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ラッキー・ルチャーノ

http://jp.uefa.com/footballeurope/news/Kind=2/newsId=437047.html


「ん~まあやってるんじゃないの」と長年誰からも思われてきたユヴェントスの不正疑惑だったが、ついにセリエB降格+30ポイント剥奪という審判が下された。
30ポイント剥奪っていうのは、来期の昇格は非現実的で、実質的にはC1降格とほとんど変わらない。
ユヴェントスにとっては、実に厳しい審判が下った。


個人的にはやってるだろうな、とは思っていたが、今回、あっさりと見つかってしまったことは驚きだった。
組織内部にいわゆる「ユダ」がいたとしか思えないのだが、イタリア事情に詳しくないので、そこはわからない。


今回の顛末を見ていてまず思ったのは、権力と金による古い手法が、こうまで長持ちするものなんだな、ということだ。
構造としては、ユヴェントスの審判恫喝&取り込み→試合に手心を加える→不利になった各チームを懐柔し、共犯者に仕立てあげる、という単純化するまでもないほどのイージーな仕組みなのだが、これが実によく機能した。
単純な暴力と恫喝、そして金という手法が、裏のシステムを作り上げるのには非常に有効であることが証明された、と言えるだろう。
不正だろうがなんだろうが、このシステムを作り上げたマフィアまがいのモッジという男の能力は素直に驚嘆に値する。(もちろん有罪は当然だが。)


今度の判決でサッカー界はとりあえず一段落、新シーズンへ向けて動き出すのだろう。

しかし、それで終わりにしていいのだろうか?

私はこのシステムの潜在的な発現性を危険に思っている。

これはイタリア特有の現象だったのだろうか?
そうではないだろう。
モッジ並の能力を持つ人間にビッグクラブが全権を任せれば、この現象はどこでも起こりうるのではないだろうか?
プレミアリーグや、リーガ・エスパニョーラにも既に似た構造があるのかもしれないし、これからできる可能性は否定できないだろう。
そして、それはもちろんJリーグにも当てはまるだろう。


サッカーはボール一個の転がりで試合が左右される、ナイーブなゲームだ。
審判の判定一つで状況が激変する不安定なスポーツだ。
だから、余計にサッカーに「サッカー以外のもの」が持ち込まれることに注意しなければならない。

今回のワールドカップにいたるまでの4年間で、散々「サッカー以外のこと」に苦渋の思いをした。(東欧遠征中の強制オールスター出場、3軍メンバーとの無意味な「強化」試合)

既に私たちのサッカーは随分と消費されていたのだ。

同じ思いはもう味わいたくはない。


「サッカー以外のもの」は日常のすぐそばにあって、隙あらば狙っている。

サッカーファンは注意しなければならない。

サッカー以外のものがサッカーを侵食しようとしたら、全力で拒絶しなければならない。

トップにいるのがモッジ劣化版のような人なので、多少絶望的な戦いになるかもしれないが。


余談になるが、モッジと対照的に、全くこのシステムの恩恵をあずかってないインテルのモラッティオーナーは、ほんとに絶望的に政治力がないんだなあと考えたら、笑えた。

ドメネク劇場継続

あーあ、やっちゃった。


大体、今大会での決勝まできたのはテュラム、マケレレ、そしてジダンのおかげだということは、さすがのペレさんでもわかるくらい明白なことで、彼らが復帰する前のフランスの迷走っぷりはひどかった。
世代交代は思うように進まず、布陣も非常に流動的で固まらない。
それでも守備組織は構築できていたのだが、特に攻撃面では停滞がひどかった。
アンリを中心にという意図はあったのだが、それを完成させる方法論がドメネクにはなく、ボールを奪ったはいいが、前線で孤立するアンリをサポートする形を作ることはついぞできなかった。
果てには3バック(フランス代表では初めて見た)まで試し、その試合ではなぜかウイングのロテンをトップ下に起用する始末。
結局、今回は急場しのぎにジダンを中心に据え、98年以来のやり方をわかっているベテランに周りを固めさせて、3分クッキング。

出来合いにしては、偶然うまくいっていましたが。


今後は、おそらく今回のフランスの攻撃というものをベースにしていくのだろうが、それは無理な相談と言うもの。
あのゾーンでボールを持てるジダンの作り出すわずかな時間が、ほとんどの攻撃を成り立たせていたのは明らかで、今大会でマルーダ、リベリーが成長したと言っても、あくまで彼らは使われる選手。
サイドで1対1でボールを持てるように配球できる選手がいないと厳しい。
また、アンリもずっと孤立し続けるだろう。
守備もスケールダウンすることは間違いがない。
代役のディアラ、ブームソンは明らかにマケレレ、テュラムよりも見劣りがし、ヴィエラにかかる負担は再び大きくなる可能性が高い。


そうなると、若手の登用が鍵となるのだが、保守的なあの監督にそれができるかどうか。
今大会前にも、選手と激しく衝突し、アネルカ、ピレス、ジュリーなど、呼ぶべきだった選手を無視し続けた。
占星術でスタメン決めてる云々も含めて、あまりにもサッカー以外の部分での選手の好みが激しすぎて、それが結果的にチームをスケールダウンさせている。

