にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

インド古典音楽のブログを愛読いただき本当にありがとうございます。そこで今回、東京の新宿周辺で北インド古典音楽の声楽教室を始めることにしました。その詳細を共有させていただきますのでご興味があれば是非ご登録ください。

 

スケジュール

 

男性組: 月1回、第2日曜日、17:05時~18:45時(100分)

女性組: 月1回、第3日曜日、17:05時~18:45時(100分)

 

次:2024年10月スケジュール

男性組:10月13日、17:05時~18:45時(100分)

女性組:10月20日、17:05時~18:45時(100分)

 

無料見学

受講前に見学したいという方は、空席がある限りいつでも無料見学が可能です。事前にお問い合わせの上ご参加ください。

 

講座内容:ラーガの初級レベルの声楽レッスンを行います。ラーガ毎に3回のレッスンを考えていますが、各レッスンが単独でも受講できる形になっています。1回100分のレッスンで、ラーガの基本や、典型的なフレーズの練習からスタートし、リズムの理解と練習、そしてそのラーガの短い曲を一つ習います。3回レッスンを重ねることによって、同じラーガで3曲習いますので、ラーガの理解が深まります。ただ、各レッスン単独でも受講できる形になっていますので、休んだらついていけないなどの心配は不要だし、講座の途中から受講することも可能です。

 

紹介されるラーガ:Durga、Bihag、Bhupali、Yaman、Kedar、 Kafi、Bhimpalasi、Dhani、Bageshree、Vrindavani Sarang、Khamaj、Des、Bhairavi、Malkauns、など

 

今回のラーガ:Raag Durga(2024年10月よりスタート)

料金:1回のレッスンにつき税込み5500円

         4回レッスンにセットで登録いただくと税込み20000円(6っか月以内に4回受講出来ます)

場所:新宿駅近く(登録・お問い合わせいただいた方にお知らせします)

登録:sadhana@raag-hindustani.com へEmailください。

         参加人数に応じて部屋の予約をしますので、早めにご登録お願いします。

支払:銀行振込か、現金でお支払いいただき領収書を出します。登録時のメールにてご希望をお知らせください。

 

レッスンを休んだ場合:

講師の都合でレッスンを休む場合、あらかじめご連絡の上、生徒の皆様のご都合に合わせてリスケジュールさせていただきます。

生徒がレッスンに出られなかった場合、休んだ日の料金はいただきません。また、単独レッスン体制になっていますので、問題なく次のレッスンに受講できます。普段休まずに来てくださっている生徒さん(つまり、たまたま都合が悪く休んだ方)に限って、休んだ日のレッスン資料・動画を無料で共有させていただきます。

 

その他

* 予習・復習に必要な情報や音声はこちらから録音して登録いただいた方にお送りしますので、レッスン中の録音・録画はご遠慮願います。

* ご希望に応じて、来年以降週2回の教室も開始したいと思いますので、ご希望であればお知らせください。

* ご希望に応じて、将来中級クラスも提供したいと考えておりますので、ご希望であればお知らせください。中級クラスでは即興の仕方もご紹介いたします。

* 他にもご質問などがあればお問い合わせください。

 

お問い合わせ先sadhana@raag-hindustani.com    

電話番号:登録いただいた方に共有させていただきます   

 

講師プロフィール

 

 

ブログやウェブサイトでは「Sadhana」というペンネームを使っていますが、本名はUsha Jayaraman と申します。20年以上日本に住んでおり、仕事は翻訳者をしております。インド古典音楽には小さいころから興味があり、ちょこちょこ習っていましたが、2002年以降、合計8年間、ベナレス・ガラナのSanjay Chaube氏と、ベンディ・バザール・ガラナのAnuradha Kuberさんのご指導の下で勉強・実習しました。その後も独学で研究・実習を続けながら、インド古典音楽の理解を深めようと頑張っております。

 

講師の声:

初級レッスンで学べる曲の例:

Raag Durga bandish | Gaavata durga raagini | Raga composition with staff notation | Raag Hindustani (youtube.com)

Raag Yaman bandish | eri aali piya bina | Raag Hindustani (youtube.com)

 

北インドと南インド古典音楽の沢山のラーガを美しく繋げて作曲された有名な曲:

Bhaja Govindam | भज गोविन्दं | 8th Century Sanskrit Composition by Adi Shankara | Raag Hindustani (youtube.com)

 

講師の執筆ウェブサイト・ブログ・その他:

インド古典音楽の概念を日本語で説明したブログ|インド人が語るインドのいろいろ (ameblo.jp)

インド古典音楽の曲や概念の西洋式楽譜を共有するウェブサイト|Musescore.com

インド古典音楽の基本概念を英語で説明した元のウェブサイト(https://raag-hindustani.com) 

インド古典音楽に関する質問に答えたりする音楽専門家フォーラム - Music: Practice & Theory Stack Exchange

インド古典音楽の歴史などに関しても書いているブログ (medium.com)

 

 

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

このページでは、カーフィ(Kafi)、ドゥルガ(Durga)、ダーニ(Dhani)、デース(Des)、パハーリ(Pahadi)、バイラヴィ(Bhairavi)、バハール(Bahaar)と言った軽いラーガ(「ラーグ」ともいう)を例に、ラーガの構造について見ていきます。これらの軽快で繊細な装飾に適したラーガは、初心者でも楽しめるものだと思います。

 

お知らせの後記事が続きます

新宿周辺で初級レベルのインド古典音楽の声楽教室を始めます!

