コニカのアイ3です。

 

 

実はもう一台別のヤシカのカメラを分解・修理して記事にしようと思っていたのですが、ふと何の気なしに修理を完了させて数ヶ月が経過して在庫していたコニカ アイ3二台を動作確認をしたら、なんと二台ともファインダー内の露出計の指針が全く反応しなくなっていました。

古い機械はキチンと修理をしても長時間動かさずに保管していると今回の様にキチンと動作しなく事が多々あります。

ですからお客様から修理の依頼を受けた場合は修理が完了してお客様に受け渡したら終わりではなく、その後数ヶ月は何かトラブルが発生した場合のアフターケアが必要となります。

一台はどうやら電池室の電極の接触不良だったようですぐに治ったのですが、

もう一台の方は電気的というよりも機械(機構)的におかしい様なので

 

 

ここまでバラしました。

いやぁ~、ヤシカ ハーフ17の後ですから実に作業がはどること

キッチリと造り込まれたカメラは実に分解・組立がしやすくてアッという間でした。

画像下の右側が前板で左側がシャッターユニットです。

構造が優れているため分離が実に容易です。

 

 

やはり通電はしていて露出計は動ていたのですが、矢印の針を挟み込むアームの動きが悪いというか渋くなっていました。

 

 

 

アームは通常であればこの様にスムーズに動作するのですが、当初はこの様に動かずアームが動きませんでした。

ピンセットでちょっと押してあげると動くような状態でした。

 

 

露出計のファインダー用の針を曲げたり変形させないように保護のため取り外したらスムーズに動作するようになったのでどうやらこの辺に問題があったようです。

 

 

ちなみにコニカのアイシリーズのシャッター機構はヤシカ ハーフ17と同じフライホイール式です。製造元もヤシカと同じコパル(COPAL)です。

ですがナゼかコニカの方が圧倒的に動作のトラブルが発生しにくいです。

更にコニカの方は将来的にバネの張力が劣化した時にも対応できそうなアジャストテンショナー機構のような物まで付いています。

品質や精度も高そうです。

同じコパルが造っているのにこんなにクオリティの違いを感じるのは何故なのでしょうか?

 

 

レバーが動くようになったのでシャッターユニットを組付けていきます。

その前に電池のプラスとマイナスの電線をハンダ付けします。

 

 

 

シャッターユニットは4本のネジでボディに取り付けるだけなのですが、一カ所だけがかなり奥まっていてシャッターレバーが邪魔をしていてネジを締め付け部まで挿入できません。

ネジが鉄製であれば磁力でドライバーにくっ着いてくれるのですが、非鉄金属だとドライバーに着いてくれません。

 

 

そんな時は画像の様にドライバーの先端にボンドG103(接着剤)を塗布して少し乾かしてからネジを着けます。

この方法は意外と便利なので様々なシチュエーションで応用できます。

 

 

このように比較的簡単にネジを締め付けられます。

 

 

次に露出計のファインダー用の針を装着します。

フックの様になっている部分を矢印のEEレバーのピンに嚙ませます。

 

 

おそらく動作不良だった原因はこの部分に異物が混入してスムーズに動かなくなったのではないかと思われます。

 

 

次に前板を4本のネジで取り付けます。

その前にストロボ用の電線を前板に取り付けておくのと絞り調節用のピンを絞りリングの穴にはめ込みcds素子へ結線する電線を所定の場所から前に引き出しておきます。

 

 

ファインダーを3本のネジで取り付けます。

取付時には露出計の針を曲げないように注意します。

ファインダーの下部にはファインダー内のフォーカスインジェクターへのリンク機構が付いているのでそのレバー端が前板を貫通している小さいピン(棒)に接触するようにします。

ネジの緩み止めには今回はロックタイト243ではなくコニシボンドのクリアボンドを溶剤で少しだけ薄めたものをネジの頭とファインダーベースの両方に塗布します。

 

 

革を貼り付けます。

 

 

底蓋を取り付けます。

電池室の組付けに注してください。

 

 