要するに、2008ユーロ予選落ちで解任、という予想に3000チンボンダ。

ワールドカップ短評 ファイナル

■イタリア1‐1フランス(PK5‐3)
■短評

長かった1ヶ月の戦いを飾る1戦は、実に決勝戦らしい緊迫感に満ちた戦いになった。イタリア、フランスともに準決勝と全く同じスタメン。とりあえず、序盤はマテラッツィショー(笑)。まだ試合も落ち着かない間に、マルーダがPA内に飛び込んできたところをマテラッツィが倒したと判定され、PK。これは明らかにシミュレーションだったが、判定は覆らず、PKをジダンが落ち着いて決めて、フランスが先制。さらに時間を置かずに、今度はピルロのCKからマテラッツィが汚名返上のヘディングをずどん。立ち上がりにジェットコースターのような起伏を見せた試合で、あれ、これはお笑い試合になるのかなとも思ったが、ここからようやく決勝戦らしい試合展開へと変化していった。前半は互角の展開。両チームとも人数をかけてゴール前を固め、きっちりと相手を捕まえる。特に両チームともキープレーヤーへの寄せの早さが素晴らしく、ピルロ、ジダンはほとんど仕事ができず、トッティはただピッチをうろうろするだけ。それでもプレスを掻い潜ったピルロ、ジダンが軸になり、両チームともパスは回るのだが、後方に人数をかけているために前線の人数が足りない。そして最後に立ちはだかるのは、イタリアはカンナバーロ、フランスはテュラム。悪魔のようなDF能力の前に、攻撃をほとんど刈り取られてしまい、前半でイタリアが作った決定機はトニのヘディングがバーを叩いたもののみで、フランスに至ってはほとんど覚えていない。前半はマテラッツィショーの濃すぎる後味だけを残して終了する。後半はフランスペース。前半から飛ばしていたガットゥーゾの運動量が落ちてジダンへのプレスが弱くなり、パスが回り始め、挙動開始地点を後方に下げたアンリも物凄い勢いで突破を始める。また決勝にきて俄然キレまくりだったマルーダと、やにわにあがってきたアビダルのコンビネーションによる左からの突破を止めることができず、再三にわたって中にクロスを送られる。しかし、中に立ちはだかるのはカンナバーロと高さではこの試合無敵だったマテラッツィ。再三のクロスもことごとく弾き返されてしまう。また、今大会のフランスは固い守備からジダン経由のショートカウンターという方法論を軸にしていたため、いくらクロスを送っても中は空。アンリが外側に開いたり、後方から進出することを好んだのも影響していた。今大会で陥りがちだったそういう手詰まり状況を打破してきたのが、ヴィエラの後方からのオーバーラップだったのだが、そのヴィエラも足を痛めて後半の早い時間には負傷退場。代わりに入ったディアッラに同じ働きを期待するのも酷というもので、後半20分を過ぎるあたりには、前半と同じような停滞した状況に陥ってしまった。対するイタリアも同じように攻め手はなし。トニが前線で起点を作ろうとするのだが、エリソンド主審の判定が厳しくてファウルをとってもらえず、トッティも相変わらずうろうろするだけで起点を作ることができない。また、中盤が引きすぎてしまってこぼれ球を拾うことも出来ず、頼みのピルロもうまくゲームを作ることが出来ない。リッピはてこ入れとして、トッティに代えてイアクィンタ、ペッロッタに代えてデ・スピニングエルボー・ロッシを投入して中盤を暑くするが、それでも状況は好転せず。更にはデル・ピエロをカモラネージに代えたりもするのだが、チキンプレーに終始するばかりで効果的な攻撃を作ることが出来ず、完全に停滞。フランスの拙攻にも助けられたこともあるが、判定負けのまま、後半を終える。延長もどろどろの守りあい。ジダンが自ら作ったサイドからのチャンスに飛び込んでヘッドを叩き込もうとするが、ブッフォンの神のようなセーブに阻まれる。そして延長後半、フランスがトレゼゲとヴィルトールを投入した後に、この試合最大の「事件」が起こる。ここまで思ったような働きができなかったジダンが、マテラッツィの挑発に乗って(?)、突然ぶち切れて頭突きを敢行。もちろん一発レッド。それからは会場がフランスファンのブーイングに包まれ、とても試合どころではないという雰囲気。そのまま試合は終わり、PK戦へと雪崩れ込んだ。しかし、PK戦は始まる前から勝負は決まっていたのかもしれない。中心として据えていたジダンの予期せぬ退場に、フランスは明らかに動揺していた。退場後に、ジュール・リメ杯の横を通り過ぎてピッチを去っていく様子は、この試合の趨勢を暗喩していたのかもしれない。結果的にトレゼゲが外したフランスに対して、イケイケのイタリアは全員が決めて、見事24年ぶり4回目のワールドカップ制覇。おめでとうございます。イタリアは押し込まれながらも守備のバランスを崩すことなく、よく戦いつづけた。終わってみればザッカルドのオウンゴールと怪しいPK一本のみで、実質的には無失点。イタリアの守備のDNAは生きていたと言いたいところだが、攻撃的にも見所は多く、チームとしての機能性は非常に高かった。バランスという面では今大会で最もとれていて、優勝するのにふさわしいチームだったと言えるだろう。ここ数年硬直的だった代表のメンバーも流動的になり、風通しのよい組織になったことも好印象。平均年齢はそれほど若くないが、今後も期待できるチームだ。フランスはジダンに始まり、ジダンに終わった大会と言える。将軍と突撃隊長(アンリ)以外には働き蜂を配置し、最も働きやすい環境を作り出せたことが、ここまでの躍進に繋がった。最後には、将軍も突撃隊長も後方の事務官(ヴィエラ)もいなくなってしまい、PK戦での負けもやむを得ないというところ。それでも崩れなかった中盤の守備と最終ラインの堅固さは見事だったが、このチーム作りではこれが限界。ジダンを中心にしたがゆえに、チームは1からの作り直し。ドメネクの後任には相当なバランス感覚が必要となるだろう。


■picture of player ジデディーヌ・ジダン
今大会は誰がなんと言おうと、彼の大会だった。序盤の不調、決勝トーナメントからの急激な輝き、そして、決勝戦での頭突きという暴挙による突然の退場。今大会で彼に起こった事件のすべてがミステリアスだった。ただ、このわけのわからないキープ力と非常に理解されづらいメンタリティを持つ稀代のファンジスタにとっては、その不可解さが余計に相応しかったように感じられる。長い間、ありがとうございました。あなたが輝いていた10年間を見られて、本当に幸せでした。


■picture of player(番外編) マルコ・マテラッツィ
この試合はまさに彼のもの。前半の疑惑のPK献上、そのお返しのセットプレーからのゴール。更には今大会の英雄を挑発(?)によって退場に追い込み、ダーティ・ヒーローとしての名を世界に冠たるものとした。大会を通しても、ネスタの負傷によって巡ってきた代役の座を、出場直後に得点、そして退場など、過剰なまでのパフォーマンスで埋めてるような埋めてないような。ブーイングの中を悠々とPKを決めた彼の姿を見て、WWEのプロデューサーが引退後のプランに入れたとか入れてないとか。ゆくゆくは昼ドラとかに出て欲しいと思う。

