ヤシカ ハーフ 14です。

 

 

分解の続きです。

 

 

後玉を外します。

ですが、後玉の周囲にモルトが貼り付けられていたためそのモルトが無水分解した際に金属を腐食させてしまったためにガッチリと固着してしまい一筋縄では緩みません。

一応、昨夜の作業終了後に浸透防錆剤のCRC3-36を大量に噴霧しておいたのですがビクともしません。

 

 

カニ目スパナの爪がより深く後玉に掛かるようにレンズを一枚外します。

それでもカニ目スパナが掛かる部分の肉厚が薄いため一歩間違えると後玉が破損します。

 

 

そして前板を万力(バイス)に挟み込み通常使用しているカニ目スパナよりも頑丈なカニ目スパナを使って頭のこめかみの血管が浮き出るつもりで力を込めるとなんとか無事に緩みました。

緩んでくれてホッとしました。

 

 

まだまだ更なる苦難が待ち受けています。

前板とシャッターユニットを接合しているナット(矢印)を緩めなければならないのですがコイツがメチャクチャ硬いんです。

ココがこのカメラの作業の天王山です。

このナットが緩めばこのカメラの分解・修理の約6割が終わったようなものです。

 

 

手に力をかけ過ぎてカニ目スパナの端が手のひらに食込んで痛いので軍手をして

渾身の力をかけて必死に緩めたら何とか回ってくれました!

これはもう修理とかいうレベルではなくレストアです。

過去にこのナットの緩めるのに失敗して二台分の前板を破壊してしまいました。

ネットで調べてもこのナットの固さについては書かれていないので、他の方はどのように工夫しているのでしょうか。

もっともヤシカ ハーフ 14をここまで分解・組立をした記事を殆ど見ませんが。

とにかく掌が痛くてたまりません。

 

 

ネジが緩んだら取り外す前に矢印のEE連携レバーを先に外します。

 

 

この固かったナットの上にモルトが貼ってあったようです。

こんな所にモルトを貼る意味が解りません。

 

 

前板と分離するとシャッターユニットの裏側はこの様になっています。

 

 

二枚のリングが入っています。

 

 
ハーフ 14がハーフ 17と最も違う部分がここです。
ハーフ 14はナンと絞り羽根を持っています。
動画の様に絞り羽根が開くとシャッター羽根が見えます。
動画はフィルム室側から見ているのでシャッター羽根の後ろに絞り羽根があることになります。
この絞り羽根はマニュアル時のみ動作(開閉)します。AUTO時は開放となります。
 
 
絞り羽根とシャッター羽根にベンジンを流し込んでみましたがどうにも動きがスムーズになりません。
シャッターユニットから各羽根を取り出して洗浄します。
シャッターユニットについている矢印のシャッターレバーを取り外してから銀色の三本のネジを緩めます。
 
 
各羽根の位置が判るようにバラバラにならないように慎重に外したらカバーの方にこんな部品が付いていました。
歯車部の位置関係が判らなくなってしまったので後ほどもう一台を分解して確認します。
 
 
こちらは絞り羽根です。
油分がまだ残っていますね。
 
 
 
次はシャッター羽根になりますが
 
 
形状が全く同じと思われるプレートがもう一枚出てきたので片方に着色して取付順序が判るようにしておきます。
 
 
シャッター羽根には小さな羽根が付いていますね。
それと矢印の位置に小さなスプリングがある事を覚えておいてください。
 
 
こんな極小のワッシャーのような羽根?がありました。
 
 
絞りとシャッターに分けてベンジンに漬け込んで洗浄しま。
 
 
さぁ、それでは組み上げていきます。
まずはシャッター羽根から。
 
 
仕切りのプレートを取り付けて
 
 
絞り羽根を都市付けます。
矢印の位置にあった小さなスプリングの爪を両方の絞り羽根に掛けます。
 
 
 
ネジの穴の位置にスペーサーとなるシムワッシャーを乗せてから蓋となるプレートを乗せて三本のネジで締め付けます。
先程確認用に着床した部分をシンナーで拭き取ります。
 
 
 
