ワールドカップ短評 16
■イングランド1-0エクアドル
■短評
臆病と慎重の違いというものを、よく理解できた一戦。慎重というものは大胆さを隠した一時的な撤退だが、臆病とは永続的な敗北、あるいは単なる怠惰でしかない。イングランドは自分たちが強者であるにもかかわらず、あまりにも臆病すぎた。スタメンは予想通りのルーニー1トップで中盤のアンカーの位置にキャリックを置く布陣。ランパード、ジェラードの攻撃力を生かそうという考え方だが、これが全くうまくいかない。そもそも、ベッカムやDFからのロングボールが多すぎる。ルーニーは果敢に競っていたが、エスピノサとウルタードのマッチョな二人にはそう簡単に競り勝てず、ライン設定も極めて低いため、裏に飛び出すことはできない。このロングボール戦術をするのなら、クラウチでよかったんじゃ?ルーニーのところでボールが確保できないために、ジェラード、ランパードが効果的に押し上げることもできず、ぶっつけで約束事がないため、ボールを保持したときにも確率の低いミドルシュートやスルーパスを出すのみ。頼みのジョー・コールの突破も単発に終わり、サイドバックが攻撃に絡む頻度も低かった。要するに、攻撃は完全に停滞していたのだ。確かに守備は堅かったが、これだけのメンバーをそろえながら、プレミアリーグ下位程度のサッカーしか披露できないのでは、失望を通り越して失笑するしかないだろう。対するエクアドルは、自分たちの能力を把握した上で、臆病というよりも慎重な戦い方を展開した。守備に重心を置きながら、テノリオ、デルガドの一発に賭けた戦いは、論理的に導かれる最良の戦い方だったと思う。よく耐えていたが、結局はベッカムの飛び道具で計画を崩されてしまい、そこから反発する力は残っていなかった。欲を言えば終盤に蛮勇を発揮してほしかったが、そこまで求めるのは酷というものだろう。
■picture of player スヴェン・ゴラン・エリクソン
5年やってきて、これってやばくない?おそらくここ30年くらいで一番のタレントを集めながら、内容は結果重視のチキンサッカー。中盤を固定することも出来ず、いまだにベストがどれなのか、さっぱりわからない。この試合も場当たり的にキャリックを起用し、即興サッカーに終始。FWの手駒が少ないことは理解できるが、2人ベントやデフォーなど、いくらでも使えるやつはいたはず。勝ち上がるかもしれないが、どうでもいいや。
ワールドカップ短評 15
■ドイツ2‐0スウェーデン
■短評
ちょっと送れて観始めたら、既に2‐0だったので、「すわ、今大会から開催国にはこんな特典がつけられるのか」と色めきたったわけですが、当然ながらそんなことはなく、普通に点を取られた模様(当たり前)。得点シーンはダイジェストでしか見てないのだが、いずれもクローゼにスウェーデンのCBが引張られすぎて、そこをポドルスキーに叩き込まれたもの。なんともスウェーデンらしくない、と思ったのだが、そのうちにスウェーデンのルチッチが退場し、ほとんどゲームオーバーに。その後はいいようにパスを回され、クローゼにはいたるところで起点を作られた挙句に、バラックのミドル連発という展開。そしておまけのようにもらったPKをラーションが外してしまい、ジ・エンド。スウェーデンはルチッチの退場が原因というよりも、イブラヒモビッチがあまりにも不調でボールが前線で収まらず、自慢のサイド攻撃までボールが渡らなかった。その上、クローゼのスピードに全くついていくことができなければ敗退は必然といったところだろうか。裏をつけるFWがいれば、緩慢なドイツDFのことだから、得点のチャンスはあったのだろうが・・・。ドイツは開催国ならではの「幸運な」判定にも恵まれ、ベスト8。ノルマは果たした、というところだろうか。このチームは2年後のユーロがピークの気がする。パス回しも流動性があるし、クローゼという武器もある。守備のリスクマネージメントさえできれば、若いタレントが多いことだし、期待できると思う。次はアルゼンチンなので、そこはボーナスという感じ。あくまで2年後に。