ドイツ大会私的ベストイレブン


まー、三決と決勝が残ってますけど。
これからそんなにうっかりさんが出るとは思えないですし。



GK
ファビアン・バルテズ(フランス)

とにかくボール捕れない。元々下手だったキャッチングの技術が、今大会のボールと自身の衰えの相乗効果で、一気に北朝鮮代表キーパーレベルへ。決勝まで行ったにもかかわらず、危なっかしさは今大会トップクラス。そりゃ、クペも怒るわな、こんなのにポジション奪われたら。


DF
ジョニー・ハイティンガ(オランダ)

ポルトガル戦での衝撃のプレゼントボール無視。ベスト16を陳腐なホラーショーにした起爆剤。やっぱりオランダにはかぐわしい匂いが充満している。


クリスチャン・ザッカルド(イタリア)
奇跡のサイクロンオウンゴール。「あの角度は物理的に説明できない」と専門家に匙を投げさせるほどのすさまじいキレっぷり。それ以降の干されっぷりが、あまりにもあからさまでちょっとかわいそう。


エマヌエル・パッポー(ガーナ)
名前で撃沈。同僚のギャン、ピンポン、エクアドルのグアグアとともに、今大会面白ネームクァルテットを形成。本当のマジコはここに。しかし、この四天王を倒した後には、ポーランドのガンチャルチクとギザが控えているのであった…待て、次号!プレーは一切覚えていません。


MF
ダヴィド・オドンコール(ドイツ)

ドイツに現れた「ニュー・デニウソン」。サッカーの最終目的は相手を抜くことと勘違いしている典型的タイプで、しかも主審とはスキンシップを大切にするフレンドリーなナイスガイ。マッチポンプ界期待の新星。


ダニエレ・デ・ロッシ(イタリア)
マクブライドの何が気に入らなかったのか、衝撃のスピニングエルボーで強襲。スタンドからはK-1の谷川プロデューサーが「よぉ~し!!それだ!」と手を打って、おもむろに国際電話をかけていた、というのは私の妄想。


アリエン・ロッベン(オランダ)
クライフの教えであるトータルフットボールを一人で実践(オフェンスのみ)。そのエゴイスティックな姿勢と「俺の大会になる」というアロガントな発言から、おそらくプレー以外でのロマーリオの正当後継者はこいつ。


フランク・ランパード(イングランド)
シュート打ちまくって全部外した。プレミアで見せた鬼のような決定力はどこへやら、枠に飛んだシュートも全部止められた。何か悪い霊(おそらくデフォーの生霊)に取り憑かれたものと思われるので、要織田無道。


カルロス・パレデス(パラグアイ)
低調パラグアイにあって、一人大暴れ。行動の基本目的は「苛立たせる」。殺人タックルで相手を、大げさな痛がり方で観客を、妙なテンションの抗議で審判を、とそれぞれの相手を90分間苛立たせ続けた。


FW
ピーター・クラウチ(イングランド)
とにかく見ていて面白い、という稀有な存在。もう顔が面白いとかプレーが面白いとかそういう次元を遥かに超えてしまっていて、とにかく動いていること自体が感動という世界遺産クラスの扱い。ただ、心底他の国の人でよかったと思う。あれを応援しなきゃいけないイングランド人って。


クリスチャーノ・ロナウド(ポルトガル)
今大会観客逆撫ポイントぶっちぎりのナンバー1。ダイバーとしての名をさらに高め、ルーニー退場後の「してやったり」の表情は今大会一番のハイライト。さて、イングランドで暮らしていけるのだろうか。


監督
ユルゲン・クリンスマン(ドイツ)

とにかく動きがやかましい。NBAでコーチをしていたP・J・カーリシモ(誰も知らないな)を思わせるオーバーアクションで、お前は吉本新喜劇かと突っ込みたくなるほどの喜び、そして悲しみのポーズ。気合と勢いでもなんとか監督業は勤まるということを実証。


