
2009年頃までニュース番組の送出で使っていた経験がある懐かしいポン出し機(ハードディスクサンプラー)です。起動画面は出ますがHDDを読まず再生も録音もできません。


耳を澄ますとHDDのヘッドがシークしている音は聞こえますが、スピンアップする音がしないのでモーターが回っていないようです。SCSI-HDDの入手は難しくなっているのでSDカードでSCSIをエミュレーションする仮想ハードディスクに交換してみます。

■分解してHDDを確認する
メーカーWebサイトに分解手順が書いてあります(わりと珍しい)。
Opening An Instant Replay For General Repairs.
https://support.360systems.com/knowledgebase/opening-up-an-instant-replay/
底面にある5つの黒いゴム足のうちフロント側の3つを外す。

大きめのゴムブッシュなので端をめくってマイナスドライバーで中心部分を押しながら引き抜きます。

中を覗くと奥に上面パネルを止めているナットが見えます。

メーカーの説明では"5/16 nut driver or socket with an extension and ratchet"を使えと書いてあります。ANEX No.6000 8-125六角ナットドライバーを使ってみましたが斜め挿入になりサイズがギリギリです。着脱式の短いソケットだと外れて中に入り込んで取れなくなるかもしれないのでディープソケットかナットドライバーのほうが安全です。

ナット3個が外れたら上面パネルを手前に引いてから揺すり、右側にめくって外します。底面基板と上面パネル裏基板の接続ケーブル各種を外します。本機の内部コネクタは一列ズレて挿せたり逆向きに挿せたりするコネクタばかりなので外す前によく観察して写真を撮っておく。

"UG2M256K32SQT-7 1MB"と記載された72pin SIMMが刺さっています。最小容量なのでEDOでは無いと思いましたがチップの型番が読めず詳細不明。

中央部にSCSI-HDD FireBallが鎮座しております。Quantumか・・・何もかもみな懐かしい。


参考にさせていただいた海外サイト
Replacing my 360 Systems Instant Replay SCSI Hard Drive With A Memory Card
https://www.notla.com/archives/2018/08/replacing-my-360-systems-instant-replay-scsi-hard-drive-with-a-memory-card/
と見比べるとHDDの向きが違うので良く説明を読んでみると海外ニキの機種はDR-552(Instant Replay2.0)で一世代後みたい。本記事の当該機はケース底面に1997/12/19の検印がありメイン基板のリビジョンはFです。

こちらが海外ニキのDR-552の内部で基板がバージョン2になっててFirmware ROMは2.02。SIMMが4MBになっている。

(写真引用元) https://www.notla.com/wp-content/uploads/2018/08/20180816_130457.jpg
底面から貫通している4本のインチネジ(22mm位)を回してHDDを取り外し電源とSCSIケーブルを抜きます。固く止まっていますがコネクタやピンの破損を防ぐため何度も揺すりながらジワジワと抜く。昔からパソコンの自作をしていた人は慣れてるでしょうけど、今どきのUSBやSATAしか知らない方だと力加減がわかりにくいらしい。

外したHDDを裏返すとコネクタの所のシールに1280Sと型番があり容量1280MB(1.2GB)と確認できました。

ドライブ設定ジャンパピンJP1を確認しドライブのラベルと照合。

TE/A0/A1/A2のうち、A0のみジャンパピンが挿してあるので、
TE(Terminator Enable)=OFF
SCSI ID=1
と思われます。外したドライブを他のパソコンに取り付けて様子見しましたがやはり回りません。

■Blue SCSI V2を試す
上記のドライブ側設定を参考にまずBlueSCSI V2を試しました。購入したのはヤフオクへ出品されているKero's Mac Modsさんの製品です。
Kero's Mac Mods
https://ameblo.jp/keroxiee1016/entry-12705349964.html



"BlueSCSI+Instant Replay"で検索すると仮想ドライブのイメージがヒットしますが、ここで言うInstant Replayは同名のAppleIIのエミュレータかアプリのことらしく本機とは無関係です。

