■試聴
S-80Aを無補修のS-80と鳴らし比べてみました。モノラル音源をS-80A/S-80で左右に振って聞くとほぼセンターに定位しますので音量差はありませんがS-80のほうが僅かに高域が出ています。


どちらも15kHz以上の超高域があまり出ない同じツイーターと思いますが4〜15kHzあたりS-80のほうが出ていて音の透明感や女性声の存在感があります。よく見るとパネル表面の仕上げやメッシュグリルの網目と固定ネジの有無など細かい外観にも違いがあります。


また、S-80のほうが40Hz位の低い音がほんの僅かですが聞こえやすい。一方で100〜250Hz付近の解像度は改造S-80Aのほうが良くてオリジナルS-80はごちゃっとしています。ウーハーのネジの締め方で低音増しになるかタイトになるかが微妙に変わるので、S-80A にゴム製スペーサーを付けた影響かもしれません。ウーハー交換による位相(アライメント)の変化は特に気になりませんでした。

裏側から見るとS-80とS-80Aの端子盤は異なり、ネットで検索して調べた画像を見た限り基板も違います。S-80のほうはHPF用もLPF用も電解コンデンサーで高域側の抵抗値は2.7ΩのS-80Aに対して2.2Ωのようです。この辺が前述の高域の印象の違いになっているのかもしれません。


背面板の作りも微妙に違います。S-80のほうはエッジが破れている様子もなく正常動作しますが電解コンデンサーの容量やスポンジシールの劣化具合を見たいので分解を試みるもののグリルの取り外しすらできていません。


S-80の販売当時の仕様書にはバーやシアターでの拡声用途の他にスタジオモニターとも書いてはあるものの私自身は20年近く所有しているけどS-80をミックス用に使おうと思ったことがありません。小音量時とそこそこ鳴らした時のバランス感が変わってしまうのが最大の理由ですが、レンジ感が狭く(特に最近のスピーカーと比べると明らかに高域が伸びない)、音がごちゃごちゃして聞こえる帯域があったり抜けが悪い帯域があったりで、これでEQかけるのはちょっとどうよと思います。ヤマハHS7と聴き比べるとその差は歴然としていてスピーカーの進化を感じます。


ぶっちゃけ現代的な生っぽい音の再生は苦手なタイプのスピーカーと思います。が、良くできた音楽はスピーカーを選ばないね〜ってのも実感できます。液晶モニターが当たり前になった現代では重視されなくなりましたが、防磁型で10cmまでブラウン管テレビに寄せられるS-80には当時のステレオ小僧からするとプロが使うかっこいいAVスピーカーのイメージがありました。80's洋楽やシティ・ポップをこれで聴くと「あ〜当時街中や店内で聴こえていたのはまさにこんな音だったよな〜」と思えてその世代としては楽しいです。a-ha、pet shop boys、Murray Head、Michael Jackson、Starship、Art of noise、EPO、竹内まりや、大瀧詠一など聞いてみましたが良かったです。


■スーパーS-80への道?
ツイーターの交換を想定してみました。

【ツイーター寸法】
バッフル開口部径 約33mm
フロントパネルへのユニット取り付け金属(アルミ鍛造)プレートのネジ穴対角距離 100mm(4穴)
ダイアフラム取り付けネジ穴対角 距離 56mm(4穴)
ダイアフラムドーム直径 約38mm
ダイアフラムコイル直径 約33mm
ギャップ径 約34mm





メーカーでは1.25inchと公表していますが実質1.3inchツイーターです。S-80A自体の耐入力は100W(S-80は80W)ですがHPFでローカットされるためツイーター単体は45Wあたりからなんとか使えるのではないかと。

良く似ている製品はAUDAX TW034X0(PDF)です。アルミプレート付きでボイスコイル径34mmです。耐入力も70Wと高く、アルミプレートのネジ穴を開け直せば付くと思います(もしかするとプレート上端は削らないと入らないかも?)。


TW034X0には交換用のダイアフラムRW034X0がありますが、これも見た目は似ています。加工したら使えるかもしれません。


ただし、TW034X0もRW034X0も後述の他の製品よりお値段は高めです(TW034X0は送料別で1個$130位)。純粋にダイアフラムだけが必要な場合、AlibabaやAliExpressでコイル幅33.5mmまたは33.7mmで生地幅53.6mmのVCLフェノール樹脂製のドーム型ダイアフラムを見かけます。

33.5mm
https://www.alibaba.com/product-detail/1-3-Inch-33-5mm-Inner_11000024727515.html


33.7mm
https://ja.aliexpress.com/item/1005010107193616.html
https://ja.aliexpress.com/item/1005010102405054.html



おそらくS-80/80AやTW034X0に適合するのではないかと思えます。しかし磁石側のギャップは1mm幅でシビアな部分なので現物を取り寄せて試してみないと本当に使えるかどうかわかりません。

1.25inchではなく1inchのツイーターユニットであれば種類が多く、ネジ穴対角が55.8mmのTangband 25-1414SC/25-1744S/25-1719SあたりはS-80/80Aの金属プレートに付くかもしれません。が、プレートの内側の形状と干渉するような気がします。

Tangband 25-1414SC


実際に交換した方の記事もありました。はっきりとはわかりませんがVIFA(Peerless)のBC25SC06-04かDQ25SC16-04に見える。

エレクトロボイスEVS-80(ニセコ旅物語☆ロッジ風ゲストハウス、口コミ宿!)
https://nisekoinfo.blog.fc2.com/blog-entry-1469.html

外形寸法4インチ(100〜110mm位)の4穴ツイーターユニットは取り付け穴を広げれば元の金属プレート自体を使わずに直接フロントパネルに固定できそうですが、内側からの取り付けになるのでバッフル穴周辺でビビリや隙間が発生しないようにクッション材を挟むなどの対策が必要かもしれません。しかし交換自体は可能と思われます。

VIFA D25AG35-06
https://ja.aliexpress.com/item/32828799314.html


SOTAMIA DAS-300
https://ja.aliexpress.com/item/1005009930874321.html


yingDi YDQG5-36
https://ja.aliexpress.com/item/1005008640025123.html

チタンドームデュアルマグネット磁性流体の意欲作ですが定格30Wなので弱いか。

中華メーカーのkasun(佳訊音響)には外形寸法104mmのツイーターが多数あってお値段も手頃です。自分がやるならAT-2900やQA-2101シリーズを取り寄せて試してみたい。

kasun ツイーター製品一覧
http://www.kasun.com.cn/product/c19/

AT-2900
https://ja.aliexpress.com/item/1005009428839387.html


QA-2012X
https://ja.aliexpress.com/item/1005002846626171.html


これらのツイーターはオリジナルのツイーターより高域の特性に優れます。交換するとかまぼこ型の特性が改善され、ネットワークの調整次第で現代的なスーパーS-80になるのではないでしょうか。


当ブログの記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いします。

(がんくま)

【関連記事】
Electro-Voice S-80Aレストア(1)
Electro-Voice S-80Aレストア(2)
Electro-Voice S-80Aレストア(3)
Electro-Voice S-80Aレストア(4)