次点

柳沢敦(日本)…名言「急にボールがきたから」は日本中の人の腰を砕いた


フィリッポ・インザーギ(イタリア)…出てきた瞬間からインザーギ劇場を開催するその能力は異常


ブルース・アリーナ(アメリカ)…3-0でチェコに負けたときの「もう、なーげた」という諦めの表情とグループリーグ最終戦で点決められた時の落胆っぷり。顔面白い。


トーゴフットボール協会…ボーナス支払いの大揉め、監督辞任、復活など、安っぽいドラマ並の展開に、大笑い。最もアフリカらしかった。


イワノフ主審(ロシア)…ポルトガルVSオランダで男子中学生を思わせる脊髄反射っぷりのレフェリングを披露、ピッチを戦場に変えた。

ワールドカップ短評 22

■フランス1-0ポルトガル
■短評

熟年キャプテン対決は、地獄の底からいろんな怨念を召還したジダンに軍配。フランスは前回と同じ布陣でジダンがフリーマンの位置、ポルトガルは出場停止明けのデコが真ん中に入り、コスティーニャがフィルターの位置に入り、両チームともベストと言える面子。試合は序盤からほぼ互角の展開。フランスはジダンのキープをベースにリズムを作り、ポルトガルはパス回しと脊髄反射ドリブラーのロナウドの突破力を武器に、お互いの強烈なプレスをかいくぐっていく。ペーストしては若干ポルトガルだったか。デコが戻ってきたことでパス回しに鋭さが戻り、ロナウドVSサニョルのマッチアップは完全にロナウドの勝ち。また対角ではフィーゴもアビダルを子ども扱いしながら再三中央に切り込んでくる。しかし、いくらサイドを突破しても中はもっさりパウレタただ一人。ギャラス&テュラムの「輝け!身体能力!」コンビの前にはなす術がなく、結局フィニッシュはマニシェ(もしくはロナウド)の大砲ずどーんの単発攻撃で点が入らない。こうなると雲行きが怪しくなってくるのはサッカーの常で、前半30分くらいに、カウンターからアンリがPA内でパスを受け、見事にリカルド・カルバーリョを出し抜いて、PKを獲得。これをジダンが落ち着いて決め、フランスが先制点を決める。これ以降はポルトガルがパス回して攻撃→フランスがカウンターというわかりやすい展開で前半が終わる。後半も基本的には変わらず、ポルトガルが攻め、フランスが守るという図式。ただ、疲れと焦りからか、徐々にポルトガルの攻めが単調になっていき、サイドに展開する前にヴィエラ&マケレレにボールをカットされる場面が目立ち始める。痺れを切らせたフェリポンはシモンを投入し、パウレタを下げ、ロナウドをトップに上げる。これははっきり言って悪手だった。おそらく、ロナウドのキープ力を最前線で生かそうと思ったのだろうが、結果的に優勢に立っていたサイドを捨てることになり、ロナウドにボールが入ったのは数えるほどだった。終盤にはポスティガを投入し、CBのメイラを上げてパワープレイに出るが、これも選択としてはどうだったのだろうか。元々空中戦に弱いポルトガルのプレイヤーが、フランスの「煌け!高さとパワー!」のCBコンビに競り勝つことは、ちょっと予想しづらい。案の定、作った決定機は1度だけで、自慢のパスワークを最後まで貫いたほうがよかったのではないだろうか。もちろん、結果論でしかないが。試合はそのまま終了して、1-0でフランスの勝ち。一体、どこのユヴェントスだという勝ち上がりっぷりだが、チームのリズムは最高。決勝は98年以来のイタリアとの対戦。お互いの守備組織がしっかりとしているため、一瞬のミスや閃きが勝負を分けることになるだろう。ポルトガルはここが限界だろうか。強固なディフェンスとパス回しは賞賛に値するが、最後まで点取り屋の不在が響いた。また、時間稼ぎをしたり痛くもないのに長いこと倒れていたり、過度なマリーシアが観客を逆撫でしていたことも事実。そんなものに頼らなくても強いのに、と思うのは私だけか。それとも、犬が雪見たら走り回らなきゃいられないような、上島竜平が熱湯を見たら入らなくてはいられないような、みのもんたが「許せない!」って連呼するような、そういうものがあるのか。何かDNAに刻み込まれているのか、類稀なる自己鍛錬の成果か。たぶん、根性が腐ってるだけだ。


■picture of player クロード・マケレレ
ヴィエラとともに張る中盤の警戒線は、今大会トップクラス。試合を通して落ちない運動量と、ファウルをせずにボールを奪取する技術は世界屈指。年をとっても衰えていない。ちっこくて顔がかわいい。時折見せる脱力するようなパスミスもますます萌える。お姉さんたち!これからはベッカムじゃなくてマケレレですよ!ただ、マケレレの追っかけギャルが出始めたら、それはそれでちょっとひく。

ワールドカップ短評 21

■ドイツ0-2イタリア
■短評

もう理屈も何も関係なくなる準決勝。ドイツは出場停止のフリングスに代えてケール、シュバインシュタイガーに代えてボロウスキー。対するイタリアはベスト8と全く同じ形。序盤は激しいプレス合戦、そして信じられないくらいの攻守の切り替えの早さ。特にイタリアのプレスはすさまじく、ボールを持った選手にオートマティックに2人、3人と囲い込んでいく。試合終了まで持つのか、というほどの勢い。ボールを奪ってからはピルロ、トッティのキープ力を生かして、後方からザンブロッタ、グロッソ、ペッロッタがどんどん進出してくる。ドイツもプレスをかけてはいるのだが、トッティやピルロの技巧に翻弄され、捕まえ切ることはできない。それでも、大会開始前の出来が嘘のような高いパフォーマンスを見せるドイツDFラインが瀬戸際で止め、徐々に試合は落ち着き、15分過ぎくらいからは徐々にドイツもチャンスを作り始める。ネスタの代役のマテラッツィにスピードがないため、ポドルスキーにはいいように振り回され、2トップ間のコンビネーションにボロウスキー、バラックが絡む展開。しかし、それも単発に終わる。前半の決定機はシュナイダーのシュート1本くらいか。チャンスの質、内容ともに、総合的にはイタリアのペースの前半だった。ピルロの低い位置でのゲームメイクにプレッシャーをかけなかったので、イタリアは比較的自由にゲームを組み立てることができたが、しかし得点を奪うことができず、0-0のまま後半を迎える。後半も流れはあまり変わらない。しかし、前半のハイペースが祟ったのか、徐々にイタリアの寄せが遅れはじめ、中央のバラック、ケールがゴール前に進出し、ドイツに試合の主導権が移る。ここで、この試合の転換期が訪れる。イタリアは、25分過ぎから試合を一時的に「眠らせた」。自陣に引き、トニへのロングボールが多くなり、DFラインでのパス回しが増えた。まさかこんな約束事があるとは思えないのだが、それでもイタリアは共通理解を持って作戦を遂行していた。苦しいときには引いて、不恰好でもとりあえず守り切る。それがイタリアのDNAということなのだろう。試合運びのうまさ以上の、何か得体の知れない集団戦術を見せられたようだった。この一時的冬眠が、延長に入ってから功を奏すことになる。後半の終盤攻め立てていたドイツは、延長に入るとぱったりと足が止まり、ゲームは完全にイタリアのものに。1度のポスト、1度のクロスバーなど、終始攻め続ける。交代も積極的なものだった。イアクィンタ、デル・ピエロ、ジラルディーノを投入し、3トップ+トッティという、一体どこの国なんだというくらいやけっぱちの攻め方。攻めに出たために危ない場面もあったが、そこは現在世界GKランキング1位のブッフォンが防ぎきった。そして延長後半終了間際のグロッソのゴール、最終盤のデル・ピエロのゴールが試合を決める。この2つの得点は決して偶然ではない。イタリアは、2度の消耗戦を経て94年以来の決勝へ。ネスタ以外には欠場もなく、ほぼベストのメンバーで臨むことができる。試合内容もバランスがよく、相手はどちらが来ても、いい試合を期待できるだろう。ドイツは、途中投入の選手があまり機能しなかったのが痛かった。シュバインシュタイガーは明らかにキレをなくしていて、ノイヴィルには時間が足りなかった。オドンコールだけは相変わらずの無法っぷりだったが、やはりクロスの精度が松木安太郎の解説並に的外れではどうしようもない。ただ、それほど地力の高くない戦力で、地元の後押しがあったとはいえ、ベスト4は立派な成績。大会前の出来では、ライブドア株の値動き並に不安定だったが、この1ヶ月で最も成長したチームだったのではないだろうか。ただの変な人だったクリンスマンも、積極的な采配とモチベーターとして奮闘、これで男をあげた。ただ、この後、どうすんでしょ、監督。若いチームで、2年後、4年後が楽しみなため、是非ドイツ協会には舵取りを間違わないで欲しいものだ。