詳細:「東京北インド古典音楽声楽教室」

 

 

ラーガの構造には、対称的、非対称的、くねった(ヴァクラ)、混合(ミシュラ)、そして複合(ジョード)ラーガがありますが、順に取り上げて説明していきます。

 

対照的なラーガ

 

対称的なラーガは、上り音階と下り音階で使われる音符が同じです。同じ音符が使われるだけでなく、音符の数も一致しています。例えば、5音5音(アウダヴ・アウダヴ)、6音6音(シャーダヴ・シャーダヴ)、7音7音(サンプールナ)といった音階があります。カーフィやドゥルガは、対称的なラーガの例です。

 

ラーグ・カーフィ(サンプールナ・ラーガ)

カーフィは、上り音階と下り音階の両方で7つの音すべてが使われるため、サンプールナ・ラーガに分類されます。「サンプールナ」とはサンスクリット語で「完全」という意味です。さらに、上りと下りの両方で S(1)、R(2)、g(♭3)、m(4)、P(5)、D(6)、n(♭7) の音符が使われるため、対称的なラーガでもあります。

 

カーフィは非常に古いルーツを持ち、インド音楽の最も典型的な旋律の一つです。素朴で懐かしい響きを持つこのラーガは、「ホーリー祭」の際に古くから歌われてきた「ホーリー歌」などの民謡にもよく使われますが、古典音楽でも人気のあるラーガです。カーフィは通常、夕方の時間帯に演奏されます。

 

カーフィの上りと下り音階を聞く

 

Nikhil Banerjee(シタール)

ラーグ・カーフィ

 

ラーグ・ドゥルガ(アウダヴ・アウダヴ)
ドゥルガは、上り音階と下り音階の両方で5つの音符が使われるため、「アウダヴ・アウダヴ」ラーガに分類されます。また、上りと下りの両方で S(1)、R(2)、m(4)、P(5)、D(6) の音符が使われるため、対称的なラーガでもあります。

私には「ドゥルガ」が潔白で純粋なラーガに感じられますが、伝統的には勇敢さを象徴するラーガとされています。南インドの古典音楽から比較的最近取り入れられたこのラーガは、まだ北インドの古典音楽では重厚なラーガとは見なされていませんが、今後その評価が変わるかもしれません。ドゥルガは夜遅くから真夜中にかけて演奏されます。

 

ドゥルガの上りと下り音階を聞く

 

Venkatesh Kumar(ヴォーカル)

ラーグ・ドゥルガ

 

非対称的なラーガ

 

ほとんどのラーガは非対称的です。上り音階と下り音階で使われる音符の数が異なることが非対称性の原因の一つです。この場合、通常、上り音階のほうが音符の数が少なくなります。例えば、ラーグ・ダーニでは、上り音階に S(1)、g(♭3)、m(4)、P(5)、n(♭7) の音符が使われ、下り音階にはさらに R(2) も加わります。

 

ラーグ・ダーニ(アウダヴ・シャーダヴ)
ダーニは、素朴でロマンチックなラーガだと感じます。比較的軽いラーガで、中速から速いテンポで演奏されることが多いです。午後の時間帯や雨季によく演奏されます。

 

ダーニの上りと下り音階を聞く

 

Shruti Sadolikar(ヴォーカル)

ラーグ・ダーニ

 

非対称性のもう1つの原因は、音符の数が同じでも、上りと下りの音階で異なる音符のバリエーションが使われることです。この場合、通常、上昇時には高い方のバリエーションが使われ、下降時には低い方のバリエーションが使われます。例えば、ラーグ・デースでは、上昇時に「N(7)」、下降時には「n(♭7)」が使われます。

 

ラーグ・デース(アウダヴ・サンプールナ)
「デース」とは田舎という意味ですが、その名前からも分かるように、このラーガは民俗音楽から発展したもので、民俗音楽のチャーミングな雰囲気が今でも強く残っています。もちろん古典音楽においても重要なラーガとされています。ラーグ・デースは雨季によく演奏されます。

 

デースの上りと下り音階を聞く

 

Nikhil Banerjee(シタール)

ラーグ・デース

 

ラーガの上りと下り音階が非対称的である場合、音楽への応用という観点からみると、上昇シーケンスは上り音階を反映し、下降シーケンスは下り音階を反映します。たとえばラーグ・ダーニでは、R(2)は上昇シーケンスに使うことはありませんが、下降シーケンスには使えます。一方、ラーグ・デースでは、N(7) の音符は上昇シーケンスでのみ使え、G(3) とD(6)およびn(♭7) は下降シーケンスでのみ使えます。

 

くねったラーガ(ヴァクラ・ラーガ)
くねったラーガは、音階が曲がりくねった形をとっています。くねりの度合いはラーガによってさまざまで、ひとつの箇所だけくねっているラーガもあれば、複数箇所でくねっているラーガもあります。くねりの度合いが大きいほど、ラーガのフレーズ作りに関するルールが増え、ヴァリエーションを作るのが難しくなります。

 

ラーグ・バハール
バハールは非常にくねったラーガの一例です。このラーガでは、g(♭3)にP(5)を経由しないと到達できず、通常はg(♭3)の後にm(4)が続き、「m(4)、P(5)、g(♭3)、m(4)」といった循環フレーズが多くなります。g(♭3)が「R(2)、g(♭3)、m(4)」、「g(♭3)、m(4)、P(5)」、「m(4)、g(♭3)、R(2)」といった直線的なフレーズで使われることはありません。同様に、D(6)もn(♭7)を経由してアクセスされ、その後にN(7)が続き、「n(♭7)、D(6)、N(7)、S'(8)」という循環フレーズになります。「P(5)、D(6)、N(7)」や「n(♭7)、D(6)、P(5)」のような直線的なフレーズは使われません。

 

「バハール」とは春を意味し、ラーグ・バハールは春の軽快さと喜びに満ちたラーガです。このラーガは活発なテンポに適しており、春の季節の午後早い時間によく演奏されます。

 

バハールの上りと下り音階を聞く

 

Veena Sahasrabudhe(ヴォーカル)

ラーグ・バハール

 

混合ラーガ(ミシュラ・ラーガ)

古典音楽においては、ラーガの音階に厳密に従うことが基本です。しかし、準古典音楽などでは、定義された音階以外の音符を混ぜることで、遊び心を加えることができます。このような場合、ラーガの名前に「ミシュラ(混合)」という形容詞が追加されます。たとえば、「ミシュラ・カーフィ」や「ミシュラ・デース」といった名前がつけられます。軽いラーガほどミシュラ・ラーガに向いていますが、重いラーガには混合バージョンがあまり見られないかもしれません。

一方で、ラーガによっては、基本的にミシュラ・ラーガとして演奏されるものもあります。たとえば、「ラーグ・パハーリ」や「ラーグ・バイラヴィ」などです。これらのラーガは独自の個性を保ちながらも、オクターブ内のほぼすべての音符を使うことができます。

 

ラーグ・パハーリ

「パハーリ」とは「山の」という意味で、ヒマラヤ山脈地方の民俗音楽から発展したラーガです。このラーガは夕方に演奏され、遊び心と懐かしさを併せ持つ雰囲気を特徴としています。ラーグ・パハーリの基本音階は S(1)、R(2)、G(3)、P(5)、D(6) で構成されていますが、その他の音符も巧妙に組み込まれ、ラーガの基本旋律が失われないように注意が払われています。