バックプレートを取り付けてからシャッターレバーを取り付けます。
サラッと書いてしまいましたが、各部の位置合わせ等のセッティングがかなり難しいです。
 
ようやく完成しました。
シャッター羽根の分解・洗浄・組立は神経を集中させないといけないのでとても疲れます。
羽根を分解して洗浄したおかげでとてもスムースに開閉動作をするようにはなったのですが、巻上げレバーでシャッターチャージしてシャッターを切ってみるとシャッター羽根は開きません。
この時点でシャッター羽根が開かないという事では残念ながら復活できる可能性がかなり高まりました…。
本日はここまでです。

 

 

 

 

 

 

ヤシカのハーフ 14 です。

 

 

先日ハーフ 17の紹介をしたわけですから今回はその上位機種でとなるハーフ 14の登場となります。

ハーフサイズカメラの中でF1.4という明るさのレンズを持つのはこのカメラが唯一です。

でもハーフサイズカメラで更にゾーンフォーカス式でF1.4の明るさが必要なんでしょうか?

微妙な感じがします。

 

 

右はハーフ 17です。

こちらのレンズもかなり大きかったですが

ハーフ 14はさらに大きいです。

レンズが大きすぎでボディとの対比がアンバランスな感じがします。

 

 

実はヤシカには35mmサイズのレンジファインダーカメラにもF1.4の明るさのレンズを持つLunx 14というカメラもあります。こちらもレンズ(目玉)が特大です。

なので私は右のLynx 14を『目玉の親分』

左のハーフ 14を『目玉小僧』

と呼んでいます。

 

 

『憎まれっ子世に憚る』転じて『手間がかかる子ほど可愛い』とでも表現すればよいのでしょうか、とにかく分解・修理にとてつもない手間のかかるカメラです。

一通り手を加えてもキチンと動作する可能性はかなり低いです。

ですので今回はこの二台を使ってどちらか一台が復活してくれれば良いと思っています。

現状二台ともまともに動きません。シャッターが動かない、巻上げダイアルが止まらないといった定番の症状が出ています。

今回は相当てこずることが必至なので分解編修理編共に相当長くなると思います。

最悪復活できないという結果さえあります。

 

 

かなりの部品がハーフ 17と共通なので軍艦や底蓋などの外皮の取り外し方は割愛します。

が……。

軍艦を外したら両方ともファインダー内の露出計の指針がない!

右の前板が外れている方は過去に自分で分解した記憶がありますが左は分解した記憶がないのですがどうして針が紛失してるんだ?

 

 

仕方がないので控えのもう二台を更に参加させます。

計四台で二台の完成を目指します。

既にカオス状態です。

まずは矢印の個体から手を付けます。

 

 

まずは無限遠を確認してみようと思ったのですがシャッター羽根が開きませんから無理ですね。

ということで電池室の確認です。

ハーフ 14はセレン電池ではなく水銀電池を電源にしています。

そして殆どの個体はこの様に腐食していて電線が破断しています。

 

 

驚いたことにこの個体は電線がまだ活きていました!

ハンダの状態も良好です。

でも電池室は取り外します。

 

 

ハーフ 14には当時MR9(H-D)という水銀電池が使われていました。

現在は同型のアルカリ電池625がAmazonから入手できます。

変換アダプターを使ってSR/LR44を使う方法もありますが、電力の消費の関係があるので容量は成るべく大きい電池を使う方がよいです。

また水銀電池は1,35Vでアルカリ電池は1.55Vと電圧が違うので露出に影響するのではないかと思われますが私の今までテスト撮影の結果を見ていただければわかるかと思いますが全く影響はありません。

私の個人的な考えでは露出計本体や配線や接点といった部分が経年劣化で抵抗が増加してしまい電圧降下を起こしているからではないかと思っています。

 

 

露出計の『眼』にあたるcds素子の配線を外します。

後でcds素子を『新品』に交換します。

 

 

前玉を外します。

エライ固まっていました。

ゴムでは外せないので破壊を覚悟でプライヤーで強制的に回そうかと思いました。

前玉が外れたら金色の菊ナットを外します。

 

