オーディオドラマ制作サークルpurplesounds@hotmail.co.jp過去作品は右側の「テーマ」から「作品」をクリックで表示されます。2026年4月26日(日)開催の M3-2026春 に参加します。スペース番号は G-16b です。
先日3300円で買ったasus C214MAに引き続き、Fujitsu ARROWS Tab Q509VEにもMX Linuxを入れてみました。ML Computersで5500円で購入。広告にはストレージ64GBとありますが買ってきた個体は128GBでした。が、個体差かもしれません。MicroSDで増設可能なのでさしたる問題ではありません。https://t.co/H3EyaaN4Sd pic.twitter.com/o0O29wPq6C— MLCOMPUTERS アキバ (@GMlpc2jp) July 29, 2026 どちらも同じ時期にGigaスクール用途を考慮して作られた文教モデルのパソコンです。C214MA-BU0029(PDF)Q509/VE-FARQ22014(PDF)両機種共にUSB-C端子から充電できますが、Q509のほうはUSB-Cとは別の専用電源端子につなぐAC/DCアダプターが付属。バッテリーは少なくとも2〜3時間は保つので極端に劣化してはいない模様。この専用アダプターを使うと充電がかなり速いです。本記事を参考にOSを入れ替えて使う場合は自己責任で願います。■Linuxインストール購入時点ではWindows11が入っていました。N4000/4GBだと動くけど実用には厳しいスペックでデバイスマネージャーにも不明なデバイスがいくつかある状態。Win10用らしきリカバリ領域810MBが残っているもののドライバ類のバックアップも無ければオリジナルのUSB回復ドライブも無いのでWindowsのリカバリ環境の保存は考えずにLinux化します。msinfo32で見るとBIOSのバージョンが1.18と古かったのでアップテーターを富士通のWebサイトから入手し説明の通りに適用します。Q509/VE FARQ2204サポートダウンロードからARROWS Tab Q509/VE,ARROWS Tab Q509/VB,arrows Tab WQ2/D1 BIOS書換データをダウンロードし、説明通りにターミナルからアップデーターを実行。まず1.18から1.32に上がり、再起動して1.32から最新の1.40へ上がり、再起動。内蔵カメラのファームウェアのバージョンも上げます。SunplusIT カメラファームウェアアップデートツールをダウンロードして適用し、デバイスマネージャーで"FJ8M Camera"のハードウェアIDがREV_1227になればOK。これらの作業はWindowsであるうちに行います。起動時にF2を押しているとBeep音が鳴ってBIOS(CMOS)設定画面へ入れます。"起動"タブの"起動デバイスの優先順位"リストでUSB HDDを一番上に持ってきて保存して終了で再起動。本機種はChromebookと違ってLinuxインストールの前に本体Firmwareを書き換える必要がありません。以後はMX-25.2_Xfce_ahs_x64.isoとRufasで作ったUSB起動ドライブからの通常インストールです。今回は最初からsystemdを選択。zramを50%で設定、ハイバネーション無し。他は初回起動後の設定を含めて全てC214MAの時と同じ。インストーラー終了後の再起動で再びBIOS(CMOS)設定に入って起動順をUSB HDDから本体のMX Linux優先に変更。タッチパッド、タッチパネル、タッチペン、Wi-Fi、Bluetooth、内蔵カメラ2台、パネル開閉によるサスペンド、全てインストール直後から無設定でそのまま動きます。また、C214と違いIntel HDAの内蔵オーディオもそのままで音が出るのでUCM設定を修正する手間がありません。キーボードもChromebookの固有機能キーと違って最初からファンクションキーなのでそのまま使えます。Linuxのインストール難易度はC214MAより低いです。■起動速度の比較と起動時に画面が乱れる問題の対策C214は画面を開けるだけでサッと起動しますがQ509は画面を開いてから小さな電源ボタンを押して起動。意外にも大きな差が出るのが起動スピードの違いでC214のほうが明らかに早いです。BIOSの起動ロゴが出てから自動ログインでXfceのデスクトップ画面にConkyの時計が表示されるまでの時間を比較すると、Q509が1分45秒かかるのに対してC214は54秒しかかかりません。BIOSの起動ロゴ表示の時間がQ509が8秒、C214は4秒で、その後MX LinuxのGRUBブートメニューのタイムアウトが5秒とConkyの自動スタート待機時間が10秒入っていますので、カーネルをRAMに展開し始めてからデスクトップ画面表示までの時間で比較してもQ509の1分22秒に対しC214は僅か35秒です。Q509のほうはZRAMを使っていますが起動時間が何十秒も増えるとは思えず。演算速度は互角なはずなのでI/O速度や画面解像度の違いが出ているのかもしれません。GRUBブートメニューの背景が消えた所からMX Linuxのスプラッシュロゴが表示される間の解像度が変で画面が乱れてロゴがやたらゆっくり描画されますのでこれを修正。まずGRUBメニューの解像度を変更しました。設定ファイルをテキストエディタで編集します。$ sudo nano /etc/default/grubGRUB_GFXMODE=1024x768となっている所が解像度なので1920x1200にして、起動後にCUIに切り替えた場合もその解像度を継続するように書き換えます。GRUB_GFXMODE=1920x1200GRUB_GFXPAYLOAD_LINUX=keepファイルを保存したらGRUBに設定を反映します。$ sudo update-grubMXツールの"MX起動設定ツール"を開き、"カーネルのパラメーター"の quiet splash の後に nomodeset を追加して「適用」。これで起動時の画面解像度が変わらず、MX Linuxのロゴも速く正しく描画されるようになり、起動時間も1分45秒から12秒短縮されて1分33秒になりました。個人的にはスプラッシュのチェックも外してブートシーケンスが文字でずらずら出てくる昔の起動画面のほうがunixらしくて好きだったりします。追記:nomodesetオプションを指定すると画面乱れはなくなりますが、intel graphicsの描画が遅くなるようです。別の方法を試行中……。■デスクトップの時計の下にバッテリー状態のバーグラフ表示が出ないC214では出るのにQ509では出ません。理由はバッテリーのステータスが格納されているフォルダ名がC214とQ509で異なるためです。MXツールの中から"MX Conky"を起動し左側に表示されるリストをスクロールしてステータスが赤色のStoppedではなく緑色の"Running"になっているもの(MX-Infinity:MX-Infinity-conkyrc)を探します。そこに設定ファイル(MX-Infinity-conkyrc)のパスが書いてあります(/usr/share/mx-conkey-data/themes/MX-Infinity/MX-Infinity-conkyrc)。そのファイルを管理者権限のテキストエディタでそのまま開くか"編集"ボタンをクリックして書き換えます。編集ボタンを押した場合はホームディレクトリに設定ファイルがコピーされます(クリックしたらコピーの名前を付けるダイアログが出る)。conkyrcの一番下にバッテリー関連の表示部分があり、BAT0とかBAT1とか書いてありますが、Q509だと/sys/class/power_supply/以下のバッテリーステータスが格納されているフォルダ名がBAT0/1ではなくCMB1ですから、BAT0になっている部分を全部CMB1に置換します。conkyrcを保存したら"Running"になっているConkyを"停止"し、CMB1に書き換えたConkyを"開始"します。次回起動した時に表示されるように自動スタートにもチェックを入れます。■高精細画面のQ509とキビキビ動作感のC214Q509/VE FARQ22047がC214MA-BU0029より優れている点として画面解像度が1920x1200(WUXGA)と精細で付属のタッチペンが使えます(Wacom製デバイス用ドライバがデフォルトでセットアップされている)。私は絵描きではないのでタッチペンの精度や使い勝手の実用度はわかりませんが、GIMPで絵を描いたり画像ビューワー用途やMcomixで漫画や書籍を読んだりする分にはC214よりQ509のほうが向いていると感じます。Q509のほうが解像度は高いが画面サイズがC214より小さいため、老眼世代にはアイコンも字も小さすぎて読みにくく、ディスプレイ設定でスケールを上げて使っています。日本の学校の机のサイズに合わせて作ったのか本体自体も一回り小さいので、キーボードが打ちやすいのはC214のほうです。キーボード(FMV-NKB33)を装着した状態だと幅はC214のほうが広く、奥行きはQ509のほうが大きい。どちらもノングレア液晶ですがQ509のほうが保護シートが厚く発色はC214のほうが鮮やかに感じられます。Q509は画面側が本体でキーボードはスタンド兼用なので重量バランスがトップヘビーで後ろ側へ倒れやすく、フリップ角度の調整幅に限度があって下の写真より後ろ側には倒せません。360度フリップできるC214は特殊としても、キーボード側が本体で重心が低い一般的なノートPCと比べても倒せず。教室の机でだけ使うならともかく、寝転んだりクッションに座ったりであちらこちらで文章を書いていると画面を寝かせて使いたい場合があり、C214のほうが自由度が高いです。起動時間に差があるものの起動してしまえばさほど速度に違いがないはずの両機種ですが、やはりC214のほうが若干キビキビと動くような印象があります。テキストエディタを使ったポメラ的文章書きマシーンとしてはC214 のほうが向いていると思います(ワープロや表計算アプリだとまた印象が違うかも)。Q509はキーボード左上のヒンジ部のボタンを押すと取り外してタブレットとしても使えます。ログイン画面のソフトウェアキーボードにもデフォルトで対応。しかしタブレットとしての使い勝手はAndroidほどこなれていないしフリック入力も無いので、AndroidやiPhoneからコンピューターに入った人々からすると使いにくいでしょう。現行のAndroid製品のSoCのほうが演算速度もグラフィック描画も速いです。5500円のジャンク品に多くを期待しては酷というもの。Q509には加速度センサーや地磁気センサーなどセンサー類も付いているのでLinuxから見えるなら面白い使い道があるかもしれません。スクリプトを書けば画面の自動回転もできるようですが、個人的には手動回転で良いかな。RetroArchも動いたし(Synapticやapt installで入れるとまともに動きませんのでRetroArchの公式サイトからQt版のAppImageをダウンロードして手動インストールすることをお勧めします)、軽いので安価な台本読みタブとして使えるように手書き機能付きの使いやすいPDFビュワーがあれば良いがなあと考えています。どちらの機種も1台で万能を目指さず目的を絞って使えば楽しく遊べます。■残る問題点動画の再生能力が低すぎるような。vlcで色々と設定を試していますがAMD Athlon(kabini)よりも再生能力が劣る印象で、非力とは言えチップセットに動画再生支援があるならもう少しマシになると思うのですけど。(がんくま)【関連記事】ジャンク品のChromebook ASUS C214MAにLinuxを入れて文章書き端末にする
最近買ったものにRoland T-8があります。私はシンセを効果音制作にしか使っていなかったのですが、T-8は想像以上に楽しい機械ですね〜!!私のようにリズムマシンに縁が無かった人のほうがハマるね〜!!そういえばRoland SYSTEM-1を持っているので、あれと同期できればアルペジエイターでDJの真似っこできるんじゃね?と思いつき。T-8のMIDI IN/OUTは今まで当家で縁がなかったTRS-MIDI端子です。SYSTEM-1のそれはDIN 5Pinメスの標準MIDI端子。両者を接続するためのTRS-MIDI端子には何種類か規格があるが、当家で必要なのは3.5mmプラグを使ったType-AのTRS-MIDIケーブルだとわかった。※AIRA LINKの存在は忘れてください。よし、作ろう!秋月電子で部品を買ってきました(今回の記事は工作初心者向けです)。[113083]3.5mmステレオミニプラグオーディオケーブル 金メッキ スリム 0.9m(90cm)https://akizukidenshi.com/catalog/g/g113083/↑このケーブルを真ん中で半分にぶった切って、[109386]DINプラグ(オス) 5P 180°https://akizukidenshi.com/catalog/g/g109386/↑このコネクタを付けると出来る。DINプラグを2個買えば150x2+190=490円(税込)で45cmのTRS-MIDIケーブルが2本手に入るはず……!■作ってみたまずDINプラグを分解します。ピンク矢印の所の金属をドライバー等で下に押し、ラジオペンチ等で黒いカバーから金属部分を引き抜きます。このプラグは4つのピースで出来ている。さっき下に押した所は黒いカバーのロックなのでもし凹み過ぎていたら指で戻しておく。ミニプラグケーブルを伸ばして二つ折りにして真ん中で切断し、黒いカバーを先に通しておく。ケーブルの先の被膜を1〜1.5cmほど剥き、中の3本の電線を取り出し、その先端の被膜を3mm程度剥きます。ピン部分を動かないように固定し、3色の線を半田付けします。Type-Aの場合、3.5mmステレオミニプラグ(TRS)のTipがDIN端子の5番Ringが4番Sleeveが2番へ行く配線なので、DINプラグの正面から見るとこう。半田付けする側から見るとこう。秋月電子のケーブルの場合、黒がSleeveは良いとして、白がRing、赤がTipであり、民生機のRCAピンプラグの常識で白がL=Tip、赤がR=Ringだと思い込んでいると逆になります(プロ音響用ケーブルの有色ホットの原則には沿っている)。もし4番と5番を逆につけてしまうとType-BのTRS-MIDIケーブルになってしまう。まず真ん中の2番を付けてから、コネクタの角度を変えて5番と4番を付ける。私は熱収縮チューブを被せるために逆作用ピンセットで放熱しながら半田付けしていますが、ショートさえしなければ熱収縮チューブは不要です。もし半田付けの熱で細い線の被膜が溶けるようなら最後にバスボンドで絶縁固定する手もあります。ハンダが溶けて付いたと思ったらケーブルを少し引っ張る。ちゃんと付いていない場合は引っ張ると管から抜けます。3色とも抜けないように付いたらテスターでTip/Ring/Sleeveとの導通と各線がショートしていない事を確認(ショートしていると機材が壊れる可能性もあるのでチェックは必ずやる!)。金具を取り付け、ラジオペンチで金具を曲げてケーブルを固定し、ケーブルを引いても半田付け部分に力がかからないようにします。上下の金具を噛み合わせカバーをかけて出来上がり。とまあ、半田付けとケーブル製作に慣れてる人なら簡単に作れると思ったのですが・・・。■作ってみた感想秋月のDINプラグは安価ですがプラ部分が熱で変形しやすく、半田ごてを当てる時間が長いとピンがヨレます。作業時にはコネクタの固定をしっかりすること。XLRコネクタ等の場合は配線の先がほぐれないように、また管に挿して熱を加えた場合にすぐ溶けるように予備ハンダ(予め電線の先端を溶かしたハンダで覆っておく)をするのですが、秋月のDINプラグは管が細く、予備ハンダをすると入りません。そこでフラックスを塗って突っ込んで付けるのですけど半田ごてを当てる時間を短くしようとすると管の出口だけで半田が溶けて中には流れず、引っ張ると抜ける半田付け不良になりやすい。配線自体は簡単ですが半田付けは意外と難しいです(融点温度が低いクリームハンダを盛って管に挿してからコテ先を近寄せて溶かす、のほうが簡単かも)。秋月電子以外で買ったDINプラグのほうが付けやすい気がします。秋月電子のものはChang Enn Co., Ltd.製なので、他の部品屋で見るのはマル信無線電機製でしょうか。なお5PINのDINプラグには3種類あるので間違えないようにMIDI仕様(180°)のものを買ってくださいね。Choose the Right 5 Pin DIN Connector: Types, Pinouts & Guidehttps://renhotecpro.com/choose-the-right-5-pin-din-connector-for-your-application/出来上がったTRS-MIDIケーブルの全長は50cm程ですが、両端のコネクタ部分を除くと42cm程度しかなく、T-8のすぐ隣の機器までしか届きません。こういう配置をしようと思うと微妙に長さが足りない。せめてあと20cm位長ければ良いのにねえ、と思いました。[113085]3.5mmステレオミニプラグオーディオ延長ケーブル 金メッキ スリム 0.9m(90cm)https://akizukidenshi.com/catalog/g/g113085/↑こっちを買って90cmで1本作るほうが良いと思います(これをそのまま延長にも使えるだろうけど)。ちなみにこの延長もぶった切ると赤Tip白Ringです。あと写真で見て気付いたと思いますが、秋月のミニプラグ付きケーブルはシールド線ではなくバラ線なのでノイズ耐性は高くないです。MIDI信号を数十センチ引っ張る程度ならまず問題無いと思いますが、ECMマイクカプセルの配線に使うとノイズが乗ります。3.5mmミニプラグのケーブルは100均でも買えるのでそれを使う手もあるでしょう。というわけで、とっても安価に作れるしちゃんと使えるけど、秋月電子以外の部品を使う方が作りやすく使いやすいかもしれない。T-8とSYSTEM-1はちゃんと繋がって同期も演奏もでき、楽しいです。J-6が欲しい・・・。(がんくま)
■CM-500のAC/DCアダプターについて純正品ACK-100のラベルです。現代のようなコンパクトなスイッチング電源ではなく非安定化の大きなトランス電源ですので、ラベルには9.5V 1500mAとありますが無負荷で電圧を測ると12.4V位でした。DCプラグ径は2.1mmでいけそう?純正以外を試していないのでわかりませんが。楽器系9V電源によくある芯線マイナスです。内部側では汎用5Vの電圧を三端子レギュレーターIC7505で作っていて電圧監視用にM51953Aが付いています。オーディオ用正負電源は別回路のようです。緑色コンデンサーの周辺の灰色のコイルが付いてる所?■電解コンデンサーの交換外見からすぐわかるような液漏れは無さそうです。使われていた電解コンデンサーは黒いものがSANYO製、緑色が日本ケミコン(日ケミ)製、青いものが松下製でした。電解コンデンサーが日本製なら半導体も海外メーカー型番含めてMade in JAPAN。オペアンプも三菱M5218/M5238といった国産品番です。日本が世界の半導体工場だった頃の製品で時代を感じますね。サイズが大きな電源平滑用の2200μF/16V(C3)と緑色の日ケミNX-IV 1000μF/16V(C54/55/67)の高さは20mmです。準備篇に掲載の参考Webサイトにも書いてあるようにC3は部品高が20mmを超えるとサブ基板と干渉して組み立てられませんから注意が必要です。無極性電解コンデンサーは6本で、前面のステレオ音量ボリュームへ行くコネクタの所に10μFが2本(C109/C110)、背面の6.3mmフォンジャックの所に47μFが4本(C75/C76/C87/C88)でいずれもSANYO製。フォンジャック3個のうち1個はヘッドホンアウトでステレオなので6本とも音声信号が通っているはず。在庫部品との兼ね合いで以下のように更新しました。C3は自宅在庫だと背が高くてNGでしたので元のSANYOとサイズ感が近いルビコンWXA 2200μF/35Vを秋月電子で見つけて使用しました。元より太くなりますが基板側には一回り大きいサイズ用の穴がちゃんとあります。太くしたくないならニチコンUKW 2200μF/16Vでも良かったな。C4も秋月電子購入のルビコンWXA 1000μF/10Vを使用。高さは問題ありません。C54/55/67はDACやオーディオ用オペアンプ周辺の正負電源の安定化用で、元付いていた日ケミNX-IVもオーディオ用だったようですから千石電商でニチコンKA 1000uF/16Vを購入して使用。無極性10μFと47μFは少し悩み、一般用のルビコンNXAにしようかなとも思ったのですがニチコンMUSE(緑色)の店頭在庫が使えるのも今だけか〜と考え直して採用。それ以外は自宅在庫の汎用品を使いました。10μFはニチコンPM50V、47μFはルビコンPX35V、100μFは松下製の低背品10V耐圧です。C69A/C70Aの1μF/50Vは以前中華マイクBM800の改造で試して使わなかったaitendoで買った謎のフィルムコンデンサ1μF/63V(EPCOS製?)2本が俺等を使ってくれー!と部品箱の中で主張していたので流用。PCM55HPのデータシートにも記載がある+VCC/-VCCとCommonの間に入る1μFで、本機では加えて積セラC69B/C70Bがパラってあります。取り外した電解コンデンサーを調べたところ松下製の10μFが全般に8.5〜9μFであった他は容量は足りており、SC-88等同時代の表面実装型電解コンデンサー採用基板で液漏れ劣化が多発しているのと比べればCM-500はわりと健常です(とは言え30年経過しているから交換なんですが)。むしろ交換に使った新品のルビコンPX47μFが実測だと外装表記値を3〜4μF下回っています。極性逆挿しやショートがないことを確認して通電。エージング前ですが思ったほど音の傾向は変わらず、電解コンデンサー交換時の一般的傾向としてわずかに中低音と弾性が増しです。一応スペクトラム比較。蛇足ながら本作業から半田ごてが1990年代から使っているgootのPX-238から新製品のPX-211に変わりました。良い感じ。リキャップ作業中に外装ケースと鉄板を入れていた段ボール箱が落ち、プラスチックが割れてしまった。正面からは見えない所ですが悲しい。エアーキャップで巻いておくべきでした。今年の東京の7月は3〜4日連続した晴天予報が無く、次の漂白作業はしばらく先送りです。つづく(がんくま)【関連記事】Roland CM-500 メンテナンス(1)準備篇Roland CM-500 メンテナンス(2)ROM交換篇