■picture of player ファビオ・カンナバーロ
1対1で無敵の強さで得点王クローゼを完封。空中戦、地上戦ともに穴がないが、特にくさびのボールに対する出足の鋭さは常軌を逸している。相棒のマテラッツィがイマイチおとぼけのため、カバーリングまで数多くこなさなければならなかったが、まだまだ余裕がありそうな感じ。君臨する一人カテナチオ、このまま無失点(ザッカルドの超絶オウンゴール除く)でいけば、MVPあげてもいいんじゃないか。たぶんもらえないけど。

ワールドカップ短評 20

■イングランド0‐0ポルトガル(PK1‐3)
■短評

双方疲れを見せる中、結局勝負はサイコロに委ねられた、という試合。イングランドは前の試合と同じく、ルーニーを1トップに据え、アンカーの位置にハーグリーブス、右サイドバックにはギャリー・ネヴィルが復帰。ポルトガルは形は同じだが、デコ、コスティーニャの飛車角を欠き、代わりにチアゴとペティートが入った布陣。前半は非常に重苦しい展開。前の試合よりは多少マシにはなったものの、イングランドは相変わらずパスを回すだけで、攻撃はルーニーにお任せ。サイドバックはほとんど上がらず、攻撃の形になるのは、グラウンダーでルーニーがキープした時にジェラード、ジョー・コールが絡んだ場合のみ。ポルトガルはカルバーリョ、ペティートを中心にした守備ブロックがよく機能しており、ほとんど形らしい形を作らせない。ただし、ポルトガルも似たようなもの。イングランドは後ろに人数をかけてブロックを形成しており、トップのパウレタがボールを触ったのは数えるほど。クリスチャーノ・ロナウドやフィーゴの突破からチャンスを作りはするが、それも単発。試合はなんとも言えない雰囲気のまま、後半を迎える。後半が始まると、イングランドが多少攻勢を迎える。アシュリー・コールが上がり始め、疲れのせいか綻びを見せ始めた中盤守備の合い間を掻い潜って、ルーニーのキープからジェラードやハーグリーブスが何度か進出してチャンスを作った。また怪我のベッカムに代わったレノンが、後先考えない暴走で右サイドを蹂躙し始める。この大会で初めて、イングランドが能動的に動き始めた時間帯だった。ただし、それも15分だけ。なぜか、ベスト16で消耗戦をしたポルトガルよりも先に、イングランドのスタミナが切れたのか、それとも自重という名の思考停止を始めたのか、オフザボールの動きがなくなり、攻撃は再び停滞し始める。そして、61分に、ルーニーが暴言(?)により退場。これでイングランドのゲームプランは崩壊。代わりに投入したクラウチのキープを生かそうとするが、有機的に反応できたのは、途中投入のレノンと最後まで走り回っていたハーグリーブスくらいで、ランパード、ジェラードの二枚看板は沈黙を守るのみ。そのまま後半、延長をただ守りきって終わった。ポルトガルもルーニーが退場になってからボールを支配したことはしたのだが、いかんせんあそこまで引かれてしまっては、高さのある選手がいないのと、デコがいなかったこともあって、崩すことはできなかった。PK戦は、メンタル面の違いか。最終盤にキャラガーを投入したことが象徴的だが、大会を通して終始ネガティブな試合をしていたイングランドと、あくまで攻め切ろうという姿勢を見せたポルトガル。イングランドは「守りきった」という状態で前向きになることもできたし、ポルトガルは「攻めきれなかった」とネガティブになる可能性もあったわけだが、実際にはそうならなかった。鬼神と書いてリカルドと読む人の驚異的な読みはただただ誉めるべきだが、イングランドからどうしても抜けきらない「弱気」という印象が微妙に影響したような気がする。ポルトガルは辛くも勝利して、次はフランス。イングランド以上に強固な守備ブロックを形成しているが、デコが戻ってくることもあり、おもしろい勝負ができるだろう。イングランドは収穫ゼロの大会、と言えるだろう。プライドをかなぐり捨てて守備的な戦いをし、結果だけを追い求めたが、見事に失敗。何十年かに一度の偶然によって集まった才能が、こういう試合しかできずに終わってしまったのはただただ寂しい限りだ。この内容の悪さでは、後に何も残らないだろう。サッカーの神は臆病者には何も与えてくれない。


■picture of player オーウェン・ハーグリーブス
中盤のアンカーポジションに入り、守備的な位置で相手の攻撃の目を摘みまくった。また、数的不利になって、本来のセンターハーフに戻ってからは、苦しい時間帯にも無尽蔵のスタミナで攻撃に絡み、マンオブザマッチも納得の出来。アシュリー・コールとともに、気持ちを感じさせてくれた数少ない選手。ていうか、なんでこんないい選手使わないのよ。名前だけで選ぶんじゃないよ、あほ。




