小説 名探偵コナン[甲州埋蔵金伝説] 著:谷豊
- 小説 名探偵コナン[甲州埋蔵金伝説]
青山 剛昌:原作 谷豊:著
小学館 ISBN:4-09-121706-0
2005年4月 定価720円(税込)
基本設定くらいは理解しているが、普段、「名探偵コナン」のマンガなんて読んでいません。たまたま100円コーナーで見つけ、今年出たばかりの本だったので買ってしまいました。たまには、軽い読み物もいいだろうと思って、読み始める。
阿笠博士の引率により…少年探偵団のメンバーと一緒にキャンプへ来た江戸川コナン。帰り道で道に迷い、さらに博士の車が故障してしまい、徒歩で助けをもとめることになってしまった。アクシデントはかさなるもので、歩いている途中で博士が足を怪我してしまい、途方にくれるメンバーたち。そんな時に、一台のワゴン車が通りかかり…近くにある、寂れた温泉場までたどり着くことができたのだ。事情を知った老舗旅館の女将の好意で、宿泊することができたのだが、そこで武田信玄の埋蔵金に関する伝説話を耳にする。旅館の常連客で埋蔵金ハンターの梅崎と共に、宝捜しに興味を示すコナン以下、探偵団のメンバーだったが、宝のありかを探っているのは、どうやら彼らだけではなかったようだ…。
高校生が、子供になっちゃったという…とんでもない基本設定があるわけだけど、暗黙の了解で、そのあたりの事情は、あまり触れられていない。別に知らなくても、推理小説として読めるようにはなっている。007の秘密兵器みたいな、奇抜な探偵グッズも…キャンプだから置いてきちゃったという設定になっていて、案外普通に読めちゃったりするのだ。
暗号解読や、洞窟探検、宝捜し…ついでに殺人事件も起こって、大盤振る舞い。ところどころ漫画チックな展開だし、オチなんかも簡単によめちゃうけど、ジャンルが不明なヘンテコミステリー小説よりは、よっぽどオーソドックスでいいかもしれませんね。
ただ、マンガやアニメを見ていないので、イマイチ、キャラクターの性格などに踏み込めない。主人公のコナンはともかく、小学生の子供が、死体を発見したのに冷静すぎたりするのが、ちょっと興ざめさせる原因になったか?こういうところを、もう少しリアルな描写にしてくれれば、大人でも充分、読める作品になると思う。
個人的採点:55点
殺人勤務医 著:大石圭
- 殺人勤務医
大石圭:著
角川書店 ISBN:4-04-357202-6
2002年3月 定価650円(税込)
久々に大石圭のホラー小説を読む。100円で見つける度に、色々と買い込んでいるのだが…最近はどこのブックオフへ行っても100円コーナーに「呪怨」しかないんですよね(笑)今年になってから、何冊も角川のホラー文庫で新しい作品が出ているが、それらはまだまだ100円コーナーじゃ発見できません。
容姿端麗の古河は中絶手術の専門医。病院で働く看護婦たちからの人気も上々。上司であり、年上の愛人でもある、女性院長との仲もよく…傍目には公私共に順調のようにみえるのだが…実は誰にもいえない秘密があった。幼少の頃に母親から受けた虐待、さらにその母親に捨てられたという暗い過去を持っており、本当は性格が歪みまくっていたのだ。そんな古河は…ターゲットにした人々を拉致し、自宅に監禁。拷問を加えながら、人間が死んでいく姿を見ることに喜びを感じていたのだ。彼の手にかかった犠牲者は増える一方で…現在は12人目の被害者が、彼の自宅の地下室に幽閉され…死にかかっていた。
やっていることは、とてつもなく恐ろしいのですが、他の大石作品に比べると、直接的なグロテスク描写は、やや薄い印象。殺戮を美しく描けるのは、大石圭の特色のひとつでもあるが。非常識な話なんだけど、大石作品を読み終わると、常識・非常識の境界線というものを凄く曖昧な気分にさせる。
キャラクターの容姿は真逆なのですが…先に読んだ「湘南人肉医」との共通項も見受けられる。
身勝手な人間に腹を立て、身勝手に“殺戮”という方法でお仕置きをしているのだが…偽善的な大義名分を振りかざすでもなく“自分は殺人者なんだ”と開き直ってしまうところに、不気味さがある。最後に出てきた被害者、真の目的については…たまたま、この前に読んだ小説が「銀行籠城」という作品だったのですが、それに出てきた犯人の心理に、ちょっと似ていたかな?
