オーディオドラマ制作サークルpurplesounds@hotmail.co.jp過去作品は右側の「テーマ」から「作品」をクリックで表示されます。2026年4月26日(日)開催の M3-2026春 に参加します。スペース番号は G-16b です。
初代機DR-550に続き後継機種DR-554-Eを分解しハードディスクをSSDに置換しました。Instant ReplayはDR-550→DR-552→DR-554-E→DR-600(Instant Replay 2)と進化していったようで背面の印刷によると製造時期は2004年2月25日。手持ちのDR-550から7年後になります。売価は3250ドルで、日本の代理店価格は不明ですが当時のドル円レートで換算すると35〜36万円ほど。ROMのバージョンは2.308です。録音後にトリミング編集できるやつ!前記事に書いたように私がかつて仕事で使っていたのはDR-550ではなくこのDR-554-Eかな?と思います。入手時点で正常動作していましたがハードディスクは初期化されており、工場出荷段階で入っている効果音は今回も聞けず。■内部を調べる分解方法はDR-550とまったく同じなので前記事を参照して下さい。実装されていたHDDはSeagate ST320014A(20GB UltraATA)です。DR-550は50pinフラットケーブル接続のSCSI-2ドライブでしたがDR-554-Eは40pinフラットケーブル接続のIDEドライブになっています。MASTER/SLAVEの設定は"MASTER or Single Drive"になっていました。72pin SIMMの容量はDR-550の1MBから4MBに増えていました。本機はHDDを交換する際に内容をコピーする必要もなく、また稼働時もいつでも電源スイッチをOFFにできることからOSと機能プログラムは完全にROM化されていて、せいぜい起動時に一部がRAMに展開される程度かと思います。トリミング編集やリニアPCM対応といった機能拡張に伴いさすがに1MBでは足りなくなったか。基板にはInstant Replay 3.0 1999とあり初代から3年後です。おそらくHDDの向きが変わったDR-552の基板が2.0なのでしょう。A/DはAD1877JRで変わっていませんが、D/AはAKMからCirrus Logicに変わりCS4398になっています。デジタル音声トランシーバはCS8401A-CS/CS8411-CS、アナログ音声系はNE5532とSSM2402/2143といたって手堅く典型的な業務用音響機器です。CPUも変わらずMC68020/40MHz、DSPもMotorola(現NXP)のDSP56002FCでした。ROMのCopyright表記からmicrowareが消えています。基板上にEXTERNAL SCSI端子がありますが、I/Fチップも含めて実装はされていない模様。50pinではないので内部HDD用とは考えられず、D-Sub25pinの外部SCSI端子がある機種が存在したのかな?背面には拡張ドライブが繋げるような端子がありません。D-NetというのはAES/EBUプロトコルを使ってデジタルケーブルでInstant Replay同士やDATと繋ぐと音データやファイル名情報の等の複製ができる機能で複数の本機を複数のスタジオに置いている放送局では重宝しました。が、HDDが繋がるものではありません。マニュアルによるとDR-554-EではプリンタポートにパラレルATA接続のIomega ZIPドライブを繋ぐとZIPドライブとの間でファイルコピーをしたりバックアップを取ったり、ZIPドライブに録音できたりする機能が増えていました。これに伴いメニュー項目にEXTERNAL DRIVE ENABLE/DISABLEがあり、ENABLEにしているとメニューからフォーマットも出来るようです。ただし転送レートの問題(ZIPの転送レートは最大で1.4MB/s程度だったらしい)でしょうがLinear PCMでの録音はできずAC-2のみ。そしてSCSI接続はできず繋げるのはパラレル接続のZIPドライブに限られます。DR-554の先代DR-552のマニュアルを見ると外部SCSI端子にZIPやCastlewood Orb 2.2GBドライブが繋げるとあり、その際はSCSI ID=6で決め打ちとのこと。ZIPドライブはDR-554-Eとは逆にパラレル接続は不可でSCSI接続できるドライブに限る、とあります。DR-552の背面写真を見たらプリンタポートの上にD-sub25pinのSCSI端子がありました。整理すると、・DR-550ストレージI/FはSCSIで内蔵のみ録音フォーマットはAC-2のみトリミング編集機能無し・DR-552ストレージI/FはSCSIで内蔵と外付け録音フォーマットはAC-2/44.1kHz Linear/48kHz Linear選択でサンプルレート変換機能付きトリミング編集機能無し・DR-554-EストレージI/FはIDE(ATA33)で内蔵と外付け(パラレルATA)録音フォーマットはAC-2/44.1kHz Linear/48kHz Linear選択でサンプルレート変換機能付きトリミング編集機能有りDR-554-Eの内部にEXT.SCSIの実装パターンが残っているのはどうやらDR-552との互換性の名残りのようです。交換できるドライブのリストがメーカーサイトにあります。List of Compatible IDE Hard Drives for Instant Replay DR-554https://support.360systems.com/knowledgebase/list-of-compatible-hard-drives-for-instant-replay-dr-554/We recommend that the hard drive spin no faster then 7200 rpms and you try and source the smallest capacity hard drive since the OS only partitions 5.4GB.SEAGATEST320410A 20GBST320014A 20GBSEAGATE ST3160215A 160GBWESTERN DIGITALWD1600JBWD1600AAJBWD1600AVJBSAMSUNGSP0802N 80GBSP0822N 80GBここに出てくるような20GB〜160GBのIDEドライブは2026年現在では入手が難しく軒並み20年以上前の製品です。しかもOSが管理できるのは5.4GBまでと書いてあり、実装されているST320014Aでも容量的には相当な無駄遣い。いつ止まるかわからない古いHDDを使い続けるのもどうかと思うのでSSDに置換してみます。■SSD化してみる千石電商2号店で変換名人(TFTEC)のIDE-SATAアダプタ"IDE-SATAZD"を購入してきました。この変換基板は2.5インチ、3.5インチのSATA HDDに両対応で、CS/MASTER/SLAVEの設定ジャンパピンがあります。使ったSSDは中古品のSamsung PM881 2.5 128GB SSD(PN: MZ7LH128HBHQ-000L1)です。SSDに基板を挿しジャンパピンをMASTERにします。この基板、IDEケーブルの1番ピンがどっち側だか分かりにくいのですが、ジャンパピンがある側が1番側です。本体側のピンヘッダも40pinでどっち向きにも挿さるので向きを間違えないよう慎重に確認して挿す必要があります。背面寄りが40番側、前面寄りが1番側で、逆挿し防止で39pinになっている写真下のようなIDEケーブルは挿せません。2.5inchドライブ用の変換マウンタAINEX HDM-34Aを使って元のHDD位置に固定します。当然ですが底面ネジ穴固定に対応しているマウンタしか使えません。電源、IDEケーブル共に元のHDDのコネクタ位置からズレるのでそのままでは余長が足りずAINEXの電源延長ケーブル50cm WA-048Cと、groovyのIDE(ATA33)延長ケーブル・フラットタイプ30cm GN-FLIDE030EXも購入。この手の製品はかつて大変ありふれた自作用PCパーツでしたが、SATA時代になってもはや秋葉原でも探し回らないと入手できなくなりました。ヨドバシカメラで入手できましたが、今となってはハードオフのジャンクコーナーのほうが見当たるかもしれません。繋いだだけであっさり動作しました。STOPキーを押しながら電源ONでPLEASE WAIT画面になり、10秒程でFORMAT確認画面。フォーマットを実行すると一瞬で終わってROMバージョンとDSPバージョンを表示し通常の運用画面へ遷移します。フォーマット直後の録音可能時間はAC-2 24:47:3548K LINEAR 4:38:5544.1K LINEAR 5:03:35で元の20GB HDDとまったく同じです。録音時間の上限リミッターが60分になっているので設定からリミッターを解除するとこの時間が表示されます。20GB IDEであっても128GB SSDであっても本機が管理できる容量は5.4GBまでで残りの容量は使えないのだと思われます。本機種用のSSDは最小容量の40GB品で充分です。なお、このAC-2の録音可能時間24:47:35は前回DR-550のSCSIドライブを4GBで確保した時の録音可能時間25:36:23よりやや少なく、本当に録音に5.4GB使っているかどうかは少々疑問です。48kHz Linearが24bit Stereo(2304kbps)だとしても4:38:55(16735sec)は4.6GB(4,706.71875Mbyte)にしかなりません(他にメタ情報があるはず)。AC-2についてはさらに謎ですが、モノラルchのみの圧縮に対応し64〜192Kbpsらしいので384Kbpsだとして計算しても4.0GB(4,183.828125Mbytes)です。もっとも本機の用途は短い音を大量に出す事であり24時間を最大登録数500個で割っても1個3分弱。実際には数秒〜数十秒の効果音が多いのでこの程度の録音容量でも実用上の不足は無かったのでしょう。1995〜2005年頃はパソコン需要でHDDが急速に進化していく時期でしたから本機のようなシステムは特殊なパターンだったと思います。■動作検証DR-550+SCSI2SDで見られた起動後の初回録音時に30秒ほど待たされる挙動は本機だとHDDでもSSDでも起こりません。録音フォーマットがAC-2/48KHz LinearPCM/48kHz LinearPCMの3種類から選べるように。マニュアルでは大抵の用途で音質的にはAC-2で事足りるが、デジタルで正確に録音と同じPCMデータを再生できないといけない検証のような用途の為に実装したみたいな書き方です。アナログ音声出力と違いデジタル音声で出力する場合、リニアPCMで録音した44.1kHz素材と48kHz素材が混在しているとトラブルの元になるので、本機の用途では自動サンプルレート変換をONで使う事が推奨されます。DR-550では音頭を認識させるスレッショルド設定がONになっていて録音ボタン→再生ボタンを押すと録音待機→スレッショルド値を超えたら音頭認識になっていましたが、DR-554-Eを同じように使う場合はスレッショルド設定をしないといけません。録音後のトリミング編集画面。時間で指定します。左右の移動はHOT-KEY最下部のカーソルキーで行います。フェードイン、フェードアウトも時間指定できます。再生レベルの調整画面。気になったのは、同じ音(同じボタン)を連打して繰り返し再生させると間にノイズが入ることです。1回だけ再生なら起こりませんが、前の音が出ている最中に再び再生させると入ります。音頭に短フェードインをかけても駄目で、再生中の音が途切れる時に自動で極小フェードアウトをかける処理が無いせいと思われます。以前使っていた時の記憶では本機最大のウィークポイントはHOT-KEYボタンのチャタリングで稀に音頭が重なって2度出てしまうこと。ポン出し業務に特化している機種なので再生中に早送りや巻き戻しをする機能が無く試聴機としては使い勝手が悪いです。DR-550〜DR-554-Eの全機種に共通で事実上ファイルコピーで本体内に音をコピー出来ないのが現代的なポン出し機に比べると不便です。以上のような欠点はありますが、一度登録した決まり音を毎日何度も出すような現場なら今でも実用なのではないでしょうか。トリミング編集機能が無いDR-550/DR-552も、音源を録音する際に再生開始点よりも前が完全無音になるように加工してから読ませる等すれば良いのですが、フェードインする音源やS/Nが悪い音源は扱いにくく、実用度が高いのはやはりDR-554-Eです。Instant Replay Overlay Templatehttps://support.360systems.com/knowledgebase/instant-replay-overlay-template/■SDカード仕様にできないか?SSD化は簡単にできましたがSDメモリーカード-IDE変換基板のほうは今のところ成功していません。AliExpressで購入した変換基板はこれ。5V SD カードモジュール IDE3.5 40 ピンディスクドライブアダプタボードライザーカード容量サポート最大 128 ギガバイトの SDXD カード ATA IDE モジュール [Shop1103102195 Store]https://ja.aliexpress.com/item/1005006307922050.htmlSD35VC0(白色シルク印刷)。BYTe Semiconductor製の4Mbit FlashメモリーBYT25D40EST1Gが搭載されていて、メインICの型番はシールで読めませんが、いわゆるFC1307A搭載SD-IDE変換基板という奴です。この基板40pinコネクタ位置の都合で設置相性が悪くそのままではさっぱりネジで固定できません。通電するとLEDは点灯しますがDR-554-E本体はPLASE WAITのまま。FORMATモードで起動しても同様です。4GBや8GBの複数メーカーのSDカードで試すも認識しませんで、現時点では使えない理由がわかりません。128GBのSSDでも繋げはそのままフォーマット出来たので容量認識の問題ではないように思います。MASTER/SLAVEを設定する機能が基板側に無いのが問題なのか、それともこの基板にあるというバグの影響なのか?【参考】FC1307A搭載SD-IDE変換基板のおかしな挙動を直す [MCtek]https://zenn.dev/mctek/articles/306d1afc153c0bファームウェアを書き換えるにはRaspberry-PiをSOPのFlashメモリーに繋いでファームを焼くという作業が必要でSSD化やSCSI2SDより難易度が高く(それで動く保証もない)この路線の追求は現状諦めモードです。MASTER/SLAVEの設定ができる他のSD/CF基板を試せれば或いは簡単に動くのかな?【参考】希少化するIDEハードディスクを置き換える(2) [丸真商店]http://www.marushin-web.com/ide_replace2.html本記事執筆時点でIDE-SATA変換基板(IDE-SATAZD)は1000円台で買えますし、40〜128GBのSATA SSDもパソコン用としてはもはや価値がなく1000〜2000円で中古が買えます。買えるうちに予備のSSDを買っておこうとは思いますが、DR-554-Eに関してはDR-550とは違い無理してSDカード化するよりもSSD化するほうが安価で転送速度も速くオススメです。本記事を参考にした改造は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(1)360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(2)
オーディオドラマ 「真面目と不真面目の境界線」Release:2026.4.26 M3-2025秋(予定) (第1展示場 G-16b)39分 ステレオ CD-R イベント価格 500円いつもと同じラジオドラマ風のオーディオドラマCDです。完成がギリギリになりそうなので本ページはイベント直前まで随時更新されます。[ジャケット][試聴ファイル]冒頭 部分サンプル(mp4)2分08秒途中部分サンプル(mp4)6分22秒※制作途上のサンプルで完成品とは差異が生じる可能性があります。[あらすじ]卒業・就職を控えた女子大生、岩崎の悩みは深まっていた。年齢層も近く気心が知れた学校の友人達との会話と違って、これから社会人として仕事をしていく相手とどこまで「くだけた話し方」をしても良いのかがわからない。親しみを込めて冗談を言ったつもりなのに不真面目な性格の人物だと思われてしまうと損だし、といって真面目一辺倒のギスギスした人間関係の中でずっと過ごすのもどうかと思う。誰に対してどこまでくだけて話しても良いのか、絶対に失敗しない正解を事前に知る方法は無いものか?そんなある日、アルバイト先のレンタルDVDビデオ店で騒動が持ち上がる。お客の「老害じじい」が持ってきたのは1本の古いビデオテープであった。[キャスト]岩崎:サウザー咲日置:くろ。菊水:南瓜南店長(横河):戸愚呂 妹岩崎の同級生:ゆきはら、井田愛理岩崎の父:がんくま客・ナレーション:杉宮加奈[スタッフ]脚本・演出・技術:がんくま(がんくま)
前回BlueSCSIでもSCSI2SDでもどっちでもとりあえず動くところまでは確認できました。■DR-550のSCSI環境を調べるSCSI2SDはMicroUSB経由で設定を更新(Save to device)するとMicroSDカードを挿しっぱなしで検証ができるので、こちらで色々と細かい部分を調べました。ただしMicroUSBケーブルは挿しっぱなしで良いものの、DR-550本体の電源を投入する前にPC側でUSBケーブルを抜いてUSB通電オフにしないと正常に動かないようです。ところで実はHDDの交換についてもメーカーWebに言及があります。サポートは打ち切ってるがやりたい奴はやれって感じなんでしょうかね?Instant Replay DR-550 Hard Drive replacementhttps://support.360systems.com/knowledgebase/instant-replay-dr-550-hard-drive-replacement/>The DR-550 used a 50 pin SCSI 2 hard drive. It is best to try to obtain a replacement drive that has the same specifications as the drive in the unit. Understand that SCSI drives have been out of production for many years and it is more than likely that the sourced drive will be used.>When sourcing a replacement drive, make sure it is a 50 pin SCSI 2 drive that spins no faster than 7200 RPM. Set the jumper configure to TE (Termination Enable) and the lowest SCSI INDEX NUMBER (SCSI ID 0 or SCSI ID 1 depending on the manufacture). Install the hard drive and follow the format instructions.交換用ドライブは7200rpm以下の50ピンSCSI-2ドライブを選ぶこと、HDDのジャンパーピン設定をTE(終端有効)に設定し、 SCSI IDを最小値(メーカーによってSCSI ID=0またはSCSI ID=1)に設定すること、と書いてありますが実機の中に入っていたドライブは何度見てもTE OFFなんですが。メイン基板側にも黄色い終端抵抗が見えるので、SCSIバスのセオリーとしてTE ONが正しいと私も思います。本機にはドライブ管理画面のようなものは無く、OKかNGかはフォーマット出来るかどうか(出来ないときは"FORMAT FAILED"と表示が出る)しか判断基準がありません。・終端抵抗はONでもOFFでも動いた。SCSI2SD V4の終端抵抗はA101Jの抵抗アレイで、SDカードスロット側から見て左側がコモン(抵抗アレイに●印がある側)です。