■フランス1‐0ブラジル
■短評
前々回優勝、前回優勝候補のフランスと前々回優勝候補、前回優勝チームの対決は、結局前々回の優勝チームが内容で完璧に上回った試合だった。フランスは1回戦と同様、ジダンを2トップ気味に置いて、アーセナルでいう「ベルカンプポジション」で攻撃に変化をつける。ブラジルは、もっさり2トップの一人を外し、デブの隣に出っ歯の天才。中盤にはリヨンのジュニーニョを入れ、攻撃にダイナミズムを作ろうとする。しかし、ブラジルの目論みはまるで外れてしまう。ジュニーニョもロナウジーニョもオフザボールの動きを多用するタイプではなく、相変わらずデブはゴール前でお茶飲んでるだけ。唯一ダイナミズムを生んでいたのはゼ・ロベルトくらいで、ヴィエラ、マケレレを中心とした守備に完全に絡めとられてしまう。対するフランスはノリノリ。ジダンが全盛期に近い動きを披露、キープで溜めを作って周りを生かし、簡単にボールを失うことはほとんどない。あまりの急な復活振りに、いけない薬でも飲んだのかとちょっと心配になるほどだった。ともかく、ジダンというボールの落ち着きどころが完全に機能したことで、フランスの攻めにも守りにも実にいいリズムが生まれた。先制点は、そのいい攻撃の流れからファウルを誘い、そのセットプレーをアンリが足で叩き込んだもの。オフサイドトラップをかけそこなったのか、なぜか3人くらいフリーの選手がいた。セットプレーでトラップをかけるのはいいのだが、その前に一回やってるためにバレバレ。首を傾げたくなるほどの軽いプレーだったが、ともかくもこれで試合は動く。アドリアーノ、ロビーニョ、シシーニョを投入して前がかりになるブラジルに、ジダン経由のカウンターを仕掛けるフランスというわかりやすい構図。ただ、ブラジルの攻撃には全く迫力がない。結局、アドリアーノとロナウドが足下でボールをもらいたがりすぎるために、プレーのテンポが遅れ、フランス守備陣に簡単に対応されてしまう。それでもさすがの個人妓で何度かチャンスを作ったが、危ない場面はバルテズが元々あぶなっかしいだけで、決定的チャンスはほとんど作り出すことはできなかった。フランスも何度かあったカウンターを決めたかったが、ともかくも勝ち切ったことは評価に値するだろう。次はポルトガル。ベスト4の中では1番の難しい相手かもしれないが、好ゲームが期待できるだろう。やはりジダンの出来次第だが、今の彼はおいそれとは止めることはできないだろう。ブラジルは結局何の内容も見せることができずに終了。クァルテット・マジコが輝くことは一度もなく、至宝のロナウジーニョを生かすこともできなかった。結局、主役が多すぎる劇は成功しない。今頃、監督のパレイラも柄にもないことをやろうとしたことを悔いているだろうか?


■picture of player レイモン・ドメネク
予選の迷走、選手選考時の混乱、特定選手との相性の悪さなど、ダメ監督の烙印を押されてもしょうがないほどの大活躍ぶりだったが、なぜかここにきて常識的チームの構築に成功。一体、予選とグループリーグはなんだったのか、と思われるくらいに有機的に動いているチームは狙いどおりなのか、はたまた偶然なのか。たぶん、後者。決していい監督ではないと思うが、ジダンを中心にすると決めてからの愚直さは称賛すべきだろう。こういうわけわかんない監督がワールドカップで勝っちゃうときもあるんだよなあ。

ワールドカップ短評 19

■アルゼンチン1‐1ドイツ(PK2‐4)
■短評

優勝候補筆頭VS開催国の試合は、お互いに死力を尽くした戦いとなり、開催国の運が少しだけ上回った試合だった。アルゼンチンはコロッチーニとルチョ・ゴンザレスを入れ、3バック+ソリンの変則4バックのDFラインに、マスチェラーノ&ルチョの守備的MF。トップにはサビオラに代わって、テベスが入り、クレスポとコンビを組む。対するドイツは今まで通りの布陣だが、アルゼンチンの攻撃力を警戒してか、バラックのポジションはいつもよりも引き気味。前半は完全な潰し合い。両チームとも激しい中盤のプレスからいいボールを出させず、決定的チャンスお互いにゼロ。ドイツは今までのようにオフサイドを積極的にとりに行かなくなったので、守備ブロックがかなり安定した様子。また、テベスが裏を取るタイプではないため、サビオラがいなかったことが、ドイツにとっては幸いだった。テベスも確かにキープと突破力でアクセントになっていたが、いかんせん囲まれることも多く、またリケルメとプレーエリアががっつりかぶるため、ポゼッションを異常に高くするだけにとどまった。ドイツの攻撃に関しては、前半は特筆すべきことなし。慎重にいったこともあったし、2トップはアジャラ&エインセの前に完敗。試合は若干アルゼンチンペースだが、拉致問題もびっくりの膠着状態の中、後半を迎える。このまま後半も神経線が続くかと思われたのだが、開始早々にセットプレーからあっさりとアジャラがヘディングでゴールを決める。これでようやく試合は動き始める。バラックがポジションを上げ、その隙間にアルゼンチンMFが入り込んで逆襲という形で、ゲームに流動性が出てくる。ドイツはオドンコール、ボロウスキー、ノイヴィルと立て続けに選手を投入、対するアルゼンチンもカンビアッソ、クルスを投入し、守りに入る。プランの明確な変更もあり、徐々に試合はドイツのペースへ。ただ、ドイツの交代選手が有効に機能していたかどうかは疑問符がつく。オドンコールは再三突破していたが、有効とは言いがたく、ボロウスキーも時間とともに埋没していった。アルゼンチンは体を張って守り、決定的チャンスはほとんど作らせなかったのだ。おそらくこのまま試合は終わるはずだった。しかし、ここでやはり違いを見せられるタレントがいるかどうかという差が出てしまう。ドイツにはバラックがいたが、アルゼンチンにはリケルメがいなかった。後半35分に、バラックの折り返しをボロウウキーが流し、クローゼがヘッドで叩き込んで、アルゼンチンのプランは崩壊。アルゼンチンにとって誤算だったのは、GKのアボンダンシェリが負傷で退場したこと。これによって切れるカードが減ってしまい、リケルメを既に下げてしまったアルゼンチンにはなす術なし。どろどろの延長戦を経て、「サッカー以外のもの」で勝負は決定。PK戦になってしまっては、あのアウェーの雰囲気はかなり足かせになっただろう。試合自体は、守備の集中力、一瞬の判断の早さと、レベルが実に高かった。結果論でしかないが、アルゼンチンは守りに入ったことが悔やまれる。プランが崩壊した時こそ、能力の発揮どころだと思うのだが、リケルメ中心のチームでリケルメを外してしまっては、それも無理な相談か。地力では明らかに勝っていたため、本当に敗退が残念でならない。ただ、これもフットボールか。ドイツはもうイケイケ。判定負けの試合を殴り倒してまで自分のほうに引き寄せ、勝ち切ってしまった。バラックの状態が気になるが、彼がいればイタリアとも互角の戦いを演じられるのではないだろうか。


■picture of player ダヴィド・オドンコール
右サイドを中心に散々仕掛けまわり、有効かどうかは微妙だったが、膠着する試合状況をカオスに陥れた。また、とられたボールに対して殺人タックルをかます、自分で仕掛けたタックルで相手と口論するなど、天然気味のマッチポンプっぷりが目立った。ドイツにはいない自爆系キャラだが、ほんとにそのうち自爆するかもしれない。なに、こいつ。おもしれー。