個人的採点:70点
銀行籠城 著:新堂冬樹
- 銀行籠城
新堂冬樹:著
幻冬舎 ISBN:4-344-00480-9
2004年3月 定価1,575円(税込)
帯にもある「全員、服を脱いで、俺の盾になれ」というセリフがインパクトありますよね~。なんかエロそうだなぁって思って手にとったら、スピーディーな、犯罪小説だった。
閉店間際の銀行に押し入った一人の男…その場にいた客を容赦なく撃ち殺し、行員と客を瞬く間に人質にとってしまった。さらに、人質の一人がたった1秒、召集に遅れたというだけで、今度は銀行の案内係の命を奪う。恐怖で完全に人質を支配した犯人は…さらに人質に向かって服を脱ぐよう強要するのだった。通報で駆けつけた警察も、常軌を逸脱した非情な犯人に手を負えず…犠牲者は増えるばかり。いったい犯人の目的は何なのか?
ありきたりな篭城ものの話、犯人と警察の駆け引きを…犯人のインパクトだけで強引に見せきる、力強い犯罪小説。まぁ、TVの2時間ドラマでは、ぜったいに原作通りの映像化はできないだろう。この題材で、映像化できるのは…「オールドボーイ」とか鬼畜映画を平気でつくれる韓国人くらいだろうなぁ(笑)
思わせぶりに、のばしのばしにしてきた犯人の目的や正体というのが…意外とショボくて、その部分だけ、ホロリとさせようというのが、せかっくのスピード感と大胆さを台無しにしてしまった印象を受ける。こういう、外連味のある作品だったら、もっと突飛なラストがあっても良かったくらい。
テンポの良さで一気に読めてしまうのが最大の魅力だろう。意外と好きです。
個人的採点:75点
ルパンの消息 著:横山 秀夫
- ルパンの消息
横山 秀夫:著
光文社 ISBN:4-334-07610-6
2005年5月発行 定価920円(税込)
横山秀夫がデビュー当時に書いた作品で、お蔵入りになっていた作品を改訂したものだそうだ。
自殺として処理された15年前の女教師の墜落事件が、他殺だったとというタレコミが、本庁経由で所轄署に連絡があったから大騒動。容疑者は、当時その教師が教職に立っていた高校の生徒たちで…その裏には「ルパン作戦」という、生徒たちが実行した期末テスを盗み出す計画が関わっているという。おりしも、昭和の日本を震撼させた大事件「三億円事件」の時効成立の日に…新たな犯罪がひっそりと行われ、それがまたも時効を迎えるという。タイムリミットは24時間を切り…捜査員たちは当時の関係者を片っ端から探し出し…犯人逮捕を目指す!
