ムラサキノオト
ムラサキノオトの一部過去作品をBoothで通信販売しています。 https://purplesounds.booth.pm/
次回のイベント参加予定は未定です。
  • 30Apr
    • YAMAHA MG12/4 TO STとPFLスイッチ交換(再修理)の画像

      YAMAHA MG12/4 TO STとPFLスイッチ交換(再修理)

      前回の修理から6年が経過しました。本機種の泣き所であるTO STボタンとPFLボタンに使ってある2回路のロック付きプッシュスイッチ(12本足)の接触不良を根本的に解決すべく、中国から輸入したスイッチに交換します。前回の記事でははっきりと書いていませんでしたが、実はYAMAHA、このスイッチを部品として出してくれないのです。数年前にAliExpressで同等部品を発見し、購入していました。VICKO (HK) ELECTRONICS TECHNOLOGY CO LIMITEDhttps://ja.aliexpress.com/item/32873680262.html30個も要らないなと思いましたが予備になるしと購入。交換が必要なスイッチは前回と同じ12個です。6年前「はんだシュッ太郎」でなんとか取り外した12本足のスイッチ、今回は電動はんだ吸い取り機があるので簡単・綺麗に取り外せます。前回の苦労を知っているので「圧倒的ではないかわが軍は!」と脳内でずっとつぶやいていた。元々付いている部品には向きを示す突起線(赤枠内)があり、基板上にもシルク印刷で向きの指示があります。この部品逆向きにも挿せてしまうので向きを間違えると動作が逆転してしまいます(ロックしてONになる動作がロックしてOFFになってしまう)。新しく取り寄せた部品にはこの向きを示す突起線がありません(商品説明写真にはあるのにな)。取付前であれば底部の穴の位置で向きが区別でき、写真だと上側が突起線がある側にあたります。または白いプッシュ棒の軸にある履歴フック用の凹みの向きを元の部品と同じに合わせると正常動作します。ここまで順調で前回から進行したコネクタ部分の裏側のクラック気味の所の半田を打ち直し、楽勝楽勝、と組み立てたところ、交換部分のいくつかでスイッチの感触がおかしい。押してもロックしなかったり、ロックが外れなかったり。このスイッチ、押すと基板上のLEDが光ってボタンが発光するようになっているのですが、そのためにボタンはスイッチを真上から押さず、横から斜めに押すような仕組みになっています。交換したスイッチの寸法は元付いていたものと同じですが、部品自体の剛性感が元の部品より弱く、真上から押す分には良いものの斜め押しだと微妙にたわんでちゃんと押されない場合があるようです。グレーのPFLボタンはプッシュ棒を握る部分の四角穴がすべて割れていて、これも力がしっかり伝わらない方向で作用しています。ちゃんと押せないスイッチはいったん取り外し、基板とスイッチの間に両面テープを3~4枚貼ってかさ上げしたり、四角穴をホットボンドで埋めて角度を調整(取り外した元部品を四角穴に詰めてホットボンドを充填し、取り外した後にはみ出した部分をカッターナイフで成形)したりしましたが、基板状態ではOKでも組むと逆にパネルに押されて駄目だったりして、わずかな高さや角度の違いで動作が左右され調整に苦労しました。以前も全スイッチを取り外して再取り付けしましたが、元の部品ではこんなことで悩んだ記憶がありません。以前の修理も含めて何度もスイッチの付け外しをしたため、一部ランドがメゲた所もあり、するとスイッチの固定が甘くなってボタンを押すと動いてしまい、動作不良となった箇所もありました。もし同じ部品を取り寄せて修理をする方がいらっしゃれば、・スイッチ部品の取り外しには必ず電動はんだ吸い取り機を使い、手早く行ってランドへの負担を極力減らすこと。・スイッチを取り付ける際は薄い両面テープを基板に貼り、スイッチが斜めに付かないように工夫して手早くはんだ付けすること。・ボタン側を加工する場合、プッシュ棒を握る四角穴の上下に接着剤がはみ出さないよう厚みに気をつけること。・パネルの取り付け前に全てのボタンを押して感触や動作を確かめること。この辺がポイントになると思います。前回メンテナンスしたフェーダーにはガリはありませんでした。今回の修理によりスイッチのガリは完全解消し音質が向上しました。しかしボタンの押し心地は前のほうがカチッとしていた気がします。本記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いいたします。■関連記事YAMAHA MG12/4 メンテナンスYAMAHA MG12/4 ACアダプタ修理(がんくま)

  • 28Apr
    • YAMAHA MG12/4 ACアダプタ修理の画像

      YAMAHA MG12/4 ACアダプタ修理

      ACアダプター(YAMAHA PA-20)のACコンセント側のコード根本が破損しショートの危険があったので修理しました。アダプタを裏返し、ゴム足4個をマイナスドライバーの先などでほじって取り外し、中のタッピングネジ4本を抜きます。これでケースが上下に開きます。中の重いトランスはケースの形状にはまっているだけ。AC側コードを切って取り外します。外したACプラグ付きコードは断線しかかっている所を切り詰めて再利用しました。HOT/COLDが明示されているプラグではありませんが、トランス端子から外す前にテスターで極性を確認し、修理前と同じ接続(矢印同士)になるように配慮します。タカチのCP-Y85Bコードプロテクターをコードに通し、トランス端子にはんだ付け。インシュロックをきつめに締めて抜け止めにしました。本体側ケーブルの配線はこのようになっていました。プロテクターを噛み込むようにケースを閉めて、ネジとゴム足を取り付けます。丸穴用のプロテクターでしたが違和感なく仕上がりました。現行品は後継のPA-20Jになっており、新品の購入も可能です。本記事を参考にした修理は自己責任でお願いいたします。■関連記事YAMAHA MG12/4 メンテナンス(がんくま)

  • 27Apr
    • ecostyle TGX-08 LCD Ni-MH/NiCd充電器の修理の画像

      ecostyle TGX-08 LCD Ni-MH/NiCd充電器の修理

      軽修理です。5年前に購入したもので久々に使おうと思ったら電源が不安定で充電しません。ACアダプターの電圧が3.7Vしか出ていません。同一極性・電圧の別のアダプターをつなぐと充電しますが、コネクタの挿し具合の変化で簡単に電源が落ちてしまいます。苛酷に使っていた時期があるので、さもありなんという感想。この製品、Amazon BasicsのNi-MH充電池がエネループのOEM(1900mAH)であった頃に事実上の推奨充電器になっていて、使い方が単純明快かつ安価だったのでエネループ系の充電池を大量使用する放送局や舞台PA関係で今でも良く見かけます。しばらく品切れになっていたと思いますが需要があるのかまた買えるようになっていますね。分解します。本品頑丈な作りで背面の黒いゴム足の下4本とシール下中央1本と見えている3本の合計8本のネジを外します。プッシュボタンの裏にスプリングがあります。DCジャックの根本の半田割れではなくジャック自体の不具合のようです。秋月電子の基板取付用2.1mmΦ標準DCジャックMJ-179PH(電流容量12V4A)がジャストフィットなので交換します。アダプターは元のアダプターと同一容量の秋月電子AD-M120P100(12V1A)になりました。本記事を参考にした修理は自己責任でお願いいたします。(がんくま)

  • 26Apr
    • marantz ZP-1を5pinステレオマイク仕様に改造の画像

      marantz ZP-1を5pinステレオマイク仕様に改造

      愛用中のRODE BLIMPもどきなショットガンマイク用のカゴ風防をステレオマイクに対応させるため、5pinXLR仕様へ改造しました。過去記事の続きです。marantz ZP-1 のペリペリ音対策marantz ZP-1のクッションマウントを交換する■検討利用したいマイクは、ステレオ・モノラル切換マイクであるSANKEN CSS-5と、モノラル専用マイクのSANKEN CS-30です。CS-30は使う必要がないのでは?と思われるかもしれませんが、サイドの切れはCS-30のほうが上ですし、たかが数十グラムとはいえCSS-5のほうが重いのでモノラルでしか収録しないのであればCS-30を使いたい時があります。なおかつ、CSS-5がトラブった時に他のマイクが使えないと現場で詰むので、5pin化改造はするが通常の3pinマイクも使えるようにしておきたい。そこで登場する秘密兵器がノイトリックのNA3F5Mです。XLR3pinメスのHot/Cold/GNDが5pinオスのL+/L-/GNDヘ出力されます。こんなニッチな鉄砲玉(変換コネクタのこと)なんか無いだろ、とダメ元で検索したらありました。音声用ではなくDMX用ですが、試してみたところファンタム電源も含めちゃんと機能します。サウンドハウスのAXX235もこれと同じ接続のようです(現物は未確認)。Aliexpressにも同等品があったので予備品として購入しました。寸法はNA3F5Mとまったく同じで、重量はやや軽いです。こちらは分解できます。1番ピンのGNDがコネクタ外周と短絡する接続になっています。NA3F5Mは短絡していません。CS-30は全長が295mmと長いマイクで、これに鉄砲玉を挿し更に中継ケーブルを挿すと風防内に入らない可能性がありました。物理的にギリギリ入っても振り回した時にマイクやケーブルが当たると実用になりませんので、ZP-1のコネクタをL字型にして逃げないと駄目かも、とすら思っていました(後述)。現物を装着してみたところCS-30にNA3F5Mを挿した長さは352mmで、なんとか普通のコネクタでも大丈夫でしたが、これがZP-1で使えるマイクの最大長でしょう。かご部分の長さは前後のドーム型キャップを含めて47cmで、キャップを外した真ん中部分が355mmなので、これより長くなるマイクは実用にならないと思います。Sennheiser MKH-416やRODE NTG-1/2等はCS-30より短く、鉄砲玉を挿しても問題ありません。残念なことにNA3F5Mの重量が64g加わるのでCS-30の軽さのメリットはスポイルされてしまいました。■改造作業古いケーブルを外します。グリップ部分のネジ2本を外して金属製のコネクタカバーを引き出します。コネクタカバーからXLRオス3pinを取り外すために、黄色い矢印のネジを右に回して内部へ押し込み、ネジごとピン部分を引き抜きます。端末部分は熱収縮チューブなどを使わず短く配線されています(この短さが重要)。ケーブルを切断し、ピン部分とコネクタカバーを外して古いケーブルをグリップから引き抜きます。元のケーブルの外径は6mmでマイク側の3-11C(メス)コネクタの先端から取り外した3-12C(オス)ピンの根本までの長さが49cm、コネクター部分を除いた純粋な配線長は45cmでした。両端のはんだ付けに使う配線余長を考慮すると素材として必要な4芯+シールド線の長さは48cm位です。今回はカッド撚りの3ピン用マイクケーブル、カナレL-4E6Sを4芯+シールドケーブルとして流用しましたが、コネクタカバーの穴が狭くてL-4E6Sよりわずかでも太いケーブルだと通りません。L-4E6Sに熱収縮チューブを被せるともう駄目です。ママレモンを塗っても駄目でした。他のコネクターから5pin部分を移植します。ノイトリックの5pin製品はピン部分をネジで固定する構造にはなっていないので使えず、ITTキャノン(5-12C)のピン部分を移植しました。固定がタッピングネジなので、ネジ頭の外周をヤスリで削ってコネクタカバーの穴にぴったり通るようにします。さきほど短さが重要、と書いたようにコネクタカバー内のピン裏の配線余長が1cm位しかありませんで、極力短く作る必要があります。私は1.5cmで作ったのですがそれでも長すぎました。熱収縮チューブを抜け止めに使い、無理やり配線を押し込みました。元のケーブルと同じルートでケーブルを引きまわし、マイク側の5pinコネクタ(NC5FXX)を付けます。L-4E6Sだと被膜色ではL/Rの区別が付かないので、テスターで調べてL側2本にマジックで印を付け、L/Rを間違えないようにはんだ付け。NC5FXXとNC5MXXを使ってZP-1から録音機へのケーブルも作成します。録音機はZOOM F8なので別途XLR5-11CからXLR3-12Cx2本ヘの分配ケーブルが必要です。作ったケーブルの先を直接3-12Cx2本にするほうが接点数は減らせますが、現場ではミキサーバッグの外側でケーブルを切り離したい場合が時々あるのと、利用頻度は少ないながら5pin入力があるミキサーを持っているので両端5pinとしました。個人的感覚では3mのブームポールには7.5m位のケーブルが使いやすいので、カナレMR202-2ATで製作。ZP-1のケーブルをそのままステレオマイクに挿せると大変スッキリして満足感が高く、録音のモチベーションが上がります。鉄砲玉装着で普通のマイクも挿せます。現行品のRODE BLIMPやMicoliveのグリップはZP-1とは違うデザインになっていますが、同じような改造が可能かもしれません。■5pin L字型XLRコネクタについて長いマイクをどうにかしてカゴ風防の中に収めるために、L字型のXLRコネクタの利用を検討しました(結局、使わずにすみましたが)。この時、使えるかも、と思ったのがノイトリックのNC5FRCです。しかしNC5FRCはデッドストックとなっているらしく、現行品のNC5FRXはNC5FRCよりも大きくて風防の断面直径内に収まりません。コンパクトなNC5FRCがどうしても必要な場合どうしたら良いのか?・解決方法その1秋葉原のCompuAceや千石電商で購入できるカモン(COMON)社製のコネクタを改造する方法です。同社の製品には5pinのラインナップが無いので、3pinのL字型コネクタCA-FLを買ってきて、これにノイトリックのNC5FXXのインサートが入るのか試してみました。入ります!逆にCA-FLのインサートはNC5FXXに入りません。カバーとインサートのかみ合わせ部分の凸凹のサイズが微妙に異なるのでしょう(途中までは入るので無理やり押し込めばいけるかもしれませんが、そっちの需要は無いはず)。NC4FRC/NC5FRC/NC6FRC/NC8FRCにあたるものがどうしても要るんじゃ!という方には朗報です。国内調達で完結するのが利点ですが、ニコイチなのでちと無駄が多い。・解決方法その2中国のコネクタメーカーYONGSHENGの製品にNC5FRC相当のもの(YS1865)があってeBayやAliexpressで購入できます。実際に輸入してみましたが品質はカモン製より上です。発注から到着まで2週間以上かかりますが、急ぎでなければこれを買うと良いと思います。オス側(NC5MRC)の場合はCA-FLをCA-MLに、NC5FXXをNC5MXXに、YS1865をYS1875に読み替えますが、オス側については現物確認をしておりませんので同じことができるかどうかは不明です。(がんくま)