実装設定と矛盾しますが挿した状態(ON)で使います。scsi2sd-utilのGeneral Tabにある"Enable SCSI terminator"のチェックボックスはV5.1〜5.2基板でしか機能せずV5.0Aを含むV4系基板では無意味です。・SCSI IDは1か7でないと動かなかった。SCSI-ID=0 NGSCSI-ID=1 OKSCSI-ID=2 NGSCSI-ID=3 NGSCSI-ID=4 NGSCSI-ID=5 NGSCSI-ID=6 NGSCSI-ID=7 OK本体側にID表示機能が無いので本体のIDが不明ですが漠然と7かと思っていたので意外です。本体が0なのかもしれない。本機DR-550には複数台のHDDを管理する機能が無さそうでBlueSCSIにせよSCSI2SDにせよSCSI-IDを増やして複数台の仮想ドライブを作るのは意味が無さそう。仮想ドライブが複数あるとID番号が大きい方の領域を使うようです。なおメーカーのサポート記事のなかにフォーマットする前にHDDをMASTER設定にしろと書いてありますがこれは後継機種がIDEドライブになったからでSCSIでは関係無し。・General Tabの"Enable parity"と"Enable SCSI2 Mode"はEnable/Disableどちらでも動いた。どちらもEnableで良いと思います。"Startup Delay(seconds)"は0のままで問題ありませんでした。・フォーマット容量は2GB/3.2GB/4GBどれも使えた。Device1以外(Device2〜7)の"Enable SCSI Target"のチェックは外します。使う領域がひとつだと"SD card start"はAutoにチェックを入れても入れなくても0になります。"Device size"は2.00GB/3.20GB/4.00GBを試したところいずれも動作しました。MicroSDカードの容量が4GBなのでそれ以上は試していません。後継機種のDR-554ではSCSIドライブではなくIDEドライブになっているようで、そのドライブ互換性の説明の中に"We recommend that the hard drive spin no faster then 7200 rpms and you try and source the smallest capacity hard drive since the OS only partitions 5.4GB."と記述があることから、もしかすると上限は5.4GBなのかも?元のHDDが1.2GBでしたから4GBでも大容量で25時間以上録れます。実用上困る事は無いでしょう。MicroSDカードの容量が大きければDevice2以降を作っておいて"Enable SCSI Target"をON/OFFすることで本機の用途別に仮想HDDを切り替える運用も考えられますが、そのためにはMicroUSBケーブルを隙間から引き出して都度パソコンから設定を書き換える必要があり、そこまでする気は湧きません。■BlueSCSIとSCSI2SDどっちを使う?以上の検証結果はBlueSCSIを使う場合にも反映可能なはずです。しかし本機にはSCSI2SD V4を使うことにしました。もっとも大きな理由はBlueSCSIを他の用途で使いたいからです。BlueSCSIのメリットの一つは仮想HDDイメージをexFAT上の単一ファイルに出来ることで、これはUSB端子がなく独自フォーマットの昔のSCSI音響機器のドライブイメージをWindows/Mac/Linuxで簡単にコピーして保管できるようになるってことです。Fairlight MFX3のOS-9環境をどうやって保存するか悩んでいるので、BlueSCSIが動くならそっちに使いたい。もう一つの理由は取り付け方法で、BlueSCSIに付属してきた3Dプリンタ製の取り付けブラケットではSCSIコネクタ位置がオリジナルのSCSI-HDDとズレてしまいます。SCSIケーブルが短いせいでブラケットとの相性が悪くネジが一箇所しか締められません。コネクタ位置がズレないSCSI2SDは基板をそのままネジで固定できます。25mmのM3ナベネジ2本を使い、ポリワッシャー2枚でSCSI2SDの基板を挟んで、ネジ緩み止めを塗った上でスプリングワッシャーとナットで締めて固定し、底面の余った穴はシールで塞ぎました。もしBlueSCSIを使うなら付属ブラケットを固定するためのブラケットをプラ板で自作するか、もっと柔軟なSCSIケーブルを自作するか。データの転送速度は体感でBlueSCSIのほうが速く、SCSI2SD V4は2.3MB/s程度だそうです。Fireball-1280Sは実効だと8MB/s程度らしいですが、実際に録音したり再生したりを試した所、録音開始の挙動こそもっさりしている(起動後最初の録音はボタンを押したあと30秒近く待たされる)ものの、再生には特に問題無いようです。録音フォーマットがAC-3と生WAV(Linear-PCM fs48K/Stereoで1536Kbps)の選択ができるVersion2.0以降で差が出るかどうかは本機では検証不能なのでわかりません。■Instant ReplayについてDR-550のCPUは68020のようです。クロックは40MHzかな。多分これは全体機能の管理用で同じMotorolaのDSP56002FがDOLBY DIGITAL AC-2のリアルタイムエンコード・デコード用DSPと思われます。FirmwareはおそらくAm27C2048-150DCだと思われるEPROM2個に入っていますが、そのラベルに360 SystemsとAC-2のライセンサーであるDolby Labsに加えてMicroware systemsのCopyrightsがあるのでこの機械はOS-9で動いている可能性があります。DACはAK4318-VS、ADCはAD1877JR、デジタル音声レシーバーはCS8411-CPでした。私がInstant Replayを使っていた時期は2007〜9年頃になります。テレビの全国ニュース番組の送出用で24時間365日通電されていました。本機自体の知名度はマイナーでも、その音自体は多くの国民が聴いていたはずです。個人的な機種遍歴で言えばAKAI DD1000とAbleton Liveの間にあたり、同時期には他にDENON DN-H5600とKowa AF770も使っていましたが、この両機種は中身がパソコンでメーカーの長期保守に難があり放送用途ではTASCAM HS-4000+RC-HS32PDへ移行し、それがDD1000+DL1000、AF770、DN-H5600+BU5601といった高機能放送局用ポン出し機の正統な後継機じゃないかなと思います。Instant Replayはこれらの高機能機と違いA/B二系統の出力を持たないステレオ一系統出力で音量フェーダーも無いので、BGMはCD再生機で出しつつ決まり物の効果音やジングル再生、エンディングテーマ曲の空回しを外付けフェーダーを介して本機で行っていました。本体と一体化した直感的に使いやすい操作パネルで設置体積が少なく、バランスXLRとAES/EBU入出力を備え、6mmデッキからの過渡期で生放送番組のポン出し需要を民生MDプレーヤーを使ってしのいでいた放送局の、とりわけ技術部署にとっては信頼性の高い選択肢でした。2010年代になっても、とある放送局の生放送スタジオの立ち上げでAbleton Liveを推した所、パソコン主体でDTM機器間をUSBで繋いだシステムの信頼性に技術陣から難色を示され「Instant Replay無いですか」と言われた記憶が残ります(ポン出し専用PCにインストールしたAbleton Liveはその後2年間無事故で動きました)。かつて使っていて困ったのは、たまにボタンのチャタリングが起こって音頭が2回再生されてしまうトラブル。現在使っているAbleton Liveと比べると素材の録音に実時間がかかり、録音後の編集機能が無いのが欠点です。DR-550を触って特に致命的だなと思ったのは録音後に音頭や音終わりの無音部分をカットするトリミング編集が出来ないことで、昔使っていた時には出来ていた記憶があるのですけどそれは後継機のDR-554-Eだったようです。DR-550〜DR-554まで見た目はほとんど同じなので今回編集機能の違いを調べるまでカラーバリエーションなのかなと思っていました。DR-550DR-554-E説明書によるとhead/tailのTrimやfade in/outの設定ができるようになったのはVersion2.3以降です。Version1.4のDR-550では録音時の自動ゲート機能のスレッショルド値設定で音の頭を切るしか無いようで録音に実時間がかかることと相まってストレスが大きい。メーカーの説明ではバージョンアップはできるようなできないような表現になっていますがどうなんだろう?どのみち紫外線消去とROMライターが必要なUV-EPROMだからメーカーに送らないと対応不可能ですけれど。How to obtain the latest system softwarehttps://support.360systems.com/how-to-obtain-the-latest-system-software/古い記憶では購入時点でBank10に初期効果音が50個入っていたような気がします。HDDが生きてて消されずに残っていたらそれをコピーしたかったなあ。本記事を参考にした修理は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(1)360 Systems Instant Replay DR-554-EのHDDをSSDに置換する
2009年頃までニュース番組の送出で使っていた経験がある懐かしいポン出し機(ハードディスクサンプラー。しかしMIDIで鳴らせるわけではないのでDTM機器としては知名度無し)です。起動画面は出ますがHDDを読まず再生も録音もできません。耳を澄ますとHDDのヘッドがシークしている音は聞こえますが、スピンアップする音がしないのでモーターが回っていないようです。SCSI-HDDの入手は難しくなっているのでSDカードでSCSIをエミュレーションする仮想ハードディスクに交換してみます。■分解してHDDを確認するメーカーWebサイトに分解手順が書いてあります(わりと珍しい)。Opening An Instant Replay For General Repairs.https://support.360systems.com/knowledgebase/opening-up-an-instant-replay/底面にある5つの黒いゴム足のうちフロント側の3つを外す。大きめのゴムブッシュなので端をめくってマイナスドライバーで中心部分を押しながら引き抜きます。中を覗くと奥に上面パネルを止めているナットが見えます。メーカーの説明では"5/16 nut driver or socket with an extension and ratchet"を使えと書いてあります。ANEX No.6000 8-125六角ナットドライバーを使ってみましたが斜め挿入になりサイズがギリギリです。着脱式の短いソケットだと外れて中に入り込んで取れなくなるかもしれないのでディープソケットかナットドライバーのほうが安全です。ナット3個が外れたら上面パネルを手前に引いてから揺すり、右側にめくって外します。底面基板と上面パネル裏基板の接続ケーブル各種を外します。本機の内部コネクタは一列ズレて挿せたり逆向きに挿せたりするコネクタばかりなので外す前によく観察して写真を撮っておく。"UG2M256K32SQT-7 1MB"と記載された72pin SIMMが刺さっています。最小容量なのでEDOでは無いと思いましたがチップの型番が読めず詳細不明。中央部にSCSI-HDD FireBallが鎮座しております。Quantumか・・・何もかもみな懐かしい。参考にさせていただいた海外サイトReplacing my 360 Systems Instant Replay SCSI Hard Drive With A Memory Cardhttps://www.notla.com/archives/2018/08/replacing-my-360-systems-instant-replay-scsi-hard-drive-with-a-memory-card/と見比べるとHDDの向きが違うので良く説明を読んでみると海外ニキの機種はDR-552(Instant Replay2.0)で一世代後みたい。本記事の当該機はケース底面に1997/12/19の検印がありメイン基板のリビジョンはFです。こちらが海外ニキのDR-552の内部で基板がバージョン2になっててFirmware ROMは2.02。SIMMが4MBになっている。(写真引用元) https://www.notla.com/wp-content/uploads/2018/08/20180816_130457.jpg底面から貫通している4本のインチネジ(22mm位)を回してHDDを取り外し電源とSCSIケーブルを抜きます。固く止まっていますがコネクタやピンの破損を防ぐため何度も揺すりながらジワジワと抜く。昔からパソコンの自作をしていた人は慣れてるでしょうけど、今どきのUSBやSATAしか知らない方だと力加減がわかりにくいらしい。外したHDDを裏返すとコネクタの所のシールに1280Sと型番があり容量1280MB(1.2GB)と確認できました。ドライブ設定ジャンパピンJP1を確認しドライブのラベルと照合。TE/A0/A1/A2のうち、A0のみジャンパピンが挿してあるので、TE(Terminator Enable)=OFFSCSI ID=1と思われます。外したドライブを他のパソコンに取り付けて様子見しましたがやはり回りません。■Blue SCSI V2を試す上記のドライブ側設定を参考にまずBlueSCSI V2を試しました。購入したのはヤフオクへ出品されているKero's Mac Modsさんの製品です。Kero's Mac Modshttps://ameblo.jp/keroxiee1016/entry-12705349964.html"BlueSCSI+Instant Replay"で検索すると仮想ドライブのイメージがヒットしますが、ここで言うInstant Replayは同名のAppleIIのエミュレータかアプリのことらしく本機とは無関係です。しかし動作実績はある。16GB class10のMicroSDカードをSDカードアダプタに挿し、WindowsでexFATでフォーマットしてからDisk Jockey(Windows版)で仮想ドライブのイメージファイルを作ります。【参考】Disk Jockeyを用いたBlueSCSI用ディスクイメージの作成方法https://ameblo.jp/keroxiee1016/entry-12951454374.html#google_vignette容量はとりあえず2GBとしました。出来上がったイメージファイルをMicroSDカードのルートフォルダにコピーし、SDカードアダプタごとBlueSCSIに挿入。仮組みで配線します。前述のように全てのコネクタは挿し間違いがないかを念入りに確認します。というのも昔一列挿し間違えて壊した機械があったのでね。仮組みで中を覗きながら通電するので不用意に基板をショートさせたり配線に負担がかかったりしないようにエアーキャップや布などの絶縁緩衝材で養生しました。BlueSCSIは電源を供給しなくともSCSIバスのTERM POWERだけで動作するとの事でしたが残念ながら本機では動作せずで3.5inch FDD用の電源変換ケーブルAINEX WA-076Cを使いました。千石電商で380円でした。すると基板上のLEDが点灯。STOPキーを押しながら通電でドライブの初期化モードになり、画面の指示にしたがって操作すると、ちゃんとフォーマットできました。仮想ドライブのイメージファイルだけあれば"bluescsi.ini"は不要です。フォーマットが終了すると自動で再起動され、RECボタンを押すと(フォーマットできていれば)録音可能時間が表示されます。2GBだとステレオ生WAVではせいぜい3時間程度しか回らないはずで16時間録れるということはDolby AC-2なのですね。■SCSI2SDを試す手持ちのSCSI2SDは数年前にiteadの出荷が止まっていた時期にAliexpressで買った中国製の互換品で基板裏に"S50TOSD"とシルク印刷があります。終端抵抗が物理抵抗だったり電源コネクタが付いていたりするのでV4な気がします(販売元ではV5.0Aと書いていたような)。この基板の電源コネクタは基板上に12Vの配線パターンが無いのでV5.1以降の基板のように黄色線をカットして5V線だけにする必要はありません。MicroSDカードは4GB(FAT32でフォーマット)を使用。ハギワラシスコム製品かなこれ。以前Firmwareを4.8.2にしてAKAI DD1000で試した際は動作不調だったので今回4.6にバージョンダウンします。本記事執筆時点でまだ販売されている古いV4系基板の設定の方法は下記のページに詳しいです。【参考】SE/30-A、B セットアップ(753Note)https://waterfront111.sakura.ne.jp/SE30/02.html中段「3. SCSI2SDのセットアップ」設定ソフトウェアscsi2sd-utilの入手は下記から。SCSI2SD Documentation Hubhttps://docs.scsi2sd.com/バージョンダウン用のfirmwareイメージ v.4.6.0をダウンロードしておきます。V4系基板の最新は4.8.4で私自身は4.6で動いたあと4.8.4を試していません。4.8.4で問題なく動く可能性もあります。Firmware and Utilities for SCSI2SD V3, V4, and V5.0http://www.codesrc.com/files/scsi2sd/archive/MicroUSBケーブルでWindows PCとSCSI2SD基板を繋ぎ、scsi2sd-util.exeを使ってV4用のfirmware 4.6を読ませます。V4用を選択。scsi2sdの一番下には基板と繋がっていればバージョン表記が出ますのでそこが4.6になる。以降Windowメニューからshow logで反応を見ながら設定します(見えない時はウインドウが後ろに隠れている)。たまにSave to deviceがprotocol errorでコケる時がありlogを見ているとわかる。BlueSCSIと同じ2GBターミネーター無しで動きました。BlueSCSIと比べると若干動作が遅いようです。最低限動くことは確認できたので次回さらに設定を詰めます。つづく(がんくま)【関連記事】360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(2)360 Systems Instant Replay DR-554-EのHDDをSSDに置換する■今回の修理とは関係ない部分の資料用写真集操作パネル裏側アナログボリューム部裏側ディスプレイパネル下端電源基板
ムラサキノオトでは4月12日(日)に新作ドラマ作品のセリフ録音を行いました(いつもガラクタいじりの話を書いていますが、このブログ本来はオーディオドラマを作ってるサークルのブログなんですよ)。編集はこれからですが(といってM3当日まで2週間を切 っておりますが)、20〜30分程度のオリジナル脚本で、いつもと同様ラジオドラマ的なヒューマンドラマCDになります。タイトル「真面目と不真面目の境界線」【出演】サウザー咲、くろ。、戸愚呂 妹、南瓜南、杉宮加奈、ゆきはら、井田愛理、がんくま【スタッフ】がんくま(脚本・演出・技術)今回の録音では満を持して(?)audio-technicaのAT-4050で全編録音を行いました。以前からCAD M179の後継のサークル主力マイクと位置付けておきながら「何でも試せる同人作品ではもっと変わったマイクで録ってみたい」と定番品であるAT4050を使わずにいました。なので技術的には安全牌でいたってスムーズに録音終了。先日記事にしたばかりのストップウォッチも使いました。今回はサークル創立時のメンバーが多めでしたので、収録後の打ち上げでは昔話に花が咲き。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。いやあやっぱり同人サークル活動は楽しいですね。後日作品情報のページを開設します。M3-2026春当日のサークルスペースはG-16bです。(がんくま)
