キトに着いたのは初日の晩でしたので、宿に直行して寝るだけでした。観光は2日目に開始。基本的な順番として、まずは市内観光でしょう。その手始めに、天気も良すぎるくらいなので、ホテルから市内バスツアーの発着所まで2キロ余りを歩いて、まずは街の雰囲気を感じることにしました。
第一印象は、今私が住んでいるエルサルバドルの首都サンサルバドルよりはるかに大きく、ずっと発展していること。サンサルバドルが田舎町のように思えてきます。
新市街には大きなビルが立ち並び、ご覧のように変わった形のビルが幾つも見られます。
この、ホテルとバスツアー発着所の間は大半の区間で、新市街の中央公園とも言えるラ・カロリーナ公園 (Parque La Carolina) が広がっています。行きには主にその脇を通り、帰りには多くその中を通りましたが、行きでも、どんなところかと思ってちょっとだけ中を覗いてみると、そこでは馬上散歩を行っていました。このように、家族向け・カップル向けの施設が多いです。地元の人々が週末のひと時を過ごす格好の場所になっているようです。
帰りに撮った写真は下にお見せします。
私が歩いていたアマゾン川大通り (Avenida Río Amazonas) には自転車専用コースもあります。たくさんの自転車の往来――健康のために運動として乗っている人が多いようです――を見つつ歩いていると、自転車屋もありました。
なお、エクアドルにはアマゾン川の支流は流れていますが、「アマゾン川」という名の川そのものは流れていません。
そこに突然現れた教育省の建物。教育関係に従事している私としては個人的に興味がありましたので撮影。エルサルバドル教育省のごみごみした感じのする建物と違って、威風堂々と聳(そび)え立っています。
発着所に着くと、受付係員の男性、いきなり「(私が電子チケットを持っている)11時半の便はキャンセルされた。13時の便にしてくれないか」と。
キトではイタリアの自転車レース、「ジロ・ディタリア (Giro d'Italia)」(正確にはその一種の下層レースである「Ride Like A Pro」という名の付いたレース)がこの日開催されるとやらで、一部の道路が一時閉鎖、そのためにこの便がキャンセルになったそうです。午後には終わっているので13時の便はあるわけです。予定されていた事ならば、はじめからチケットを出すなと言いたいところですが、まあ多分、直前に予定時刻と閉鎖される道路区間が分かったんでしょうね。あるいは、予め知っていたとしても、発券システムに反映させることができなかったとか。こういうところがきちっとしている日本とは違います(ちなみに「きちっとしている」は英語で organized、スペイン語で organizado と言い、日本社会を評する外国人からしばしば聞かれる単語です)。
ただ、席が指定されているわけではなく、ツアーの途中でバスを降りてしばらくそこで過ごして後から来る便に乗ってもいいシステムで、この日は満席になることはありませんでしたから、さほど支障はありませんでしたが。
とにかく時間を持て余したので、すぐ近くのショッピングモール「キセントロ (Quicentro)」がどんな所かを見つつ、時間を潰すことにしました。モール名は、恐らくキト (Quito) と「中心」「センター」を意味するセントロ (centro) を合成した造語でしょう。
モール手前の横断歩道はカラフルです。ケータイ禁止のマークがありますが、人々はお構いなしといった感じです。
キセントロはサンサルバドルのどんなショッピングモールよりも大きいです。後で人に聞いた話だと、キトの南部郊外にあるモールの方が大きいとのこと。これより上手があるということなら、ますますサンサルバドルより発展していると言えます。
モール内からガラス越しに撮ったビル街。この光景を見て、都会度において完全にキトに軍配があがったことを確信したのでした。
モール内を色々と巡って、エルサルバドルにも店舗を出しているコロンビアのチェーン店、フアン・バルデス・カフェ (Juan Valdez Café) が一休みするにはちょうど良さそうな店だと思いました。
コーヒーを飲んで今後の訪問地を予習したり(あと、手配を失敗したガラパゴス旅行の善後策を復習したり)、『竜馬がゆく(四)』の続きを読んだりすることにしました。コーヒーは写真のサイズで2.30ドル(約340円)。
で、バスツアー自体の話は次の記事に書くとして、それが終わって宿への帰りに撮った写真。上に言及したラ・カロリーナ公園にはこのような池があって、足漕ぎボートもたくさん出ています。
食べ物を売る屋台もたくさん出ており、週末を過ごす人々でごった返しています。行列の出来ている人気店も。
公園内でたくさん飛んでいたのはオニツグミ (Great thrush)。これはアイリングがないのでメス。似た鳥として、キト周辺が分布の北限であるナンベイツグミ (Chiguanco thrush) は当地ではレアですし、写真の鳥はそれより大きいようです。
ミミグロバト (Eared dove)。この写真のシャドウ部を明るくする加工を施すと、翼の黒い斑点が現れてきて、その形からこの鳥と同定できました。南米では最もメジャーな鳩のようです。
まだ午後4時過ぎですが、週末の本日、宿では夕食が出ないとのことで、宿の近くの「エル・ハルディン (El Jardín)」というショッピングモールにて早めの夕食を取ることにしました。モール名の意味は「庭園」、つまり「ザ・ガーデン」。
こちらのモール内も一通り回って決めた店は、ラ・バルサ (La Balsa)。「バルサ」とは、「いかだ」、あるいは「渡し船」という意味です。
飲み物は「ティント・デ・ベラーノ (Tinto de verano)」なるもの(グラス3.50ドル=約520円)。「夏の赤ワイン」という意味なので興味を持って注文したところ、飲んでみると、一種のサングリアでした。ポップコーンとプラタノ(バナナの一種)・チップス(ディップ用のサルサ付き)がつまみに付いてきました。
メインにはバンデラ・ラ・バルサ (Bandera La Balsa)。「バンデラ」とは「旗」という意味ですが、「旗艦店(きかんてん)」の「旗」みたいに、つまり「当店のスペシャル」程度の意味なのでしょうか。15.80ドル(約2,340円)。
グアティータの組み合わせ (combinación de Guatita)、エビのセビーチェ (ceviche de camarón)、ヤギのマンゲラとセコ (manguera y seco de chivo)、そして熟成バナナ揚げ (maduro frito)、イエロー・ライス (arroz amarillo)、それにアボカド (aguacate) が添えられている、とメニューに書いてあります。
グアティータとは、牛の第二胃であるハチノスとジャガイモを煮込んだエクアドル料理。写真では手前のオレンジ色のもの。マンゲラとはもともと「ホース」、すなわち水やりに使うゴム・プラスチック製の管を意味しますが、そんなのを食べるわけがありません。ネットで調べても、どうもよく分からなかったのですが、料理名のようです。あるいは形が似ているということで腸なのか? そんなものを食べたような記憶はないのですが。セコも、野菜と共に煮込んだ料理の名前のようです。皿の左奥にある茶色いものですね。
イエロー・ライスは何で色を付けているのでしょうか。スペイン系の料理では、よくサフランが使われることがありますが、これはそれよりもう少し赤っぽく見えますね。少量ですがニンジンなど野菜も入っています。
いやあ~~、知らない料理ばかりだ。エクアドル料理は全くもって勉強不足です。
しかし、これほどのご当地グルメを出す店だと知らずして入ったことは幸運でした。
……ということで、最初はバスツアーも入れて、この日の一日で一本の記事にしようかと思っていましたが、何の何の。その前後の事でこれだけの量になってしまいました。