夕飯を買いに外に出る。

アパートの敷地を出ると同時に

ポツポツと降り始めた雨は

30秒もしないうちに

激しく道路を叩きつけ始めた。


タイについて書かれた本には

タイ人は傘をささない、止むのを待っている

なんて書いてあったりする。


最近のバンコクでは

傘をさす人は珍しくない

時間に追われる現代社会の波は

タイも例外なく巻き込んでいる。

雨が止むまで雨宿りしようという考えは

通用しなくなっている人が増えている言うことだ。


沢木耕太郎は

大学を卒業して初めての出社日に

東京駅から会社に向かう途中

雨が降ってきて、

スーツが濡れることを嫌がり

傘をさす自分になにか違和感を覚え

そのまま退職したと言う話を書いていた。

(それはあくまでもあとからつけた理由でもあるとも書いている)


特に急ぐほどの用事でなかった私は

そんなことを思いながら、雨宿りをしていた。

タイの法律はくわしく知らないけれど

日本で原付(スクーター)と呼ばれている

50ccのバイク?は、タイでは公道を走れないことになっている。

地方や郊外に行くと見かけないこともないが

それらのバイクにはナンバープレートがついていないはずだ。

(なぜか日本のナンバープレートをそのままつけて走っているバイクを

何度か見かけているが、あれは盗難車?)


タイで最もメジャーなメーカーはHONDA。

街中でよく見かけるDREAMやWAVEといった車種は

100~125ccのギア付きバイクだ。


バイクの普及率という点では

バンコクよりも地方の方が高いであろう。

地方に行くと、一家に一台ではなく

1人1台持っていないと生活に支障が出る、といったら大袈裟か?

まあ、持っていないと生活が不便なのは事実だ。

私自身、チェンライにいるときは

バイクがないと行動範囲がかなり制限される。

(滞在目的によって、必要なときは借りています)


DRAEMやWAVEを新車で買うと、3万B以上。

YAMAHAや中国製のバイクなどだともう少し安いはず。

(中古もあるけど、そんなに安かったかな?)

チェンライでは自営業以外だと

1万B以上の収入がある人はほとんどいないだろう。

つまり月収の4,5倍以上の買い物だ。

日本で考えると、100万円くらいの買い物をするのと同じ?


ここ1年くらい、急激に増えたのが

ギアのないスクータータイプのバイク。

上記に書いた原付と違い、

排気量もそこそこあり、ナンバープレートも取れる車種が

販売されるようになった。

聞いた話だと最低でも4万B以上と決して安くはないのだが

この1年(半年?)、チェンライでは急激に増えているように思える。

運転が簡単なこともあり

若者や女性に人気が出ているのだろう。

やたらと売れているようだ。


タイ人は日本人よりも気軽にローンを組む。

ローンを払えなくなったら返せばいい、という感覚らしい。

(今月のローンが払えない、払えなかったら取られるから

お金を貸してくれ、というのはタイ人から相談されやすいパターン)


月収5,000B前後で、

毎月1,000B前後もローンの支払いに(バイクだけでも)つぎ込むのは

どうかと思うのだが、

タイ人の見栄を張りたがる、後先考えない性格では

こういう流れも当然であろう。


日本人の貯蓄好きは世界的にも有名らしいが

タイ人のこうしたお気楽さもどうかと思う。

「だからおまえらいつまで経っても貧乏から抜け出せないんだよ」

と言いたくなる。

(実際、貧乏人ほどこういうムダ使いが多い)


タイ経済、やっぱりバブルだと思うのだけど……

インターネットが普及して

あらゆる情報(と言えないレベルのことも含むが)を入手することが

容易になった。

気になる言葉を検索エンジンに入力する。

検索結果の中からこれだと思ったものをクリックしてみる。

ただそれだけで、知りたい情報は入手できる。


知らないよりも知っていた方がいいというのが一般論だと思う。

しかし、世の中には知らない方が幸せなこともあるということを

年を取るに連れ感じてきた。


自分以外の世界を知ることは

自分の世界を否定することにもつながりかねない。


山の世界しか知らない子供が

街の生活を知ってしまったら

山の生活に戻れるだろうか?


まあ、そんなこといっても

それを教えないというのは

知っているものの単なるエゴに過ぎないこともわかっている。


ここのところインターネットやその他媒体で

自分の知りたくない情報を目にする機会が急激に増え、

改めて知らない方が幸せと言う意味を感じている。

ポーはプラトムの略、小学校を表し、

そしてホックは6と言う意味。

つまりポーホックというと小学6年生を指す。


しかし、タイ語を学ぶ人にとってポーホックとは

小学校6年生程度のタイ語能力があると

教育省が認定する試験のことを意味する。


この試験、一時期は年2回試験があったが

現在は年1回、毎年12月に行われている。

音読や文章読解、書き取りなどがあるらしいが

受験はおろか、対策授業さえ受けていないので

詳細はわからない。


タイでタイ語を学び始めた人が

1つの目標とするのがこの検定試験だ。

12月に試験があるので

1月から語学学校にマジメに通えば十分間に合うそうだ。

ただ、個人的には全くの白紙状態で勉強を始めると

12ヶ月、いや実質11ヶ月ではしんどいと思う。

多くのタイ語学校ではこの対策クラスを設置し

合格者数を競っている様子が窺える。

学校の質を表す、1つの指標になっているようだ。


私などとっくに持っているべきものなのだが

なぜか持っていない。

試験を受ける機会がなかったから、

試験対策の勉強をしたくなかったから

というのが質問されたときの答えであるが

落ちるのが怖かったのだろう?

と問い詰められれば返す言葉もない。


自分としては、試験合格者と比べて

タイ語能力が劣っているとは思わない。

(いや、持っていてもひどい人を何人も知っている)

しかし、能力を証明するものはない。

最近、この試験に受かっていれば

チャンスが広がると言う話がいくつかあった。

しかし、今となってはどうしようもない……

自他ともに認める活字中毒。


日本食と日本語書籍、

どちらかを選ぶとしたら、迷わず書籍を選ぶ。


日本食は我慢できても、

日本語活字を断たれるのは

私にとって耐えられないことだ。

(デブだけど本心です)


初めての海外は10年以上前。

その頃は、インターネットなど普及しておらず

現地で得る日本語書籍や情報は

今とは比べものにならないくらい貴重なものだった。

自分よりあとに日本を出発した旅人の持つ新聞雑誌が

輝いて見えた。

古本も決して安くなく(今でも高いと思うがそれ以上に高く感じた)、

旅行中に本を買うのは勇気がいった。

泊まる宿にテレビなどなかった。

数少ない日本から持ってきた文庫本を

夜、1人ベッドの上で何度も何度も読んでいた。


チェンライにかつて日本人が経営する古本屋があった。

チェンライでは市場が小さかったのか、すぐに閉めてしまった。

品揃えがいいとは言えなかったけど

異国で読む日本の本は何にも代え難い。


日本に住むタイ人はどうしているのだろう?

インターネットでタイ語番組を見ることは可能になっている。

バンコクで生活していると

日本語フリーペーパーは多いし

書籍も価格の高さに目を瞑れば

手に入らないわけでもない。


タイで日本語書籍を手にするよりも

日本でタイ語書籍を手にする方が困難だと思う。

タイ人は日本人ほど本を読まないと聞く。

それでも、たまにはタイ語を欲するのではなかろうか?

日本に住むタイ人の活字中毒は

いったいどうしているのだろう……