■制御ROMの改造前回掲載した参考サイトを頼りにCM-500を分解します。シリアルナンバーはZD73415で一覧表によると1992年4月製。以降はえくしびさんのサイトと同じ手順です。かなり詳しく書いてあるので必読です。半田吸い取り機でメイン基板からROM(IC3)とS80C198(IC1)の横にあるX'tal(X1)を取り外し、外したROMの代わりにICソケットを装着。X1は買ってきた8MHz品に交換。外したROMをT48にセットして読み出し、内容をファイル化します。ROMの読み取りと書き込みのためのソフトxGproをインストールします。インストールフォルダに書き込み権限がいるのでProgram Files以下より他のところに入れたほうが良い。起動直後にファームウェアアップデートの案内が出ます。しないと盛んに警告が出ます。英語アプリですが基本的にはメニューアイコンから操作できます。私の場合EPROMの自動検出が働かず(正しいやり方が理解できていないだけかも)、上の画面のSelect ICのチップ型番のボタンをクリックして”Search Device”に27C512を入れ、メジャーなメーカーである富士通、日立、AMD、インテル、Ti、NECあたりのDIP28品を当てずっぽうでREADしていたらNECのμPD27C512Dで反応あって正常に読み込めました。えくしびさんの記事ではTI製なのでロットによってROMのメーカーは違うのかも。読み出したROMの内容をBIN形式でファイルにSAVEし、内容が正しいかどうかをCRC-32値で検証します。Windows11なら右クリックで出てくる7-Zipのメニューの中にあります。元記事にあるチェックサム”4A3BB4EF”なので対象のROM(CM32LNv1.00制御ROM)で間違いありません。CM32LN_MOD.zipからパッチファイル"CM32LN_MOD.IPS"を解凍し、WinIPSを使ってファイル化した実機のROMに修正パッチを当てます(最初に付けたオリジナルROMのファイル名は長かったのでリネームしました)。パッチを当てると変更後のファイルが新規に保存されるので、CRC-32値が”6E4CFF4A”に変わったことを確認します。■書き込み先ROMの消去と書き込み書き込み先のUV-EPROM AM27C512-205DCが中古品なので内容を消去します。ここでは2個消去していますが必要なのは1個だけです。まずT48に挿してReadし中身が残っている事を確認。消去防止シールを剥がしてイレーサーにセットし15分間紫外線を照射しました。このイレーサーは値段相応の安普請で時間表示がアバウトなので時計を見ながら使います。当たり前ですが照射中にランプを見ないように。タイマーの白いツマミは裏返すだけでポロっと外れるし、軸は共回りするしで下の写真で4付近を指している先端が6あたりから始めて反時計回りに15分経過でこれ。6は6分ではなく60分なのかなあ(説明書は無い)。タイマーは切り忘れ防止程度の役割と割り切って使うべし。T48でBLANKチェックすると1個は消去されていましたがもう1個は消しきれていませんでした。確実に消すなら20分以上は照射したほうが良さそう。ブランクチェックが通ったほうにはそのままパッチを当てた修正ROMバイナリをLOADしてPROG.で書き込みました。正しく書けたかどうかVERIFYチェック。消去防止シールをガラス窓に貼り、向きを間違えずにICソケットに挿しました。Flash EEPROM全盛の現代ならパソコンで書き換えプログラムを実行するだけですけど、2000年手前頃まではパソコンやモデムのファームウェア更新もこうしてEPROMを焼いていましたねえ。■検証一旦組み立ててMIDIデータを再生しバグが直ったかどうかを検証。MODE Bで再生するとちゃんと音が変わっています。笛パートをソロで書き出した波形を比較。音が揺れる周期が長くなり上のBEFOREと下のAFTERでは波形にも違いが出ているのがわかります。バグの修正は成功したようです。ユーザー側ならよほど大好きな曲でない限り微々たる違いで気にならないのかもしれませんが、音(曲)を作っている側からするとここのパラメーターは熟考した上で決めているので(BPMから計算したりもするし)他と同じように鳴るはずだった音源で意図した通りに鳴ってくれないというのは気になります。特に出音を録音するならCM-500だけは避けてくれと思うはず。私としては必ずやると決めていた修正です。CM-500ではどのみち半田付けを外してROMを抜かないと交換できないので実機のROMを読み取ってパッチを当てましたが、CM-32LのROMバイナリ自体は探せばネット上にあるみたいです。権利上はグレーでしょうが実機を持っているなら、もしもROMの取り外しに失敗して読めなくなった時にリカバー手段があるのは多少なりとも安心材料ではあります。つづく(がんくま)【関連記事】Roland CM-500 メンテナンス(1)準備篇Roland CM-500 メンテナンス(3)リキャップ篇
平成初期のDTMブーム時代のMIDI音源(LA/GS音源)です。15年ほど前に本体とAC/DCアダプタのみの中古品を購入。中古が底値だった頃で3〜4千円だったと記憶しています。動作は確認していたものの分解整備するのは初めてです。・本体ROMのバグフィックス・電解コンデンサーの交換・外装の漂白この辺をやっていきたい。本記事を参考にした修理・改造は自己責任でお願いします。【参考Webサイト】・バグフィックスについてFixing the Roland CM-500 VibratoBug(VOGONS)約30年前のローランドのシンセサイザーのバグを自力で修理した強者現る(Gigazine)・作業全般【発売30年後に解明】微妙すぎるハードウェアバグを修正「Roland MIDI音源 CM-500&CM-32LN」(えくしび)Roland CM-500 のメイン基板までを分解。(osimasanのブログ。)Roland CM-500 のコンデンサを交換(osimasanのブログ。)・外装漂白Roland CM-64の分解清掃①(silvervineのブログ)Roland CM-64の分解清掃② (完)(silvervineのブログ)・その他Roland CM-500(DearHoney 數位音樂工作室)SPACE QUEST III(ROLAND MT-32 VERSION)Akihiko YAMAZAWA■CM-500のバグとは?MT-32用のデータを再生した時にビブラートとトリビアルエフェクトの再生速度が速すぎるという有名なバグがあります。下記の動画の2:38:58以降に比較検証映像があります。中に出てくるSIERRA ON-LINEは海外でRoland MT-32がPCゲーム用MIDI音源のデファクトスタンダードになるキッカケとなったアメリカのゲームメーカー。RolandとMT-32の販売契約を結び、自社製ゲームにMT-32のBGMを付けて全米に売りまくりました。外国人レトロゲーマーなら聞き覚えがあるこのSIERRAのロゴ音が違って聞こえた事からバグが判明したのかな?原因は初期のMT-32/CM-32L世代の制御MCUであるIntel8098が後期のCM-32LNやCM-500世代で80C198に更新された際にX'talの分周比が変わったにも関わらずプログラムが8098の分周比のままになっているためらしく、分周比の辻褄が合うようにX'talの元周波数を12MHzから8MHzへ付け替えて下げ、下げたことでMIDI通信ができなくなる対策でCM-32Lの制御ROMプログラムの一部を書き換えたROMに交換する、というのが今回の修正内容です。(写真はえくしび様サイトより引用)作業前後で音が変わったかどうかを知りたいので作業前に再生音を録音します。検証にはSIERRAのゲーム、Space Quest IIIのBGM制作者がMT32用に作って公開したMIDIデータ"SQ3MT.MID"を使います。VOGONSの元記事で鳴らしているのも多分これ。Nuendoにデータを読み込みMOTU UltraLight mk3 hybridのMIDI OUTからCM-500へ出力しました。CM-500のMODE A〜Dの4つの動作モードのうち検証しやすいのは”MODE B CM64 SIMULATION”です。これをL/R出力からUltraLight mk3へ返し、フルミックスとビブラートがわかりやすい笛のパートのソロを録音しました。■必要な物品を購入・UV-EPROMVOGONSの元記事では"AM27C512、M27C512、AT27C512Rまたは同等品"と書いてあるだけでメーカーや速度の指定はありません。CM-32LNの内部写真を見るとRolandはAMDのAM27C512-125DCを使っていますが、それより少し速度が遅いAM27C512-205DCの中古品をオークションで入手しました。写真には2個写っていますが必要なのは1個です。秋葉原だと若松通商に同じAM27C512のリサイクル品の在庫があるようです。ラジオデパート2階のサン・エレクトロや、通販ならタカヒロ電子、鈴商、丹青通商等でも同等品が買えます(27512はN-MOSなのでC-MOSの27C512を買う)。ROMライターに後述のT48を使う場合は対応型番リストに載っている品を買えば安心です。XGECU-T48(PDF)T48 Plus IC Support List(Text)(海口鑫工电子有限公司)中古なら300円〜900円、新品なら1000〜1900円位。EPROMの書き換え寿命は20回程度で大抵の中古品は1〜2回しか書いていませんが、前のデータが消去されておらず残っている場合はイレーサーが必要です。・28pin ICソケット(600mil/幅15.2mm)千石電商、マルツ、秋月電子、鈴商、丹青通商、共立電子等で買えます。丸ピンのほうが平ピンより抜き差しがしやすいです。スリムタイプ(300mil/幅7.6mm)と間違えないこと。https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=EEHD-4XTY・8.000MHz水晶振動子千石電商で九州電通(KDK)のHC-49/S3タイプ(800KD4G)を購入。https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=35AZ-5NKRリード線付きのHC-49/UまたはHC-49/US型の8MHz X'talであれば良いようです(周波数を間違えると改造の意味がありません)。HC-49/UとHC-49/USの違いは高さだけでピン幅は同じ。HC-49/S3はHC-49/USのバリエーションでハンダ付け特性を向上したものをKDKでそう呼称しているそうな。マルツ、若松通商、鈴商、共立電子などでも同等品が買えます。・ROMライター手持ちのAKI-ROMライター(秋月電子のベストセラーキット)では27C512が焼けませんので新規に購入しました。手頃な選択肢としてxGecu T48 programmer(旧TL866)とWillem programmerがあり前者はAliexpressで送料込み8〜9千円(本体のみ)、後者は3千円位です。xGecu T48 programmer(CARVSTM REPAIR TOOL Store)https://ja.aliexpress.com/item/1005005880097834.htmlSPI-25xx-PCB5.0T-2022(Willem Programmer)(Aideepen Office Store)https://ja.aliexpress.com/item/1005004329600176.htmlWillem Programmer PCB 5.0(Peter Vis)https://www.petervis.com/Electronics_Tools/Willem_Eprom_Programmer/Willem_Eprom_Programmer.html今回の用途だけなら安価なWillem programmerでもやれそうでしたがパソコン側にLPTポートが必要なこと(USB端子は電源用らしい)、書き込みソフトがWindows32bit版で64bit版が出ていないことなどやや古く、他の用途も考慮して日本での実用例が多いT48を購入しました。・紫外線照射器(EPROMイレーサー)中古品UV-EPROMのデータを消去する機械。新品や消去済みEPROMを使う場合は不要です。中国製のよく見かける奴を購入しました。本体はAliexpressのセール中だと1600円程度で送料込み3〜4千円ほど。EPROM ERACER(Wonder Tech machine Store)https://ja.aliexpress.com/item/1005006520190711.html220V EUプラグと110V USプラグが選べるので110V USプラグを選び、実際に届いたのは変換プラグ付きでした。220V品を買っても100Vで使えなくはないらしい。・消去防止シール消去防止のためEPROMに貼るシール。光がカットできれば何でも良い。昔は5inchフロッピーディスクの消去防止シールがジャストフィットで皆流用していましたね。100均で買った協和紙工株式会社の12mmx24mm PPネームシールを使いました。・電解コンデンサーリストは参考Webサイトにあります。当家ではよほど特殊なものでない限り在庫で対応できるはず。詳しくはリキャップ篇に書きます。・ワイドハイターEXプロ花王の漂白剤です。日用品なので近所のスーパーでつめかえ用820ml品を2パック購入。・その他、必要な工具類半田吸い取り機、吸い取り線、半田コテ、ハンダ、テスター、ニッパー、ラジオペンチ、ドライバー、6mmレンチ、Windowsパソコン、漂白剤を満たす容器、重しなど。■ソフトウェア類の準備・T48用のアプリと説明書のダウンロードhttp://www.xgecu.com/作業時点での最新版はV13.16XgproV1316_T48_T56_T866II_Setup.rar・修正パッチ CM32LN_MOD.ziphttps://www.vogons.org/download/file.php?id=130143・修正パッチをROMデータに当てるためのアプリSMB Laboratory - WinIPSの公式サイトhttp://smblabo.web.fc2.com/#page_wiWinIPSは32bitアプリですが64bit Windowsでも動くと明記されています。つづく(がんくま)【関連記事】Roland CM-500 メンテナンス(2)ROM交換篇Roland CM-500 メンテナンス(3)リキャップ篇
進行中のネタですがとりあえず動いたので記事化。昨日秋葉原のCCコネクト(ラジデパB1F)でGiga Schoolの残骸?のChromebookが税込3,300円だったので1冊購入しました。Chrome book大量に入荷してきました!!💻検品もできるのでぜひ見に来てください🙇#Googl #Chromebook #CCコネクト pic.twitter.com/pQwNsyE7Vy— CCコネクト秋葉原本店 (@ccconekuto) July 18, 2026 よく見るとC214MAとC213NAが並んでいました。C213NAはCeleron N3350(Apollo Lake/Intel HD Graphics 500)でC214MAはN4000(Gemini Lake/Intel UHD Graphics 600)です。N4000のほうが少しは速いか?とC214MA-BU0029を買いました。が、現時点では内蔵サウンド問題が解決できていません内蔵サウンド問題も解決し音がでるようになりました。メインメモリ4GB/eMMC内蔵ストレージ32GBとMicroSDスロット、360度フリップ可能な1,366×768(WXGA)の11.6型タッチパネルは共通で外観はほぼ同じです。何故ChromeOSのまま使わないのか?三千円でコンピューターいじって遊べるから私の場合はネットに常時接続しない使い方がメインだからです。LinuxはChromeOSと違いネットに接続していなくても全てが単体動作します。システムの更新期限という寿命が無いので古くなっても使い続けられます。今となっては非力な本機のスペックならChromeOSよりLinuxの軽量ディストリビューションのほうが動作が軽快で使う気になれます。学校の備品だった時は勝手にいじれなかったので今なら!という方にも。その場でネット検索すると既にLinux化された方々がいらっしゃいます。しかもわりと最近の話で、このお二人のページが購入の決め手になりました。感謝。【ジャンク復活】8800円のChromebookをLinux化!低スペックでもVS Codeが動く開発マシンへ(てつログ) 2026年4月24日ChromebookをLinux化してみた(@navi_07)2026年5月5日以下の改造は失敗するとchromebookが動かなくなるリスクがありますのでトライされる場合は自己責任でお願いします。ざっと手順を理解。1.本体のプロテクトを回避するため内蔵バッテリーの配線を切り離す。2.ChromeOSをデベロッパーモードで起動する。3.ストレージからChromeOSを消し、UEFIモードで起動するように本体のfirmwareを書き換える。4.firmwareの書き換えが終わったらバッテリーの配線を戻す。5.Rufasを使ってUSBメモリーにインストールするLinuxのisoを書き込んでブートデバイスを作り、USBメモリーから起動してインストール。■購入後10分で作業開始釣った魚を船の上で捌いて食うみたいな話で秋葉原最終処分場でUSB-AtoCのジャンクケーブルを、あきばお〜でUSB-A/C両用のUSBメモリー(LAZOS L-USC32)を購入し、そのままネットカフェへ移動。新鮮やさい??現行のMX Linuxは8GB以上のUSBメモリーで行けるらしい。USB A/C両用を買ったのはネットカフェのPCはUSB-AでC214MAはUSB-Cだけかと思ったからでしたがよく見たらC214MAにはUSB-Aポートもありました。備え付けのUSB充電端子からジャンクケーブルでUSB-Cポートへ給電しChromeOSの起動を確認。WindowsパソコンでRufasとMX LinuxのISOイメージ(MX-25.2_Xfce_ahs_x64.iso)をダウンロードしてUSBメモリーにブートデバイスを作成(ahs版は通常版より最新ハードウェアに対応している版)。上記のお二人共バッテリーのハーネスを取り外すまでに苦労されています。カバーの蓋がなかなか外れないらしい(上のリンク先記事にある外したカバーの爪の写真がとても参考になりました)。YouTubeに分解動画があります。Asus C214MA Flip Chromebook Teardown Guide(ChromebookParts.com)これを参考に手持ちの精密ドライバーセットだけですぐハーネスが外せました。ハーネスは動画にあるように金属製のロックをずらして白いコネクタを上に持ち上げれば外れます(動画の続きではバッテリーの交換をやっていますがかなり面倒で事実上交換は考えられていない設計に見える)。ハーネスはUSBメモリーのラッピングで絶縁。USB-Cポートから給電しつつESCキーと更新キー(ESCの3つ右にある右回りの円形矢印のキー)と本体右側面の電源キーを同時押ししてまずは復旧モードでの起動を試みますが、電源キーの挙動が不安定です。フリップパネルの開閉が電源キーを兼ねていて何度か閉じたり開いたりしているうちに復旧モードの画面(「復元用のUSBメモリまたは〜」)が出ました。ただしベンガル語。カーソルキーで日本語にしてから上の画面でCtrl+Dを押すと「OSの確認画面をオフにするにはEnterキーを〜」の画面になったのでEnterを押し。ここで本来ならばピッと音がして再起動するはずですが画面暗転したまま反応無し。また何度かパネルパタパタをやってるうちに「OSの確認画面はオフになっています」の画面が出て、以降は「ChromeBookを開発者モードにする方法(Chromebook帳)」の通りに進展し、初期化されるまで5分待った後(左上に残り時間が出る)、「OSの確認画面はオフになっています」画面でCtrl+Dを押すと「ChromeBookへようこそ」の画面になりました。以後の作業はインターネット接続が必要なのでWi-Fiに接続している必要があります。「始める」を押してログインしようとしたら電源が落ち。また画面パタパタで再起動して今度は「あなた(個人)」を選んだ上で「ゲストモードでブラウンジング」を押してログインし、"ctrl+alt+t"でコマンドライン入力画面を出し、shellと入力すると"chronos"でログインしている状態でシェルが使えるようになりました(デベロッパーモード変更に成功)。Webブラウザで適当に外部のWebサイトを見るかpingでネットに繋がっているかを確認したら、firmwareを書き換えるコマンドをインストールするコマンドを入力。$cd tmp$curl -LO mrchromebox.tech/firmware-util.sh(-LOエルオーを-L0エルゼロと打ち間違えない)lsしてfirmware-util.shが存在するのを確認。$sudo bash ./firmware-util.sh実行すると英語の表示が数行出た後に黄色字でソフトウェアライトプロテクトが有効なので解除するか?と英語で聞かれたのでYを押し、プロテクトを解除してリブートを選択。すると再起動して「OSの確認画面はオフになっています」画面になるので再びCtrl+Dで「ChromeBookへようこそ」画面にしてゲストモードでログインし、シェルに入りますが、firmware-util.shが消えていた(ゲストモードで作業しているせいだと思われる)ので再びcurlで引っ張ってきます。再度firmware-utilを実行すると以後は「Chromebook C223NAをUEFI環境にしてUbuntuを入れる(音楽と周辺機器について。ゆるく。)」や「ASUS Chromebook Flip CM1を改造してWindowsやLinuxを入れてみた(ROM焼き試験場)」と同じ流れで進みます。2を入力して"2) Install/Update UEFI(full ROM) Firmware"を選択。黄色字で警告文が表示されます(ここから先に進むと元のChromeOSは起動不能になりますのでちゃんと読む!)。同意できたら"I ACCEPT"と入力。黄色の警告文が続き、最後に書き換える前の本体firmwareのバックアップを取るか?と聞かれますが、バックアップは無しでもその先へ進めましたが、失敗しても諦められる人じゃなければバックアップを取って下さい。するとROMイメージ"coreboot-edk2-ampton-mrchromebox_20260714.rom"がダウンロードされ・・・また電源が落ちた。あ、こりゃ駄目かも。■やたら電源が不安定な原因再起動するもChromeOSが消えておらず、またCurlからやり直し。今度はROMイメージのダウンロードの先に進んでFlashの書き換えが始まりました。しかしここまで来てようやくさっきから何度も「低電力アダプターが接続されています」の警告表示が出ている状態でこの作業をしているのがかなり危険な橋を渡っているのだと認識。バッテリー外した状態でfirmwareの書き換え途上に電源が落ちたら確実に文鎮化じゃないか。ネットカフェの備え付けのUSB充電器でやっているからですが、さっきジャンクケーブル買った時に秋葉原最終処分場にASUSのUSB-PDアダプタあったやん・・・と激しく後悔。たらたらと冷汗が流れる中、画面が変化して無事firmwareは書き換えられた模様。