長い間咳が止まらず困った患者さん、もしくは診断に困ったDr.はいらっしゃるのではないですか?

2週間を目安に、一度X線を見て、肺癌や結核を除外しておくのは当然ですが、その後の処方に

迷われたことはないですか?

そんな貴方にぴったりの、日本咳嗽研究会のホームページを紹介します!

長く続く咳にはどんな疾患があるのか、どんな薬が効くのか参考になります。


http://www2.eisai.co.jp/netconf/cough/index.html


かつて母校の呼吸器科をまわった時、ある上級医に咳が続く場合の質問をしたら、

クラリスとメジコン出してればそのうち治るよ

という返事でした。…それはもしかして来なくなっちゃっただけでは…と思ったものですが。


長く続く空咳の三大疾患は、

①感冒後咳嗽…単に風邪の後に咳が続く。

②アトピー咳嗽…アレルギーの関与する咳

③咳喘息


です。それぞれの診断基準が上記ホームページにあります。

ステロイドの吸入はどれにも効くので迷ったらひとつの選択肢かな、と思います。

前の病院の呼吸器内科の先生は、フルタイド(100μ)4BLS/dayくらいで処方して

いました。


それから、

1)かぜ様症状(鼻汁、くしゃみ、鼻づまり、お熱、涙がでる、のどの痛み、かすれ声、せき)のあとに続く

せき(主に痰の出ないせき)
2)このせきが3週間以上持続する。
3)せきの原因となる肺の病気に過去にかかった事がない。
4)アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蓄膿症、慢性閉塞性肺疾患、肺炎は除外する。
5)胸のレントゲン写真に異常がない。
の5つがあり、さらに、
6)末梢血白血球数、末梢血好酸球数、CRP、肺炎マイコプラズマ抗体価、寒冷凝集素価、血清IgEなどの

検査値が正常範囲にある場合


①漢方薬の麦門冬湯9g/日、

②H1受容体拮抗薬オキサトミド(セルテクト)60mg/日、

③臭化水素デキストロメトルファン(メジコン)60mg/日の3剤併用療法が有効

(18人中9人が1週間後に完全にせきが消失した。)また、非喫煙者では麦門冬湯がメジコンに比べて

同等もしくはそれ以上に有効であった。

という論文があるそうです。これも前の病院の呼吸器科の先生に教わったのですが、

残念ながら出典の論文はわかりません。


ちなみに痰の出る咳は無理に止めるのは良くないと言われますよね。

ムコダインや小青竜湯等が良いのではないかと思います。

またムコソルバンは痰の性状がいかなる場合でも効果が期待出来ます。

【診断】ICD-10やDSM-Ⅳの診断基準によります。


【鑑別】うつ病以外にも類似の症状を呈する場合があります。

①頭蓋内病変(多発性硬化症、脳腫瘍、脳梗塞)

②内分泌疾患(甲状腺疾患、また頻度は低いがクッシング病など)

③悪性腫瘍(膵臓が有名)

④腎不全

⑤膠原病(リウマチやSLE)

認知症

⑦パーソナリティ障害

⑧適応障害

⑨不安障害

⑩せん妄

(アルコール、ドラッグも含む。β遮断薬、オピオイド、ステロイド、抗パ剤は特に有名)

⑫ビタミン欠乏症

⑬統合失調症


また、気分障害の中でも、双極性障害や気分循環症ではないかも考える必要があります。

治療法や予後が違ってきます。


らかにこのライフイベントがなければその症状は出なかったと考えられる場合は

適応障害という診断になります。適応障害でもうつ病のエピソードを満たせば抗うつ薬

を使用する医師が多いようです。


※自閉、感情鈍磨、意欲の低下など陰性症状だけの統合失調症もありますが

実際にはかなりまれです。あるいは陽性症状が軽すぎて周囲に気付かれない場合も

あります。統合失調症が疑われればメジャー、例えばSDAやMARTAが選択されます。


【検査】検査でうつを確定する事は出来ませんが、血算、生化学検査は内服開始の前に、

特に肝機能や腎機能はベースラインを必ず確認しておくべきです。

セロクエル、ジプレキサの使用を考えているなら血糖値も必ずチェックします。

また、甲状腺疾患の頻度は高く、最低でもTSHくらいは調べておきます。

ワシントンマニュアルの精神科サバイバルガイドではビタミンB12や葉酸も

スクリーニングの一環として勧めています。頭部CTは疑う症状がなければ全例には

不要でしょうが、年齢によっては、また治療に抵抗する場合は検査を考えるべきかもしれません。

心電図ではQT延長や不整脈、明らかな虚血性変化くらいは見ておきべきだと思います。


認知症が疑われる場合は長谷川式等を行っておくと良いと思います。

また、HAM-D等症状を定量化出来る方法を初診時にとっておくと治療の反応を

評価するのに便利です。


【病前性格と治療への反応】

精神科医の中には、いわゆる内因性のうつと反応性のうつを分けて考える先生がいます。

この分類には科学的な妥当性はともかく、治療への反応や予後がいくらか違ってくる印象が

あります。内因性うつの典型的な特徴は、


①病前性格は真面目、頑張り屋、完璧主義(メランコリー親和型)