ここでは、ラーグ・パハーリの典型的な音の組み合わせを示す簡単なソルファ曲を紹介します。

 

パハーリのソルファ曲を聞く

 

Debasmita Bhattacharya(サロード)

ラーグ・パハーリ

 

ラーグ・バイラヴィ

バイラヴィは、古典音楽と準古典音楽の両方において非常に重要なラーガです。パハーリと同様に、バイラヴィでもオクターブのほぼすべての音符が使われますが、その基本音階は S(1)、r(♭2)、g(♭3)、m(4)、P(5)、d(♭6)、n(♭7) であり、全ての可変音がフラットである点に注目してください。これにより、バイラヴィは非常に穏やかで落ち着かせるラーガだとされています。長い古典音楽演奏の最後には、バイラヴィの短い作品が締めくくりとして演奏されることが多いです。

 

バイラヴィの上りと下り音階を聞く

 

Venkatesh Kumar(ヴォーカル)

ラーグ・バイラヴィ

 

複合ラーガ(ジョード・ラーガ)

 

複合ラーガは、2つのラーガを組み合わせて作られます。組み合わせ方は2つあります。1つは、2つの異なるラーガの旋律をそれぞれ保ちながら、遊び心を持って、時にはこれ、時にはあれといった感じで絡み合わせる方法です。もう1つは、1つのラーガの音符を使い、もう1つのラーガの旋律の流れ(チャラン)を模倣する方法です。

例えば、「ラーグ・カウンシカナダ」は、「ラーグ・マルカウンス」と「ラーグ・ダルバーリ」を組み合わせたもので、時にはマルカウンス、時にはダルバーリのフレーズが行き来する、驚きと楽しさに満ちたラーガです。一方、「ラーグ・メーグ」は、「ラーグ・マヅマードサラング」の音符を使い、「マルハール」と呼ばれる雨季のラーガ族の旋律の流れや装飾を模倣して演奏されるラーガです。

複合ラーガを楽しむには、その構成ラーガも知る必要があるので、別途詳しくご紹介したいと思います。

 

以上、「第3(a)章インド古典音楽~ラーガの構造別分類」でした。

 

このシリーズのほかのブログ(未投稿のものも含める):

第1章インド古典音楽の概要

第2章 インド古典音楽におけるオクターブの12音

第3章 ラーガとは?(ラーガの概念を詳しく説明)

第4章 インド古典音楽におけるリズム(ターラ)の考え方

第5章 インド古典音楽における装飾

第6章インド古典音楽 ~ 楽譜の読み方

第8章 インド古典音楽における即興演奏の仕方

第9章 ラーガ演奏の構成

第10章 インド古典音楽を学ぶためのヒントとリソース

 

Peepal (sacred fig) leaf (Image by Joanna Arevalo from Pixabay)

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

ヒンドゥスターニー (北インド)古典音楽では、ラーガの勉強は、その音階を学んでから、「バンディシュ」と呼ばれるラーガ曲を学びます。各ラーガに多数のバンディシュがあり、いくつかを学んで行くうちに、ラーガの旋律が身について来ます。

 

お知らせの後記事が続きます

新宿周辺で初級レベルのインド古典音楽の声楽教室を始めます!

詳細:「東京北インド古典音楽声楽教室」

 

 

以下、ラーガの名前をクリックすると、そのラーガについての情報が見られる他、ラーガの音階や簡単なバンディシュが学べます。バンディシュは、音声に加え、インド式楽譜、西洋式楽譜、曲の簡単な意味などが見られます。

 

·      Bageshree

·      Bahar

·      Bhairav

·      Bhairavi

·      Bhimpalasi

·      Bhupali

·      Bihag

·      Bilawal

·      Darbari

·      Durga

·      Jog

·      Kafi

·      Kedar

·      Malkauns

·      Sindhura

·      Yaman

 

以上、「第7章 インド古典音楽~練習用簡単なラーガ曲」でした。

 

お知らせ

 東京・新宿周辺で初級・中級レベルの北インド(ヒンドゥスターニー)古典音楽の声楽教室を開始したく考えております。ご興味がある方は是非その旨下にコメントを残すか sadhana@raag-hindustani.com 宛てにメールいただければご返信いたします。

 

このシリーズのほかのブログ(未投稿のものも含める):

第1章インド古典音楽の概要

第2章 インド古典音楽におけるオクターブの12音

第3章 ラーガとは?(ラーガの概念を詳しく説明)

   第3(a)章インド古典音楽~ラーガの構造別分類

第4章 インド古典音楽におけるリズム(ターラ)の考え方

第5章 インド古典音楽における装飾

第6章インド古典音楽 ~ 楽譜の読み方

第8章 インド古典音楽における即興演奏の仕方

第9章 ラーガ演奏の構成

第10章 インド古典音楽を学ぶためのヒントとリソース

 

にほんブログ村 歴史ブログ 世界の伝統・文化へ
にほんブログ村

 

乳製品文化

 

インドの4割近くが菜食主義者(ベジタリアン)なので、お肉、お魚、卵などは一切食べなく、穀物、豆類、乳製品、野菜、や果物中心の食生活をしています。お肉を食べる人でも、多くは毎日お肉を食べているわけではないので、普段はベジタリアンと同じ食生活を送っているのです。

 

今日のブログでは、インドの食文化の中での乳製品の利用、中でもギーを特別に取り上げてご紹介したいと思います。

 

歴史を読むと、大昔から乳製品はインド人の食生活の大変重要な一部であったことが良くわかります。乳製品には牛乳の他、ヨーグルト、バター、ギー(済ましバター)、パニール(カッテージ・チーズ)等が含まれます。食事だけではなく、飲み物やデザートも乳製品中心のものが多く、インド人にとっては乳製品なしの食文化は考えられないと言っていいかもしれません。お肉を食べない人にとっては乳製品が大事なタンパク質源だからです。インドでは牛が大事にされている理由も主にこれだと思います。

 

田舎では、牛を飼っている人も多く、乳製品は全て家庭で作られます。都会でも、つい最近まで牛乳は買っても、ヨーグルト、バター、ギーなどは自宅で作っている人が多かったのですが、最近お店で何でも売っていますので、自宅で作らなくなった人も増えています。

