さて、時刻は12時39分。つまり暑さはすでに最高潮なわけだが(笑)。
それにもめげず、あわら市吉崎地内の
地図にもハッキリと矢印方向に分け入る道が描かれているが、現地で見るそれは実に心許ない。
地図には描かれていないものの、この先に目的のブツがあるのだが…
グエッ(爆)
すぐ先で道は消失。真性のグリーン・ヘルが行く手を阻む。ひと目見て、あっさり撤退。ココから辿るのは自殺行為、と。
この奥にあるのは、温泉街である芦原と蓮如上人ゆかりの吉崎御坊を結ぶ鉄道として計画された吉崎鉄道、その名残りである。 昭和3年に建設着工したが、様々な問題が発生し、昭和8年に工事は中断。計画は頓挫してしまった。 戦後になって再開の動きもあったというがそれも実らず、 完成していた吉崎から2.4kmほどの路盤だけが残されたのである。
今ではほとんどの区間が道路に取り込まれるなどして消滅しているが、たまたま道路から外れてとり残されたこのわずかな区間に、路線中唯一の短い隧道が現存しているんであります!
まさに、今や幻の吉崎鉄道を偲ぶ唯一の物理的痕跡。その昔、名著「鉄道廃線跡を歩くⅧ」でその存在を知って以来、ずっと気になっていた物件に、念願かなってようやくやってきた、というわけで。
車道から観察、藪の突破口を見つけて突入してみると、
当たり!めっちゃ歩きやすくなった!
行く手が切れ落ちているようだ。掘割状になっているっぽい。コレは…
やはり…
ゲッチューー!
掘割の底には、およそ鉄道トンネルには見えないが、確かに穴が!
ズザザー!と掘割へと降り立ち、正対。
うわぁ~…。
人知れずこんな場所に眠る…ほら穴(笑)。どう見ても、鉄道用のトンネルには見えない。完全に未成隧道だ、コイツは。
興奮抑えきれず、進入。
頭上の巨大な岩の圧迫感が凄い。
延長は20mほどだろうか。大分や房総で見た、砂岩質の廃隧道を彷彿とさせる、月面ちっくな洞床。頓挫した鉄道計画を象徴するような未成っぷりだった。
洞内真ん中あたりから振り返り。
うん、やっぱりこの1ヶ月半前に大分で見た丸塚隧道と似た感じがする。サイズは違うけど…。
しかしこの扁平な穴、力学的に不安やな…。
放棄されて80余年、その間に少しずつ崩落してきた結果を見ているのだろうが、どうしてもここを鉄道車両が通るイメージが出来ない、しつこいようだが。
完全なる未成隧道。
その象徴的な光景が、
【後篇】に続く。