電池切れです。■電池交換使用されている電池はコンビニや100均でも買えるCR2032なので入手は簡単です。裏蓋の周囲にある6本のネジを精密ドライバーで外します。金属製のプレートで覆われたCR2032が見えるので、矢印部分のフックを爪楊枝等で外すと電池が取り出せます。新しい電池に交換したら、圧電ブザーに貼ってある注意書きに従って電池+側と電池の右側にある金色のAC端子を2秒ほどショートさせます。電池を入れた時点で液晶には1988年の1月1日0時からの時計が動いているはずですが、ACをショートさせるとその時間がリセットされるはずです。あとはパッキンのゴム輪のヨレを直して元通りに組み立てるだけですが、本製品は緑色のムーブメント部分がフロントパネルの凹みにハマっているだけなので位置が悪いとボタンが反応しません。ネジで締め付ける前に各ボタンが動作するか要確認です。■MODEスイッチの動作が怪しい電池交換後に組み立てたところ前面のMODEスイッチの挙動が怪しく再度分解して調べてみましたが、組み付けズレではなくスイッチ自体の反応が極端に悪いです。ボタンのシリコンカバーをピンセットの先で押しても反応しないので、シリコンカバーを外して基板のパターンをクリーナーで洗浄したり、シリコンカバーの裏側にある導体を鉛筆で塗ってみたりしましたが改善せず。右下にポツンと転がっているのがシリコンカバーと裏側の黒い導体です。取り外し時に飛んで紛失しないように要注意です。電池をホールドしている金属板を止めるネジ4本を外して更に調べてみました。ここまで分解すると電池のマイナス側のバネや圧電ブザーのバネも外れるので電池交換だけならここまで分解する必要はありません。基板の右下側にACと書かれた端子が見えます。すると原因はAC端子の下側にあるバネ端子の接触不良でした。記憶が残っていませんが、前回電池交換をした時にここを押すとACショートになると勘違いしてドライバーの先で触っていたのが良くなかったようです。接点洗浄の上で金属板を曲げてバネが確実にパターンに接触するようにしたらMODEスイッチが快適に動作するようになりました。同じように電池の+側にあたる金属板とバネ端子で通電している接点が複数あるので、動作不良時は接触具合を調整すると改善する場合があるかも?■思い出話放送中継のアルバイトから誘われて音響効果の仕事に就いた時、初日に会社の先輩に言われたのが「安物で良いからストップウォッチ買って持ってきてね」でした。その言葉に従って1000円程度の安いストップウォッチを買いました。最初の仕事は毎日のニュース番組の音付けでしたが当時は6mm(オープンリール)デッキとCDプレーヤーで送出を行なっていました。現在のようにDAWのタイムラインに動画を貼ってBGMを編集したりはできず、音効はN編のβ-camの編集卓で試写する時にストップウォッチで映像の尺を測り、そのメモを見ながら磁気テープをハサミで切ってBGMを編集していたのです。音は生付け(MAを通らず番組内でVTRを送出する際にタイミングを合わせて同時に音を出すこと)なので、絵と音が合うかどうかは本番のONAIR時にしか確認できない一発勝負なのでした。そんなわけで当時の音効さんはみんな首からストップウォッチをぶら下げて放送局内をウロウロしていました。ストップウォッチと編集ハサミと白デルマ(ダーマトグラフ)が我々の3種の神器だったのですね。上の写真で白デルマとスプライシングテープと共に写っている右下のテープはDYMOテープでテプラの前身の肉厚テープです。下の写真の高価な編集ブロックを使うよりも6mmデッキに7cm位に切ったDYMOテープを貼って、それにテープを突き当てて直線を出しスプライシングしていました。編集ハサミは非磁化性金属かセラミック製のものが必要でしたがこれもまた高価で、今も昔も就職してもプレッシャーが強いためすぐ辞める人が続出する業種でしたから初心者にいきなり高価な道具を買えとは薦めにくい状況でした。ハサミは一般向けの安価な鉄製のものを局内にあるビデオテープの内容を消去する巨大な消磁器(バルクイレーサー)で定期的に消磁し、ブルーバック画面にしたブラウン管の管面にハサミを当てて変色しないかどうかで確認していました。音効として数年間辞めずに生き残るとストップウォッチやハサミ、編集ブロックといった道具にプライドが出てきて安物を使っているのが段々恥ずかしくなってきます。ラジオドラマのディレクターは同じくSEIKOのSOUNDPRDUCERという時間計算ができるストップウォッチを使っていましたが、高いし重いし時間計算機能が秒単位でフレームに対応していないしで、握ったフィーリングで決めて買ったのが本機S123-4000になります。本機特有の機能としてプリンターに繋げて印字が出来るのですけど私は使ったことがありません。でも「おっ、けっこういいストップウォッチ使ってるね」とディレクターから言われるのは満更でもなかった。以来数年間仕事で使いましたが6mmテープからDAW時代になりビデオテープや動画ファイルで事前に映像をもらえる時代になるとストップウォッチを使う必要性が薄れ、今ではTK(タイムキーパー)さんを除いてストップウォッチを現場で持ち歩く人は見かけなくなり、私もサークル作品の本読みの時位しか使わなくなりました。それでも触ってみると安物のストップウォッチやスマホ内蔵のストップウォッチ機能よりボタンの動作が確実で、やっぱりこれよこれって感じです。こいつは昔の戦友なのです。(がんくま)
数年前にCEMPW100でECMマイク用のファンタム電源ボックスを作った時に紹介したECMカプセルの出力をXLRバランスで出力する中華製基板を放置したままだったので少し詳しく調べてみました。【購入先】Module Skyhttps://ja.aliexpress.com/item/1005003392179055.html・2線式ECMカプセル専用。・XLRピンからのファンタム電源供給でECM用電源電圧が得られる。・価格は800円でセールで500円(送料別)程度。購入当時は400円だった。・基板に「丰圆意」とシルク印刷されている。・サイズ4.50cmx1.58cmx2.00cm「丰圆意」は日本語の漢字にすると「豊円意」。中国語の「丰(fēng):豊作、豊かさ、容姿が美しい」「圆(yuán):丸い、円満、欠けていない」「意(yì):意向、願い、満足する」を組み合わせた言葉で、「豊かな実りと円満な生活」を願うフレーズとして春節や祝辞で使われる定型句だそうで、おめでたい基板なのである。しかしこの言葉で検索しても製造元の情報はヒットせず。基板の配線パターンは太く裏側もほぼべったりアース面です。全ての部品は表面実装品でオーディオ用高級パーツというわけではありませんが品質は安定していると思います。回路図にしてみました。基板上に部品番号が無い部品にはこちらで勝手に番号を振りました。典型的なSchoeps回路で改造が流行ったBM-800と定数を含めかなり似ています。C1の容量は測定できませんでしたが同じだとすると1μF。違いはカプセル出力受けの高抵抗内蔵FETが無いのと位相分割用のQ1がNPNではなくPNPトランジスタになっていることです。この場合はベースに入力された波形と同相の信号がエミッタ側に出てきますからカップリングコンデンサC3を経由してXLR3が同相出力です。2線式ECMの出力は逆相なので結果的にXLR2が正相になります。Q4/Q5は何故欠番なんだろうかとか、R12とR13の抵抗値が違うのは何故だろうかとか疑問が残りました。3線式ECMカプセルで使えるかどうか調べるために改造してみました。R1とC1の間をパターンカッターで切り離し(またはR1自体を取り去り)、代わりの負荷抵抗となる2.2KΩを基板端にあるMICの+端子とー端子のスルーホールに挿し、3線式ECMの配線を下記の箇所にハンダ付けします。ソース:+端子ドレイン:R1のQ2側のランド(電源)GND:ー端子改造した箇所のアップ赤い部分をカットしR1のQ2側のランドからECMの電源を得る。GND側に移る負荷抵抗は裏側に付けました。3線式に改造したXCM6035を繋いで動作チェック。ファンタム電圧37.5Vの時、カプセル電圧(Q2のエミッタ出力電圧)は6.9Vでした。この改造によりソースフォロアーとなり歪みが減って音質が向上するはずですが改造前と出力の位相が反転します。BM-800と違いリード線の付け替えはできませんのでXLRコネクタの根元部分のパターン(下記写真)を切って&裏側も使って2番ピンと3番ピンの配線を入れ替えるか、受け側機器で位相を反転させて対応すると割り切るか、Q1(2L)をNPNトランジスタに付け替えるかです。チップトランジスタ(G1)が無い場合はリードタイプの2SC1815とか2N3904とか付けとけば良いと思います。ここは私の理解が間違っていて、正しくはQ1のコレクタとエミッタを入れ替える、のはず。NPNでもPNPでもエミッタ側がべース入力と同相、コレクタ出力が逆相。未改造だとXLR2(ホット側)が逆相。チップトランジスタだとパターンを変更しないとCとEが入れ替えられないので、リードタイプのトランジスタを使用するほうが楽。となると2SA1015とか2N3906とかでしょうか。初期状態のQ1端子位置しかし、実際にNPN(G1)に貼り替えてみると[貼替え前][貼替え後]位相が反転します。下記はSONY ECM-55Bと本基板+XCM6035とAKG LC-617MD+CEMPW100をカプセル部分を同位置に置いて録音した波形を拡大したもので、PNP(2L)の時と、NPN(G1)に変更した場合を見比べると、真ん中の本基板の位相が反転しているのがわかります。今度はQ1をTO-92型の2N3906Y(PNP)にしてエミッタとコレクタを入れ替えました。2N3906のリード線は左からEBCなので、下記の配置になるように取り付けました。波形を見てみると再び位相が反転しています。PNPトランジスタを使っているとCとEを入れ替えても位相は変わらない。NPNにすると変わる。調べた話と実際の結果が逆になっていてちょっと混乱してきました。上記の3つのマイクのレコーダー側の録音レベルはどれもあまり変わりませんで、ソースフォロアーと現在の負荷抵抗値でも出力レベルが低すぎることは無さそうです。BM-800ではホワイトノイズ低減のためにダイオードを抵抗にするか、ダイオードとC8の間に2.2kΩの抵抗を追加する(参考Ayumi's Lab.)改造がありましたので、パターンをカットして抵抗を追加してみました。[抵抗追加前][抵抗追加後]確かに雑音は少し小さくなるのですが、BM-800の時ほど顕著に小さくはならず。BM-800のダイオードほどノイズが大きくないのかもしれません。XLR2/3出力の保護抵抗と思われるR12とR13の抵抗値が違う件は、トータルのインピーダンス対策でそうなっているのか、コピー元の回路を使い回しているのかわからず。試しにBM-800と同様に両方47Ωにしてみました。このままだとイマイチなんで実用する時はもっと小さい抵抗にします。1/4Wの小さい金属皮膜抵抗にしてみましたが、それでもこんな感じです。BM-800と同様にC3/C4をフィルムコンデンサにすると音質が向上するはずですが、基板が小さく実装密度が高いため交換の難易度は高いです。今後、未改造品と録音を比較するなどして更に追記していきたいと思います。この基板は現在も入手可能ですが、似た製品で赤い基板もあります。https://ja.aliexpress.com/item/1005006494637270.html上記の写真を見た限りでは内容はほとんど一緒ですが、赤い方にはカプセル側の初段にFET(おそらく2SK596)が付いていて、よりBM-800に近い回路と思われます。(がんくま)【関連記事】ECMカプセル(ダミーヘッドマイク)用のファンタム電源兼バランス出力変換BOXClassic Pro CEMPW100をMicroDotのマイクで使ってみた萌声!激安中華マイクロホンの改造
10年前の修理から音的には何ら欠点を感じず昨年(2025年)春まで使っていました。最近になって使えるなら見た目は問いませんという学生に譲るため動作チェックをしたら片側の高域が出ません。テスターでツイーターAUDAX TW025M0の断線を確認しました。前回とは別の原因による再修理です。修理から10年経過したツイーターの内部にはほとんど変化がありません。磁性流体(フェローフルイド)充填直後のギャップの10年前(上)とその10年経過後(下)の比較。コイルに付着する分もあるので僅かに減っていますが大きな変化は見られません。前回、初のツイーター修理で試行錯誤の末にアルテコパワーエースと墨汁でシルクドームの再コーティングを行ったダイアフラムも状態に大きな変化は見られませんで、この手法の耐久性が証明されました。コイルが断線しなければまだまだ使えたことでしょう。ボイスコイルからリード線が引き出される部分が断線していました。私にはここをハンダ付けする技量はありません。AliExpressのGHXamp Audioから25.4mm(1inch)のダイアフラムを取り寄せました。https://ja.aliexpress.com/item/32878001801.htmlこのショップを利用したのは初めてでしたが、潰れやすいスピーカー部品を事故なく送るために梱包にしっかりとした配慮があり品質も素晴らしい。コイル径や突出量は問題なさそう。リード線も太くて丈夫そう。10年前に再コーティングした部分を上記の新品と比較すると手塗りで濃淡にムラがあるのは仕方がないとして、シルクドームの再現度としてはけっこうイイ線行ってたと思います。しかし残念ながらこのダイアフラムはサイズの問題で使えませんでした。【元のダイアフラムのサイズ】コイル径 25.4mmドーム径 31mm生地径 36mm台座外周直径 54mm台座のドーム開口穴径 30mm大きなネジ4穴 対角距離 47.5〜48mm 穴径5mm小さな穴2穴 対角距離48mm 穴径4mm【取り寄せたダイアフラムのサイズ】コイル径 25.4mmドーム径 31mm生地径 36mm台座外周直径 約62mm端子部分の直径81mm(端子を折って83mm)台座のドーム開口穴径 31mm大きなネジ4穴 対角43〜59mm(ネジ対角にして47〜56mm) 穴径5mm小さな穴4穴 対角距離44mm 穴径3mm※正確に定規が当てられない部分があるので1mm程度の誤差があります。TW025M0のマグネット側にはセンター出しの為の突出部が2つあり、まずそこのサイズが合いません。それだけなら穴を広げればよいのですけど、そもそもエンクロージャー側のバッフル穴径が73mmで板厚もあるので端子部分の横幅が81mmだと入らないです。仕方がないのでシルクドーム+コイルのみを再度取り寄せて元のプラスチック製台座に貼り込むことにしました。https://ja.aliexpress.com/item/32827390652.htmlこちらも個装ではないけど潰れないように配慮された梱包で一週間で届きました。クーポン利用で2個も4個も値段変わらないので4個購入。リード線の引き出し方向を除けば前述のダイアフラムに貼ってあるのと同じものです。前回の修理でコイルがギャップに接触して音が濁る経験をしているのでどうにもセンター出しに苦手意識があります。古いドームを撤去すると一段低いリング状の接着面が出現。ベタ付けというより線状に接着剤か塗布されていたように思えます。繊維状の模様で残った古い接着剤は溶剤で除去しきれなかったのでパターンカッターで削り取り、脱脂しました。交換するシルクドームを接着面の段差をガイドにしてマスキングテープで仮固定します。リード線もマスキングテープで仮固定してから端子にハンダ付けしますが、台座が熱にとても弱くハトメのハンダが溶けるまで加熱し続けると変形してしまいました(右側の端子)。この失敗の反省から以降はヒートクリップで吸熱しながらちょっとずつ溶かして付けるようにしました。テスター測定による巻線抵抗値は断線していないオリジナルが5.5Ωで交換品は6Ωでした。マグネットに装着し、高域の濁り(コイル擦れ)がわかりやすい音源を再生しながらセンター出しをする目論見でしたが磁性流体が入っているのでコイルが浮き、音がビビります。マスキングテープの固定箇所を増やします。磁性流体には自動最適化の性質があるので音を流しながらだとある程度自然に位置が決まる所があり、前述のリングをガイドに仮固定していれば事前の想像ほどセンター出しは難しくありません。前回苦労したのはコイルが斜めになっていたからですね。位置が確定できたらマスキングテープを少しずつ剥がして接着していきます。使った接着剤はB-7000です。カッターナイフの先で生地の端を持ち上げ、パターンカッターの先で接着剤を塗り、1〜2分待って初期乾燥でベタつき始めたらヘラの先で押し付けマスキングテープで固定、の繰り返しで円周を貼っていきます。作業中も音(いつもの新居昭乃「ばらの茂み」と窪田ミナ「金の波 千の波」のピアノ・ソロ版)を流しコイル擦れが発生しないかチェックしながらで、トイレットペーパーの芯を載せると聞きやすい。コイルの突き出し量の比較です。交換前のオリジナル(上)より交換後(下)のほうがごくわずかに凸量が多い(交換前はコイルの先端に磁性流体が付着していて黒くなっている)。逆にフロント側の突き出しは交換前(上)のほうが高く、交換後(下)は少し低くなりました。パネルを装着した状態。交換前(上)より交換後(下)のほうが凸量が控えめです。シルクドームを貼り終わったら台座を裏返してリード線を固定します。接着剤は絶縁を兼ねて黒色のT-7000。この配線は浮くので8〜10分後の接着剤がベタベタしつつも手には付かない頃を見計らって指先で押し付けるのですけど、交換品のリード線はオリジナルの細いエナメル線に比べると太くて絶縁性が無く、接着剤による絶縁だけでは不十分でパネル組み付け時にネジを締め付けるとマグネット側の金属面とショートして音が途切れてしまいます。最終的にはエーモンの結束テープで絶縁しました。下の写真は2個目の施工例でリード線のゆとりと絶縁テープの貼り位置を考えて1個目より内側に配線位置を変更しています。交換後、エンクロージャーに付けて断線していない方と鳴らし比べてみましたが予想外に差がありません。交換後のほうがややピーキーな帯域を感じて前回コーティング修理したほうが音が柔らかい感じですが、意識して聞かないとすぐにはわからない程度の差でエージングで馴染むかなという感想。位相も同じでした。つまり取り寄せた新しいコイルは裏側(コイル側)から見て下側にリード線を延ばした状態で右側のリード線がプラス、左側がマイナスで、このスピーカーの配線では青色線がプラス(台座側の端子に赤色の着色がある方)、白色線がマイナスです。音質と寿命を左右で合わせるため断線していなかった方も同様にシルクドームを貼り替えました。本機のネットワークは寿命が短い電解コンデンサーではなくフィルムコンデンサーで聴感上のバランスも問題ないので特に手を入れずそのままです。フロントパネルのフィルム端が剥がれかけなので接着剤(アルテコパワーエース)で剥がれないように補修し、底面には保護のため耐久性のあるカモ井のマスキングテープmtを貼りました。ウーハーの周囲のリングが変形して外れていたので切れ目を入れて少し長さを詰めてから接着剤(セメダインスーパーX)で貼り直し。古くなって見栄えはさほど良くありませんが、10年以上仕事で使っていただけあってこれの音に慣れております。透き通るような高音というほどではないにせよ高音はちゃんと出ていますし、無理して出している低音ではなく自然な低音で音量を下げても高音と低音のバランスが崩れない。私にとっては「普通のスピーカー」。GENELECやADAMよりもこういうので良いんだけどな。私の手元からは離れるけれど、少しでも音の後輩の役に立ってくれれば。自宅のモニタースピーカーはYAMAHA NS-10M→AUDIX Studio1a→Soundcraft Spirit Absolute2と変遷してきましたが、次はDynaudio BM-5を復活させる予定です。本記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Soundcraft Spirit Absolute2 ツイーター修理記(1)Soundcraft Spirit Absolute2 ツイーター修理記(2)Soundcraft Spirit Absolute2 ツイーター修理記(3)AUDIX Studio1A 修理記