しかし動作実績はある。

16GB class10のMicroSDカードをSDカードアダプタに挿し、WindowsでexFATでフォーマットしてからDisk Jockey(Windows版)で仮想ドライブのイメージファイルを作ります。

【参考】Disk Jockeyを用いたBlueSCSI用ディスクイメージの作成方法
https://ameblo.jp/keroxiee1016/entry-12951454374.html#google_vignette

容量はとりあえず2GBとしました。出来上がったイメージファイルをMicroSDカードのルートフォルダにコピーし、SDカードアダプタごとBlueSCSIに挿入。仮組みで配線します。

前述のように全てのコネクタは挿し間違いがないかを念入りに確認します。というのも昔一列挿し間違えて壊した機械があったのでね。仮組みで中を覗きながら通電するので不用意に基板をショートさせたり配線に負担がかかったりしないようにエアーキャップや布などの絶縁緩衝材で養生しました。

BlueSCSIは電源を供給しなくともSCSIバスのTERM POWERだけで動作するとの事でしたが残念ながら本機では動作せずで3.5inch FDD用の電源変換ケーブルAINEX WA-076Cを使いました。千石電商で380円でした。

すると基板上のLEDが点灯。STOPキーを押しながら通電でドライブの初期化モードになり、画面の指示にしたがって操作すると、ちゃんとフォーマットできました。仮想ドライブのイメージファイルだけあれば"bluescsi.ini"は不要です。


フォーマットが終了すると自動で再起動され、RECボタンを押すと(フォーマットできていれば)録音可能時間が表示されます。2GBだとステレオ生WAVではせいぜい3時間程度しか回らないはずで16時間録れるということはDolby AC-3なのですね。

■SCSI2SDを試す
手持ちのSCSI2SDは数年前にiteadの出荷が止まっていた時期にAliexpressで買った中国製の互換品で基板裏に"S50TOSD"とシルク印刷があります。終端抵抗が物理抵抗だったり電源コネクタが付いていたりするのでV4な気がします(販売元ではV5.0Aと書いていたような)。


この基板の電源コネクタは基板上に12Vの配線パターンが無いのでV5.1以降の基板のように黄色線をカットして5V線だけにする必要はありません。

MicroSDカードは4GB(FAT32でフォーマット)を使用。ハギワラシスコム製品かなこれ。

以前Firmwareを4.8.2にしてAKAI DD1000で試した際は動作不調だったので今回4.6にバージョンダウンします。本記事執筆時点でまだ販売されている古いV4系基板の設定の方法は下記のページに詳しいです。
【参考】SE/30-A、B セットアップ(753Note)
https://waterfront111.sakura.ne.jp/SE30/02.html
中段「3. SCSI2SDのセットアップ」
設定ソフトウェアscsi2sd-utilの入手は下記から。
SCSI2SD Documentation Hub
https://docs.scsi2sd.com/
バージョンダウン用のfirmwareイメージ v.4.6.0をダウンロードしておきます。V4系基板の最新は4.8.4で私自身は4.6で動いたあと4.8.4を試していません。4.8.4で問題なく動く可能性もあります。
Firmware and Utilities for SCSI2SD V3, V4, and V5.0
http://www.codesrc.com/files/scsi2sd/archive/
MicroUSBケーブルでWindows PCとSCSI2SD基板を繋ぎ、scsi2sd-util.exeを使ってV4用のfirmware 4.6を読ませます。

V4用を選択。scsi2sdの一番下には基板と繋がっていればバージョン表記が出ますのでそこが4.6になる。


以降Windowメニューからshow logで反応を見ながら設定します(見えない時はウインドウが後ろに隠れている)。たまにSave to deviceがprotocol errorでコケる時がありlogを見ているとわかる。

BlueSCSIと同じ2GBターミネーター無しで動きました。BlueSCSIと比べると若干動作が遅いようです。

最低限動くことは確認できたので次回さらに設定を詰めます。
つづく
(がんくま)
【関連記事】
360 Systems Instant Replay DR-550 の修理(2)
【今回の修理とは関係ない部分の資料用写真集】
操作パネル裏側

アナログボリューム部裏側

ディスプレイパネル下端

電源基板