 

すると鏡胴と絞りリングが外れてシャッターユニットが見えてきます。

矢印の所に微小な部品が入っています。

 

 

微小なピンとスプリングです。

これは絞りリングが定位置でカチッ!と止まるようにクリック感を出す部品です。

紛失しないようにピルケースに収納しておきます。

それから前板を外すために革を剥がします。

 

 

革を剥がすのにファインダーが邪魔なので先にコッチを外します。

 

 

革を剝がすと四本のネジが出てきますので外します。

 

 

革用の接着剤でボディに強硬に貼り付いていましたが外れました。

 

 

このシャッターユニットはハーフ 17やコニカ アイ3と同じフライホイール式なんですが矢印の部分に注目してください。

シャッター羽根を開閉するためのエネルギーを生み出すフライホイールが他に較べ異常に小さくて薄いんです。

つまり軽いんです。

 

 

こちらはハーフ17

フライホイールはハーフ 14の倍近くの質量がありそうです。

 

 

こちらはコニカ アイ3

やはり大きいフライホイールを持っています。

 

 

ハーフ 14はF1.4という驚異的な明るさの大口径レンズを搭載したためシャッター羽根の開閉のための往復の移動距離が増えてしまいました。

その分角加速度を速くすることでトップスピードを上げて最大となる1/800秒に対応しなければなりません。

そのためにフライホイールを他より小型・軽量にしたのでしょう。

が...しかし、高速化した反面小型・軽量したことで慣性力=トルク(回転力)が大幅に落ちたのだと思います。

この結果チョットでもシャッター羽根が粘ってしまったり、経年による油分の劣化や汚れ、摩耗などで抵抗が増したりすると回転力が足らなくなり、すぐにシャッター羽根を押し出す力が足りなくなってしまいシャッター羽根が開かなくなってしまうのです。

私は今まで10台近くのハーフ 14を入手しましたがまともにシャッター羽根が開閉できた個体は1台もありませんでした。

もしキチンと動く個体に出会えたらそれはとてもラッキー&ハッピーな事でしょう。

また、ほんの少しだけしか開かないのにカシャ!なんて音がするものだからシャッターは正常だと勘違いされてしまうのです。

嫌らしい事です。

ヤシカも「カメラ界随一」という冠が欲しかったのでしょうがこれはやり過ぎだったのではないでしょうか。

コニカはこの辺を見越してF1.6というなんとも微妙な数値に抑えたのではないかと思います。

 

でも…。

車やバイクや時計なんかでもそうなんですがこういった「一歩間違えてたら」という感じのキワモノ達には不思議な魅力があるんですよねぇ。

このカメラに魅入られると深い深いドロ沼に足を踏み入れてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

コニカのアイ3です。

 

 

この個体は前回の突然動作不良になり再分解した個体とは別の個体です。

こちらは無限遠の調整を行っていなかったのでまずは確認してみます。

 

 

無限遠の調整には測定の基準となるピントグラスが必要になります。

乳白色(半透明)のアクリル板に格子状に細かくカッターで傷を付けてその傷に墨入れをした自作品です。

 

 

そのピントグラスをフイルム室に往生テープで固定します。

ピントグラス全体をテープで覆います。こうすると緑色になって見やすくなります。

 

 

被検体を三脚にセットします。

 

 

こんな風に緑になって黒い格子がとても見やすいです。

スマホのオートフォーカスで撮影しているので無限遠が合っているように見えますが違いますから。

 

 

デジカメを三脚にセットします。

 

 

光学ズームを最大にします。

そして軸線を可能な限り合わせます。

 

 

そしてマニュアルフォーカスにセットします。

すると液晶画面に無限遠のピント加減を見ることができます。

見た感じ合っているようですが撮影します。

 

 

撮れた画像がこちらです。

若干ボケてますね。

 

 

銘板リングを外します。

cds素子の配線が短いのでハンダで外します。

このカメラの作業で一番やりにくいのがコレです。

 

 

鏡胴を外します。

 

 

フォーカスリングを外します。

が、その前に現在の無限遠を示す『合わせマーク』をケガキ針で書いておきます。

 

 

 

矢印のネジの左側に二本の線が見えるはずです。これが『合わせマーク』です。

そしてこのネジが前玉とフォーカス用のヘリコイドを連結させていますのでこのネジを緩めます。

逆ネジなので注意!