 

以下、田舎生活を見せるチャンネルで、このエピソードでは牛乳からヨーグルト、バター、ギーなどの作り方を見せています。ついでにフィルター・コーヒの入れ方も見られます。

 

会話が少ないビデオなので字幕なしで見られます。

 

 

バターでギーを作る方法

 

日本では牛乳、ヨーグルト、バターなどは簡単に手に入りますが、ギーはあまり見ないので、バターからギーを作る方法だけ詳しくご紹介します:

 

大きめの厚い鍋などに400グラムの無塩バターをいれ、弱火~中火で溶かして行きます。バターは15%以上水分を含んでいますので、それが蒸発する過程で白っぽい泡が沢山出てこぼれやすいですが、レードルなどで混ぜながらこぼれないように気を付けます。数分たって水分がなくなったら、泡が少なくなって来て、その下に済んだ油が見えてきます。また、乳固形分が鍋の底に沈殿します。乳固形分が茶色くなって来たら香ばしいギーの出来上がりです。小さじ4分の1だけ塩を加えてまぜ、完全に冷めたらガラス容器などに入れて、冷蔵庫に保存すれば、数週間以上美味しく使えます。

 

ギーはまだ熱い時、油のように済んで見えますが、冷め始めると粒粒が出来ます(これはギー自体の性質で、沈殿した乳固形分とはまた違います。沈殿物も問題なく食べられます)。また、冷蔵庫に入れるとバターよりも固くなってしまいますが、スプーンなどで必要な分をすくってお使いください。暖かいものに乗せただけですぐに溶けます。

 

冷めかけたギー(Neha Sonal による写真)、CC Attribution-ShareAlike 4.0 International License

 

ギーの使い方

 

ギーは家庭料理に色んな風に使われ、日常的に良く食べられています。油の代わりにギーで料理をすることも出来れば、チャパティなどのパン類に乗せて食べられたり、熱々のご飯に混ぜてダールと一緒に食べられたり、スープ系の料理の上にかけるタッカに使われたりなど、その使い方は実に様々です。ギーはそのまま食べてもとてもおいしく、子供たちがお母さんに内緒で、こっそりスプーンですくって食べていたりもします(笑)。

 

バターの代わりにギーでケーキやクッキーを焼くと、香ばしくて美味しいです。ただ、バターとは違って、ギーは水分が全くないので、使う量を調節しなければならないかもしれません。

 

ギーで作る簡単なスイーツ

 

「シーラ」、「ケーサリー」、「スージー・カ・ハルワ」等、色んな名前で呼ばれるこのスイーツは、全インド各地で昔からお祝いの時などによく食べられています。また、神様に供えられることも多く、お寺参りすると、「プラサード」(神様の祝福を受けたおさがり)としていただける場合もあります。もちろん、普通のデザートとしても食べられます。

 

材料

セモリーナ*:1カップ

グラニュー糖:1カップ(お好みで少し控えめにしてもいいと思います)

ギー:1カップ

水:3カップ

カルダモン:2個(タネを砕いておく)

サフラン:1つまみ(少量の牛乳に混ぜておく)

レーズンとナツ(アーモンドやキャシューナッツなど、好きなもの):適量

 

*セモリーナはインド食材専門店などで「ラワ」または「スージー」として売られていますが、細かめのものと粗めのもの両方売られていれば、粗めのものを選んでください。

 

作り方

底の厚い鍋やフライパンなどでセモリーナを弱火でじっくり乾煎りし、少し色がついて来たらお皿などに出しておきます。刻んでおいたナツを少量のギーで色がつくまで揚げ、取り出しておきます。レーズンも同じくギーで揚げて取り出しておきます。残りのギーも鍋に入れ、セモリーナをもう一度鍋に入れ直し、今度はじっくりとギーの中にコンガリと色がつくまで、混ぜながら火を通します。良い色になって来たら、お砂糖を入れ、砂糖がしっかり解けるまで更に混ぜ続けます。今度はお水を投入し、混ぜ続けたら、セモリーナが水を飲んで膨らんで来ます。水気が大分なくなって、ペースト状になって来たら、揚げたナツやレーズン、砕いたカルダモンのタネ、サフランが入った牛乳を入れて混ぜ、火を止めます。5分位蒸らして出来上がりです。このデザートは少し暖かくして食べたほうが一番おいしいです。

 

ビデオは「設定→字幕」を選び、字幕が出たら、「設定→自動翻訳→日本語」を選ぶと、日本語の字幕が見られます。

 

にほんブログ村 歴史ブログ 世界の伝統・文化へ
にほんブログ村

 

インド女性のファッションはサリー。これは割とよく知られていると思いますが、男性のファッションは?

 

男性のファッションは「ドーティー」といい、これもまた何千年もの歴史がある伝統衣装で、用途に合わせて様々なスタイルで巻かれます。

 

 

インド独立運動で有名なガンジー氏は日本でもよく知られていますよね。彼が巻いていたのは百姓など、貧困層が巻くスタイルのドーティーです。ガンジー氏は若いころ、弁護士だったのでイギリス式の服装をしていましたが、人生後半に、インドを英国から独立させるなら、植民地時代の搾取によって貧困状態に陥ったインドの大衆を代表しなければならないと思い、ドーティーを巻くようになったと思います。

 

写真:ガンジー氏(真ん中)とインド独立運動の他の指導者たち、1939年

 

以下ドーティーの巻き方を紹介したビデオです。地域などによって、色んな巻き方がありますが、ほぼ全てのスタイルで、長さ4.5メートル、幅1.2メートル位の一枚の布が使われます。夏には涼しいかもしれませんね。

 



 

「ドーティーを巻くのはいいが、トイレはどうする?」ドーティーを巻いたことがない若いインド人はこういう質問もあるみたいですが、心配不要だと思います(笑)。

 

 

インドの伝統衣装は、サリーと言え、ドーティーと言え、ショールと言え、一枚の布を使って色んな巻き方をしているところは特徴的ですよね。昔のインドでは裁縫が知られていなかったかと思ってしまいますが、考古学や昔の文面などでは裁縫の証拠が見つかっているようなので、知られていなかったわけではないと思います。

 