■picture of player アンドレアス・イサンクション
2失点したとはいえ、スウェーデンが曲りなりにも「試合」を出来ていたのは彼のおかげ。長身でありながら反応が素早く、ミスらしいミスはほとんどなかった。特に中盤から終盤にかけての「バラックミドルシュート拷問」に耐えぬいたのは、お見事。大会前にミドルシュート食らって脳震盪起こしていたので、お笑い系GKだと思っていたが、お見逸れしやした。
■アルゼンチン2‐1メキシコ
■短評
南米の雄と中米の覇者の対決は、後者が良さを十分に引き出した好ゲーム。アルゼンチンはリケルメ経由のサッカー、メキシコはショートパス主体と、その前のヨーロッパ対決とはとても同じ競技だとは思えないほどスローな展開だったが、それでも勝負どころのゾーンに入った時のギアのあげ方は、さすがと思わせる内容。特筆すべきだったのは、メキシコの守備。アルゼンチンがギアを上げようとする前に数人で囲い込み、ボールを勝負ゾーンまで運ばせない。また、リケルメも明らかに不調だった。それでも決定的チャンスをいくつか作ってしまうのが、アルゼンチンの強さなのだが。ただ、メキシコもボールを奪ったところからはスローなつなぎに終始して、一発で裏へ抜けるというような戦術も人材もいないため、結局守備陣形の整ったアルゼンチンの関門を突破できず。ボルヘッティの高さとシーニャの個人妓で幾度か好機を作り出したが、最後はマキシ・ロドリゲスの「盆と正月」スーパーゴールで、沈没。ペースをつかめないながらも勝ってしまうのは、アルゼンチンの強さだろうか。テベス、メッシーを投入した時には、ペケルマン采配どうなのと思ったし、実際全く機能していなかったが、地力で押し切った。次のドイツも激しいプレッシャーをかけてくるところが予想されるため、この試合眠ってたリケルメさんの奮起が必要。メキシコは現時点のチーム力ではやりきったという感じだろうか。ボルヘッティの不調が痛かったが、これ以上は難しいだろうし、これ以下でもないだろう。好チームではあったが、勝ちきるほどのインパクトもタレントもいなかった。
■picture of player マキシ・ロドリゲス
ブエノスアイレスの悪がき、といった感じの風貌。その容姿を裏切ることなく、思い切りのいいプレーを連発。目の覚めるような決勝ゴールも、そのプレー決断力から。王様の不調を取り返すような、というか、そんな意識元々なさそうな、そんな威勢のよさが清々しい。ただ、顔は相当怖いので、こいつとテベスが金を要求してきたら、すぐに払ってしまいそうだ。それにソリンやアジャラまで加わった場合には、もう南米麻薬密売間違いなし。でもアイマールはかわいい。
日本代表
ブスなのはわかってるのに、お見合いに化粧なしのすっぴんで行き、「ブスだから無理」って断られたってことか。
で、「大丈夫だよすっぴんでも」って言ってた世話人に「やっぱりブスだからダメだよ、それじゃ。」って言われた、という。
そんで最終的に「化粧ってやっぱり大事だよね」って結論なんだけど、正直、あほか。
化粧どころか、みんな勝負下着まで着けて来てんだよ、見合いに。
ワールドカップ短評 14
■フランス2‐0トーゴ
■短評
どうしても突き抜けることのできないフランスと、グループリーグ敗退が決定し、合言葉は「のびのびサッカー」のトーゴ。フランスはジダンを出場停止で欠き、1トップの布陣からトレゼゲを投入して2トップに。対するトーゴは1トップ下にアデバヨールを配置し、自由に攻撃をさせる。フランスはこれがはまる。ジダンがいなくなったことで、ヴィエラが自由に動いてゲームメイク。浅香光代とサッチーばりに相性最悪と噂のトレゼゲ・アンリだったが、この試合ではそれなりにお互いを生かしていたように見えた。思うに、トレゼゲとアンリが相性悪かったのではなく、ジダンとアンリが相性悪かっただけなのでは。つまり、野球嫌いだと思ってたけど、違う俺は野球帽が嫌いだったんだ、みたいな。