これは正直、面白かった。15年前に書かれた作品だというが…古さは感じない。確かに、実際にあった「三億円事件」を、ミステリー小説に組み込むとうネタ、手法は、他の作家、作品にもいくつか見受けられて、その部分に関しては新鮮味が薄れてしまうが…キャラクターやプロットの上手さで一気に読ませる。
現代(設定は平成2年)で事件を捜査する捜査員の話と…高校生たちの回想で語られていく過去の話が交互に描かれていくのだが、高校生たちが発案する「ルパン計画」の部分が、非常にいきいきとしていて面白い。なんか、ミステリーを忘れて、青臭い青春ものを読まされているような、読んでいるこちらも懐かしくなってしまう、悪ガキ3人組の思い出話。最初は刺激をもとめての悪戯だったものが、殺人事件に巻き込まれてしまい…3人の人生を変えていく。さらに容疑者として15年後に連れられてきたその3人の変貌ぶりに…年月経過の長さがよーく描かれていて、そのギャップが非常に儚くて、せつない気分になるのだ。
15年経って、次から次へと出てくるサプライズ…。なんとなくオチは読めるものの、最後の最後まで、どんでん返しの連続で畳みかけ…飽きさせない展開は鮮やかです。土曜ワイドあたりで、映像化したら、きっと面白い作品ができそうですよね。
個人的採点:80点
亡命者 ザ・ジョーカー 著:大沢在昌【新刊購入】
- 亡命者 ザ・ジョーカー
大沢在昌:著
講談社 ISBN:4-06-213158-7
2005年10月発行 定価1,785円(税込)
今回は105円ではありません!?新刊購入本です…大沢在昌です。大好きなんで、珍しく新刊で買いました。着手金の100万円さえ払えば、“殺し”以外だったらなんでも引き受ける、トラブルシューターのジョーカーシリーズの短編をまとめた単行本2作目です。全6作品を収録。
ジョーカーの鉄則
ジョーカーの元を二十数年ぶりに訪れた白人の男ジェファーソン…彼はジョーカーが先代から仕事を引き継いだ直後の駆け出しの時代に受けた依頼人の一人だった。当時の依頼とは、東京にいるはずの元妻を捜して欲しいというものだったのだが、なんとジェファーソンとその元妻はお互いイギリス政府の諜報員として活躍していたのだ!
ジョーカーにも駆け出しの時代があった。実際にあったホテル火災をモデルにして、その背後に思わぬ陰謀があったという感じで話をまとめています。スパイ小説のようで、なかなか面白かった。
ジョーカーの感謝
普段、郵便物など届かないジョーカーの元へ届いた荷物。中から、古びた安物のブレスレットが出てきた。そのブレスレットについての記憶を手繰り寄せると、一人の女のことを思い出した。名前はココ…85年の暮れに受けたある依頼の依頼主だ。その内容とは…立退きを迫られている洗物屋を守って欲しいというものだった。
これまたジョーカーが過去を懐かしむといった話。ラストがちょっとせつなくてよい。
ジョーカーと「戦士」
昔、秋葉原でカツアゲにあっている子供を助けたジョーカー。時は経ち、その子供が大人になり、ジョーカーを探し当て仕事を依頼してきたのだ。今ではIT企業の社長になってい依頼人は、ヤクザ絡みの危険な仕事を引き受けたことで…仲間が拉致されたという。
ゲーム好きの著者らしい題材。商才はあるが、どこか常識に欠ける、オタクなIT企業の若社長というのが、今風で良い。巻き込まれる犯罪も、ネットを使った詐欺行為という、これまた今風の話だった。
ジョーカーと亡命
天安門事件直後、海外へ亡命をし…そこで実業家として成功をおさめた男が、かつて同士だった女性を探し出して欲しいと依頼してきた。女の居所は直ぐに判明したが、なんと中国人マフィアのボスの愛人になっていた。
惚れた女のために命をかける2人の男…仕事なら、ヤクザや中国マフィアまで黙らせるクールなジョーカー。ラストがややあっけないが、短編なのでこれくらいで良いのだろう。
ジョーカーの命拾い
かつてジョーカーの命を狙っていたというCIAの工作員がジョーカーの元を訪れた。過去の話だとあまり気にはしていなかったジョーカーだが…当時関わっていたある依頼についての不審点が急に気になり始めた。その直後、バッタリとその依頼人に顔を合わせたのだが、その依頼人が殺されてしまう。自分の知らないところで、何かが動き出している…。