  • 17Apr
    • Classic Pro CEMPW100をMicroDotのマイクで使ってみたの画像

      Classic Pro CEMPW100をMicroDotのマイクで使ってみた

      【ご注意】本記事は製品を販売店の動作保証外の環境で使う話で、一部に製品を分解して内部を改変する内容を含みます。よって、本記事を参考に同じ製品を買い求めたら書いてある内容と違うとか、改造したら製品や相手の機器が壊れたとか、そのような苦情を販売店であるサウンドハウス様に入れることはお止めください。本記事を参考に販売店推薦の組み合せ以外で記載の各機種をお使いになる場合や、修理や改造を行う場合は、皆様の自己責任でお願いいたします。知人に小さなマイクのお薦めを聞かれ、AKGのラベリアマイクLC617 MDが安くなっていたので推薦したところ、買ったが音が出ないとのこと。このマイクの出力はマイクロドット端子でミニXLR(TA3F)との変換コネクタ(MDA1)が付属します(*1)。これを一般的なXLR3pin/48Vファンタム電源仕様のミキサーにつなぐためにClassicProのCEMPW100というファンタム電源変換アダプターを使っています。現物を見ないと何とも言えない部分が多いので送ってもらいました。マイクのテストに使っているFOSTEXのFM-1という電池式のマイクプリにつなぐと、最初チャージされるような微かな音が一瞬するのですが、出力音がものすごく低くて到底使える状況ではありません。手持ちの変換アダプタAUDIX APS910につなぐと正常に音が出るため、不調の原因はマイク側ではなくCEMPW100のほうにあるようです。CEMPW100は同ブランドのイヤーセット・ラベリアマイクCEM1-AK専用で他の製品での使用は動作保証の範囲外です。しかしCEM1-AKの最後のAKは出力コネクタのピンアサインがAKG互換ということを示しており、であればCEMPW100もAKGのマイクで使えるはず、と思っていました。AKGのベルトパック型送信機DPT70の説明書によると、AKGのワイヤレスマイクのピン配置(TA3F)は次の通りです。1 GND2 SIGNAL3 DC(+4V)各ピンの相対位置が標準サイズのXLRと違います。大半のラベリアマイクのヘッドカプセルはDC+3~5V程度で動作します。LC617 MDはMicroDotなので2線式ですからDCは信号線に重畳されて送られるはずです(交流である音声信号と直流であるマイク電源はコンデンサで分離できる)。テスターでMDA1のピン接続を調べてみると、TA3Fの1番ピンがMDA1の外周とMicroDotコネクタのシールド側につながっており、2番ピンと3番ピンはどちらも芯線につながっています(=2番ピンと3番ピンはショート)。CEMPW100は出力コネクタ側のネジを外すと基板全体を引き出すことができます(配線を強く引っ張ってTB3Mコネクタから配線がもげると修理不能になるのでご注意)。値段からしてもっと単純な中身を想像していたのですが、予想に反してトランジスタやCRのチップ部品が実装された部品点数の多い基板です。さらに驚くことに、基板を引き出した状態でファンタム電圧をかけるとLC617 MDが動作して音がちゃんと出るのです。しかし内部に押し込むと動かない。基板の端に4つのランドがあって、それぞれLED/VCC/IN/GNDの表示があります。TB3Mコネクタからの白、黒、赤の3色の配線のうち、白(2番ピン)がINに、黒(1番ピン)がGNDにつながっていて、VCCには何もつながっていません。写真のように赤い線(3番ピン)が余っています。この赤い線が未接続なのが動かない原因(配線忘れ)で、これをVCCに配線するのか?とも思ったのですが、原状未接続のままでも音が出ているのでそうではありません。この状態でマイクを繋がずにTB3Mの電圧を測定してみますと(*2)、1(黒) GND2(白) SIGNAL/DC(+3.55V)3(赤) N.C.でした。CEMPW100の現物は目の前の一点しかありません(←後日談で検証しました)、これから推測するとCEM1-AKも2線式マイクのように思われます。基板上のVCC端子には5.1V出ていました。未使用の端子があるのは、ここの配線を変えることでTA4Fや3極ミニプラグ、ヒロセ4pinコネクタ等を使った他のラベリアマイク用にも転用できる汎用変換基板として作ったためでしょう(*3)。動かない原因ですが、赤い線の先端がなんら絶縁されず剥き出しなので、これがコネクタの内側か基板のどこかに触れて3番ピンがGNDとショートしているのではないかと思われました。というのも、前述のようにMicroDotへの変換アダプタMDA1でミニXLRコネクタの2番と3番が短絡するからです。試しに赤い線の先端を基板のGNDに落とすと不調時と同じ状況が再現します。使わない線を残しておくのは不思議ではないものの(むしろ改造派にはとてもありがたい)、絶縁処理をせずに放置しているのは疑問です。しかし、もしかするとCEM1-AKで使った場合はマイク側のTA3Fコネクタで3番ピンが無接続になっていて問題にならないのかもしれず、製品不良とも言い切れません。もう1個同じ製品を買ったらそちらは線の位置が良くてLC617 MDがそのまま動くかもしれません。いずれにせよCEMPW100の保証外の使い方をしているので文句を言う筋合いがありません。対策としては、赤い線の先端を自己融着テープで覆い、基板を出し入れするたびに折れ曲がって負担がかかる配線部分を付けなおしホットボンドで補強しました(ここが原因である可能性も当然ある)。これで半日ほど複数のミキサーにつないで様子をみましたが正常動作したので持ち主にお返ししました。■おまけAUDIX APS910のほうもマイクを繋がずに電圧を計ってみました。1 GND2 SIGNAL3 DC(+3.16V)こちらのほうがAKG DPT70の説明書にあるピン仕様に忠実ですが、CEMPW100とピン配置が違っても動いたのはLC617 MDが2線式であるためです(*4)。分解してみるとトランスが入っているのが見えます。しかし基板を完全に引き抜くこともTB3Mコネクタを取り外すこともできないので、マイク側がどういう接続になっているかわかりません。出力側から覗き込んだ配線から推測すると、こんな感じ?(1番ピン以外は見えている範囲から導通が無いので白線の先にも何かあるはず)。なお、APS910は現在新型になっていて、おそらくCEMPW100と同じようなトランスを使わない仕組みに変わっているのではないかと思われます。手持ちの古いSennheiser MKE2+MZA-10UとLC617 MD+CEMPW100の音を比較してみました。【音声比較】AKG LC617 MD+CEMPW100/APS910(旧) (AAC)Sennheiser MKE2+MZA-10U (AAC)録音に使用したのはZoom F8です。ローカット無し。MKE2のほうがテレビやラジオ向けに人の声を録音するのに向いている特性で、LC617のほうが周波数のレンジ感が広いナチュラルな音のように思いました。声量を揃えて比べるとホワイトノイズの量はLC617のほうが多め。ケーブルはMKE2のほうが太いが不要輻射に対するシールド性能はLC617のほうが上。どちらもバックエレクトレットでカプセルのサイズはMKE2のほうが小さいです。CEMPW100とAPS910も音が違います。LC617 MDで聴き比べると、CEMPW100よりAPS910のほうが音量が低いです。CEMPW100のほうが明瞭度が高く元気な音で、APS910は落ち着いたトーンのちょっと暗い音に感じられました。(*1)サウンドハウスでMDA1を単品で購入すると7,580円なのに、MDA1が付いてくるLC617 MD(ベージュ)は6,380円(定価は46,750円)で買えてしまう。LC617のブラックは32,800円。ベージュは『衝撃特価』ですね(2022年4月11日現在)。(*2)FOSTEX FM-1は電池駆動のマイクプリなので、元のファンタム電圧が通常のミキサーやオーディオインターフェースより低い可能性があります。したがって、本記事中に記載の電圧は他の機材環境では異なる可能性があります。(*3)この基板、市販のECMカプセルを使ってダミーヘッドマイクを自作する方や、パソコンやスマホ用に売られているプラグインパワー仕様の2極・3極マイクをXLR3pin仕様のオーディオインターフェースやミキサーにつなぎたい方にはメチャクチャ都合の良い仕様です。昔、同じ用途のためにボタン電池とDCカット用のコンデンサを使って機材を自作したことがありますが、この基板を使えば簡単に解決できますね。値段も安いし。(*4)ベルトパック送信機に2線式のマイクをつなぐ場合、2番ピンと3番ピンをショートして使ってね、とはAKG自身もアドバイスしているそうで。ケーブル特注日記!AKG C409 金管楽器用コンデンサーマイクの差し込みプラグをAKG ワイヤレス PT40で使えるようモノラルミニフォンからミニXLRに変更!(音光堂ブログ )http://onkodo-blog.com/?p=1896しかし、CEMPW100は3番ピンにDC出力があるという記事もあります。製造時期によって違う??エレコンマイクユニットをファンタムで使う(Gun3s Audio Workshop)https://g-works.at.webry.info/201501/article_1.html■後日談もう一個買っても本当に同じように絶縁されていない赤い線が余っているのだろうか?という謎が気になり個人的にCEMPW100を買ってしまいました。さっそく前回使ったFM-1を使って同じ状況で電圧と導通を測ってみます。1 GND2 SIGNAL/DC(+3.49V)3 N.C.LC617 MDをつなぐと正常動作です。分解してみました。あっ!赤い余り線が無い!!2本分解しましたが、どちらにもありません。白と黒の2本だけ。どうやら先日の赤い線が余っていた個体のほうがイリーガルだったようです。基板写真を見ていて、R3からC4の端につながっているパターンをカットし、空いているVCCのランドに余っている赤い線をはんだ付けすればAPS910と同じピンアサインになってAUDIX ADX-40でもLC617MDでも両方で使えるのでは?と考えていたのですが、アテが外れてしまいました。TB3Mコネクタをラジオペンチで掴んで回そうとしてみましたが回らず。となるとあとから配線を追加するのは不可能に思えます。不具合の原因だった赤い線、個人的には無いと残念だなあ。(がんくま)

  • 15Apr
    • SONY ECM-MS957 ステレオマイクの修理の画像

      SONY ECM-MS957 ステレオマイクの修理

      SONYのステレオマイク、メーカー希望小売価格は30,800円、売価はおおむね2万円で、ハイエンド民生とセミプロをターゲットにしたいわゆるプロシューマー機です。エレクトレットコンデンサーマイクロホン ECM-MS957https://www.sony.jp/microphone/products/ECM-MS957/発売は1996年ですが販売終了は2017年とかなりのロングセラーでした。1996年頃といえば私は職場にあったSONYのECM-999というステレオマイク(このマイクも2014年までカタログ掲載があったらしい)を録音で使っていましたが、今はMS方式の小型ステレオマイクって持ってないなあ、と思っていたら動作未確認のジャンク品を2000円で落札できました。手に入れたのは本体のみです。商品説明によると電池入れが液漏れで腐食していて通電確認できず、とのことで開けてみると確かにこれは酷いです。アルカリ乾電池を長期間入れっぱなしにしていたのでしょうが電解液が激しく液漏れした形跡があります。カバーの内側には電解液が結晶化した白い粉がべったり付着しています。白い粉は水酸化カリウムという強アルカリ性物質だそうで触らないようにウエットティッシュでふき取ってから電池を入れてみましたがもちろん何の反応もありません。壊れています。ネットで検索すると日本語マニュアルと海外モデルらしきECM-MS957proの英文サービスマニュアルが手に入りました。まだ市中在庫もある機種なのでソニーステーションで修理部品が手に入るかもしれません。同じマイクを分解した方のブログがあって大変参考になりました。ECM-MS957のウレタン問題(NIMTAblog)https://nimtablog.com/2019/05/03/ecm-ms957%E3%81%AE%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%B3%E5%95%8F%E9%A1%8C/カプセル側のカバー(上部カバー)を外すネジ2本のうち1本が腐食で固着しており、潤滑油を塗って放置してみるもダメなので仕方なくドリルで頭を飛ばしました。カプセルを回転させるツマミの中にあるネジ2本とそのツマミとプラスチックワッシャー2個、電源スイッチのスライダー1個を外すとカバーが引き抜ける・・・はずなのですが抜けない。カバーの内側も腐食していてジャリジャリと嫌な音がしますが力を入れてギコギコとねじりながらでないと抜けません。液漏れによる腐食錆と白い粉が内部にまで進行していますが、カプセル部分は無事。上部カバーの内側にスポンジは無く、金属メッシュのみ。基板を覆う内部の金属製カバーを外すと、その内側にも錆が。しかし、幸い基板は大丈夫そうです。マイナス側のスプリング電極は錆だらけで触っただけでボロッと先端が砕けてしまいました。クリップで電池をつないでみますとちゃんとL/Rどちら側からも音声出力があります。電極さえどうにかできれば復活できそう。マイナス側電極は基板の下にあるので、金属カバーとの接点を保つバネとネジを外して基板を持ち上げますと、トランスが2個入っています。巻いてあったと思われるスポンジが加水分解していて砂のようなグレーの粉が大量に出てきます。基板端の5pinコネクタへ向かう配線のランドの脇にマイナス電極の黒いリード線がはんだ付けされていましたのでこれを外し、リード線ごと電極のスプリングを引き抜きます。ジャンク箱の中に単4電池用っぽい電極がありましたので、これを加工して同じ長さのリード線を取付け、もとの電極があったところに金属板をひっかけて接着材で強引に取り付けます。見てくれは悪いが、要は外れずに電気が通ればよいのだ(直せそうとわかってテンションが上がっている)。トランスのスポンジは両面テープごと剥ぎ取って新しいスポンジを巻き、粉や錆、白い粉をなるだけ吸い取って、錆には錆チェンジを塗りました。基板とバネを取り付けて、マイナス電極のリード線をはんだ付け。この時点で動作確認をしましたが正常動作している模様なので、各配線を整えてカバーを装着します。各カプセルの裏にインピーダンス変換用のFET(2SK1578?)が直接付いていて、下側のカプセルはそれごと90度回転します。マイクを立てて(サイドアドレス使用)で見たとき、上側に固定のSIDE用カプセルがあって下側が可動式のMID用カプセルです。したがってエンドアドレスで使うときはMID用カプセルの前にSIDE用カプセルがあるという面白い構造をしています。サイドアドレスの時はMID用カプセルの前には何もありません。音源への向き。取り扱い説明書にサイドアドレスのほうが明瞭に録れる、と書いてあるのは上記の仕組みのせいか。下部カバーの内側の水酸化カリウムは、歯ブラシや金属ブラシを使って酢とかクエン酸とか中性洗剤、ジフ等いろいろ試しましたが簡単には取れず、結局マイナスドライバーでガリガリと削って紙やすりという方法でしか歯が立ちませんでした。修理テンションが高いうちに標準添付品と同じ5pinXLR(5-11C)とステレオミニプラグのOFCケーブルを作りました。1 GND → Sleeve2 L+ → Tip3 L-(1とショート)4 R+ → Ring5 R-(1とショート)出力コネクタを見てみるとHRSの刻印があります。製品説明にノイトリック製コネクタ、とあるけどあれはケーブル側なのかな。5pinXLR(5-11C)から3pinXLR(3-12C)x2への変換ケーブルがあればバランスL/R出力も引き出せます。ECM-999やSANKEN CSS-5と同じ配線ですが本機は電池運用製品なので、ファンタム電圧はかけられません。SONY FS100 に最適なワンポイントステレオマイク(ルーラルアート+ふるいちやすしの日記)https://ameblo.jp/loo-ral/entry-10997750213.html5ピンXLR-3ピンXLR STEREOマイクケーブル(少年カメラ)https://pokecamera.exblog.jp/28356035/修理後、本体マイクが不調なICR-PS1000Mにつないで、近所の公園で環境音を録ってみました。いかにもSONYのECMマイクって音がします。低音を拾っていないわけではないのですが、全般には低音が薄い印象でゲインも低めのやや地味な音です。値段が一桁違う本格業務用のマイクほど「すごくよく聞こえる」感じはありません。でも、昔は数千円で買える程度のマイクは音がとても悪く玩具のようなものだったので、それに比べればずっとまともです。逆に言えば、現代のステレオマイク内蔵のICレコーダーは、この水準のマイクを本体に搭載できているのだな、と思います。このセットだと乾電池2本でコンパクトに運用できるので、車に常載しておこうかな。(がんくま)

