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ヒンドゥスターニー古典音楽の理論を包括的にまとめて提供することがこのブログシリーズの目的の一つです。実際インド古典音楽の声楽や器楽を学びたい方向けにも利用できるリソースが多数あります。このページではそういったリソースを紹介しようと思います。

 

始める前に、私は東京・新宿周辺で初級・中級レベルの北インド(ヒンドゥスターニー)古典音楽の声楽レッスンをスタートしたく考えております。ご興味のある方は是非コメントにその旨一言残してください。10人ぐらい希望者が集まれば、2024年の夏頃からレッスンを開始しようと思います。詳細は後ほど共有させていただきます。

 

それでは、以下、インド古典音楽を学びたい方向けに便利なツールやリソース、インド古典音楽教育機関に関する情報、また、ボイス・トレーニングに関するヒント等を提供していきたいと思います。

 

便利なツールとリソース

 

否認:私はこのページに挙げたどの製品やサービスにもスポンサーされていません。ヒンドゥスターニー古典音楽を学びたい方がどこからスタートすればよいのか、わからない方が多いと思いますので、ご案内の目的で利用可能なリソースをまとめてみただけです。

 

デジタルタンプーラ・タブラ

 

ヒンドゥスターニー音楽を学ぶ方に最初にお勧めしたいものは、スマホからご利用できる練習用のタンプーラ・タブラのアプリです。元々タンプーラとタブラは楽器ですが、日本では手に入れにくいし、チューニング等が複雑で初心者には使いづらいこともあり、近頃はスマホにインストールしたアプリを練習に利用している人が増えています。私は「iTablaPro」というアプリを使っており、非常に気に入っていますが、これはiOS (iPhone) 向けのみとなっております。Androidのスマホをご利用の方も利用可能なアプリとしては「iShala」があります。「iTablaPro」も「iShala」も有料アプリです。

 

オンライン・データベース

 

SwarGanga Music Foundation は、ヒンドゥスターニー音楽のラーガ、ターラ(リズム)、バンディッシュ(ラーガ曲)などの膨大なデータベースを提供しています。 ラーガ・データベースには 500以上のラーガに関する情報、バンディッシュ・データベースには6000以上のバンディッシュ、ターラ・データベースには 74 のターラに関する情報が提供されています。無料でアクセスできる情報も多いが、多少有料な情報も含まれています(例えばバンディッシュの楽譜や音声等)。

 

インドでの古典音楽教育

 

インドでは普段、古典音楽の訓練は子供の頃から家庭教師の下で始めます。ほとんどの町や都市には、声楽や器楽の個人またはグループレッスンを提供する家庭教師がおり、子供たちは通常、放課後にこれらのレッスンに参加します。都市等では正式な音楽コースを提供する教育機関も沢山あります。最近ではリモートでレッスンを提供するオンラインスクールもたくさんあります。 生徒は、声楽や器楽の初級・中級・上級クラスに登録し、グループまたは個人レッスンを受けることが出来ます。リモートだと、音声が途切れたり、音が正確に伝わらない等のテクノロジー上の欠点はありますが、近くに学校がなければ便利であることは間違いないです。

 

大学の音楽学部

 

大学で音楽の学位を取得することも出来ますが、以下、ヒンドゥスターニー古典音楽の学位が取得できる有名な音楽学部の例です:

 

Gurukul 制度

 

教師(グル)の家族の一員となって何年にもわたって教育を受けるというインドの伝統的な教育制度(gurukul 制度と言いますが)は音楽の世界では、今も残っています。この制度により、グルの下で長年にわたって学び、本当の意味でグルの音楽伝統を継承することができます。有名な音楽家ほどgurukul 制度を通じて、自分の音楽や音楽スタイルを直接伝える弟子を沢山受け入れて訓練させています。

 

音楽認定試験制度

 

全国共通認定試験の制度もあり、受講方法に関係なく、段階ごとの認定試験に登録し受験することが出来ます。試験は Akhil Bharatiya Gandharva Mahavidyalaya Mandal によって実施され、合格すると該当レベルの合格証明書が出されます。レベルは、「prarambhik (初等)」 から始まり、「visharad (学士号に相当)」、「alankar (修士号)」、または「sangeetacharya (博士号)」 まで、多くあります。

 

ボイストレーニングのヒント

 

音楽のジャンルによって声の出し方が異なります。ジャズとオペラを比べてみるとっその違いがすぐ分かりますよね。あるいは、日本で言うと演歌と民謡での声の出し方の違い。インドでも、北インドと南インドの古典音楽に関して言えば、声の出し方や装飾が大きく違います。実際、ほぼすべての音楽ジャンルに独自の声の出し方があります。したがって、自分が学びたい音楽ジャンル内で手本を見つけることが重要です。

 

ヒンドゥスターニー古典音楽では、基本的には胸声を使用し、高いピッチを歌う時だけ胸声と頭声を適切に混ぜて使用します。ピッチが高くなるほど、頭声の割合が大きくなります。コツは頭声の比率を徐々に上げていくことです。

 

Anuradha Kuberさん(ヴォーカル、女性)

結婚式で歌われる北インド古典音楽曲

 

Shankar Mahadevanさん(ヴォーカル、男性)

Katyar Kaljat Ghusli 映画に出て来る北インド古典音楽曲

 

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以上、「第10章 インド古典音楽を学ぶためのヒントとリソース」でした。

このシリーズのほかのブログ(未投稿のものも含める):

第1章インド古典音楽の概要

第2章 インド古典音楽におけるオクターブの12音

第3章 ラーガとは?(ラーガの概念を詳しく説明)

第4章 インド古典音楽におけるリズム(ターラ)の考え方

第5章 インド古典音楽における装飾

第6章 インド古典音楽の記譜

第7章 インド古典音楽のサブジャンルと曲

第8章 インド古典音楽における即興演奏の仕方

第9章 ラーガ演奏の構成

 

その他:

3000~3500年昔の神秘的な古代音楽

500年前に作曲された曲

日本の「音階」とインドの「ラーガ」:似ているものを探してみました!