違うな。ともかく、この2トップに知的なウイングのマルーダと知性はかけらも感じないがとりあえず勢いは物凄いリベリーが絡み、逆にのびのびサッカーでチャンスを量産。先制点はすごくやりやすそうなヴィエラがオーバーラップから自分で叩き込む。2点目もヴィエラがアシストしたのを、アンリがさすがのシュート。その後はほとんど危なげなく試合を運び、決勝トーナメント進出を決めた。次戦、ジダンが戻ってくるわけだが、この試合の形のほうが、チームとしてはスピードがあり、狙いが明確になる。なにより、アンリ、ヴィエラという中心選手が心底やりやすそう。ドメネク監督の決断はどうなるか。まあ、ジダンと心中というのも、一つの選択ではある。それはそれでフランスらしいと思うし。ただ、たぶん負けるけど。トーゴはお疲れ様でした。次回までには監督をはっきりさせてください。
■picture of player ダビド・トレゼゲ
やっと登場のフランス代表のバーニー・ウィリアムズ(顔が)。インザーギと張るこそ泥ストライカーとして、抜群のポジショニングからチャンスを大量に得て、全部外した。すがすがしいまでのはずしっぷリだが、だめな日の彼はこんなもの。好調不調も関係なく、流れも雰囲気も全て無視して点をとるパンチ力は世界一、ゴール以外はほぼ何もしない、というワンチョペ先生タイプ。緊迫した試合でこそ是非使ってほしい。この人、眉毛すごいな。
ワールドカップ短評 13
■イタリア2‐0チェコ
■短評
引き分け以上で勝ちぬけのイタリアと、勝ち意外には道がないチェコ。イタリアはトニを外してガットゥーゾを入れ、ジラルディーノの下にトッティさんとカモラネージさんがサポートする形。対するチェコは復帰したバロシュをトップに据える布陣。序盤はチェコが前線から激しくプレスをかけ、イタリアも応酬するという形。イタリアは、トッティのコンディションはだいぶ戻ってきているようだったが、なにぶんカモラネージと組んで1トップ下というのがおそらく初めてのため、あまり攻撃が噛み合わない。対するチェコも中盤で奪うまではいいのだが、バロシュの抜け出しに工夫がなく、オフサイドに引っ掛かるばかりで、フィニッシュまでは持ち込めない。試合は膠着するかと思われたのだが、前半早々にイタリアのネスタが怪我で退場、イタリアに暗雲が立ち込める。だが、代わりに入ったマテラッツィがセットプレーから得点をあげるのだから、サッカーはわからない。リードしたイタリアは、ピルロを中心に余裕を持ってパス回しをし、余裕がありすぎて、トッティループシュート連発。それはチェフには通用しないって。チェコは攻勢に耐えながら、時折鋭いカウンターからネドヴェドがミドルを放っていたが、前半終了間際にアンカーの位置に入っていたポラークが退場してしまう。これでほぼ試合は決まり。後半もほとんどトップレスのような形になりながら、ネドヴェド、ロシツキを中心によく攻めたが、投入後から一人インザーギ劇場を開催していたピッポにとどめの点を決められ、ジ・エンド。イタリアが決勝トーナメント進出を決めた。イタリアは今後トッティをどういう形で使うのかが問題。調子はよくなってきてはいるが、運動量を補うために、カモラネージにサポートさせる形もありか。とにかく、ピルロ中心のチームなために、前線がどれだけ彼の演出に答えられるかで、一発勝負が決まってくるだろう。
■picture of player パベル・ネドヴェド
一人足りない状況の中で、ボランチ、オフェンシブハーフ、サイドハーフ、はてにはサイドバック、フォワードと様々に役割を変えながら、感動的なほどの運動量で貢献した。度々放ったミドルも鋭くコースをついていて、相手がブッフォンでなければ、点になっていただろう。これで彼のワールドカップは終わり。たった3試合だけの舞台だったが、ネドヴェドという名前は記憶に残っただろう。おそらく、ギグスもグジョンセンも一度も出ないまま現役を終えるのだろうから、それに比べれば彼はずっと幸せなのかもしれない。