そうすると前玉とヘリコイドの連結が外れ前玉がフリーになります。

 

 

このようにデジカメの液晶画面を見ながら前玉を右または左に回してピントを合わせます。

ピントが合った場所で念のため撮影してデジカメに取り込みます。

 

 

これがデジカメの画像です。

調整前よりも格子がよりシャープに写るようになりました。

 

 

『合わせマーク』の位置が動いているのが判りますでしょうか?

以前より上の方(右回転)にズレました。

 

 

逆ネジを締め付けてみたらわかりやすいですかね。

 

 

なお調整前に念のために付けた『合わせマーク』は残しておくと次回に分解した人が勘違いしてしまうかもしれないので黒マジックを塗って決してから新たにケガキ張りで『合わせマーク』を付けておきました。

 

 

ネジの緩み止めに接着剤を使ってしまったので本日はここまでです。

 

けっこう無限遠てズレているものなんですね。

と言うか…。

以下はあくまで個人的な推測なんですが、

メーカーは出荷時にそこまで神経質に調整していなかったのではないでしょうか。

そもそもがゾーンフォーカスですから撮影者は精密なピント調整をできませんし

この手のハーフサイズカメラで無限遠を使って遠景を撮影する機会は少ないと思います。

安く手軽に撮れるのがハーフサイズカメラの良さなのではないしょうか

ですから無限遠の調整を厳格にするよりも多少甘くして生産性を上げてコストダウン化して販売価格を少しでも下げた方が購入者には喜ばれたのではないでしょうか。

それに、もし当時の工場の工員さん各員に無限遠の調整のためにコリメーターを用意したとしたらとんでもない金額が掛かったのではないかと思われます。

 

さて、次回はヤシカ ハーフ 17の上位機種を分解してみたいと思います。

気が重いですが⤵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤシカのエレクトロ35CCNです。

 

 

遂に私のブログを読んでくださった方から初めてのコメントをいただきました!

とても嬉しいです。

正確にはコメントではなくお問合せだったのですが内容は

「ヤシカエレクトロ35CCNのピント調整用の二重画像の上下のズレを修正する方法が知りたい」というものでした。

家族との思い出がいっぱい詰まったとても大切なカメラだとのことです。

そういう事であれば是非ともお助け・お手伝いしたくなります。

それと過去にエレクトロ35のピント合わせ用のミラーが接着剤の劣化でポロリと剥がれ落ちてしまったので再接着したら二重画像が上下左右でズレてしまったのを調整したことがあるので(相当苦労しました)私ならできるだろうと思います。

それに丁度同じように二重画像が上下にズレたジャンクのCCNが手元にあるのでこの個体を分解しながら作業を進めていきたいと思います。

文章だけで説明するのはとてもむずかしいので

まず私が実際に作業してみて逐一画像に撮りそれを添えながら説明していきます。

そうすれば質問者様もご自身で作業できるかもしれません。

 

 

軍艦を外すために巻き上げレバーと巻き戻しレバーを外します。

念のために電池の蓋は外しておきます。

 

 

バッテリーチェックのボタンを止めている極小のリングネジをケア機コンパスを使って外す必要はありませんでした。

後と左右にある三本のネジを外すだけで軍艦は取れます。

しかし…。

ヤシカ エレクトロ35シリーズのブラックボディはこのように塗装が剥がれてしまっているのが多いんですねぇ。

しかも剥がれ落ちているというより溶けているという感じなんです。

どうにも塗装の品質が....。

 

 

ファインダー上部左側にある銀色のプレートを外します。

接着されているだけなのでペリッとはがれます。

(作業が完了してからこのプレートは取り外さなくても作業ができることが判明しました)

 

 