■イタリア3‐0ウクライナ
■短評

完全なイタリアの形。イタリアは前の試合と同じように、4‐4‐2もしくは4‐3‐2‐1という形で、カモラネージがかなり高い位置に張り出して自由に攻撃に参加する布陣。ウクライナはレギュラー2人のCBが戻ってきて、守り倒す気まんまん。しかし、その気合が持ったのは、たったの5分。右サイドのオーバーラップからザンブロッタが見事なミドルシュートを決め、イタリアがあっさり先制。その後もトニ、トッティのポストプレイに連動して、中盤から上がった選手がいい形を作り、またピルロを中心とした中盤が完全にミッドフィールドを制圧。ウクライナのDFには俊敏性と強さが足りず、トニとトッティには完全に後手。CB2人を前半で変えるも、さしたる効果もなかった。また、DFでの劣勢に引きずられるように中盤も対応が遅くなり、イタリアのパス回しについていくことができない。攻めても、中盤でガットゥーゾに潰されまくって頼みのシェフチェンコに全くボールが届かず、ロングボールを放り込むのが関の山。攻撃にダイナミズムを与えていたボローニンの欠場は、予想以上に大きかった。後半はもう完全にイタリアの注文相撲。ただ、1‐0の状況で迎えた二つの決定機(グセフのヘディング、混戦からのシュートをザンブロッタにゴールラインで弾き返されたシーン)をウクライナが決めきれなかったのはいたかった。その後にセットプレーとカウンターからあっさりイタリアに追加点をあげられ、試合終了。終盤には、オッド、ザッカルド、バローネという交代要員の投入をする余裕を見せるなど、イタリアの強さばかりが目立つ試合だった。イタリアはこれでほとんど無傷のままベスト4。組み合わせにも恵まれたこともあるが、延長までもつれこまずに来ているのは、圧倒的に有利。トニが得点をようやくあげ、次はネスタも復帰、トッティも復調傾向とあれば、いい材料しか見当たらない。ウクライナはこれが限界だろうか。CB2枚を代えたブロヒン監督の采配はさっぱりわけがわからなかったが、大勢に影響を与えるほどのものではなかったことも確か。中盤で変化をつけられる人材もなく、正直ベスト8に残っているのが不思議なくらいだった。無失点のまま後半を迎えられれば面白かったのだろうが、あれだけ中盤以降の選手を捕まえることができなければ、無理な相談。完敗です。


■picture of player ジャンルカ・ザンブロッタ
右サイドバックながら、見事なオーバーラップからスーパーミドルをずどん。この試合をイタリアが優位に進めることが出来た、立役者。カモラネージ、トニとの連携から再三オーバーラップを仕掛けて右サイドを制圧。守っても1対1ではほとんど負けなく、1点もののシュートをゴールから弾き返した。更に後半なかばからは左サイドにポジションを変えて、同じよなプレー振り。なんて使える子なの。一家に一台ザンブロッタ。今お買い上げの方にはもう一人ザンブロッタが(以下略)

ワールドカップ短評 18

■フランス3-1スペイン
■短評

ジダンに引導を渡すつもりが、スペインは返り討ちにあってしまった。スペインは3トップの1角にラウル、中盤にはセナの代わりにセスクを入れたスタメン。対するフランスは、ジダン復帰でアンリの1トップ、両サイドはマルーダ、リベリー。試合開始から、中盤の争いではスペインが主導権を握る。シャビ、シャビ・アロンソ、セスクの3人の足元がしっかりしているので、よくボールが回る。しかし、ヴィエラ、マケレレとDFラインで形成するフランス守備ラインも実に強固で、決定的な場面までは持っていかせない。中盤は支配させたが、どちらかと言えば、ペースはフランスにあっただろうか。攻めさせながらもジダンを経由したカウンターによって、再三スペインの浅いラインの裏をついた。しかし、先制点はスペイン。セットプレーから幸運なPKを得て、それをビジャが沈める。今までのフランスだったらここで意気消沈、とまでは言わないが、どこか歯車が噛み合わなくなっていただろう。しかし、今日のフランスは違った。ジダン、ヴィエラを中心として、確信のあるプレーを続ける。それが実ったのは前半も終わりに近づいてから。この日、オフサイドに引っかかりまくっていたアンリを囮にし、後方から走りこんだリベリーがGKをかわしてゴール。同点に追いつく。試合は後半になっても展開は変わらず、スペインがボールを支配するのだが、ゲーム自体はフランスが支配。カウンターでのチャンスには、アンリの後方からリベリー、マルーダがオフサイドラインを脅かし、そこにジダンがパスを合わせていく。決勝点もジダンのアシストから、ヴィエラがヘッドで叩き込んだもの。スペインは逆転を狙って次々と選手を投入するが、フランスの強固な守備の前に跳ね返され続ける。そして、ハイライトは終了間際。パスを受けたジダンが、プジョルのスライディングを全盛期を思わせるステップで交わし、とどめとなる1点を叩き込んだ。さて、フランスは次はブラジル戦。おそらく今日のように押し込まれるだろうが、あの活動量の少ないブラジル2トップが相手なら、持ちこたえられるはずだ。また、ジダンもアンリも低いDFラインを相手にやりやすいのではないだろうか。スペインは、試合に変化をつけられる人材がいなかった。イニエスタなんか入れて、かき回してもよかったのではないだろうか。前がかりになった上での失点は仕方がない。若いチームなので、次もがんばってください。


■picture of player ジデディーヌ・ジダン
相変わらず活動量は少ないのだが、今日はパスが冴えていた。中盤でリズムを作るとともに、危険なゾーンへの狙いが目立った。そして、ダメ押し点。なんかいいことでもあったのだろうか。500円拾ったとか。アンリが煮物おすそ分けしてくれたとか。ともかく、こういう布陣でいく以上、彼の出来不出来が大きく鍵を握っていることは言うまでもない。願わくば、もう少し長い時間、見たい選手。

