ワールドカップ短評 22 | picture of player

ワールドカップ短評 22

■フランス1-0ポルトガル
■短評

熟年キャプテン対決は、地獄の底からいろんな怨念を召還したジダンに軍配。フランスは前回と同じ布陣でジダンがフリーマンの位置、ポルトガルは出場停止明けのデコが真ん中に入り、コスティーニャがフィルターの位置に入り、両チームともベストと言える面子。試合は序盤からほぼ互角の展開。フランスはジダンのキープをベースにリズムを作り、ポルトガルはパス回しと脊髄反射ドリブラーのロナウドの突破力を武器に、お互いの強烈なプレスをかいくぐっていく。ペーストしては若干ポルトガルだったか。デコが戻ってきたことでパス回しに鋭さが戻り、ロナウドVSサニョルのマッチアップは完全にロナウドの勝ち。また対角ではフィーゴもアビダルを子ども扱いしながら再三中央に切り込んでくる。しかし、いくらサイドを突破しても中はもっさりパウレタただ一人。ギャラス&テュラムの「輝け!身体能力!」コンビの前にはなす術がなく、結局フィニッシュはマニシェ(もしくはロナウド)の大砲ずどーんの単発攻撃で点が入らない。こうなると雲行きが怪しくなってくるのはサッカーの常で、前半30分くらいに、カウンターからアンリがPA内でパスを受け、見事にリカルド・カルバーリョを出し抜いて、PKを獲得。これをジダンが落ち着いて決め、フランスが先制点を決める。これ以降はポルトガルがパス回して攻撃→フランスがカウンターというわかりやすい展開で前半が終わる。後半も基本的には変わらず、ポルトガルが攻め、フランスが守るという図式。ただ、疲れと焦りからか、徐々にポルトガルの攻めが単調になっていき、サイドに展開する前にヴィエラ&マケレレにボールをカットされる場面が目立ち始める。痺れを切らせたフェリポンはシモンを投入し、パウレタを下げ、ロナウドをトップに上げる。これははっきり言って悪手だった。おそらく、ロナウドのキープ力を最前線で生かそうと思ったのだろうが、結果的に優勢に立っていたサイドを捨てることになり、ロナウドにボールが入ったのは数えるほどだった。終盤にはポスティガを投入し、CBのメイラを上げてパワープレイに出るが、これも選択としてはどうだったのだろうか。元々空中戦に弱いポルトガルのプレイヤーが、フランスの「煌け!高さとパワー!」のCBコンビに競り勝つことは、ちょっと予想しづらい。案の定、作った決定機は1度だけで、自慢のパスワークを最後まで貫いたほうがよかったのではないだろうか。もちろん、結果論でしかないが。試合はそのまま終了して、1-0でフランスの勝ち。一体、どこのユヴェントスだという勝ち上がりっぷりだが、チームのリズムは最高。決勝は98年以来のイタリアとの対戦。お互いの守備組織がしっかりとしているため、一瞬のミスや閃きが勝負を分けることになるだろう。ポルトガルはここが限界だろうか。強固なディフェンスとパス回しは賞賛に値するが、最後まで点取り屋の不在が響いた。また、時間稼ぎをしたり痛くもないのに長いこと倒れていたり、過度なマリーシアが観客を逆撫でしていたことも事実。そんなものに頼らなくても強いのに、と思うのは私だけか。それとも、犬が雪見たら走り回らなきゃいられないような、上島竜平が熱湯を見たら入らなくてはいられないような、みのもんたが「許せない!」って連呼するような、そういうものがあるのか。何かDNAに刻み込まれているのか、類稀なる自己鍛錬の成果か。たぶん、根性が腐ってるだけだ。


■picture of player クロード・マケレレ
ヴィエラとともに張る中盤の警戒線は、今大会トップクラス。試合を通して落ちない運動量と、ファウルをせずにボールを奪取する技術は世界屈指。年をとっても衰えていない。ちっこくて顔がかわいい。時折見せる脱力するようなパスミスもますます萌える。お姉さんたち!これからはベッカムじゃなくてマケレレですよ!ただ、マケレレの追っかけギャルが出始めたら、それはそれでちょっとひく。