
今回の選挙では、食料品の消費税を(期間はともかく)ゼロ%にすることを、与野党とも公約に掲げている。
そうなると消費者は、「食料品を今より8%安く買えるぞ」と期待するのが当然だろう。
👤私は元スーパーの社長だったので、真っ先にこんなことを考えてしまう。
・値上げが続けば、8%なんてすぐに吸収されてしまうのではないか?
・これまでのように、一旦預かった消費税を当座の資金繰りに使えなくなる…
・値札やシステム変更に、また手間とコストがかかる
(また現場にしわ寄せか…)
☝️あまのじゃくの私は、「実際の減税効果はそれほど大きくないのでは?」と勘ぐり、過去に同じことをした国を調べてみた。それがドイツである。
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ドイツは2020年、コロナ禍の景気対策として、食料品などの税率を7%から5%へ引き下げた。日本の「8→0%」とは規模が違うが、減税であることに変わりはない。
☝️この時、スーパー全体の価格は平均で約1.3%下落した。減税幅2%のうち、約7割が消費者に還元された計算になる。
「思ったより、きちんと下がっているじゃん?」と感じる人もいるかもしれない。
しかし裏を返せば、「3割」は価格に反映されなかったということでもある。
日本の税率換算では「2〜3%」はどこかに消えるということだ。
実際、現場では人件費や物流費が上昇しており、減税分の一部は値下げではなく、赤字補填に回された。結果として期待されたほどの“お得感”は広がらなかったという。
さらに影響を受けたのが飲食業界だ。
店内飲食とテイクアウトで税率が異なり、会計処理が複雑化。現場では混乱やミスが相次いだ。
生活支援のための政策が、かえって現場の負担になる側面もあったのである。
☝️こうした結果を踏まえ、ドイツは2021年に税率を元に戻した。物価抑制効果は限定的で、長期的な効果は小さいと判断したのだ。
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👤では、日本で同じことをしたらどうなるのか。
おそらく価格は一定程度下がるだろう。だが、8%すべてが消費者に還元される可能性は高くない。事業者はコスト補填に回し、事務負担は確実に増える。
一方で、5兆円ともいわれる税収減による財源問題は避けられない。
結果として、「消費者は一時的に得をした気分になるが、現場は疲弊する」という構図になりかねない。
将来、税率が「0→5→8%」と段階的に戻されたとしても、国民の反発は相当なものになるだろう。
国の財政を握る当局(Z)が、いつまでも政治の人気取りに付き合うとも思えない。
食料品の消費税減税は、決して“万能薬”ではない。
その「副作用」をもっと冷静に見極める視点が求められていると感じた次第です。
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📘元・倒産社長 小林 久 公式サイト
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