■ブラジル4‐1日本
■短評
グループリーグ突破を決めたブラジルはメンバーを落として臨む一戦、対する日本は絶望的な上に2トップをやけっぱちで交代。前線から激しくプレスをかける日本にだが、組織だったものではないこともあり、ブラジルは格の違いを感じさせるパス回しから好機を量産。しかし、あまりに余裕を持ちすぎたせいか、緩慢な守備をするブラジルDFの間隙を突き、玉田が先制点をあげる。日本はこれで勢いに乗るかと思えたが、随所でミスが頻発し、流れに乗り切れない。そして、前半終了間際に単純なマークミスから悩めるデブに押し込まれ、振り出しに。後半は完全にブラジルのペース。体力的な問題からついていけなくなったところを、ジュニーニョがずどん。これで精神的な糸が切れたのか、あとはブラジルのパス回しショー。日本はメンタリティの面でも完全に崩壊、2点を追加され、ジ・エンド。ブラジルはこの試合でロナウドのコンディションが戻ったかどうかは判断が難しいところ。ロビーニョが切れまくっていたこともあり、2トップは再考が必要か。日本はよく頑張っていたが、今のやり方ではこれが限界だろうか。あまりにもラインが下がりすぎ、中田を中心とした中盤が運動量でギャップをカバーしていたが、それにも限界があった。世界で1対1で勝てないのなら、それを補う知恵(=戦術)が必要だと再認識させられた試合だったのではないだろうか。そして、それ以前に戦うという姿勢が中田を始めとする一部の選手からしか感じられなかったのは非常に残念だ。
■picture of player 川口能活
ほとんど罰ゲームかと思われるほどのシュートを浴び、コラーとかオーウェンの次くらいに不幸だったと思われる人。ただ本人はマゾキーパーということもあり、鬼のようなシュート数を浴びながら、ひるむこともなく、逆に薄ら笑いを浮かべる始末。今日はいなかったけど、もしロベカルやアドリアーノのシュートを受けていたら、絶頂に達していたのではないだろうか。まあ、それは冗談として、日本で一番働いた人です。お疲れ様でした。あなたのせいではないです。
ワールドカップ短評 12
■ドイツ3-0エクアドル
■短評
両チームとも既に決勝トーナメント進出を決めているが、負けると初っ端からイングランドとやらなければいうことで、ドイツはほぼフルメンバー。一方のエクアドルはメンバーを何人か落として、試合に臨む。そこらへんの意識の差が出たのか、試合は終始ドイツペース。高い位置で何度もボールを奪って、速攻を重ね、簡単にクローゼが先制点。エクアドルの守備はメンバーが代わったこともあり、ラインの裏を簡単に取られ、今までの堅陣がなんだったのか、という出来。前半終了間際にもクローゼに追加点、後半も変わらずにドイツペースで、最後はポドルスキーにずどん。終了。ドイツはエクアドルにパスは回されたものの、前線に迫力がなかったこともあり、ペナルティエリア内への進入はほとんど許さなかった。攻撃は山のようにあったチャンスを散々はずし倒していたが、まあこんなものか。1回戦、イングランドは避けることができたものの、相手はスウェーデン。それは正解だったのか否か。エクアドルはお休みと言う感じ。ただ、バラックのようにDFラインのすぐ前でキープできる選手がいると、プレッシングが効かず、自慢の強固な守備が崩される場面が頻発した。まあ、どのチームもそうなんだけど、あそこをどうケアするかで次の結果が変わってくるか。とりあえず、フルメンバーでイングランドとやりあうのが楽しみ。
■picture of player ミロスラフ・クローゼ
帰ってきた宙返り男。この試合で今大会初の宙返りを披露。相変わらずの変な走り方と滞空時間の異常に長いヘッドは健在で、2得点はまさにストライカーらしい得点。ただ、この人の髪型はいかがなものか。どう考えても銀行員、もしくは千葉県流山市役所あたりで、窓口業務に携わっていそうな感じだ。ノイヴィルもそうだが、童顔にオールバック気味ってのはなんだかなあ。それはともかくとして、弱小相手に固め取りしてますが、強豪相手にどれだけやれるか。ポドルスキーがたいしたことないため、彼への負担は自然と大きくなる。