ただ、裁縫不要な服装の方が人気だったことは間違いないですね。宗教上も裁縫が良くないと思われているようです。今でも、一枚の裁縫されていない布を巻いてしか入ることが出来ないお寺などがあります。面白いと思いますが、その理由について私も良く分からなく、いつか分かればまた共有させていただきます。

 

20世紀は、世界各地で洋服が流行り、伝統衣装が着られなくなりましたが、インドでも、事務系の仕事などをはじめ、伝統衣装が捨てられ、洋服が取り入れられました。しかし田舎の人は今でもドーティーを巻いています。また、都会の人も、伝統的な場や、自宅でくつろいでいる時などは、ドーティーを巻いています。

 

インドの暑い気候を考えると洋服は合わないと思いますが、世界各地でビジネスの場は洋服と決まってしまっているし、ファッションの場でも西洋のファッションが主流となってしまっていますね。インドでも、特に男性ファッションに関してはそれが言えますが、最近、ファッションとしてもドーティーがまた流行り始めているように思います。

 

もっと読む:サリーの巻き方

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

インド古典音楽の演奏は即興が基本なので、演奏には楽譜が使われません。しかし、音楽を教えたり学んだりする上では、簡単な楽譜が使われます。

 

このページでは、簡単な曲を例に、2つ異なる楽譜スタイルとその読み方を説明します。まず、初心者に分かりやすく、パソコン環境で共有しやすい「サーダナ記譜法」を紹介します。その後、ヒンドゥースターニ古典音楽の世界で広く使われている「バトカンデ記譜法(Bhatkhande notation)」を説明します。

また、西洋式の楽譜に慣れている方のために時々簡単なラーガ曲を西洋式に記譜したものも作成して提供していますので、ご参照ください。

インド古典音楽の基本的な概念がお分かりでない場合、音符ラーガリズムに関する記事を先に読んだ方がいいかもしれません。

 

お知らせの後記事が続きます

新宿周辺で初級レベルのインド古典音楽の声楽教室を始めます!

詳細:「東京北インド古典音楽声楽教室」

 

 

サーダナ記譜法

 

サーダナ記譜法では、最初の行に曲の種類(ここではBandish)、ラーガ名(ここではRaag Kedar)、タール名(ここでは16拍子のTeentaal)、テンポ(ここでは活気あるテンポ:Drut Laya)の情報を示します。次に作曲家の名前を示し、その下に曲の歌詞をローマ字で普通に書きます。その後楽譜を書きますが、楽譜の説明は画像の後に続きます。

 

サーダナ記譜法

 

インド古典音楽では、旋律(メロディー)はタール(リズムパターン)にフィットして記譜されますので、タールの拍子数と同じ数の列の表を使います。例の曲はTeentaal(16拍子)にフィットされたもので、Teentaalは4拍ずつの4セクションあります。したがって、合計16列の表を使い、セクションは色で分けています。

 

最初の2行では各列の拍子番号と拍子の発声(bol)を示しています。段落が上・下(sthayiとantaraといいます)に明確に区別されています。

 

曲の記譜法

 

曲は、歌詞とその楽譜を適切な列に記入し、タールのどの拍子にどの音節を歌う必要があるかを示します。

例の曲は、Teentaalの9拍目から始まるため、楽譜が9列目から始まっています。1拍目に当たる音節は赤いフォントで強調表示します。この音節(「sam」と呼ばれます)は、古典音楽の演奏で非常に重要な役割を果たすためです(詳細はリズムに関するページをご参照ください)。

表の各セル(マス目)が拍子1つに相当するので、各セル内に記されている歌詞が全て1拍子内に歌う必要があります。楽譜の各行が表上2行で構成されます。1行目には歌詞の音節、2行目にはその音節に当たる音符が書かれています。

 

音符の記譜は、以下の表のNotation ID列をご参照ください。

インド古典音楽の音符表

 

また、音符以外にも、表記に使用している記号がいくつかあります。

「~」は、同じ音符・音節の滑らかな延長を示します。

「.」または空白のセルは休符(その拍子分何も歌わないこと)を示します。

「|」または「/」は曲の各行の終わりを示します。

「-」で区切られた母音または鼻音(「a-a」・「i-i」・「n-n」など)は、「Gamak」という装飾を示します。

主要オクターブの上または下のオクターブの音符は、音符の後または前に「'」を付けて示します。

装飾音符(kan swar)がある場合、括弧内に書かれて示します。

 

行や節の繰り返しに関する情報は提供されません。行や節を何回繰り返すべきかについては、演奏家の自由だからです。

 

サーダナ記譜法について

 

サーダナ記譜法は私が開発したもので、YouTubeなどで共有している簡単なラーガ曲デモに使っている楽譜です。例えば例の曲のデモはこのビデオをご参照ください。

 

 

他にも沢山ラーガ曲のデモがありますので、以下のプレイリストをご参照ください。

 

簡単なラーガ曲のプレイリスト

 

バトカンデ記譜法

 

ヒンドゥスターニー古典音楽には昔から、色んな記譜法が使われていましたが、音楽学者のヴィシュヌ・ナラヤン・バトカンデ氏(1860-1936)が提供した記譜法が、20世紀初頭に広く受け入れられ、今でも音楽の教科書など、ヒンドゥスターニー古典音楽の世界では広く使われています。バトカンデ記譜法では、音符と歌詞がヒンディー語で書かれますが、以下便宜上ローマ字にしたものを使って説明します。説明は画像の後に続きます。

 

バトカンデ記譜法(ローマ字)

 

一番上の行にラガの名前(Kedar)、リズムパターン(Teentaal)、テンポ(drut laya)が記載されます。上下の段落が、「Sthayii」と「Antara」と書いてしめされます。縦線を引いて該当タールのセクションが区切られます(ここではTeentaalなので、3本の縦線を引いて4セクションに区切られています)。曲の各行は、3行の楽譜(旋律を示す音符、歌詞の音節、そしてタール記号)に分かれています。

 

サーダナ記譜法では、9列目から記譜し始めることによって、曲がTeentaalの9拍目から始まることを示していますが、バトカンデ記譜法では、左端から記譜し始め、各セクションの始めにタール記号で拍子番号が示されますが、この方法では、読者がすでにタールに精通していることを前提としています。

 

例えば、例の曲だと、読者はTeentaalに関して以下のような情報をあらかじめ知っている必要があります。

 

Teentaalの構成

 