過去のエレクトロ35の時は矢印のミラーが何もしていないのにポロリと土台から剥がれ落ちてしまったんです。

突発事故のようなもんだから元の状態なんて気に留めていませんでしたから記録なんかしてありません!再接着はできても絶対元の状態と完全に同じ状態になんか戻せません。案の定ピント調整の二重画像がズレまくりました。

でもこのカメラCCNのミラーはフォーカスリング連動していませんねぇ。

どうやら過去に分解・修理したのはCCNではなくエレクトロ35GSだったようです。

 

 

大抵の場合、二重画像のアジャスト(調整)用のネジがありまして左右用と上下用の2つがファインダー内かその直近又はフィルム室上部にあるはずです。

赤色←の十字に切られたネジが左右のアジャスト用のネジであることは一発で判りました。

じゃぁ上下のアジャスト用ネジはどこに?ということで黄色←や水色←のネジをいじってみたのですが全く変化しません。

最初は黄色←のネジのどちらかが上下アジャスト用だろうと思ったったすがミラーがフォーカスリングに連動していないことが判明しこの二本はただのミラー固定用だと判明。

水色矢印は明らかにフォーカスリングと連携するリンクに繋がっていると思われます。だとすると左右のアジャストは出来ても上下のアジャストは出来ないはず。更に緩み止めの接着剤が塗布されていました。このことから水色矢印のネジは絶対に触れない方がよいです。

また黄色←のネジも絶対緩めない方がいいです。緩めるとファインダーの黄色いフレームがズレて二重画像が中心に来なくなります。

 

ここまで調べた結果です。このカメラCCNには二重画像の上下のアジャスト機構はありません。

 

質問者様が上下のズレの修正方法を色々と調べたのだけど情報が入手できなかったと書かれていましたが「アジャスト機構が無いのなら」情報があるはずないですよね。

おそらくCCNのピント調整機構は上下のズレはピント調整と関係ないのではないでしょうか。

当時の生産ラインでの組立時による二重画像の上下のズレが発生したとしても誤差の範囲としてそのまま販売したのではないかとも思われます。

ヤシカ ハーフ 17で散々苦労させられた私にはそう思えてしまいます。

こういう品質だから毎度毎度気分が⤵⤵⤵になるのです。

 

 

じゃぁ、どうするの?

上下のズレはアジャスト(調整)できないの?

そんなことはありません。

チャンと上下のズレを修正できました。

ポイントは赤矢印の部分(部品)です。

直近にある十字に切られたネジで左右のアジャストができたのですから

おそらくこの部品が二重画像に関連しているはずです。

 

 

ですからこの部分をこちら側から矢印の方向へ押してほんの少しだけ下を向くようにするか

 

 

反対にこちら側から矢印の方向へ押してほんの少しだけ上を向くようにすれば上下のズレが無くなると判断しました。

結果的に今回は下に向く方向に押したことでズレを修正できました。

 

アジャスター(調整機構)が無いのなら『力技』で押し曲げるという方法です。

ですがこの方法で調整するには非常に微妙で微細な力加減が必要です。

押す力が弱いと微動だにしませんし

押す力が強いと逆方向に大きくずれてしまうし、最悪の場合は折損する可能性もあります。

ですからこの方法が推奨できる作業方法か?と問われたら『この方法はあくまでも私個人の無手勝流です』としか答えられません。

私と同じこの方法で修正する際はあくまでも自己責任という事で作業してください。

私は今回の様に予備のジャンク品=部品取りをいくつか持っているので万一破壊してしまっても同じ部品もしくはユニットごと移植する事が可能なのでこんな力技を使うことができるとも言えます。

今手の届く範囲には三台の部品取りCCとCCNがありますが二重画像がズレていたのは今回分解した一台だけでした。

 

如何でしょうか

質問者様につきましては情報が欲しいとの事でしたが参考になりましたでしょうか?