ワールドカップ短評 11
■スペイン3‐1チュニジア
■短評
前の試合と同じ布陣で臨んだスペイン、対するチュニジアはジャジリを1トップに置く守備的なシステム。チュニジアは最終ラインが低く、また前線が積極的にプレスをかける、よく組織された守備。スペインは持ち前のテクニックでそれをかわしていくが、ペナルティエリアの中には易々と侵入できない、スペインのお家芸とでもいう展開。あー、こりゃ危ないな、と思っていたら、案の定、セットプレーからチュニジアに先制点を許す。これで気負ったか、若い前線は気ばかりがはやり、最後のフィニッシュで精度を欠き、そのまま前半が終了。あまりの状態にアラゴネスはぷっつん、後半開始からラウールとセスクを投入。ただし、それでもチュニジアの守備意識は高く、トーレス、ビジャ、ラウルのアタックは封じられ、ペナルティエリアをボールが右往左往。さらに血管が切れたアラゴネスは痙攣気味にホアキンを投入。これでもあまり状況は好転しなかったが、ホアキンの突破からのパスを受けたセスクのミドルシュートのこぼれ球を、ラウールが押し込み、意外な形でスペインが追いつく。チュニジアの守備陣はよく守っていたが、ここはラウールの全盛期を思わせる素早い反応を誉めるべきか。ここで集中力が切れ、中途半端に前に出てきたチュニジアのラインの裏をトーレス、ホアキンが再三突く展開。地力では全く勝負にならないため、決勝点、そしてダメ押し点は必然といえるのではないだろうか。スペインはノックアウトラウンド進出が決定。内容は誉められるような代物ではなかったが、ともかくも泥臭く勝ち点を拾った試合を評価すべき。ここからが本当の戦い。チュニジアは先制点まではよかったが、あまりにも引きすぎた。自分たちをイタリアやスウェーデンだとでも思ったのだろうか。ただ、やっている戦術は悪くないので、ウクライナとの戦いは戦争になるだろう。
■picture of player ルイス・アラゴネス
スペインベンチに座る、喜怒哀楽の激しいじじい。いかにも裏のない表情と簡単に激昂する瞬間湯沸し器状態は、見ていて飽きさせない。あまりにスペイン的な監督とも言えるが、じじいな分誰も責められそうにない感じ。そりゃ、今、加茂さんが監督やってたら責められないもの。戦術的な引出しは正直少ないだろうが、その分思い切った交代のカードをぽんぽんと切ってくる。その勝負師的な気質が一発勝負では大事になってくるだろう。果たして、吉と出るか凶と出るか。俺は脳卒中で病院送りに1000ブアジジ。
ワールドカップ短評 10
■ポルトガル2‐0イラン
■短評
攻守において、ポルトガルが1枚も2枚も上手だと言える試合だった。デコが復帰し、ポルトガルは中盤でのパス回しに持ち前の流動性が戻ってくる。乱暴に言えば、細かいパス→サイドチェンジ→ウイングの突破という展開しかないポルトガルだが、この日はそのキープ力をベースに、マニシェや両サイドバックがどんどんとオーバーラップし、どんどんと決定機に絡んでくる。先制点、さらにはPKによる追加点をあげ、危なげない試合運び。大人の試合です。対するイランもよく戦ってはいたが、これが限界か。個人能力では間違いなくアジア最強だったイランだが、いかんせん組織らしい組織は存在せず、マハダビキアやカリミなどのスペシャルなタレントも怪我上がりときては、打つ手なし。幾度かの決定機を全盛期のダエイだったら決めていただろうか、と思ったが、彼のだぶついた肉体を見ると、もうそれは無理なんだと少し悲しくなった。
■picture of player クリスチャーノ・ロナウド