  • 31Mar
    • Alctron  MP73X2 Dualchannel Micpreamp 輸入記の画像

      Alctron MP73X2 Dualchannel Micpreamp 輸入記

      中国の音響機器メーカー、アルクトロン(宁波奥创电子科技有限公司)が作ったneve1073のクローンです。同社は多数のマイクプリをラインナップしており、1073のクローンだけでもEQ無しシングルチャンネルのMP73、EQ有りシングルチャンネルのMP73EQ、コンプリミッター搭載のCP540、API500モジュール型のMP73Aと多種あります。本機MP73X2はEQ無しの2chマイクプリで、お値段は購入時点で6万円と2ch仕様としては数ある1073クローンの中で最も安く、それが最大の魅力です。Alctron MP73X2製品紹介ページhttps://www.alctron-audio.com/EN/Amplifier/Mic-Pre-Amps/MP73X2.html海外の機材談義サイトでは"Cheapest Neve Pre"としてMP73が数年前に話題になったものの、本邦ではさっぱり購入話がありません(某機材チューンナップの大御所が、過去にメーカー名を伏せて苦言を呈されていたことは知っています。私の知る限り日本でAlctronの1073クローンを持っていたと判明している人はその方だけです)。まあ6~7万円出せばFocusriteのISA TWOが中古で買えるので、客商売のスタジオやエンジニア視点ではどう考えてもそっちのほうが安全牌です。メーカー保証が付いているものの国内に代理店は無く、本国に送り返さないと修理してくれる所がありません。かくいう私も2年間迷いましたが、音と造りに興味があり購入に至りました。まだ本格運用に入っていませんが、海外サイトで「誰か内部写真撮って」とリクエストされていたので写真をたくさん載せます。AlctronはAliexpressに公式ストアがあるのですが、利用したのはこちらのお店です。Music Fun Storehttps://ja.aliexpress.com/store/3222157最初に購入を検討していた頃は公式ストアで5万円台でした。その後値上がりして6~7万円を行ったり来たりしていました。今回はセールで送料込み6万円で買えました。シンガポール経由のEMSで、輸入時期が春節と重なったため当初の配送予定より時間がかかり、オーダーから待つこと1ヶ月。箱の時点で予想より重いです。エアーキャップ包装から出すと外箱に少しダメージがあります。本体への影響はなかったものの、緩衝材の発泡スチロールが少ないので重量と中国からの運送事情を考えると若干不安。内容物は本体の他に説明書・保証書(中国語・英語)と電源コード、ACアダプタ、ゴム足です。ACアダプタはDC24V 2.5A(60W Max)出力で、ユニバーサル電圧対応で通常のIEC仕様のコネクタですから日本仕様の電源コードに交換すればそのまま使えます。ACアダプタ採用のためケース内部に電源トランスが無く、磁束の影響によるハムノイズが出ないのは有利な点です。また、以前指摘されていたアース点の問題も解消しています。フロントパネルにDI入力のTSジャックとその切換スイッチ、入力ゲイン設定用のATT、出力レベル調整用のボリューム、位相/ファンタム電源/入力インピーダンス切換(300/1200Ωただしライン入力は10KΩ固定)/インサーション回路の切換スイッチ、レベルメーター、電源スイッチが並んでいます。ゲイン設定用のATTツマミが入力セレクタも兼ねているので、マイク/DI入力(両者の切り替えはフロントパネルのスイッチ)とライン入力はツマミ位置が異なります。出力側のツマミはATTツマミの位置がどこであっても0~MAXまで調整できます。入力ゲインを過大にして歪ませ、出力は小さくする、といったような使い方ができます。OLD NEVEを模したツマミはプラスチックの質感が若干安っぽくてイマイチですが、入力と出力のレベルが見られるLEDメーターは便利です。電源スイッチは青色LED内蔵で暗いところだと結構まぶしい。背面にはマイク入力、ライン入力、SEND出力、RETURN入力、ライン出力2系統、電源コネクタが並んでいます。灰色のケースは厚い鉄板製で重量があります。フロントパネル側からの内部。背面側からの内部。中央を仕切る鉄板も厚いです。接地のため塗装が削ってあります。基板のバージョンはMP73V2 V1.1になっていました。MP73のシングルチャンネル版は数年前にMP73V2とMP73EQV2に改名されたもののMP73X2については名称の変更が無く、もしかするとこの機種だけは昔の基板を使っているのか?と思っていましたが、V2基板(おそらくシングルチャンネル版のMP73V2と同じもの)です。フロントから見て右側の基板にのみDC電源ジャックが付いていて、そこから左側基板に電源のジャンパ線が飛んでいますが、基板自体は左右まったく同じものです。この小さい基板はファンタム用の+48Vの回路らしいです。その下の回路には実装済みのチップをリワークしてモディファイしたような痕跡が見られます。写っている三端子レギュレータ7Q1はL7812CVです。トランスは入力用にシールドされた箱状のものが2個(おそらくライン入力用とマイク/DI入力用)、出力トランスが1個で基板1枚につき3個の合計6個です。基板の配置はゆったりしていてアース面も広く品質は良好です。しかし部品の並びとはんだ付けはさほど整然としている感じではありません。入力された信号はトランスでアンバランスになった後、ATT(現代風にチップ抵抗になっている)と初段増幅を通り、オリジナル1073の高利得増幅用のBA284と、BA283前段にあたるのではないかと推測される部分黒いネジ3点で固定されているスイッチ基板の下段にあるインサーション切換スイッチを経由して出力ボリュームと終段増幅へ。その後出力トランスと位相切換スイッチを通って出力されます。ファンタムと位相切換スイッチの基板です。本機にはEQ回路が無いので、外部にEQをつなぐSEND/RETURN端子があってインサーション切換スイッチでON/OFFできます。ファンタムと位相スイッチの基板を取り外すと見える2つのプッシュスイッチのうちLED基板寄りがインサーションスイッチです。この端子、オリジナルの1073にはありませんし、説明書にも電気的な仕様が明記されておらず謎でした。基板上で回路を追ってみると、この端子は初段から終段に行く途中に単純に入っているだけで当然アンバランスです。SEND回路用の増幅器はなにも入っていないので、SEND端子からの出力レベルは入力レベルよりずっと低く、入力のLEDが0まで振れる状態でも-47dB程度にしかなりません。+4dB前提で設計されたアウトボードをインサートしての動作は難しいのではないでしょうか。LED表示部分には縦置きの基板が2枚あります。オリジナルには無いLM339を使ったレベルメーター回路。半導体は上記のLM339と電源の三端子レギュレータ類を除けばオリジナル同様のディスクリート構成でオペアンプは使われていません。オリジナル1073のBA283後段にあたる部分。2N3055はST Micro製です(と、信じたい)。コンデンサ類はWIMAやRubyconも使ってありますが、アルミ電解の大半はSUQIAN HUAHONG Electronic Industrial Co,Ltd(宿迁华虹电子工业有限公司)のCD110(*1)という銘柄。初期のMP73EQの内部写真を見るとタンタルコンデンサが使ってありましたが、本機では一切使われていません。フォンジャックやXLRコネクタはCHUNSHENG ELECTRONICS(浙江春生电子有限公司)製。24AWGの配線は東莞市のTriumph Cable Co., Ltd.製。枯れた回路でもありますし、部品の国産化が進んでいます。新品でしたので最初のうちはバネが固いサスペンションのような弾力感の強いガッツのある音がしましたが、4〜5日通電していると電解コンデンサが馴染んで音が伸びてきました。本格的な録音に使っていないのでまだ印象が無いものの、変な音ではありません。S/Nも妥当で1/2ch間でレベル差や音質差があるようにも思えません。以前記事にしたTOAの4chマイクプリRH-200とミックス済の音楽を通して聴き比べると結構な音の違いを感じます。RH-200と比べると中低音増しで当たりの固いところと中高域のギラつきやすい所が少し落ちて滑らかになる感じです。金物系をよく聞くとわずかに響きも付いてきます。しかし音自体が輪郭くっきりとフラットに上がっている感があるのは本機よりRH200のほうです。つなぐ相手によって周波数特性が変動しやすいトランス入りとオペアンプ(NJM5532)の違いと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、通すと音は変わります。キラキラとした華やか系の音ではなく、密度があって押しの強い、若干暑苦しい感じの音のように思えます。某氏はChameleon Labsの1073クローンと同じ傾向の音がする、と書いていらっしゃいましたが、どうでしょうね。著名なアウトボードメーカー製やビンテージ機器の1073クローンは高価でそうそう中身がいじれないと思いますので、チューニングベースとしても面白いのではないでしょうか。(がんくま)(*1)調べてみたらCD110は銘柄ではなくアルミ電解コンデンサの標準品の規格のようで他のメーカーの製品もありました。中国最大の電解コンデンサーメーカーで日本のメーカーと技術提携があるNantong Jianghai Capacitor Co.,Ltd(南通江海电容器股份有限公司)の製品データシート→PDFまた、HUAHONGといえば、一時期パソコンの電解コンデンサー不良騒動が吹き荒れた際に問題になったCh*ng系のブランドの一つ、ChongXを製造していたChangzhou City Huahong Electronics Co.,Ltd.と英語読みが共通しますが、そちらは常州華紅电子有限公司であり違う会社のようです。HUAHONGは漢字ではありふれた発音で同じ英語表記の会社が複数あります。本機使用の電解コンデンサーについては宿迁华虹电子工业有限公司の資料に同じロゴの製品があるので間違いないと思います。ちなみに宿遷にはニチコンの中国工場(尼吉康電子有限公司)もあるそうです。

  • 26Mar
    • marantz ZP-1のクッションマウントを交換するの画像

      marantz ZP-1のクッションマウントを交換する

      以前異音対策を行ったマランツのかご型風防、その後は特に問題もなく屋外録音で大活躍しております。本来は同社が販売していたショットガンマイク用のオプショングッズで、同社のマイクSG-9Pの外径寸法21mmに合わせたマウントリングが付属していますが、これはRODE NTG-1/2にはピッタリですが業界定番のSENNHEISER MKH-416や手持ちのSANKEN CS-30/CSS-5(外径19mm)には大きくて、スポンジを噛ませたりマイクの胴にテープを巻いて太くしたりしないと抜けてしまいます。また、プラスチックの輪の爪に専用の輪ゴム4つをひっかけてマウントリングを釣る、という構造には、現場でもし輪ゴムを紛失してしまうと役に立たなくなるというリスクがあります。この分野のリーディングカンパニーであるRycoteの現行のガンマイク用マウントは独特な形のプラスチック製になっていて、これが想像以上の柔軟性と耐久性をもっており寒くても固くならず、曲げても折れません。(写真引用元)https://rycote.com/microphone-windshield-shock-mount/boom-shock-mounts/Aliexpressでマイク関連の品物を眺めていると、これととても良く似た製品を発見しました。DF Video Tube Storehttps://m.aliexpress.com/store/3866010クイックシュー付きの短いレールにプラスチック製マウントが2個付いてお値段は約2500円。本家のRycote RY-INVシリーズやRODE SM4-Rは七千円位しますのでそれより安く、かつZP-1と同様にレールにマウントが固定される形状になっており、スムーズに移植できそうに思えたので購入してみました。EMSではなく佐川急便へ中継される配送で到着まで注文から2週間とAliexpressでの通販としては早かったです。現物を見るとレールも金属製で加工精度も高く、品質は良いです。しかしレール部分は今回使わないのでさっさと分解します。分解には六角レンチが必要です。最初はプラスチック製マウントだけを移植しようと思いましたが、実際にZP-1に合わせてみると使われているネジ径が違うため、レールの内側に付く断面が台形のネジ座金に止まりません。そのため、ネジとネジ座金も輸入したレールから移植しました。中国製レールから移植した六角ネジと座金はM3でした。元々ZP-1についているネジはM3より大きく、M4より小さいのでユニファイと思われます。ユニファイネジは輸入したプラスチックマウントの穴に入りません。六角ネジでは嫌だ、という場合は別のM3ネジを買ってくることになりますが、適合するネジの長さはネジ頭の座面下で18mmです。20mmだとねじ込んだ時にレール側にネジの先端がつっかえてマウントが浮いてしまいグラグラします。15mmだと噛む部分が短すぎます(蛇足ながらZP-1の元の座金は中国製レールには付きません)。簡単な作業で現代的なプラスチック製マウントになりすっきりしました。外径19mmのマイク(CS-30)もしっかりホールドしてくれます。マウントを触ってみるとRycote製のほうがしなやかで、こちらは柔軟性がある材質としては共通ですが本家より少しだけ固めかな、と思います。しかしクッションマウントとしてはちゃんと機能しており歩きながら録音しても問題になるような衝撃はありませんでした。何かに引っ掛かって強い力がかかった場合、折れるかどうかの耐久性具合は不明です。SANKEN CSS-5を搭載した場合です。この程度であれば重さでマウントがたわむことは無いようです。CSS-5の場合、マウントの位置がここだと後ろ側のリングが開き気味で振ると上下に動いてしまいますので、この位置に付ける必要がありました。垂直方向に背が高いマイクなので、オリジナルの輪ゴムマウントよりこちらのほうが扱いやすいです。かごの内側とのヘッドクリアランスは2~3cmですが、かなり乱暴に振り回してもかごの内壁に接触することはありません。しかし、こういうレール非対応形状タイプをバラしてレールと座金に(ゴムワッシャー等を噛ませて?)きっちり固定できるのであれば、CSS-5に関してはこのほうが筒内の位置が下がるかもしれない。2個買うとレール付きのほうが安いの謎。こういうレール対応形状になっていないマウントだと極端に安いのもあるのですが、安いのはパキっと折れそうな気がする。予備品としては良いかもしれない。※この写真のマウントを実際に取り寄せて使ってみました。追記参照。マランツはショットガンマイクの販売を完了したらしく、ZP-1も本記事執筆時点で販売終了しています。しかしAliexpressを眺めているとZP-1と(つまりRODEのBLIMPと)酷似しているように見える製品で、同じプラスチックマウントを搭載した製品が安価で販売されています。日本のAmazonでもMicoliveというブランド名で売られているようです。ZP-1のショートケーブルは通常のモノラルガンマイク用の3pinなので、CSS-5を使う場合、運用のスマートさを考えると5pin化したいところですが、ケーブルの脱着にははんだ付けが必要なので、もう一つかご風防を買ってCSS-5専用とそれ以外のマイク用に分けたいところ。※後日、5pin化改造しました。下のリンクから読めます。■関連記事marantz ZP-1 のペリペリ音対策marantz ZP-1を5pinステレオマイク仕様に改造ショットガンマイクのスポンジ風防あれこれ■2022.4.26追記【追記】予備には良いかもしれない、と書いていた超格安のクッションマウントを取り寄せてみました。下にクイックシューが付いていますが、六角レンチがあれば分解可能です。ネジはM3です。予想通りZP-1のレールにはそのままで付きません。ネジを締めてもレールを押し付ける部分が無いからです。千石電商で自作ケース用のゴム足を2個買ってきました。これをレールとの間に挟んで15mmのM3ネジでゴムが少したわむように締め付けると具合良く固定されます。ゴム足の振動抑制効果も加わるはず。マイクの垂直位置は少しだけ下がります。リング部分が先日購入したRycoteもどきより狭く、外径19mm~20mmのマイクに対応です。Rycoteもどきは突起4点でマイクをホールドしますが、こちらは面で押さえます。Uの字の上側開口部が広いので、CSS-5に対して使う場合はホールドポイントを後ろ側にでき、前後上下方向にマイクを振った時により安定します。材質はRycoteもどきよりさらに硬めで、振動抑制効果はやや劣ると思いますが、マウントとしてはしっかり機能します。安いので4〜5本位買っておくと良さそうです。そのままクイックシューに付けて使っても良いしね。(がんくま)

  • 16Mar
    • 充電不能になったOUKITEL WP6のMicroUSB端子の修理の画像

      充電不能になったOUKITEL WP6のMicroUSB端子の修理

      使用開始から1年ちょっとで充電ができなくなりました。突然の故障では無く、MicroUSB端子が摩耗・変形してだんだんと充電ケーブルを認識しなくなったためです。充電以外の機能は全て正常なので基板交換により修理を試みました。ありがちな故障だと思うのですが検索しても情報が無かったので記事化。交換に用いる基板は"OUKITEL WP6 USB BOARD"で検索するとeBayやBanggoodで販売されているものがヒットします(2021~2022年現在)。価格は$11~16程度で、今回はeBayで購入しました。半月ほどで届きました。なお、最初は早く修理したかったので秋月電子でMicroUSBのコネクタだけを買って交換修理を考えたのですが、基板の写真を見たところ秋月で売っているコネクタはどれもWP6の交換用には向いてないように思えます。はんだ付けの難易度も結構高そうです。後述しますが、バイブレーターモーター付きの基板を買えばはんだ付け不要で交換修理できるはずなので、同じ修理を検討している方は素直に交換基板を購入することを推奨します。■分解手順必要な工具・トルクスドライバー T-5・精密ドライバー +・精密ドライバー -(または爪楊枝、パターンカッターなど)・ピンセット(あれば)・両面テープ(あれば)※紛失しやすい小ネジ等の部品が多いので作業環境に注意。※本機種のバッテリーは大容量かつ取り外し式では無いので、バッテリー残量がある時は使い切ってからの作業を推奨します。私はバッテリーが完全放電している状態で作業しました(充電できないからねw)。まずサイドのアルミ枠を外します。左右どちらも短いトルクスネジ4つで止まっています。ネジを外してアルミ枠の隅にマイナスドライバーかカッターナイフの刃を入れると外れますが、この時ボタンカバー2つと黒いSIMスロットカバーの蓋が外れますので紛失に注意。本体上部と下部にある4本の長いトルクスねじ(合計8本)を外します。背面パネルを揺すって外します。パネルと本体の間に配線はありません。本体下部のUSB充電基板(交換対象)に配線が3箇所あるので外します。左右の絶縁シールの下に黒いケーブルが繋がっている金色の同軸コネクタがありますのでマイナスドライバーや爪楊枝などで引っ掛けてそっと外します。中央部分の絶縁シールは剥がさず、その下にあるコネクタの蓋にマイナスドライバー等を引っ掛けて外します。銀色の+ネジ5本を外し、配線やコネクタに負担がかからないよう注意しながら基板を取り外します。■基板の交換と再組立て外した古い基板と交換する新しい基板を比べてみますが、矢印部分の部品がありません。スピーカーかな?と思いましたがこれはバイブレーションモーターでした。元の基板から取り外して移植しないといけません。モーターは導電性?の両面テープで基板に貼ってありますので外し、はんだこてで赤黒の配線を外します。交換する基板のランドにはんだを乗せ、外したモーターを交換する基板の同じ位置に同じ向きで貼り付けます。両面テープは再利用しましたが、粘着力が落ちて後で剥がれかけましたので、薄い強力両面テープがあれば貼り直したほうが無難です(私は後から接着剤で固定しました)。赤黒線を極性通りにはんだ付けします。このはんだ付けをしたくない場合、探せばバイブレーターモーター付きの基板も売られています。これならモーターを両面テープで貼るだけで交換できます。コネクタや配線に負担をかけないように注意しながら基板を元の位置に取り付け、中央のコネクタの位置を合わせて挿します。左右の同軸コネクタとケーブルが基板の上に出ていること、MicroUSB端子とイヤホンジャックが本体の穴にきちんとはまっていることを確認したら、5本のネジを締めて基板を固定します。同軸コネクタ2つを元通りにはめます。コネクタ位置がずれている状態で上から強く押し過ぎるとコネクタが変形するので注意。ヌタッとはまったらコネクタの上に絶縁シールを元通りに貼ります。背面パネルを仮止めした時点で、充電できるかどうかのテストを行います。本機種はバッテリーが完全放電してディープスリープ状態になった時、MicroUSB端子に充電ケーブルを繋いでも反応がまったくありません。加えてバッテリー容量が巨大なため、ディープスリープから離脱するまでの時間も長く、2~3時間完全な無反応状態が続く場合もあります。USBケーブルを挿して20分後位に充電器に触って、暖かくなっていたので充電しているものと判断。しばらく充電して電源が入るようになったら、スピーカー、バイブレーター、Wi-Fi、GPSが正しく機能することを確認します。それから、分解時と逆の手順で元通りに組み立てました。無事直って良かった良かった。■充電についてなにせ充電に時間がかかる機種なので購入後に色々と試したのですが、今のところ充電が最も早いのは手持ちのQC充電器よりも購入時に付いてきた純正充電器です。これで急速充電対応のまともなMicroUSBケーブルを使っていれば、AccuBattery表示で4~4.3V、2.7~3.2A前後で充電できています。購入時のWeb情報では9Vで充電できるような記述があったのですが、AccuBattery等の測定アプリではバッテリー側の電圧しか見られないので本当に9Vで充電しているかどうかはわかりません。が、いずれにせよ3Aで充電できていればMicroUSBとしてはほぼ上限値と思います。■防水についてOUKITELの公式動画でそのヘビーデューティさを証明するために油で揚げられてしまった本機種、しかし分解した感じでは鉄壁の防水性完備とまでは思えませんでした。雨に降られたとか、水の中に落としたけどすぐ取り出した、程度なら浸水することはないでしょうが、ダイビングのお供とか、長時間水中に放置してOKとまでは過信しないほうが良い気がします。外したネジには青いシーリング材が塗ってありましたが、再組立時に塗り直さなかったので、その点でも水密性が落ちた可能性あり。■コネクタの損耗状況新しいコネクタのアップ古いコネクタのアップ摩耗、変形状態の参考です。見た目はこの程度でも充電不能になりました。MicroUSBはコネクタの造形精度がイマイチな割に消耗、変形に対するマージンが少なく、スマホの充電端子のように抜き差しの頻度が高い場所に使うと寿命が短い欠点があると思います。WP2→WP3→WP5と(そしてWP7以降の機種でも)USB-Cを採用しているOUKITELが、何故このWP6だけ耐久性や充電性能に劣るMicroUSBを採用したのか理解に苦しみます。■アプリのバックグラウンド動作が停止する問題だいぶ前にAmazonのレビューに解決方法を記載したので本ブログには書いていませんでしたが、本機種のようなMediaTekのHelio SoCを採用した機種はメモリー使用量を抑えるためか定期的にバックグラウンド動作しているアプリを強制終了させる機能があって、これがVPNやネットワーク監視アプリと大変相性が悪いです。根本的な解決方法としては、1.PLAYストアからActivity Launcherをインストールする。2.同アプリを使って隠しアプリであるDuraSpeedを起動する。3.強制終了させたくないアプリを選んでスイッチをONに切り替える。となります。これをやらずに電源マネージャやアプリの権限の設定をしても無駄です。いまさら情報ではありますが。当記事を参考にした修理は、個人の責任において行って下さい。(がんくま)