殺し屋だけではなく、警察にも目をつけられてしまったジョーカーが、どうやって窮地を脱出するのかが読みどころ。刑事たちをクチでまるめこんじゃうあたりが笑える。今回の報酬…最後のオチも笑える。
ジョーカーの節介
いつものにバーで依頼人を待っていると、売出し中の若手俳優がひょっこり現れた。実は、ジョーカーの仕事上のパートナーでもある、バーテンダーの沢井の生き別れになった娘と結婚させて欲しいというお願いにやってきたのだ。久しく会っていない娘のことを持ち出され、どうしたらよいかわからない沢井だが、ホステスをやっているという娘の様子を見てきて欲しいと、ジョーカーに依頼する。
沢井の過去が色々語られていて面白い。微妙な親子の関係がけっこう泣かせます。いつもはジョーカーにツッコミばかりいれて、おちゃらけているような沢井というキャラクターも、けっこうカッコよく、ハードボイルドに描かれている。
個人的採点:75点
阿修羅ガール 著:舞城王太郎
- 阿修羅ガール
舞城王太郎:著
新潮社 ISBN:4-10-458001-5
2003年1月発行 定価1,470円(税込)
三島由紀夫賞受賞って帯に書いてあった…タイトルと表紙のデザインに惹かれて105円で購入。なんか、今年になって文庫化されたらしですね。だから、ソフトカーバー版が100円コーナーに落ちていたんだと思います。
女子高生のアイコは…好きでもないクラスメイトの男の子とやってしまった。行為のあと、嫌悪感に陥ったアイコは…相手の男の子にケリをお見舞いし…ラブホから飛び出してしまう。翌日、学校へ行くと、アイコがHした相手、佐野が行方不明になり、どうやら誘拐されたようだということで大騒ぎになっていた。佐野の生きている姿を見たのはアイコだということが噂になっており、周囲からは疑いの目が…。そんな窮地を救ってくれるのは、アイコが密かに恋している要治くんだった。さらに巷ではグルグル魔人という殺人鬼が跋扈してるし…暴動は起きるし…女子高生アイコの周りは大混乱。
なんでしょうね~コレ。流行なんですか?わざと下品な言葉とか、今どきのバカ女子高生風の言葉づかい使って…禅問答的なことを語っていますね。行方不明になった、男の子とかどうなっちゃうのよ?ミステリーかと思ったら、そういう次元から飛び出してしまうのね~。乾くるみの「マリオネット症候群」みたいなところもあるし…全然気色が違うホラーファンタジー風の作品になっちゃったり、もうメチャクチャ。我慢して最後まで読んでいくと…そのメチャクチャな部分にもちゃんと意味はあるんだけどねぇ。新進気鋭の作家に与えるのが三島由紀夫賞ってことなので、賞の内容を理解すると、なんとなく納得。
書評サイトみたいなところ、どこ見ても評判良いんだけど…自分には良さがわかりませんでした。この文章で、イジメや愛を語っているのがセンスがいいらしいんだけど、自分にはそういった計算高さが逆に受け付けなかった。 おなじ下品な小説なら…自分は戸梶圭太の方が好み。文章とか、なんか雰囲気似ているんだけど、戸梶の作品はこんなに説教くさくないしね。そういえば…講談社ノベルスで出ている舞城王太郎を何冊か持ってるけど、分厚さがネックになって一冊も読んでないです。あっちはもうちょっとミステリーっぽいのかな?あまり好きじゃないので…また当分、読まなさそうだけど、いつかは再挑戦してみます。
個人的採点:55点
CSI:科学捜査班 シン・シティ 著:マックス・アラン・コリンズ
- CSI:科学捜査班 シン・シティ
マックス・アラン・コリンズ:著
鎌田三平:訳
角川書店 ISBN:4-04-282607-5
2005年5月発行 定価:740円(税込)
また、更新がだいぶあいてしまったが、前回に続きCSI:科学捜査班のノベライズ小説の第二作目を読んだ。今年の5月に出たばかりの本を100円で見つけたのはラッキーだったが、登場人物紹介のページが破られているのに気付く。なんか、元の持ち主が破って栞代わりにしたようです…。100円で買っておいて文句を言うのもなんだけど、本を大切にしない人って以外と多いですよね~。自分の場合は、ページの角を折って栞代わりにするのも嫌いななんですよ。古本に売るなら、もうちょっと丁寧に扱って欲しいです。