ポルトガル製の奇術製造マシーン。仕様として、ボールを持ったら必ず勝負ということになっているため、とにかくドリブルで突破を図ろうとする。基本的にはオランダ製ロッベンF2型改と同性能だと考えて差し支えないが、異なるのはその手数と照準の悪さ。ロッベンが2回のまたぎで抜く所を、ロナウドは7回またいでヒールで抜く。効率悪すぎ。お前は公務員か。とにかく突破性能は高いため、とりあえずなんとかなっているが、そもそもゴールを目指しているのかどうかさえ定かではない。とにかく目立つというのがファーストアイデンティティのため、今日も散々こねまわした挙句に、フィーゴの獲得したPKを奪ってご満悦。なんなんだ貴様は。
■イタリア1‐1アメリカ
■短評
今大会一番の大荒れとなった試合。序盤は、後のないアメリカが前線から激しいプレッシングをかけ、イタリアがのらりくらりとかわす展開。ぱっと見にはアメリカのペースに見えるが、実はこれはイタリアの展開。案の定、一瞬の隙からジラルディーノがヘディングで叩き込み、バイオリンパフォーマンス。これで完全なイタリアの試合、と思いきや、右サイドバックのザッカルドが、今大会屈指の芸術的サイクロンオウンゴール。お前は柳沢か。ここから試合は徐々に壊れ始め、ラフなプレーが増える展開となり、元々センシティブな思春期審判を更に刺激。その犠牲者となったイタリアのデ・ロッシ、アメリカのマストロヤーニ、ポープが退場となり、試合は一気に彼岸の世界へ。数的有利な状況で攻め倒したイタリアも決めきれず、おまけに交代枠使い切った後にペロッタが負傷して実質9人になる。そのぐだぐだな状態のまま試合は終了。イタリアは完全にゲームプランが狂った試合をよく拾ったと言う感じで、アメリカもそのまま同じことが言える。おそらくイタリアのトーナメント出場は固いと思うが、気になるのはトッティの体調が戻っていないのと、その代役となるべきデル・ピエロのあからさまな不調。今後このポジションをどうするかで、トーナメントの順位がだいぶ変わってくるだろう。アメリカは不条理な判定にも良く耐えて、なんとか勝ち点1をもぎ取ることに成功。最終戦まで可能性を残した。数的不利な状況の中で守りきり、それどころかカウンターで決定機をつかんでいたその組織力はやはり素晴らしい。トップのマクブライドに全くボールが保持できないのが気になるが、最終戦は気合の問題でしょう。アリーナ監督はだらけている場合じゃない。
■picture of player ダニエレ・デ・ロッシ
同点に追いつかれた後、本人を含めて誰にもわからないタイミングで、NOAHの三沢光晴を思わせる豪快なスピニングエルボーでマクブライドを一発KO。もちろん退場。試合をぶち壊した上に、リッピ監督から「後悔し倒せ、若僧が」と見捨てられる始末。調子は悪くなかっただけに、もったいない。今後は福西かロイ・キーン、もしくはデニス・ワイズから絶対ばれない肘打ちの仕方を習うべき。もしくは、本格的にNOAHに入団し、三沢社長直伝のエルボーを習得し、何代目かのタイガーマスクとなって、小橋にラリアット食らったらいいと思う。あほ。
■日本0‐0クロアチア
■短評
追い詰められた日本は4‐4‐2に布陣を変え、対するクロアチアは前のブラジル戦と同様の3‐5‐2で同じメンバー。日本は開始当初から積極的にプレッシングをかけるが、クロアチアも落ち着いたパス回しで対抗。試合はわずかにクロアチアペースと言えるかも知れないが、ほとんど膠着状態。そんな状況の中、日本のDFリーダーの宮本が不用意な守備からPKを与えてしまう。川口に鬼神が降りてきたために、なんとかこのPKを止めるが、これを機に試合は更に膠着状態に。両チームとも用心深くラインを深くしたことで組み立てもくそもなくなり、両チームとも決定機を決めきれず。どちらも勝てたが、結局どちらも得をしないドローは論理的に必然か。日本はこれで最低でもブラジルに2点差以上で勝つという絶望的ミッションを課されたために、ほぼグループリーグでさよなら。お疲れ様でした。日本のテレビ放映時間に合わせるために、2戦とも昼の酷暑の中でのキックオフとなったが、それを差し引いたとしても、これが協会、監督、プレーヤーを含めた日本サッカーの現状なのだと言わざるを得ない。クロアチアは決定機の数では日本を大きく上回ったが、両サイドからのクロスしか攻め手がない感じ。トップ下のクラニツァールに運動量がなく、センターハーフも展開力に欠けるため、一本調子な攻撃にならざるを得ず、このままではヒディンク・サッカルーのいい餌食か。