2)がグレーアウトしてRestore Stock ChromeOS Firmwareに変わっている。ほっ・・・。Pを入力して電源OFFを選択。3,300円なので失敗しても心はそんなに傷まないと思って買いましたが、本記事を見てトライする方は低電力アダプターと表示されないUSB電源を用意して下さい。外していた内蔵バッテリーのハーネスを元通りに接続します。さっきまで画面開閉で起動していたが無反応になり電源長押しで起動。内蔵eMMCから起動できないというUEFIの画面が出ます。これでChromeOSの消去は成功。 何かキーを押すとshellに入り、exitするとfirmware設定画面になるのでUSBメモリーを挿して”Boot Menu”の”Select a Boot Device"で外付けUSBメモリーを選択して再起動。■MX Linuxのインストールと設定無事USBメモリーから起動してメニューが出ました。放置すると自動起動してしまうのでカーソルキーで"Language-Keyboard-Timezone"に進み、日本語(LANG=ja_JP、kbd=jp、tz=Asia/Tokyo)に変更し、メイン画面へ戻って起動しますが、sysvinitとsystemdが選べるようになっていて最初はsystemdを推奨します(理由は後述)。以後は普通にインストールできました。領域確保では29GB全部rootにしました。内蔵eMMCの容量自体が少なく、保管が必要なユーザーデータは基本的にMicroSDかクラウドに置くと思います(MX Linuxのインストーラーには/homeを残してシステムだけを再インストールするReplace existing installationのオプションもあります)。本機の使い道を考えてスワップ設定はハイバネーションにチェックを入れました。ハイバネーションはやめました。チェックを入れるとスワップ領域が3GB以上増え容量32GBだと大きいのと、起動が高速でバッテリーもすぐ落ちるほど劣化していないとわかったので。MX Linuxのインストールと初回起動(東九州ソフトウェア開発)MX Linux 日本語化手順 2025/09/26追記(お〜げさん)Debianのホームディレクトリの名前を日本語から英語に変更する(Wiki 小さなそして広がっていく世界)インストール後、デスクトップ画面にファイルがあるため日本語の「デスクトップ」フォルダが残ります。英語のDesktopにコピーしてからrmdirする。設定>Fcitx設定で入力メソッドの設定を行いました。MozcをAnthyの上に。「かな⇔英数」キーまたはCtrl+Spaceで全角/半角入力が切り替わり、Spaceで変換、英数キーで日本語文字種変更(ひらがな・カタカナ・半角カナ)、かなキーで変換リスト。MX Linux標準のテキストエディタFeatherpadではfcitxが使えず、背景の色設定もできないのでleafpad系のmousepadをインストール。本体のWi-Fi、Bluetooth、タッチパッドと液晶のタッチパネル操作、液晶上部とキーボード右下の2つの内蔵カメラ、バッテリー残量表示、ハイバネーションはそのまま動作します。AndroidスマホとUSB接続するとMTP接続されてThunarで普通に見えますのでmtp-tools等のインストールも不要です。本体eMMC32GBのうち、空き容量は18GBほど。■内蔵サウンド機能が使えない問題デスクトップ左端の音量アイコンをクリックすると出てくる音量ミキサーや、初期搭載のVLC player, strawberryといったメディアプレーヤーアプリのサウンド出力設定に"Dummy Output"しか出てこず、本体内蔵のスピーカーやヘッドホン出力から音が出ません。USBポートにFiiO E10K DACを繋いだところこちらはあっさり認識されて音が出ます。この現象はIntel NシリーズのCPUを搭載したChromebookにLinuxをクリーンインストールすると良く発生する問題らしくスクリプトで設定を書き換えます。$sudo apt update$sudo apt install sof-firmware-signed$git clone --depth 1 https://github.com/WeirdTreeThing/chromebook-linux-audio$cd chromebook-linux-audio$./setup-audio[実行結果]Detecting platformDetected Intel GeminilakeInstalling UCM configurationCloning into '/tmp/alsa-ucm-conf-cros'...remote: Enumerating objects: 117, done.remote: Counting objects: 100% (117/117), done.remote: Compressing objects: 100% (80/80), done.remote: Total 117 (delta 37), reused 94 (delta 30), pack-reused 0 (from 0)Receiving objects: 100% (117/117), 20.32 KiB | 2.90 MiB/s, done.Resolving deltas: 100% (37/37), done.Checking kernel config for 7.0.14-2-liquorix-amd64Detecting codecsFound max98357aFound rt5682Kernel config check passedIncreasing alsa headroom (fixes instability)Initializing sound cardAudio setup finished! Reboot to complete setup.If you still have any issues post-reboot, report them to https://github.com/WeirdTreeThing/chromebook-linux-audioIf this script has been helpful for you and you would like to support the work I do, consider donating to https://paypal.me/weirdtreething$sudo reboot再起動後に音量ミキサーが下記のような表示になり”Celeron/Pentium Silver Processor High Definition Audio”が出力先に現れたらOKです。以下説明です。MX Linuxインストール直後にlspciすると”Intel Corporation Celeron/Pentium Silver Processor High Definition Audio [8086:3198] (rev 03)”が見えますが、ALSA-infoやaplay -lで見ると> 0 [sofglkrt5682max]: sof-glkrt5682ma - sof-glkrt5682max> Google-Ampton-rev2のようにチップとしては認識されますがアプリからはDummy出力だけしか選べません。検索すると同じような事例がたくさん出てきて、よく見かけるのがRedditに記載の方法でda7219のトポロジファイルを入れ替える方法ですが、これはN3350(Apollo lake)搭載Chromebookでのみ通用する方法でありGemini Lakeでda7219が載っていないC214MA(Ampton2)では通用しませんでした。解決方法としては音源チップのファームウェア集を更新し( sof-firmware-signedのインストール)、UCM設定や音声ミキサーの初期値設定をスクリプト(WeirdTreeThing chromebook-linux-audio)で書き換えることでオーディオ出力先として使えるようになります。Gemini Lake搭載のChromebookで音が出ない理由や解決の経緯は下記のページに詳しいです。HP Blooglet (N5030 Gemini Lake) - Only shows Dummy outputNo output on glkda7219 + glkrt5682 (OCTOPUS) Chromebook devices #5440Chrome OS devices(Arch Linux)■半日使ってみた感想と残る問題点起動も早く画面もノングレアで見やすいです。バッテリーもフル充電から3時間使って75%なのでさほど劣化していない模様。当たりを引いたかな?その後数日使っていますがバッテリーは普通に6〜7時間は保ちます。画面閉じでサスペンドして開けてキーを叩けば高速復帰。文章書きマシーンとしては今でも実用です。画面の解像度は低いが、どのみち老眼が進んで小さな字が読めなくなってきているのでフォントサイズ上げるから問題にならない。本ブログ記事の執筆が最初の実績です。レトロPCのエミュレーションにも使えそう。以前Let's Note CF-T5あたりをLinux専用機にして文章書きに使っていましたがその後継にぴったりでした。目下の残る問題点は1つ。・ファンクションキー(F1〜F10)が使えません。Chromebook本来の機能キーとしては使えています。ChromeOSでは検索キー(ルーペの印のキー)を押しながらESCキーの右側列を押すとF1〜F10になるらしいですが、そういう挙動にはなっていません。設定>キーボードの設定からキーボードレイアウトにChromebookを選べますが変化無し。Chrome OS devices(Arch Linux)を読むと解決方法は複数あるようですが、WeirdTreeThingのcros-keyboard-mapは常駐ソフト(デーモン)であるkeydを使う方法で、keydはsystemdを前提としていますのでsysvinitでMX Linuxをインストールしていると使えません。そこで、MX Linuxをsystemdで再インストールしてから試してみましたが効果なし。インストールすると本来ならF1〜F10は単体押しでそのまま使えて、検索キー(CapsLockの位置にあるルーペのマークのキー)を押しながらファンクションキーを押すとChrombookの固有機能キーとして使えるようになっているはずが、そうはなりません。xevを使って調べてみると、キー単体押しでもルーペキーを押しながら押しでもChrombookの固有機能キーとして認識します。一方でShiftキーを押しながらだとF1〜F10として認識します。keydのキーマップ設定ファイルは/etc/keyd/cros.confで、これを見てもShiftキーの設定はありません。[main]セクションでF1〜F10は単体押しでそのまま使えて、[meta]セクションでルーペキーを押しながらファンクションキーを押すとChrombookの固有機能キーとして使えるように設定されています。これを書き換えてみるのですけど初期状態でF1〜F10になっていないためにうまく働いてくれません。シフトを押しながらでF1〜F10になりはするのですけど、実際にはShift+F1のような操作があるのでこれでは困ります。インストール時にsysvinitよりもsystemdでインストールしたほうが良いと書いたのは、このkeydを使うためです。keyd自体は自分でスクリプトを書いてinit.dに入れればsysvinitでも使えるようですが、cros-keyboard-mapのinstall.shではインストール不可能です。あと、設定の問題かもしれませんがkeydを使うとC214MAの画面のタッチパッド機能が使えなくなります。How to make function keys work on a Chromebook running Ubuntu?の最後に書いてあるGalliumOSのキーボードレイアウト設定を移植する方法は話が古くなっており、そのまま実行するとリブート後にGUIが起動しなくなってしまいます。(がんくま)【関連記事】富士通ARROWS Tab Q509にLinuxを入れてASUS C214MAと比較
1995年発売のサブウーハーです。左右に振り分けて使っていたため2本あります。だいぶ前から異音がしていてエッジが破れたなと思い三年前にファンテックから取り寄せていたウレタンスポンジエッジAX08/kitが今になって発掘されたため修理に着手しました。■スピーカーユニットの取外しYST-SW80(と同じウーハーユニットを使っているYST-SW40)のエッジ破れは超定番故障らしく、ネットを検索すると複数の修理記事がヒットします。製造から約30年経っているので仕方ないね。まずフロントパネルを外します。下側に2カ所隙間があるので金属製のヘラ(大きいマイナスドライバーでもいけなくはない)を突っこんでテコのように動かしつつ隙間を広げ、少し浮いたら横に2本目のヘラを突っ込んで、と少しずつ持ち上げます。パネルとエンクロージャー本体とは6本のダボで固定されていて最初はなかなか外れないのでジワジワと。1本目は綺麗に外れましたが、2本目はパキッと音がしてダボ部分が割れてしまいました。この個体は設置場所から取り出す際にもフロントパネル内部の桟が折れ、プラスチックの剛性が経年劣化で脆くなっている模様。本記事を見てから分解する方は焦らずゆっくりと作業してください。予想通り2本ともスピーカーエッジが破れていました。コーン紙側はしっかり付いていますがフレーム側が全周で破断しています。ウーハーユニットはタッピングネジ4本で木製エンクロージャーに止めてありますので外します。バッフル面とユニットの間のリングシートは再利用します。緩める前に締め付けトルクを調べるとサブウーハーであるためか、かなり強めに締めてありました。ユニット型番はXQ840A0で6Ωとあります。8インチ(20cm)のウーハーです。ファストン端子のサイズが+/-で異なるので組立時に挿し間違う心配がありません。交換用のエッジ ファンテック AX08https://www.funteq.com/smp/item/AX08.htmlボンドセットを頼むと接着剤の他に筆とカラー写真による作業説明書が付いてきますので初めて作業される方にお勧めです。ラバーコートオプションは付けませんでしたが、元のエッジの材質に寄せるなら付けたほうが良いかもしれません。■古いエッジを取り除く他の方も書いているようにこの工程が面倒で1本あたり1〜2時間はかかります。まず手で折り取れる部分を取り去ります。材質は触った感じ熱収縮チューブの一種スミチューブみたいな手触りの樹脂製でファンテックのスポンジとは差異があります。次に紙製のガスケットを取り除きます。再利用したい場合は丁寧に取り外しますが本製品の場合は無くとも問題ありませんのでバリバリと引き剥がしました。ガスケットはバッフル板の裏側からユニットを取り付ける際に緩衝材になるものですが本製品はバッフル板の表側に取り付けますし、フロントパネルで隠れてしまうので見栄え上も不要で、取り外したユニットを伏せて置く時にエッジに負担がかからないようにする程度の役割しかありません。次にコーン紙側外周のエッジ側の残りをカッターで切り取ります。カッターの刃がコーン紙側に切り込み過ぎないように。金属フレーム側に貼り付いている残りも手で剥げる部分はざっと剥ぎます。上層側の樹脂部分はすぐ取れますが下層側の紙のベース部分はフレームと黄色い接着剤でくっついていてなかなか剥げませんでまず内周部分の角の接着剤をカッターでぐるりと削り取り、それからカッターの刃を紙の下に滑り込ませるようにして少しずつ削り取ります。カッターの刃を水平にできると効率が上がりますが一緒にコーン紙の端を切ってしまう可能性が高まりますので少しずつ丁寧に。先にコーン紙側の端や内周の角の接着剤を削ったのはできるだけカッターの刃を水平に近い状態で挿し込むためです。暑い時期はコーン紙に汗ポタしないように注意。金属フレーム上に黒い部分がほとんど無くなったらブレークリーンを浸した布で細かいカスを拭き取ります。黄色のゴム系?接着剤の残りはブレークリーンに溶けるようですが溶け方は遅くカッターで削ったほうが早く取れます。本来ならコーン紙の裏側に残る古いエッジも取るべきですが、綺麗に取れそうな気がしないし面倒なのでそのまま残しました。エッジのサイズを確かめるため仮当てしたところ。■新しいエッジを貼る、前半戦。ここからの作業は時間との勝負なので手順を事前に把握し必要なものを揃えておきます。ファンテックのセットに付いてきた白い接着剤(たぶん木工用ボンドと同じ系統の酢酸エマルジョン系の接着剤と思われますが金属にも付くので市販品ならアルテコパワーエースが近いかも)と筆、筆を洗い水を含ませるための皿(空き缶)。布、ティッシュなど。エッジに接着剤を塗るための場所を確保しておくこと。ヘラ類も用意しましたが結局使いませんでした。マスキングテープがあったほうが良いと思います。作業前半の流れは、コーン紙の裏側外周に接着剤を下塗りする↓エッジの内周上面に接着剤を塗る↓エッジをコーン紙とフレームの間の穴に潜らせる↓位置を調整しつつコーン紙の裏側にエッジを圧着する↓ 休憩で、一気にやらねばなりません。1本目は悠長に写真を撮りながら作業をしてしまい、上の写真のようにウレタンエッジの内側を塗った接着剤が半乾き(透明)になったため下塗りと触れるとすぐくっついてしまいました。剥がしてやり直していたのですが、ここでトラブル発生。金属フレームのエッジで指を切って出血してしまったのです。作業を止められないのでティッシュで押さえつつ続行しようとするも出血量が多く机の上に続いてウレタンエッジにも垂れてしまい、アルコールティッシュを探してきて拭ったりと対処に追われて最後の部分が少しヨレてしまいました。金属フレームのエッジはバリ取りされていないので危険です!用心するなら怪我防止の為にマスキングテープがビニールテープで手を突っ込む窓部分のエッジを覆っておいたほうが良い。下塗りの接着層は薄くて良いのですが、エッジの内周側は厚めに塗って、先の写真のように半乾きで透明になるのを待たずに全部白い色の時にすぐ付けるほうが良い。厚塗りで乾いていなければ一旦くっついてもヌルヌルと位置を動かせます。半乾きになってくっつくと一旦剥がすしかなく伸びやすい。エッジを潜らせる前に乾き始めたら筆で水を塗ったほうが良い。エッジは材質がスポンジなので引っ張れば伸びます。位置決めの時に円周側に右回りor左回りのように引っ張りながら貼ると最後に余った伸びが吸収できなくなるので、最初に4〜5箇所指で押さえて大雑把に位置を決めて貼ってしまい、その間で余り(たるみ)を吸収した方が良い。やってみないとわからんコツばっかりですが。2本目は綺麗に付きました。■新しいエッジを貼る、後半戦。コーン紙側の接着剤が乾くまで1時間待って後半作業です。エッジの耳をめくってフレーム側の円周に接着剤を塗る↓両手でセンターキャップの両側のコーン紙を押さえて上下させ、コイルが擦れてガサガサしない位置を探し(センター出し)、その位置がホールドされるようにエッジの耳をズラしつつ貼り込む↓チェックして休憩センター出しの感覚は接着剤を塗る前に両手の指で押して感覚をつかんでおく。これも厚めに塗ったほうが調整の時間余裕も増えるのですが筆塗りだと意外と厚塗りになりにくい。もし慎重にやるならエッジの端をマスキングテープで仮固定し、音を出してコイルが擦れない事を確認した後、マスキングテープを少しずつ剥がしてヘラで接着剤を塗り固定していくと良さそう。綺麗に貼れた2本目はセンター出し簡単だったのですが、血染めのエッジのほうはセンター出しでガサつかない角度はあるものの何度貼り直してもその位置で固定できず微妙に音がビビリます(ガサつかないためにはギャップに斜めに入れる感じ)。センター出しの問題というより以前ツイーターのボイスコイルで難儀した時と同じような感触でコイルが変形しているように思われます。こちらの個体は過去にPAで使おうとして無茶した事があり修理前から音量が上がるとカコカコと異音が出ていました。エッジを貼り替えたら直るかなと思っていたのですが残念ながらそうは行きませんで、ボイスコイルの補修を行う技術が無いので同じユニットが入手できるまで修理保留とします。■新しいエッジを貼る、仕上げ。コーン紙裏の新しいエッジのスポンジで生まれた段差部分には接着剤を塗って指でならしました。エッジ自体は綺麗に付いているので表側の段差は未処置です。もしやるなら黒色のT-7000を使うと綺麗に仕上げられそうです。ガスケットは不要ですがユニットを伏せて置く為にダイソーすきまテープブラック(厚さ1cm幅1.5cm)を貼ってみました。数年で粉になる可能性もなくはないですけど。スポンジ素材なれどユニットの自重ではぺちゃんこまでは潰れず短時間置く程度ならエッジ保護の用に足ります。■基板部分のチェックエンクロージャーの内側にはフェルトも部分的に貼られているだけで基板やトランスが剥き出しです。バスレフが付いておりヘルムホルツ共振による空気圧とエンクロージャー自体の鳴りで低音を出すことがわかります。国産オーディオ全盛期に登場しYAMAHAが誇った新技術Active Servo Technologyは口径の小さいユニットとサイズの小さいエンクロージャーでも見た目にそぐわぬ重低音が再生できるという宣伝文句で、それを実現していたのはアンプ回路の工夫によります。(後に出てくる基板より色が濃いのは2台バラしていて別の基板であるためです。)フロントパネル上部の電源スイッチやボリュームがあるコントロール部はネジ4本外すと取れますがメイン基板に繋がるハーネスのコネクタは無く、このセクションの動作に不満が無ければ分解する必要がありません。ウーハーユニットとコントロール部の配線を取り外せば、それ以外の回路部分は背面外周のネジ8本を外して背面板ごと取り外せます。トランス基板と配線サブ電源基板は分解せずに両面からチェックできます。動作に特に不都合はなく目視でも問題は無く。メイン基板は取り外さないと半田面が見られないので外しましたがこちらも目視では問題なく半田付けは良好でした。メイン基板サプ基板の電解コンデンサーは健常性チェックを行いました。部品自体に表示されている容量を下回っていたのは3本だけ。C2 10μF→9.44μF 入力バッファーオペアンプのマイナス入力側信号線C20 10μF→9.32μF リミッター回路の電源平滑用C23 220μF→217.7μF プロテクターICの電圧比較入力の接地側いずれも交換の必要を感じるほどではありません。メイン電源平滑用の巨大なELNA音響用6800μFx2本も7000μF以上の容量がありESRも低く問題ありませんでした。スピーカー端子部分がボックスの中で中にLPF回路がありコントロール部と同様に信号ライン用の電解コンデンサーが存在しますが現状問題を感じないので分解しませんでした。そもそもLPFも位相反転もDCX2496で操作するので本製品の本体側で使うのは音量ボリュームだけ(全開放で使うとS/N的に不利なので)。アンプ部はNECのμPC1225Hで2SA1491と2SC5108による終段をドライブしています(サービスマニュアルの回路図では2SC5108ではなく2SC3885)。2SA1491の前にあるR21の両端でアイドリング電圧を測定し+2mVを基準とし+4mV〜+1mVの範囲内であること、となっており、実測+3mVであったためOKとしました。上から見るた所。下側のヒートシンク右側のTrが2SC5108、左側が2SA1491、その上の緑色の抵抗がR21で、右上の半固定抵抗がアイドリング電圧の調整用。左側の小信号Tr.4個がリミッター回路です。アイドリング電圧測定時のテスターリードはR21の半固定抵抗に近い側が+、リミッターに近い側が−になります。■組み立てと試聴基板側に修正点が無かったため元通りに組み立てて動作チェックです。本機種では基板側が壊れる話をほとんど聞きませんが他にアンプの定番故障で不具合が出る可能性が高いとすればミューティングリレー(上の写真の黒い部品)かなと思います。修理前に音割れ(ビビリ)が発生していた個体(S/N Z074866ZP)の基板と、エッジが綺麗に貼れた(血染めじゃない)ユニット(S/N Z623647RT)の組み合わせで音出しチェックを行いましたがビビリは発生しません。20Hz台は通常の利用ではほとんど感じられませんが30〜40Hz台は意味があります。部品取り用の適当なジャンク品が入手できるまでしばらくは1本運用で使います。本記事を参考にした修理は自己責任でお願いします。(がんくま)