  • 12Mar
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      ジャンク品のダイナミックマイクをいじる(2)

      ■SAMSON R21S名前が似ているので韓国SAMSUNG社と勘違いされることがあるSAMSONはもちろん別の会社(Samson Technologies)で、1980年設立のアメリカの老舗音響機器メーカーです。ワイヤレスマイクやドラム用のマイクセット、PA用の小物機器などを日本でも見かけます。私も同社のDIや舞台用ヘッドホンアンプを使っています。R21Sは外観がSM58Sとよく似たスイッチ付きの汎用ダイナミックマイクで、一般の人が「普通のマイク」と言われて想像するマイクそのものの形をしています。新品がマイクケーブル付き1950円ですから格安のマイクです。見た目も中身もいたって普通なので、特にシビアにマイクの音質を問わない施設やイベントに使うならこれで十分じゃないかという気がします。これもハードオフのジャンク箱の中にあり、お値段は1本500円でした。スイッチ付きは仮設トークバックや影ナレ用途に便利なので、何かで使えるか、と購入。2本買ったうち1本は正常に音が出ましたが、1本はいわゆるロー抜け状態で、カリカリな音です。スイッチにはプラスドライバーで外せるON/OFF固定用のプレートが付いています。PAで使う場合、マイクの持ち手に操作してもらいたくない場合があるので助かります。グリップエンドに離れた場所からマイクを区別するための色付きリングを嵌める溝があります。ロー抜けしているほうのグリルボールを外してみました。SM57/58と似た青いカプセルが付いています。胴体上部に四角い穴が2つあり、そこにゴムの爪がひっかかってカプセルが固定される仕組みです。グリルボール内のスポンジはFIFINE K8と比べるとさほど厚くありません。FIFINE K8の修理に使うカプセルをアリエクで購入した時に、同じくCoolVox製ではないか?と思われる汎用カプセルがあったのでついでに購入しました。N-813と型番が付いていますが見た目はBETA58のカプセルに似ています。お値段は2個で800円。音はあまり期待しませんが普通にトークに使える程度の品質があれば良いかな。Xiao Yu’s storehttps://www.aliexpress.com/store/3095087送料が安かったせいかK8のカプセルより10日ほど遅れて到着。直径は交換前のカプセルより微妙に太く見えます。何も考えずに付けてみましたが、胴体から突出するカプセルの先端部がオリジナルのカプセルより長いのでグリルボールがつっかえてねじ込めません。音が逆相です。更に、上下方向に振ると何か小片のようなものが中で外れて振動しているようなカチャカチャ音が聞こえます。調べもせずに赤い線がホットだろうと思い込んでいたのですが、配線を追うと赤が3番、白が2番につながっていました。シールド線ではないがK8より太くてしっかりした線です。スイッチもネジ固定で外せそうなので交換も可能でしょう。配線を外し、カプセル単体を振っても耳でカチャカチャ音が聞こえるので、異音の原因はカプセル内部です。左右に振っても音はしないのでコイル周辺の何か??一緒に届いた2個目を振ってもそんな音はしないので、1個目は諦めて2個目を使います。今度は赤ぽち印を白線につなぎました。先端部の突出問題は、カプセルの外周のゴムが最も太い部分を四角い穴にはまる爪部分を残しカッターで削ったことで、オリジナルの突出量25mmに対し29mm程度に抑えることができ、これでなんとかグリルボールの内側に干渉しないようになりました。元通りに組み立て、未改造のもう一本と音質を聞き比べるとオリジナルより低域が増えて厚めな音になりました。改造前後で外観は変わらないものの内部ではダイヤフラム位置が4mm口に近くなるせいもあるのでしょうが、オリジナルのR21Sの音のほうがすっきりしています。でも普通にトークで使う分にはノイズも少なく、特に問題無い音質に思えます。カプセルの値段を考えればいたって良心的な音です(でも1個は使えませんでしたが・・・)。(がんくま)

  • 11Mar
    • ジャンク品のダイナミックマイクをいじる(1)の画像

      ジャンク品のダイナミックマイクをいじる(1)

      ■FIFINE K8おそらく国内のプロ音響技術者には現時点でほとんど知名度が無いであろうマイクブランド、FIFINE(ファイファイン)社のダイナミックマイクです。ハードオフのジャンク箱の中にありましてお値段は1000円でした。手に取ってみるとずしりと重く、金属製で造りが良さそうに見えたので興味が湧いて購入したものです。ネットで調べてみたところ、FIFINEは中国の新興マイクメーカーで、K8の他にUSBコンデンサーマイクなどの製品があり、動画サイトでゲームの実況配信などを行っている人々の間では「安くて品が良い」と評価されている模様。K8はマイクケーブルなどの付属品とセットで2,900円で買える安価なマイクでした。しかしClassic Pro CP5やベリンガーのXM8500と比べても明らかに重い。Amazon FIFINE K8販売ページ肝心の音ですが、後述のSAMSON R21SやAudio Technica AE4100と比べた所、低音が豊かで高音はさほどうるさくなく、少し暗めでどっしり系の音です。トークPA用途だとR21Sのほうが明解で元気な音になりますが、他の2本よりも指向性が鋭く、自宅からの実況配信用にマイクを固定して使う用途としては不要な音を拾いにくく、確かに悪くはないなと思いました。しかしこの個体、発振音のような非常に微小なノイズが常時乗っています。分解して内部の配線を別のケーブルでバイパスしてみましたが改善しません。カプセル起因なのだろうか。カプセルはSM57/58系よりも大口径で低音を拾うようです。R21Sでは拾わない50Hz位のハムノイズもこのマイクは拾います。グリル内側のスポンジも厚めです。内部はがらんどうで共振対策は特になし。このマイクが重いのは金属製の胴体部分によるものです。アマゾンの販売ページでは新品購入時に付属のマイクケーブルについて図解入りで高品質であることを強調していますが、外から見えないマイク内部の配線には特に高級感が無く、28AWGの線数のまばらな細いシールド線です(マイクの音声信号は微弱なので線材として不足しているわけではありません)。デザインの良いスライドスイッチは半田付け後に胴体にはめ込んだものらしく、外し方がわからない。無理やり取ると爪など折れそうなので、スイッチを活かすためにやむを得ずケーブルはそのまま使います。アリエクで使えそうなマイクカプセルを眺めていると、これと同一とおぼしきカプセルを発見しました。jWin Store(https://www.aliexpress.com/store/715108)アリエクで販売されている交換用カプセルとしては珍しく詳細な特性表示があり、これが密林のK8販売ページに記載の特性表記とほぼ一致します。・カプセル販売ページの表記・K8マイク販売ページの表記中国の音響機器メーカーは海外製品の委託製造をしているうちにコピーを製造するようになるパターンが多いので、もしかするとこれも元になった有名マイクメーカー設計のカプセルがあって、そのコピー品なのかもしれません。メーカーとして記載されているCoolVoxはダイナミックマイクのカプセルを多種販売しているブランドです。このカプセルは同ブランドのカプセルの中では高価な部類に入り、輸入すると送料込みで2000円近く。新品が2900円と知った以上、購入を躊躇する値段ですが、好奇心が勝り、取り寄せました。発注から3週間ほどで届きました。写真では同じものかと思っていましたが、届いた品をよく見比べるとまったく同じではありませんでした。レゾナンスキャップを通して見えるダイヤフラムとその奥の模様が異なります。赤ぽちがホット側の印と思いますが基板の向きを基準にして見ると逆。しかし似ている。元々カプセルを円筒に押し込む部分には抜けにくいように両面粘着テープ状のものが巻いてあったので、それにならって自己融着テープを巻いて押し込みました。突出部は交換後のほうがやや短くなりました(ダイヤフラムが口元から少し遠くなった)。カプセル交換後、発振音のようなノイズは消えました。が、ハムが乗ります。音質は交換後のほうがわずかに低音の厚みが薄れ、すっきり寄りの音になりました。このマイク、分解時に配線がアンバランスになっていて、XLRコネクタの1番がグランド(&コールド落ち)、2番がホット、3番は未接続でした。自分がケーブル交換を試した際に間違えたのかと思って初回分解時の写真↓を確認しましたがそのようになっています。新品を分解したわけではなく中古品なので、もしかすると前の持ち主が改造したのかもしれません。出力コネクタのピン部の材質が華奢で、何度か付けたり外したりしているうちにネジ穴周辺のプラスチックがボロボロと崩れて胴体内でピンが斜めに傾いてしまい、マイクコードのプラグがスムーズに入っていきません。ツイッターでもマイクメーカーの方からご指摘をいただき、結局、ピン部を別のコネクタから移植し、1番フレームグランド、2番ホット、3番コールドで配線しなおしました。ハムノイズの混入は最初の状態より改善し、なんとか実用になるレベルに。しかし、やはりノイズに敏感で周囲の電磁波の影響を拾いやすく、若干ケーブルや相手機材を選ぶ印象が残ります。元々インピーダンスもカラオケマイクと同じ600Ωで、個人の自宅でホルダーに固定して短い配線で静かに使うなら良いのでしょうが、ノイズ源が多い場所や、取り扱いが乱暴でケーブルを長く引っぱるライブ等の現場で使うには少々不安が残りました。(がんくま)

  • 10Mar
    • BEHRINGER SRC2496の修理(?)の画像

      BEHRINGER SRC2496の修理(?)

      2021年8月3日に茨城県牛久市のハードオフで購入しました。思い返せばこの店、自作スピーカー関連の在庫が多かったような気もする。本機はジャンク品コーナーの楽器系音響機器が置いてある中にあってお値段は6000円。値札には「音は出ました」と書いてありました。動作が期待できない状態なら6000円は高いが、まあ音が出てるなら、と購入。だがしかし。持ち帰って通電するとLED類は点く。ボタンを押すと操作に反応もする。しかしデジタル信号を入力してもヘッドホン/アナログ出力共にものすごいノイズまじりの音です。フルスケールの信号を入れているのにメーターが半分以下にしか振れません。ウム、確かに音は出る。けど使える音ではない。久々にハードオフでハズレを引いてしまった。まあジャンク品なので文句は言えないが。耳で聞いた感じDC電源の波形がまともではなく、それが全てに影響しているように思われます。ネットで軽く調べると、本機種は電源の三端子レギュレータの脇にある1000uFの電解コンデンサーが熱で劣化する傾向故障があるらしい。もしかしたらそれかもしれない。そういえば以前修理したBEHRINGER ADA8000も同様に三端子レギュレータの放熱設計に難があった記憶がある。開けてみました。中身は基板面積が小さくてスカスカ。底面に丸い凹みがあったのでてっきりトロイダルトランスが入っているのかと思っていましたが、予想に反して普通の形のトランスが2つ。しかし、なんだかトランスの取り付け方や配線がいい加減だな・・・。中央のトランスはボンドで底面に取り付けられていて、配線もショートこそしていないが美的感覚が無いというか、外から見えないとはいえ見栄えが素人くさい。件の電解コンデンサーは外観上膨らんだり液漏れしたりはしていないように見えますが、7805の根本を見るとランドとの接点が怪しい。しかし測ってみるとこの部分の電圧は入力11Vで出力5Vと正常でした。本機種はユーザーによる改造例が多く、ネット上で見られる内部写真が豊富です。こちらの記事(http://www.audiotechno.fr/html/src2496.htm)によると、SRC2496の中身は(上の写真と左右が逆ですが)こんな感じ。検索して複数の内部写真を見ましたが本個体のように『トランスが2つ付いている』写真は他に見かけません。ビニールテープを剥いてはんだ付けを見た時、これは素人改造ではないかという疑いが湧きました。コンセントに近い側のトランス(機種名表記あり)からはオレンジ色の2本と黄色2本の4本の配線が出ていて、ツイストされた黄色線が謎のトランスを経由して基板側のブリッジダイオード付近に接続されています。測定してみると謎トランスの入力はAC21~22V位で、出力は・・・なんとAC3.9V~4.0Vという衝撃的な値。コンセントに近い側のトランスに貼ってあるラベルによるとオレンジ色線は10V、黄色線は18Vの出力です。おそらくオレンジ色がデジタル5V用で黄色がオペアンプ(ベリンガー製品の常としてこの製品も4580を大量に採用している)で使う正負15Vアナログ電源用の元と思われます。電解コンデンサに隠れて品番が見えないが、これが7815/7915だと思う。その辺の4580の電源電圧を測ると±2~3v程度しかありません。驚愕。よく動いてるなこの機械。まさかと思いながら謎トランスから黄色配線を外してジャンパ線で直結してみたら正常動作します。4580の電源電圧は±14Vで安定しますし、出力メーターもピークまで振れるようになり、出音も正常なように思える。謎トランスをパスして元通り?に黄色線をつなぎました。結論として、当機はもともと壊れていなかったが、前の持ち主が何らかの目的で要らん改造をして壊してしまったとしか思えません。いったい何故このような改造をしたのでしょうか?本機は業務用機なので、カタログスペック上、0dBFS入力で+16dBu(4.89V)の出力レベルがあります。これを最大でも2~2.5V程度の入力による動作を想定した民生用オーディオ機器に繋ぐと当然オーバーレベルです。とりあえずD/Aの音を聞こうと思えばデジタルのレベルをぐっと絞れば良いが(ただしデジタル機器側にレベルを絞る機能が付いていれば、ですが)、するとメーターがあまり振れない状態で本機を使うこととなりビット処理上もS/N上も音質的に不利です。このような場合、プロ音響の常套手段としては左右のXLRアナログ出力に20dBのATTを入れて民生機のライン入力端子に繋げば良いのですが、いわゆるピュアオーディオ界隈の人たちは信号にATTを入れることを蛇蝎のように嫌います。そこで、もしかすると前の持ち主はオペアンプのレール電圧を民生機の入力に即した電圧まで下げればデジタル側の出力レベルを下げずにD/Aとして使えるのではないか、と考え、この改造を施したのかも?という憶測が湧きました。前の持ち主はプロ音響の現場ではなく、家庭用の趣味のオーディオに本機を使おうとしていたのだと思うのです。とはいうものの、電圧を下げるためにわざわざトランスを追加しているのに、正負電源用の三端子レギュレータ2個は交換しないというのは変ですし、AD/DAやサンプルレートコンバーターのICの電圧も一緒に下がってしまうので、正常に動作しなくなる可能性が高まる事は少し考えれば想像がつきそうなもの。なんとも中途半端な改造で、憶測は憶測の域を出ません。明らかに正常な音ではなくなったのに原状回復をしなかったのも謎であって、もしかして前の持ち主には良く思われていなかったのかなこの機械?それともこういうモディファイが本当に流行ったのでしょうか???なにはともあれ、私は6000円を無駄にせずに済んだのでホッとしました。修理(というか原状回復)後、しばらく使い道がなく放置していましたが、これは複数のデジタル出力をまとめるのにとても便利な機械で、現在はラックに入れて毎日フル活用しています。(がんくま)