最悪力技で失敗しても私の元に部品取りがありますから失敗を恐れずに安心して挑戦してみてください。

欠損部品またはユニットはいつでも提供できますので。

そしてご家族との思い出を何よりも大切にしてくください。

 

敬具

 

 

 

コニカのアイ3です。

 

 

実はもう一台別のヤシカのカメラを分解・修理して記事にしようと思っていたのですが、ふと何の気なしに修理を完了させて数ヶ月が経過して在庫していたコニカ アイ3二台を動作確認をしたら、なんと二台ともファインダー内の露出計の指針が全く反応しなくなっていました。

古い機械はキチンと修理をしても長時間動かさずに保管していると今回の様にキチンと動作しなく事が多々あります。

ですからお客様から修理の依頼を受けた場合は修理が完了してお客様に受け渡したら終わりではなく、その後数ヶ月は何かトラブルが発生した場合のアフターケアが必要となります。

一台はどうやら電池室の電極の接触不良だったようですぐに治ったのですが、

もう一台の方は電気的というよりも機械(機構)的におかしい様なので

 

 

ここまでバラしました。

いやぁ~、ヤシカ ハーフ17の後ですから実に作業がはどること

キッチリと造り込まれたカメラは実に分解・組立がしやすくてアッという間でした。

画像下の右側が前板で左側がシャッターユニットです。

構造が優れているため分離が実に容易です。

 

 

やはり通電はしていて露出計は動ていたのですが、矢印の針を挟み込むアームの動きが悪いというか渋くなっていました。

 

 

 

アームは通常であればこの様にスムーズに動作するのですが、当初はこの様に動かずアームが動きませんでした。

ピンセットでちょっと押してあげると動くような状態でした。

 

 

露出計のファインダー用の針を曲げたり変形させないように保護のため取り外したらスムーズに動作するようになったのでどうやらこの辺に問題があったようです。

 

 

ちなみにコニカのアイシリーズのシャッター機構はヤシカ ハーフ17と同じフライホイール式です。製造元もヤシカと同じコパル(COPAL)です。

ですがナゼかコニカの方が圧倒的に動作のトラブルが発生しにくいです。

更にコニカの方は将来的にバネの張力が劣化した時にも対応できそうなアジャストテンショナー機構のような物まで付いています。

品質や精度も高そうです。

同じコパルが造っているのにこんなにクオリティの違いを感じるのは何故なのでしょうか?

 

 

レバーが動くようになったのでシャッターユニットを組付けていきます。

その前に電池のプラスとマイナスの電線をハンダ付けします。

 

 

 

シャッターユニットは4本のネジでボディに取り付けるだけなのですが、一カ所だけがかなり奥まっていてシャッターレバーが邪魔をしていてネジを締め付け部まで挿入できません。

ネジが鉄製であれば磁力でドライバーにくっ着いてくれるのですが、非鉄金属だとドライバーに着いてくれません。

 

 

そんな時は画像の様にドライバーの先端にボンドG103(接着剤)を塗布して少し乾かしてからネジを着けます。

この方法は意外と便利なので様々なシチュエーションで応用できます。

 

 

このように比較的簡単にネジを締め付けられます。

 

 

次に露出計のファインダー用の針を装着します。

フックの様になっている部分を矢印のEEレバーのピンに嚙ませます。

 

 

おそらく動作不良だった原因はこの部分に異物が混入してスムーズに動かなくなったのではないかと思われます。

 

 

次に前板を4本のネジで取り付けます。

その前にストロボ用の電線を前板に取り付けておくのと絞り調節用のピンを絞りリングの穴にはめ込みcds素子へ結線する電線を所定の場所から前に引き出しておきます。

 

 

ファインダーを3本のネジで取り付けます。

取付時には露出計の針を曲げないように注意します。

ファインダーの下部にはファインダー内のフォーカスインジェクターへのリンク機構が付いているのでそのレバー端が前板を貫通している小さいピン(棒)に接触するようにします。

ネジの緩み止めには今回はロックタイト243ではなくコニシボンドのクリアボンドを溶剤で少しだけ薄めたものをネジの頭とファインダーベースの両方に塗布します。

 

 

革を貼り付けます。

 

 

底蓋を取り付けます。

電池室の組付けに注してください。

 

 

