数年前にCEMPW100でECMマイク用のファンタム電源ボックスを作った時に紹介したECMカプセルの出力をXLRバランスで出力する中華製基板を放置したままだったので少し詳しく調べてみました。

【購入先】
Module Sky
https://ja.aliexpress.com/item/1005003392179055.html

・2線式ECMカプセル専用。
・XLRピンからのファンタム電源供給でECM用電源電圧が得られる。
・価格は800円でセールで500円(送料別)程度。購入当時は400円だった。
・基板に「丰圆意」とシルク印刷されている。
・サイズ4.50cmx1.58cmx2.00cm
「丰圆意」は日本語の漢字にすると「豊円意」。中国語の「丰(fēng):豊作、豊かさ、容姿が美しい」「圆(yuán):丸い、円満、欠けていない」「意(yì):意向、願い、満足する」を組み合わせた言葉で、「豊かな実りと円満な生活」を願うフレーズとして春節や祝辞で使われる定型句だそうで、おめでたい基板なのである。しかしこの言葉で検索しても製造元の情報はヒットせず。
基板の配線パターンは太く裏側もほぼべったりアース面です。全ての部品は表面実装品でオーディオ用高級パーツというわけではありませんが品質は安定していると思います。




回路図にしてみました。基板上に部品番号が無い部品にはこちらで勝手に番号を振りました。


典型的なSchoeps回路で改造が流行ったBM-800と定数を含めかなり似ています。C1の容量は測定できませんでしたが同じだとすると1μF。違いはカプセル出力受けの高抵抗内蔵FETが無いのと位相分割用のQ1がNPNではなくPNPトランジスタになっていることです。この場合はベースに入力された波形と同相の信号がエミッタ側に出てきますからカップリングコンデンサC3を経由してXLR3が同相出力です。2線式ECMの出力は逆相なので結果的にXLR2が正相になります。Q4/Q5は何故欠番なんだろうかとか、R12とR13の抵抗値が違うのは何故だろうかとか疑問が残りました。
3線式ECMカプセルで使えるかどうか調べるために改造してみました。R1とC1の間をパターンカッターで切り離し(またはR1自体を取り去り)、代わりの負荷抵抗となる2.2KΩを基板端にあるMICの+端子とー端子のスルーホールに挿し、3線式ECMの配線を下記の箇所にハンダ付けします。
ソース:+端子
ドレイン:R1のQ2側のランド(電源)
GND:ー端子
改造した箇所のアップ

赤い部分をカットしR1のQ2側のランドからECMの電源を得る。

GND側に移る負荷抵抗は裏側に付けました。

3線式に改造したXCM6035を繋いで動作チェック。ファンタム電圧37.5Vの時、カプセル電圧(Q2のエミッタ出力電圧)は6.9Vでした。

この改造によりソースフォロアーとなり歪みが減って音質が向上するはずですが改造前と出力の位相が反転します。BM-800と違いリード線の付け替えはできませんのでXLRコネクタの根元部分のパターン(下記写真)を切って&裏側も使って2番ピンと3番ピンの配線を入れ替えるか、

受け側機器で位相を反転させて対応すると割り切るか、Q1(2L)をNPNトランジスタに付け替えるかです。チップトランジスタ(G1)が無い場合はリードタイプの2SC1815とか2N3904とか付けとけば良いと思います。ここは私の理解が間違っていて、正しくはQ1のコレクタとエミッタを入れ替える、のはず。NPNでもPNPでもエミッタ側がべース入力と同相、コレクタ出力が逆相。未改造だとXLR2(ホット側)が逆相。チップトランジスタだとパターンを変更しないとCとEが入れ替えられないので、リードタイプのトランジスタを使用するほうが楽。となると2SA1015とか2N3906とかでしょうか。
初期状態のQ1端子位置

しかし、実際にNPN(G1)に貼り替えてみると
[貼替え前]

[貼替え後]