以前もチャレンジして上手くいかず数年間放置したままでしたが再チャレンジして成功したので忘備録として書いておきます。■無線ダイレクトとは?Androidとプリンターを一対一でWi-Fi接続して印刷する機能です。プリンター自体に内蔵のルーター機能を活かして使用するのでWi-Fiルーター不要ですが、普段Wi-Fiルーターに各種機器を繋いで使っている人は普通に無線LAN接続するほうが良いです。TR703の取扱説明書には無線ダイレクト接続すればAndroidから直接印刷できるとは書いてありますが、その具体的な設定方法が書かれていません。説明書を読めばわかる、ではなく説明書を読むと逆にわからないです。本体側もメニュー階層上部にあるWi-Fiセットアップメニューとは違う階層に設定メニューがあり混乱します。■TR-703本体の設定プリンタ本体のファームウェアバージョンは1.020です。01.プリンター電源ON02.工具のボタンを押す→セットアップメニュー03.カーソルキーで「本体設定」を選び「OK」※Wi-Fiセットアップには行かないこと04.カーソルキーで「LAN設定」を選び「OK」※Wi-Fiには行かないこと05.カーソルキーで「無線ダイレクト」を選び「OK」→「無線ダイレクト設定」画面06.カーソルキーで「無線ダイレクト」を選び「OK」07.カーソルキーで「無線ダイレクトの切換」を選び「OK」08.「無線ダイレクトを有効にしますか?」でカーソルキーで「はい」を()で囲んで選択し「OK」を押すと「処理中」になり、しばらくすると「Wi-Fiルーターの設定情報」画面になり「確認終了」と表示される。※「OK」や「戻る」を押さないこと09.カーソルキーで「ネットワーク(SSID)を表示」を選んで「OK」SSIDが表示されるのでメモする。DIRECT-BZ47-TR703series(例)「戻る」ボタンを押す。10.カーソルキーで「セキュリティ方式を表示」を選んで「OK」11.「次画面でパスワードも表示しますか?」となるので「はい」を()で囲んで選択し「OK」セキュリティ方式とパスワードが表示されるので、撮影するかメモして記録する(重要)。WPA2-PSK(AES)パスワード:9g8AMhKiNT(例)「戻る」ボタンを押す。12.カーソルキーで「無線ダイレクトデバイス名」を選んで「OK」無線ダイレクトデバイス名が表示される。DIRECT-BZ47-TR703series(例)「戻る」ボタンを押す。13.カーソルキーで「確認終了」へ戻し「OK」→「無線ダイレクト設定」画面へ戻る。他に設定項目が無ければ「戻る」ボタンを何度か押してインク残量画面に戻る。インク残量表示の右横にあるWi-Fiアイコンには✕が付いているが、Android側のWi-Fi接続画面に先ほど設定したSSID"DIRECT-BZ47-TR703series(例)"が見えていれば本体側の設定は終了です。個人の利用であればこの初期設定のまま使うほうが無難です。■パスワードを変更01.「無線ダイレクト設定」画面からカーソルキーで「パスワードの変更」を選んで「OK」→「設定方法を選択」画面02.「手動選択」を選んで「OK」→パスワード入力画面03.カーソルキーで文字を選んで「OK」で入力する。文字種は工具ボタンで変更。入力中のパスワードが逐一伏字になるので確認できない。04.パスワードの入力が終わったら最後に「OK」を長押しして確定。なのですが、何回やっても「入力内容が不正です」で蹴られてしまいます。命名規則があるのかも?「手動選択」の代わりに「自動更新」を選ぶと更新はされるがSSIDも同時に更新されてしまう上に、そのままでは確定したパスワードが表示されません。パスワードを確認するには「Wi-Fiルーターの設定情報」画面で「確認終了」と表示されている時にカーソルキーで「セキュリティ方式を表示」にして「OK」を押します。使いにくさを感じるのは、この「Wi-Fiルーターの設定情報」画面へ直接行く方法が無い?点です。この画面が表示できるのはパスワードを変更した直後のみ、ということは自動更新しかできないならばパスワードとSSIDを変更しない限りパスワードの確認だけを行うことができません。理解に苦しむ仕様ですけど本体設定の所でパスワードのメモが(重要)と書いたのはそのためです。■SSID/デバイス名を変更01.「無線ダイレクト設定」画面からカーソルキーで「SSID/デバイス名を変更」を選んで「OK」を押す。02.「設定方法を選択」画面で「手動選択」を選んで「OK」03.現在のSSIDが表示されるのでカーソルキーで文字を選んで「OK」で入力する。文字種は工具ボタンで変更。04.SSIDの入力が終わったら最後に「OK」を長押しして確定。■接続要求の確認設定Wi-Fi機器がプリンターに接続しようとした時にプリンターに確認画面を出すかどうかの設定なのですが、はいに設定しても何故か出ないです。01.「無線ダイレクト設定」画面からカーソルキーで「接続要求の確認設定」を選んで「OK」を押す。02.「Wi-Fi Direct機器との接続で確認画面を表示しますか?」となるので「はい」を選択。■詳細設定「無線ダイレクト設定」画面からカーソルキーで「詳細設定」を選び「OK」でプリンター名設定TCP/IP設定WSD設定Bonjour設定LPR設定RAWプロトコルLLMNRIPP設定PictBridge通信設定間欠受信設定IPsec設定が出来ますが、個人の運用なら触らないと思います。■Android側の設定01.印刷方法は2つあり両者は併用できますのでPlayストアから2つのアプリをダウンロードしてインストールします。Canon PRINTCanon Print ServiceCanon PRINTはアプリの中から印刷するファイルを選んで各種印刷を行うためのアプリです。Canon Print Serviceは他のAndroidアプリの印刷メニューから印刷を行うための機能サービスで、それ自体から印刷を行うものではありません。Canon Print Serviceの有効化、無効化や設定はAndroidの設定画面の「印刷」メニューから行えます。02.AndroidのWi-Fi設定画面からプリンターのSSIDを探し、「無線ダイレクト設定」の中で設定したパスワードを使い接続します。03.Canon PRINTを使う場合はアプリを起動し、プリンターの検索でTR703を選択してメニューの中から印刷したいものを選んで印刷します。04.他のAndroidアプリの印刷メニューからは印刷先にCanon Print Serviceを選び、プリンターの検索でTR703を選択して印刷します。※通信を制限するVPNアプリ(NoRoot Firewall等)を入れているとWi-FiでSSIDに接続できていてCanon PRINT/Canon Print Serviceを通信許諾していてもプリンターと通信できないらしく検索でTR703を発見できませんでした。無線ダイレクト印刷を行う際だけVPNを停止する必要があります。なお、同様の現象はコンビニ各社の印刷サービスアプリでもおこります。■プリンター本体のリンクボタンについて以上の設定はなかなか難解で、かなり設定に慣れた人でも事前情報無しだと苦労すると思います。本体に鎖のマークのボタンがあり、Canon PRINTをインストールし、パソコンの検索画面で本体に鎖のマークのボタンがありますか?で「はい」と答えると3秒以上押せと表示が出て、するとWi-Fiの自動設定をしてくれる機能があるようですが、この機能による設定は上記の設定とはSSIDも異なり混乱します。設定中にプリンター本体側の反応が無くなると強制電源OFFするしか抜けられませんし私は使いませんでした。最終的にはどんな手段でも動けば良いのですけれどね。(がんくま)
初代機DR-550に続き後継機種DR-554-Eを分解しハードディスクをSSDに置換しました。Instant ReplayはDR-550→DR-552→DR-554-E→DR-600(Instant Replay 2)と進化していったようで背面の印刷によると製造時期は2004年2月25日。手持ちのDR-550から7年後になります。売価は3250ドルで、日本の代理店価格は不明ですが当時のドル円レートで換算すると35〜36万円ほど。ROMのバージョンは2.308です。録音後にトリミング編集できるやつ!前記事に書いたように私がかつて仕事で使っていたのはDR-550ではなくこのDR-554-Eかな?と思います。入手時点で正常動作していましたがハードディスクは初期化されており、工場出荷段階で入っている効果音は今回も聞けず。■内部を調べる分解方法はDR-550とまったく同じなので前記事を参照して下さい。実装されていたHDDはSeagate ST320014A(20GB UltraATA)です。DR-550は50pinフラットケーブル接続のSCSI-2ドライブでしたがDR-554-Eは40pinフラットケーブル接続のIDEドライブになっています。MASTER/SLAVEの設定は"MASTER or Single Drive"になっていました。72pin SIMMの容量はDR-550の1MBから4MBに増えていました。本機はHDDを交換する際に内容をコピーする必要もなく、また稼働時もいつでも電源スイッチをOFFにできることからOSと機能プログラムは完全にROM化されていて、せいぜい起動時に一部がRAMに展開される程度かと思います。トリミング編集やリニアPCM対応といった機能拡張に伴いさすがに1MBでは足りなくなったか。基板にはInstant Replay 3.0 1999とあり初代から3年後です。おそらくHDDの向きが変わったDR-552の基板が2.0なのでしょう。A/DはAD1877JRで変わっていませんが、D/AはAKMからCirrus Logicに変わりCS4398になっています。デジタル音声トランシーバはCS8401A-CS/CS8411-CS、アナログ音声系はNE5532とSSM2402/2143といたって手堅く典型的な業務用音響機器です。CPUも変わらずMC68020/40MHz、DSPもMotorola(現NXP)のDSP56002FCでした。ROMのCopyright表記からmicrowareが消えています。基板上にEXTERNAL SCSI端子がありますが、I/Fチップも含めて実装はされていない模様。50pinではないので内部HDD用とは考えられず、D-Sub25pinの外部SCSI端子がある機種が存在したのかな?背面には拡張ドライブが繋げるような端子がありません。D-NetというのはAES/EBUプロトコルを使ってデジタルケーブルでInstant Replay同士やDATと繋ぐと音データやファイル名情報の等の複製ができる機能で複数の本機を複数のスタジオに置いている放送局では重宝しました。が、HDDが繋がるものではありません。マニュアルによるとDR-554-EではプリンタポートにパラレルATA接続のIomega ZIPドライブを繋ぐとZIPドライブとの間でファイルコピーをしたりバックアップを取ったり、ZIPドライブに録音できたりする機能が増えていました。これに伴いメニュー項目にEXTERNAL DRIVE ENABLE/DISABLEがあり、ENABLEにしているとメニューからフォーマットも出来るようです。ただし転送レートの問題(ZIPの転送レートは最大で1.4MB/s程度だったらしい)でしょうがLinear PCMでの録音はできずAC-2のみ。そしてSCSI接続はできず繋げるのはパラレル接続のZIPドライブに限られます。DR-554の先代DR-552のマニュアルを見ると外部SCSI端子にZIPやCastlewood Orb 2.2GBドライブが繋げるとあり、その際はSCSI ID=6で決め打ちとのこと。ZIPドライブはDR-554-Eとは逆にパラレル接続は不可でSCSI接続できるドライブに限る、とあります。DR-552の背面写真を見たらプリンタポートの上にD-sub25pinのSCSI端子がありました。整理すると、・DR-550ストレージI/FはSCSIで内蔵のみ録音フォーマットはAC-2のみトリミング編集機能無し・DR-552ストレージI/FはSCSIで内蔵と外付け録音フォーマットはAC-2/44.1kHz Linear/48kHz Linear選択でサンプルレート変換機能付きトリミング編集機能無し・DR-554-EストレージI/FはIDE(ATA33)で内蔵と外付け(パラレルATA)録音フォーマットはAC-2/44.1kHz Linear/48kHz Linear選択でサンプルレート変換機能付きトリミング編集機能有りDR-554-Eの内部にEXT.SCSIの実装パターンが残っているのはどうやらDR-552との互換性の名残りのようです。交換できるドライブのリストがメーカーサイトにあります。List of Compatible IDE Hard Drives for Instant Replay DR-554https://support.360systems.com/knowledgebase/list-of-compatible-hard-drives-for-instant-replay-dr-554/We recommend that the hard drive spin no faster then 7200 rpms and you try and source the smallest capacity hard drive since the OS only partitions 5.4GB.SEAGATEST320410A 20GBST320014A 20GBSEAGATE ST3160215A 160GBWESTERN DIGITALWD1600JBWD1600AAJBWD1600AVJBSAMSUNGSP0802N 80GBSP0822N 80GBここに出てくるような20GB〜160GBのIDEドライブは2026年現在では入手が難しく軒並み20年以上前の製品です。しかもOSが管理できるのは5.4GBまでと書いてあり、実装されているST320014Aでも容量的には相当な無駄遣い。いつ止まるかわからない古いHDDを使い続けるのもどうかと思うのでSSDに置換してみます。■SSD化してみる千石電商2号店で変換名人(TFTEC)のIDE-SATAアダプタ"IDE-SATAZD"を購入してきました。この変換基板は2.5インチ、3.5インチのSATA HDDに両対応で、CS/MASTER/SLAVEの設定ジャンパピンがあります。使ったSSDは中古品のSamsung PM881 2.5 128GB SSD(PN: MZ7LH128HBHQ-000L1)です。SSDに基板を挿しジャンパピンをMASTERにします。この基板、IDEケーブルの1番ピンがどっち側だか分かりにくいのですが、ジャンパピンがある側が1番側です。本体側のピンヘッダも40pinでどっち向きにも挿さるので向きを間違えないよう慎重に確認して挿す必要があります。背面寄りが40番側、前面寄りが1番側で、逆挿し防止で39pinになっている写真下のようなIDEケーブルは挿せません。2.5inchドライブ用の変換マウンタAINEX HDM-34Aを使って元のHDD位置に固定します。当然ですが底面ネジ穴固定に対応しているマウンタしか使えません。電源、IDEケーブル共に元のHDDのコネクタ位置からズレるのでそのままでは余長が足りずAINEXの電源延長ケーブル50cm WA-048Cと、groovyのIDE(ATA33)延長ケーブル・フラットタイプ30cm GN-FLIDE030EXも購入。この手の製品はかつて大変ありふれた自作用PCパーツでしたが、SATA時代になってもはや秋葉原でも探し回らないと入手できなくなりました。ヨドバシカメラで入手できましたが、今となってはハードオフのジャンクコーナーのほうが見当たるかもしれません。繋いだだけであっさり動作しました。STOPキーを押しながら電源ONでPLEASE WAIT画面になり、10秒程でFORMAT確認画面。フォーマットを実行すると一瞬で終わってROMバージョンとDSPバージョンを表示し通常の運用画面へ遷移します。フォーマット直後の録音可能時間はAC-2 24:47:3548K LINEAR 4:38:5544.1K LINEAR 5:03:35で元の20GB HDDとまったく同じです。録音時間の上限リミッターが60分になっているので設定からリミッターを解除するとこの時間が表示されます。20GB IDEであっても128GB SSDであっても本機が管理できる容量は5.4GBまでで残りの容量は使えないのだと思われます。本機種用のSSDは最小容量の40GB品で充分です。なお、このAC-2の録音可能時間24:47:35は前回DR-550のSCSIドライブを4GBで確保した時の録音可能時間25:36:23よりやや少なく、本当に録音に5.4GB使っているかどうかは少々疑問です。48kHz Linearが24bit Stereo(2304kbps)だとしても4:38:55(16735sec)は4.6GB(4,706.71875Mbyte)にしかなりません(他にメタ情報があるはず)。AC-2についてはさらに謎ですが、モノラルchのみの圧縮に対応し64〜192Kbpsらしいので384Kbpsだとして計算しても4.0GB(4,183.828125Mbytes)です。もっとも本機の用途は短い音を大量に出す事であり24時間を最大登録数500個で割っても1個3分弱。実際には数秒〜数十秒の効果音が多いのでこの程度の録音容量でも実用上の不足は無かったのでしょう。1995〜2005年頃はパソコン需要でHDDが急速に進化していく時期でしたから本機のようなシステムは特殊なパターンだったと思います。■動作検証DR-550+SCSI2SDで見られた起動後の初回録音時に30秒ほど待たされる挙動は本機だとHDDでもSSDでも起こりません。録音フォーマットがAC-2/48KHz LinearPCM/48kHz LinearPCMの3種類から選べるように。マニュアルでは大抵の用途で音質的にはAC-2で事足りるが、デジタルで正確に録音と同じPCMデータを再生できないといけない検証のような用途の為に実装したみたいな書き方です。アナログ音声出力と違いデジタル音声で出力する場合、リニアPCMで録音した44.1kHz素材と48kHz素材が混在しているとトラブルの元になるので、本機の用途では自動サンプルレート変換をONで使う事が推奨されます。DR-550では音頭を認識させるスレッショルド設定がONになっていて録音ボタン→再生ボタンを押すと録音待機→スレッショルド値を超えたら音頭認識になっていましたが、DR-554-Eを同じように使う場合はスレッショルド設定をしないといけません。録音後のトリミング編集画面。時間で指定します。左右の移動はHOT-KEY最下部のカーソルキーで行います。フェードイン、フェードアウトも時間指定できます。再生レベルの調整画面。気になったのは、同じ音(同じボタン)を連打して繰り返し再生させると間にノイズが入ることです。1回だけ再生なら起こりませんが、前の音が出ている最中に再び再生させると入ります。音頭に短フェードインをかけても駄目で、再生中の音が途切れる時に自動で極小フェードアウトをかける処理が無いせいと思われます。以前使っていた時の記憶では本機最大のウィークポイントはHOT-KEYボタンのチャタリングで稀に音頭が重なって2度出てしまうこと。ポン出し業務に特化している機種なので再生中に早送りや巻き戻しをする機能が無く試聴機としては使い勝手が悪いです。DR-550〜DR-554-Eの全機種に共通で事実上ファイルコピーで本体内に音をコピー出来ないのが現代的なポン出し機に比べると不便です。以上のような欠点はありますが、一度登録した決まり音を毎日何度も出すような現場なら今でも実用なのではないでしょうか。トリミング編集機能が無いDR-550/DR-552も、音源を録音する際に再生開始点よりも前が完全無音になるように加工してから読ませる等すれば良いのですが、フェードインする音源やS/Nが悪い音源は扱いにくく、実用度が高いのはやはりDR-554-Eです。Instant Replay Overlay Templatehttps://support.360systems.com/knowledgebase/instant-replay-overlay-template/■SDカード仕様にできないか?SSD化は簡単にできましたがSDメモリーカード-IDE変換基板のほうは今のところ成功していません。AliExpressで購入した変換基板はこれ。5V SD カードモジュール IDE3.5 40 ピンディスクドライブアダプタボードライザーカード容量サポート最大 128 ギガバイトの SDXD カード ATA IDE モジュール [Shop1103102195 Store]https://ja.aliexpress.com/item/1005006307922050.htmlSD35VC0(白色シルク印刷)。BYTe Semiconductor製の4Mbit FlashメモリーBYT25D40EST1Gが搭載されていて、メインICの型番はシールで読めませんが、いわゆるFC1307A搭載SD-IDE変換基板という奴です。この基板40pinコネクタ位置の都合で設置相性が悪くそのままではさっぱりネジで固定できません。通電するとLEDは点灯しますがDR-554-E本体はPLASE WAITのまま。FORMATモードで起動しても同様です。4GBや8GBの複数メーカーのSDカードで試すも認識しませんで、現時点では使えない理由がわかりません。128GBのSSDでも繋げはそのままフォーマット出来たので容量認識の問題ではないように思います。MASTER/SLAVEを設定する機能が基板側に無いのが問題なのか、それともこの基板にあるというバグの影響なのか?【参考】FC1307A搭載SD-IDE変換基板のおかしな挙動を直す [MCtek]https://zenn.dev/mctek/articles/306d1afc153c0bファームウェアを書き換えるにはRaspberry-PiをSOPのFlashメモリーに繋いでファームを焼くという作業が必要でSSD化やSCSI2SDより難易度が高く(それで動く保証もない)この路線の追求は現状諦めモードです。MASTER/SLAVEの設定ができる他のSD/CF基板を試せれば或いは簡単に動くのかな?【参考】希少化するIDEハードディスクを置き換える(2) [丸真商店]http://www.marushin-web.com/ide_replace2.html本記事執筆時点でIDE-SATA変換基板(IDE-SATAZD)は1000円台で買えますし、40〜128GBのSATA SSDもパソコン用としてはもはや価値がなく1000〜2000円で中古が買えます。買えるうちに予備のSSDを買っておこうとは思いますが、DR-554-Eに関してはDR-550とは違い無理してSDカード化するよりもSSD化するほうが安価で転送速度も速くオススメです。本記事を参考にした改造は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(1)360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(2)