■picture of player 中田英寿
名実ともに日本のリーダーは、この日も奮戦。驚異的な運動量で中盤を支え、判定負けの試合をドローに持ち込んだ。どちらかと言えばファンタジスタ寄りだった昔の面影はなく、今はすっかり戦うMFに変貌を遂げた。現在の海外組みの先駆けとなった存在だが、ヨーロッパの「戦う」という概念を最も理解しているのはこの中田なのではないだろうか。お世辞にも守備はうまくない。テクニックもないし、足も速くない、体も小さい。しかし、頭脳と判断力、そしてメンタリティが「戦う」という状況でどれくらい大事かということをこの大会で体現し続けている。おそらく最後になってしまう彼のワールドカップがこんな形で終わってしまう・・・とは口が裂けても中田自身には言えない。彼自身は本気でブラジルに勝つことを考えている。無謀かもしれないが、何かを成し遂げる人間と言うのはそういうものだ。
ワールドカップ短評 9
■アルゼンチン6-0セルビア・モンテネグロ
■短評
アルゼンチンのすさまじい破壊力が浮き彫りになった試合。と言っても、試合開始当初からごりごりに攻めまくったわけではなく、序盤はセルビア・モンテネグロがテンポを高くしてプレッシングをし、点を取りに来る内容。しかし、アルゼンチンは落ち着いた守備とボール回しで試合を一旦収め、そこから一瞬の隙を突いて先制点を取った。そこからは完全なアルゼンチンペース。マスチェラーノ、リケルメを中心にボールをゆっくりと回し、いざという時に急にトップギアに上げて点を取るという理想の展開。そのギアの上げ方も実に自然。チーム内に「ギアを入れるタイミング」「ギアを落とすタイミング」が共通理解としてある。これはもう監督の戦術というレベルではなく、個人戦術とか肌感覚に近いものだろう。その連動性の高さに、強豪国であり続けたアルゼンチンの本当の強さを見た気がした。それと、一体いつになったら追いつけるのか、と。セルビア・モンテネグロは残念ながら終戦。1戦目で堅固な守備をロッベン一人に破られたことで、この試合攻めざるを得ず、完全にプランを狂わされてしまった。ただ、失点したことはしょうがないが、その後に気持ちが切れてしまったことは残念だった。切れたときの崩壊っぷりのみ、旧ユーゴを思い出させる、というのはなんとも寂しい。もうトーナメントへの夢は絶たれたが、最終戦では彼らのイナット(矜持)を見せて欲しいものだ。
■picture of player リオネル・メッシ
ついに登場、全世界若手期待株ナンバー1。わずか15分ほどの出場ですが、1得点1アシスト、キレのあるドリブルと、初登場としては十分な衝撃を与える内容。そんなら最初っから出せばいいじゃん、と思うだろうが、これはこれでいい焦らしになっている。正体不明の、とんでもない才能を持った、18歳。なんと魅惑的なキャッチフレーズ。そう、これはまさにショウビズ界における新人の売り出し方と一緒。これから徐々に露出を増やしていき、粗が出そうになると引っ込める。露出はしているがあくまでベールに包まれている、それが伝説を生むのだ。うっかり大黒摩季のように露出を増やすと、ひどくがっかりさせることは間違いない。ということで、ペケルマンプロデューサーの元、次回は「スーパースターだからトイレ行かない」という路線で売りに出してください。誰に頼んでいるんだ、俺は。
ワールドカップ短評 8
■エクアドル3-0コスタリカ
■短評