フォーカスリングを3本のネジで取り付けます。

こちらのネジもクリアボンドで緩み止めをしておきます。

このカメラは先日無限遠の調整を行っていて記事にした個体のため無限遠の調整は行いません。

 

接着剤が全然乾かないので本日はここまでとなります。

明日に最終組上げ迄を更新いたします。

 

一晩経過し接着剤が固まったので作業を続けます。

因みにナゼ接着剤の乾燥に充分過ぎる乾燥に拘るのか。その理由は

① 乾燥が不充分で接着した部品が脱落またはズレてしまう。

② 乾燥前に密閉すると接着剤に含まれる有機溶剤が密閉空間内に充満する。

からです。

特に②は意外と深刻な問題でして、以前ファインダー取付ネジの緩み止めにクリアボンドを使用して乾燥前に軍艦を取り付けたところ翌日にファインダーが曇ってしまいました。

原因は未乾燥な接着剤に含まれていた有機溶剤が蒸発して軍艦内部に充満してしまい、そのカメラのファインダーのレンズがプラスチック製だったために充満した有機溶剤に害されたようでした。

以来、『急がば回れ』とばかりに接着剤使用の際は乾燥に時間をかけるよういしています。

 

 

私は分解時にネジ等の小さい部品はピルケースに入れて分解の順番通りに左から右へと入れていきます。

例えば「軍艦のネジ」・「底蓋のネジ」・「タイマーASSY」・「前板のネジ」といった感じで入れていきます。そうすれば組み立てる時にはピルケースを逆の順番で開けていき部品を取り出して組み立てていけば良いので間違える可能性がかなり下がります。また、バネやスプリングといった微細な部品をピルケースに入れておくと紛失の可能性も下がります。

 

 

鏡胴を三本のネジで取り付け(すみません、撮影を失念いてしまいました)てから前玉

を組付けます。

アイ3の前玉にはカニ目スパナを引っ掛ける溝が無いのでこの様なゴムで回します。

あまり強く締め付けてしまうと次回の分解時に苦労するので加減が必要です。

 

 

cds素子の配線を銘板のリングにハンダ付けします。

ハンダ作業がとてもやりにくいのと次回の作業の時のために電線に余裕を持たせてもっと長くしたいのですがそうすると銘板のリングが少し浮き上がってしまい鏡胴の中の正しい位置に入らなくなってしまいます。

ですからここは短くても我慢します。

 

 

銘板のリングを鏡胴に入れてからこの薄いリングをカニ目スパナで締め込みます。

 

 

次に軍艦の取付なのですがシャッターボタンをシャッターアームの上に置いてから軍艦をはめ込みます。

このシャッターボタンの中には非常に小さな棒(ピン)が入っていますので紛失しないように注意します。このピンはレリーズボタンと連携するための物です。コレが入っていなくても撮影はできますがボタンのストロークがとても長くなってしまい目一杯ボタンを押さないとシャッターが切れなくなってしまい、とても感じが悪くシャッターチャンスを逃すようになります。

 

 

軍艦がボディに載りましたら巻上げレバーのシャフト部にロックナットをカニ目スパナで締め込んで軍艦を固定します。

ロックナットの上にワッシャーが乗っていますが、これはシムのようで高さ調整か何かのためだと思います。ですのでワッシャーが無い場合もあります。

 

 

シャッターダイアルと噛み合うトリガーのようなものを付けます。

 

 

レバーを載せてスプリングをその上に乗せて飾りナットを締め込んでレバーを取り付けます。

 

 

巻上げレバー側に一カ所だけ軍艦を固定するネジがあります。

非常にシンプルな構造です。

 

 

巻上げレバーを取り付けます。

 

 

最後にタイマーを取り付けて

 

 

完成です。

 

コニカは各部品の精度が高くネジ穴もヤシカのようなバカ穴にはなっておらずギリギリの隙間で穴が開いているためネジの取付&締め込みが非常にやり易く各ユニットや部品もカチッと決まります。

組立作業でもストレスが少なくスムーズにはかどりました。

 

オリンパスのペンシリーズやキャノンのデミEE17のように人気の機種というのは不思議と分解・修理もやりやすいんですよね。