オーディオドラマ 「真面目と不真面目の境界線」Release:2026.4.26 M3-2025秋(予定) (第1展示場 G-16b)39分 ステレオ CD-R イベント価格 500円いつもと同じラジオドラマ風のオーディオドラマCDです。完成がギリギリになりそうなので本ページはイベント直前まで随時更新されます。[ジャケット][試聴ファイル]冒頭 部分サンプル(mp4)2分08秒途中部分サンプル(mp4)6分22秒※制作途上のサンプルで完成品とは差異が生じる可能性があります。[あらすじ]卒業・就職を控えた女子大生、岩崎の悩みは深まっていた。年齢層も近く気心が知れた学校の友人達との会話と違って、これから社会人として仕事をしていく相手とどこまで「くだけた話し方」をしても良いのかがわからない。親しみを込めて冗談を言ったつもりなのに不真面目な性格の人物だと思われてしまうと損だし、といって真面目一辺倒のギスギスした人間関係の中でずっと過ごすのもどうかと思う。誰に対してどこまでくだけて話しても良いのか、絶対に失敗しない正解を事前に知る方法は無いものか?そんなある日、アルバイト先のレンタルDVDビデオ店で騒動が持ち上がる。お客の「老害じじい」が持ってきたのは1本の古いビデオテープであった。[キャスト]岩崎:サウザー咲日置:くろ。菊水:南瓜南店長(横河):戸愚呂 妹岩崎の同級生:ゆきはら、井田愛理岩崎の父:がんくま客・ナレーション:杉宮加奈[スタッフ]脚本・演出・技術:がんくま(がんくま)
前回BlueSCSIでもSCSI2SDでもどっちでもとりあえず動くところまでは確認できました。■DR-550のSCSI環境を調べるSCSI2SDはMicroUSB経由で設定を更新(Save to device)するとMicroSDカードを挿しっぱなしで検証ができるので、こちらで色々と細かい部分を調べました。ただしMicroUSBケーブルは挿しっぱなしで良いものの、DR-550本体の電源を投入する前にPC側でUSBケーブルを抜いてUSB通電オフにしないと正常に動かないようです。ところで実はHDDの交換についてもメーカーWebに言及があります。サポートは打ち切ってるがやりたい奴はやれって感じなんでしょうかね?Instant Replay DR-550 Hard Drive replacementhttps://support.360systems.com/knowledgebase/instant-replay-dr-550-hard-drive-replacement/>The DR-550 used a 50 pin SCSI 2 hard drive. It is best to try to obtain a replacement drive that has the same specifications as the drive in the unit. Understand that SCSI drives have been out of production for many years and it is more than likely that the sourced drive will be used.>When sourcing a replacement drive, make sure it is a 50 pin SCSI 2 drive that spins no faster than 7200 RPM. Set the jumper configure to TE (Termination Enable) and the lowest SCSI INDEX NUMBER (SCSI ID 0 or SCSI ID 1 depending on the manufacture). Install the hard drive and follow the format instructions.交換用ドライブは7200rpm以下の50ピンSCSI-2ドライブを選ぶこと、HDDのジャンパーピン設定をTE(終端有効)に設定し、 SCSI IDを最小値(メーカーによってSCSI ID=0またはSCSI ID=1)に設定すること、と書いてありますが実機の中に入っていたドライブは何度見てもTE OFFなんですが。メイン基板側にも黄色い終端抵抗が見えるので、SCSIバスのセオリーとしてTE ONが正しいと私も思います。本機にはドライブ管理画面のようなものは無く、OKかNGかはフォーマット出来るかどうか(出来ないときは"FORMAT FAILED"と表示が出る)しか判断基準がありません。・終端抵抗はONでもOFFでも動いた。SCSI2SD V4の終端抵抗はA101Jの抵抗アレイで、SDカードスロット側から見て左側がコモン(抵抗アレイに●印がある側)です。実装設定と矛盾しますが挿した状態(ON)で使います。scsi2sd-utilのGeneral Tabにある"Enable SCSI terminator"のチェックボックスはV5.1〜5.2基板でしか機能せずV5.0Aを含むV4系基板では無意味です。・SCSI IDは1か7でないと動かなかった。SCSI-ID=0 NGSCSI-ID=1 OKSCSI-ID=2 NGSCSI-ID=3 NGSCSI-ID=4 NGSCSI-ID=5 NGSCSI-ID=6 NGSCSI-ID=7 OK本体側にID表示機能が無いので本体のIDが不明ですが漠然と7かと思っていたので意外です。本体が0なのかもしれない。本機DR-550には複数台のHDDを管理する機能が無さそうでBlueSCSIにせよSCSI2SDにせよSCSI-IDを増やして複数台の仮想ドライブを作るのは意味が無さそう。仮想ドライブが複数あるとID番号が大きい方の領域を使うようです。なおメーカーのサポート記事のなかにフォーマットする前にHDDをMASTER設定にしろと書いてありますがこれは後継機種がIDEドライブになったからでSCSIでは関係無し。・General Tabの"Enable parity"と"Enable SCSI2 Mode"はEnable/Disableどちらでも動いた。どちらもEnableで良いと思います。"Startup Delay(seconds)"は0のままで問題ありませんでした。・フォーマット容量は2GB/3.2GB/4GBどれも使えた。Device1以外(Device2〜7)の"Enable SCSI Target"のチェックは外します。使う領域がひとつだと"SD card start"はAutoにチェックを入れても入れなくても0になります。"Device size"は2.00GB/3.20GB/4.00GBを試したところいずれも動作しました。MicroSDカードの容量が4GBなのでそれ以上は試していません。後継機種のDR-554ではSCSIドライブではなくIDEドライブになっているようで、そのドライブ互換性の説明の中に"We recommend that the hard drive spin no faster then 7200 rpms and you try and source the smallest capacity hard drive since the OS only partitions 5.4GB."と記述があることから、もしかすると上限は5.4GBなのかも?元のHDDが1.2GBでしたから4GBでも大容量で25時間以上録れます。実用上困る事は無いでしょう。MicroSDカードの容量が大きければDevice2以降を作っておいて"Enable SCSI Target"をON/OFFすることで本機の用途別に仮想HDDを切り替える運用も考えられますが、そのためにはMicroUSBケーブルを隙間から引き出して都度パソコンから設定を書き換える必要があり、そこまでする気は湧きません。■BlueSCSIとSCSI2SDどっちを使う?以上の検証結果はBlueSCSIを使う場合にも反映可能なはずです。しかし本機にはSCSI2SD V4を使うことにしました。もっとも大きな理由はBlueSCSIを他の用途で使いたいからです。BlueSCSIのメリットの一つは仮想HDDイメージをexFAT上の単一ファイルに出来ることで、これはUSB端子がなく独自フォーマットの昔のSCSI音響機器のドライブイメージをWindows/Mac/Linuxで簡単にコピーして保管できるようになるってことです。Fairlight MFX3のOS-9環境をどうやって保存するか悩んでいるので、BlueSCSIが動くならそっちに使いたい。もう一つの理由は取り付け方法で、BlueSCSIに付属してきた3Dプリンタ製の取り付けブラケットではSCSIコネクタ位置がオリジナルのSCSI-HDDとズレてしまいます。SCSIケーブルが短いせいでブラケットとの相性が悪くネジが一箇所しか締められません。コネクタ位置がズレないSCSI2SDは基板をそのままネジで固定できます。25mmのM3ナベネジ2本を使い、ポリワッシャー2枚でSCSI2SDの基板を挟んで、ネジ緩み止めを塗った上でスプリングワッシャーとナットで締めて固定し、底面の余った穴はシールで塞ぎました。もしBlueSCSIを使うなら付属ブラケットを固定するためのブラケットをプラ板で自作するか、もっと柔軟なSCSIケーブルを自作するか。データの転送速度は体感でBlueSCSIのほうが速く、SCSI2SD V4は2.3MB/s程度だそうです。Fireball-1280Sは実効だと8MB/s程度らしいですが、実際に録音したり再生したりを試した所、録音開始の挙動こそもっさりしている(起動後最初の録音はボタンを押したあと30秒近く待たされる)ものの、再生には特に問題無いようです。録音フォーマットがAC-3と生WAV(Linear-PCM fs48K/Stereoで1536Kbps)の選択ができるVersion2.0以降で差が出るかどうかは本機では検証不能なのでわかりません。■Instant ReplayについてDR-550のCPUは68020のようです。クロックは40MHzかな。多分これは全体機能の管理用で同じMotorolaのDSP56002FがDOLBY DIGITAL AC-2のリアルタイムエンコード・デコード用DSPと思われます。FirmwareはおそらくAm27C2048-150DCだと思われるEPROM2個に入っていますが、そのラベルに360 SystemsとAC-2のライセンサーであるDolby Labsに加えてMicroware systemsのCopyrightsがあるのでこの機械はOS-9で動いている可能性があります。DACはAK4318-VS、ADCはAD1877JR、デジタル音声レシーバーはCS8411-CPでした。私がInstant Replayを使っていた時期は2007〜9年頃になります。テレビの全国ニュース番組の送出用で24時間365日通電されていました。本機自体の知名度はマイナーでも、その音自体は多くの国民が聴いていたはずです。個人的な機種遍歴で言えばAKAI DD1000とAbleton Liveの間にあたり、同時期には他にDENON DN-H5600とKowa AF770も使っていましたが、この両機種は中身がパソコンでメーカーの長期保守に難があり放送用途ではTASCAM HS-4000+RC-HS32PDへ移行し、それがDD1000+DL1000、AF770、DN-H5600+BU5601といった高機能放送局用ポン出し機の正統な後継機じゃないかなと思います。Instant Replayはこれらの高機能機と違いA/B二系統の出力を持たないステレオ一系統出力で音量フェーダーも無いので、BGMはCD再生機で出しつつ決まり物の効果音やジングル再生、エンディングテーマ曲の空回しを外付けフェーダーを介して本機で行っていました。本体と一体化した直感的に使いやすい操作パネルで設置体積が少なく、バランスXLRとAES/EBU入出力を備え、6mmデッキからの過渡期で生放送番組のポン出し需要を民生MDプレーヤーを使ってしのいでいた放送局の、とりわけ技術部署にとっては信頼性の高い選択肢でした。2010年代になっても、とある放送局の生放送スタジオの立ち上げでAbleton Liveを推した所、パソコン主体でDTM機器間をUSBで繋いだシステムの信頼性に技術陣から難色を示され「Instant Replay無いですか」と言われた記憶が残ります(ポン出し専用PCにインストールしたAbleton Liveはその後2年間無事故で動きました)。かつて使っていて困ったのは、たまにボタンのチャタリングが起こって音頭が2回再生されてしまうトラブル。現在使っているAbleton Liveと比べると素材の録音に実時間がかかり、録音後の編集機能が無いのが欠点です。DR-550を触って特に致命的だなと思ったのは録音後に音頭や音終わりの無音部分をカットするトリミング編集が出来ないことで、昔使っていた時には出来ていた記憶があるのですけどそれは後継機のDR-554-Eだったようです。DR-550〜DR-554まで見た目はほとんど同じなので今回編集機能の違いを調べるまでカラーバリエーションなのかなと思っていました。DR-550DR-554-E説明書によるとhead/tailのTrimやfade in/outの設定ができるようになったのはVersion2.3以降です。Version1.4のDR-550では録音時の自動ゲート機能のスレッショルド値設定で音の頭を切るしか無いようで録音に実時間がかかることと相まってストレスが大きい。メーカーの説明ではバージョンアップはできるようなできないような表現になっていますがどうなんだろう?どのみち紫外線消去とROMライターが必要なUV-EPROMだからメーカーに送らないと対応不可能ですけれど。How to obtain the latest system softwarehttps://support.360systems.com/how-to-obtain-the-latest-system-software/古い記憶では購入時点でBank10に初期効果音が50個入っていたような気がします。HDDが生きてて消されずに残っていたらそれをコピーしたかったなあ。本記事を参考にした修理は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(1)360 Systems Instant Replay DR-554-EのHDDをSSDに置換する
2009年頃までニュース番組の送出で使っていた経験がある懐かしいポン出し機(ハードディスクサンプラー。しかしMIDIで鳴らせるわけではないのでDTM機器としては知名度無し)です。起動画面は出ますがHDDを読まず再生も録音もできません。耳を澄ますとHDDのヘッドがシークしている音は聞こえますが、スピンアップする音がしないのでモーターが回っていないようです。SCSI-HDDの入手は難しくなっているのでSDカードでSCSIをエミュレーションする仮想ハードディスクに交換してみます。■分解してHDDを確認するメーカーWebサイトに分解手順が書いてあります(わりと珍しい)。Opening An Instant Replay For General Repairs.https://support.360systems.com/knowledgebase/opening-up-an-instant-replay/底面にある5つの黒いゴム足のうちフロント側の3つを外す。大きめのゴムブッシュなので端をめくってマイナスドライバーで中心部分を押しながら引き抜きます。中を覗くと奥に上面パネルを止めているナットが見えます。メーカーの説明では"5/16 nut driver or socket with an extension and ratchet"を使えと書いてあります。ANEX No.6000 8-125六角ナットドライバーを使ってみましたが斜め挿入になりサイズがギリギリです。着脱式の短いソケットだと外れて中に入り込んで取れなくなるかもしれないのでディープソケットかナットドライバーのほうが安全です。ナット3個が外れたら上面パネルを手前に引いてから揺すり、右側にめくって外します。底面基板と上面パネル裏基板の接続ケーブル各種を外します。本機の内部コネクタは一列ズレて挿せたり逆向きに挿せたりするコネクタばかりなので外す前によく観察して写真を撮っておく。"UG2M256K32SQT-7 1MB"と記載された72pin SIMMが刺さっています。最小容量なのでEDOでは無いと思いましたがチップの型番が読めず詳細不明。中央部にSCSI-HDD FireBallが鎮座しております。Quantumか・・・何もかもみな懐かしい。参考にさせていただいた海外サイトReplacing my 360 Systems Instant Replay SCSI Hard Drive With A Memory Cardhttps://www.notla.com/archives/2018/08/replacing-my-360-systems-instant-replay-scsi-hard-drive-with-a-memory-card/と見比べるとHDDの向きが違うので良く説明を読んでみると海外ニキの機種はDR-552(Instant Replay2.0)で一世代後みたい。本記事の当該機はケース底面に1997/12/19の検印がありメイン基板のリビジョンはFです。こちらが海外ニキのDR-552の内部で基板がバージョン2になっててFirmware ROMは2.02。SIMMが4MBになっている。(写真引用元) https://www.notla.com/wp-content/uploads/2018/08/20180816_130457.jpg底面から貫通している4本のインチネジ(22mm位)を回してHDDを取り外し電源とSCSIケーブルを抜きます。固く止まっていますがコネクタやピンの破損を防ぐため何度も揺すりながらジワジワと抜く。昔からパソコンの自作をしていた人は慣れてるでしょうけど、今どきのUSBやSATAしか知らない方だと力加減がわかりにくいらしい。外したHDDを裏返すとコネクタの所のシールに1280Sと型番があり容量1280MB(1.2GB)と確認できました。ドライブ設定ジャンパピンJP1を確認しドライブのラベルと照合。TE/A0/A1/A2のうち、A0のみジャンパピンが挿してあるので、TE(Terminator Enable)=OFFSCSI ID=1と思われます。外したドライブを他のパソコンに取り付けて様子見しましたがやはり回りません。■Blue SCSI V2を試す上記のドライブ側設定を参考にまずBlueSCSI V2を試しました。購入したのはヤフオクへ出品されているKero's Mac Modsさんの製品です。Kero's Mac Modshttps://ameblo.jp/keroxiee1016/entry-12705349964.html"BlueSCSI+Instant Replay"で検索すると仮想ドライブのイメージがヒットしますが、ここで言うInstant Replayは同名のAppleIIのエミュレータかアプリのことらしく本機とは無関係です。しかし動作実績はある。16GB class10のMicroSDカードをSDカードアダプタに挿し、WindowsでexFATでフォーマットしてからDisk Jockey(Windows版)で仮想ドライブのイメージファイルを作ります。【参考】Disk Jockeyを用いたBlueSCSI用ディスクイメージの作成方法https://ameblo.jp/keroxiee1016/entry-12951454374.html#google_vignette容量はとりあえず2GBとしました。出来上がったイメージファイルをMicroSDカードのルートフォルダにコピーし、SDカードアダプタごとBlueSCSIに挿入。仮組みで配線します。前述のように全てのコネクタは挿し間違いがないかを念入りに確認します。というのも昔一列挿し間違えて壊した機械があったのでね。仮組みで中を覗きながら通電するので不用意に基板をショートさせたり配線に負担がかかったりしないようにエアーキャップや布などの絶縁緩衝材で養生しました。BlueSCSIは電源を供給しなくともSCSIバスのTERM POWERだけで動作するとの事でしたが残念ながら本機では動作せずで3.5inch FDD用の電源変換ケーブルAINEX WA-076Cを使いました。千石電商で380円でした。すると基板上のLEDが点灯。STOPキーを押しながら通電でドライブの初期化モードになり、画面の指示にしたがって操作すると、ちゃんとフォーマットできました。仮想ドライブのイメージファイルだけあれば"bluescsi.ini"は不要です。フォーマットが終了すると自動で再起動され、RECボタンを押すと(フォーマットできていれば)録音可能時間が表示されます。2GBだとステレオ生WAVではせいぜい3時間程度しか回らないはずで16時間録れるということはDolby AC-2なのですね。■SCSI2SDを試す手持ちのSCSI2SDは数年前にiteadの出荷が止まっていた時期にAliexpressで買った中国製の互換品で基板裏に"S50TOSD"とシルク印刷があります。終端抵抗が物理抵抗だったり電源コネクタが付いていたりするのでV4な気がします(販売元ではV5.0Aと書いていたような)。この基板の電源コネクタは基板上に12Vの配線パターンが無いのでV5.1以降の基板のように黄色線をカットして5V線だけにする必要はありません。MicroSDカードは4GB(FAT32でフォーマット)を使用。ハギワラシスコム製品かなこれ。以前Firmwareを4.8.2にしてAKAI DD1000で試した際は動作不調だったので今回4.6にバージョンダウンします。本記事執筆時点でまだ販売されている古いV4系基板の設定の方法は下記のページに詳しいです。【参考】SE/30-A、B セットアップ(753Note)https://waterfront111.sakura.ne.jp/SE30/02.html中段「3. SCSI2SDのセットアップ」設定ソフトウェアscsi2sd-utilの入手は下記から。SCSI2SD Documentation Hubhttps://docs.scsi2sd.com/バージョンダウン用のfirmwareイメージ v.4.6.0をダウンロードしておきます。V4系基板の最新は4.8.4で私自身は4.6で動いたあと4.8.4を試していません。4.8.4で問題なく動く可能性もあります。Firmware and Utilities for SCSI2SD V3, V4, and V5.0http://www.codesrc.com/files/scsi2sd/archive/MicroUSBケーブルでWindows PCとSCSI2SD基板を繋ぎ、scsi2sd-util.exeを使ってV4用のfirmware 4.6を読ませます。V4用を選択。scsi2sdの一番下には基板と繋がっていればバージョン表記が出ますのでそこが4.6になる。以降Windowメニューからshow logで反応を見ながら設定します(見えない時はウインドウが後ろに隠れている)。たまにSave to deviceがprotocol errorでコケる時がありlogを見ているとわかる。BlueSCSIと同じ2GBターミネーター無しで動きました。BlueSCSIと比べると若干動作が遅いようです。最低限動くことは確認できたので次回さらに設定を詰めます。つづく(がんくま)【関連記事】360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(2)360 Systems Instant Replay DR-554-EのHDDをSSDに置換する■今回の修理とは関係ない部分の資料用写真集操作パネル裏側アナログボリューム部裏側ディスプレイパネル下端電源基板
