いつもなら評価から入るのですが、今回は私めの拙いながらもエンディングについての解釈を入れてから評価をする形とさせて頂きます。

 

(今回は特にネタバレばかりなので、その点ご注意!願います)

 

 

 まず・・このゲームのプレーに当たっては、以下2つの要素を多少なりとも知っていると解釈に深みが出てくるような気がしました。

 

(但し、以下の記述内容は生半可というか聞きかじりというかネットでちょっとググった!という程度の知識に過ぎません(笑)。よって、あくまでも参考程度とお考え下さい。)

 

①クトゥルフ(神話)

 

 皆さんご存じ(笑)、ラヴクラフトその他数名によって構築された架空の神話体系のことです。その中でも、ゲームに関わりが深いと思われるのは"深きものども"という海中及び海底都市に住みかつ人間と同等の知能があるとされている半人半魚(亜人)の存在(過去の記事では便宜的に魚人と書いています)。 更に、人間とこの"深きものども"との混血(つまり、交配が可能!)した個体つまりハーフも存在するのです。当然、人間の側が好んでそうするのではなく"深きものども"の側が地上を支配するために行っていること。要するに通常の場合、父親が"深きものども"で母親が人間であると思われます。

 

 そして、その混血は不完全変態を伴います。ある一定の年代までは人間のままなのですが、それ以降は以下3つのパターンがあるようです。

 

 ①変態がはじまり、最終的には身体がより適応するであろう海に還る。

  (恐らくは、1つ目のエンディング

 ②変態がはじまるものの、人間としての生活を続けることで病死つまり短命に終わる。

  (恐らくは、もう1つのエンディング

 ③変態つまり"深きものども"のようになることなく、そのまま人間として何事なむく一生を

  終える。

 

 なお、"深きものども"にはいわゆる寿命というものがなくほぼ永遠に生きられるようです。事故や殺害その他で死ぬことはあっても、病気などで自然死することはないのです。

 

 主人公ノラ・エバーハートはチャプター5では手に水かきが付いていましたので、明らかになんらかの変態が起きていたと思われます。しかし、じゃあ彼女は混血なのか?。明確にそういう描写はありませんが、ヒントはあります。

 

 上の画像にあるように彼女は子供時代ニューベリーポートという場所に過ごした!と言ってます。一方、先ほど取り上げた混血の多くというか殆どはインスマスという港町の出身(つまりここで多くの交配が行われたということ)。インスマス面(インスマス顔)という言葉のあることがその象徴です。

 

 重要なのは、アーカムという街からニューベリーポートへ向かう道の途中にインスマスがあるという地理的関係。そう、彼女インスマスのすぐ近くで育ったということなります。そしてなにより、ゲームの舞台は1934年・・思いっきり!被るんですよね。

 

(面倒くさいのはアーカムインスマスが架空の地名であるのに対し、ニューベリーポートは実在の地名でもあるということ(笑)) 

 

 とにかく、この辺りを微妙に上手く絡ませているなぁと・・。

 

②ムー大陸(伝説)

 

 こちらもご存じ!、かつて太平洋には大陸が存在し同時にそこには超古代文明があったが天変地異(?)で水没してしまった・・という。

 

 ただ、このゲームとの関係においては殆ど分からず。同じくチャプター5ではナーカルというワードが何度も出てくるので確認してみたのですが、どうもこれはムー大陸のことが書かれている碑文(粘土板)のことらしいのです。となると、以下画像の文脈からしてゲーム内におけるこのワードの意味するところは「ムー大陸に住んでいた人間全般」を指しているのかなぁ、と。

(奴隷も、主(統治者?)も、父も、母も・・ナーカル

 

 これもゲームでは序盤から再三!登場する例の黒い液体。かつてはこの地(ムー大陸?)で奴隷の儀式にて使われたということが分かります。前述の交配とは別に、この儀式によっても変態("深きものども"のようになる・・)が起こり得るということを指しているのか。

(奴隷の儀式の後、(奴隷は)死んでしまうか水の動物("深きものども"?)になる・・と)

 

 その後、ムー大陸が海に沈み消滅してしまった・と思わせる記述もありました。ここで言う神とは即ち("深きものども"が崇めている)クトゥルフそのものと考えるべきなのか。その辺りについては確信が持てませんでした。