②それまで真面目に出勤し成績良かった人物がある時を境に遅刻、欠勤、ミスが増える。

(社会適応は元々むしろ良過ぎるような方が多い)

③これといった明らかな誘因が特定出来ない事も多い。例えば離婚はあったにせよ数年前とか。

④日内変動(早朝覚醒、朝がしんどい)、以前は好きだった事をしても気が晴れず、むしろ億劫。

⑤発症は30代以降が多い。


このような場合は抗うつ薬著効する場合が多いです。

一方で、以前よりから問題行動、犯罪、不登校や欠勤があったり、衝動的な行為

(喧嘩、自傷行為)、何年も前から慢性的な虚無感や自殺企図があればⅡ群の疾患、

パーソナリティ障害や発達障害が、または病名までは付かないにしても、もともと

性格の偏りがありそうです。

明らかなストレス(人間関係や病気)が引き金となっていれば適応障害を考えなければ

いけません。これらを背景として出現した抑うつは、一般的に抗うつ薬が効きにくい

と考えられています。


【治療】うつ病と診断された場合は内服治療が開始となります。よく使われるのは

SSRI、SNRIである事は以前にも書きました。十分な量の抗うつ薬が処方されれば

4~6週間で60~70%が寛解します(プラセボでは30%以下)。

認知行動療法は抗うつ薬同等の効果がある。また、同治療併用群は再発率が低い。

精神病症状(幻覚、妄想)、自殺企図、食事せず脱水等は入院の適応。


①デプロメール(ルボックス)なら、

1週目は50mg夕食後

2週目は50mgを朝・夕食後または100mgを1回夕食後

3週目から150mgを2回にわけて処方します(75mgを2回または朝50mg、夕100mg等)

最大200mg。それ以上は保険で切られる可能性高いです。


②パキシルは

1週目10mg夕食後。1週間に10mgずつ増量し、症状に合わせ40mgまで増量。

1日1回投与で良いです。


③トレドミンは

1週目は50mgを夕食後

2週目から1日100mgを2回に分けて内服。

最大150mg。それ以上は保険適応で切られる可能性が高いです。


【予後】文献によれば単一エピソード後の再発率は50%、2回目の後の再発率は70%、3回目以降の

再発率は90%と言われています。


【抗うつ薬が効かなかった時】

まず診断を再考する必要があります。

12月22日の記事を参考にして下さい。当院では不眠治療も兼ねてデジレル(トラゾドン)や

ジプレキサ(オランザピン)等がまず試される事が多いようです

Dr.向けの内容が続いてしまいました。ごめんなさい。

この方は数年前に担当した患者さんです。

最初は心筋梗塞⇒心不全かと思ったのですが、心嚢液が貯留しており

タンポナーデを起こしていました。

で、心嚢液を抜いたのですが、そこから癌細胞がみつかり…。

最初の胸部CTでは原発がわからず診断にも時間がかかってしまいました。


最終的には副腎転移が先に見つかり、胸を再検査して診断がついた症例です。

私にとっては大変勉強になりました。

当時のものを手を加えず、紹介させて頂きます。


【現病歴】50代男性。平成15年10月XX日より胸痛と息切れが出現。
次第に増悪したため近医を受診。胸部X線でCHFが疑われ、当院を紹介されて受診された。


【既往歴】特記事項なし


【家族歴】特記事項なし


【入院時現症】血圧 118/64、脈拍 130。体温37.8℃、
SpO2 90(O2 6L mask)胸部聴診上異常なし。眼球結膜に黄染を認めず、眼瞼結膜に貧血を
認めない。腹部平坦・軟で圧痛なし。下腿浮腫は認めない。
Labo dataではBS 163mg/dl、 BUN 82.1mg/dl、 Creatinine 2.8 mg/dl、T-bil 2.0mg/dl、
γ-GTP 130IU/L、 AST 3832IU/L、ALT 3237IU/L、 Na 134mmol/lK 5.6mmol/l、 Cl 96mmol/l、
WBC 14790/μl、 Hb 13.2g/dl、 PLT 15.7X104/μl CRP 10.5。mg/dl、トロポニンT(+)。
CEA 71.3ng/dl、 CA19-9 184 TSH 0.78  ANA(-)
胸部X線にて心陰影拡大、肺野はclearでわずかに胸水を認めた。pO2 63.9 pCO2 36.5
(O2 6L mask)。ECG上ST変化はなく、Low QRS voltageを認めた。UCGにて大量の心嚢液の
貯留が確認された。