■変換作業 準備編前回、令和6年になってDTRSテープを取り込むのがかなり難しくなっている現状をまとめました。そんななか実際に古いテープの変換依頼がありました。当家に残存するも長年使っていなかったDA-98を掘り出して試すも既に故障修復が不可能と判明し、TASCAMへ送ったDA-98HRは修理受付終了につき対応不可で返送され、やむなく複数台の中古デッキを分解整備して部品を融通し、海外からトルクテープを取り寄せ、かろうじてDA-78HRが動く状況に持っていけました。これはこれで結構苦労したので別途記事化できそうですが、今回は正常に動くデッキがある前提のおはなしです。10年以上ぶりにDTRSテープからProToolsセッションファイルへの変換(TDIFを使ったデジタルコピー)を行いました。テープの内容は2000〜2008年の間に日本と海外のダビングスタジオでデジタル録音されたテレビアニメとアニメ映画のDB-MIX、パラミックスです。24bitのHRモードのテープは数本で大半が16bit/48kHzですが海外版のPALも含まれタイムコードフォーマットは各種混在しています。【使用機材】DTRSデッキ: TASCAM DA-78HRシンクロナイザー: Digidesign Sync I/Oオーディオインターフェース: Digidesign 192I/OTDIFが使える機材としてDigidesign 192I/Oの他に当時良く見られたのはMOTU2408です。当家にはMOTU2408mk2とPCI-424カードが現存しますので今回試してみましたが、TDIFインターフェースとしてもTDIF→ADAT変換インターフェースとしてもちゃんと動作しました(ワードクロックで同期させてDA-78HRのTDIF OUT→2408でADAT変換→192I/OのADAT in)。シンクロナイザーはWordClockとSMPTE LTCの同期が両方同時にできるものであればおそらく使えます。SYNC I/Oの後継機種SYNC HDと、パソコンにプリンタポートがあればMOTU Digital Timepiece、無ければMIDI Timepiece AV USB、Rosendahl Wif2(要MIDIポート)、ProToolsではなくSteinbergのDAWで取り込むならNUENDO TIME BASEやNUENDO Syncstationが使えると思いますが、SYNC HDとSyncstationを除いてもはや骨董品になりつつあります。物によっては64bitのOSでは動かないかも? DAW:ProTools HD10(HD core/Accel Card)PC:Core2Duo Macintosh???+Mac OS X 10.9.5(Mavericks)当家ではHD10/11がまだ現役なのですけど懐かしい画面と思う人がいそう。■変換作業 配線編SYNC I/OのHOST SERIALとProToolsのHD Coreカード間はOld Mac用のプリンターケーブル(RS422ケーブル)で接続します。自宅を漁ったら昔これ用に確保していた新品が出てきました。偉いぞ過去の俺。アナログ入出力は使わずフルデジタルで8chマルチトラック音声を転送するため、D-SUB25pinのTDIFケーブルを使いDA-78HRのTDIF-1と192I/OのTDIF I/Oを接続します。次にデジタル音声転送に必須なデジタル同期の配線をします。本来なら送り出し側のクロックに受け側のクロックを追従させるのがセオリーなので、最初はセオリー通りに送り出し側のDA-78HRをワードクロック同期マスターとしてSYNC I/Oと192I/Oをスレーブの設定にしてみましたがシンク不良で盛大にパチパチノイズが乗ってしまい実用に耐えなかったので、SYNC I/Oをワードクロック同期マスターとしてDA-78HRをスレーブ同期、SYNC I/Oと192 I/O間は通常のループシンクとすると安定しました(ハウスシンク方式)。SYNC I/Oの WORD CLOCK outからDA-78HR WORD SYNC inの間を75ΩのBNCケーブルで接続し、SYNC I/OのWORD CLOCK inは75ΩのBNCターミネーターで終端します。DA-78HR側の空き端子は自動終端なのでターミネーター不要です。SYNC I/Oと192I/O間はお互いのLOOP SYNC in-out間を2本のBNCケーブルで相互に接続しループシンクとします。しかし後述のように取り込みが上手く行かないテープを再取り込みしている際には配線を変更しDA-78HRを同期マスターとしてSYNC I/Oと192I/Oをスレーブ同期としたほうが好結果となったケースもありました。同期でトラブルが発生した場合は配線や設定を変えての試行錯誤が必要です。DA-78HRとSYNC I/OのWORD CLOCK in-out間を2本のBNCケーブルで相互に接続しておけば背面の配線を変更することなく機器側設定で同期マスターを選べます。また、古すぎて怪しいBNCケーブルを新品に交換したら不安定だった同期不良が解決した事もありました。同期なんか繋がってりゃ良いんでしょ、といい加減なケーブルを使うとハマります。続いてSMPTEタイムコード同期の配線です。業務としてはこれがシンクロしてProToolsセッションファイルに変換できないと作業の意味がありません。廉価版機種であるDA-78HRのTIME CODE OUT端子はXLRでもBNCでもなく民生用のRCAなので、コンピュエース秋葉原店の閉店セールで買ってきたRCA-XLR変換ケーブルでSYNC I/OのLTC INに配線しました(写真の短いケーブルよりも1.5m品のほうが使いやすいはず)。特にレベル調整無く追従しました。ワードクロックと違いLTCは可聴音声信号でアンプに繋げば音が出るので出力を確認できます。ProToolsからDTRSデッキへ録音する場合はこれらの配線に加えてSYNC I/OのLTC OUTからDTRSデッキ側のTIME CODE INへ配線したり、ProToolsからDTRSデッキをリモート操作する場合はREMOTEケーブルを繋いだり、業務用ビデオデッキへの音戻しを行うならVIDEO REF同期の配線をしたりするのですけれど、今回はDA-78HRからProToolsへ一方通行でデータを送るだけなのでそのような配線はしません。DA-78HRにも192I/Oにもヘッドホン端子が無いので、192I/OのDB25アナログバランスアウト端子からミキサーやスピーカーに音を出して耳でモニターできるようにしておきます。■変換作業 デッキ側の設定DA-78HRの設定を行います。7セグLEDでアルファベット表示をしているので慣れないと読みにくいです。””で囲まれている所は選択肢なのでその前のボタンを押すか▲▼ボタンで選択。・テープ再生のタイムモードをABSからTimecodeに変更 (time modeの設定)SHIFT→MENU→"SyStEm"→SUBMENU→”timEmodE”→”t.md tC”・デッキのカウンターをタイムコード表示に変更 (TC displayの設定)SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”diSP”→”diSP.tAPE”・使用するタイムコードのフレームレートを設定 (frame modeの設定) SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”Frm modE”→”SyS.29nd”(29.97NDF)※テープのフレームレートと合わせる。29.97DFなら”SyS.29dF”・TIME CODE outから出力するタイムコードをテープに記録されたタイムコードに変更 (output TC Sorceの設定)SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”Out.tC.SrC”→”tAPE tC”・TIME CODE outから出力するタイムコードのタイミングをDIGITALに変更 (output TC timingの設定)SHIFT→MENU→"tC"→SUBNENU→”Out.tC.tmG”→”diGitAL”※TDIF/SPDIF OUTではなくアナログオーディオOUTを使う場合は”AnAaLoG”にします。・ワードクロックのデッキ側同期設定(Word Slave Syncの設定)フロントパネルのCLOCKキーを押してどちらかに設定。▶外部ワードクロックにスレーブ同期する→ WORDのみ点灯(WC EXTERNAL)▶デッキ側をワードクロックマスターにする→ WORD/DIGITAL IN両方点灯(WC INTERNAL)■変換作業 ProToolsの設定I/O設定画面で192I/OのTDIF INをDIGITAL INに立ち上げINPUT chに設定しトラックを作成。再生ch(A1~A8など)を設定。セッション設定ではビットレートとタイムコードレートが重要で、テープ側に記載の録音情報から設定します。ポスプロスタジオで録音されたものは箱に記載のSync MasterがVIDEO(REF VIDEO)になっているものがありますがそれは録音した時の話で、今回ビデオデッキは無関係でDA-78HRとProTools間はWordClockで同期しているので無視してかまいません。SYNC I/Oのワードクロックとテープ側のサンプルレートが異なるとエラー表示が出ます。▶ワードクロック同期マスターをProTools側にする場合DA-78HRのCLOCK表示はWORDのみ点灯させる(WC EXTERNAL)[セッション設定]サンプルレート/ビットレート 48kHz/16bit(テープ側のフォーマットに合わせて設定)クロックソース 192I/O #1→内部クロックリファレンス ループシンクポジショナルリファレンス LTCフレームレート 29.97(テープのフォーマットに合わせて設定)▶ワードクロック同期マスターをデッキ側にする場合DA-78HRのCLOCK表示はWORD/DIGITAL INの両方点灯(WC INTERNAL)[セッション設定]サンプルレート/ビットレート 48kHz/16bit(テープ側のフォーマットに合わせて設定)クロックソース SYNCクロックリファレンス ワードクロック 48kHzポジショナルリファレンス LTCフレームレート 29.97(テープのフォーマットに合わせて設定)PAL(EBU)25フレーム■変換作業 取り込みProToolsを「トランスポートオンライン」にします(LTCに同期します)。録音モードを「クイックパンチ」にします。録音トラックをRec Enableにします。デッキ側の再生ボタンを押すと数秒後にProToolsが自動的に追従再生になるのでパンチインでRecします。※REMOTEを配線していないのでProTools側からデッキのトランスポート操作はできません。【Tips】パチパチとノイズが入る場合はワードクロック同期が変なので配線や設定を見直します。前述のようにワードシンクマスターをデッキ側にすれば必ず良い結果が得られるとは限りません。ノイズと音質は耳でチェックしながら作業する必要があります。タイムコード同期が外れるとテープは走行したままProToolsの録音が止まってしまいます。止まった箇所から少し巻き戻してパンチインで録音し直し、後でProTools上で影響が無い編集点を調整します。写真のようにタイムコード同期が一定間隔で何度も外れる場合はタイムコードの設定が違います。テープが29.97NDFなのにセッションの設定が29.97DFだったり。テレビアニメやテレビドラマは29.97DFですが、それらのDVDは29.97NDFだったりします。テープダメージ等で何度録音し直してもテープの特定箇所でタイムコードが飛ぶ場合は、ProToolsのフリーホイール設定のフレーム数を増やすかジャムシンク機能を使ってTCが飛ぶ部分を前後の糊代付きで録音し、後でProTools上で編集点を調整します。デッキのPB CONDITIONランプがチラッと点灯した所はデータ欠落が生じているのでタイムコードを控えておき、後から録音結果をチェックします。1-2chの音声をモニターしていて問題なくても下の写真のように1-2chと3-4chは比較的マトモなものの3-4chと7-8chはドロップしているといったような場合が良くあります。なので変換中はずっとデッキの前に張り付いて監視している必要があります。テープもデッキも新しいうちはほったらかしでもエラーが無かったのでしょうが、どちらも古くなっているので仕方がないですね。デッキの蓋はすぐ開けられるようにしておき、ヘッドドラムや走行系がクリーニングできるようにしておきます。再生中にPB CONDITIONがチラチラと何度か点灯した後に連続して点灯して取り込み不良になる場合はヘッド汚れになっていてクリーニングすると回避できる場合があります。8mmビデオ用のクリーニングテープはカビ害等の対応には向きません。一般的なビデオデッキとは違いDTRSデッキのヘッドを手で回転させるためにはゼムクリップを伸ばしたものなど細い針金が必要です。ヘッドが薄くて華奢なため綿棒は厳禁で、セーム皮やメガネ拭きに使うマイクロファイバークロス(洗車用は不可)とエタノールまたはイソプロパノールを使用します。テープ窓から見て白いカビが見えるようなものは論外として、長期保管していたテープの先頭部分はカビ害などで再生するとすぐヘッドが汚れる場合があるので、取り込みはテープの途中部分から終わりまでを先に行い、先頭部分の再生は後回しにして後からProToos上で編集でつなぐといった工夫が功を奏す時もあります。巻き戻しと早送りのスピードは低速から高速へ遷移します。低速のほうがヘッドに負担がかかり高速は停止する時にリールテーブルギアに負担がかかります(同部品が割れるキッカケになる)。現在正常動作しているデッキならリールテーブルギア保護のために巻き戻し・早送りはなるだけ避けます。問題なく取り込みができた場合は巻き戻ししないでテープを取り出します。取り込み不良の原因はカビ害やテープ表面の汚れの場合もありますが、チェックしてもそれらの問題が無い場合は何らかの原因で磁気記録が劣化しています。可能性としてあり得るのかな、と考えているのが「転写」です。転写は磁気テープの宿命でアナログテープでも巻いたまま何年も長期保管していると起こります。8mmビデオテープはメタルテープで保磁力が普通のオーディオ用テープより強いです。これを長期保管しているうちに転写が発生し読み取り精度が下がってしまった可能性を考えています。DTRSでは「DTRS専用のマスターテープ」と「Hi-8用の一般ビデオカメラユーザー向けテープ」が利用できました。推奨規格を外れるアングラ利用法としてはHi-8の先代規格のVideo8用のテープ(Hi-8テープより保磁力が弱い)のカセットに追加の検出穴を開けて流用することも可能でした。実際にRF信号を比較して確認したわけではないのですが、体感としてはマスター用の保磁力が強いDTRS専用テープよりも一般ビデオカメラユーザー向けの安価なテープのほうが転写の程度が緩く長持ちした可能性があるのではないかと思います。過去の再生デッキによってテープに傷が入っている場合やヘッドの消耗による読み取り不良の可能性もあります。消耗が進んだヘッドではテープトルクを調整し直すと読む場合があります(修理技術者でないと触れません)。TDIFによるデジタル転送ではデータがドロップして無音になるがアナログ出力ならノイズは混じりつつも音は出る、という場合もあります。最終手段としては完全なデジタルコピーを諦め部分的にデッキのアナログ出力を録音して欠損部分を復元する事もあります。この+4dBuのDB25アナログマルチ、ピンアサインは共通なんですが左右の抜け止めネジがDA-78HRはミリ、192I/Oはインチ・・・。ところで、この作業は真夏に冷房の無い部屋でやるものじゃないですね。ヘッドがかなりの高温になります。やるなら乾燥していて気温も低い冬。■変換作業 編集や欠損の修復などここから先はProToolsの作業になります。写真のテープのようにME(音楽)やSE(効果音)を分けたパラミックスが残っていて正常に取り込めたならば新規に吹き替え音声を録音して海外配信版が作成できます。 5.1chサラウンド音声が残してある例。DVDのサラウンド音声はオーサリング時にDOLBY SURROUND AC-3等の圧縮音声になっていますが、LinearPCMで残っていればMAスタジオでの完パケ時と同じ音質です。5.1chでダイアローグ、ME、SEがテープ3本に分かれて書き出されていると最強です。昔はこれを保存するのが大変だったんだよなあ・・・。取り込み中にタイムコードが飛んだりPB CONDITION点灯で取り込み不良になったりした場合、再取り込みで正常な音声が取り込めた場合は編集点を探して繋ぎます。理想を言えばゼロクロスポイントで繋ぎたいですが、繋いでも問題が少なそうなポイントを探して繋ぎます。無音のところ、シーンの合間、次の音が立ち上がる直前など。単純な取り込み依頼ならここまで納品ですが、特定のトラックの音が欠損している場合は修復が可能な場合もあります。現在変換依頼があるのは吹き替えで海外版を作って配信したいので日本人声優のセリフ抜きのパラミックスが欲しいという場合が多いです。普通の2MixはマスタービデオテープやDVDに残っていますからね。続き物のアニメやドラマなら欠損したBGMや効果音は他の話数(他のテープ)から同じものを持ってこられる場合があります(探すために全話調べる羽目になりますが)。BGMは効果音に比べると使い回しが多く、別途サントラ盤が残っている場合もあるので何とかなる事が多いです。難易度が高いのは効果音のほうです。アンビエンスノイズのように変化が少ない効果音は欠損部分をコピーで埋められます。ME+SEとMEトラックが生きていてSEトラックが死んでいるような場合、ME+SEトラックに逆位相にしたMEトラックをミックスすればSEトラックが復元できます。セリフが被っていなければ2Mixから復元できる場合もあります。もっともミックス時のデッキへのパラミックスの送り方によりリバーブ成分の有無や音量やタイミングの微妙なズレにより完全に他の音が残らず抜けるかといえば実際には難しい事が多いです。残念ながら記録された効果音がどうやっても復元不能な場合は新たに似た効果音を作りなおす事になります。こういった作業にはDTRSデッキの知識の他にProToolsのようなDAW編集の知識に加えてテレビ番組の音響制作経験や高度な効果音の専門知識が必要で(デッキの修理から音響効果までできる私は多分奇行種です)、メディア変換業者にそこまでを求めるのはお門違いでしょう。テープに何の問題もなく正常に取り込めればそれが一番良いのですが(ここまで読んでいただければおわかりでしょうが)全く使えない状態であっても取り込みの作業時間や手間はむしろ余計にかかります。取り込んだ結果、使えるものだけにお金払います、では誰もこんな作業はやってくれません。部分的に修復すれば使える可能性がある、なら修復や編集には別途予算がかかります。今となっては「テープが残っているから業者に頼めばすぐ変換できる」と気軽に考えないことです。DTRSテープの再生寿命とデッキの寿命は既に尽きています。変換を考えているテープが手元にあるならば「いつか」ではなく「即座に」取り込みできると公言している組織(前回記事参照)にデータ変換の依頼をしてください。(がんくま)【関連記事】DTRS(DA-88)の過去作品データをProToolsのセッションデータに変換する(1)
