【もし消費税が5%になったら、スーパーはどんな「値付け」をするの?】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は「笑って泣かせる」講演講師に。『現代ビジネス』コラムニスト

 

👤「消費税を下げるのなんて簡単。レジの税率を8%から5%に変更すればいいんだから!」

 

経済評論家が物知り顔で語るが、まあ荒っぽく言えばこれも正解である。

 

しかし、ほとんどのスーパーはこうはいかない状況なのである。

 

新たな“連立政党”が主張する、「食品の消費税を2年間8%から5%にする」という政策。実現するかはともかく、もしそうなった場合に、スーパーはどんな作業をしてそれに備えるのかを解説してみたい。

 

 

👤スーパーの社長

「よしっ、これで食品の売り上げが増えるぞ!」

消費税が下がれば、お客さんは安くなった分

“余計に“買ってくれる。

 

☝️さて、ここでスーパーはすべての商品の「売価」を変更する作業が発生する。

 

スーパーやコンビニは、店内で売る商品すべてに「商品マスタ」というデータベースがあり、「原価・売価・特売価格・仕入れ先」などが登録されている。

 

レジで「ピッ」とバーコードを読み込むと、瞬時にその「商品マスタ」に値段を問い合わせているのだ。

 

では、①すぐに5%に対応できるスーパーとは?

 

商品価格が「税抜き(税別)表示」の店

→これなら「商品マスタ」の食品カテゴリーの税率を8%から5%に変更すればいい。

(例:税抜き100円の商品が108円から105円になる)

 

②すぐに5%に対応できないスーパーとは?

 

商品価格が「税込み表示」の店

→これだとすべての商品の売価を見直す必要がある。

(例:税込み100円の商品は税抜き93円、5%になれば税込み97円に要変更)

 

スーパーやコンビニには、(規模にもよるが)何千・何万もの取り扱い商品がある。まずはそのすべての「棚札」を交換しなければならない。

 

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☝ここで問題になるのは、コスモスドラッグのような「税込み価格」表示の店である。

 

皆さんお気づきだと思うが、「税込み価格」は198円・280円・980円のように“キリのいい”値段に統一されているということ。

 

8%の消費税込みで“キリのいい“値段にしてあるのに、今度は5%に下げたうえでキリのいい値段にする必要がある。

(例:税込み198円の商品→192円・980円→952円)

 

👤では店が消費税5%になったら192円や952円で売るか?という疑問…

 

私なら「198円を195円」に、「980円を960円」こんな感じにする。

 

✅これでまたもや『ステルス値上げ』の完成である(笑)

 

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せっかくこれまで食品の8%を前提に売価をキリよくしたのに、また一からこの作業をするのは大仕事。それに利益も減っているから、この機会に少しでも利益を取りたい…。

 

お客さんも黙ってはいないので、店側は大っぴらにはしないが、直近「トライアル」が税込みから税抜きにしたとき、(税込み価格)+(消費税)に変更して炎上したことを思い出す。

 

もし消費税が5%になり、また2年後に8%に戻ることが決まれば、スーパーやコンビニの多くは「税抜き表示」一本にして、(売価がいくらになろうとも:変な数字になっても)税率だけを変更すれば対応できるようにしていくと思う。

 

☝️蛇足だが、そうなれば国が増税しても国民に分かりづらくするために“推奨“している「税込み表示」とは逆行することになります。

 

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