上の表には、1行目には拍子番号、2行目には拍子の発声、3行目にはタール記号が記されています。タール記号ですが、各セクションの最初の拍子だけが記号で記譜されます。「x」記号はいつもタールの1拍目(「sam」)を示し、タブラでは強く打たれて強調されます。「o」記号は控えめに打たれる拍子を示します。Teentaalの場合、これは9拍目に当たります。その他のセクションの1拍目がセクション番号で示され、残りの拍子が記譜されません。

 

旋律はソルファ音節を使って記譜され、フラットは下線で、シャープは上の縦線で示されます。主要オクターブの上または下のオクターブの音符は、音符の上または下に点を付けて示されます。音符の延長はハイフンで示され、歌詞の音節の延長は「S」に似た記号で示されます。また、2つ以上の音符を1拍子内に歌う必要がある場合、下方に曲線で結ばれます。

 

以上、「第6章インド古典音楽の楽譜の読み方」でした。

このシリーズのほかのブログ(未投稿のものも含める):

第1章インド古典音楽の概要

第2章 インド古典音楽におけるオクターブの12音

第3章 ラーガとは?(ラーガの概念を詳しく説明)

   第3(a)章インド古典音楽~ラーガの構造別分類

第4章 インド古典音楽におけるリズム(ターラ)の考え方

第5章 インド古典音楽における装飾

第7章 インド古典音楽~練習用簡単なラーガ曲

第8章 インド古典音楽における即興演奏の仕方

第9章 ラーガ演奏の構成

第10章 インド古典音楽を学ぶためのヒントとリソース

 

にほんブログ村 歴史ブログ 世界の伝統・文化へ
にほんブログ村

 

前回、スパイスを油にパチパチさせて炒め物やスープ系の料理に使うスパイスの簡単な使い方を紹介しました。紹介したスパイスはクミンシード、ターメリック、とアサフェティダでした。この三つのスパイスさえあれば、簡単なインド料理は作れてしまいますが、もちろん普段もっと色んなスパイスが使われています。

 

ビデオは家庭料理によく使われるスパイスとその健康効果を紹介したものです。一旦「設定→字幕」、字幕が出たら、「設定→自動翻訳→日本語」を選ぶと、日本語の字幕が見られます。

 

各スパイスの味や使い方:

 

以下英語名(ヒンディー語; 読み方)の順に各スパイスを書き、そのアジや使い方をまとめてみました。

 

ホール・スパイス類

 

クミンシード(jeera; ジーラ)はインド料理で最もよく使われるスパイスと言って大げさではないと思います。タネそのものがタッカスパイス(タッカとは?)として、粉末にしたクミンシードはカレーなどの料理に、またから炙りしてすられたクミンシードが色んな料理の上にかけて使われます。暖かい、コクのある、どこか柑橘類を思い出させる味のスパイスです。

 

コリアンダーシード(dhaniya; ダニヤ)はパクチーのタネです。フローラルで柑橘類を思い出させる、香りが高いスパイスで、軽く擦ってタッカのスパイスとして使われたり、粉末スパイスとしてカレーなどに使われます。唐辛子などの辛さをまろやかにしてくれます。

 

レッドチリ(lal mirch; ラールミルチ)とブラックペッパー(kali mirch; カリミルチ)は鷹の爪と黒コショウですね。あまり説明いらないと思います。

 

シナモンスティック(dalchini; ダルチニ)、クローブ(laung; ロング)、ブラックカルダモン(badi ilaichi; バディエライチ)、ベイリーフ(tej patta; テジパッタ)などはカレーに欠かせないスパイスの組み合わせで、「ガラムマサラ」によく入るスパイスでもあります。またビリヤーニーやプラオ(ピラフ)など、炊き込みご飯系の料理にもよく使われます。

 

グリーンカルダモン(choti ilaichi; チョティ・エライチ)はとても甘い香りがするスパイスで、デザートによく使われます。インドのバニラと言えるかもしれません。場合によってはカレーなどの料理にも使われます。

 

マスタードシード(rai; ライ) は菜種で、菜の花のような辛味を持っています。これは地域によって色んな使い方があります。タッカスパイスとして使われたり、ペーストにしてマリネに使われたり、また菜種の油としても良く使われます。

 

フェンネルシード(saunf; サウンフ)は甘い香りと味がするスパイスです。タッカスパイスとして使われたり、粉末にして南インドのカレー料理にもよく使われますが、食後に、お砂糖と一緒にそのまま一つまみ食べてもおいしく、消化を助けてくれます。(インド料理屋さんのレジのところによく置かれています。)

 

フェヌグリークシード(methi; メティ)は苦い味のスパイスですが、そのままタッカスパイスとして、また粉末にしてカレーや豆料理などに使われます。体にとても良いスパイスですが、妊娠中の女性は沢山摂取してはいけないと言われます。

 

粉末スパイス類

 

用途によってはホール・スパイス(タネそのもの)ではなく、粉末のものが使われます。以下、粉末としてよく使われるスパイス類です。

 

ターメリックパウダー(haldi powder; ハルディパウダー )は体にとても良いので色んな料理に一つまみ入れて使われます。強い味や香りはしませんが、料理が黄色く染まります。洋服につかないように気を付けてください。

 

肉を使わない蔬食料理にアサフェティダパウダー(hing; ヒング)を一つまみ入れると一気に旨味が増します。生のアサフェティダを嗅いで見るとすごく臭いですが料理の隠し味としては酢こぐ美味しいです。インドではほとんど以下のブランドのものしか売られていないと思います。

 

レッドチリパウダー(lal-mirch powder; ラールミルチパウダー)は赤唐辛子パウダーで、唐辛子の種類によっては非常に辛いものから全然辛くないものまで沢山あります。色もオレンジ系から真っ赤まで色んな種類があります。カシュミール地方の唐辛子は真っ赤であまり辛くないのが特徴です。

 

ブラックペッパーパウダー(kali-mirch powder; カリミルチパウダー)は日本でもおなじみの黒コショウです。

 

コリアンダーパウダー(dhaniya powder; ダニヤパウダー)とクミンシードパウダー(jeera powder; ジーラパウダー)は3対1の割合で合わせて使うことが多く、レッドチリパウダーの辛さをまろやかにしてくれます。

 

ガラムマサラパウダー(garam-masala powder)は日本でもお馴染みだと思いますが、いくつかの香り高いスパイスを一緒に挽いたスパイスミックスで、ピリッと辛く、香りが高いです。香りは熱に弱いので、火を止めてから一つまみ入れてあげると一番良いと思います。

 

未熟マンゴーパウダー(amchur; アムチュール)は酸っぱく、少しだけ甘い味がします。レモンの明るい酸っぱさとは違って、少し控えめの、深みのある酸っぱさだと思います。

 

もっとあると思いますが、今日は以上にします。スパイスは体に良い成分が沢山入っていて、昔から味や香りだけではなく、健康目的でも料理に取り入れて使われています。体に良いスパイスの組み合わせ、冬に体が温まるスパイス、夏に体を涼しくしてくれるスパイスなど、インド各地の家庭料理には上手に使い分けられています。

 

日本ではインド料理に必要なスパイスや材料はアマゾンやインド食材専門店などで入手できますので、是非お試しください!