かつては珍しくなかった作業ですが現在(令和7年)では茨の道です。もし変換を考えている方がこの記事にたどり着いたのであれば、いつかやろうではなく即座に行動して下さい。しかしすでに手遅れの可能性があります。実作業の様子のみ読みたい方は(2)ヘ。■DTRSとは?DTRS(Digital Tape Recording System)とは、民生用ビデオ規格であるHi-8ビデオテープに8トラックのPCM音声データを記録する規格で、デジタル録音機としてはDATの上位規格のような存在ではあるものの音楽鑑賞がメインの民生用には普及せず、音楽制作や放送用・劇場用の映像制作の現場で使われました。代表機種は1993年に発売されたTASCAMの初代機DA-88で、ポストプロダクション業では最終機のDA-98HRが2010年頃まで使われていたように思います。DA-88似た規格としては8mmビデオテープにデジタル音声のみを記録するSONYのDigital Audio Video規格があり、民生機としてはこちらのほうが使われましたがDTRSと互換性はありません。SONY自身もPCM-800というDTRSデッキを発売していましたがDA-88のOEM製品でありSONY製ではありません。PCM-800同じ用途の機材ですとS-VHSテープに8トラックPCMを記録するALESISのADATが先行しFOSTEXからも互換機が出ていました。廉価なデジタルMTR(といっても70万円ほどしました)として音楽制作用に普及したものの、VHSテープは大きく嵩張るので本数を保管するには向かずポストプロダクション業界では使われませんでした。番組制作の現場では1990年頃からアナログMTRからDAWの利用に推移していきましたが当時はHDDの容量がまだ少なく、素材や保管用のPCM音声データはHDDよりも安価でCD-Rより容量が大きく入手が簡単なテープメディアに書き出すほうが一般的でした(他にもFairlight MFXで使われたExabyteがあります)。民生ビデオ用のHi-8用メタルテープ。初期のDTRSデッキは富士フィルムとTDK製のHi-8テープと相性が悪かったそうだがDA-78HRでは使用できた。DTRS専用ではないテープでもフォーマットして使用できたので入手性やランニングコストに優れた。そんなわけで2000年前後のテレビドラマ、映画、アニメ番組などのDB-MIXやパラミックス(STEM)がこのDTRSすなわちDA-88とその後継機によって記録され保存されているのです。さて時が移ろいネット配信時代になるとそういった過去作品を改めて配信したいという需要が出てきました。テレビドラマでは10年以上前からトレンディドラマ黄金期のドラマを専門chで配信するべくこのような動きがあり私も依頼を受けていました。制作当時のテレビでは問題なく放送できた番組も現在のネットでそのまま配信するには著作権や演出、出演者事情などで不都合が出る場合が結構あります。すると問題部分だけをカットしたり、BGMをネット配信に対応した別の曲に差し替えたり、さらには外国語の吹き替え版を作るためにセリフとそれ以外の音が分離した素材が欲しいという要望が出てきます。まさにそのような用途に備えてマルチトラック音声データを保存したのがDTRSテープだったのですが・・・。DTRSはTASCAM1社だけしか製造しておらず、そのTASCAM社がデッキの製造と保守から手を引いてしまったため、番組の制作会社やディレクターの手元に残っている過去の番組データは役割を果たせずに消滅する危機に瀕してしまいました。■現代に残るDTRSデッキの状況とTCSハードウェアとしてのデッキの状況は後述するとして、2025年5月現在、TEAC(TASCAM)社はDTRSデッキの修理を受け付けてくれません。保守部品も売ってくれません。個人の感想ですがTASCAMは元々デジタル機器の保守に冷たい所があり(販売終了後のオーディオインターフェースのデバイスドライバ保守を早々に打ち切ったり)、アナログ機器の修理は対応できる限りやる、と公言しているのに対してDTRSは高価で業務利用者が多かったのに対応止めちゃったのか、と、やや憤りすら感じます。とは言え一般的な電化製品に比べてDTRSの保守対応期間が短かったわけではけしてありません。もし過去作品のデータ化を目指して本記事を見ている方であれば、あと5〜6年その判断が早ければまだなんとかなった、というのが正直な所です。今から振り返るとDTRSで保存した作品データの賞味期限は事実上記録から7〜8年で、15年とか20年とか先まで残せるものではありませんでした。ではどうするか?TEACの関連会社ティアックカスタマーソリューションズ(TCS)がデータ化を引き受けてくれます。カビ生えた、ヨレヨレテープを救え! 音声アーカイブの“駆け込み寺”ティアックカスタマーソリューションズに潜入 (AVwatch)https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/2036495.htmlお値段は1本7,700円〜17,600円(テープ長による)となっています。パソコンのデータコピーと違ってDTRSテープの取り込みには実時間がかかりますし、作業編(2)を読んで戴くとわかりますが途中で止まることもあります。変換後の確認まで考えると高価ではありますが妥当な金額ではないかと思います。手元に稼働するDTRSデッキを持っていないならばここへ相談するのが現在ほぼ唯一の手段ではないでしょうか。メーカー関連会社なので機材が保守されているのが強みです。他方、ポストプロダクション会社ではないのでデータ化の融通にどこまで対応してくれるかは疑問です。ノイズ処理とかProToolsの編集作業とかはやってくれないでしょう。本数が少なければそれでも安価に済ませられるでしょうから、変換を考えているテープが今手元にあるなら即相談してみることを強くお奨めします。追記:本記事執筆時点(2026年3月時点)でDTRSテープの変換ができるとWebに告知がある会社のリスト※TCS以外の会社は実働状態にあるかどうか未確認です。※変換を外注しているとはっきりわかる会社は除きました。・ティアックカスタマーソリューションズ(TCS)https://tcs.teac.co.jp/dubbing/・ダビングデジタイズセンター東京(株式会社メディアリース)https://tokyoddc.jp/sounddigitize/ongen/#05アークベル株式会社https://www.arkbell.co.jp/media/digitize/EXA Internationalhttps://www.exa-int.co.jp/lab/media-lab.htmlTOHOアーカイブ株式会社https://www.toho-arc.com/service/film-scanning過去に生産されたDTRSデッキはDA-88(PCM-800)/DA-38/DA-98の初期型4機種とDA-78HR/DA-98HR/DS-D98の後期型3機種があります。24bitのDTRS-HRモード録音に対応するのは後期型のみ、96kHz以上のサンプルレートに対応するのはDA-98HRとそのDSD対応拡張機DS-D98のみですが、当時の番組で96kHz以上で録音されたテープはまずありません。DA-98HRこれらのデッキの2025年現在の状況は利用頻度が少なかったりメーカーの保守対応期間に保守や修理を受けた個体にはまだ動作するものがあり使っている方もいるようです。DTRSデッキの回転ヘッドの寿命は1200時間程度と言われており放送局やポストプロダクション企業での利用が多かったDA-98とDA-98HRは割と過酷に使われていた個体が多いです(ドラム稼働時間は本体機能で表示確認できます)。DA-88は利用頻度が低い機種と高い機種が混在しており当たり外れが大きいです。DA-38/DA-78HRは廉価版で個人スタジオ利用のものが多く、なかには積算稼働時間が短い個体も存在します。しかしどの機種にも消耗部品と傾向故障があり、ヘッドドラムの積算利用時間が少なくても経年でほとんどの個体に劣化や障害が見られます。デッキメカ部、特にテイクアップ側のガイドアームやバックテンションアーム、アイドラーギア(リールテーブルのクラッチ)部分のグリス硬化でテープのローディング不良や走行不良となっているものが多く、これらはビデオデッキやDATの修理経験がある方なら簡単に直せるのですが、最も多いトラブルはテイクアップ側とサプライ側のリールテーブルギアにヒビが入っていてテープ走行時や停止時にギアが変形して回転がふらつき走行異常が検出されてPB CONDITIONが点灯し録音再生が不可能になる、テープの走行トルクが規定値の上限下限を越えてテープパスから外れテープに傷を入れたり巻き込む、といった故障です。ヒビが成長すると高速巻き戻しや早送りから停止する時にギャーとギアが滑る音が聞こえますが、そうなるともう駄目です。ヒビが入ったリールテーブルギア(白い部品)。元より金属板で補強されているもののこのトラブルは多い。修理にはリールテーブルの交換が必要なれど、この部品をTASCAMから取り寄せられないので、部品自体を複製しない限り修理不能となります(SONYの8mmビデオデッキのリールテーブルとは互換性がありません)。またデッキの調整には専用のトルクテープやオシロスコープも必要で、PB CONDITIONならヘッド掃除をしたらすぐ直るだろう、と簡単に考えているとまず直りません。DTRSデッキはVHSビデオデッキとは違い走行の正確性を担保するためのセンサー類が多くトルクにシビアですし、トルクの調整はヘッドの寿命にも関係します。器材レンタル業者の中にはDTRS機がまだ貸し出しリストに載っている所があります。以前は現場同録用やバンド録音用にレンタル需要があったのでしょう。しかしHi-8テープ自体の入手が難しい現在、借りて使っている人がいるとは思えません。使わないとグリス硬化でローディング不良になるので、レンタル依頼をかけても出荷前に動作確認をしようとしたらテープを巻き込んだのでレンタル不可になりました、と言われてしまう可能性があります(藪蛇ですね)。以上が2025〜2026年現在の状況です。つづく(がんくま)【関連記事】DTRS(DA-88)の過去作品データをProToolsのセッションデータに変換する(2)
以前も記事にしたTEISCOの古いマルチケーブルを新たに入手しました。かなり古い製品ですが使えるようにレストアしました。テスターで調べてNK27コネクタのPin1〜4がショートしている古いマルチケーブルはTEISCOマルチです。現行品のカナレの8Pマルチとはコネクタが共通するもののピンアサインが別物で互換性はありません。【ピンアサイン表】ボックス側コネクター JAE NK27タイプFrameGround(FG) NK27-01~04XLR1-1 Gnd ---- NK27-01~04XLR1-2 Hot ---- NK27-05XLR1-3 Cold ---- NK27-06XLR2-1 Gnd ---- NK27-07XLR2-2 Hot ---- NK27-08XLR2-3 Cold ---- NK27-09XLR3-1 Gnd ---- NK27-10XLR3-2 Hot ---- NK27-11XLR3-3 Cold ---- NK27-12XLR4-1 Gnd ---- NK27-13XLR4-2 Hot ---- NK27-14XLR4-3 Cold ---- NK27-15XLR5-1 Gnd ---- NK27-16XLR5-2 Hot ---- NK27-17XLR5-3 Cold ---- NK27-18XLR6-1 Gnd ---- NK27-19XLR6-2 Hot ---- NK27-20XLR6-3 Cold ---- NK27-21XLR7-1 Gnd ---- NK27-22XLR7-2 Hot ---- NK27-23XLR7-3 Cold ---- NK27-24XLR8-1 Gnd ---- NK27-25XLR8-2 Hot ---- NK27-26XLR8-3 Cold ---- NK27-27以前カナレ製の中古の8Pボックスを改造してTEISCO製8Pマルチとカナレ製8Pマルチの相互接続ができる特殊なボックスを作りましたが当家では8Pマルチまで使う機会自体が稀で今まで一度も現場で実用したことがありません。■27芯ケーブル全線導通していました。が、どういうわけかPin14/15がテレコになっていましたので、コネクタ付近のゴム被膜が剥かれていたほうをバラして修正。Pin13/14/15の配線を外した所です。Pin1〜4がシールド網線(FG)に繋いである様子がわかります。故意なのかミスなのかわかりませんがテレコになっていた14/15を入れ替えました。反対側のコネクタも分解し、どちらも劣化したビニールテープを剥いで自己融着テープとシリコンチューブ、アセテートテープ、エーモンテープで補修しました。■ジャンクションボックスXLRオス/XLRメスのボックス(型式JB-800/JB-801)は使用感が無く綺麗で特に不具合も無いのでそのまま使えます。フォーン/XLRオスのボックス(型式JB-820/821)は使用感があり外観が錆びていたりゴム足が欠けていたりと状態が悪いです。TRSとXLRがパラになっているのかなと思って分解してみたらなんと全chにライントランス(MT-3と表記あり)が入っていました。配線も丁寧で、フォーンジャックの向きが揃っているのにも感心します。切り欠きがあるので向きは同じになるのですけど故意にやらないとこんなに綺麗に揃わないのです。GNDループへの配慮でフォーンジャックはパネル絶縁型、XLRコネクタもPin1とケースは(Ch.1を除き)短絡していません。XLRオスコネクタからはPin1(GND)/2(HOT)/3(COLD)の全線がNK27コネクタへ配線されています。フォーンジャックとXLRオスコネクタ間の配線はJB-820とJB-821で微妙に異なり、JB-820フォーンジャックのTipは黄色線でトランスへ、Sleeveは太黒線と赤線、細黒線とまとめてハンダ付けされていて、赤線、細黒線はトランスへ、太黒線はXLR端子のPin1へ直結されています。Ringの配線はありません。トランスからは白、青、緑の3線が出ており青線はカットされてどこにも繋がっておらず、白線がXLRのPin2(HOT)、緑線がXLRのPin3(COLD)に繋がっています。JB-821フォーンジャックのTipが黄色線でトランス、Sleeveは太黒線でXLRのPin1へ直結、トランスからの白線がXLRのPin2(HOT)、緑線がXLRのPin3(COLD)に繋がっている、Ringの配線無し、まではJB-820と同じです。赤線、細黒線と青線はまとめてXLRのPin1へ繋がっています。JB-820でカットされていた青線のみ使い方が異なります。各端子間の抵抗値(トランスの巻線抵抗値と思われる)をテスターで調べると、JB-820XLR 2-3間 66ΩXLR 1-2間 ∞XLR 1-3間 ∞Phone T-S間 85ΩJB-821XLR 2-3間 66ΩXLR 1-2間 33ΩXLR 1-3間 33ΩPhone T-S間 85Ωとなるので青線はトランスの出力側巻線の中点のようです。試しにJB-821の青線をカットしてみるとJB-820と同じ抵抗値になりました。黄色線、赤線、細黒線は入力側巻線の端子と思われますがトランスがシールドに覆われているため端子の詳細は不明です。JB-820のフォーンジャックはパネル絶縁のためのプラスチック製ネジ溝がいくつか割れてしまいパネルに固定できなくなってしまったのでマル信電機製のパネル絶縁型モノラルフォーンジャックMJ-186LP(またはMJ-185LP)に交換しました。赤線と細黒線の間の抵抗値を測り忘れてしまった。錆で見栄えが悪いので鉄製の外枠のみ錆を落として錆止めスプレーで再塗装しました。元々は艶あり黒なのですけどアサヒペンの「サビの上からそのまま塗れる油性高耐久鉄部用スプレー 300ml ツヤ消し黒」を使用。事前の想像より粒子が粗く、塗り重ねると鋳鉄のような風合いになりました。ボックスはさほど丁寧に扱われる機材ではないのでこんなに綺麗なのは今だけ。フォーンジャックとXLRコネクタが付いているパネル部分はアルミ製で錆びる心配は無く、ハンダ付けを伴うXLRコネクタの取り外しをしたくないので清掃のみ。NK27コネクタ保護用のハンドルは錆がメッキを突き破っていたので錆転化剤を塗ってから銀色に塗装しましたが気休めに過ぎずすぐ剥げると思います。このハンドルは突出し長42mm、幅42mm、ネジ穴間距離39mm、ネジ径M4で摂津金属工業のPHSUシリーズで代替できないかなと思いましたが見合うサイズがありません。ボックスの内側からハンドルを止めるナットは皿バネ付きのフランジナットに新調し、ネジ緩み止めを塗って締め付け。欠品していたゴム足は金属ワッシャー入りの新品ゴム足に全て交換しました。NK27コネクタ(NK-27-31S-R)の胴部分のマイナスネジが2本欠品しており、図面を見ても規格がわかりません。千石電商のネジ担当の方に見てもらったらUNC #4-40ネジであると判明。最小サイズの6mmを買ってきました。このネジは締めると内側に突出するのでテスターで既存配線とショートしないか確認しながら締め付けしました。各端子を接点洗浄剤等でクリーニングして整備完了です。■マルチのボックスとして以外の使い道格安(送料のほうが高い)で譲り受けたのですけど買った時点ではJB-820/821のほうは多分使わないだろうなと思っていました。が、蓋を開けてみるとこのボックスは単体で8chのTSアンバランスーXLRバランス変換トランスボックス、つまり8chのパッシブDIとして使えるとわかり俄然別の価値が出てきました。早速アンバラのCDプレーヤーを繋いでバランス出力で聞いてみましたが、結構良い音で安物の回路用トランスではなく現代のパッキリトランスでもなく昔の業務卓のような音がします。音がまとまる感じというか。今なら音作りのためにこれを通したいと思う人がいても不思議ではない。テスコジャンクションボックス(楽器カタログの世界)https://guitar-catalog.com/keyboard-and-effector/teisco/1980jan/pdf/07.pdfJB-800/801(¥35,000)よりJB-820/821(¥50,000)のほうが高価で重いです。全chトランス搭載ならそりゃあそうだろうと思います。思いがけず良い物に巡り合いました。(がんくま)※当ブログの記事を参考にして修理をされる場合は自己責任でお願いします。【関連項目】TEISCO 8Pマルチケーブル 結線表
■試聴S-80Aを無補修のS-80と鳴らし比べてみました。モノラル音源をS-80A/S-80で左右に振って聞くとほぼセンターに定位しますので音量差はありませんがS-80のほうが僅かに高域が出ています。どちらも15kHz以上の超高域があまり出ない同じツイーターと思いますが4〜15kHzあたりS-80のほうが出ていて音の透明感や女性声の存在感があります。よく見るとパネル表面の仕上げやメッシュグリルの網目と固定ネジの有無など細かい外観にも違いがあります。また、S-80のほうが40Hz位の低い音がほんの僅かですが聞こえやすい。一方で100〜250Hz付近の解像度は改造S-80Aのほうが良くてオリジナルS-80はごちゃっとしています。ウーハーのネジの締め方で低音増しになるかタイトになるかが微妙に変わるので、S-80A にゴム製スペーサーを付けた影響かもしれません。ウーハー交換による位相(アライメント)の変化は特に気になりませんでした。裏側から見るとS-80とS-80Aの端子盤は異なり、ネットで検索して調べた画像を見た限り基板も違います。S-80のほうはHPF用もLPF用も電解コンデンサーで高域側の抵抗値は2.7ΩのS-80Aに対して2.2Ωのようです。この辺が前述の高域の印象の違いになっているのかもしれません。背面板の作りも微妙に違います。S-80のほうはエッジが破れている様子もなく正常動作しますが電解コンデンサーの容量やスポンジシールの劣化具合を見たいので分解を試みるもののグリルの取り外しすらできていません。S-80の販売当時の仕様書にはバーやシアターでの拡声用途の他にスタジオモニターとも書いてはあるものの私自身は20年近く所有しているけどS-80をミックス用に使おうと思ったことがありません。小音量時とそこそこ鳴らした時のバランス感が変わってしまうのが最大の理由ですが、レンジ感が狭く(特に最近のスピーカーと比べると明らかに高域が伸びない)、音がごちゃごちゃして聞こえる帯域があったり抜けが悪い帯域があったりで、これでEQかけるのはちょっとどうよと思います。ヤマハHS7と聴き比べるとその差は歴然としていてスピーカーの進化を感じます。ぶっちゃけ現代的な生っぽい音の再生は苦手なタイプのスピーカーと思います。が、良くできた音楽はスピーカーを選ばないね〜ってのも実感できます。液晶モニターが当たり前になった現代では重視されなくなりましたが、防磁型で10cmまでブラウン管テレビに寄せられるS-80には当時のステレオ小僧からするとプロが使うかっこいいAVスピーカーのイメージがありました。80's洋楽やシティ・ポップをこれで聴くと「あ〜当時街中や店内で聴こえていたのはまさにこんな音だったよな〜」と思えてその世代としては楽しいです。a-ha、pet shop boys、Murray Head、Michael Jackson、Starship、Art of noise、EPO、竹内まりや、大瀧詠一など聞いてみましたが良かったです。■スーパーS-80への道?ツイーターの交換を想定してみました。【ツイーター寸法】バッフル開口部径 約33mmフロントパネルへのユニット取り付け金属(アルミ鍛造)プレートのネジ穴対角距離 100mm(4穴)ダイアフラム取り付けネジ穴対角 距離 56mm(4穴)ダイアフラムドーム直径 約38mmダイアフラムコイル直径 約33mmギャップ径 約34mmメーカーでは1.25inchと公表していますが実質1.3inchツイーターです。