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3000~3500年前にどんな音楽があったのでしょうか?いくつか共有したい例がありますが、まずはヤジュル・ヴェーダ (紀元前1200~900) からこの戦闘の聖歌を紹介しましょう。

 

ヤジュル・ヴェーダ、戦闘の聖歌

 

上のビデオは、2 つ異なるスタイルでのヴェーダ朗読を紹介したものです。最初は、単純朗読スタイルである「サンヒタ・パータ」と呼ばれるもので、その後は、エネルギーを生み出し鼓舞させる複雑な朗読パターンである「ガナ・パータ」と呼ばれるものを紹介しています。

 

ヴェーダは古代インドのヒンドゥー教の経典です。 全部で「リグ・ヴェーダ」、「ヤジュル・ヴェーダ」、「サーマ・ヴェーダ」、と「アタルヴァ・ヴェーダ」と呼ばれる4つあります。いずれも大規模な詩集であり、宗教的と非宗教的なさまざまなトピックに渡る賛美歌や詩を含んでいます。リグ・ヴェーダ (紀元前 1500~1200 年) が最も古く、最も包括的な (10,600の節を含む)ヴェーダですが、その他のヴェーダは全てリグ・ヴェーダから派生したもので、リグ・ヴェーダに基づいています。

 

たとえば、リグ・ヴェーダは主に 3 つの音符を使用して唱えられますが、サーマ・ヴェーダ (紀元前 1200~900) 年はより音楽的なヴェーダです。「サーマン」という言葉はサンスクリット語で歌を意味し、英語の「hymn」という言葉の語源である可能性があります。 サーマ・ヴェーダは1,875のサーマンで構成されており、そのほとんどはリグ・ヴェーダの節を最大 7 つの音符を使用し、音楽としてアレンジしたものです。

 

1,875全てのサーマンの楽譜もサーマ・ヴェーダの欠かせない部分であり、音符やその他の情報を示すために数字 (または流派によっては文字) を使用して歌詞の上および隣に書かれています。

 

 

サーマ ヴェーダ、ラクシュミ スクタ、 ギリジャプラサド シャダンギ博士

 

聞いてみてお気づきかもしれませんが、上記のサーマ・ヴェーダの賛美歌には6つの音符が使用されており、7つ目 (最低音) の音符が示唆されています。歌詞の上部および隣にある数字やその他の記号は、音符、その長さ、強調、装飾パターン、繰り返しの必要性などについての情報を提供しています。

 

以下、多少古い写本の一部の写しです。

 

紀元前10世紀サーマ・ヴェダ、カウトゥマ・サンヒタ、ヴェヤガーナの西暦1672年に作成された写本、

ノルウェー・ショーエン・コレクション、サラ ウェルチ氏撮影、CC BY-SA 4.0 でライセンス供与

 

ヴェーダは保存と参照の目的で写本が作成されますが、音楽と音を忠実に保存する上、教師から生徒へと口頭で伝えることが厳密に定められています。口頭伝承では、楽譜は手のジェスチャーを通じて伝えられます。これらのジェスチャーは、教育上だけでなく、サーマンの歌唱時にも欠かせないものです。以下のビデオは、手のジェスチャーをデモンストレーションしたものです (CCで英語のキャプションが利用可能)。

 

手で見せるサーマ・ヴェーダ賛美歌の記譜(ヴェーダ研究局提供)

 

歴史家によれば、長い進化の初期期間を経て、紀元前 1500 年から 1000 年の間にヴェーダが成文化され、4つの詩集に集められました。 それ以来変わっていないと思われています。何千年にもわたって、ヴェーダの司祭がヴェーダを保存するために多大な努力をし、世代から世代へと、一語一語、そのイントネーションも変わることなく、忠実に伝えてきました。その正確な保存と送信を確保するために、複雑なクロス・チェッキングの方法が使用されています。結果、少なくとも過去 3000 ~ 3500 年間にわたって、破損することなく保存された、人類最古の歴史記録が今でも存在しております。

 

古代音楽と言えば、他にもメソポタミアの古代音楽の楽譜等がみつかっており、それを現代音楽家が再現したものもありますが、ヴェーダ音楽のユニークな点としては、楽譜だけではなく、その詠唱の伝統も途切れることなく、何千年も続いているので、まさに生きた歴史と言えるものだと思います。

 

また、ヴェーダはさまざまな場面で使用される聖歌や音楽の大規模な歌集でもあり、当時の音楽や社会を詳しく知る上で、貴重な歴史的資料となっております。

 

さらに2つ、サーマ・ヴェーダの聖歌のとても美しいビデオを以下に紹介します。米国やヨーロッパなど、一部視聴できない地域もあるようですが、日本では視聴できるようになっていると思います。

 

最初のビデオには、主に「村の歌」カテゴリーに属する曲が含まれており、これらは、村に住む世帯主が行う儀式の一環として歌われるものです。2 番目は、「森の歌」カテゴリに属する曲が含まれているようです。これらは、野生の空間に生息する神や動物、植物などのために、野生の中で歌われる目的のもので、主に意味のない言葉を使用しており、村の歌とはかなり異なって聞こえます。

 

サーマ・ヴェーダ、村の歌

 

サーマ・ヴェーダ、森の歌

 

人類の歴史の貴重な遺産であるヴェーダはユネスコの「世界記憶」そして「無形文化遺産」として登録されていますが、残念ながらあまり知られないままとなっております。もっと広く知られたいですね。ご友人など、ご興味のある方に是非シェアーしてくださいね!

 

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ほかにも以下、インド古典音楽についてのブログ等をご覧ください。

 

第1章インド古典音楽の概要

第2章 インド古典音楽におけるオクターブの12音

第3章 ラーガとは?(ラーガの概念を詳しく説明)

第4章 インド古典音楽におけるリズム(ターラ)の考え方

第5章 インド古典音楽における装飾

その他:

500年前に作曲された曲

日本の「音階」とインドの「ラーガ」:似ているものを探してみました!