 

にほんブログ村 歴史ブログ 世界の伝統・文化へ
にほんブログ村

 

インド料理と言えば、スパイスですよね。ただ、スパイスは100種類近くあり、そのすべてを揃えるのは難しい。日本では「カレー・パウダー」を購入して使っている人が多いかもしれませんね。

インドでも、料理によっては、あらかじめ何種類かのスパイスを合わせて粉末にした便利な「マサラ・パウダー」が使われていますが、家庭料理にはホールスパイス(種そのもの)が使われることが一般的です。

 

よく使われるインド・スパイス(写真spurekarによるもの)

 

今日はホールスパイスの使い方として、インド料理の命とも言える「タッカ」(tadka)の概念をご紹介します。

 

タッカとは?

 

タッカとは、クミン・シードやマスタード・シードなどのホールスパイスを、熱した油やギー(澄ましバター)で「パチパチ」させて使うことを言います。「タッカ」という言葉自体、熱した油にマスタードシード等のスパイスが破裂してパチパチ鳴ることを指します。

タッカは二種類あります。調理の始めにするものと、その最後にするもの。多くは始めにします。ただスープ系のものは最後にすることが多いです。

料理によってタッカに使うスパイスも違いますが、一番簡単なタッカは、ターメリック、アサフェティダ、とクミンシードのタッカです。この三つのスパイスのタッカをするだけでもちゃんとインド料理になってくれます。今日はこのタッカを使った二つの料理をご紹介します。

 

ビンディ・サブジ(オクラのおかず)

ビデオは、一旦「設定→字幕」、字幕が出たら、「設定→自動翻訳→日本語」を選ぶと、わりと正確な日本語の字幕が見られます。

材料と作り方:

油を熱し、クミンシードを入れます。次はニンニク、青唐辛子、玉ねぎ、トマトを入れ少し柔らかくなるまで火を通します。その後ごく少量のアサフェティダとターメリックを入れて混ぜ、小さく切ったオクラを入れ、塩を加え、オクラが柔らかくなるまで火を通せば出来上がりです。好みによってパクチーを加えます。

 

オクラ以外にも色んな野菜が同じ作り方で作れます。

 

ダール・タッカ(豆スープ)

料理の最後にするタッカは「チョーンク」とも言い、これはスープ系のものに、上から熱した油を加える時にする「シー」という音から来ている言葉です。チョーンクの例は、この簡単なダール・タッカのレシピを見てください:


 

材料と作り方:

ハトエンドウ(皮なし、半分に割れたもの)1.5カップを洗って5~10分水に浸します。圧力鍋に浸した豆(ダール)、塩小さじ1/2、ターメリック小さじ1/2、冷水2.5カップを加え、柔らかくなるまで(日本式の圧力鍋なら10分位でしょうか)調理します。柔らかくなったダールをサービング・ボウルに移し、タッカの準備をします。タッカは小さなフライパンなどで、ギー(澄ましバター)を熱し、クミンシードをいれパチパチさせます。その後アサフェティダ小さじ1/4とニンニクをいれ、ニンニクに火を通します。お好みによって鷹の爪を半分に割って入れ、カリっとさせます。作ったタッカを、ギーごとダールの上にかけて出来上がり。熱々のご飯と一緒にお召し上がりください。

 

ハトエンドウ以外にも色んな豆で作れるレシピです。今日は長くなってしまいますが、次回以降豆の種類についてもご紹介したいと思います。

 

タッカは非常に簡単ですが、油やギーが適度に熱していなければうまく行かないのです。油を熱し過ぎるとスパイスが焦げてしまい、十分に熱しなければスパイスの香りや味を引き出すことが出来ません。しかしやってみればすぐわかるものなので、是非試してみてください。

 

タッカをする理由

タッカをすることによって、スパイスの味や香りが油に移り、その後炒めた野菜等が美味しくなります。また、スパイスにはビタミンやミネラルなど、健康に良い成分が豊富に含まれていますが、多くは脂溶性のものなので、油で調理することによって体が吸収しやすくなるのです。

また、上手にタッカをする油の温度は、料理にも最適な温度です。油を熱し過ぎると、まず体に良くないと思いますし、料理が焦げやすいですよね。また十分熱しなければ料理が美味しく出来ないのも事実です。なので、タッカに最適な温度であれば、料理もおいしく出来るという計算だと思います。

 

今日ご紹介したスパイスは Cumin Seeds, Turmeric, Asafoetida でした。ヒンディー語ではそれぞれ、「ジーラ(jeera)」、「ハルディ(haldi)」、と「ヒン(hing)」といいます。また、ハトエンドウは英語で「Pigeon Pea」といい、ヒンディー語では「アラハル・ダール(arahar daal)」または「トゥワル・ダール(toor daal)」といいます。日本ではインド料理に必要なスパイスや材料はアマゾンやインド食材専門店などで入手できます。

 

もっと読む:家庭料理によく使われるスパイス

 

 

 

にほんブログ村 歴史ブログ 世界の伝統・文化へ
にほんブログ村

 

インドのパンと言えば「ナン」!ですよね?