エクアドルの完勝と言うべきだろう。序盤はコスタリカがやけっぱちでプレスをかけ、何度か好機の切れ端くらいのものは作ったのだが、地力で勝るエクアドルが徐々にボールキープから試合を落ち着かせる。エクアドルの攻撃は、少ないタッチのショートパスを繰り返し、人が集まってきたらサイドチェンジ→メンデス、バレンシアの突破力で勝負、そしてFWの高い身体能力を生かしたフィニッシュ、という一連の流れが洗練されており、困ったときでも形が作れるのが強み。また、守備でもウルタード、エスピノサを中心としたラインが破綻を見せることはなく、かなり固く、中盤の守備意識も低くないので、崩すのは容易ではない。まさかワールドカップ本戦でエクアドルの完勝を見ることができるとは思わなかったが、攻守に穴らしい穴もなく、これは強い。ドイツもうかうかしていられないだろう。コスタリカのほうは、ドイツ戦よりはパスが回っていた。周りの運動量も多かったが、いかんせんフィニッシュの手前でミスをすることが多く、点には結びつかず。頼みのワンチョペ先生も今回は寝ているだけでした。後は観光を楽しんでください。もし顔出すのが恥ずかしかったら、カビエデスのマスクでも借りて。
■picture of player イバン・カビエデス
ナカータとペルージャでやっていた頃から、なんだこのいい加減な奴は、と思っていたが、いまだに健在であることを確認。フィジカルと組織重視の現チームでは居場所という居場所もなく、10番背負ってるくせにスーパーサブという、2002年ゴン中山状態。ただ、他の選手がきっちりと戦術を遂行する中で、ちんたらやっときながら、おいしいところで点を取っていくというのはいかにも南米スタイル。気まずい雰囲気のところには顔を出さない、まじりっけなしの南米100%ストライカー(濃縮果汁)。これは絶滅危惧種で、代表格はブラジルのロナウドです。でも、こういうのがガッチガチの真剣勝負で点とったりするから、サッカーはおもしろい。
■イングランド2-0トリニダード・トバゴ
■短評
イングランドがもっさりとしながらも、地力で押し切ったという試合。キックオフ直後からイングランドは圧倒的にボールを支配、しかし、ゴール前に人数をかけるトリニダード・トバゴの前に決定機を作り出すことができない。パスはよくつながるのだが、中盤のダイナミズムに欠け、ジョー・コールの突破も不発。前の試合に引き続いてのミドルシュート祭。後半も続いてもっさりとした展開にエリクソンがぶち切れて、アーロン・レノンとルーニーを投入。3-4-3(あるいは2-4-1-3)に近い形にしてくる。ルーニーは明らかにキレ不足。しかし、トッテナムの暴走列車レノンが右サイドから再三突破を仕掛け、トリニダード・トバゴはそれに振り回されるようになる。このレノンの突破自体は決定機に結びつかなかったが、その波及効果として、その後ろに位置するベッカムが比較的フリーな形でアーリークロスをあげられるようになり、それが決勝点へとつながる。最後はクラウチへの「ポートボール」でジ・エンド。試合終盤にジェラードのミドルでとどめ。試合には勝ったが、それでいいのかイングランド、という出来。内容がよくなくても試合を決められる強さがこのチームには足りなかったことは確かだが…。トリニダード・トバゴは健闘していたが、これが限界か。前線に人数をかけられないため、攻撃は単発になりがち。ただ、この試合でも決定機はいくつか作っていたため、ゴールはそれほど遠くない。まだ予選突破の可能性があるし、何よりもゴールを決めて欲しい。
■picture of player ウェイン・ルーニー
酸素御殿から帰還した、王子と呼ぶにはフケ顔のイングランドのオフェンスリーダー。この試合では、イングランドの出来に合わせるように、もっさりとした感じ。空気読むとかそういうタイプからは一番遠いはずなのだが。まだ60%も力を出せてない感じ。コンディション悪そう(当たり前だけど)。グループリーグもう1試合でしっかりと調整し、トーナメントから爆発して欲しい。もし調子が戻らない場合は、もう一人のオーウェンもしおしおなため、クラウチにすべてを託さなければならないという、姉歯物件並の不安な攻撃陣に。早く治って。