殺人勤務医 著:大石圭 | 105円読書

殺人勤務医 著:大石圭

殺人勤務医

大石圭:著
角川書店 ISBN:4-04-357202-6
2002年3月 定価650円(税込)









久々に大石圭のホラー小説を読む。100円で見つける度に、色々と買い込んでいるのだが…最近はどこのブックオフへ行っても100円コーナーに「呪怨」しかないんですよね(笑)今年になってから、何冊も角川のホラー文庫で新しい作品が出ているが、それらはまだまだ100円コーナーじゃ発見できません。

容姿端麗の古河は中絶手術の専門医。病院で働く看護婦たちからの人気も上々。上司であり、年上の愛人でもある、女性院長との仲もよく…傍目には公私共に順調のようにみえるのだが…実は誰にもいえない秘密があった。幼少の頃に母親から受けた虐待、さらにその母親に捨てられたという暗い過去を持っており、本当は性格が歪みまくっていたのだ。そんな古河は…ターゲットにした人々を拉致し、自宅に監禁。拷問を加えながら、人間が死んでいく姿を見ることに喜びを感じていたのだ。彼の手にかかった犠牲者は増える一方で…現在は12人目の被害者が、彼の自宅の地下室に幽閉され…死にかかっていた。

やっていることは、とてつもなく恐ろしいのですが、他の大石作品に比べると、直接的なグロテスク描写は、やや薄い印象。殺戮を美しく描けるのは、大石圭の特色のひとつでもあるが。非常識な話なんだけど、大石作品を読み終わると、常識・非常識の境界線というものを凄く曖昧な気分にさせる。

キャラクターの容姿は真逆なのですが…先に読んだ「湘南人肉医」との共通項も見受けられる。

身勝手な人間に腹を立て、身勝手に“殺戮”という方法でお仕置きをしているのだが…偽善的な大義名分を振りかざすでもなく“自分は殺人者なんだ”と開き直ってしまうところに、不気味さがある。最後に出てきた被害者、真の目的については…たまたま、この前に読んだ小説が「銀行籠城」という作品だったのですが、それに出てきた犯人の心理に、ちょっと似ていたかな?






個人的採点:70点