夫にバラバラにしてやると脅された妻が失踪…脅迫を受けているところをカセットテープに録音し、友人に託していたことから、事件が発覚した。一方…CSIメンバーの1人キャサリンのかつての職場でもあるストリップクラブの個室で、ダンサーが死体となって発見された。グリッサムを筆頭に、ニック、ウォリックの男3人が…失踪事件を捜査し、キャサリン、サラの女性陣がストリップクラブの事件を受け持つ。
前作ほど…アクロバティックな事件ではなく、かなりオーソドックスな展開。別々の事件が同時進行に描かれているので、小説で読むとややテンポが悪い。前作のダブル・ディーラーは…別個の事件に見えたものが一つに繋がったりするので、小説としての読みどころが充分にあったのだが、今回もドラマ版にないオリジナルのストーリーではあったが、ノベライズの域を脱していない印象だった。
CSIメンバーに同行する、刑事たちにもスポットが当てられているところは、やや目新しいか?個人的には、前作のダブル・ディーラーの方が面白く読めた。
個人的採点:65点
CSI:科学捜査班 ダブル・ディーラー 著:マックス・アラン・コリンズ
CSI:科学捜査班 ダブル・ディーラー
マックス・アラン・コリンズ:著
鎌田三平:訳
角川書店 SBN:4-04-282606-7
2005年3月発行 定価740円(税込)
また、約1週間ぶりの更新です…。今回読んだのは、人気海外ドラマの「CSI:科学捜査班」のノベライズ小説なのですが、TV作品とは違うオリジナルの事件を扱っているので、TVシリーズを見ちゃった人でも充分楽しめます。今年の3月くらいに出たばかりなのですが、コレも、もちろん100円で見つけました!
眠らない街、ラスベガスで今日も事件が起きる…ラスベガス市警の科学捜査班、グリッソム、ウォリック、サラの三人はカjノのホテルで弁護士が銃殺された事件を調査する。同じ頃、別のホテルの建築現場に放置されていたトレーラー・ハウスの下から、ミイラ化した死体が発見。キャサリンとニックが現場へ急行する…。調査を進めていくうちに…偶然にも殺害方法の手口が似ていることを突き止めた科学捜査班のメンバーは、同一犯による事件ではないかと疑い始める。
ノベライズということで、キャラクターに関してはドラマの中でイメージが完成されている、既存の設定を生かし、あまりつっこんだことは描いていないので、急にこの小説から入ってしまうと、ついていくのが大変かもしれないし…逆にTVシリーズを知っていると物足りなさを感じるかもしれないが、事件の方はなかなかアクロバティックで面白かった。小説オリジナルだが、このまま映像化しても面白いんじゃないかと思える感じで、CSIの雰囲気がよく出ている。
映像の方では、複数の事件が同時進行しているようなエピソードが多いが、この小説では、それらが一つに繋がるというアイデアが採用されており、このシリーズにしては珍しい展開で新鮮味があるのではないだろうか?チームワークの良さみたいなのが、よく描かれていたかな?犯人像なんかも、グリッソムに挑んでくるような性格が、TVシリーズの最初と第2シーズンの途中で出てきた、ポール・ミランダーのような狡猾さが出ていて、お互いの駆け引きの様子がスリリングに描かれていた。
2巻目のシン・シティも入手してあるので、続けて読もうと思っている。
個人的採点:70点
生首に聞いてみろ 著:法月 綸太郎
- 生首に聞いてみろ
法月綸太郎:著
角川書店 ISBN:4-04-873474-1
2004年9月発行 定価1,890円(税込)
えー、何日か前に読み終わっていたのですが、なかなかブログの更新ができなかったです。更新していない間にも、読者登録が増えていて、あんまり本を読んでないのにいいのかなぁと、少し恐縮してしまいました。読書の秋ですし、なるべく読むペースを早くし、ブログ更新もキチンと行いたいと思っています。
