「あそこで入れられるのはヤバイって・・・なんでもうちょっと堪えられないかな・・・」
贔屓のサッカークラブがロスタイムで逆転負けした夜、俺はひとり居酒屋でやけ酒をかっくらっていた。
いつもは馴染みの赤提灯で軽く景気づけをしたあとにスタジアムへ向かうのだが、今日は試合前にイベントがあるということで、赤提灯には寄らずに今こうして居酒屋で呑んでいる。
勝利の美酒とはよく言ったものだ。今日の酒はそれと真逆の味がする。でも味が真逆なのに酒の量が減ることはない。むしろ不味い酒のほうがペースも上がる。
酔いつぶれる様にテーブルに突っ伏した俺が居酒屋の店主に起こされたのは、時計の針が真上に並ぶちょっと前だった。
勘定を払い店を出る。政令指定都市といえど、そこを通っているのは田舎のローカル線だ、この時間になれば終電も出てしまっている。
また女房にどやされるなと苦笑いしながら、タクシーを捕まえるべく駅へ向かった。
終電が出てしまった駅は人もまばらで、駅でタクシー待ちをする人か、深夜に駅向かいのコンビニでたむろう若者くらいしかいない。
空には星も月もなく、夜空でも解りそうなくらい重く暗い雲が立ちこめていた。
(・・・ん? ギター・・・唄声?)
俺はタクシー待ちの列から離れ、反射的に音がする方へ向かう。
はたしてその音は、一人の青年がつま弾くギターから流れ出しているものだった。
しばらく俺はその青年の唄を聴いていた。
えも言えぬ懐かしい感情が俺の心に蘇ってくる。
(そういえば俺も昔、仲間と深夜のモールで唄ってたっけ・・・)
沸き上がる情熱と衝動を不器用にさらけ出していたあの頃。苦しいほど膨れあがる自分の中の世界を、吐き出すように外界へ吐露し続けたあの頃。
青臭くて目を背けたくなるような過去。でもあれは精一杯生きていた証。
(ああ・・・ちっちゃくなったな・・・俺)
深夜に駅で見かけた青年にそんなことを気づかされ、ちょっと心が痒い気がした。
贔屓のサッカークラブがロスタイムで逆転負けした夜、俺はひとり居酒屋でやけ酒をかっくらっていた。
いつもは馴染みの赤提灯で軽く景気づけをしたあとにスタジアムへ向かうのだが、今日は試合前にイベントがあるということで、赤提灯には寄らずに今こうして居酒屋で呑んでいる。
勝利の美酒とはよく言ったものだ。今日の酒はそれと真逆の味がする。でも味が真逆なのに酒の量が減ることはない。むしろ不味い酒のほうがペースも上がる。
酔いつぶれる様にテーブルに突っ伏した俺が居酒屋の店主に起こされたのは、時計の針が真上に並ぶちょっと前だった。
勘定を払い店を出る。政令指定都市といえど、そこを通っているのは田舎のローカル線だ、この時間になれば終電も出てしまっている。
また女房にどやされるなと苦笑いしながら、タクシーを捕まえるべく駅へ向かった。
終電が出てしまった駅は人もまばらで、駅でタクシー待ちをする人か、深夜に駅向かいのコンビニでたむろう若者くらいしかいない。
空には星も月もなく、夜空でも解りそうなくらい重く暗い雲が立ちこめていた。
(・・・ん? ギター・・・唄声?)
俺はタクシー待ちの列から離れ、反射的に音がする方へ向かう。
はたしてその音は、一人の青年がつま弾くギターから流れ出しているものだった。
しばらく俺はその青年の唄を聴いていた。
えも言えぬ懐かしい感情が俺の心に蘇ってくる。
(そういえば俺も昔、仲間と深夜のモールで唄ってたっけ・・・)
沸き上がる情熱と衝動を不器用にさらけ出していたあの頃。苦しいほど膨れあがる自分の中の世界を、吐き出すように外界へ吐露し続けたあの頃。
青臭くて目を背けたくなるような過去。でもあれは精一杯生きていた証。
(ああ・・・ちっちゃくなったな・・・俺)
深夜に駅で見かけた青年にそんなことを気づかされ、ちょっと心が痒い気がした。