  • 09Mar
    • TASCAM VL-S3BTの修理の画像

      TASCAM VL-S3BTの修理

      左右セットの小型パワードスピーカーで2016年発売と、うちのブログ記事では珍しくバリバリの現行商品。しかし外箱に打痕があり、本体背面のボリュームの軸が曲がっています。売り主によると通電はするが音は出ず、修理できるかわからないのでジャンク品として売るとのこと。保証は効かないが破損箇所以外は限りなく新品です。もったいない。曲がったボリュームを回すとぐるりと一周してしまいます。ロータリーエンコーダ?まさかなあ。アンプが入っているアクティブ側(L側)の裏蓋を外して分解開始。小さい基板はBluetoothの受信基板です。ケーブルにスポンジが巻いてありますが、いずれ加水分解でベタベタのボロボロになるぞこりゃあ。大きいほうの基板はプラスチック製のバスレフ穴付き裏蓋と一体化しており、基板を止める黒いタッピングネジとボリュームのナットを外してもまったく動かず、外れません。結論から言えば、電源スイッチとパッシブ側へ接続するスピーカー端子のはんだ付けを外し、裏蓋と基板の外周の間にカッターの刃を入れて四辺をぐるりと止めている接着剤を切ることで基板を取り外せました。が、外してみるまで裏蓋と基板の間の内部の構造がさっぱりわからずどこにどれくらい刃を入れれば良いものか探り探りでかなり苦労。分解前にこの写真↓が見たかった・・・!電源スイッチとスピーカー端子はスルーホールで、振動に対するヒビ対策なのか基板裏面にもランド面があります。吸い取り時に溶けたハンダが部品の足に沿って流れたために完全に外れず、基板取り外し時にランドのパターンが剥離しました。これを防いで綺麗に外すためには裏蓋と基板を上に見上げる状態に設置し、重力を利用して下からハンダを吸うしかないと思います。また、接着剤はゴム状のものですが、接着面(基盤縁の白い斜線が印刷されている部分)にも細いパターンがあり、カッターの刃で削ってしまう可能性があります。というか基本的に分解修理のことを考えられていない造りに思えます。実売価格が8,000円を切っているので仕方がないのかな。背面を下にして落下させると同じ故障が起こり得ると思いますが。破損しているボリュームは基板に垂直に付くタイプです。B503と印字されているので50kΩ Bカーブ2連のようです。このタイプは"9mm vertical dual potentiometer"で検索するとALPS、Alpha、BI/TTなどいくつかのメーカーが作っていますが、秋葉原だと千石電商2号店で売っているALPS製のRK09L-1240-F15-CO-B503が交換品として使えますので早速買ってきました。モノタロウで買えるRK09L124000Zもたぶん使えると思うのですが、そちらはセンタークリック付きになります。ボリューム固定用の2箇所のランドが剥げていますが、このランドはどことも導通が無いので爪で固定すれば問題ありません。ボリュームの向きを間違えないように取り付け、配線のスルーホール6穴はしっかりはんだ付けします。あれ?ふと気付くとD21が無い。カッターで接着剤を切っている時に外れてしまったようです。DCジャックの芯側と電解コンデンサーのプラス側の間に入っているので逆接対策用と思います。チップ部品が無かったので、その辺にあったジャンク基板から外したDiを再利用で付けました。ALPS製のボリュームと交換すると軸長は問題ありませんが、軸径とネジ溝の外径が元の部品より太いので、裏蓋の穴を広げる必要があります。テーパードリルを使って10mm穴にしました。なお残念ながらナットは付けられません。密閉固定が気になるなら爪楊枝で隙間にバスボンド注入です。また、軸が元のローレット型からD型になりますので、ツマミも要交換です(ツマミ角度は0度)。仮配線で動作確認が取れたので組み立てます。接着剤は密閉性を考慮して固着後も体積が減らない、弾性が残るタイプ(セメダインスーパーX)を使いました。ネジで基板を固定してから電源スイッチとスピーカー端子をはんだ付けし、基盤裏で剥がれて断線してしまったパターンの代わりにジャンパ線を1本飛ばしました。搭載されているアンプはTi製のTPA3130です。鳴らしてみました。サイズはFOSTEX 6301Bより一回り小さく、軽い。静かな個人の部屋で使う分には良い音量ですが、複数人がいるやや騒がしい場所で使うには絶対的な音量が足りません。なるほど、より安価なPC用の小型スピーカーとは別格な音ですね。レビューに書かれているように指向性が鋭い感じで、周囲の反射の影響が出やすいですが、耳に向けて設置できれば定位はしっかり見えます。小口径なので超低音は出ませんが、高音もいまいち伸びませんで金属系の倍音に伸びがありません。そのせいか中音域の解像度が高いように感じられます。これと鳴らし比べるとFOSTEX PM0.4のほうが肉厚でビビッドな音に感じます。Bluetoothよりアナログ入力のほうがスッキリと澄んでいて良い音ですが、BTがあるとスマホや他のPCから配線を切り替えずに音が飛ばせるので、普段使いにはとても便利です。ノートPCと共にアマゾンプライムのカメラ用リュックサックに入れて、こたつトップで使えるDAW編集セットとして学生向けの貸し出しに使います。(がんくま)

  • 19Mar
    • ショットガンマイクのスポンジ風防あれこれの画像

      ショットガンマイクのスポンジ風防あれこれ

      SANKEN(三研)社製のガンマイク2種を入手しました。ステレオ・モノラル兼用タイプのCSS-5は、かつて効果音の屋外音ロケでよく使ったマイクです。大きくて重いマイクという印象がありましたが、久々に手にしてみると記憶よりも軽い?しかしゼンハイザー社MKH-416Pが175gなのに対してこちらは250gなので、かご風防に入れて竿の先に吊るすと重く感じるはずです。もう一本はCS-30と型番が付いていますが、こちらは検索しても情報がありません。このマイクの謎については後述します。CSS-5もCS-30も、グリップホルダーに取り付ける部分の外径はMKH-416Pと同じ19mmなので、かご風防に装着して利用する分にはなんの不都合もありません。しかし、かご風防って見た目に圧迫感あるのですよね。風の影響が少ない屋内の狭い現場や、天井が低く突起物が多い場所ではかご風防の大きさが邪魔になる時もあります。取材対象の方やディレクターが大げさ過ぎると感じてしまうとよろしくない。そんな時はマイク本体を挿し込むスリップオン型のシンプルなスポンジ風防です。ガンマイクは他のマイクと違い、屋外で手持ちのブームの先に付けて振って使う事が多いので、最低限このスポンジ風防が無いとマイクを振った時の風切り音が大きくて実用に耐えませんし、地面に置いたり何かに当たったりした時のマイク本体の保護のためにもガンマイクを使う場合は必ず欲しいアイテムです。ところで、この風防のことを現場で「ソフタイ」と呼ぶ時があるのですが、これは多分Rycote社の製品名SOFTIE(ソフティー)から来ているのだと思います。ゼンハイザーとRycoteはソフティー表記、SANKENはソフタイ表記になっています。SOFTIEはスリップオン型でもウインドジャマーのような毛足の長めのもので、RODE社の同等製品だとDeadCat(酷い名前だなあ)のような中〜強風用風防です。毛のないスポンジ風防をソフタイと呼んでよいのかやや疑問。正式には、ウレタンウインドスクリーンという名称です。今回入手したガンマイク2種は、このスポンジ風防をどうするかで少々悩みました。ゼンハイザーの説明ページによると、ガンマイク用の風防は音響管のスリットを全部覆わなければなりません。CSS-5とCS-30のスリット部分の長さは先端から20cm程度で、風防としては21〜22cmの長さが必要です。外径はCSS-5の場合22.5mmでRODE NTG1とほぼ同じ。CS-30は28mmあり、ガンマイクとしては異例の太さです。汎用品であるウィンドテック社のBG-2またはSG-70を買って、どうにかして削って穴を広げるか、と考えましたが、これらは1個あたり6〜7千円以上と結構なお値段で、そのまま使えるならともかく加工に失敗すると出費ダメージがでかい。そこで、とりあえず安い汎用品のスポンジ風防を買ってみました。アマゾンで2個1,500円くらいで買えるFloratekブランドの製品です。全長21.5cmあり、安価な製品の中では長くて助かります。CS-30と並べてみた所。この穴には入らないように見えますが・・・ちぎれない程度に引っ張りながら無理やり突っ込んでみたらなんとか入りました。何度か付け外ししているうちに少し伸びてきてなんとか使えそうです。破れ対策に予備を持っておきたい気がしますけど。CSS-5のほうは、ホルダー取付部との間に渡っている柱の部分から後ろ側にはスポンジが挿せませんので、柱の部分に印をつけてハサミで切れ込みを入れます。切れ込み長は微調整し、スリットを覆う部分まで挿せるようにしました。後端が広がります。取付部との隙間にスポンジを押し込みましたが、ここから風が入ると吹かれますから、念をいれるなら何か薄い素材で縛ったほうが良いのか。スポンジ装着後に並べてみました。一番下の短いマイクは比較用のRODE NTG1です。NTG1に付属してくるRODE純正のスポンジ風防(WSVM)と、今回購入したFloratekの風防を差替えて比較してみましたが、音質も風切り音の減衰具合にも大きな違いは感じられませんでした。MKH-416P純正品のスポンジ風防とは比べていませんが、使用を悩むほど極端に劣るとは思いません。以下はこの3つのガンマイクの使い勝手についての簡単な感想です。RODE NTG1105g/21.9cmと軽くてコンパクト。まともなガンマイクとしては廉価な部類で筐体がプラスチック製ですが、10年以上使っても壊れず丈夫です。乾電池で駆動できるNTG2よりもサイズ・重量、使い勝手ともにNTG1のほうが良いので、ファンタム電源が必ず使えるならNTG1のほうがお薦めです。MKH-416Pと音質を比較すると、416より低音を拾ってふくよかな音がします。一般的な意味でのマイクとしての音質は416よりむしろこちらのほうが良いです。しかし416や他の2本と比べるとガンマイクの本質である指向性の鋭さに劣りサイドの切れが甘いです。416は「芯」から少し外れると高域が落ちるので、使い慣れた人なら音だけでマイクが正確に対象に向いているかがわかるのですがNTG1にはそれがありません。逆に言えば、多少芯が外れてもそれなりに音を拾うので、ガンマイク初心者でも失敗が少ないマイクです。指向性のゆるさと普通っぽい音質を活かし、オーディエンスやガヤ録りにも向いていると思います。SANKEN CSS-5最大の特徴は通常のモノラル収録に加えてX-Y方式によるノーマル/ワイドのステレオ収録に対応していることですが、そのため250g/30cmとやや大きくて重いマイク。モノラルの普通のガンマイクとしては高域寄りのクリアな音質に感じます。指向性はじゅうぶん鋭く、周囲の邪魔な音を切って放送で聞きやすい音質で声を録る、という目的においてNTG1とは別格の性能です。難点は、配線に5ピンケーブルが必要なので、グリップにコネクタを内蔵しているタイプのかご風防では別配線が必要なことと、モノラル/ステレオを切り替えたい時はかご風防を開けてマイク本体を触らないといけないことです。CSS-5と416を抱き合わせてかご風防に入れ、CSS-5をステレオ専用にしてミキサー側でモノラル、ステレオを切り替えて使うツワモノ音声さんもいるそうです。私にゃそんな体力ありません。SIGMA SS-332にはCSS-5の5pinXLRケーブルが直結できるステレオのマイク端子とフェーダーがあった。SANKEN CS-30長さはCSS-5よりわずかに短い約29cm。重量は推測で190g〜200g位か?MKH-416Pより一回り大きいマイクです。サイドは416と比較してもスパッと良く切れ指向性がかなり鋭いマイクです。音質はCSS-5と同じ傾向でNTG1よりブライトな印象ですが、CSS-5よりは若干角が丸くてナチュラルな気がします。416よりもレンジが広く、とてもクリアーな音質で出力レベルも少し大きい。難点はこれに合うソフタイが無いこと。かつてNHKとSANKENで開発した試作マイク(NHK技研:「後方の感度を抑圧した狭指向性マイクロホン」)の写真が、これととても良く似ていてサイズも一致するので、もしかするとこれかもしれません。分解してみると、カプセルは3つあって、長い音響管の後端に1個と、下の基板の前方に1個、後方に1個。リンク先の資料にある音響管と二次音圧傾度型の合成方式に見えます。内部の隙間が大きいので、他のガンマイクより水濡れや埃、振動・衝撃に弱そうに見えてしまいますが、どうなのかな。リンク先の資料で「汎用性に欠ける」と指摘されたaudio-technicaのスーパー狭指向性マイクAT895/RK(中央)。他の3本よりも更にでかくて重い。ちなみにAliExpressで検索すると長いスポンジ風防もたくさん出てきます。ちゃんと届くかどうかは注文してみないとわかりませんが、安いです。■2022.04.27追記AliExpressでスポンジ風防を買ってみました。送料が別途110円ほどかかりましたが、それでも2本で500円しない。到着まで一ヶ月ほどかかりました。写真上がFloratekのもので、下が今回輸入したものです。微妙にFloratekのもののほうが柔らかく色が薄いのですが、使っている間にそうなった可能性もあり、同じものと言ってしまっても実用上の問題は無いです。こちらも引っ張って装着することでSANKEN CS-30が入りました。Floratekの風防も、国内に在庫があって注文したらすぐ届く、という点で別に高いとは思いませんけどね。うちのガンマイクが特殊なので使えないのですが、Blue Mantisというブランドで展開されている風防がコスパ良いと聞いております。(がんくま)

  • 08Mar
    • M-AUDIO PULSER-II のマイクホルダーを交換するの画像

      M-AUDIO PULSER-II のマイクホルダーを交換する

      スモールダイアフラムの小型コンデンサーマイク(俗にペンシルマイクと呼ばれるもの)は各社から出ていて、楽器を録ったり2本揃えてステレオ録音をしたりと小回りがきいて便利に使えるので持っていると重宝します。定番はAKGのC451Bですが、もう少し安い部類だとRODE NT5とかFOSTEX MC10STあたりでしょうか。当方が持っているのはM-AUDIOのPULSER2という製品です。いきなり本題から逸れてぶっちゃけると、個人的にはいまいちこのマイクの音質にピンときてません。しかし、使えないというほどのこともなく普通に録れます。定番品じゃないマイクを集めるのが趣味なので、OKTAVAのMK-012とか安く買える機会があればふらふらと買い替えちゃうかも。NT5は使ったことがありませんが、MC10STも使ってみるとうーん?という感じでKM184やDPAは高価過ぎて買えないので、やっぱりC451Bが無難な選択になるのですね。とはいうものの実はPULSER2の利用頻度、けっこう高いのです。というのも、マッチドペアだったので写真のように値段不相応に立派な(?)木のケースが付いてきまして、この中にマイク2本とホルダー、ステレオアーム、風防がきれいに収納できるから。もしかしたら同録の現場で声だけでなく、ステレオの環境音やガヤや楽器演奏を録るかもしれないなー、と思ったら、この木箱を持って行けばなんとかなる。A-BでもX-Yでも録れるし、小型であることを活かしてリップノイズや吹かれの多い人をマイキングでかわすこともできる。ピアノの高音低音を分けて狙ってPANを振ることもできる。さて、そのように便利に使っているうちに付属品の樹脂製マイクホルダーが折れてしまいました。左右とも同じ時期に折れ、手で少し力をかけると折れるので、樹脂自体の劣化が原因です。木箱にコンパクトにまとまる事で重宝しているマイクなので、今までと同様に木箱の穴にそのまま入るホルダーが欲しい。通販だと微妙なサイズ感がわからないので、秋葉原のトモカプロショップさんに木箱を持って行って現物を見てみたところ、K&MのMH1が使えそうでしたので買ってきました。なお、PULSER2の外径はΦ22mmです。MH1に付属するプラスチック製の5/8と3/8インチの変換ネジ(付属のステレオアームを使う場合、この変換ネジは不要です)を外すとなんとか元の穴にハマります。試しに元の下半身とMH1の上半身でキメラにしてみましたが、ネジ径や樹脂の厚みが違う上にうまく木箱に入らないので、MH1はそのまま使うほうが良いです。サウンドハウスの通販サイトの写真を見る限りでは、CLASSIC PROのMH25のほうが元のホルダーの形に近いように思われます。型番からしてΦ25mm用だと思い込んでいましたが後で調べてみるとΦ22〜25mm対応のようです。しかし前述のように現物を見ないと本当に木箱に入るかどうかはわかりません。MH1は使えます。おそらく、この製品を現在もお使いの方は同じトラブルをかかえているはずですが、参考になれば幸いです。NEEWERから小型のウインドジャマーが格安で出ているのでこのマイク用に使っていますが装着感が緩めで、効果はあるものの期待したほどではなかったです。屋外では微〜弱風までですね。(がんくま)

  • 11Aug
    • DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(3)の画像

      DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(3)