【入院後経過】入院当日に心嚢穿刺を施行。血性の心嚢液が500ml流出した。除水後の
血圧 128/78、脈拍 98 SpO2 96(O2 6L mask)であった。第2病日、更に769ml排液。
第3病日に上腹部USTを行ったがFatty liverと少量のascitesを認めるのみであった。
排液量が減少するに従い呼吸状態、肝・腎機能は改善した。第5病日のUCGでは

心嚢液は殆ど認めなかった。
同日のBUN 9.9mg/dl、Creatinine 0.7mg/dl、AST 149IU/L、 ALT 303IU/L 、WBC 7770/μl、
Hb 12.4g/dl、CRP 2.9mg/dlであった。


心嚢液の一般培養、嫌気性培養、好酸菌培養は全てnegativeであったが細胞診でclassⅤ、
adenocarcinomaとの結果であった。本人には現状を告知したが、胸部CTでは縦隔、
肺野に明らかな病変を認めなかったため、原発部位を検索するために
第8病日日に上下部内視鏡検査を行った。その結果、胃角部前壁に周囲隆起を伴う径50mmの
巨大なUlcerを認め、biopsyを施行した。しかし結果はclassⅡであった。
第14病日に腹部の造影CTを施行したところ左副腎に径20mmのmass lesionを認めたため、
転移と考えた。第15病日、再び胸部CTを行ったところ、今回は右B3bに径20mmのmass lesionを確認。
Pleural indentation、Vascular coalescencyを認め、原発性肺癌であると考えられた。
Bulkyのリンパ節の腫脹を認めたため、TMN分類ではT3 N2 M1と診断した。
同日、心嚢液の再貯留はみられなかったため、カテーテルを抜去した。
患者本人の希望でがん専門病院宛てに紹介状を作成し、第17病日目に退院となった。


【考察】
心嚢液貯留の主な原因としては心嚢炎、特発性、急性心筋梗塞後、尿毒症、膠原病等が
知られているが、Coreyらによれば悪性腫瘍による心嚢液貯留の割合は全体の23%
感染症に次いで頻度が高かった。更にその中でも肺癌、乳癌によるものが圧倒的に多く、
食道癌、胃癌がそれに続く。本症例では入院時の胸部CTで肺、縦隔に腫瘍を認めず、
強い炎症反応より心嚢炎を疑っていたため診断が遅れてしまった。本症例は臨床病期Ⅳ期 
となるが、Performance statusは1であり治療ではプラチナ製剤(CDDP、CBDCA)と新規抗癌剤
(TXT、PTX等)で良好なエビデンスが多く、QOLと予後の改善が期待される。
Corey,GR,Campbell,PT,van,Trigt,P,et al;Etiology of large pericardial effusions.Am J Med
1993;95:209
Schiller JH et al;Comparison of four chemotherapy regimens for advanced non-small-cell
Lung cancer.N Engl J Med 436:92,2002

今回は主にACLSを学んでいない1年目の研修医の先生向けの内容です。

もちろん、看護師さんもわかっていた方が良い内容です。


PEA(Pulseless Electric Activity)とは、日本語では無脈性電気活動、

心電図で心臓は動いているんだけど脈がない状態を言います。

心臓は収縮しているんだけど血液は全身に流れていないので、

実質的には心静止(asystole)と同じです。

PEAの予後は一般的に悪く、比較的予後の良いVfやpulseless VTはこの定義に含まれません。


まずやることはABCです。病院の中であればアンビュー⇒挿管、心臓マッサージ、

ルートキープです。ルートが取れたら、“医者の判断による輸液負荷”を試みます。

通常、生理食塩水500mlを急速静注します。

使用する薬は2種類だけです。ボスミンとアトロピン

ボスミンは1mg、1Aを3分から5分おき。

アトロピン1mg、1Aを3~5分ごと。0.04mg/kgまで。

アトロピンは何でもかんでもやるのではなく、絶対的、相対徐脈がある時に考慮します。

相対的とは、ショック状態にもかかわらず脈が80回とか、そういう場合です。

高カリウム血症ではメイロンも使います。


それに加え、大切な事は、救命出来る原因を探すことです。

中山書店から出ているACLSプロバイダマニュアルには、PEAの際に

まず10の疾患を思い浮かべろ、と書いてあります。

これらには、正しい処置により救命出来る疾患があります。


①循環血液量減少(出血など)