S-80A自体の耐入力は100W(S-80は80W)ですがHPFでローカットされるためツイーター単体は45Wあたりからなんとか使えるのではないかと。良く似ている製品はAUDAX TW034X0(PDF)です。アルミプレート付きでボイスコイル径34mmです。耐入力も70Wと高く、アルミプレートのネジ穴を開け直せば付くと思います(もしかするとプレート上端は削らないと入らないかも?)。TW034X0には交換用のダイアフラムRW034X0がありますが、これも見た目は似ています。加工したら使えるかもしれません。ただし、TW034X0もRW034X0も後述の他の製品よりお値段は高めです(TW034X0は送料別で1個$130位)。純粋にダイアフラムだけが必要な場合、AlibabaやAliExpressでコイル幅33.5mmまたは33.7mmで生地幅53.6mmのVCLフェノール樹脂製のドーム型ダイアフラムを見かけます。33.5mmhttps://www.alibaba.com/product-detail/1-3-Inch-33-5mm-Inner_11000024727515.html33.7mmhttps://ja.aliexpress.com/item/1005010107193616.htmlhttps://ja.aliexpress.com/item/1005010102405054.htmlおそらくS-80/80AやTW034X0に適合するのではないかと思えます。しかし磁石側のギャップは1mm幅でシビアな部分なので現物を取り寄せて試してみないと本当に使えるかどうかわかりません。1.25inchではなく1inchのツイーターユニットであれば種類が多く、ネジ穴対角が55.8mmのTangband 25-1414SC/25-1744S/25-1719SあたりはS-80/80Aの金属プレートに付くかもしれません。が、プレートの内側の形状と干渉するような気がします。Tangband 25-1414SC実際に交換した方の記事もありました。はっきりとはわかりませんがVIFA(Peerless)のBC25SC06-04かDQ25SC16-04に見える。エレクトロボイスEVS-80(ニセコ旅物語☆ロッジ風ゲストハウス、口コミ宿!)https://nisekoinfo.blog.fc2.com/blog-entry-1469.html外形寸法4インチ(100〜110mm位)の4穴ツイーターユニットは取り付け穴を広げれば元の金属プレート自体を使わずに直接フロントパネルに固定できそうですが、内側からの取り付けになるのでバッフル穴周辺でビビリや隙間が発生しないようにクッション材を挟むなどの対策が必要かもしれません。しかし交換自体は可能と思われます。VIFA D25AG35-06https://ja.aliexpress.com/item/32828799314.htmlSOTAMIA DAS-300https://ja.aliexpress.com/item/1005009930874321.htmlyingDi YDQG5-36https://ja.aliexpress.com/item/1005008640025123.htmlチタンドームデュアルマグネット磁性流体の意欲作ですが定格30Wなので弱いか。中華メーカーのkasun(佳訊音響)には外形寸法104mmのツイーターが多数あってお値段も手頃です。自分がやるならAT-2900やQA-2101シリーズを取り寄せて試してみたい。kasun ツイーター製品一覧http://www.kasun.com.cn/product/c19/AT-2900https://ja.aliexpress.com/item/1005009428839387.htmlQA-2012Xhttps://ja.aliexpress.com/item/1005002846626171.htmlこれらのツイーターはオリジナルのツイーターより高域の特性に優れます。交換するとかまぼこ型の特性が改善され、ネットワークの調整次第で現代的なスーパーS-80になるのではないでしょうか。当ブログの記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Electro-Voice S-80Aレストア(1)Electro-Voice S-80Aレストア(2)Electro-Voice S-80Aレストア(3)Electro-Voice S-80Aレストア(4)
■エンクロージャーの外装フィルムを貼り替える前オーナーが外側に貼っていたゴムシート周辺を中心に外装のビニールフィルムが劣化しているので天板底板側面を剥ぎました。剥がれかけているので簡単に剥げるかと思いきや劣化していない真ん中部分はなかなか剥げません。金属スクレイパーを突っ込みながら格闘しましたが無理。ヒートガンでフィルムを温めながら少しずつ剥ぐ方向へ転換。7〜8cmの距離から8〜11秒ほど加熱します。この時フィルムを手で持っていると熱でちぎれるのと、加熱後もすぐ引っ張るとちぎれる(し火傷する)ので、2〜3秒待ってから引っ張る、を繰り返すと上手く剥げるように。ゴムシートが貼られていない方は剥がし方に慣れた事もあり40分ほどで綺麗に剥がせました。フィルムとの固着が強く下地ごと剥げてパーティクルボードの毛羽立った表面が露出した所とツルツルした下地が残っている所がまだら模様で両者の間に1mm以下ですが段差があります。そのままだとシートを貼った後に段差がはっきりと見えるので、段差がある所や凹みに木工パテを塗りつけてサンドペーパーで均して下地面を作成。木部が欠けている所も木工パテで埋めます。S-80A専用ブラケット用のネジ穴も今後使う見込みが無いのでパテで埋めました。ツルツルした下地の部分も含めサンドペーパーでざっと荒らしてから水を含ませた布で拭いて粉を取り一旦乾燥。これにマットブラックのダイノックシート(品番PS-110かPS-948)を貼るつもりでしたがダイノックシートの切売りサイズ(幅122cm)がこのスピーカーに必要なサイズ、長さ133cm奥行き18.5cmと折り合いが悪いです。余長を含めた2本分だと150x25cm 2枚(150x50cm 1枚)が必要で2m買う必要があり、すると結構なお値段(送料込みで8千円以上)な上に半分は余ってしまいます。たまたまサンゲツのリアテックシートの端切れ(200x48cm)が千円だったのでケチケチしてこれを使うことにしました。そんな理由で木目です。これを縦二つに切り分けます。端切れなので実測すると上端下段で幅に0.8cm程度差があり切断面が斜めです。貼り込み手順を考えると正確な直線で切り分ける必要があったのでどうにか工夫して真っ直ぐになるように切断。直線であると信用できる側の切断面に目印を入れておきます。ダイノックもリアテックも専用のプライマーがありますが高価で量が多過ぎなので代用品としてコニシ ボンド シールプライマー#7N 100g #60327を使いました。空気中の水分に反応して固化するので開栓したら当日内に使い切り、刷毛も使い捨てにしますので100均で購入。天気が良く風が弱い日を選び、塗布前にシリコンリムーバーを含ませた布で下地をぬぐって脱脂し、乾燥させてからプライマーを塗っていきます。適度な粘度(刷毛で広げやすく、垂れにくい)で塗りやすいですが臭いがキツいです。端側や曲線になっている角部分は塗り残しがないように念入りに塗り、ツルツル下地が剥げてパーティクルボードが毛羽立っている所はプライマーを吸うので重ね塗りしました。全体的な使用量は前面背面を除くスピーカー2本の側面全周で一缶100gの5分の4程使ったので、もし背面も施工していれば一缶でちょうど位です。ここからの待ち時間がよくわかりません。他の方の記事によると20〜30分ほどと書いてあるので30分ほど経過してからフィルムを貼り始め。背面板と側板の接合部に直線の切断面を沿わせて空気を抜きながら貼り込みます。前の写真にあった青いヘラは硬すぎてシートに傷がつくのでスキージーにはなりませんで手で押さえながら。角のR部分はたるみやすいので少し引っ張って貼り、一周して貼り始め位置まで来たら少し重ねて切ってフロントパネル側の余長をカッターナイフで切り落とし、最後に重なっていた所を切って重複分を剥がしました。冬で気温が低く接着が弱いのでヒートガンを弱にして少し離れた所からまず板面の真ん中部分を軽く温めて(20度くらい?)フィルムを密着させ空気を周辺部分へ抜く。それから同様に端部分を温めて内側から外側へ向けて撫でつけて角部分やフィルム端を密着させる(このために端部や曲線部にプライマーをしっかり塗っています)。温める時ヒートガンが近すぎたり温度が高かったりするとシートが伸びてシワになってしまいます。ここは残念ながら失敗した部分です。下地の凸凹はこんな感じで遠目に見るとわかりませんが近くでよく見るとわかる。下地処理をしておいて正解でした。完璧を目指すならパーティクルボードの毛羽立った部分を完全にパテで埋めてツルツル下地と同じ高さになるまで削って均すべきでしたが個人的にはこれでも満足。次やったらもっと上手くやれるだろうけれど。前のフィルムがきれいに剥がせた面は仕上がりも綺麗です。とはいえ素人の手による施工なので、後々浮きや剥がれが出る可能性があります。リアテックシート施工マニュアル(PDF)なお、プライマーの有機溶剤っぽい臭いが強烈で部屋に置いて我慢できる程度に抜けるまで数日かかりました。■その他背面板のバックプレート用のボルト穴も内部側が錆びており鉄粉の発生を止めるために錆止めを塗りました。この穴はM6用のホールキャップで塞ぐつもりでしたが合わず、(カメラ用として身近なわりには入手に難儀する)1/4-20 x 3/8"ネジで塞ぎました。内部のチリを掃除機で吸い出し、吸音材もホコリを払って再装着。背面板がふやけて剥離しかけだったり凹んでいたりした所を木工ボンド等で補修し、パテで埋めた所や角部分は脱脂して塗装。背面側の角部分は使っているうちにぶつけてまた凹むでしょうし、黒く塗って補修痕が目立たなくなっていれば良しとします。フロントメッシュグリルはサンドペーパーで表面と側面の錆を落としつつ塗装のため下地を荒らし、残った錆にはサビ変化剤を塗りました。例の錆と見分けがつきにくい赤い泥が付いていて、錆の方はサビ変化剤を塗ると黒くなるのですけど泥土はそのまま赤くて目立つので歯ブラシや爪楊枝で除去してから側面→表面の順につや消し黒で再塗装しました。裏側は錆止めのみです。EVのエンブレムはプラ軸を止め輪で止めてあったのですけどこれを外そうとすると両方とも折れ、やむなく両面テープ固定になりました。フロントグリルを止めるネジ穴が欠けていた所はネジに離型材としてワセリンを塗って仮締めし、外側からエポキシパテを盛って成形、塗装しました。しかしこういう壊れ方の場合はエポパテ盛ってもネジ周りに圧力がかけられず接着も悪くもげてしまいなかなかうまくいきません。元の柱を取り除いて新しく太い台座を作り、ドリルで穿って新規にネジ穴を作るほうがまだマシです。08LB050Uの配線も抜け止め対策をしてフロントパネルを装着。メッシュグリルを取り付けてレストア作業は完了しました。木目調になると家庭用スピーカーみたいな印象が強まりますね。つづく当ブログの記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Electro-Voice S-80Aレストア(1)Electro-Voice S-80Aレストア(2)Electro-Voice S-80Aレストア(3)Electro-Voice S-80Aレストア(5)
■ネットワークのコンデンサーを交換ネットワークは背面側のネジ6本を外せば簡単に取り出せます(木ネジなのでネジ穴は弱い)。回路図にしてみました。過入力プロテクターとしてポリスイッチ2個が入っている他はオーソドックスな12dB/octの2WAY用ネットワークです。※S-80AとS-80のネットワーク基板は異なります。AIに質問するとコイルのインダクタンス値の例を計算してくれますが実測していませんので記入していません。ウーハーのハイカット用には10J200V(10uF/200V)のフィルムコンデンサ、ツイーターのローカット用には3.3uF/100Vのチューブラ型電解コンデンサーが付いていました。スペースに余裕があるので高域側の30年前の電解コンデンサーを秋月電子で買ってきたSuntan製3.3uF/250Vのメタライズドポリエステルフィルムコンデンサに交換しました。TSフォーンジャックの半田付けを外さないと基板が分離しないので隙間から吸い取り線やハンダゴテを突っ込んでの作業。コンデンサーの固定には接着後も体積が残るバスボンドかセメダインスーパーXを使います。未交換側と鳴らし比べたところ高域の出音が劇的に改善しました。元々現代的な他のスピーカーと比べるとハイハットのような超高域の出方が弱いかまぼこ型の特性(カタログ特性値で80Hz〜15kHz)なのですが、それでも全然印象が違います。交換後に未交換の方を聞くともう使う気になれないです。両側とも交換です。2026.02.13追記後日、外した電解コンデンサーの容量をAtlas ESR70で測定しましたが、容量は3.36uFと3.28uFで製造から四半世紀経由していることを考えると変化なく優秀です。等価直線抵抗は交換したフィルムコンデンサのほうが低いです。しかし実際に高域の出方が改善したので単に容量だけの問題ではなさそうてす。ウーハーとツイーターの音量バランスを調整しようと思えばツイーター側の抵抗R3 2.7Ωを交換することになります。ウーハー交換直後の試聴では中音〜中低音がやや強すぎかなと思いましたが、コンデンサー交換で高域の出方が改善し、ウーハーの取り付け方法改良で余計な振動が無くなり低音がスッキリしたことから聴感バランスが改善したようでスイープ信号を聴いてもクロスフェードが気にならないことから回路定数はそのままです。ツイーター交換の可能性の話は続編(5)に書きます。■スタンドアダプターの取り付け穴を追加S-80には底面や側面にM8のボルト穴が2つありサウンドハウスのプラ製スタンドアダプターを付けてあります。S-80Aの底面にはオプションの壁付けブラケット用の穴はあるもののスタンドアダプターが取り付けられるボルト穴が無いので改造します。エンクロージャー天板と底面のパーティクルボード板厚は15mm位のようです。S-80現物の穴位置を測定するとフロントパネルとエンクロージャーの接合点(表面のビニールフィルムの前端)から72mm、側板外面から約75mmで2つの穴の距離は120mmでした。下穴径は11mmでボルト穴の深さは30mm。ツバ無しの鬼目ナットが深さ10mmの所にあります。S-80AではM8x13のツバ有りネジ込み式の鬼目ナット(ムラコシ製)を使います。ツバ部分の直径は15mm。厚さは0.8mmほどか。https://murakoshishop.com/smartphone/detail.html?id=000000000162S-80とS-80Aの横幅は数ミリ異なるようなので穴距離が120mmになるように位置を調整し11mmドリルで深さ13mmの下穴を開けることにしました。ウーハー交換でオリジナルより重心が少しだけ前に移動しているかもしれませんがフロントからの距離は変更せず。小刻みに深さを測りながら空けていたのですが、少し力を入れたらスコンと貫通。内部の接着剤に当たって貫通しなかった穴もあります(真ん中の小さい穴はS-80A専用ブラケットの取り付け穴です)。外装フィルムを貼り替え後に指で押して穴位置を確認し、デザインナイフで穴を開け、六角8mmをインパクトドライバーの先に付け手で少し回して真っ直ぐ入っていくのを確認したら締めつけ固定。アダプターで隠れる部分ではあるけれどフランジは少し浮きますね。机にそのまま置くと傷が付きますので、その使い方も想定されるなら埋め込み式の鬼目ナットのほうがモアベターです。M8x20mmのボルトとワッシャーでスタンドアダプターを仮止めして内側から貫通穴をパテで埋めました。底板の強度のみに頼る構造なので、ボルト穴の裏側に補強があると思われるS-80ほど頑丈ではないと思います。つづく当ブログの記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Electro-Voice S-80Aレストア(1)Electro-Voice S-80Aレストア(2)Electro-Voice S-80Aレストア(4)Electro-Voice S-80Aレストア(5)
■ウーハーの取り付け方法を検討するサイズを検証します。フロントパネルはウーハー取り付け部の周囲にある4本のボルトを抜き、下側を持ち上げつつ斜め手前方向へ引くと外れます(上側に爪がある)。パネルとエンクロージャーの接合面に幅10mm厚さ1mm程度だったと思われるスポンジシールがぐるりと貼ってあり劣化して粉になっているので剥ぎました。【S-80Aフロントパネル】バッフル開口部の直径181mm樹脂製エッジカバーリングの内周直径185mm樹脂製エッジカバーリングの外周直径222mm樹脂製エッジカバーリングの厚み5mmウーハー取り付けネジ穴対角距離(Mounting hole PCD) 195mm【元ユニット(84497)】外周直径(Overall Diameter) 209mmフランジ面の幅15mmバッフル開口部に必要な直径(Baffle Cut-Out Diameter)209mm-15mmx2=179mm取り付けネジ穴対角距離(Mounting hole PCD)196mm奥行き(Overall Depth)94mm【08LB050U】外周直径(Overall Diameter) 210mmフランジ面の幅12mmバッフル開口部に必要な直径(Baffle Cut-Out Diameter)210mm-12mmx2=186mm取り付けネジ穴対角距離(Mounting hole PCD)196mmフランジ面の幅とネジ穴の比較【BOSEユニット(289918002)】外周直径(Overall Diameter) 209mmフランジ面の幅14mmバッフル開口部に必要な直径(Baffle Cut-Out Diameter)209mm-14mmx2=181mm取り付け穴対角距離(Mounting hole PCD)193mmBOSEのウーハー自体はそのまま付くがネジ穴が微妙に合わなかったのがわかります。サウンドハウスのレビューによるとCELESTION TF-0818はS-80にそのまま付くらしいです。【TF-0818】(メーカー仕様ページ)外周直径(Overall Diameter)208mmバッフル開口部に必要な直径(Baffle Cut-Out Diameter)183mm取り付け穴対角距離(Mounting hole PCD)195〜199mm(ねじ穴が縦に長い)183mmだと本当にぴったり入るのか?まあネジは締められるんでしょうね。しかしお値段が08LB050Uの3倍近くします。性能は上でしょうが2本買ったら正常動作する中古品より高くなる。08LB050Uに合わせてバッフル開口部を5mm広げるのは大変(ABSの円形枠の肉厚が減って強度的にも不安)なので、対策として厚さ3mmのゴムシートでスペーサーを作ってフランジ面を嵩上げしてみることにしました。OLFAの円切りカッターを使って300mm角のゴムシートから外周224mm、内周186mmのリングを切り出し。樹脂製エッジカバーリングと同じ位置に4.5mmのねじ穴を4箇所開けます。ゴムなので加工精度が低くても1mm程度のサイズ違いは吸収できるだろうという読み。バッフル穴の周りには他のスピーカーと同様にスポンジシートが巻いてあった形跡がありますが今回はゴムスペーサーがその役割を兼ねるので省略。しかしまだバッフル穴が小さくスペーサーからフランジ面が浮きますので、やむなく穴を広げます。といってもスペーサーがあるので円形枠の全周を垂直に広げる必要はなく、前面側の角だけ1.5〜2mm程度カッターナイフで削ってサンドペーパーでならすだけ。要は浮きを3mm以内にできれば良い。作ったゴムスペーサーを間に挟んで、これでウーハーの前面がフロントグリルに当たらない高さできっちりネジを締めて固定できるようになりました。円形枠の内側は元の181mmのままです。元のユニットより08LB050Uのほうが重いのでスピーカー自体の重さが若干増しました。■ツイーターのメンテナンス片方のツイータードームカバーが茶色く錆びており、そのままだと腐食崩壊するので対策が必要です。ツイーターは四角いアルミ製の金属プレートで内側からフロントパネルにネジ止めする構造です。金属メッシュのドームカバーは1mm厚位のクッション素材(ゴムシート?)でプレートに固着しています。最初は強力両面テープ固定かと思いましたが錆びていないほうは分離できたので本来は挟んであるだけのようです。全体が錆びていますが幸い押すと崩れるような段階までは腐食していません。金属プレートからツイーター本体とダイアフラムを取り外します。ツイーターの磁石は強力なのでドライバーやネジ等周囲の金属物が吸着してダイアフラムやコイルを破壊しないようによく注意します。錆びているドーム部分の裏表を金属ブラシで磨いてから錆で塞がっている穴を伸ばしたクリップの先で開け、錆粉を飛ばしてから錆止めとしてサビ変化剤を筆で錆の上から塗ります。乾燥後、外から見える前面側はその上からつや消し黒のスプレーで塗装。ダイアフラムにも鉄粉が付着しています。幸いネトネトにはなっておらず乾燥しています。ここを乱暴に扱うとダイアフラムの皮膜が剥げてしまうので刷毛や養生テープの粘着面を使って汚れを取り去ろうとしてみましたがあまり綺麗にならず、水で濡らしたキッチンペーパーで慎重に汚れを溶かして取りました。もっと綺麗にしようと溶剤を使うとコーティングが剥がれる可能性があり、剥がれたら剥がれたで再コーティングする手もありますけど特性も変わるしできればやりたくない。この程度でやめておきます。マグネット側のコイルが入る溝(ギャップ)を自動車用のブレークリーンと折りたたんだ紙で掃除します。幸いこの溝の中は綺麗で鉄粉や液体等の侵入はなく、最後にブロアーでチリを飛ばしてコイルを曲げないように注意しながら元通りに組み立てました。茶色くなっていない方のツイーターも分解してチェック。綺麗ですがカバーの裏に少し錆が出ていて同様に錆止めと塗装、ギャップのクリーニングを行いました。左右共に「金の波千の波ピアノソロ(窪田ミナ)」と「ばらの茂み(新居昭乃)」による歪みチェックをクリア。錆びている側のフロントパネルの裏側を見るとツイーター穴の下に液垂れの跡があります。このスピーカーのあちこちに付着している茶色い汚れは錆ではなく赤土を含んだ泥のようです。おそらく雨天の屋外でスピーカーの前面から泥水を被ったものと思われ、その後メンテせずに放置されたためにドームカバーや内部のボルト穴が錆び鉄粉が発生してしまったらしい。フロントパネルとエンクロージャーの接合面には幅10mm厚さ1mmのEVA素材のスポンジシールを貼りました。このシールが無いと低音が出た時エンクロージャーとフロントパネルの接合部分がバリバリと鳴ってしまいます。つづく当ブログの記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Electro-Voice S-80Aレストア(1)Electro-Voice S-80Aレストア(3)Electro-Voice S-80Aレストア(4)Electro-Voice S-80Aレストア(5)