      ■CP500のファン音対策前回まで書いてきたように頑張っていろいろと工作し、シネマプロセッサーをAVアンプの代わりに使える工夫をしたものの、どうにもならん所もあります。まずCP500自体がでかくて重く、六畳和室に19インチEIA規格の18Uラックはかなり場所を取り、設置場所の融通がききません。もっと広い部屋なら置き場所も工夫できそうですが、AVアンプと違ってリモコンが無いので手が届く範囲に置かねば、という弱みがあります。最大の問題は内蔵の冷却ファンの音です。一般家屋の和室なので屋外音の遮音はそもそも期待できませんが、ラックの設置位置がちょうど左耳の横になるので、よほど大音量のシーンでない限りCP500のファンの轟音が気になります。パッチ盤を入れて2ch再生時にCP500をスルーできるようにしたのはその対策でもあります(CP500には電源スイッチが無いが、フロントパネル内右隅のBYPASSボタンを押すと電源オフにできる)。しかしホームシアターとして根本的な解決にはなりません。轟音の原因であるフロントパネル裏側のファン2個を交換してみました。元々付いているファンはU.S.TOYO製のUSTF602024MW(DC24V 0.09A)で、これをジャンク屋で購入した山洋電気製 XF5459DF(DC24.5V 0.06A)に替えてみましたが、ほんの少し静かになっただけ。そもそもDC24Vの6cm角DCファンには静音型の選択肢が少なく、入手も難しいです。そこで、自作パソコン用の冷却ファンの中から6cm角ファンでは最も静音であろうOwltechのSF6-S1を2個購入し、再交換しました。ファンそのものは山洋電気の9S0612B4031(DC12V 0.03A)です。12Vファンなので、元ファンの電圧24VをMINMAXの超高効率DCDCコンバータM78AR12-0.5で12Vに下げて使います。7812やLM317Tを使うよりも発熱量が少ないはずです。PCファン用の3pinコネクタへの配線を途中で切ってM78AR12をはんだ付けし、2pinファンコネクタでフロントパネル内のファン電源に配線しました(回転数制御用の黄色線は使わないので絶縁処理)。ファンの厚みが元のファンから5mm増すので、取り付け用のM3ボルト8本を元の25mmから30mmへ変更。M78AR12はファンが取り付けてあるアルミカバーの内側に熱伝導両面テープで貼りました。改造前はファン速度が強弱2段階で変化した気がするのですが、M78AR12を入れたことで速度固定になったものと思います。この再交換により劇的に静かになりました。交換後はリア用のデジタルパワーアンプのファン音や、エアコンの動作音のほうが逆に大きく感じます。仕様上は元のファンの騒音が26dBであるのに対し、再交換後は5dBです。しかし回転数と送風能力も3600rpm/CFM14.8から1200rpm/CFM6へと減じていますので機器内冷却には問題が出る可能性があります。フロントパネル下部の吸気スリットにはスポンジを貼りました。エアフロー上は無いほうが良いのですが、生活部屋なのでホコリ対策でさほど目が細かくないもの(HIKARI FT5-30)を使用。液晶には不慮の打撃による破損防止のため保護用のプラ板も取り付けました。液晶裏のICは無風状態で指で触っても熱いと感じるものは無く、送風量の減少がさほど問題になるとは思えません。この液晶は当時良く見かけたEPSON白液晶で、設定からLCDコントラストを下げて暗くしていますが、バックライトが暗くなるわけではないので熱対策としては気休めかもしれません。ファン交換後はドルビーデジタル関連基板のあたり(写真の黄色部分)に熱がたまって内部温度が上昇します。冷房で室内温度を25~26度に保っていれば危機感を覚える温度にはならないが、気温が30度以上だと基板上のICチップ表面を触って熱いと感じるので、冷房無しで使うなら追加対策が必要と思います。天吊りプロジェクター保護の観点からも映画上映時は冷房利用必須としました。■HDMIスプリッターによるサラウンド再生CP500やDMA8plusはドルビー社の製品です。当たり前ですが一般的なAVアンプのようにはDTSやDTS-HDのデコードに対応しません。同社最新の民生用規格DOLBY True-HDのデコードもできません。そこで、BD-S6200のHDMI出力から音声信号を分離し、DTSやDOLBY True-HD等のサラウンド信号をデコードして、アナログRCA端子に出力するHDMIスプリッターの導入を検討しています。というか5月に中国の業者に発注したのだけれど、いまだに届かない。Portの綴りを間違ってるあたり元々あやしくはあるのだが・・・。DMA8plusの背面にはAnalog IN端子があり、RCAピンプラグからD-Sub25コネクタへの8ch変換ケーブルを作ってこのスプリッターを繋げば、filmボタンを押してCP500の6CH INPUTへ送られるはずです。ただし、おそらく出力電圧が民生レベルなので、DMA8plus自体でAC3デコードした時と音量差が気になる場合は8chプリアンプの追加が必要になるかもしれません(ちなみにDMA8plus自体は300mVリファレンス)。というか、前々回の記事に書いたCAT. NO. 685 BoardとこのスプリッターがあればDMA8plus要らないじゃないか、と言われれば実際その通りです。個人的にかつて幾多の感動を経験した映画館と、良くも悪くも限りなく同じ音ってのにロマンを感じているわけですが、これだけ面倒な手間をかけてわざわざシネマプロセッサーをホームシアターに使う人が世の中にそうそう居るとも思えません。CP500は時々ネットオークションでも見かけますが、DMA8plusやCAT.685基板は滅多に見ません。もし私と同じようにCP500を家庭で使いたい方がいたら、CAT.685基板の有無に注意してください。■念願のホームシアタープロジェクター用のペーパースクリーンは反射も強くて、EH-TW5200をシネマモードで使った場合でもなかなかに明るいですが、反射のための模様で画面中央が微妙にギラギラします。紙なので水平方向に若干波打っていて、左右にパンする映像ではヨレが目立ちます。しかし家庭内の壁面に固定設置して使う分には他に欠点が無く、軽くて設置も簡単です。購入した当時は現在よりもっと安くて、コストパフォーマンスはとても高いものでした。私のようなホームシアター初心者にはお奨めです。そもそも寝室兼用の六畳間に設置するには馬鹿げた規模のスピーカーやスクリーンです。人間は機材に圧迫されていわゆる「おきはんねいち(起きて半畳寝て一畳)」に近い状態。しかし、座椅子をフラットにして、寝ながら映画館並みの音響で映画が見れるのはとても良い。LDを自宅でプロジェクターに投影して見るのが昭和の頃の夢だったので、いつまでLDプレーヤーが動くか不明ですが、30年以上続いた平成を飛び越え、令和2年にしてようやく実現できました。今回、室内に放置されたまま有効活用できていない機材を活用しようと、いろいろと力技で突破しましたが、やっぱり普通に中古のAVアンプでも買ったほうがずっと楽でしたねえ・・・。コロナウイルス禍による仕事減が無ければ、ここまで時間と手間を費やしてやれなかったなあ。【参考資料】DOLBY Model CP500 User's Manual(PDF)DOLBY Model CP500 Installation and Alignment Manual(PDF)DOLBY DMA8plus Installation and User's Manual(PDF)(がんくま)DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(1)DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(2)

  • 08Aug
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      DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(2)

      専用ケーブル製作祭りになった前回に引き続き、デジタル入出力の整備と再生音の調整を行います。■その他の音声ソースへの対応DMA8plusのデジタル入力は、入力1がシネマサーバー専用の8chデジタル入力で、入力2と3はBNCによるAES/EBU同軸入力、入力4がTOSLINKです。入力1も使いたいので、D-Sub25ピンからXLRキャノン4系統(AES/EBU8ch)への変換ケーブルを作り、カナレの110Ω-75Ωデジタル変換トランスBCJ-XP-TRCを使って同軸デジタルで入力できるように変更し、同軸出力付きのPCM2704 USB AUDIO I/Fを繋いであります。USBケーブルを挿しかえるとドライバ無しでLinux/Mac/Windowsパソコンからの音が再生できます。【DMA8plus 4xAES In Connector Pin Assign】DB-25 Pin Number, Default Signal Name01 AES Common02 CH1/2 Neg03 CH3/4 Pos04 AES Common05 CH5/6 Neg06 CH7/8 Pos07 AES Common08 N.C.09 AES Common10 N.C.11 N.C.12 AES Common13 N.C.14 CH1/2 Pos15 AES Common16 CH3/4 Neg17 CH5/6 Pos18 AES Common19 CH7/8 Neg20 AES Common21 N.C.22 N.C.23 AES Common24 N.C.25 N.C.※Common → XLR Pin1, Pos → XLR Pin2, Neg → XLR Pin3この結線は音楽録音や放送業界で使われるTASCAM/Digidesign/YAMAHAなどの他のAES8chデジタルスネークケーブルとはまったく違います。サンプル周波数とワードクロックは入力信号のCH1/2に追従します。このためCH1/2を使わずにCH3~8に信号を接続しても再生されません。入力2と3にはBDプレーヤーとLDプレーヤーの同軸デジタル出力が繋がっています。入力4には光ケーブルでBluetoothオーディオ受信機を繋ぎ、スマホやパソコン音声のワイヤレス再生に対応しました。LDプレーヤーのアナログ信号はパッチ盤経由でCP500のNONSYNC2に繋いであります。初期のLD盤にはデジタル音声トラックが無く、アナログトラックしかありませんが、このアナログ音声がドルビーサラウンド音声であればCP500内部のアナログデコーダーでちゃんとサラウンド再生されます。これに気付いたのは1983年発売の「スター・ウォーズ」国内初盤LDを再生した時で、同メディアにはドルビーサラウンドの表記がありませんが、サラウンド再生されました。調べてみるとドルビーサラウンド自体が1977年公開のこの映画を家庭用にリリースする際に開発されたらしい(ドルビーサラウンド表記が無いのはそのため?)。私はてっきりNONSYNC1/2は劇場内のBGM再生用だと思い込んでいました。■CP500による再生環境調整MENUボタンを押し、アライメント設定から再生環境に合わせて各出力chの音量やEQの設定をします。CP500の液晶画面は歴代のシネマプロセッサーの中でも格段に大きく、本体だけで設定を行うなら最も操作性が良いのではないかと思われます。アライメント設定画面に入るには数字4桁のパスワードが必要です。工場出荷時の初期設定は0000ですが、画面操作では本体を完全に初期化する方法が無いので、このパスワードが分からないと設定が変更できません。幸い、この個体は映画技術者の間で良く使われている番号で通りました。本体内にリセットボタンがありますが、これを押すことでパスワードも初期化されるのかどうかは未検証です。設定の手順は、本体に音響測定用のマイクを接続して校正し、以後は内蔵の基準信号と校正されたマイクでリスニングポジションから各スピーカーの再生音を調整します。背面のマイクコネクターはD-Sub9ピンで、これはドルビー純正の調整用マイク、特にサラウンド測定用に複数マイクを束ねるCAT.580マルチプレクサーを接続するための端子です。しかし1本のマイクを測定方向を変えながら使っても調整は可能です。この場合はマイクからの配線を本体内のCAT.681基板上のミニプラグジャックに挿すことになっていますが、背面のマイクコネクターにもこのミニプラグジャックとパラでシングルマイク用の配線が来ているので、これとパッチ盤をバランスで接続するケーブルを作成しました。【CP500 Mic In Pin Assign】Mic1はバランス仕様Mic2はアンバランス仕様MultiplexerはCAT.580接続用1 Mic1+ → tip2 Mic1- → ring3 Mic2 Signal4 Mic2 Ground5 N.C.6 Mic1 Ground → Sleeve7 Multiplexer V+8 Multiplexer gnd9 Multiplexer data調整時にはパッチ盤からTRS-XLRキャノン変換ケーブルを使ってRTA用マイクBEHRINGER ECM8000を延ばします。この測定用マイクのファンタム電源のON/OFFジャンパはCAT.681基板上にあります。ファンタム電圧は+15Vと低めですが、ECM8000は使えました。マイクの校正は、MENU→Alignment→Output Adjust→Calibrate SPLへ進み、まずリファレンス音圧(ロータリーフェーダーを7.0とした場合の音量)を設定します。画面中央に表示される音圧(SPL)のメニューから設定する音圧(通常、映画館では85dB SPLであるが、家庭用では70dBでも良いかもしれない)を選ぶとセンターチャンネルからピンクノイズが出ます。これを他の音圧計で測定し(時定数slow/特性フィルタC/音圧計のマイクはセンター方向の斜め上45度へ向ける)、スピーカーからの出力音圧が85dBになるようにアンプの再生音量を調整します。次に、CP500に繋いだマイクを同じ位置の同じ向きに設置し、画面中央上部の"Level:"に表示されるCP500での測定値が設定したのと同じ85dB SPLになるようにロータリーフェーダーで調整して、校正結果を記憶させます(接続したマイクの感度が極端に低すぎたり高すぎたりする場合はCAT.681基板上のボリュームRV1100で調整できる)。以後の調整はこのマイクを使って行います。Output Adjustではロータリーフェーダーを回してL/C/R/Ls/Rs/Msの各chからピンクノイズが出せるので、測定値が揃うように左下の上下矢印ボタンを押しながらフェーダーを回し、サブウーハー以外の出力音圧を調整します。この後に出力EQ設定を行うと測定値が変化するので、この時点ではおおよそで揃えておけば良く、EQ設定後に正確に調整します。EXITを押して結果を記憶させます。続いて各スピーカー別に出力EQを調整します。B-Chain Alignment→B-Chain Equalizationの順に進むと各ch別の27バンド(リアchは9バンド)EQ画面が出ます(AllbandとTreb/Bassを切り替えて簡易調整にもできます)。CP500に接続したRTA用マイクの測定結果が、画面に表示されているリファレンスカーブに近づくように各バンドの出力レベルを調整します(当家ではGEQをチャンデバ側で設定したので現状ではフラットにしています)。fullでRTA測定画面を拡大したりBYで調整結果を一時的にBYPASSしたりできる。設定が終わったらEXITを押して設定値を記録し、再びB-Chain Equalizationから次のchを選んで調整を繰り返します。サブウーハーchのEQ画面は他とは違い、フィルター周波数、Q、カット量の3つのパラメータを調整できるので、RTAの測定値を見ながら部屋の低周波共振ピークを探し、Freq、Q、Cutを調整してこの共振をカットします。全chのEQ設定が終わったら、再びOutput Adjustから正確な音圧調整を行います。フロント側を85dB SPLに、リア側を82dB SPLに設定します。続いてSubwoofer Levelボタンを押します。するとセンターチャンネルから再生されるピンクノイズを使ってRTA画面の0基準レベルがキャリブレーションされ、Digital Subwoofer Level調整へ移行しますので、サブウーハーから180Hz以下の帯域で再生されるノイズの平均値をRTA画面で+10dBに設定します。続いてOpt. Sw Levelを押し、同様に50Hz以下の帯域の平均値を0dBに設定します。最後にOpt. Sw Polarityを押し、サブウーハーの極性(位相)をチェックします。PolarityをINV(逆相)にした時に、RTA画面の低音帯域(20Hzから100Hz)の平均値が減少すればサブウーハーの位相がメインスピーカーと合っています。減少しない場合はサブウーハーの位相を逆にします。EXITを押して設定結果を記録します。アライメント調整にはここまで設定したBチェーンアライメント調整の他にAチェーンアライメント調整がありますが、Aチェーンアライメントはフィルム映写機と接続した場合の設定項目なので、映写機を使わないホームシアター用途では調整不要でした。この他、室内環境や再生機器に沿ってディレイを設定する機能もあります。背面RCAジャックから入力されるNONSYNC1/2chのデフォルト音量はCAT.681基板上にあるボリュームで調整できます。運用中の通常画面(FORMAT選択画面)に割り付ける項目のうち、Format60がNONSYNC1、Format61がNONSYNC2用の項目で、左右の信号はそのまま左右のフロントスピーカーに送られ、センターはミュートされ、左右の入力の差がリアのサラウンドchに送られます。初期のシンプルなアナログ式のドルビーサラウンドで、前述のスターウォーズのLDはこれで再生されました。Build Custom Format機能を使って、Format60/61のコピーからNONSYNC1/2からのドルビーサラウンドPro Logic再生用の項目を追加することもできます。ただし、Pro Logic用の設定で通常のステレオ音源を再生するとモノラルに聞こえるので、Pro Logic以外の音源を再生する用途には向きません。このカスタムフォーマット作成画面のメニューからは、入力信号のルーティングやデコーダーの選択、NRやビット変換の指定など、多くの細かい設定ができることがわかりますが、メインで使う入力が6CH INPUT(Format11)だと、ほぼいじる機会無し?つづくDOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(1)DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(3)

  • 07Aug
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      DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(1)