昨年末に発表された2004年度のこのミスの第一位を獲得した「生首に聞いてみろ」をようやく読了です。ちょうど昨年の今ごろの新刊ですね…これは今年の8月頃にブックオフの100円コーナーで見つけたと記憶しています。
推理作家の法月綸太郎は、後輩である写真家の田代周平の写真展で、彫刻家・川島伊作の娘、江知佳と偶然知り合いになるのだが、その直後、川島伊作が急逝する。彼は娘をモデルとして、石膏像を完成させていたのだが、川島の葬儀が終った後、何者かによって石膏像が切断され、首が持ち去られてしまったのだ。家族からの依頼で調査に乗り出す綸太郎だが、調査を進めるうちに今度は娘の江知佳が失踪、そして…。
作家・法月綸太郎の作品を読むのは久しぶりでした。文庫本で「一の悲劇」と「二の悲劇」を読んで以来かなって思っていたのですが…自分が読んでない間には短編しか発表していなくて、これが久々の長篇作品だったとか?まぁ、このミスで1位を獲るくらいですから、自分がこんなところで、解説しなくたって面白いのは、皆さんに伝わっていることでしょうが、もう少し当方の文章にもお付き合いください。
邪道なオチが多い推理小説か、はたまた似たようなトラベルミステリーばかりが目立っている昨今ですが…久々に本格ミステリの王道を楽しめた作品ですね、これは。タイトルのインパクトも凄いし、事件そのものも不可解かつ猟奇的であって…謎に満ちている。それを名探偵が、ああでもない、こうでもないと推理をめぐらし、論理的に答えを導き出していくのだが…犯人の意外性もあるし、なんとなく自分で想像していた、事件の真相に近かったのだけれども、細かいところで予想を見事に裏切ってくれた点といい…推理小説として本当にフェアな内容で、緻密なプロットに酔いしれたという感じでしょうか。最初こそ、彫刻だぁ、芸術だぁって…興味ないからわかんねーよって思いもあったんですが、そんなものは知らなくてもあまり関係なく、物語をしかっり堪能できました。
この手の本格派ミステリをリアルタイムで読んできた人たちにはたまらない作品ですよね。逆に発表されている作品が少ないので…昔の法月綸太郎作品を知らないで酷評しまくってるミステリーファンも多いみたいなので、シリーズものとしてしっかり過去の作品を読んでから向き合った方が楽しみは倍増するでしょう。なんか、読み逃している法月綸太郎の短編シリーズを読みたくなってきたなぁ。
個人的採点:75点
追伸…現在は、今年発売したばかりの海外ミステリードラマの小説版を、2冊まとめて入手したので、それを読み始めています。
“生首に聞いてみろ”を読み始める…
今、このミステリーがすごい!2005年版 で1位を獲得した、法月綸太郎の「生首に聞いてみろ 」を読み出した。もちろん、これも105円で見つけたものだ。かなりのページ数があるし、最近、読むペースが落ちているので感想アップまで少々時間がかかるかもしれない…。
ようやくブックオフの100円コーナーで、2005年版このミスに収録されていた、2004年度のランクイン作品が出始めた。まだ読んでいないのだが、見事積読の仲間に加わった作品を紹介しておこう。他にも読みたい本が増加中なので、これらを読むのに1年くらいかかるんじゃないかな?もっとかもしれない…(笑)
貴志 祐介 第6位
硝子のハンマー
横山 秀夫 第9位
臨場
五十嵐 貴久 第17位
Fake
西澤 保彦 21位以下(獲得点数15点以上)
パズラー 謎と論理のエンタテイメント
奥田 英朗 21位以下(獲得点数15点以上)
- 大沢 在昌 21位以下(獲得点数15点以上)
- パンドラ・アイランド
- 本多 孝好 21位以下(獲得点数15点以上) side-Aは既に入手済、読了。
- 真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
- 歌野 晶午 21位以下(獲得点数15点以上)
- ジェシカが駆け抜けた七年間について
- 高嶋 哲夫 21位以下(獲得点数15点以上)
- M8(エムエイト)
- 藤村 いずみ 21位以下(獲得点数15点以上)
- あまんじゃく
- 津原 泰水 21位以下(獲得点数15点以上)
- 綺譚集
生首に聞いてみろ
このミステリーがすごい!2005年版