(ここでも「永遠に生きる」と言ってますね)

 

 

 以上、半端な考察ですいません(汗)。このゲーム、発売当初からクトゥルフ(神話)の匂いがする的なレビューがあったのでずっとそう思い込んでいたのですが、よくよく考えれば舞台となる場所は(クトゥルフ(神話)のメインである大西洋側沿岸でなく)太平洋のど真ん中。

 

 ということは、あくまでムー大陸(伝説)云々にクトゥルフ(神話)を絡ませている・・と考える方がスッキリするのかなぁと。ハッキリ言うと、このゲームのキモとなる存在である黒い液体の元ネタが自分には分からない・・というのがアレなんですけどね(笑)。

 

 もし、分かる方がいらっしゃったら是非!ご教示願いたいものです。

 

 

 で、これらを前提にエンディングに触れてきます。

 

<1つ目のエンディング>

 

 既に書いたように、主人公が海へ還る!というもの。(夫の)ハリー・エバーハート彼女を(病気の)苦しみから救いたい!との一心で、自身との永遠の別れになることを百も承知でこうなることを望んでいたことがわかります。そして、主人公にそのことをストレートに話してもへの愛が故に承知しないことを分かっているからこそ、行方不明になったフリをして彼女をあの島へ誘い出した・・と。

(自分の本来!還るべき場所へ赴くことで、病気に苦しむことはなくなるのです・・)

(こういう嘘を、誰が咎めることが出来ようか・・)

 

<もう1つのエンディング>

 

 こちらは対照的に、ハリーの思いを理解した上で当初の船長さんとの約束通り!3日後に合流し、帰路に着くというもの。そして、死ぬまでの数年間をと2人で幸せに暮らしていくことになります。ハリーの愛に、主人公もそれ以上の愛で応えた・・という言い方も出来るのかな。『現実では、真実のラブストーリーのエンディングは結婚式じゃない。お葬式なのよ。』

う~ん、こういったセリフを見ることになるとは想像してなかったです。

(正直、愛に縁がない(汗)自分にこの言葉は・・限りなく重い!です)

(病気による苦しみよりも愛を取った・・ということですね!)

 

 但し、どちらのエンディングにしろハリーは人生の後半を最愛の伴侶がいない仕事のみの人生を送ることになってしまいますが、これは遺憾ともし難く・・。

 

 

 最後に、評価を。

 

 『コールオブザシー』

 評価:★★★★★(星5つ)

 

 ストーリーやカートゥーン調のグラフィック等は最高!と言って良いでしょう。時代背景やそれにあったオカルト要素を盛り込みながらもホラー色を出すようなことなく純粋にアドベンチャーしかも愛をキッチリ描いているところは文句なしの出来。BGMや効果音も不必要に強調するようなあざとさはなく、物語にマッチしていたように思います。謎解き(パズル)はいろんな種類のがあって(難しい部分はありましたが)飽きる!というようなことはなく楽しかったです。

 

<追記(2021.05.19)>

 なお、プレー時間は約10時間。他のレビューを見ている限り、普通は6~7時間でクリア出来るようです(汗)。謎解きで思った以上に時間を要したようです。

<追記部分終了>

 

 対照的に宜しくない部分を敢えて挙げると、まずは移動が遅い点。ただ既に書いたことですが、ゲーム的な都合を優先して素早くするというのも主人公のことを考えると明らかに不自然なのでなかなか難しいところではあります。もう1つは、謎解き(パズル)の難解さ。自分がこのジャンルのゲームに慣れていないせいも大きいとは思いますが、それでもちょっと難しいかなと思ってしまう部分はありました。でも、逆に言えばそれだけですね!。

 

 因みに、レビュー及び評価についてはこちらを参照されるのも良いかと思いますので、一応リンクを貼っときます。

 

 

 なおこのゲーム、現在はXBOXSERIESX|S版(Optimized for Xbox Series X|S)及びPC版が発売中ですが、時限独占がもうそろそろ切れるようですのでそろそろPS5(PS4)版も発売されるようです。

(PSユーザーの方はこちらの発売を待ってプレーすることをお薦めします)

 

 それと、スイッチ版も発売される可能性があるようです。

(あくまで現時点では噂のようですが・・)

 

 ストーリーのしっかりしたゲームってイイなぁ!と久々に思わせる作品でした。