      新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が出て自宅でゴロゴロしていた2020年の4~6月にかけて、ホームシアターを作っていました。普通ならAVアンプを投入する所ですが、代わりに業務用のシネマサウンドプロセッサーを使うことで機材は全て自宅にあったものを流用できたため、新規でかかった実費は基本的にケーブル製作費とプロジェクター固定用の木材費だけ。しかし結構苦労しました。■システム構成プロジェクター: EPSON EH-TW5200スクリーン: ペーパースクリーン4:3 100インチフロントスピーカー: Professional Audio System(PAS) TOC STUDIO MONITOR-1リアスピーカー: Electro Voice S-80サブウーハー: YAMAHA YST-SW80(2台)フロント用アンプ: YAMAHA P2100(2台)リア用アンプ: ClassicPro DCP400シネマサウンドプロセッサー: DOLBY Laboratories CP500デジタルメディアアダプター: DOLBY Laboratories DMA8plusマトリクスアンプ: Audio-Technica AT-MX44パッチ盤: BEHRINGER PX-3000チャンネルディバイダー: BEHRINGER DCX24966ch電子ボリューム: 自作品ヘッドホンアンプ: 自作品BD/CDプレーヤー: SONY BD-S62003.5形HDMI液晶ディスプレイ: 自作品LDプレーヤー: PIONEER CLD-770レコードプレーヤー: SONY PS-150Bluetoothレシーバー: ELECOM LBT-AVWAR700USBデジタル同軸変換: MUSE PCM2704 DecorderHDMI分配器: KanaaN 1x2 HDMI splitter電源コントローラー: Panasonic SH-UD201ZEIAラック: SONY MU-R18B録画サーバー: Athlon5350+PT3+Linux Mint+Chinachuペーパースクリーンは7~8年前から部屋に吊ってありましたがプロジェクターが固定されていなかったので稼働回数は100回に満たず。プロジェクターも年に100時間未満しか使っていません。4:3用のスクリーンで下部の左右がフロントスピーカーに隠れますが、上部のみを16:9投影で使います。和室なので天井が弱く、重量分散のため木工でプロジェクターの天吊り枠から作ります。吊り金具もスクリーンと同じ時に買っていたものをようやく使用。設置場所が寝室を兼ね、寝ている間も頭上にプロジェクターがぶら下がっているので落下防止ワイヤーを張りました。プロジェクターにはHDMIが2本引いてあり、入力を切り替えてBDプレーヤーと録画サーバーの映像が出ます。BD-S6200は本体前面表示が低機能(CD再生中のトラックナンバーすら分からない)なので、HDMIを分配し、Raspberry Pi用の3.5型液晶とスマホ用の自在アームを使って機材ラック側に手元操作用の表示部を増設。プロジェクターにはアナログビデオ(NTSC)も配線しLDプレーヤーを映写できます。スピーカーは極端なフロント偏重です。これは映画より音楽再生やオーディオドラマ編集の利用頻度のほうが高いためです。PASのスピーカーは46cmウーハーとTADのベリリウムツイーターによるバイアンプ駆動の同軸2WAYで、もとはMA用のラージスピーカーですが、古くなってウーハーのエッジが固くなっているためか高音に比べて低音の再生がイマイチです。座椅子に座ると耳の高さになるように特注で作ってもらったスタンドに載せてあります。別の18インチサブローに載せる運用も考えましたが、スクリーンが見えなくなるので、代わりにヤマハのアクティブサブウーハーを左右に設置しました。一般論として低音は方向感が薄くなりますが、ステレオで音楽再生時、45Hzあたりから上だと気になります。よってフロントは High-L/R, Mid-L/R, Low(SW)-L/R の6chマルチアンプ駆動です。部屋が狭いので、リアスピーカーはサラウンド再生時のみの仮設とします。残念ながら各スピーカーが部屋に対して大きすぎ、ITU-RやJ-HDTVの規格に準拠した角度での設置はできません。■シネマサウンドプロセッサーCP500についてDOLBY CP500は1993年に発売されたシネマサウンドプロセッサー(以下シネマプロセッサー)です。本来は映画館に設置されている業務機で家庭用ではありません。従来のアナログ式ドルビーサラウンド(ドルビーSR)に加え、ドルビーデジタル(AC-3)に単体で対応できるフルデジタルシネマプロセッサーとして、後継機のCP650と共にフィルム映写からデジタルシネマへの過渡期に世界中のあちこちの映画館で使われていたもので、姿は見ずともこれの音を聞いていた人は多いはず。現在はデジタルシネマサーバーやDOLBY ATMOSの導入に伴いほぼ引退しており、うちの個体も映画館からの撤去品です。映画館で上映されるフィルム映画の音はフィルムの端にある"サウンドトラック"に光学的に焼き付けられていて、これを映写機(シネマプロジェクター)が読み取り、シネマプロセッサーがサラウンドの電気的な音声信号に復調し、パワーアンプ、スピーカーへと送られて音が出ます。しかし当家のような一般家庭に映写機やフィルムなどがあるはずもなく、どうにかして家庭用のBDプレーヤーやパソコンに繋がないと実用になりません。これを使えるようにするのが今回の話の主な内容です。なお、CP750やCP850といった新しいシネマプロセッサーは古いフィルム映写機に対応できませんので、フィルム上映を継続している映画館には今でもこの古いシネマプロセッサーが残っているものと思います。■DMA8plusとCP500の接続CP500の背面にはステレオRCA端子こそあるものの、AVアンプのようなサラウンド入力用のデジタル端子や多チャンネルRCA端子がありません。単体でドルビーデジタルに対応と言ってもそれはシネマプロジェクターと専用端子で繋いだ時の話で、民生用のマルチチャンネルサラウンドやデジタル音声信号は直接入力できません。以前から単体で使っていたデジタルメディアアダプターDOLBY DMA8plusは、CP500の入力機能を拡張し、デジタル(AES/EBU,TOSLINK)入力4系統とサラウンド信号のデコード機能、及びアナログ8ch入力とのセレクト機能を持ちます。これを使うことでCP500をAVアンプとして使えるようになります。写真引用元:https://www.worthpoint.com/worthopedia/dolby-digital-media-adapter-dma-plus-1823288228BD-S6200にはアナログ音声出力がありませんが、同軸デジタル音声出力をRCA-BNC変換ケーブルを使ってDMA8plusのAES/EBU入力に繋ぐとドルビーデジタルAC-3信号がDMA8plus内でデコードされ、L/R/C/S/Ls/Rsの6chサラウンド信号になります。これをAudioOut to CP端子からCP500の6CH INPUT端子に送ります。配線はD-Sub25ピン、メス/オスの専用ケーブルで、同じD-Sub25ピンを使うTASCAM等のアナログマルチケーブルとは配線の互換性がありません。しかしRS232C用のストレート・フル結線の延長ケーブルがそのまま流用できます。今回は秋葉原のCompuAceや千石電商で500円以下で入手できる"カモン 232MF-15"ケーブルを利用します。【DMA8plus - CP500 接続ケーブル結線表】DMA8plus AudioOut to CP / CP500 6CH INPUT / 232MF-15内部配線色01 L- / GND / 黒02 Rs+ / EXT3(Right Surround Channel External Input) / 茶03 Rs- / 赤04 Ls- / GND / 橙05 Re- / GND / 黄06 R- / GND / 緑07 Le- / GND / 青08 C- / GND / 紫09 GND / GND / 灰10 GND / GND / 白11 GND / GND / ピンク12 SW- / GND / ピンク黒13 GND / GND / ライトグリーン14 L+ / EXT0(Left Channel External Input) / 紫白15 Ls+ / EXT2(Left Surround Channel External Input) / オレンジ白16 Re+ / GND / 黒白17 R+ / EXT1(Right Channel External Input) / 茶白18 Le+ / GND / 赤黒19 GND / GND / 赤白20 C+ / EXT4(Center Channel External Input) / 橙黒21 Tied Input / GND / 黄黒(N.C.)22 N.C. / GND / 緑黒(N.C.)23 N.C. / GND / 緑白(N.C.)24 Subwoofer Pos output band‐limited to 300 Hz in Digital Media mode / EXT5(Sub Woofer Channel External Input) / 青白25 Tied Input / GND / 灰黒(N.C.)※N.C.=無接続。CP500側で配線できない信号。上記の結線表を見ると、DMA8plusからはバランス出力されますが、CP500の入力端子でコールド側がGNDに落ちアンバランス入力になることがわかります。DMA8plusとCP500の間にはオーディオ線の他にコントロール線が必要、とマニュアルに指示があり、1対1で接続するのであれば、こちらも同じ"カモン 232MF-15"が流用できます。これはCP500側の操作に沿ってDMA8plusの入力を自動的に切り替える為の配線ですが、DMA8plusをセレクターとして使っていると逆に使い勝手が悪くなるので結局外してしまいました。■DOLBY CAT.685 BoardさてこのCP500の6CH INPUT、実はノーマルのままでは使えませんで、本体内にオプションの拡張基板CAT. NO. 685 Boardが増設されている必要があります(CAT. NO. はカタログナンバーの略)。増設されていれば写真の赤枠の位置に装着されています。ここが空の場合は6ch外部入力が使えません。増設されている場合は電源投入直後に画面に表示されます。これは⊿シグマ変調のビンテージA/Dチップ(AD1879JD)が6ch分搭載されている基板です。DTSやSDDSといったドルビー以外のサラウンドを再生できた映画館のCP500には搭載されていたはずです。タンタルコンデンサが多用されているのが経年を考えると若干気になるところ。BD-S6200のデジタル信号はDMA8plusでD/Aされ一度アナログ信号になった後、CAT.685基板で再びA/DされてCP500内のDSPでサラウンド処理されます。つまり、CAT.685基板さえあれば、DMA8plusという専用ハードがなくてもCP500でサラウンド再生ができる、ということです。これについては後述します。■CP500の出力ケーブルとパッチ盤CP500からパワーアンプへの6ch出力端子はユーロブロックによるバランス出力で、これも専用ケーブルを作ります(オプションのCAT. NO. 683 Boardが入っている場合はクロスオーバー出力もできます)。考えた末に、CP500とAT-MX44の入力と出力はパッチ盤を通すことにしました。このため各ケーブルの片端はTRSまたはTSフォンコネクタとなります。無加工で使えるはずだった入力側のRS232Cケーブルも、途中で切断して合計12個のTRSコネクタを取り付けました。かなり面倒くさい作業でしたが、これでDMA8plusの出力をバランスのまま取り出せます。CP500の出力はパッチ盤を経由してリアスピーカー用のアンプとフロント側のマトリクスミキサーAT-MX44に入り、マルチアンプ駆動用の6chチャンネルディバイダーDCX2496とヘッドホン用のアンプに出力します。パッチ盤を間に入れることで、映画以外のステレオ音声を再生する時はCP500をスルーしてバランス接続できます。また、CP500の入力にDMA8plusではなくオーディオインターフェースのサラウンド出力を繋ぐこともできます。LDプレーヤーCLD-770とフォノイコライザー内蔵のレコードプレーヤーPS150の出力が出してあり、必要に応じてマトリクスアンプにパッチして各スピーカーやヘッドホンアンプに音を送ります。これらの音をオーディオインターフェースやレコーダーを接続して任意のレベルで録音したり、コンプやリバーブなどのアウトボードをインサートして通すこともできます。【PX-3000 24chパッチ盤 配線表】上段Out/下段In/接続モード01 DMA8plus out L/CP500 in L/NORMAL02 DMA8plus out R/CP500 in R/NORMAL03 DMA8plus out C/CP500 in C/NORMAL04 DMA8plus out S/CP500 in S/NORMAL05 DMA8plus out Ls/CP500 in Ls/NORMAL06 DMA8plus out Rs/CP500 in Rs/NORMAL07 DMA8plus out Le/CP500 in NONSYNC1L/NORMAL08 DMA8plus out Re/CP500 in NONSYNC1R/NORMAL09 CLD770 out L/CP500 in NONSYNC2L/NORMAL10 CLD770 out R/CP500 in NONSYNC2R/NORMAL 11 CP500 out L/MX44 IN1/NORMAL12 CP500 out R/MX44 IN2/NORMAL13 CP500 out C/MX44 IN3/NORMAL14 CP500 out S/MX44 IN4/NORMAL15 CP500 out Ls/DCP400 IN1/NORMAL16 CP500 out Rs/DCP400 IN2/NORMAL17 PS150 out L/N.C./THRU18 PS150 out R/N.C./THRU19 MX44 OUT1/DCX2496 IN1/NORMAL20 MX44 OUT2/DCX2496 IN2/NORMAL21 MX44 OUT3/HPA IN1/NORMAL22 MX44 OUT4/HPA IN2/NORMAL23 N.C./DCX2496 IN3/THRU24 N.C./CP500 MIC IN/THRUこの部屋にはセンタースピーカーが無いので、サラウンド映画再生時はセンタースピーカーの音をAT-MX44を使って左右chに振り分けます。サブウーハー用の音もAT-MX44で同様に左右に振り分けて一旦再ミックスし、DCX2496で分離され左右個別のサブウーハーへ送られます。2chステレオ再生時はAT-MX44の1/2chをパラで3/4chにもアサインし、ヘッドホンアンプに送られます。【AT-MX44マトリクスミキサーの働き】◆2chソース再生時1ch inを1&3ch outに送る(L)2ch inを2&4ch outに送る(R)1/2ch inをレベル調整に使用1/2ch outをDCX2496へ送る3/4ch outをヘッドホンアンプへ送る◆サラウンド映画再生時1&4ch inを1ch outに送る(L/SW)2&4ch inを2ch outに送る(R/SW)3ch inを1/2ch outに送る(C)1/2ch outをDCX2496へ送る3ch inをセンター音量の調整に使用DCX2496の先はPGA2311を使って自作したバランス入力仕様の6ch連動電子ボリュームで最終的な音量を落とし込みます。この電子ボリュームにより、システム全体を業務用のラインレベルでバランス伝送できるので、チャンネルディバイダーのS/Nを確保でき、また、電子ボリューム側で音量のリモコン操作を可能にしています。しかしリアスピーカーの音(Ls/Rs)はこの6chボリュームを通りませんから、サラウンド再生時はCP500のロータリーフェーダーだけが全体のバランスを保った音量調整になります。つづくDOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(2)DOLBY CP500を使ってホームシアターを作る(3)

  • 30Jun
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      HP XW4600でMac OS X 10.9.5を動かす夢を見た話