ムラサキノオトでは4月12日(日)に新作ドラマ作品のセリフ録音を行いました(いつもガラクタいじりの話を書いていますが、このブログ本来はオーディオドラマを作ってるサークルのブログなんですよ)。編集はこれからですが(といってM3当日まで2週間を切 っておりますが)、20〜30分程度のオリジナル脚本で、いつもと同様ラジオドラマ的なヒューマンドラマCDになります。タイトル「真面目と不真面目の境界線」【出演】サウザー咲、くろ。、戸愚呂 妹、南瓜南、杉宮加奈、ゆきはら、井田愛理、がんくま【スタッフ】がんくま(脚本・演出・技術)今回の録音では満を持して(?)audio-technicaのAT-4050で全編録音を行いました。以前からCAD M179の後継のサークル主力マイクと位置付けておきながら「何でも試せる同人作品ではもっと変わったマイクで録ってみたい」と定番品であるAT4050を使わずにいました。なので技術的には安全牌でいたってスムーズに録音終了。先日記事にしたばかりのストップウォッチも使いました。今回はサークル創立時のメンバーが多めでしたので、収録後の打ち上げでは昔話に花が咲き。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。いやあやっぱり同人サークル活動は楽しいですね。後日作品情報のページを開設します。M3-2026春当日のサークルスペースはG-16bです。(がんくま)
電池切れです。■電池交換使用されている電池はコンビニや100均でも買えるCR2032なので入手は簡単です。裏蓋の周囲にある6本のネジを精密ドライバーで外します。金属製のプレートで覆われたCR2032が見えるので、矢印部分のフックを爪楊枝等で外すと電池が取り出せます。新しい電池に交換したら、圧電ブザーに貼ってある注意書きに従って電池+側と電池の右側にある金色のAC端子を2秒ほどショートさせます。電池を入れた時点で液晶には1988年の1月1日0時からの時計が動いているはずですが、ACをショートさせるとその時間がリセットされるはずです。あとはパッキンのゴム輪のヨレを直して元通りに組み立てるだけですが、本製品は緑色のムーブメント部分がフロントパネルの凹みにハマっているだけなので位置が悪いとボタンが反応しません。ネジで締め付ける前に各ボタンが動作するか要確認です。■MODEスイッチの動作が怪しい電池交換後に組み立てたところ前面のMODEスイッチの挙動が怪しく再度分解して調べてみましたが、組み付けズレではなくスイッチ自体の反応が極端に悪いです。ボタンのシリコンカバーをピンセットの先で押しても反応しないので、シリコンカバーを外して基板のパターンをクリーナーで洗浄したり、シリコンカバーの裏側にある導体を鉛筆で塗ってみたりしましたが改善せず。右下にポツンと転がっているのがシリコンカバーと裏側の黒い導体です。取り外し時に飛んで紛失しないように要注意です。電池をホールドしている金属板を止めるネジ4本を外して更に調べてみました。ここまで分解すると電池のマイナス側のバネや圧電ブザーのバネも外れるので電池交換だけならここまで分解する必要はありません。基板の右下側にACと書かれた端子が見えます。すると原因はAC端子の下側にあるバネ端子の接触不良でした。記憶が残っていませんが、前回電池交換をした時にここを押すとACショートになると勘違いしてドライバーの先で触っていたのが良くなかったようです。接点洗浄の上で金属板を曲げてバネが確実にパターンに接触するようにしたらMODEスイッチが快適に動作するようになりました。同じように電池の+側にあたる金属板とバネ端子で通電している接点が複数あるので、動作不良時は接触具合を調整すると改善する場合があるかも?■思い出話放送中継のアルバイトから誘われて音響効果の仕事に就いた時、初日に会社の先輩に言われたのが「安物で良いからストップウォッチ買って持ってきてね」でした。その言葉に従って1000円程度の安いストップウォッチを買いました。最初の仕事は毎日のニュース番組の音付けでしたが当時は6mm(オープンリール)デッキとCDプレーヤーで送出を行なっていました。現在のようにDAWのタイムラインに動画を貼ってBGMを編集したりはできず、音効はN編のβ-camの編集卓で試写する時にストップウォッチで映像の尺を測り、そのメモを見ながら磁気テープをハサミで切ってBGMを編集していたのです。音は生付け(MAを通らず番組内でVTRを送出する際にタイミングを合わせて同時に音を出すこと)なので、絵と音が合うかどうかは本番のONAIR時にしか確認できない一発勝負なのでした。そんなわけで当時の音効さんはみんな首からストップウォッチをぶら下げて放送局内をウロウロしていました。ストップウォッチと編集ハサミと白デルマ(ダーマトグラフ)が我々の3種の神器だったのですね。上の写真で白デルマとスプライシングテープと共に写っている右下のテープはDYMOテープでテプラの前身の肉厚テープです。下の写真の高価な編集ブロックを使うよりも6mmデッキに7cm位に切ったDYMOテープを貼って、それにテープを突き当てて直線を出しスプライシングしていました。編集ハサミは非磁化性金属かセラミック製のものが必要でしたがこれもまた高価で、今も昔も就職してもプレッシャーが強いためすぐ辞める人が続出する業種でしたから初心者にいきなり高価な道具を買えとは薦めにくい状況でした。ハサミは一般向けの安価な鉄製のものを局内にあるビデオテープの内容を消去する巨大な消磁器(バルクイレーサー)で定期的に消磁し、ブルーバック画面にしたブラウン管の管面にハサミを当てて変色しないかどうかで確認していました。音効として数年間辞めずに生き残るとストップウォッチやハサミ、編集ブロックといった道具にプライドが出てきて安物を使っているのが段々恥ずかしくなってきます。ラジオドラマのディレクターは同じくSEIKOのSOUNDPRDUCERという時間計算ができるストップウォッチを使っていましたが、高いし重いし時間計算機能が秒単位でフレームに対応していないしで、握ったフィーリングで決めて買ったのが本機S123-4000になります。本機特有の機能としてプリンターに繋げて印字が出来るのですけど私は使ったことがありません。でも「おっ、けっこういいストップウォッチ使ってるね」とディレクターから言われるのは満更でもなかった。以来数年間仕事で使いましたが6mmテープからDAW時代になりビデオテープや動画ファイルで事前に映像をもらえる時代になるとストップウォッチを使う必要性が薄れ、今ではTK(タイムキーパー)さんを除いてストップウォッチを現場で持ち歩く人は見かけなくなり、私もサークル作品の本読みの時位しか使わなくなりました。それでも触ってみると安物のストップウォッチやスマホ内蔵のストップウォッチ機能よりボタンの動作が確実で、やっぱりこれよこれって感じです。こいつは昔の戦友なのです。(がんくま)
数年前にCEMPW100でECMマイク用のファンタム電源ボックスを作った時に紹介したECMカプセルの出力をXLRバランスで出力する中華製基板を放置したままだったので少し詳しく調べてみました。【購入先】Module Skyhttps://ja.aliexpress.com/item/1005003392179055.html・2線式ECMカプセル専用。・XLRピンからのファンタム電源供給でECM用電源電圧が得られる。・価格は800円でセールで500円(送料別)程度。購入当時は400円だった。・基板に「丰圆意」とシルク印刷されている。・サイズ4.50cmx1.58cmx2.00cm「丰圆意」は日本語の漢字にすると「豊円意」。中国語の「丰(fēng):豊作、豊かさ、容姿が美しい」「圆(yuán):丸い、円満、欠けていない」「意(yì):意向、願い、満足する」を組み合わせた言葉で、「豊かな実りと円満な生活」を願うフレーズとして春節や祝辞で使われる定型句だそうで、おめでたい基板なのである。しかしこの言葉で検索しても製造元の情報はヒットせず。基板の配線パターンは太く裏側もほぼべったりアース面です。全ての部品は表面実装品でオーディオ用高級パーツというわけではありませんが品質は安定していると思います。回路図にしてみました。基板上に部品番号が無い部品にはこちらで勝手に番号を振りました。典型的なSchoeps回路で改造が流行ったBM-800と定数を含めかなり似ています。C1の容量は測定できませんでしたが同じだとすると1μF。違いはカプセル出力受けの高抵抗内蔵FETが無いのと位相分割用のQ1がNPNではなくPNPトランジスタになっていることです。この場合はベースに入力された波形と同相の信号がエミッタ側に出てきますからカップリングコンデンサC3を経由してXLR3が同相出力です。2線式ECMの出力は逆相なので結果的にXLR2が正相になります。Q4/Q5は何故欠番なんだろうかとか、R12とR13の抵抗値が違うのは何故だろうかとか疑問が残りました。3線式ECMカプセルで使えるかどうか調べるために改造してみました。R1とC1の間をパターンカッターで切り離し(またはR1自体を取り去り)、代わりの負荷抵抗となる2.2KΩを基板端にあるMICの+端子とー端子のスルーホールに挿し、3線式ECMの配線を下記の箇所にハンダ付けします。ソース:+端子ドレイン:R1のQ2側のランド(電源)GND:ー端子改造した箇所のアップ赤い部分をカットしR1のQ2側のランドからECMの電源を得る。GND側に移る負荷抵抗は裏側に付けました。3線式に改造したXCM6035を繋いで動作チェック。ファンタム電圧37.5Vの時、カプセル電圧(Q2のエミッタ出力電圧)は6.9Vでした。この改造によりソースフォロアーとなり歪みが減って音質が向上するはずですが改造前と出力の位相が反転します。BM-800と違いリード線の付け替えはできませんのでXLRコネクタの根元部分のパターン(下記写真)を切って&裏側も使って2番ピンと3番ピンの配線を入れ替えるか、受け側機器で位相を反転させて対応すると割り切るか、Q1(2L)をNPNトランジスタに付け替えるかです。チップトランジスタ(G1)が無い場合はリードタイプの2SC1815とか2N3904とか付けとけば良いと思います。ここは私の理解が間違っていて、正しくはQ1のコレクタとエミッタを入れ替える、のはず。NPNでもPNPでもエミッタ側がべース入力と同相、コレクタ出力が逆相。未改造だとXLR2(ホット側)が逆相。チップトランジスタだとパターンを変更しないとCとEが入れ替えられないので、リードタイプのトランジスタを使用するほうが楽。となると2SA1015とか2N3906とかでしょうか。初期状態のQ1端子位置しかし、実際にNPN(G1)に貼り替えてみると[貼替え前][貼替え後]位相が反転します。下記はSONY ECM-55Bと本基板+XCM6035とAKG LC-617MD+CEMPW100をカプセル部分を同位置に置いて録音した波形を拡大したもので、PNP(2L)の時と、NPN(G1)に変更した場合を見比べると、真ん中の本基板の位相が反転しているのがわかります。今度はQ1をTO-92型の2N3906Y(PNP)にしてエミッタとコレクタを入れ替えました。2N3906のリード線は左からEBCなので、下記の配置になるように取り付けました。波形を見てみると再び位相が反転しています。PNPトランジスタを使っているとCとEを入れ替えても位相は変わらない。NPNにすると変わる。調べた話と実際の結果が逆になっていてちょっと混乱してきました。上記の3つのマイクのレコーダー側の録音レベルはどれもあまり変わりませんで、ソースフォロアーと現在の負荷抵抗値でも出力レベルが低すぎることは無さそうです。BM-800ではホワイトノイズ低減のためにダイオードを抵抗にするか、ダイオードとC8の間に2.2kΩの抵抗を追加する(参考Ayumi's Lab.)改造がありましたので、パターンをカットして抵抗を追加してみました。[抵抗追加前][抵抗追加後]確かに雑音は少し小さくなるのですが、BM-800の時ほど顕著に小さくはならず。BM-800のダイオードほどノイズが大きくないのかもしれません。XLR2/3出力の保護抵抗と思われるR12とR13の抵抗値が違う件は、トータルのインピーダンス対策でそうなっているのか、コピー元の回路を使い回しているのかわからず。試しにBM-800と同様に両方47Ωにしてみました。このままだとイマイチなんで実用する時はもっと小さい抵抗にします。1/4Wの小さい金属皮膜抵抗にしてみましたが、それでもこんな感じです。BM-800と同様にC3/C4をフィルムコンデンサにすると音質が向上するはずですが、基板が小さく実装密度が高いため交換の難易度は高いです。今後、未改造品と録音を比較するなどして更に追記していきたいと思います。この基板は現在も入手可能ですが、似た製品で赤い基板もあります。https://ja.aliexpress.com/item/1005006494637270.html上記の写真を見た限りでは内容はほとんど一緒ですが、赤い方にはカプセル側の初段にFET(おそらく2SK596)が付いていて、よりBM-800に近い回路と思われます。(がんくま)【関連記事】ECMカプセル(ダミーヘッドマイク)用のファンタム電源兼バランス出力変換BOXClassic Pro CEMPW100をMicroDotのマイクで使ってみた萌声!激安中華マイクロホンの改造
10年前の修理から音的には何ら欠点を感じず昨年(2025年)春まで使っていました。最近になって使えるなら見た目は問いませんという学生に譲るため動作チェックをしたら片側の高域が出ません。テスターでツイーターAUDAX TW025M0の断線を確認しました。前回とは別の原因による再修理です。修理から10年経過したツイーターの内部にはほとんど変化がありません。磁性流体(フェローフルイド)充填直後のギャップの10年前(上)とその10年経過後(下)の比較。コイルに付着する分もあるので僅かに減っていますが大きな変化は見られません。前回、初のツイーター修理で試行錯誤の末にアルテコパワーエースと墨汁でシルクドームの再コーティングを行ったダイアフラムも状態に大きな変化は見られませんで、この手法の耐久性が証明されました。コイルが断線しなければまだまだ使えたことでしょう。ボイスコイルからリード線が引き出される部分が断線していました。私にはここをハンダ付けする技量はありません。AliExpressのGHXamp Audioから25.4mm(1inch)のダイアフラムを取り寄せました。https://ja.aliexpress.com/item/32878001801.htmlこのショップを利用したのは初めてでしたが、潰れやすいスピーカー部品を事故なく送るために梱包にしっかりとした配慮があり品質も素晴らしい。コイル径や突出量は問題なさそう。リード線も太くて丈夫そう。10年前に再コーティングした部分を上記の新品と比較すると手塗りで濃淡にムラがあるのは仕方がないとして、シルクドームの再現度としてはけっこうイイ線行ってたと思います。しかし残念ながらこのダイアフラムはサイズの問題で使えませんでした。【元のダイアフラムのサイズ】コイル径 25.4mmドーム径 31mm生地径 36mm台座外周直径 54mm台座のドーム開口穴径 30mm大きなネジ4穴 対角距離 47.5〜48mm 穴径5mm小さな穴2穴 対角距離48mm 穴径4mm【取り寄せたダイアフラムのサイズ】コイル径 25.4mmドーム径 31mm生地径 36mm台座外周直径 約62mm端子部分の直径81mm(端子を折って83mm)台座のドーム開口穴径 31mm大きなネジ4穴 対角43〜59mm(ネジ対角にして47〜56mm) 穴径5mm小さな穴4穴 対角距離44mm 穴径3mm※正確に定規が当てられない部分があるので1mm程度の誤差があります。TW025M0のマグネット側にはセンター出しの為の突出部が2つあり、まずそこのサイズが合いません。それだけなら穴を広げればよいのですけど、そもそもエンクロージャー側のバッフル穴径が73mmで板厚もあるので端子部分の横幅が81mmだと入らないです。仕方がないのでシルクドーム+コイルのみを再度取り寄せて元のプラスチック製台座に貼り込むことにしました。https://ja.aliexpress.com/item/32827390652.htmlこちらも個装ではないけど潰れないように配慮された梱包で一週間で届きました。クーポン利用で2個も4個も値段変わらないので4個購入。リード線の引き出し方向を除けば前述のダイアフラムに貼ってあるのと同じものです。前回の修理でコイルがギャップに接触して音が濁る経験をしているのでどうにもセンター出しに苦手意識があります。古いドームを撤去すると一段低いリング状の接着面が出現。ベタ付けというより線状に接着剤が塗布されていたように思えます。繊維状の模様で残った古い接着剤は溶剤で除去しきれなかったのでパターンカッターで削り取り、脱脂しました。交換するシルクドームを接着面の段差をガイドにしてマスキングテープで仮固定します。リード線もマスキングテープで仮固定してから端子にハンダ付けしますが、台座が熱にとても弱くハトメのハンダが溶けるまで加熱し続けると変形してしまいました(右側の端子)。この失敗の反省から以降はヒートクリップで吸熱しながらちょっとずつ溶かして付けるようにしました。テスター測定による巻線抵抗値は断線していないオリジナルが5.5Ωで交換品は6Ωでした。マグネットに装着し、高域の濁り(コイル擦れ)がわかりやすい音源を再生しながらセンター出しをする目論見でしたが磁性流体が入っているのでコイルが浮き、音がビビります。マスキングテープの固定箇所を増やします。磁性流体には自動最適化の性質があるので音を流しながらだとある程度自然に位置が決まる所があり、前述のリングをガイドに仮固定していれば事前の想像ほどセンター出しは難しくありません。前回苦労したのはコイルが斜めになっていたからですね。位置が確定できたらマスキングテープを少しずつ剥がして接着していきます。使った接着剤はB-7000です。カッターナイフの先で生地の端を持ち上げ、パターンカッターの先で接着剤を塗り、1〜2分待って初期乾燥でベタつき始めたらヘラの先で押し付けマスキングテープで固定、の繰り返しで円周を貼っていきます。作業中も音(いつもの新居昭乃「ばらの茂み」と窪田ミナ「金の波 千の波」のピアノ・ソロ版)を流しコイル擦れが発生しないかチェックしながらで、トイレットペーパーの芯を載せると聞きやすい。コイルの突き出し量の比較です。交換前のオリジナル(上)より交換後(下)のほうがごくわずかに凸量が多い(交換前はコイルの先端に磁性流体が付着していて黒くなっている)。逆にフロント側の突き出しは交換前(上)のほうが高く、交換後(下)は少し低くなりました。パネルを装着した状態。交換前(上)より交換後(下)のほうが凸量が控えめです。シルクドームを貼り終わったら台座を裏返してリード線を固定します。接着剤は絶縁を兼ねて黒色のT-7000。この配線は浮くので8〜10分後の接着剤がベタベタしつつも手には付かない頃を見計らって指先で押し付けるのですけど、交換品のリード線はオリジナルの細いエナメル線に比べると太くて絶縁性が無く、接着剤による絶縁だけでは不十分でパネル組み付け時にネジを締め付けるとマグネット側の金属面とショートして音が途切れてしまいます。最終的にはエーモンの結束テープで絶縁しました。下の写真は2個目の施工例でリード線のゆとりと絶縁テープの貼り位置を考えて1個目より内側に配線位置を変更しています。交換後、エンクロージャーに付けて断線していない方と鳴らし比べてみましたが予想外に差がありません。交換後のほうがややピーキーな帯域を感じて前回コーティング修理したほうが音が柔らかい感じですが、意識して聞かないとすぐにはわからない程度の差でエージングで馴染むかなという感想。位相も同じでした。つまり取り寄せた新しいコイルは裏側(コイル側)から見て下側にリード線を延ばした状態で右側のリード線がプラス、左側がマイナスで、このスピーカーの配線では青色線がプラス(台座側の端子に赤色の着色がある方)、白色線がマイナスです。音質と寿命を左右で合わせるため断線していなかった方も同様にシルクドームを貼り替えました。本機のネットワークは寿命が短い電解コンデンサーではなくフィルムコンデンサーで聴感上のバランスも問題ないので特に手を入れずそのままです。フロントパネルのフィルム端が剥がれかけなので接着剤(アルテコパワーエース)で剥がれないように補修し、底面には保護のため耐久性のあるカモ井のマスキングテープmtを貼りました。ウーハーの周囲のリングが変形して外れていたので切れ目を入れて少し長さを詰めてから接着剤(セメダインスーパーX)で貼り直し。古くなって見栄えはさほど良くありませんが、10年以上仕事で使っていただけあってこれの音に慣れております。透き通るような高音というほどではないにせよ高音はちゃんと出ていますし、無理して出している低音ではなく自然な低音で音量を下げても高音と低音のバランスが崩れない。私にとっては「普通のスピーカー」。GENELECやADAMよりもこういうので良いんだけどな。私の手元からは離れるけれど、少しでも音の後輩の役に立ってくれれば。自宅のモニタースピーカーはYAMAHA NS-10M→AUDIX Studio1a→Soundcraft Spirit Absolute2と変遷してきましたが、次はDynaudio BM-5を復活させる予定です。本記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Soundcraft Spirit Absolute2 ツイーター修理記(1)Soundcraft Spirit Absolute2 ツイーター修理記(2)Soundcraft Spirit Absolute2 ツイーター修理記(3)AUDIX Studio1A 修理記
