
👤「消費税を下げるのなんて簡単。レジの税率を8%から5%に変更すればいいんだから!」
経済評論家が物知り顔で語るが、まあ荒っぽく言えばこれも正解である。
しかし、ほとんどのスーパーはこうはいかない状況なのである。
新たな“連立政党”が主張する、「食品の消費税を2年間8%から5%にする」という政策。実現するかはともかく、もしそうなった場合に、スーパーはどんな作業をしてそれに備えるのかを解説してみたい。

👤スーパーの社長
「よしっ、これで食品の売り上げが増えるぞ!」
消費税が下がれば、お客さんは安くなった分
“余計に“買ってくれる。
☝️さて、ここでスーパーはすべての商品の「売価」を変更する作業が発生する。
スーパーやコンビニは、店内で売る商品すべてに「商品マスタ」というデータベースがあり、「原価・売価・特売価格・仕入れ先」などが登録されている。
レジで「ピッ」とバーコードを読み込むと、瞬時にその「商品マスタ」に値段を問い合わせているのだ。
では、①すぐに5%に対応できるスーパーとは?
商品価格が「税抜き(税別)表示」の店
→これなら「商品マスタ」の食品カテゴリーの税率を8%から5%に変更すればいい。
(例:税抜き100円の商品が108円から105円になる)
②すぐに5%に対応できないスーパーとは?
商品価格が「税込み表示」の店
→これだとすべての商品の売価を見直す必要がある。
(例:税込み100円の商品は税抜き93円、5%になれば税込み97円に要変更)
スーパーやコンビニには、(規模にもよるが)何千・何万もの取り扱い商品がある。まずはそのすべての「棚札」を交換しなければならない。
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☝ここで問題になるのは、コスモスドラッグのような「税込み価格」表示の店である。
皆さんお気づきだと思うが、「税込み価格」は198円・280円・980円のように“キリのいい”値段に統一されているということ。
8%の消費税込みで“キリのいい“値段にしてあるのに、今度は5%に下げたうえでキリのいい値段にする必要がある。
(例:税込み198円の商品→192円・980円→952円)
👤では店が消費税5%になったら192円や952円で売るか?という疑問…
私なら「198円を195円」に、「980円を960円」こんな感じにする。
✅これでまたもや『ステルス値上げ』の完成である(笑)
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せっかくこれまで食品の8%を前提に売価をキリよくしたのに、また一からこの作業をするのは大仕事。それに利益も減っているから、この機会に少しでも利益を取りたい…。
お客さんも黙ってはいないので、店側は大っぴらにはしないが、直近「トライアル」が税込みから税抜きにしたとき、(税込み価格)+(消費税)に変更して炎上したことを思い出す。
もし消費税が5%になり、また2年後に8%に戻ることが決まれば、スーパーやコンビニの多くは「税抜き表示」一本にして、(売価がいくらになろうとも:変な数字になっても)税率だけを変更すれば対応できるようにしていくと思う。
☝️蛇足だが、そうなれば国が増税しても国民に分かりづらくするために“推奨“している「税込み表示」とは逆行することになります。
【小林久ホームページ】
https://www.kobayashihisashi.com