位相が反転します。下記はSONY ECM-55Bと本基板+XCM6035とAKG LC-617MD+CEMPW100をカプセル部分を同位置に置いて録音した波形を拡大したもので、PNP(2L)の時と、

NPN(G1)に変更した場合を見比べると、真ん中の本基板の位相が反転しているのがわかります。

今度はQ1をTO-92型の2N3906Y(PNP)にしてエミッタとコレクタを入れ替えました。2N3906のリード線は左からEBCなので、下記の配置になるように取り付けました。


波形を見てみると再び位相が反転しています。PNPトランジスタを使っているとCとEを入れ替えても位相は変わらない。NPNにすると変わる。調べた話と実際の結果が逆になっていてちょっと混乱してきました。

上記の3つのマイクのレコーダー側の録音レベルはどれもあまり変わりませんで、ソースフォロアーと現在の負荷抵抗値でも出力レベルが低すぎることは無さそうです。
BM-800ではホワイトノイズ低減のためにダイオードを抵抗にするか、ダイオードとC8の間に2.2kΩの抵抗を追加する(参考Ayumi's Lab.)改造がありましたので、パターンをカットして抵抗を追加してみました。
[抵抗追加前]

[抵抗追加後]

確かに雑音は少し小さくなるのですが、BM-800の時ほど顕著に小さくはならず。BM-800のダイオードほどノイズが大きくないのかもしれません。
XLR2/3出力の保護抵抗と思われるR12とR13の抵抗値が違う件は、トータルのインピーダンス対策でそうなっているのか、コピー元の回路を使い回しているのかわからず。試しにBM-800と同様に両方47Ωにしてみました。このままだとイマイチなんで実用する時はもっと小さい抵抗にします。

1/4Wの小さい金属皮膜抵抗にしてみましたが、それでもこんな感じです。

BM-800と同様にC3/C4をフィルムコンデンサにすると音質が向上するはずですが、基板が小さく実装密度が高いため交換の難易度は高いです。今後、未改造品と録音を比較するなどして更に追記していきたいと思います。
この基板は現在も入手可能ですが、似た製品で赤い基板もあります。
https://ja.aliexpress.com/item/1005006494637270.html

上記の写真を見た限りでは内容はほとんど一緒ですが、赤い方にはカプセル側の初段にFET(おそらく2SK596)が付いていて、よりBM-800に近い回路と思われます。
(がんくま)
【関連記事】
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Classic Pro CEMPW100をMicroDotのマイクで使ってみた
萌声!激安中華マイクロホンの改造

【購入先】
Module Sky
https://ja.aliexpress.com/item/1005003392179055.html

・2線式ECMカプセル専用。
・XLRピンからのファンタム電源供給でECM用電源電圧が得られる。
・価格は800円でセールで500円(送料別)程度。購入当時は400円だった。
・基板に「丰圆意」とシルク印刷されている。
・サイズ4.50cmx1.58cmx2.00cm
「丰圆意」は日本語の漢字にすると「豊円意」。中国語の「丰(fēng):豊作、豊かさ、容姿が美しい」「圆(yuán):丸い、円満、欠けていない」「意(yì):意向、願い、満足する」を組み合わせた言葉で、「豊かな実りと円満な生活」を願うフレーズとして春節や祝辞で使われる定型句だそうで、おめでたい基板なのである。しかしこの言葉で検索しても製造元の情報はヒットせず。
基板の配線パターンは太く裏側もほぼべったりアース面です。全ての部品は表面実装品でオーディオ用高級パーツというわけではありませんが品質は安定していると思います。