Electro-Voice(EV)のS-80A 1997年製を修理します。状態は悪くジャンク品です。売り主によると片側のウーハーが鳴らない、鳴る方のウーハーはエッジ破れ、ツイーターは両方鳴るとのこと。動作品のS-80を別に一組持っているので小規模PAで4本鳴らしたい。とは言えS-80は1980年代の製品でこれを現代のPA現場で見かけることはまずありえません。S-80AはS-80のマイナーチェンジ版らしいのですが実用上の違いは設置金具の装着方法程度?どちらも8インチ(20cm)ウーハーと1.25インチ(3.2cm)のツイーターによる2WAY PAスピーカーなのでウーハーもツイーターもオリジナルに拘らなければ流用可能品がありますし張り替え用のエッジの入手も張り替え作業もさほど大変ではないでしょう。古いけれど外観部品が壊れていなければ必ず修理できるはず。■故障原因を探るウーハーが鳴らないほうのフロントメッシュグリルを外しました。グリルを止めるネジ穴が割れています。グリル自体はネジが効いていなくても勝手に外れる事はまず無いので実用上は振動防止のスペーサーを挟んで固定なりでどうとでもなるでしょう。ウーハーを止める4つ穴の樹脂製ホルダーリングを外します。ネジの色が違うのは何故なんだい?おや?BOSE 289918002なるウーハーが付いている。防磁品でBOSEの8インチというと301あたりのウーハーでしょうかね?取り付けネジ4本のうち3本がタッピング。本来のネジ穴位置と微妙に合わないのを強引にタッピングで付けたっぽい。端子部分を見ても元から付いていたのがこのウーハーだったとは思えません。配線ミスか?とも思いましたが調べてみるとボイスコイルが断線しています。続いて鳴るけどエッジが破れている方を分解すると違うウーハーが入っていました(こちらのネジは4つとも同じ)。84497 97.3 TMと印字があります。端子板周辺の特徴を見るにこちらはオリジナルのEVのウーハーユニットかもしれません。左右で違うユニットのまま修理するわけにいかないのでエッジの貼り直しは諦めウーハーはどちらも新品に交換です。修理後の用途もイベント用のサブスピーカーなので、そこそこ鳴れば良いということで安価で入手性に優れたサウンドハウスのCSP8用のウーハーを買います。CLASSIC PRO 08LB050U ウーハーユニット (08LB050U) ウーハーユニット、CSP8/CSP8P用、WOOFER 数量: 2税込単価: ¥3,780 / 税込金額: ¥7,560https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/24860/パラメーター表(PDF)元のウーハーとの比較(元ウーハーのウレタンエッジが死んでいるので躊躇なく伏せて置いていますがエッジが生きている場合は負担がかからぬよう配慮が必要です)。08LB050Uのほうが奥行きがあるように見えますが、フランジ面からだとそんなに変わりません。08LB050Uのほうが重くて金属部分の剛性感が高いです。値段のわりに品質が良くオリジナルユニットよりコスパは高いと思います。レビューによるとSX-80にはそのまま使えるそうですが、さて。このユニットはファストン端子の極性表示が見当たりませんがサウンドハウスのウーハー交換動画を見る限りではマイナス側が.110でS-80オリジナルの.187より細いです。そのまま挿せますが振動で抜けるので本組みする時は自己融着テープで巻いて固定しよう。プラス側はオリジナルと同じ.187です。むう、残念ながらバッフル穴の口径が小さく入りませんでフランジ面がバッフル板から浮いてしまいます。 加えて前のBOSEのウーハーを取り付ける際にネジを無理やり斜めにねじ込んだせいかネジ溝が破壊されていてM4x15mmのネジが入っていきません。試しに本来はカバーである樹脂製ホルダーリングをスペーサーとしてバッフル板との間に敷くとネジが締められる程度には付きますがやはり微妙に浮いてフロントグリルに08LB050Uの円周前面が接触します。とりあえず動作確認。左右共にちゃんと音が出ました。一聴して分かるほど左右の音質が違うこともなくツイーターとネットワークは両方生きているようです。S-80Aのクロスオーバー周波数は2.0kHzでCSP8の2.5kHzより下なので、ツイーター無交換なら周波数の変更は不要に思えますがミッド出過ぎか?ツイーターの音は出てるけどなんだか弱々しい。つづく当ブログの記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。(がんくま)【関連記事】Electro-Voice S-80Aレストア(2)Electro-Voice S-80Aレストア(3)Electro-Voice S-80Aレストア(4)Electro-Voice S-80Aレストア(5)
FX-D03Jはパソコンやゲーム機のUSB端子に接続してSPDIFデジタル音声信号を出力する変換アダプターで、アナログ音声信号を出力するUSB D/Aコンバーターに対してD/Dコンバーターと呼ばれています。ややニッチな製品と思います。私は同じ用途で長年TiのPCM2704を搭載したUSB-DACを使用してきました。安定度も高く安価でMac/Linux/Windowsのどれでもドライバ無しで使えるので重宝したものの48kHz以上のfs(サンプリング周波数)には対応せず、さすがに時代遅れになってきました。一方、DAWの出力をSPDIFに出したい場合はPCM2704をASIO4ALLで鳴らすか、より安定的にはM-AUDIOのFast Track Proに付いている同軸SPDIF In/Outを使っていました。ところがNuendo12からNuendo14へのアップデートでWindowsのシステムログに”Detected Unrecognized USB Driver”エラーが出てFast Track Proが使えなくなってしまいました。そこで今回新たにFX-D03J+を購入し半年ほど使いました。用途が一般的な音楽再生ではなくCubase/NuendoというDAWでのモニター用途なので、その方向でレビューします。■実は4種類あるD03、購入時に見極めが必要FX-D03Jと名がつく製品には4種類ありますので用途により購入時に買い分けが必要です(重要)。◆FX-D03J(旧型 〜2022/2)VIA VT1728 16/24bit fs96kHzまで ※中古を買わない限り選択不可◆FX-D03J(新型 2022/2〜)SAVITECH SA9023 16/24bit fs96kHzまで◆FX-D03J+(本製品)SAVITECH SA9123 16/24bit fs192kHzまで◆FX-D03J+ game editionC-MEDIA CM6642 16/24bit fs192kHzまでと、外観はほぼ同じなのに内部に使用されているUSB-I2C chipが違います。WindowsやMacで単純に音楽再生に使う場合は安価なD03Jを含めどれを買っても使えますが、192kHzのハイレゾ再生に対応するのは型番に"+"が付いている2機種だけです。そしてPS4/5や初代switchなどゲーム機でも使いたい場合は相性問題が少ないFX-D03J+ game editionを買うべきです。なお4種類すべてDSDには非対応なのでDSDも再生したい場合は本製品以外のDACを検討しましょう。ではgame editionではない無印のFX-D03J+には何のメリットがあるのか?C-Media CM6642にはASIOドライバがありません。このため本記事と同じ用途、すなわちCubase/NuendoやStudio One、DaVinci ResolveなどASIOに対応したWindows版のDAWで安定利用するためにはSAVITECHのICを使ったFX-D03J(新)またはFX-D03J+(game editionでは無いもの)が必要です。この用途で使う場合は間違ってgame editionを買わないように注意して下さい。購入先はAmazonや楽天のNFJ公式ストアか、秋葉原ならコイズミ無線で店頭購入できますが、私が購入した2025年6〜7月の段階だとAmazonではgame editionではないFX-D03J+を売っていませんでしたし、コイズミ無線でも店頭在庫は無く取り寄せになっていました(それだと店頭購入の意味が無いんですよコイズミ無線さん……)。よって楽天で購入しました。■使ってみて感じたメリットとデメリット【メリット】・音は悪くない。厳密に言えばD03J+の音を聞いているわけではなく接続したDACの音を聞いているのでD03J+の音が良いと言っているわけではないが、D03J+が原因で音が悪くなる要素は無く規格通りに変換している感じ。・ASIO対応なのでSPDIFまたはAES/EBUでデジタル入力できるDACやD/A機能を搭載している機材ならなんでも再生用のUSBオーディオインターフェース化できる。たとえばHDCAMビデオデッキやYAMAHA 01V初代なんかでもUSBから音が出せる。・近年の安価なUSB接続のオーディオインターフェースではフルスケールデジタル0dBを電圧値+20〜24dBuで出力できない場合があるが、D03J+を業務機に繋いだ場合は規定通りに出力できる。・外部電源不要でコンパクト省スペース。操作スイッチも無いのでラックの中など手が届かない場所に置いても利用できる。【デメリット】・USBケーブルの品質が安定度に出る印象がある。・DAWで再生開始点の音の頭が欠ける事がある(レイテンシー多めにすると改善するかも?)。出力を録音ソースに使う時は再生開始点を手前にするなど注意が必要。ポン出し用途には不安。・オーディオインターフェースとしての安定度はRMEやMOTU等その分野の一流メーカー品と比べるとあまり高くない。・短く再生してすぐ停止、すぐ再生というDAWで良くやる操作を繰り返すと認識しなくなることがある(FX-D03J+の問題というよりOSやPCスペックの問題かも)。以下の3点は本製品の仕様上当然の事なので欠点ではありませんが、・ヘッドホン端子が無い。外出用にノートPCと共に常に持ち歩くUSB-DDC用途としては本機ではなくFIIO E10K type-Cを使っている。これだとOpticalが無いが同軸SPDIFとアンバラアナログで出せてASIO対応。・WordSync信号を出力できないので本機のSPDIFデジタル出力にスレーブで同期させる他にシンクロのしようが無い。・録音機能が無い(Fast Track Proと比べた場合)。多機能品ではないので割り切りが必要です。■FX-D03J+の利用方法当方の使用環境はHP製ノートPCのProBook450G3で、OSはWindows11、利用アプリはSteinberg Nuendo14とfoobar2000、VLC、WindowsMediaPlayer等です。本製品はUSBクラスコンプライアント(USB Audio Class v1.0とv2.0)に対応していますのでWindows10/11であればドライバインストール無しでOS標準ドライバが認識しますが、DAWで使う場合はSAVITECHのASIOドライバ(BRAVO-HD)をNFJ公式ストアのリンクからダウンロードしてインストールしておきます。本製品に外部電源端子はなくUSBのプラグインパワーで動作します。当然の事ながらUSB経由の電源供給容量が少ないと動作が不安定化しますし、USBケーブルの良し悪しで安定感に差が出る印象が強いです。トラブルに遭わないためには、見た目が高級なケーブルである必要は無いですがSA9123の対応伝送規格USB2.0以上に対応した新しくてしっかりしたケーブルを用いて、PC本体の接点を清掃したUSB端子に挿しましょう。Nuendo側からはBRAVO-HDとしてASIOオーディオデバイスが見えこれで問題なく使えます。コントロールパネルを開くと下部に再生しているフォーマットが表示されます。このパネル(BRAVO-HD Audio CPL)の上段の左右のfs列はSA9123のPlayback/Recordの設定と思われますが実際には再生アプリのデータに依存しますし録音機能は無いので設定しても実質的な意味はないようです。切り替えができるのは下段の16bit/24bitとBuffer Sizeです。ASIO再生中は最下段に赤字で再生フォーマットとバッファーサイズ(ms)が表示されますが再生中に切り替えても表示には反映されませんで次回再生開始時に更新されます。24bitDSDの文字が見えるもののDSD出力はできないようです。Steinbergの汎用ASIOドライバからWASAPIデバイスとしても見え出力ポートを指定すればこちらで音を出すことも可能です。入力ポート側にもFX-D03J+が見えますが、これはSA9123の機能として見えているだけで実際には入力端子が無いので使えません。foobar2000でもfoo_out_asioをインストールしてあればNuendoと同様にASIOとWASAPIの複数のポート名がFX-D03J+として見えます。WASAPI側の設定はWindowsのサウンド設定からできます。基本的にASIOでしか使わないのでここは初期設定のままかも?ASIOとWASAPIは並列で動いていますので例えばNuendoでASIOをfoobar2000でWASAPIを指定しているとNuendoとfoobar2000の再生音を重ねてFX-D03J+から出せますが、サンプルレートが違うと正常再生にならない場合があるはずなので事故になりかねません(Windows側をサンプルレート自動変換でDAW側のfsに合わせてあるとやれなくはない)。作業中にASIOがハングアップしちゃったので生きてるWASAPIで音出しして事なきを得た、なんてことはありました。出力端子は光TOSLINK(Optical)と同軸(Coaxial)があります。私はCoaxial接続で利用していますがOptical接続のほうがまともとレビューに書いている方もいます。このケーブルも動作の安定度に関係しますのでアナログ音声用のチープなRCAケーブルを流用したりしないで75Ω同軸ケーブルを使います。SA9123はfs32/ 44.1/48/88.2/96/176.4/192KHzに対応しますが単品のオーディオインターフェースと違って受信側のDACが対応しない場合は動作がおかしくなりますし機種によってはfs切替でノイズが出ることもあり得ます。私が通常本機経由で再生に使うDACはdbxのQuantum2(AKM AK4393VF)です。MOTU 2408mk2やLucid 88192、RAMSA WZ-D35、Behringer DCX2496にも繋いでみましたがいずれも問題なく音が出ました。同軸SPDIF入力が無くXLRのAES/EBU入力にしか対応しない機種相手にはカナレのインピーダンス変換トランスBCJ-XP-TRAまたはBCJ-XP-TRCを使ってRCA-BNC75ΩからXLR110Ωに変換します。 SPDIFとAES/EBUデジタルは本来別の規格です。しかしPCMの音声データのビット位置が同じなので、よく知られている通りこのように接続するととりあえず音は出ます。ただし音以外の制作情報は欠落したままなので単純に音を再生する以上の事はできません。私の場合は大半が24bit/48kHzのお仕事音源再生で、たまに趣味の音楽再生で16bit/44.1kHzを使用、96kHzや192KHzでは滅多に使いません。DAW利用では2chステレオ出力のみしかできずDAC側が多チャンネルでも使えるのは2chだけです。WASAPIの設定にあるようにホームシアター用のアンプに繋ぐとパソコンからのDTSやDolby AC-3サラウンド再生には対応するようです。SPDIF出力は一対一の機器接続しか考慮されていない規格なのでデジタル同期クロックは再生側のPCをマスターとして受信側のDACはFX-D03J+からの入力デジタル信号にスレーブでしか使えません。ネット配信用途などで複数のデジタル入力やサンプルレートが混在するような用途に本機は向かないと思われます。■基板だけなら……FX-D03J+の中身だけとほぼ同じものを大陸通販で購入できます。同じASIOドライバで動くと思われます。FX-D03J+自体が安価なので価格的にはさほどメリットを感じませんがD/A機器側に内蔵してUSB機器にしちゃう用途に使えそうです。SA9123のI2S入力の接続まで頑張ればFireWire式の古い2in/2outのオーディオインターフェースをUSB仕様に改造できるかも?デコーディングボードPC+メタルデコーディングボード高品質 LJM SA9123 USB to SPDIF 光学I2S出力 24BIT 192K HiFi SA9123L DAC-A用https://ja.aliexpress.com/item/1005009382550811.html参考までに公式掲載によるFX-D03J+の中身はこんな感じ。(がんくま)
