タケミナカタは諏訪の神なのか、出雲の神か | 運の良い座敷童子的な生き方

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こんにちは。

お盆には久しぶりにお友達とゆっくりと話ができたのですが、彼女の出身地は長野県の諏訪大社のすぐ近くで、いわゆる先祖代々の氏子さんです。

地元の伝承も入れつつ、ちょっと建御名方(タケミナカタ)に触れてみたいと思います✨

 

※美保神社

 

 

さて、タケミナカタは古事記に名前が出てくる諏訪の神さまで、オオクニヌシの息子と言われています。

古事記では母親の名前は明かされておりませんが、

「先代旧事本紀」によると、新潟県糸魚川の女神ヌナカワヒメと書かれており、諏訪大社の上社に祀られております。




国譲りの戦いに敗れて、タケミナカタは諏訪湖まで追いつめられましたが、「諏訪から出ないことを条件」に許され、諏訪にとどまったのですね。

 

 

 


 

一方、下社はそんなタケミナカタの奥さまが祀られております。

八坂刀売神(ヤサカトメノカミ)は、八坂大明神と言われますが、諏訪特有の神さまで、下社の春宮と秋宮に祀られております。

なお、7月の舟祭りでは、このご神体が行ったり来たりするのですって😅

 

 

 

 

八坂=弥栄(いやさか)

 

 


 

ですね😆✨

タケミナカタは、タケは強い男、ミナカタは「南方(ミナカタ)」だと思います。

諏訪特有の神だと、わたしは思っていたのですが…

 

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実は去年あたりから、わたしは島根県の美保神社に用事がありまして、頻繁にお邪魔していた時期がありました😅

美保神社というのは、コトシロヌシとミホツヒメを祀るえびす社総本宮なのですが、ここの本来の祭神が、「ミホススミ」という女神さまであることがわかったのです。




 


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※地主社

 

 

なぜわかったのかというと、NHKスペシャルで美保神社の氏子さんの特集をやっていたので、「神の小径」と言われる不思議な摂社を祀るルートを巡ったところ、美保神社の本来の祭神が「地主社」に祀られていたことがわかったのです😅




 

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※美穂社

 

 

そして今年の5月、ミホススミが祀られる、高台の摂社に辿り着いたわたしは、戦慄を覚えたのでした。

なんと、ここからさらにもっと奥地に、「タケミナカタ」が客人として祀られていたことがわかったのです😅




「客人(まろうど)社」というのは、色んな説はあるものの、「もとの氏神を祀っている」社で、よく門の近くに祀られています。

いわゆる、先客神というのでしょうか。

 

 

 

 

ひとりでは行けない奥深いエリアでしたが、どうして美保神社の摂社が、タケミナカタを客人として祀っていたのだろう、と、不思議でした。

 

 

 

 

すると、諏訪のほうでも、タケミナカタは、現地の神々を征服する神として登場しているのです。

元の神は「洩矢(モリヤ)神」と言います。

以前に紹介した、週刊ジャンプ連載の「逃げ上手の若君」という漫画で、とっても明るい諏訪の大祝(おおほうり)がヒーロー役として登場しますが、この神官が下ろしているのが、モリヤ神、つまりミシャクジ神なのです。

 

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※週刊ジャンプ連載「逃げ上手の若君」より

 

 

 

諏訪の大祝は、タケミナカタが降臨しているのではなく、ミシャグシ神を童男に降臨させて、「現人神(あらひとがみ)」となって、諏訪のほうで絶大な信仰を得ていた歴史があるのです。

この、降ろしていた場所が、「前宮」だったのですね。

そして、ご神体となった童男を祀っていたのが、上社の「上宮」だったのです。

 

 

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※大ファン

 

 

この謎のモリヤ神というのは、諏訪大社の背後にある「守屋山」に下りて、現地の神々を平伏していた神なのですが、この守屋山こそ、縄文時代からの聖地となります。

 

 

 

 

 

モリヤ

 

 

 


 

ええ、旧約聖書でも登場する、あのモリヤ山ですよ。

か、な、り、すごい祭祀が行われていたのでしょうね😅

 

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※今年アニメ化になります♪

 


 

そんな守屋山にやって来たのが、どうもタケミナカタだったようですね。

タケミナカタは、もともと諏訪の神ではなく、もとは出雲の生まれ(美保の関)で、ヌナカワヒメが姫川に戻ったときに、ミホススミは出雲に残り、幼かったタケミナカタは母方についてきたようです。

 

 

 

 

ヌナカワヒメが新潟に戻った理由は、「出雲の大神であるオオクニヌシが亡くなったから」なのですが、ミホススミは残ることを決意したようですね。

そんなミホススミは時代とともに風化され、名前が良く似たミホツヒメへ祭神名が変わっていきます。

ひっそりとですが、ヌナカワヒメが出雲にいらっしゃった形跡もありますよ✨

 

 

 

 

そんなタケミナカタとミホススミの姉弟ですが、古事記にタケミナカタが少しだけ登場するのは、古代氏族「金刺(かねさし)氏」による指図のようです。





同じ系統だった太安万侶(おおのやすまろ)にお願いをして、タケミナカタを古事記に登場させるようにした背景には、

金刺氏の世継ぎが諏訪明神の現人神となって、信濃を治めるようにしたから、なのですね。

 

 

 

 

ある種の、ヤマト政権の力が届かない、独立地帯が諏訪地方にはあった、ということでしょうか。

 

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そんな金刺氏の古墳は、「秋宮」のそばにありますよ😆✨

 

 

 

 

奥さまでいらっしゃる八坂刀売神は安曇の血を引いており、綿津見(ワダツミ)の子である穂高の神の妹だったようです。




ワダツミ→安曇




長野県には「安曇野」がありますので、安曇の勢力圏、つまり「龍」が強い水神であります。

そして、諏訪の神も「龍蛇」ですので、ともに水の神で、親和性があったのかもしれないですね✨

 

 

 

 

なお、前宮には「溝上社」があり、ヌナカワヒメが祀られております。

出雲と東北を結ぶ古代のネットワークが見えてきますね✨

 

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さて、ミシャグシ神とはなんなのでしょうか?

もしかしたら、「溝の神」、

巨大なフォッサマグナを鎮める賽の神、なのかもしれないですね。

とすれば、縄文の神であることは間違いないでしょう。

 

 

 

諏訪から出ないことを理由に、その地にとどまったタケミナカタは出雲の血を引いていた。

現地の姫と結婚して、諏訪の神となり、ミシャグシ神を下ろしている大祝によって今も祀られている…ということですね。

 

 

 

まだまだ謎を秘めている守屋山は、もしかすると、そのまま、そっとしたほうがいいのかもしれません😆