      2020年6月、世の中がIntel MacからApple Silicon(Arm)へ移行の話題で沸き立っている中、Core2DuoでMavericksを動かす話。なんでわざわざMavericksなのかと言えば使いたいハードとアプリが最も安定して動くからで、ニッチな需要に拠る夢である。2013〜2014年レベルの話で新しい情報は一切無い。現在はUEFI対応マザーボードでCloverEFIを使ってMojaveやCatalinaをよりバニラに動かすのが主流なので、Windowsで使わなくなった古いレガシーBIOSのハードで、現行のMacProが対応しない古い拡張カードを使うために仕方なく夢を見る、という自分の目的に沿う古い情報が探しにくくなっていた。今回書くChameleonではなく、Clover EFIをLegacy Bootモードでインストールの話は機会があればまたいずれ。■インストール対象機Hewlett-Packard(HP) XW4600 Workstationハードウェア情報・BIOS ver.1.34 Rev.A・Intel X38 Exprsss チップセット・CPU Intel Core2Duo E8500@3.16GHz・DDR2 SDRAM PC2-6400E 8GB・HDD HGST HUA722010CLA330 1TB SATA 3.0Gb/s・PCI Express 4スロット・PCI 3スロット・USB2.0・Realtek HDaudio(ALC262)・NIC Broadcom 5755・FireWire(PCI拡張カード)Windows Vista世代のタワー型デスクトップ機でグラフィックボードは元々付いていたnVIDIA Quadro NVS 290をAMD Radeon HD7750 1GBに挿し換えてある。以下「本機」と記述。■XW4600のDSDTを取得するOSX86 Hackintoshで良く出てくる DSDTや SSDTって何?(FREE WINGの Androidと Windows、中国語の便利ソフト)http://www.neko.ne.jp/~freewing/software/osx86_hackintosh_whats_dsdt_ssdt/上記のページ記載の情報に従い、Read Write Everything(RWEverything)を使ってWindows7上で実機からDSDT.amlを取得した。DSDTを編集する(Boot macOS)https://bootmacos.com/archives/109/実機から取得したDSDTは、そのままではUSBの挙動などに不都合が出るので編集を行う。Chameleon時代の情報ではあるが、XW4600の機種固有の話やパッチの内容についてはこちらの記事が詳しい。olitudo.net/blah/posts/HP xw4600 Workstation as a Hackintoshhttp://solitudo.net/blah/posts/HP_xw4600_Workstation_as_a_Hackintosh/TonyMacの該当機種スレッド。上のページよりやや情報が古い。Guide 90.5% Success - HP XW4600 Mountain Lion 10.8x - NEED YOUR HELP FOLKS!https://www.tonymacx86.com/threads/guide-90-5-success-hp-xw4600-mountain-lion-10-8x-need-your-help-folks.92353/同じくTonyMacから。このリンク先には2011年時点の編集済DSDT.amlがあるが、これはそのままで問題なく動いた。Patched DSDT for HP xw4600https://www.tonymacx86.com/threads/patched-dsdt-for-hp-xw4600.19551/ドイツ語の関連情報。更新日時は新しいが、ここに掲載のDSDT.amlはUSBがハングアップする。HP XW4600 WORKSTATION – WAS IST DAMIT NOCH MÖGLICH?https://www.hackintosh-forum.de/forum/thread/35567-hp-xw4600-workstation-was-ist-damit-noch-m%C3%B6glich/?pageNo=2■BIOSを設定する本機のBIOS設定は自作機用マザーボードと比べるといじれる箇所が極端に少ない。・HDDはAHCIにする。・VTdを有効にする。・パラレルポート(LPT)は無効に。・シリアルポート(COM)も無効に。・オンボードNIC(Broadcom 5755)も無効にして、代わりにTP-LINK TG-3468(RTL8168B) PCI-Express x1 NICを挿した。■UniBeast/MuitiBeastによる初回インストールMavericksのインストーラーはPCI-Expressな別のMacProで以前から使っているものを使用。UniBeastはMavericks用のものを使い、1パーテーション、MBRオプション、HFS拡張でフォーマットした16GBのUSBメモリーで作成。ブートローダー指定はキメラしか選択できなかった。ついでにMultiBeastや必要なツール類も入れてXW4600で起動。あっさりMavericksのインストールまで進む。OSのインストール中はPS/2キーボード、マウスを認識しないのでUSBキーボード、マウスを使うと良い。インストール後のMultiBeastでは、本機用にパッチを当てたDSDT.amlを指定し、Thard Party SATAを外し、PS2KEYとVoodooHDA2.7.2、RTL8111Cを加えた。これもあっさり完了できてなんだ簡単じゃん、と思ったのだが・・・。■USBメモリーからしか起動できないUSBを抜いてHDDから起動しようとすると、boot0:GPTboot0:testboot0:testboot0:done以下怒涛の文字化け画面になってしまい起動できない。「4kセクター問題」というやつか?と思いif=booth1をやってみたが変わらず。ディスク修復をやっても変わらず。パーテーションを切り直しても変わらず。GPTが問題か。XW4600は時期的にUEFIブートに非対応で、レガシーBIOS(MBR)ブートしないといけないようだ。実際にネット上にあるXW4600で夢を見る話は大抵古いChameleonブートローダー前提の話ばかりなので、UnlBeast+Chimeraではなく今となっては古い手法であるChameleonを試してみることにした。UniBeastにより、この時点でUSBメモリーからなら起動できるMacOS環境を実現しており、以降のカメレオン版USBインストーラーの作成はこの環境下で行った。■Chameleon版のブートUSBメモリーを作るUniBeast用とは別のUSBメモリー(USB2.0/8GB)をディスクユーティリティでフォーマット。オプションはUniBeastの時と同じ。このメモリーは何らかの理由でHDDから起動できなくなった場合の復旧用にも使うので専用のものを。Mavericksのインストーラーをアプリケーションフォルダに入れ、ターミナルから下記コマンドを実行してMavericksインストーラーをUSBメモリーに入れる。ここまでは通常のMacと同じ作業。$sudo /Applications/Install\ OS\ X\ Mavericks.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/MAV --applicationpath /Applications/Install\ OS\ X\ Mavericks.app --nointeraction※MAVはフォーマット時に付けたUSBメモリーの名前。名称未設定は打ち込みにくいので何か付けたほうが良い。OS X MavericksのブータブルUSBドライブを作り、クリーンインストールをする方法(オーケーマック)http://okaymac.com/2014/01/09/how-to-create-os-x-mavericks-bootable-usb/以降、上記で作ったインストール用のUSBメモリーを、Chameleonを使ってレガシーBIOSブートに対応するインストーラーになるように改変する。全体の流れは下記のサイトを参考にした。英文だが画面写真が豊富なので必見。[Guide] AIO Guides For Hackintoshhttps://www.insanelymac.com/forum/topic/298027-guide-aio-guides-for-hackintosh/【用意したもの】・Chameleon v2.2か2.3のバイナリー(v2.3svn r2838を使用)・Chameleon Wizard 4.4・Hacintosh Vietnum Tool(必須ではない。後述。)・Extra.zip※これら必要な各ファイルの入手先は元記事からリンクされているが、Chameleonそのものはリンク切れなので単品で検索し、最新版(といっても2013年頃だが)をダウンロードしておく。こことか、こことか。・Pacifist 3.6.2ダウンロード後インストールしておく。・MBRブートのHDDから起動するためのインストーラー用パッチOSInstall(MBR)+ OSInstall.mpkg 10.9.xhttps://www.osx86.net/files/file/3724-osinstallmbrosinstallmpkg-109x/10.9用をダウンロード。途中で解凍して使う。Mavericksのインストーラー(Install OS X Mavericks.app)を右クリックし、[パッケージの内容を表示]→[内容]→[SharedSupport]を開き、InstallESD.dmgをダブルクリックしてイメージをマウントする。ターミナルで下記のコマンドを使い、非表示ファイルのBaseSystem.dmgをOS X Base Systemとしてマウントする。$open /Volumes/OS\ X\ Install\ ESD/BaseSystem.dmgディスクユーティリティを開き、[復元]タブを選択してOS X Base Systemを[ソース]の項目にドラッグアンドドロップ。先ほど作成したUSBメモリーのパーティションを[復元先]にドラッグアンドドロップ。双方が枠内に表示されたら[復元]をクリック。※元記事の画面写真がわかりやすい。復元が完了したら、USBメモリーのOS X Base Systemパーティションに移動する。同じ名前でマウント中の別のパーティションと間違えないよう注意すること。フォルダウィンドウ上でスペースキーを押すとポップアップでパーティションのサイズが確認できるので、USBメモリー側のパーティションであることを確認して以下の作業を進める。System/Installationフォルダを開き、Packages(エイリアス)を削除。デスクトップ上にマウントされているOS X Install ESDパーティションを開き、Packagesフォルダ(実体)をUSBメモリーのSystem/Installationフォルダへコピーする。USBメモリー上のコピーされたSystem/Installation/Packagesフォルダーに移動し、BaseSystemBinaries.pkgを右クリックしてPacifistで開く。Pacifistがファイルの読み込みを完了したら、Contentsリストの中にあるmach_kernelをUSBメモリーのパーティションのルートフォルダにドラッグアンドドロップでコピーする(Extracting Files…の表示が出る)。Chameleonを開き、[インストール先の選択]でUSBメモリーのパーティションを選んで[続ける]をクリックしインストールを実行。Extra.zipを解凍し、出来たExtraフォルダーをUSBメモリーのパーティションのルートフォルダにコピーする。これはChameleonがブート時に必要とする初期ファイル群である。Chameleon Wizardを開き、[SMBios]タブを選択して編集。Premade SMBiosの欄の[Select]をクリックして、リストからMacPro3,1のSMBiosを選択し、[Save As]をクリックして、USBメモリー上のExtraフォルダーにSMBios.plistを保存。なお、SMBiosは前述のDSDTの情報入手先の中にXW4600用に編集したplistを置いてある所もあるが、とりあえずMacPro3,1で起動はできる。HDDで常用する方は後に設定する。正しく機種設定する (SMBIOSの設定)https://www.google.com/amp/s/bootmacos.com/archives/122/ampMBR方式のHDDにインストールするため、USBメモリー上のインストーラーにMBRパッチを適用する。ダウンロードしたパッチを解凍し、中にあるOSInstall.mpkgをコピーして、USBメモリー上の/System/installation/Packagesフォルダー内の同名ファイルを上書き(置き換え)する。同様にOSInstallもコピーし、USBメモリー上の/System/Library/PrivateFrameworks/Install.framework/Frameworks/OSInstall.framework/Versions/A/フォルダー内の同名ファイルを上書き(置き換え)する。以上でインストール用のUSBメモリーが完成。■作業中にUSBポートを認識しなくなり詰む上記の作業中、Hacintosh Vietnum ToolをUniBeastで起動中のOSにインストールしようとしたら失敗してUSBポートを認識しなくなり、USBマウスが操作不能になった。PS/2キーボードが繋がっていたのでキーボード操作はできたが、PS/2マウスの手持ちが無く詰み。MacOSはWindowsのようにマウス無しですべての操作ができるようにはなっておらず、MacOSのインストールなのにPS/2マウスが無いので先に進めないというHackintoshでしか経験できない状態に。仕方なくUniBeast用USBメモリーで作業用のMavericksを再インストールした。結論から言えばUSBメモリーの作成とインストールに関しては、単品のChameleon WizardがあればHacintosh Vietnum Toolのインストールは不要だった(HDDインストール後には入れた)。■MavericksをHDDにインストールする作成したChameleon版のブートUSBメモリーで起動し、メニューからOS X Base Systemをハイライト表示させ、起動フラグに-V -fを入力して実行。インストールウィンドウが表示されるので、Bluetoothキーボード/マウスに関する通知が表示されたら、スペースキーを押してメニューバーから[ユーティリティ]→[ディスクユーティリティ]を選択。OS XをインストールするHDDのパーティションを選択し、[消去]タブに切り替えて、次のオプションを指定する。フォーマット:Mac OS拡張(ジャーナリング)名前:適当に好きなドライブ名をつける。[消去]をクリックするとHDDがフォーマットされる。フォーマットが完了したら、ディスクユーティリティを閉じ、OSインストールを継続する。インストール先にフォーマットしたHDDのパーティションを選択し、[インストール]をクリック。Mavericksのインストールが終了したら再起動するので、ブートローダーのメニューでインストール済のHDDを選択して起動。■OSインストール後の設定続いてUSBメモリー無しでも起動できるように、HDDにChameleonブートローダーをインストールする。Chameleonを開き、左下に[カスタマイズ]のボタンが出るまでクリックし、カスタマイズの画面でインストールオプションを次のように設定する。Chameleon Bootloader→Install Chameleon In the chosen partition.Modules→FileNVRAMにチェックインストール先にHDDを指定してブートローダーをインストールする。続いてChameleon Wizardを開き、[org.chameleon.boot]タブに移動して起動フラグの設定を行う。何度かの試行錯誤と、該当機情報スレッドを参考に下記のように設定した。※本機はグラボを標準搭載のnVIDIAからRadeonへ挿し替えている。UseKernelCache: YesSystem Tvpe: 1-DesktopRestart Fix: YesPrivate Data: YesGenerate P-Sta.: YesGenerate C-Sta.: YesSkip Intel GFX: YesSkip nVidia GFX: YesATi Config: EulemurUse ATI ROM: YesPCIRoot=1DSDT.amlはファイルを指定[Save As]をクリックしてHDDのルートにあるExtraフォルダに設定ファイルcom.apple.Boot.plistを保存する。[SMBios]タブを開き、USBメモリー作成時と同様に設定を行い、[Save As]でHDDのルートにあるExtraフォルダに設定を保存する。Core2DuoのデスクトップはiMac11を指定すると良いらしいが前述のようにMacPro3,1で動く。テキストエディタで直接SMBios.plistいじって遊んでみたり。kext Wizardを使ってkext(OS機能拡張)を導入、管理する。本機の機種固有で追加導入しているのは次の4つ。RealtekRTL8111.kextBCD5722D.kext(ただしBIOS設定でオンボードNICは停止中)ApplePS2Controller.kextVoodooHDA.kext■VoodooHDAと起動フラグについてXW4600の内蔵オーディオはさほど珍しくもないRealtek ALC262だが、今のところ音が出せたのはVoodooHDA(2.9.2)を使う方法だけ。VoodooHDA 2.9.2(sourceforge)https://sourceforge.net/projects/voodoohda/files/ただし、本機では起動フラグに-f(ignore cache)を指定するとVoodooHDAが内蔵オーディオを認識しなくなるので、指定しない(Chameleon Wizardのboot flagsの項目で-fのチェックを外す)こと。なお、VoodooHDA使用時はChameleon Wizardの中でHDA/HDEF/HDAUの設定をしても無意味だった。起動時に認識されている内蔵オーディオの情報。VoodooHDAで認識するのはLine-out(Green Rear) 出力としてで、背面音声出力端子とフロントパネルの音声出力端子の排他選択で音が出る。入力はCD(ATAPI)のみでLine-inは認識しない。本機の用途では本体内蔵のオーディオ機能をシステム音の再生程度にしか使わないので、これで問題なし。AppleALC+Liluも試してみたが、今のところ上手くいっていない。これらは使用方法がClover EFI前提になっており、Clover用の設定をcom.apple.Boot.plistに記述しても認識しなかった。そもそもYosemiteより後でないと使えないという話もある。XW4600やChameleonの時代(2013年頃)はAppleHDAにALC262用のパッチをあてたり、AppleRealtekを使ったりする方法が普通で、AppleALC+Liluはまだ一般的ではなかったのだと思う。本体のオンボードオーディオを認識させるのには結構手こずったのに比べ、拡張カード類は何のトラブルもなくあっさり認識した。■PCIバスが使えるIntel MacPCI-BUSに増設された拡張カード類。これらのカードはIntel CPUを搭載したMacProがPCIバス非搭載だったためにメーカーの動作サポートがPPC(G5)対応OSのLeopard(OS10.5)で止まってしまっていてMacintosh用としては価値が無い。しかしWindowsでは現在でも使える。PCI-ExpressなIntel MacProにPCI拡張シャーシを増設するという方法で使うことも可能ではあろうが、入手性でも金額的にも今となっては現実味がない。つまり、事実上Windows用のPCを使ってMacOSの夢を見ることでのみ、実用の道が残っている。XW4600にはPCIバスが3本あり、この用途に向いていた。後継のHP Z400は2本なので、カードの数が多い場合はXW4600のほうが都合が良い。ただし、Z400のほうがメモリーやCPU交換の対応幅が広く拡張が柔軟かつ安価で済む、UEFIに対応しているといった利点がある。■その他の問題点と今後の課題・Windowsとデュアルブート化本機は特定のアプリを使用するための専用機で、Windowsとのデュアルブートは可能だが必要性が無い。現状でもSATAケーブル差替えで旧Win7環境がブートできるのでそれで良い気がする。・USB3.0への対応コピー時間短縮のためこれは是非やりたい。PCIeスロットへ拡張カードを増設で実現できそうだが、OSが古くチップセットを選ぶため、FlescoLogic FL1100搭載のカードを入手する必要がある。CENTURYの「ポートを増やしタイ CIF-USB3P4FL」が使えそう。・FireWireポート本機にはフロントパネルに造り付けのFireWireポートがあるが、これを何故か認識しなくてしばらく悩んだ。なんのことはない、FireWire機能はオンボードではなく、PCIバスにFireWireカードを挿して配線する必要があっただけである。他のPCではオーディオインターフェース接続にまだ使っているFireWireだが、本機では必要無さそう。・内蔵NICの活用オンボード搭載のBroadcom 5755はBCM5722D.kext導入で使えるらしいが、本機ではスリープ後に自動復帰しないという情報もあり追求していない。PCIeバスの空きが足りなくなったら真面目に検討するかも。・Clover EFIのLegacy Bootモードを使ったインストールへの移行今回の話は古い機械で古いOSを使って古いアプリを使う話なので、今のところChameleonで実用上の問題が無いが、これはかなりレトロな手法なので、Cloverにしたほうが現在あちこちに書かれているハック情報が活かせるだろうなあ、とは思っている。ま、所詮夢の話なんですけどね。インストールにあたり引用、参考にさせていただいた情報元、ツール類の製作者の皆様に感謝します。(がんくま)

  • 27Jun
    • 真空管ラジオ ナショナル BX-715 修理記(3)の画像

      真空管ラジオ ナショナル BX-715 修理記(3)

      前回の修理で半世紀ぶり?に音を取り戻したレトロな真空管ラジオをさらに少し整備します。■実用へ向けて仮スピーカーからオリジナルのスピーカーへ戻すため、元の出力トランスが付いていた所の内側に新しいトランスを取り付ける。スピーカーのフレームにコーン紙を突き破らないように卓上ボール盤で慎重に穴を開け、M3のネジ溝を切ってトランスを取り付けた。端子は入力12kΩ:出力4Ωを使用。元設計より若干出力管に無理をさせていることになる。元のスピーカーは仮のスピーカーより口径が大きいが出音はハイトーン。電解コンデンサーも新品に交換した。元のブロックコンデンサーはシャーシ上に残し、すでに交換済の10μF/50V(D)以外のうち、20μF/350V(A)を33μF/450V(日ケミKMH)に、10μF/350V(B)を10μF/450V(日ケミKMH)に交換した。部品はシオヤ無線で購入し、受信コイルのハトメ穴を使ってシャーシ内にラグ板を設置して配線。やたら目立つ黄色いコンデンサーはPARC AUDIOの1.0μF/400Vのメタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサーで、これはたまたまMC76の修理で残っていたものを1μF/350V(C)の代品として使用したもの。本来はスピーカーのネットワーク用の部品である。元の配線は単線にビニール皮膜なので見た目がヨレていても位置はビシッと動かないが、新しく使った皮膜線(左上から右下へ通る薄紫色の線)はその辺にあったテキトウな撚り線だったので柔らかく、なにやら頼りない感じがする。容量に問題は無いのだけれど。電解コンデンサー類交換後の+B電圧は交換前より安定している。チューニングの軸受には錆が出ていた。回すと鳴くので金属ブラシで錆を落としてモリブデングリースを塗布した。キャビネットのプラスチック製の窓とシャーシの周波数指示針、背景板はスプレー式のガラスクリーナーで拭き、電源トランスや金具で錆が出ている箇所には錆止めの転化剤を塗布。錆転化剤が向かない所には薄く機械油を塗布した。いよいよシャーシをキャビネットに取り付ける。この機械、底面のネジ穴通りに組み付けるとシャーシ位置がフロントパネルから見て左に寄る。うーむワイルドだ。ツマミが大きいから隠れるけど。外見は修理前とさっぱり変わらないが修理完了。いつか本格的にレストアするかもしれないが、今は製造当時のオリジナルのまま、長い時間の積み重なりを感じる風貌である。■リスニングブーンと軽いハム音を伴って良く鳴る。キャビネットの印字が擦り切れているが、電源スイッチを入れた所がFULL(ハイトーン)で、右に回すとハイカットされMED.→LOWと三段階の音質調整ができる。単純に高域を切って相対的に低音が聞こえるようになるだけなのでMED./LOWでは聴感上の音量が落ちる。周波数安定度は思ったより高く長時間つけっぱなしでも放送がズレることは無い。晒黑的がんくま@gankuma_電源つまみを右に回すと3段階で音質調整。1000kHz以上の感度が低い気もするが、ひとまず修理完了とする。 https://t.co/rbCtreqONX2020年06月05日 03:29ボリュームには全くガリが無く動きもスムーズで、左側に回し切るとスイッチでPUに切り替わり、背面PU/E端子からの外部音声入力となる。3〜4回切り替えてみたもののラジオが混信したハム音が鳴るだけであったが、何度も回していると接触が回復し背面入力に切り替わるようになった。スマホのイヤホン端子からワニ口クリップを伸ばして繋いでみると、ラジオに比べて入力レベルが低く設定されているのか音量があまり上がらない(ラジオ側に外部入力の音量を調整する機能は無い)。普段聞いているような音楽をこのラジオで鳴らすと、すごくラジオ音質になる。人の声の帯域がぐっと持ち上がっていて低音、特にキックはスカスカでベースも弱い。路地裏で人家の中にラジオが鳴っているのを聞くと声がとてもよく聞こえるが、まさにあの音だ。1W程度の出力ではあるが、昔のように部屋の仕切りが障子やふすまだった頃は、この一台で家中どこにいてもラジオが聞こえたのではないか。このラジオが今までこの窓から見てきた光景は、どんなものだったのか・・・。日本の南極観測隊とタロ、ジロのニュースや、世界初の人工衛星スプートニクのニュース、水爆実験や伊勢湾台風、時の皇太子御成婚といったニュースが、リアルタイムでこのラジオから流れたのであろうか。2020年に67年前の機械を修理しつつ、当時の家庭や人々の生活はどんな具合だったのだろう?と想像するのは、逆に考えれば2087年に今年発売のiPhone12を修理しているのと同じだ。「それは東京オリンピックがウイルスで延期された年でねえ・・・」などと語るのはその時80歳になっている今の中学一年生、という未来の話で、その頃の世の中がどうなっているのかなかなか想像がつかない。ま、その頃iPhone12は実用的に使えないだろうな。今回の修理は真空管ラジオとしては最小限の手数で、修理慣れした方からすれば長文を費やして書くほどの内容じゃないと思われるだろうが、自分にとっては久々のラジオいじりで楽しかった。半世紀以上前のラジオの仕組みは現代から見れば大変シンプルなものだが、それだけに工夫次第で必ず修理出来て、今のラジオと同様に放送が楽しめるのが、とても素晴らしい事だな、と思った。(がんくま)真空管ラジオ ナショナル BX-715 修理記(1)真空管ラジオ ナショナル BX-715 修理記(2)