 

しかし、ナンはなんと、インド人もレストランでしか食べない特別なパンなんですよ!笑。

 

ナンを焼くのに「タンドゥール」という粘土のオーブンが必要で、家庭では簡単に焼けないのが一つの理由です。また、ナンは精粉(薄力粉)で作られるから、あまり健康的でないと思われていて、毎日食べる人はほとんどいないと思います。しかしもちろん、作ろうと思えば家でも作れるので、このページ最後に家庭で作れるナンのレシピをご紹介します。

 

家庭では「アタ粉」という全粒粉に似たもので、「タワ」という鉄板(フライパンでも出来る)などを使って簡単に焼ける「チャパティ」、「ロティ」、「パラタ」等のパン類が食べられます。中でも「チャパティ」や「ロティ」は北インドでは主食として日常的に食べられています。

 

アタ粉は小麦を石うすでひいたもので、砕く過程で石うすが熱くなって、粉にこんがり焼いた香りが付きますし、全粒粉なのでグルテン力が弱く、柔らかいパンが出来上がります。

 

「チャパティ」や「ロティ」の材料はアタ粉、ぬるま湯、塩だけです。作り方も、いくつかのコツを覚えてしまえば、とても簡単で、20分以内に家でホクホクのパンが作れてしまいます。インドでは普段ダール豆、炒めた野菜、カレーなどの料理と一緒に食べられますが、「タコス」のような食べ方や、チーズ、トマト等をのせてグリルでピザにするなど、色んなアレンジが可能です。

 

ビデオは、一旦「設定→字幕」、字幕が出たら、「設定→自動翻訳→日本語」を選ぶと、わりと正確な日本語の字幕が見られます。

 

 

アタ粉はインド食材専門店などで入手できます。薄力粉や強力粉で代用すると、ロティ・チャパティがとても固くなって食べづらいのでご注意ください。

 

パラタとは、中に具材を詰めて焼くパンで、チャパティ・ロティーより手間がかかりますが、お好みの具材で作れるから楽しいかもしれませんね。

 

 

パラタの材料

生地:

アタ粉(2カップ)、塩(小さじ1/2)、水(適量)、油(大さじ2)、

ジャガイモの詰め物:

ジャガイモ(3個、茹でてマッシュしたもの)、塩(小さじ1/2)、おろし生姜(小さじ1)、細かく刻んだ青唐辛子(2本、好みによって量を調整)、細かく刻んだパクチー(大さじ2)、ガラムマサラ(小さじ1/2)、アアムチュール(小さじ3/4、なければレモン汁で味を調える)

なければ除ける材料:

コリアンダーシード(小さじ1/2)、クミンパウダー(小さじ1/2)、アジョワン/カロムシード(小さじ1/4)、チリパウダー(小さじ1、辛さの量は調整出来る)

その他:

打ち粉用のアタ粉、パラタを焼くための油・バター

 

それでは、家庭で作れるナンのレシピをご紹介します。たまになら、作ってみたいですよね。

 

にほんブログ村 歴史ブログ 世界の伝統・文化へ
にほんブログ村

 

日本ではインドについてよく耳にする質問ですね。答える前に、「カレー」とは元々何なのか、正確に理解しておく必要があると思います。

 

「カレー」という言葉はタミル語の「カリ」に由来しています。日常のタミル語では、単に「カリ」といえば、通常未調理のヤギ肉を指します。 他の動物の肉を表すには、「カリ」の前に、その動物の名前を言います。例えば、鶏肉の場合は「コーリ・カリ」等。また、調理する時は、揚げ物(「ヴェルヴァル」)、ドライカレー(「チュッカ」)、シチュー・煮込み(「クランブ」)など、色んな方法があります。したがって、ヤギのシチューは「カリ・クランブ」と呼びます。

 

イギリスの植民地時代に、イギリス人がこの「カリ・クランブ」という料理を短くして「カリ」と呼び始めたのが、英語では「curry」、日本語で「カレー」等の言葉が世界的に流行るきっかけとなりました。

 

現在、「カレー」という言葉は、「スパイスや香味野菜で作ったソースにお肉などを煮込んで調理した、香りが高く、刺激的な味・風味のシチュー」という意味で使われています。「Curry」という言葉こそがタミル語に由来していますが、似たような料理はインド各地で昔から沢山あります。また、今ではインド・カレーの他、タイ・カレーや日本のカレーなどもありますよね。

 

以下、南インド、タミル・ナードゥ州の田舎生活を見せるチャンネルからのビデオです。このビデオではヤギ・カレーの本格的な作り方を見せています。(カレーの作り方だけを見るなら1分30秒から見てください)。

 

 

それでは、インド人はいつもカレーばかり食べているでしょうか?このご質問に関して、簡単に答えば「No」ですね。

 

現在の使い方で言えば、「カレー」は一種の調理方法にすぎません。他にも揚げ物、炒め物、蒸し物、焼き物、煮物、など、沢山の調理方法があります。それらは「カレー」とは呼ばれません。

 

しかし、日本を含める外国では「カレー味・カレー風味」といった使い方もよく聞きますので、調理方法というよりも、味や風味を指す言葉として使われているかもしれませんね。インドのスパイスで味付けされたものを「カレー風味」と呼んでいるのでしょうか。

 

そうであれば、もちろん、インド料理はスパイスで味付けされていることが特徴的だと言えると思います。日本料理の代表的な味付けは醤油、みりん、お酒であるように、またヨーロッパ料理の多くは塩・胡椒で味付けされるように、スパイスはインド料理の代表的な味付けだと言えます。ただ、インドで使われているスパイスは実に100種類近くあり、その組み合わせなども料理毎に違うので、味は多種多様ですよ。

 

また、すべて濃い味付けのものばかりではありません。特に家庭料理はあっさり系の料理も沢山あります。では、全インド各地の定番家庭料理のご飯とお豆スープの簡単レシピをご紹介しようと思います。さっぱりしていて、ほっとする味の一品で、日本人のお口にもとても合うと思いますので、ぜひお試しくださいね。

 

 

材料と作り方:

 

ハトエンドウ(皮なし、半分に割れたもの)1.5カップを洗って30分水に浸したもの、小さじ0.5のターメリック粉(ウコン)、小さじ0.25のアサフェティダ、と2.5カップの冷水を圧力鍋で柔らかくなるまで(日本式の圧力鍋なら8~10分位でしょうか)調理し、塩と好みによって少し黒砂糖で味を調え、ギー(澄ましバター)と一緒にご飯の上にかけてお召し上がりください。

 

圧力鍋がない場合は、普通の鍋でも出来ますが、柔らかくなるまで少し時間がかかりますし、沸騰してこぼれないように、また水気がなくならないように気を使わなければなりません。