回路図にしてみました。基板上に部品番号が無い部品にはこちらで勝手に番号を振りました。


典型的なSchoeps回路で改造が流行ったBM-800と定数を含めかなり似ています。C1の容量は測定できませんでしたが同じだとすると1μF。違いはカプセル出力受けの高抵抗内蔵FETが無いのと位相分割用のQ1がNPNではなくPNPトランジスタになっていることです。この場合はベースに入力された波形と同相の信号がエミッタ側に出てきますからカップリングコンデンサC3を経由してXLR3が同相出力です。2線式ECMの出力は逆相なので結果的にXLR2が正相になります。Q4/Q5は何故欠番なんだろうかとか、R12とR13の抵抗値が違うのは何故だろうかとか疑問が残りました。
3線式ECMカプセルで使えるかどうか調べるために改造してみました。R1とC1の間をパターンカッターで切り離し(またはR1自体を取り去り)、代わりの負荷抵抗となる2.2KΩを基板端にあるMICの+端子とー端子のスルーホールに挿し、3線式ECMの配線を下記の箇所にハンダ付けします。
ソース:+端子
ドレイン:R1のQ2側のランド(電源)
GND:ー端子
改造した箇所のアップ

赤い部分をカットしR1のQ2側のランドからECMの電源を得る。

GND側に移る負荷抵抗は裏側に付けました。

3線式に改造したXCM6035を繋いで動作チェック。ファンタム電圧37.5Vの時、カプセル電圧(Q2のエミッタ出力電圧)は6.9Vでした。

この改造によりソースフォロアーとなり歪みが減って音質が向上するはずですが改造前と出力の位相が反転します。BM-800と違いリード線の付け替えはできませんのでXLRコネクタの根元部分のパターン(下記写真)を切って&裏側も使って2番ピンと3番ピンの配線を入れ替えるか、

受け側機器で位相を反転させて対応すると割り切るか、
初期状態のQ1端子位置

しかし、実際にNPN(G1)に貼り替えてみると
[貼替え前]

[貼替え後]

位相が反転します。下記はSONY ECM-55Bと本基板+XCM6035とAKG LC-617MD+CEMPW100をカプセル部分を同位置に置いて録音した波形を拡大したもので、PNP(2L)の時と、

NPN(G1)に変更した場合を見比べると、真ん中の本基板の位相が反転しているのがわかります。

今度はQ1をTO-92型の2N3906Y(PNP)にしてエミッタとコレクタを入れ替えました。2N3906のリード線は左からEBCなので、下記の配置になるように取り付けました。


波形を見てみると再び位相が反転しています。PNPトランジスタを使っているとCとEを入れ替えても位相は変わらない。NPNにすると変わる。調べた話と実際の結果が逆になっていてちょっと混乱してきました。

上記の3つのマイクのレコーダー側の録音レベルはどれもあまり変わりませんで、ソースフォロアーと現在の負荷抵抗値でも出力レベルが低すぎることは無さそうです。
BM-800ではホワイトノイズ低減のためにダイオードを抵抗にするか、ダイオードとC8の間に2.2kΩの抵抗を追加する(参考Ayumi's Lab.)改造がありましたので、パターンをカットして抵抗を追加してみました。
[抵抗追加前]

[抵抗追加後]

確かに雑音は少し小さくなるのですが、BM-800の時ほど顕著に小さくはならず。BM-800のダイオードほどノイズが大きくないのかもしれません。
XLR2/3出力の保護抵抗と思われるR12とR13の抵抗値が違う件は、トータルのインピーダンス対策でそうなっているのか、コピー元の回路を使い回しているのかわからず。試しにBM-800と同様に両方47Ωにしてみました。このままだとイマイチなんで実用する時はもっと小さい抵抗にします。

1/4Wの小さい金属皮膜抵抗にしてみましたが、それでもこんな感じです。

BM-800と同様にC3/C4をフィルムコンデンサにすると音質が向上するはずですが、基板が小さく実装密度が高いため交換の難易度は高いです。今後、未改造品と録音を比較するなどして更に追記していきたいと思います。
この基板は現在も入手可能ですが、似た製品で赤い基板もあります。
https://ja.aliexpress.com/item/1005006494637270.html

上記の写真を見た限りでは内容はほとんど一緒ですが、赤い方にはカプセル側の初段にFET(おそらく2SK596)が付いていて、よりBM-800に近い回路と思われます。
(がんくま)
【関連記事】
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