②低酸素血症(頻度が高い)


③アシドーシス


④高/低カリウム血症


この辺りは採血で容易に診断出来ます。


⑤低体温


これも深部体温、その前に病歴でだいたいわかりますね。


薬物過量


心タンポナーデ

狭いQRSの頻拍で疑います。echoですぐ診断出来ます。外頸静脈の怒張はほぼ100%に

みられます。吸気時の血圧低下(奇脈)は95%でみられ、診断的意味があります。


緊張性気胸

突然発症した胸痛、呼吸困難、チアノーゼ、皮下気腫、患側胸郭の著明な膨隆で疑います。

呼吸音が消失します。


⑨急性冠症候群(心筋梗塞、不安定狭心症)


⑩血栓症、肺塞栓


胸痛があればまず⑧⑨⑩を思い浮かべます。


覚え方もいくつか書いてありましたが、割愛します。この丸暗記が

患者さんの命を救う事がありますので、必ず覚えましょう。

⑦や⑧は診断がつけば針1本でも命を救う事が出来る病気です。

なんて実は私も覚えたのは今の病院に来てからなんですが…。

見逃された…というか私が見逃したんですけれど…。

私は自分で思うにかなり慎重、と言うか臆病な方だと思うんです。

この患者さんも忙しい中とは言え、気が緩んでいた訳でもなかったのですが…。


72歳男性。高血圧があり、ノルバスク内服中。
4、5ヶ月前から労作時息切れを自覚していた。
12/30大掃除の後、昼の12時くらいから胸痛が出現。
動くと息切れもあり。持続
するため、午後4時頃ERを受診。

患者さんは独歩でやって来ました。


胸痛の既往はありません。AMIのrisk factorはHT、smoking(30本×50年)。
心疾患の家族歴はないが兄が入浴中に突然死しているそうです。


胸痛は心臓の辺りを手のひらで押さえ、この辺だった、とのこと。
病院に来てからはだいぶ良くなっている。

どんな痛みでしたか?と聞くと“うーん”とハッキリしません。

圧迫されるような痛みでしたか?と聞くとそんな感じです、と答えます。

冷や汗や吐き気はありませんでした。


Vitalは血圧138/78、P 90、SpO2 96(room air)

心電図はLVHパターンで、V5、V6のSTは低下(strain )。

循環器内科医にも心電図を読んでもらったが、“なんとも言えない”との返事。

確かに、心電図は何とも言えないと思いました。T波も特別高くなかったです。


採血結果を見るとミオグロビン600、CK 151と微妙な数字。

後から考えるとこれをもう少し重要視すべきでした。

しかしトロポニンは陰性で、白血球や他の逸脱酵素は全く上がっていません。


患者さんを呼び、痛みを尋ねると“今はありません”と。
“一番痛い時を10とすると?”と聞くと“ゼロです”とのこと。

“ゼロ…ですか?”

ゼロです

重症感も感じられず、これは大丈夫そうだな、という気になってきました。


もちろん循環器内科医にも検査結果を伝えました。
“ミオグロビンは非特異的な上昇だろうな”
私も同意見でした。


しつこくもう一度心電図を取りましたが変化なし。

患者さんには、狭心症の可能性は完全には否定出来ないまでも
典型的な経過ではないと説明し、念のため循環器の予約を取りましょう、
とお伝えしました。一応ニトログリセリンも渡し、痛みがまた起こったら

すぐに救急車で受診して下さい、ともお伝えしました。


しかし、翌日患者さんはERを再診されました。訴えは呼吸苦で、
新たな胸痛はありませんでした。Chest X-pでは心陰影やや拡大。

採血の結果CK 862!

心電図も取られていましたが、これはあまり変化がありませんでした。

しかしAST、LDHも上昇しており、生化学所見もMIで間違いなさそうです。
循環器内科に入院となりました。

CKはこの数字でpeak outし、待機的にCAGが行われました。

結果は#3-100%、#12-90%、#9-99%の3枝病変でした!

EFは42%、inferior,posteriorがnoneでした。

循環器の先生も、“これはわからないよ…”と逆に申し訳なさそうに

言って下さいましたが…。


以上、わかりにくく、すっきりしない部分もありましたが私が診断出来なかった

AMIの患者さんでした。echoだけでもやってもらえば診断ついてたかもしれないのが

患者さんには申し訳ありませんでした。これだけやっても見逃すんだな…と

改めてMIの恐ろしさを実感しました。