フォーカスリングを3本のネジで取り付けます。

こちらのネジもクリアボンドで緩み止めをしておきます。

このカメラは先日無限遠の調整を行っていて記事にした個体のため無限遠の調整は行いません。

 

接着剤が全然乾かないので本日はここまでとなります。

明日に最終組上げ迄を更新いたします。

 

一晩経過し接着剤が固まったので作業を続けます。

因みにナゼ接着剤の乾燥に充分過ぎる乾燥に拘るのか。その理由は

① 乾燥が不充分で接着した部品が脱落またはズレてしまう。

② 乾燥前に密閉すると接着剤に含まれる有機溶剤が密閉空間内に充満する。

からです。

特に②は意外と深刻な問題でして、以前ファインダー取付ネジの緩み止めにクリアボンドを使用して乾燥前に軍艦を取り付けたところ翌日にファインダーが曇ってしまいました。

原因は未乾燥な接着剤に含まれていた有機溶剤が蒸発して軍艦内部に充満してしまい、そのカメラのファインダーのレンズがプラスチック製だったために充満した有機溶剤に害されたようでした。

以来、『急がば回れ』とばかりに接着剤使用の際は乾燥に時間をかけるよういしています。

 

 

私は分解時にネジ等の小さい部品はピルケースに入れて分解の順番通りに左から右へと入れていきます。

例えば「軍艦のネジ」・「底蓋のネジ」・「タイマーASSY」・「前板のネジ」といった感じで入れていきます。そうすれば組み立てる時にはピルケースを逆の順番で開けていき部品を取り出して組み立てていけば良いので間違える可能性がかなり下がります。また、バネやスプリングといった微細な部品をピルケースに入れておくと紛失の可能性も下がります。

 

 

鏡胴を三本のネジで取り付け(すみません、撮影を失念いてしまいました)てから前玉

を組付けます。

アイ3の前玉にはカニ目スパナを引っ掛ける溝が無いのでこの様なゴムで回します。

あまり強く締め付けてしまうと次回の分解時に苦労するので加減が必要です。

 

 

cds素子の配線を銘板のリングにハンダ付けします。

ハンダ作業がとてもやりにくいのと次回の作業の時のために電線に余裕を持たせてもっと長くしたいのですがそうすると銘板のリングが少し浮き上がってしまい鏡胴の中の正しい位置に入らなくなってしまいます。

ですからここは短くても我慢します。

 

 

銘板のリングを鏡胴に入れてからこの薄いリングをカニ目スパナで締め込みます。

 

 

次に軍艦の取付なのですがシャッターボタンをシャッターアームの上に置いてから軍艦をはめ込みます。

このシャッターボタンの中には非常に小さな棒(ピン)が入っていますので紛失しないように注意します。このピンはレリーズボタンと連携するための物です。コレが入っていなくても撮影はできますがボタンのストロークがとても長くなってしまい目一杯ボタンを押さないとシャッターが切れなくなってしまい、とても感じが悪くシャッターチャンスを逃すようになります。

 

 

軍艦がボディに載りましたら巻上げレバーのシャフト部にロックナットをカニ目スパナで締め込んで軍艦を固定します。

ロックナットの上にワッシャーが乗っていますが、これはシムのようで高さ調整か何かのためだと思います。ですのでワッシャーが無い場合もあります。

 

 

シャッターダイアルと噛み合うトリガーのようなものを付けます。

 

 

レバーを載せてスプリングをその上に乗せて飾りナットを締め込んでレバーを取り付けます。

 

 

巻上げレバー側に一カ所だけ軍艦を固定するネジがあります。

非常にシンプルな構造です。

 

 

巻上げレバーを取り付けます。

 

 

最後にタイマーを取り付けて

 

 

完成です。

 

コニカは各部品の精度が高くネジ穴もヤシカのようなバカ穴にはなっておらずギリギリの隙間で穴が開いているためネジの取付&締め込みが非常にやり易く各ユニットや部品もカチッと決まります。

組立作業でもストレスが少なくスムーズにはかどりました。

 

オリンパスのペンシリーズやキャノンのデミEE17のように人気の機種というのは不思議と分解・修理もやりやすいんですよね。