■変換作業 準備編前回、令和6年になってDTRSテープを取り込むのがかなり難しくなっている現状をまとめました。そんななか実際に古いテープの変換依頼がありました。当家に残存するも長年使っていなかったDA-98を掘り出して試すも既に故障修復が不可能と判明し、TASCAMへ送ったDA-98HRは修理受付終了につき対応不可で返送され、やむなく複数台の中古デッキを分解整備して部品を融通し、海外からトルクテープを取り寄せ、かろうじてDA-78HRが動く状況に持っていけました。これはこれで結構苦労したので別途記事化できそうですが、今回は正常に動くデッキがある前提のおはなしです。10年以上ぶりにDTRSテープからProToolsセッションファイルへの変換(TDIFを使ったデジタルコピー)を行いました。テープの内容は2000〜2008年の間に日本と海外のダビングスタジオでデジタル録音されたテレビアニメとアニメ映画のDB-MIX、パラミックスです。24bitのHRモードのテープは数本で大半が16bit/48kHzですが海外版のPALも含まれタイムコードフォーマットは各種混在しています。【使用機材】DTRSデッキ: TASCAM DA-78HRシンクロナイザー: Digidesign Sync I/Oオーディオインターフェース: Digidesign 192I/OTDIFが使える機材としてDigidesign 192I/Oの他に当時良く見られたのはMOTU2408です。当家にはMOTU2408mk2とPCI-424カードが現存しますので今回試してみましたが、TDIFインターフェースとしてもTDIF→ADAT変換インターフェースとしてもちゃんと動作しました(ワードクロックで同期させてDA-78HRのTDIF OUT→2408でADAT変換→192I/OのADAT in)。シンクロナイザーはWordClockとSMPTE LTCの同期が両方同時にできるものであればおそらく使えます。SYNC I/Oの後継機種SYNC HDと、パソコンにプリンタポートがあればMOTU Digital Timepiece、無ければMIDI Timepiece AV USB、Rosendahl Wif2(要MIDIポート)、ProToolsではなくSteinbergのDAWで取り込むならNUENDO TIME BASEやNUENDO Syncstationが使えると思いますが、SYNC HDとSyncstationを除いてもはや骨董品になりつつあります。物によっては64bitのOSでは動かないかも? DAW:ProTools HD10(HD core/Accel Card)PC:Core2Duo Macintosh???+Mac OS X 10.9.5(Mavericks)当家ではHD10/11がまだ現役なのですけど懐かしい画面と思う人がいそう。■変換作業 配線編SYNC I/OのHOST SERIALとProToolsのHD Coreカード間はOld Mac用のプリンターケーブル(RS422ケーブル)で接続します。自宅を漁ったら昔これ用に確保していた新品が出てきました。偉いぞ過去の俺。アナログ入出力は使わずフルデジタルで8chマルチトラック音声を転送するため、D-SUB25pinのTDIFケーブルを使いDA-78HRのTDIF-1と192I/OのTDIF I/Oを接続します。次にデジタル音声転送に必須なデジタル同期の配線をします。本来なら送り出し側のクロックに受け側のクロックを追従させるのがセオリーなので、最初はセオリー通りに送り出し側のDA-78HRをワードクロック同期マスターとしてSYNC I/Oと192I/Oをスレーブの設定にしてみましたがシンク不良で盛大にパチパチノイズが乗ってしまい実用に耐えなかったので、SYNC I/Oをワードクロック同期マスターとしてDA-78HRをスレーブ同期、SYNC I/Oと192 I/O間は通常のループシンクとすると安定しました(ハウスシンク方式)。SYNC I/Oの WORD CLOCK outからDA-78HR WORD SYNC inの間を75ΩのBNCケーブルで接続し、SYNC I/OのWORD CLOCK inは75ΩのBNCターミネーターで終端します。DA-78HR側の空き端子は自動終端なのでターミネーター不要です。SYNC I/Oと192I/O間はお互いのLOOP SYNC in-out間を2本のBNCケーブルで相互に接続しループシンクとします。しかし後述のように取り込みが上手く行かないテープを再取り込みしている際には配線を変更しDA-78HRを同期マスターとしてSYNC I/Oと192I/Oをスレーブ同期としたほうが好結果となったケースもありました。同期でトラブルが発生した場合は配線や設定を変えての試行錯誤が必要です。DA-78HRとSYNC I/OのWORD CLOCK in-out間を2本のBNCケーブルで相互に接続しておけば背面の配線を変更することなく機器側設定で同期マスターを選べます。また、古すぎて怪しいBNCケーブルを新品に交換したら不安定だった同期不良が解決した事もありました。同期なんか繋がってりゃ良いんでしょ、といい加減なケーブルを使うとハマります。続いてSMPTEタイムコード同期の配線です。業務としてはこれがシンクロしてProToolsセッションファイルに変換できないと作業の意味がありません。廉価版機種であるDA-78HRのTIME CODE OUT端子はXLRでもBNCでもなく民生用のRCAなので、コンピュエース秋葉原店の閉店セールで買ってきたRCA-XLR変換ケーブルでSYNC I/OのLTC INに配線しました(写真の短いケーブルよりも1.5m品のほうが使いやすいはず)。特にレベル調整無く追従しました。ワードクロックと違いLTCは可聴音声信号でアンプに繋げば音が出るので出力を確認できます。ProToolsからDTRSデッキへ録音する場合はこれらの配線に加えてSYNC I/OのLTC OUTからDTRSデッキ側のTIME CODE INへ配線したり、ProToolsからDTRSデッキをリモート操作する場合はREMOTEケーブルを繋いだり、業務用ビデオデッキへの音戻しを行うならVIDEO REF同期の配線をしたりするのですけれど、今回はDA-78HRからProToolsへ一方通行でデータを送るだけなのでそのような配線はしません。DA-78HRにも192I/Oにもヘッドホン端子が無いので、192I/OのDB25アナログバランスアウト端子からミキサーやスピーカーに音を出して耳でモニターできるようにしておきます。■変換作業 デッキ側の設定DA-78HRの設定を行います。7セグLEDでアルファベット表示をしているので慣れないと読みにくいです。””で囲まれている所は選択肢なのでその前のボタンを押すか▲▼ボタンで選択。・テープ再生のタイムモードをABSからTimecodeに変更 (time modeの設定)SHIFT→MENU→"SyStEm"→SUBMENU→”timEmodE”→”t.md tC”・デッキのカウンターをタイムコード表示に変更 (TC displayの設定)SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”diSP”→”diSP.tAPE”・使用するタイムコードのフレームレートを設定 (frame modeの設定) SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”Frm modE”→”SyS.29nd”(29.97NDF)※テープのフレームレートと合わせる。29.97DFなら”SyS.29dF”・TIME CODE outから出力するタイムコードをテープに記録されたタイムコードに変更 (output TC Sorceの設定)SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”Out.tC.SrC”→”tAPE tC”・TIME CODE outから出力するタイムコードのタイミングをDIGITALに変更 (output TC timingの設定)SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”Out.tC.tmG”→”diGitAL”※TDIF/SPDIF OUTではなくアナログオーディオOUTを使う場合は”AnAaLoG”にします。・ワードクロックのデッキ側同期設定(Word Slave Syncの設定)フロントパネルのCLOCKキーを押してどちらかに設定。▶外部ワードクロックにスレーブ同期する→ WORDのみ点灯(WC EXTERNAL)▶デッキ側をワードクロックマスターにする→ WORD/DIGITAL IN両方点灯(WC INTERNAL)■変換作業 ProToolsの設定I/O設定画面で192I/OのTDIF INをDIGITAL INに立ち上げINPUT chに設定しトラックを作成。再生ch(A1~A8など)を設定。セッション設定ではビットレートとタイムコードレートが重要で、テープ側に記載の録音情報から設定します。ポスプロスタジオで録音されたものは箱に記載のSync MasterがVIDEO(REF VIDEO)になっているものがありますがそれは録音した時の話で、今回ビデオデッキは無関係でDA-78HRとProTools間はWordClockで同期しているので無視してかまいません。SYNC I/Oのワードクロックとテープ側のサンプルレートが異なるとエラー表示が出ます。▶ワードクロック同期マスターをProTools側にする場合DA-78HRのCLOCK表示はWORDのみ点灯させる(WC EXTERNAL)[セッション設定]サンプルレート/ビットレート 48kHz/16bit(テープ側のフォーマットに合わせて設定)クロックソース 192I/O #1→内部クロックリファレンス ループシンクポジショナルリファレンス LTCフレームレート 29.97(テープのフォーマットに合わせて設定)▶ワードクロック同期マスターをデッキ側にする場合DA-78HRのCLOCK表示はWORD/DIGITAL INの両方点灯(WC INTERNAL)[セッション設定]サンプルレート/ビットレート 48kHz/16bit(テープ側のフォーマットに合わせて設定)クロックソース SYNCクロックリファレンス ワードクロック 48kHzポジショナルリファレンス LTCフレームレート 29.97(テープのフォーマットに合わせて設定)PAL(EBU)25フレーム■変換作業 取り込みProToolsを「トランスポートオンライン」にします(LTCに同期します)。録音モードを「クイックパンチ」にします。録音トラックをRec Enableにします。デッキ側の再生ボタンを押すと数秒後にProToolsが自動的に追従再生になるのでパンチインでRecします。※REMOTEを配線していないのでProTools側からデッキのトランスポート操作はできません。【Tips】パチパチとノイズが入る場合はワードクロック同期が変なので配線や設定を見直します。前述のようにワードシンクマスターをデッキ側にすれば必ず良い結果が得られるとは限りません。ノイズと音質は耳でチェックしながら作業する必要があります。タイムコード同期が外れるとテープは走行したままProToolsの録音が止まってしまいます。止まった箇所から少し巻き戻してパンチインで録音し直し、後でProTools上で影響が無い編集点を調整します。写真のようにタイムコード同期が一定間隔で何度も外れる場合はタイムコードの設定が違います。テープが29.97NDFなのにセッションの設定が29.97DFだったり。テレビアニメやテレビドラマは29.97DFですが、それらのDVDは29.97NDFだったりします。テープダメージ等で何度録音し直してもテープの特定箇所でタイムコードが飛ぶ場合は、ProToolsのフリーホイール設定のフレーム数を増やすかジャムシンク機能を使ってTCが飛ぶ部分を前後の糊代付きで録音し、後でProTools上で編集点を調整します。デッキのPB CONDITIONランプがチラッと点灯した所はデータ欠落が生じているのでタイムコードを控えておき、後から録音結果をチェックします。1-2chの音声をモニターしていて問題なくても下の写真のように1-2chと3-4chは比較的マトモなものの3-4chと7-8chはドロップしているといったような場合が良くあります。なので変換中はずっとデッキの前に張り付いて監視している必要があります。テープもデッキも新しいうちはほったらかしでもエラーが無かったのでしょうが、どちらも古くなっているので仕方がないですね。デッキの蓋はすぐ開けられるようにしておき、ヘッドドラムや走行系がクリーニングできるようにしておきます。再生中にPB CONDITIONがチラチラと何度か点灯した後に連続して点灯して取り込み不良になる場合はヘッド汚れになっていてクリーニングすると回避できる場合があります。8mmビデオ用のクリーニングテープはカビ害等の対応には向きません。一般的なビデオデッキとは違いDTRSデッキのヘッドを手で回転させるためにはゼムクリップを伸ばしたものなど細い針金が必要です。ヘッドが薄くて華奢なため綿棒は厳禁で、セーム皮やメガネ拭きに使うマイクロファイバークロス(洗車用は不可)とエタノールまたはイソプロパノールを使用します。テープ窓から見て白いカビが見えるようなものは論外として、長期保管していたテープの先頭部分はカビ害などで再生するとすぐヘッドが汚れる場合があるので、取り込みはテープの途中部分から終わりまでを先に行い、先頭部分の再生は後回しにして後からProToos上で編集でつなぐといった工夫が功を奏す時もあります。巻き戻しと早送りのスピードは低速から高速へ遷移します。低速のほうがヘッドに負担がかかり高速は停止する時にリールテーブルギアに負担がかかります(同部品が割れるキッカケになる)。現在正常動作しているデッキならリールテーブルギア保護のために巻き戻し・早送りはなるだけ避けます。問題なく取り込みができた場合は巻き戻ししないでテープを取り出します。取り込み不良の原因はカビ害やテープ表面の汚れの場合もありますが、チェックしてもそれらの問題が無い場合は何らかの原因で磁気記録が劣化しています。可能性としてあり得るのかな、と考えているのが「転写」です。転写は磁気テープの宿命でアナログテープでも巻いたまま何年も長期保管していると起こります。8mmビデオテープはメタルテープで保磁力が普通のオーディオ用テープより強いです。これを長期保管しているうちに転写が発生し読み取り精度が下がってしまった可能性を考えています。DTRSでは「DTRS専用のマスターテープ」と「Hi-8用の一般ビデオカメラユーザー向けテープ」が利用できました。推奨規格を外れるアングラ利用法としてはHi-8の先代規格のVideo8用のテープ(Hi-8テープより保磁力が弱い)のカセットに追加の検出穴を開けて流用することも可能でした。実際にRF信号を比較して確認したわけではないのですが、体感としてはマスター用の保磁力が強いDTRS専用テープよりも一般ビデオカメラユーザー向けの安価なテープのほうが転写の程度が緩く長持ちした可能性があるのではないかと思います。過去の再生デッキによってテープに傷が入っている場合やヘッドの消耗による読み取り不良の可能性もあります。消耗が進んだヘッドではテープトルクを調整し直すと読む場合があります(修理技術者でないと触れません)。TDIFによるデジタル転送ではデータがドロップして無音になるがアナログ出力ならノイズは混じりつつも音は出る、という場合もあります。最終手段としては完全なデジタルコピーを諦め部分的にデッキのアナログ出力を録音して欠損部分を復元する事もあります。この+4dBuのDB25アナログマルチ、ピンアサインは共通なんですが左右の抜け止めネジがDA-78HRはミリ、192I/Oはインチ・・・。ところで、この作業は真夏に冷房の無い部屋でやるものじゃないですね。ヘッドがかなりの高温になります。やるなら乾燥していて気温も低い冬。■変換作業 編集や欠損の修復などここから先はProToolsの作業になります。写真のテープのようにME(音楽)やSE(効果音)を分けたパラミックスが残っていて正常に取り込めたならば新規に吹き替え音声を録音して海外配信版が作成できます。 5.1chサラウンド音声が残してある例。DVDのサラウンド音声はオーサリング時にDOLBY SURROUND AC-3等の圧縮音声になっていますが、LinearPCMで残っていればMAスタジオでの完パケ時と同じ音質です。5.1chでダイアローグ、ME、SEがテープ3本に分かれて書き出されていると最強です。昔はこれを保存するのが大変だったんだよなあ・・・。取り込み中にタイムコードが飛んだりPB CONDITION点灯で取り込み不良になったりした場合、再取り込みで正常な音声が取り込めた場合は編集点を探して繋ぎます。理想を言えばゼロクロスポイントで繋ぎたいですが、繋いでも問題が少なそうなポイントを探して繋ぎます。無音のところ、シーンの合間、次の音が立ち上がる直前など。単純な取り込み依頼ならここまで納品ですが、特定のトラックの音が欠損している場合は修復が可能な場合もあります。現在変換依頼があるのは吹き替えで海外版を作って配信したいので日本人声優のセリフ抜きのパラミックスが欲しいという場合が多いです。普通の2MixはマスタービデオテープやDVDに残っていますからね。続き物のアニメやドラマなら欠損したBGMや効果音は他の話数(他のテープ)から同じものを持ってこられる場合があります(探すために全話調べる羽目になりますが)。BGMは効果音に比べると使い回しが多く、別途サントラ盤が残っている場合もあるので何とかなる事が多いです。難易度が高いのは効果音のほうです。アンビエンスノイズのように変化が少ない効果音は欠損部分をコピーで埋められます。ME+SEとMEトラックが生きていてSEトラックが死んでいるような場合、ME+SEトラックに逆位相にしたMEトラックをミックスすればSEトラックが復元できます。セリフが被っていなければ2Mixから復元できる場合もあります。もっともミックス時のデッキへのパラミックスの送り方によりリバーブ成分の有無や音量やタイミングの微妙なズレにより完全に他の音が残らず抜けるかといえば実際には難しい事が多いです。残念ながら記録された効果音がどうやっても復元不能な場合は新たに似た効果音を作りなおす事になります。こういった作業にはDTRSデッキの知識の他にProToolsのようなDAW編集の知識に加えてテレビ番組の音響制作経験や高度な効果音の専門知識が必要で(デッキの修理から音響効果までできる私は多分奇行種です)、メディア変換業者にそこまでを求めるのはお門違いでしょう。テープに何の問題もなく正常に取り込めればそれが一番良いのですが(ここまで読んでいただければおわかりでしょうが)全く使えない状態であっても取り込みの作業時間や手間はむしろ余計にかかります。取り込んだ結果、使えるものだけにお金払います、では誰もこんな作業はやってくれません。部分的に修復すれば使える可能性がある、なら修復や編集には別途予算がかかります。今となっては「テープが残っているから業者に頼めばすぐ変換できる」と気軽に考えないことです。DTRSテープの再生寿命とデッキの寿命は既に尽きています。変換を考えているテープが手元にあるならば「いつか」ではなく「即座に」取り込みできると公言している組織(前回記事参照)にデータ変換の依頼をしてください。(がんくま)【関連記事】DTRS(DA-88)の過去作品データをProToolsのセッションデータに変換する(1)