現行製品ではありませんが、メーカー様より整備済みの店頭展示引き上げ品を格安で譲っていただきデスクトップスピーカーとして数ヶ月利用しました。忌憚無きレビューをします。■初代、後継品との違い後継の現行製品はCR-3.5、先代はCR-3で、CR-3Xはシリーズ2代目です。初代CR-3との大きな違いは内蔵アンプがアナログAB級からデジタル(いわゆるD級)になっていて消費電力が少なく発熱が抑えられる反面、他の方のレビューでは雑音(ホワイトノイズ)が気になると書かれています。後継品のCR3.5はトーンコントロールや設置環境に合わせた音響補正切替が付いたようです。当方が入手したものはアナログ入力のみでBluetooth受信機能はありません。■サイズ感は?写真だけ見ていた時の私の脳内予想よりも少し大きいです。fostex PM0.4とほぼ同じサイズで、fostex 6301Bや以前修理したTASCAMのVL-S3BTよりは大きいです。片方のスピーカーに電源とパワーアンプ、入力端子、ボリューム、ヘッドホン出力が搭載されていて反対側のスピーカーにはパワーアンプの出力だけを先バラ線で配線します。パワーアンプ搭載側を左にするか右にするかのスイッチが搭載されていて配置状況や右利き、左利きに合わせて柔軟に対応できる工夫があります。入力はTRS/RCA/3.5mmステレオミニの3系統。TRS入力に+4dBu入力を接続しました。説明書のブロック図によるとTRS入力は電子バランスになっていてよくあるコールド側がGNDに落ちる簡易バランスにはなっていないようです(RCA入力はTRS入力がアンバランス化された後に合流)。3つの入力に切り替えやMUTEは無く一緒に鳴ります。■音質は?全体的な音質は下馬評通り良好です。アンプ付でステレオセット1万円台の3インチスピーカーとしては、の話ですが。ヘッドホンオンリーや音がペラペラのPC周辺機器のスピーカーを脱してこの手の製品を初めて買うよという方には価格以上のパフォーマンスが保証されていると感じます。しかしお値段が倍以上するような製品を凌駕するほどとは思いません。VL-S3と比べるとアンプのパワーがあって音量をやや大きく取れます。VL-S3は展示会会場の近接デモ用には向いてないと思いますがCR-3Xなら使える気がします。VL-S3と同様に高音域の解像度はいま一歩で50Hz以下の低音も出ないので中音域が張り出して聞こえます。特に80〜120Hzあたりの中低音がやや突出していて音量をかなり絞っても存在が感じられます。リスニング用途ではベースやEDMのビート感に厚みが出て気持ち良く聴けますが、モニタースピーカーとして使うとこの点が微妙でEQしたくなる感じ。内蔵のヘッドホンアンプで聴いても同じ印象なので、このスピーカーはそういう聞こえ方がするものだ、という意識が必要です。本機の出音を信じて100Hz前後をブーミーだなとEQで低減すると他のスピーカーやヘッドホンで聞いた時に「あれ?思ったよりカリカリ?」になってしまいます。VL-S3のほうが指向性が鋭いのでCR-3Xのほうがリスニング位置の縛りが緩いです。ただし高さで印象が変わるスピーカーでツイーター位置が耳より高くなると低音強調でモコモコします。耳と同じ高さにするか耳より少し下の高さで設置する方が良いです。PM0.4と比較すると、PM0.4のほうが音が鮮やかで前に出る感じがします。ロックな感じというか。CR-3Xのほうが若干籠もり感があって音が鈍いです。PM0.4はCR-3XやVL-S3BTよりもウーハーの直径が一回り大きく値段も実質倍なのでそりゃそうかなとは思います。PM0.4はスピーカー側では左右のバランス調整以上の音量調整をしない前提のスピーカーでヘッドホン出力も無いので、単に家電製品として比べると使い勝手はCR-3Xのほうが上です。■ホワイトノイズの件静かな部屋だと無入力でも通電してミュートがかかっていない状態だとサーと聞こえます。オーケストラ演奏やASMRのようなダイナミックレンジが大きく微小音中心のコンテンツを再生していると確かに気になる時があると思います。もっともホワイトノイズがあるのはオーディオアンプとしては当たり前なので、再生機器とのレベル設計も考慮する必要があるでしょう。本来なら歪まない程度まで再生機器の出力音量レベルを上げて入力し、CR-3X側のボリュームで好みの音量に下げて使えばS/N比的に有利なはずですが、本機を使う方々の多くはスマホやPC等のヘッドホン出力をアナログ配線で入力し、再生機器側で音量調整をしたいためにCR-3X側の増幅度は高めで使う、になっている可能性が高く、であればS/N比的には更に不利です。オーディオインターフェースのアナログ出力をつないで使う場合もオーディオインターフェース側のボリュームを最大音量にせず絞って使えば同じ事です。とは言え人間気になりだすとその音ばかり聞いてしまう性質があるので、これが気になる人がいるのは仕方がないな、と思いました。■その他本体ボリュームのギャングエラーは、当方の個体では左側に絞り切りから右回転で上げ始めると非アンプ側が先に聞こえ始めます(ヘッドホンだとR側)が、ほんの僅かな上げ始めの数度だけで実用域ではまったく問題ありませんでした。個人的にはホワイトノイズよりギャングエラーのほうがストレスになるのでホッとしました。最近の傾向として前面にカバーを付けず振動板が剥き出しなスピーカーが主流になっていますが、机の上が散らかっていて音響機器の修理等でハンダ付け等の電子工作をする立場の人間からするとオプションでも良いから昔のようにカバーを付けられるようにして欲しいと思います。■総評PM0.4とVL-S3とCR-3Xあったらどれを仕事で使う?と問われればやっぱりPM0.4かなと思います。小型スピーカーなのでどれもローエンドが見えないなど共通の弱点があって物足りなさはあるのですが、それでも一般的なトークやセリフ中心のコンテンツの整音やミックスに限ってで言えば、やはりPM0.4が最も良いと思います。でも初心者でパソコンとヘッドホンだけで音響編集作業をしているならば、早々にスピーカーを買って慣れたほうが良いですね。バイノーラルのような特殊な作品を除きヘッドホンよりもスピーカー前提のバランスのほうが基本です。CR-3Xはリスニング用の入門機としても手頃な値段で買えて良いなと思いました。(がんくま)
※M3-2025秋への参加が無事終了しましたので事後談を追記しました(本記事下段)。ムラサキノオトは10月26日(日)開催のM3-2025秋へ参加します。サークルスペースは第一展示場のG-05aです。M3準備会による公式カタログはこちらです。現在予定している出展内容は以下の通りです。【新作】●オーディオドラマCD「いつもと少し違うカレー」300円※CDプレーヤーで再生が不安定な場合はパソコンのCD−ROMドライブで読んでみてください。CD-ROMとして読んだ場合は24bit/48kHzのWAV、MP3、シナリオPDFなどが入っています。【過去作】●オーディオドラマCD「タイトル:新作はまだか」500円●オリジナル効果音集DVDバイノーラル録音を含む、テレビMA、音声編集の経験者向け効果音集です。会場頒布限定品。各1000円Vol.1 フェリー船内音など (PDF)Vol.2 畳の足音など (PDF)Vol.3 入浴音など (PDF)※Vol.2と3は数がありますがVol.1は在庫僅少です。【その他】●簡易バイノーラルマイク500円100均のイヤホンを改造して作ったバイノーラルマイクです。使用に際してはステレオのプラグインパワー入力に対応したICレコーダーが必要です。提供数は1〜2個の見込み。●変なガンマイク展示・試聴audio-technica AT895/RKSANKEN CS-30primo EMU-4740primo EMU-4545+EM70(展示内容は変更する可能性があります)■事後談(2025.10.28追記)秋のM3にしては珍しく天候不順で雨模様の中、サークル参加してきました。無事新作ドラマCDも頒布できました。ご参加の皆様お疲れさまでした。また、当サークルを訪ねていただいた皆様ありがとうございました。M3の参加申し込みは開催の4〜5ヶ月前なので、ドラマCD出せない可能性が高いなとサークルカットを用意していたため、全て準備していくことになりました。ムラサキノオトは2展2階に配置されることが多いのですが、久しぶりに1展でした。結構混んでいましたね。マイク展示もマイナーながら興味を持って聞いていただいた方がいらっしゃいました。帰りの荷物になるのでやや負担が大きいのですけど、変なマイクコレクターなので次回もやるかもしれません。簡易バイノーラルマイクは毎回持ち込んだだけ売れるのですけど、原価は安くても作るのに手間と時間がかかるので次回もやれるかどうかはわかりません。私自身が消耗品として利用するため年に1〜2個は作りますから部品はストックしていますが余裕があれば1〜2個頒布に回せる程度です。「セリア イヤホン 改造 バイノーラル」等で検索すれば同じものを作っている話がヒットすると思います。次回のM3-2026春にも参加予定です!(がんくま)
既に告知記事を出しているM3-2025秋新作のオーディオドラマ「いつもと少し違うカレー」ではドラマ本編の台詞をダイナミックマイクSennheiser MD441Uで収録しています(杉宮加奈さんによるタイトルとクレジットのナレーションはコンデンサーマイクaudio-technica AT4050/CM5で収録)。前作「タイトル:新作はまだか」は全編をダイナミックマイクSennheiser MD422Uで収録しています。現在、商業用の音声作品はほぼ100%コンデンサーマイクで録音されています。私も他人の依頼を受けて仕事で商業作品の声を録音する時は Neumann U87aiやAT4050といったコンデンサーマイクで録音しています。ムラサキノオトの過去ドラマ作品もMXL V-67GやCAD M179といったコンデンサーマイクで録音してきました。アフレコスタジオのマイク SANKEN CU-41同人サークル作品は自分が監修して趣味で作るものですから自身が試してみたいことを好きにやれるのもメリットです。つまり仕事の録音と違って自分が好きなマイクを使えるということです。以前からダイナミックマイクでオーディオドラマを録るとどうなのか、は個人的な興味の対象でした。というのも放送局ではスタジオ録音用にコンデンサーマイクが普及する以前にダイナミックマイクを台詞やナレーションの収録に使っていた時代があるからです。しかもその時代はラジオドラマの全盛期と重なっています(実際にはベロシティマイクの利用が先行)。国産ダイナミックマイク AIWA DM-68A(1970年)国産ベロシティマイク AIWA VM-15(1957年)出展:Wikipedia(URL)ダイナミックマイクで声を録ってもオーディオドラマができるのは歴史的にも技術的にもわかりますが、現在の主流がサイドアドレス型のラージダイアフラムコンデンサー(LDC)マイクになっているのはその方がスタジオでの声収録に都合が良かったからでしょう。当サークルでやるとしてもLDCマイクで録ってきた過去作品に比肩できる結果にならねば意味が無いと思っていました。そしてマイクやスタジオというものは単体お試しではなく実戦で使ってみないと見えてこない部分が多いものです。■MD422U・単一指向性・周波数特性:30Hz-17kHz・感度:2.3mV/Pa±3dB(-53dBV)・インピーダンス:200Ω・サイズ・重量:長さ200mm、46mm、43mm/380g・ハムキャンセルコイル、ポップフィルター内蔵・5段ローカットダイナミックマイクの名品として著名なMD421の後継品として誕生したMD422ですが不人気で早々に廃盤になってしまった過去のマイクです。MD421のほうは今なおドラムマイクの定番として改良版が売れています。以前、音屋仲間でたまたま持ち寄ったMD421-ⅡとMD422Uの音を聞き比べた事がありまして、MD421のほうがやや爽やかで明るい感じを受けました。ギターを録るとMD422には変な癖があって使いにくいと言う方もいます。しかしその時同席した方の中に「声を録るのに使ってみたい気になるのはMD422のほう」と言った方がいたのを覚えています。MD422の周波数特性MD421の周波数特性録音は都内の公共施設の防音室で行いました。MA室のアナブースやアフレコスタジオと比べると床が板張りで完全なデッドではなく軽い反響がありますが、オーディオドラマ的には嫌な感じにはならず当サークルでは最初の作品から何度も使っています。録音機材はZoom F8のみで内蔵リミッターだけ活かして掛け録りコンプは無く、編集時にWavesのMaxx VolumeかMV2を使ってレベルを揃えたと思います。マイク本体のローカットは使わずF8側で65〜70Hzあたりに設定したような?この時はやや下から口元を狙いました。MD422にはポップガードが内蔵されていますが吹かれ防止で外付けのポップガードを併用しました。役者にはマイクにあまり近付かないでね、と伝えたものの習性でポップガードに寄ってしまうため、結果的にはマイク先端から18cm位で演技していたように思います。これは事前の想像よりも好きな音で録れました。LDCマイクと比べるとビビッド感(生々しさ、解像度)では劣りますが低音も案外良く、指向性がやや鋭く反響音は過去の収録より拾いませんで芯のある音になりました。収録中にすぐ近くを救急車が通ったらしくブース内にいた人々には微かにサイレンが聞こえたそうですが、ヘッドホンでモニターしていた私には役者の声しか聞こえませんでした。このマイクにはコイルが2つ使われていて中低音の落ち込みが無く、そのせいか他のダイナミックマイクと比べると近接効果の影響変化が緩やかで、そういう部分はステージパフォーマンス用のダイナミックマイクよりもコンデンサーマイクの使い勝手に似ています。SHURE SM58のような所々詰まった感じの音になることもなく、ナチュラルにお芝居が録れるマイクだなという印象を持ちました。MD422Uは廃盤なので入手自体が難しく、中古で入手しても音質差が出る可能性があります。この時も同じ役者が反対側のマイクへ行った時に微妙な音質差があるのに気付き編集時にEQで補正を行いました。MD421-Ⅱなら新品が買えるのでその辺の問題は無いでしょうが、音質的にはオーディオドラマ収録に使えそうだなと思うものの、お値段的には新品で買うとAT4040やAustrian Audio OC16、LEWITT LCT440等の個人ユースグレードのコンデンサーマイクよりも高価で2本買ってドラマ収録に使うとなるとコスパが良いとは言えません。■MD441U ・超単一指向性・周波数特性:30Hz-20kHz・感度:1.8mV/Pa±2dB(-54dBV)・インピーダンス:200Ω・サイズ・重量:長さ270mm、30mm、36mm/460g・二重構造のハウジングとスプリングカプセルマウント方式でハンドリングノイズを低減・ハムキャンセルコイル、ポップフィルター内蔵・5段ローカットとブリリアンススイッチにより10通りのレスポンス昔からあるスピーチ用の定番マイクで歌手の美空ひばりさんが愛用していたことでも知られます(結構重いので手で持って長時間歌うにはかなり腕力が要るのでは?)。国会演壇の集音マイク。SANKEN MS-5C(民放)、MUW-105(NHK)とMD441U※現在は全て別のマイクに変わっています。出典:首相官邸公式サイト(URL)録音環境はアフレコブースで床は絨毯張りで変な床鳴りはないもののこちらも軽い反響があります。よくある中低音よりも800Hzや1.8kHzの硬い反響が気になり、編集で調整しました。壁面の大型液晶やブース中に置かれていた折りたたみ式のテーブル等が影響していたようです。やや上から口元狙いでセッティングしてマイク内蔵のポップガードのみに頼りました。マイク内部に振動を吸収する仕組みがあるのでショックマウントも不要です。マイク本体の設定はローカット1段のブリリアンス(トレブルブースト)スイッチON。マイクプリは初めての利用となるSSL Pure Drive Quadを使用しました。この製品には受けのインピーダンスを切り替える機能がありますがデフォルトの1.2kΩ受け、LPFは60Hz設定にしました。ProTools内のプラグインコンプ(Focusrite d3 Comp/Limiter)による掛け録り音と、コンプを通さない音の両方を録音しました。MD422と比較するとカタログスペック通りにMD441のほうが出力レベルが低いです。このためプラグインコンプで更に持ち上げているにも関わらずHAゲインは+53〜59dBと高めの設定になりました。本編以外のナレーション部分の録音に使ったAT4050は+35〜41dBあたりでしたからS/N的には明らかに不利で、だいぶシャーシャーとノイズが乗ってしまいました。AT4050の定格感度は15.8mV/Pa(-36dBV)です。AT4050で録音したダイアローグのスペクトラムです。800Hzに前述の不要な反響音の伸びが、9〜10kHz付近に空調起因のノイズスタジオ内に設置されたLCDモニター起因のノイズ(このスタジオはまだ新しく、この時初めて問題点として把握されその後原因追求を進めて判明)が見えますがS/N的にはまあ妥当です。MD441Uで録音した音声。アンビ部分を見るとAT4050よりS/Nが悪いのと、ブリリアンススイッチONで高域に向かってオレンジ色が濃くなっているのがわかります。コンデンサーマイクやMD422、SM58等とマイク単品の出音を比べるとMD441Uは高域が足りないように感じられるので、ついブリリアンススイッチを入れてしまうのですが、このスイッチはおそらくスーパーカーディオイドのスピーチ用マイクとして口元から60〜70cmなどと離れた場所から声を拾う際の補正用で、録音ブースで普通に使う場合はOFFにして高域は必要な箇所をEQで上げるのが良いと思います。MD422の時に使ったZoom F8のマイクプリはやや丸い音になるのですけれど、SSL Pure Driveはノーマル状態だとクッキリ感のある音で、それもあってかブリリアンスONだと声の存在感(プレゼンス)が強すぎてビリビリ来ました。結局編集でブリリアンスONで持ち上がった分をEQで下げる羽目になりました。マイクの出力音を単品で聴き比べた印象と、音楽や効果音など他の音と混ざったコンテンツの中で聞く際の印象は違います。編集ではややハイ落ちする事も狙ってUADのLA-2Aプラグインをレベル調整に使いました(増幅度は低め)。このように整音していくとMD441Uで録音した声はソフトでジェントルな独特の高級感があります。派手ではないだけで低音も高音もしっかり拾っており、特に低音の男性ボイスは魅力的で値段相応というか安っぽくない音がします。安価なLDCマイクには無い音質が得られて私はこのマイクを見直しました(元々の声質が良くない人でもこのマイクで録れば良く聞こえるといった性質のものではありません)。実は以前このマイクを一度だけ声録音で試してみたのですが、その時はあまり良いとは思わなかったのです。1.5畳の狭いブースで胴体が長いMD441だと設置位置が限られ口元に近い配置でした。口元に近いと音がぼやける印象があります。吹かれも発生しますし、MD422よりも更に近接効果が薄くて正面なら離れても低音を拾うのでオーディオドラマの通常セリフであれば口から25cmは離れた位置で良いようです。ある程度ブースが広くないと正しく力量が発揮できないマイクのように思います。課題は前述のようにゲインアップによるS/Nの悪化です。ノイズの多いマイクプリならデジタル側で上げる方が有利かもしれません。Pure Drive Quadだとこのマイクには若干音がクッキリすぎるな、と思いましたが、このマイクが作られた頃の用法を考えるとインピーダンスを600Ωにしたほうが良い結果が得られたかもしれません。MD422Uと違って現行品なので現在も入手可能ですしメーカーに修理も依頼できます。しかしコスパは更に悪いです。このマイクを買う値段でNeumann TLM103やJZ Microphone BH-1Sが買えますし、AT4050なら2〜3本買えてしまいます。新品で2本買って掛け合いでオーディオドラマを録ろうなんてのは酔狂の世界です。単体での音質調整機能を除けばRODE NT3を買えば似たような使い方が出来そうでそのほうがコスパ良いでしょう。現代主流のマイクでは無く持て余す人がいるためか中古品がそこそこ出回っていますので運良く状態が良いものが安く買えればアリか?と思います。■感想MD422U/MD441U共にドンシャリ傾向が強いSM58やAUDIX OM-3よりもナチュラルで近接効果が比較的薄く(変化が穏やかなだけで無いわけではない)、コンデンサーマイクによる声収録に感覚が近いです。感覚の近さと使い勝手で言えばMD422U。音の個性ならMD441U。感度は劣るが指向性は強めなので完全防音ではない部屋で台詞を録音するならLDCマイクより有利な面もあります。マイクプリのS/N比の良さが重要ですが、もしかするとアナログ卓の内蔵HAみたいなさほど高級でないHAのほうが色々とアラが目立たないのかも?と思ったりもしました。一方で声自体の生々しさはLDCに劣ります。耳に間近な声優の声の生々しさを楽しむ人々にはLDCに分があります。感度が低く高い音のリップノイズが目立ちにくい点が多少有利でしょうが、録り音をそのまま使うのではなく編集でマメにノイズを取る人ならあまり変わらないかな。ムラサキノオト作品ではマイクの個性重視でまた使ってみたいと思いましたが、実は他にもまだ使ってみたいマイクが控えています。次回は何で録音してみようか?(がんくま)【関連記事】ムラサキノオトで所有するマイクのレビュー