?frm=theme
ミゲルとのチャット:https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10278488622.html?frm=theme

 

ちなみに、ミゲルと出会ったのは映画『低開発の記憶(メモリアス)』がきっかけ。

ハビエルの妹のアナ・デ・アルマスが初来日したときも、私は彼女と『メモリアス』についてお喋りしています(笑)。

 

だから、私の宝とも言うべきキューバ人脈は『メモリアス』のおかげ。
そして、彼らとの出会いと対話を通して知り得た『メモリアス』のメッセージ、それは「自分の頭で考える」こと。
自主独立の精神が違法になるのは、『メモリアス』のメッセージとは真逆です。