かつては珍しくなかった作業ですが現在(令和7年)では茨の道です。もし変換を考えている方がこの記事にたどり着いたのであれば、いつかやろうではなく即座に行動して下さい。しかしすでに手遅れの可能性があります。実作業の様子のみ読みたい方は(2)ヘ。■DTRSとは?DTRS(Digital Tape Recording System)とは、民生用ビデオ規格であるHi-8ビデオテープに8トラックのPCM音声データを記録する規格で、デジタル録音機としてはDATの上位規格のような存在ではあるものの音楽鑑賞がメインの民生用には普及せず、音楽制作や放送用・劇場用の映像制作の現場で使われました。代表機種は1993年に発売されたTASCAMの初代機DA-88で、ポストプロダクション業では最終機のDA-98HRが2010年頃まで使われていたように思います。DA-88似た規格としては8mmビデオテープにデジタル音声のみを記録するSONYのDigital Audio Video規格があり、民生機としてはこちらのほうが使われましたがDTRSと互換性はありません。SONY自身もPCM-800というDTRSデッキを発売していましたがDA-88のOEM製品でありSONY製ではありません。PCM-800同じ用途の機材ですとS-VHSテープに8トラックPCMを記録するALESISのADATが先行しFOSTEXからも互換機が出ていました。廉価なデジタルMTR(といっても70万円ほどしました)として音楽制作用に普及したものの、VHSテープは大きく嵩張るので本数を保管するには向かずポストプロダクション業界では使われませんでした。番組制作の現場では1990年頃からアナログMTRからDAWの利用に推移していきましたが当時はHDDの容量がまだ少なく、素材や保管用のPCM音声データはHDDよりも安価でCD-Rより容量が大きく入手が簡単なテープメディアに書き出すほうが一般的でした(他にもFairlight MFXで使われたExabyteがあります)。民生ビデオ用のHi-8用メタルテープ。初期のDTRSデッキは富士フィルムとTDK製のHi-8テープと相性が悪かったそうだがDA-78HRでは使用できた。DTRS専用ではないテープでもフォーマットして使用できたので入手性やランニングコストに優れた。そんなわけで2000年前後のテレビドラマ、映画、アニメ番組などのDB-MIXやパラミックス(STEM)がこのDTRSすなわちDA-88とその後継機によって記録され保存されているのです。さて時が移ろいネット配信時代になるとそういった過去作品を改めて配信したいという需要が出てきました。テレビドラマでは10年以上前からトレンディドラマ黄金期のドラマを専門chで配信するべくこのような動きがあり私も依頼を受けていました。制作当時のテレビでは問題なく放送できた番組も現在のネットでそのまま配信するには著作権や演出、出演者事情などで不都合が出る場合が結構あります。すると問題部分だけをカットしたり、BGMをネット配信に対応した別の曲に差し替えたり、さらには外国語の吹き替え版を作るためにセリフとそれ以外の音が分離した素材が欲しいという要望が出てきます。まさにそのような用途に備えてマルチトラック音声データを保存したのがDTRSテープだったのですが・・・。DTRSはTASCAM1社だけしか製造しておらず、そのTASCAM社がデッキの製造と保守から手を引いてしまったため、番組の制作会社やディレクターの手元に残っている過去の番組データは役割を果たせずに消滅する危機に瀕してしまいました。■現代に残るDTRSデッキの状況とTCSハードウェアとしてのデッキの状況は後述するとして、2025年5月現在、TEAC(TASCAM)社はDTRSデッキの修理を受け付けてくれません。保守部品も売ってくれません。個人の感想ですがTASCAMは元々デジタル機器の保守に冷たい所があり(販売終了後のオーディオインターフェースのデバイスドライバ保守を早々に打ち切ったり)、アナログ機器の修理は対応できる限りやる、と公言しているのに対してDTRSは高価で業務利用者が多かったのに対応止めちゃったのか、と、やや憤りすら感じます。とは言え一般的な電化製品に比べてDTRSの保守対応期間が短かったわけではけしてありません。もし過去作品のデータ化を目指して本記事を見ている方であれば、あと5〜6年その判断が早ければまだなんとかなった、というのが正直な所です。今から振り返るとDTRSで保存した作品データの賞味期限は事実上記録から7〜8年で、15年とか20年とか先まで残せるものではありませんでした。ではどうするか?TEACの関連会社ティアックカスタマーソリューションズ(TCS)がデータ化を引き受けてくれます。カビ生えた、ヨレヨレテープを救え! 音声アーカイブの“駆け込み寺”ティアックカスタマーソリューションズに潜入 (AVwatch)https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/2036495.htmlお値段は1本7,700円〜17,600円(テープ長による)となっています。パソコンのデータコピーと違ってDTRSテープの取り込みには実時間がかかりますし、作業編(2)を読んで戴くとわかりますが途中で止まることもあります。変換後の確認まで考えると高価ではありますが妥当な金額ではないかと思います。手元に稼働するDTRSデッキを持っていないならばここへ相談するのが現在ほぼ唯一の手段ではないでしょうか。メーカー関連会社なので機材が保守されているのが強みです。他方、ポストプロダクション会社ではないのでデータ化の融通にどこまで対応してくれるかは疑問です。ノイズ処理とかProToolsの編集作業とかはやってくれないでしょう。本数が少なければそれでも安価に済ませられるでしょうから、変換を考えているテープが今手元にあるなら即相談してみることを強くお奨めします。追記:本記事執筆時点(2026年3月時点)でDTRSテープの変換ができるとWebに告知がある会社のリスト※TCS以外の会社は実働状態にあるかどうか未確認です。※変換を外注しているとはっきりわかる会社は除きました。・ティアックカスタマーソリューションズ(TCS)https://tcs.teac.co.jp/dubbing/・ダビングデジタイズセンター東京(株式会社メディアリース)https://tokyoddc.jp/sounddigitize/ongen/#05アークベル株式会社https://www.arkbell.co.jp/media/digitize/EXA Internationalhttps://www.exa-int.co.jp/lab/media-lab.htmlTOHOアーカイブ株式会社https://www.toho-arc.com/service/film-scanning過去に生産されたDTRSデッキはDA-88(PCM-800)/DA-38/DA-98の初期型4機種とDA-78HR/DA-98HR/DS-D98の後期型3機種があります。24bitのDTRS-HRモード録音に対応するのは後期型のみ、96kHz以上のサンプルレートに対応するのはDA-98HRとそのDSD対応拡張機DS-D98のみですが、当時の番組で96kHz以上で録音されたテープはまずありません。DA-98HRこれらのデッキの2025年現在の状況は利用頻度が少なかったりメーカーの保守対応期間に保守や修理を受けた個体にはまだ動作するものがあり使っている方もいるようです。DTRSデッキの回転ヘッドの寿命は1200時間程度と言われており放送局やポストプロダクション企業での利用が多かったDA-98とDA-98HRは割と過酷に使われていた個体が多いです(ドラム稼働時間は本体機能で表示確認できます)。DA-88は利用頻度が低い機種と高い機種が混在しており当たり外れが大きいです。DA-38/DA-78HRは廉価版で個人スタジオ利用のものが多く、なかには積算稼働時間が短い個体も存在します。しかしどの機種にも消耗部品と傾向故障があり、ヘッドドラムの積算利用時間が少なくても経年でほとんどの個体に劣化や障害が見られます。デッキメカ部、特にテイクアップ側のガイドアームやバックテンションアーム、アイドラーギア(リールテーブルのクラッチ)部分のグリス硬化でテープのローディング不良や走行不良となっているものが多く、これらはビデオデッキやDATの修理経験がある方なら簡単に直せるのですが、最も多いトラブルはテイクアップ側とサプライ側のリールテーブルギアにヒビが入っていてテープ走行時や停止時にギアが変形して回転がふらつき走行異常が検出されてPB CONDITIONが点灯し録音再生が不可能になる、テープの走行トルクが規定値の上限下限を越えてテープパスから外れテープに傷を入れたり巻き込む、といった故障です。ヒビが成長すると高速巻き戻しや早送りから停止する時にギャーとギアが滑る音が聞こえますが、そうなるともう駄目です。ヒビが入ったリールテーブルギア(白い部品)。元より金属板で補強されているもののこのトラブルは多い。修理にはリールテーブルの交換が必要なれど、この部品をTASCAMから取り寄せられないので、部品自体を複製しない限り修理不能となります(SONYの8mmビデオデッキのリールテーブルとは互換性がありません)。またデッキの調整には専用のトルクテープやオシロスコープも必要で、PB CONDITIONならヘッド掃除をしたらすぐ直るだろう、と簡単に考えているとまず直りません。DTRSデッキはVHSビデオデッキとは違い走行の正確性を担保するためのセンサー類が多くトルクにシビアですし、トルクの調整はヘッドの寿命にも関係します。器材レンタル業者の中にはDTRS機がまだ貸し出しリストに載っている所があります。以前は現場同録用やバンド録音用にレンタル需要があったのでしょう。しかしHi-8テープ自体の入手が難しい現在、借りて使っている人がいるとは思えません。使わないとグリス硬化でローディング不良になるので、レンタル依頼をかけても出荷前に動作確認をしようとしたらテープを巻き込んだのでレンタル不可になりました、と言われてしまう可能性があります(藪蛇ですね)。以上が2025〜2026年現在の状況です。つづく(がんくま)【関連記事】DTRS(DA-88)の過去作品データをProToolsのセッションデータに変換する(2)
以前も記事にしたTEISCOの古いマルチケーブルを新たに入手しました。かなり古い製品ですが使えるようにレストアしました。テスターで調べてNK27コネクタのPin1〜4がショートしている古いマルチケーブルはTEISCOマルチです。現行品のカナレの8Pマルチとはコネクタが共通するもののピンアサインが別物で互換性はありません。【ピンアサイン表】ボックス側コネクター JAE NK27タイプFrameGround(FG) NK27-01~04XLR1-1 Gnd ---- NK27-01~04XLR1-2 Hot ---- NK27-05XLR1-3 Cold ---- NK27-06XLR2-1 Gnd ---- NK27-07XLR2-2 Hot ---- NK27-08XLR2-3 Cold ---- NK27-09XLR3-1 Gnd ---- NK27-10XLR3-2 Hot ---- NK27-11XLR3-3 Cold ---- NK27-12XLR4-1 Gnd ---- NK27-13XLR4-2 Hot ---- NK27-14XLR4-3 Cold ---- NK27-15XLR5-1 Gnd ---- NK27-16XLR5-2 Hot ---- NK27-17XLR5-3 Cold ---- NK27-18XLR6-1 Gnd ---- NK27-19XLR6-2 Hot ---- NK27-20XLR6-3 Cold ---- NK27-21XLR7-1 Gnd ---- NK27-22XLR7-2 Hot ---- NK27-23XLR7-3 Cold ---- NK27-24XLR8-1 Gnd ---- NK27-25XLR8-2 Hot ---- NK27-26XLR8-3 Cold ---- NK27-27以前カナレ製の中古の8Pボックスを改造してTEISCO製8Pマルチとカナレ製8Pマルチの相互接続ができる特殊なボックスを作りましたが当家では8Pマルチまで使う機会自体が稀で今まで一度も現場で実用したことがありません。■27芯ケーブル全線導通していました。が、どういうわけかPin14/15がテレコになっていましたので、コネクタ付近のゴム被膜が剥かれていたほうをバラして修正。Pin13/14/15の配線を外した所です。Pin1〜4がシールド網線(FG)に繋いである様子がわかります。故意なのかミスなのかわかりませんがテレコになっていた14/15を入れ替えました。反対側のコネクタも分解し、どちらも劣化したビニールテープを剥いで自己融着テープとシリコンチューブ、アセテートテープ、エーモンテープで補修しました。■ジャンクションボックスXLRオス/XLRメスのボックス(型式JB-800/JB-801)は使用感が無く綺麗で特に不具合も無いのでそのまま使えます。フォーン/XLRオスのボックス(型式JB-820/821)は使用感があり外観が錆びていたりゴム足が欠けていたりと状態が悪いです。TRSとXLRがパラになっているのかなと思って分解してみたらなんと全chにライントランス(MT-3と表記あり)が入っていました。配線も丁寧で、フォーンジャックの向きが揃っているのにも感心します。切り欠きがあるので向きは同じになるのですけど故意にやらないとこんなに綺麗に揃わないのです。GNDループへの配慮でフォーンジャックはパネル絶縁型、XLRコネクタもPin1とケースは(Ch.1を除き)短絡していません。XLRオスコネクタからはPin1(GND)/2(HOT)/3(COLD)の全線がNK27コネクタへ配線されています。フォーンジャックとXLRオスコネクタ間の配線はJB-820とJB-821で微妙に異なり、JB-820フォーンジャックのTipは黄色線でトランスへ、Sleeveは太黒線と赤線、細黒線とまとめてハンダ付けされていて、赤線、細黒線はトランスへ、太黒線はXLR端子のPin1へ直結されています。Ringの配線はありません。トランスからは白、青、緑の3線が出ており青線はカットされてどこにも繋がっておらず、白線がXLRのPin2(HOT)、緑線がXLRのPin3(COLD)に繋がっています。JB-821フォーンジャックのTipが黄色線でトランス、Sleeveは太黒線でXLRのPin1へ直結、トランスからの白線がXLRのPin2(HOT)、緑線がXLRのPin3(COLD)に繋がっている、Ringの配線無し、まではJB-820と同じです。赤線、細黒線と青線はまとめてXLRのPin1へ繋がっています。JB-820でカットされていた青線のみ使い方が異なります。各端子間の抵抗値(トランスの巻線抵抗値と思われる)をテスターで調べると、JB-820XLR 2-3間 66ΩXLR 1-2間 ∞XLR 1-3間 ∞Phone T-S間 85ΩJB-821XLR 2-3間 66ΩXLR 1-2間 33ΩXLR 1-3間 33ΩPhone T-S間 85Ωとなるので青線はトランスの出力側巻線の中点のようです。試しにJB-821の青線をカットしてみるとJB-820と同じ抵抗値になりました。黄色線、赤線、細黒線は入力側巻線の端子と思われますがトランスがシールドに覆われているため端子の詳細は不明です。JB-820のフォーンジャックはパネル絶縁のためのプラスチック製ネジ溝がいくつか割れてしまいパネルに固定できなくなってしまったのでマル信電機製のパネル絶縁型モノラルフォーンジャックMJ-186LP(またはMJ-185LP)に交換しました。赤線と細黒線の間の抵抗値を測り忘れてしまった。錆で見栄えが悪いので鉄製の外枠のみ錆を落として錆止めスプレーで再塗装しました。元々は艶あり黒なのですけどアサヒペンの「サビの上からそのまま塗れる油性高耐久鉄部用スプレー 300ml ツヤ消し黒」を使用。事前の想像より粒子が粗く、塗り重ねると鋳鉄のような風合いになりました。ボックスはさほど丁寧に扱われる機材ではないのでこんなに綺麗なのは今だけ。フォーンジャックとXLRコネクタが付いているパネル部分はアルミ製で錆びる心配は無く、ハンダ付けを伴うXLRコネクタの取り外しをしたくないので清掃のみ。NK27コネクタ保護用のハンドルは錆がメッキを突き破っていたので錆転化剤を塗ってから銀色に塗装しましたが気休めに過ぎずすぐ剥げると思います。このハンドルは突出し長42mm、幅42mm、ネジ穴間距離39mm、ネジ径M4で摂津金属工業のPHSUシリーズで代替できないかなと思いましたが見合うサイズがありません。ボックスの内側からハンドルを止めるナットは皿バネ付きのフランジナットに新調し、ネジ緩み止めを塗って締め付け。欠品していたゴム足は金属ワッシャー入りの新品ゴム足に全て交換しました。NK27コネクタ(NK-27-31S-R)の胴部分のマイナスネジが2本欠品しており、図面を見ても規格がわかりません。千石電商のネジ担当の方に見てもらったらUNC #4-40ネジであると判明。最小サイズの6mmを買ってきました。このネジは締めると内側に突出するのでテスターで既存配線とショートしないか確認しながら締め付けしました。各端子を接点洗浄剤等でクリーニングして整備完了です。■マルチのボックスとして以外の使い道格安(送料のほうが高い)で譲り受けたのですけど買った時点ではJB-820/821のほうは多分使わないだろうなと思っていました。が、蓋を開けてみるとこのボックスは単体で8chのTSアンバランスーXLRバランス変換トランスボックス、つまり8chのパッシブDIとして使えるとわかり俄然別の価値が出てきました。早速アンバラのCDプレーヤーを繋いでバランス出力で聞いてみましたが、結構良い音で安物の回路用トランスではなく現代のパッキリトランスでもなく昔の業務卓のような音がします。音がまとまる感じというか。今なら音作りのためにこれを通したいと思う人がいても不思議ではない。テスコジャンクションボックス(楽器カタログの世界)https://guitar-catalog.com/keyboard-and-effector/teisco/1980jan/pdf/07.pdfJB-800/801(¥35,000)よりJB-820/821(¥50,000)のほうが高価で重いです。全chトランス搭載ならそりゃあそうだろうと思います。思いがけず良い物に巡り合いました。(がんくま)※当ブログの記事を参考にして修理をされる場合は自己責任でお願いします。【関連項目】TEISCO 8Pマルチケーブル 結線表
■試聴S-80Aを無補修のS-80と鳴らし比べてみました。モノラル音源をS-80A/S-80で左右に振って聞くとほぼセンターに定位しますので音量差はありませんがS-80のほうが僅かに高域が出ています。どちらも15kHz以上の超高域があまり出ない同じツイーターと思いますが4〜15kHzあたりS-80のほうが出ていて音の透明感や女性声の存在感があります。よく見るとパネル表面の仕上げやメッシュグリルの網目と固定ネジの有無など細かい外観にも違いがあります。また、S-80のほうが40Hz位の低い音がほんの僅かですが聞こえやすい。一方で100〜250Hz付近の解像度は改造S-80Aのほうが良くてオリジナルS-80はごちゃっとしています。ウーハーのネジの締め方で低音増しになるかタイトになるかが微妙に変わるので、S-80A にゴム製スペーサーを付けた影響かもしれません。ウーハー交換による位相(アライメント)の変化は特に気になりませんでした。裏側から見るとS-80とS-80Aの端子盤は異なり、ネットで検索して調べた画像を見た限り基板も違います。S-80のほうはHPF用もLPF用も電解コンデンサーで高域側の抵抗値は2.7ΩのS-80Aに対して2.2Ωのようです。この辺が前述の高域の印象の違いになっているのかもしれません。背面板の作りも微妙に違います。S-80のほうはエッジが破れている様子もなく正常動作しますが電解コンデンサーの容量やスポンジシールの劣化具合を見たいので分解を試みるもののグリルの取り外しすらできていません。S-80の販売当時の仕様書にはバーやシアターでの拡声用途の他にスタジオモニターとも書いてはあるものの私自身は20年近く所有しているけどS-80をミックス用に使おうと思ったことがありません。小音量時とそこそこ鳴らした時のバランス感が変わってしまうのが最大の理由ですが、レンジ感が狭く(特に最近のスピーカーと比べると明らかに高域が伸びない)、音がごちゃごちゃして聞こえる帯域があったり抜けが悪い帯域があったりで、これでEQかけるのはちょっとどうよと思います。ヤマハHS7と聴き比べるとその差は歴然としていてスピーカーの進化を感じます。ぶっちゃけ現代的な生っぽい音の再生は苦手なタイプのスピーカーと思います。が、良くできた音楽はスピーカーを選ばないね〜ってのも実感できます。液晶モニターが当たり前になった現代では重視されなくなりましたが、防磁型で10cmまでブラウン管テレビに寄せられるS-80には当時のステレオ小僧からするとプロが使うかっこいいAVスピーカーのイメージがありました。80's洋楽やシティ・ポップをこれで聴くと「あ〜当時街中や店内で聴こえていたのはまさにこんな音だったよな〜」と思えてその世代としては楽しいです。a-ha、pet shop boys、Murray Head、Michael Jackson、Starship、Art of noise、EPO、竹内まりや、大瀧詠一など聞いてみましたが良かったです。■スーパーS-80への道?ツイーターの交換を想定してみました。【ツイーター寸法】バッフル開口部径 約33mmフロントパネルへのユニット取り付け金属(アルミ鍛造)プレートのネジ穴対角距離 100mm(4穴)ダイアフラム取り付けネジ穴対角 距離 56mm(4穴)ダイアフラムドーム直径 約38mmダイアフラムコイル直径 約33mmギャップ径 約34mmメーカーでは1.25inchと公表していますが実質1.3inchツイーターです。S-80A自体の耐入力は100W(S-80は80W)ですがHPFでローカットされるためツイーター単体は45Wあたりからなんとか使えるのではないかと。良く似ている製品はAUDAX TW034X0(PDF)です。アルミプレート付きでボイスコイル径34mmです。耐入力も70Wと高く、アルミプレートのネジ穴を開け直せば付くと思います(もしかするとプレート上端は削らないと入らないかも?)。TW034X0には交換用のダイアフラムRW034X0がありますが、これも見た目は似ています。加工したら使えるかもしれません。ただし、TW034X0もRW034X0も後述の他の製品よりお値段は高めです(TW034X0は送料別で1個$130位)。純粋にダイアフラムだけが必要な場合、AlibabaやAliExpressでコイル幅33.5mmまたは33.7mmで生地幅53.6mmのVCLフェノール樹脂製のドーム型ダイアフラムを見かけます。33.5mmhttps://www.alibaba.com/product-detail/1-3-Inch-33-5mm-Inner_11000024727515.html33.7mmhttps://ja.aliexpress.com/item/1005010107193616.htmlhttps://ja.aliexpress.com/item/1005010102405054.htmlおそらくS-80/80AやTW034X0に適合するのではないかと思えます。しかし磁石側のギャップは1mm幅でシビアな部分なので現物を取り寄せて試してみないと本当に使えるかどうかわかりません。1.25inchではなく1inchのツイーターユニットであれば種類が多く、ネジ穴対角が55.8mmのTangband 25-1414SC/25-1744S/25-1719SあたりはS-80/80Aの金属プレートに付くかもしれません。が、プレートの内側の形状と干渉するような気がします。Tangband 25-1414SC実際に交換した方の記事もありました。はっきりとはわかりませんがVIFA(Peerless)のBC25SC06-04かDQ25SC16-04に見える。エレクトロボイスEVS-80(ニセコ旅物語☆ロッジ風ゲストハウス、口コミ宿!)https://nisekoinfo.blog.fc2.com/blog-entry-1469.html外形寸法4インチ(100〜110mm位)の4穴ツイーターユニットは取り付け穴を広げれば元の金属プレート自体を使わずに直接フロントパネルに固定できそうですが、内側からの取り付けになるのでバッフル穴周辺でビビリや隙間が発生しないようにクッション材を挟むなどの対策が必要かもしれません。しかし交換自体は可能と思われます。VIFA D25AG35-06https://ja.aliexpress.com/item/32828799314.htmlSOTAMIA DAS-300https://ja.aliexpress.com/item/1005009930874321.htmlyingDi YDQG5-36https://ja.aliexpress.com/item/1005008640025123.htmlチタンドームデュアルマグネット磁性流体の意欲作ですが定格30Wなので弱いか。中華メーカーのkasun(佳訊音響)には外形寸法104mmのツイーターが多数あってお値段も手頃です。自分がやるならAT-2900やQA-2101シリーズを取り寄せて試してみたい。kasun ツイーター製品一覧http://www.kasun.com.cn/product/c19/AT-2900https://ja.aliexpress.com/item/1005009428839387.htmlQA-2012Xhttps://ja.aliexpress.com/item/1005002846626171.htmlこれらのツイーターはオリジナルのツイーターより高域の特性に優れます。交換するとかまぼこ型の特性が改善され、ネットワークの調整次第で現代的なスーパーS-80になるのではないでしょうか。当ブログの記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Electro-Voice S-80Aレストア(1)Electro-Voice S-80Aレストア(2)Electro-Voice S-80Aレストア(3)Electro-Voice S-80Aレストア(4)