南インド古典音楽(カルナータカ音楽)の有名な作品。作曲家は 1484年生まれの Purandara Dasa (プランダラ・ダーサ)氏、現代カルナータカ音楽の基礎を築いた偉大な人物。演奏家は12才の Rahul Vellal 君。
なんてよく鍛えられた声だろう!
ラーガ(音階)の名前は、南インド古典音楽では「Kapi」といいます。同じラーガが北インド古典音楽では「Mishra Pilu」と呼ばれています。(「ラーガ」とは何か、詳しくは 「インド古典音楽:「ラーガ」とは?(一歩ずつデモ+説明)」をご覧ください。)
曲の意味とその背景
カルナータカ古典音楽は宗教音楽の様相が強く、歌詞はヒンドゥー教の神話に基づいたものが多いです。
今回の曲は「クリシュナ」に関する神話に基づいています。クリシュナとは「ヴィシュヌ神」のアヴァターラ(化身)の一つであります。ヒンドゥー教では、世の中に不道徳が充満してしまうと、ヴィシュヌ神が道徳を取り戻すために化身すると考えられており、クリシュナはその化身の一つと言われております。ヒンドゥー教の聖典にはクリシュナの人生が最初から最後まで詳しく語られていますが、中でも、彼がいたずらな坊やだった時のエピソードが沢山あり、とてもかわいらしく描かれていて、女性(特に子供を持つ女性)には大人気です。
今回の曲は、クリシュナが偉大な神様であることを知らず、自分の子供だと思って可愛がったり、遊んだりしている「ヤショーダさん」をうらやましく思う形で作成されたものです。
お知らせ
東京・新宿周辺で初級・中級レベルの北インド古典音楽の声楽レッスンをスタートしたく考えております。ご興味のある方は是非コメントにその旨一言残してください。10人ぐらい希望者が集まれば、2024年の夏頃からレッスンを開始しようと思います。詳細は後ほど共有させていただきます。
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他のブログ:
日本の「音階」とインドの「ラーガ」:似ているものを探してみました!
「インド古典音楽について」シリーズ
第8章 インド古典音楽における即興演奏の仕方
第9章 ラーガ演奏の構成