ワールドカップ短評 17

■ポルトガル1-0オランダ
■短評

いよいよ決勝トーナメントだな、という感じのする大荒れ模様の殴り合い。両者とも3センターハーフでがっぷり噛み合った中盤は激しい潰し合い。特にオランダのファン・クラッシャー・ボメルが散々暴れ回り、試合は徐々にヒートアップ。それでもパス回しでわずかに優位に立つポルトガルが、デコの組み立てからパウレタの落とし、「代表だと別人」マニシェが叩き込み、前半20分過ぎに先制。しかし、35分頃にクリスチャーノ・ロナウドが怪我で壊され、これでポルトガルがぷっつん。前半終了間際には守備の中心であるコスティーニャが退場になり、不穏な空気のまま、前半を終える。後半は圧倒的なオランダペースで進むかと思われたが、オランダはうまく数的優位を生かすことができない。サイドまでボールがつながりはするのだが、そこから決定的チャンスを作ることはできず、ミドルシュートを連発。惜しいシュートも多々あったが、すべてGKのリカルドにはじき出された。また、ポルトガルも押されていたばかりではなく、フィーゴ、シモンの変則2トップが何度かチャンスを作るが、こちらも決めきれない。そうこうしているうちに、ブーラルーズがフィーゴに肘打ちで退場。これで再び同数の戦いとなり、すかすかとなった中盤をすっとばして、非常にオープンな打ち合いになったのだが、両GKが鬼のように止めまくる展開。そこで、また事件です、姉さん。途中投入されたハイティンハが、相手にプレゼントボールすべきところをなぜかおもむろにドリブル開始。それを見たポルトガルのデコが「何しとんじゃ、このガキ」と問答無用の殺人タックルを慣行。試合はこれで完全にカオスへ。この後、デコが2枚目のイエローで退場したが、ポルトガルがCBとGKの守りで踏ん張り、さらには中盤から前線が少ない枚数でボールを巧みにキープ。そのまま試合終了となった。乱れ飛んだイエローカードの数は16枚。ポルトガルは勝ったのはいいのだが、次の試合はコスティーニャ、デコ、ロナウドを使えない。飛車角落ちで、あのイングランド・カテナチオを攻略できるのかどうか。オランダは悪い試合ではなかった。しかし、センターフォワードに入ったカイトがイマイチだったのと、ポルトガルに圧倒された中盤の構成力は改善の余地があるだろう。若いタレントが多いため、ピークは2年後、4年後でだろうか。悲観する内容ではない。


■picture of player デコ&ファン・ブロンクホルスト
「なぁ、なんで俺たちここにいるんだ?」「しらね。あのバカ(審判)に聞けよ。」「なぁ、俺たちもう終わっちゃったのかな?」「まだ始まってもいねぇよ…って、お前だけだよもう終わっちゃったのは。」「そうだな。ま、次がんばって。」「俺出れないけどな。」「あ、そうか。」「あ、終わった。」「うわ、バステン怒ってるよバステン。」「うわー、こえー。でけー。」「でも、おまえんとこの監督もたいがい妖怪だよな。」「このまえ背中にジッパー見つけた。」「あ、しおからとんぼ。」「うわ、まじで、どこどこ?」(階段に座りながら途方にくれる二人)




■イタリア1-0オーストラリア
■短評

恨み骨髄、対ヒディンク遺恨試合はイタリアに軍配が上がった。イタリアは調子の上がらないトッティをはずし、デル・ピエロをスタートから使ってくる、変則的な3トップの布陣。対するオーストラリアも、3トップ(のような)布陣。キューウェルが故障、エマートンが累積のため、面子はだいぶ落ちている。序盤から、オーストラリアは今までどおりのスタイル。グレッラをピルロにぴったりと張り付かせ、自由にさせない。そのため、イタリアはボールを支配するところまではいけないが、それでも地力にはだいぶ差があり、トニにボールが入ったところからのジラルディーノとのコンビネーション、ペロッタ、両SBの飛び出しなどでチャンスを多く作る。オーストラリアは相変わらずヴィドゥカにボールを入れようとするが、相手がカンナバーロということもあり、中々ボールが収まらず、攻撃にならない。これは点が入るのも時間の問題だと思われたが、オーストラリアGKシュウォーツァーの奮闘と、イタリアの決定力不足にも助けられ、スコアレスのまま後半へ。後半、リッピはジラルディーノに代えてイアクィンタを右サイドに投入。陣形もトニを頂点とした綺麗な3トップへと変更。前半同様押し込むが、ここでアクシデント。後半早々に、ブレッシアーノの突破を止めようとしたマテラッツィ大先生が退場。イタリアは10人になってしまう。これで形勢は逆転。オーストラリアは一気に攻勢をかけ、DFのオーバーラップなどから、さんざんイタリアを押し込む。しかし、10人になって自分たちのアイデンティティを思い出したのか、イタリアは強固に組織されたDFでこれを跳ね返す。元祖カテナチオ復活、守って守って守り倒せ。こういう展開ならばイタリアDFは強い。そのまま両チーム幾度かのチャンスを得るが、決めきれないままタイムアップかと思われた95分。おもむろに上がってきたグロッソがPA内で倒され、PK。途中投入されたトッティがこれを落ち着いて決め、そのまま試合終了。まさにイタリアのゲームと呼ぶにふさわしい試合だった。イタリアは、トッティを今後どうするかというのが問題。今日起用されたデル・ピエロはあまりよくなかった。ピルロ中心で前線にターゲットを増やしたいのなら、あの位置でカモラネージを使うのもありかと思う。ただ、無理をしなくても、トニ、ジラルディーノがいれば点は取れると思うのだが。オーストラリアは、あまりにも工夫がなさすぎた。キューウェルが欠けたことで、今まで以上に変化をつけることができず、選手投入も1人だけ。有利な状況では、ヒディンクも采配が切りにくいのだろうか?


■picture of player マルコ・マテラッツィ
やってくれました、マテラッツィ。いきなり出てきてマン・オブ・ザ・マッチとかとるから、「あれれ~?こんなマテラッツィみたことな~い。」と私を驚愕させたのですが、さすが締めるところは締めてくれます。味方を大ピンチに陥れるスーパータックル、多少判定は厳しいとは言え、これぞマテラッツィというべき職人仕事。そのあまりの仕事の切れ具合に、イタリア人は怒りを通り越してはやくネスタさん復帰してください。お願いします。