日本とスペインをつなぐ架け橋 原田郁美 -3ページ目

スペインで迎える元旦 2013年

新年明けましておめでとうございます!

クリスマスはファミリーで、年越しは友達と、

というのがスペイン流の年末の過ごし方。

昨夜は、エルモラールの友達の家で年越しをしました。

実はそこで初めてスペインの年末恒例

「年越しブドウ」を体験しました。




年明けを刻む午前0時の鐘の音に合わせ、

一回鳴る度にブドウの実を一粒づつ食べ、

合計12粒のブドウを平らげて年を迎える、という風習です。



その鐘の音のリズムの速さに合わせて(結構速い)

種ありのブドウを食べるとなると、

全員ほぼ無言の真剣丸呑み状態に陥りました。



12の鐘が鳴り終え、新しい年を迎え、

「おめでとう!乾杯!」

と思いっきり盛り上がりたかったのですが、

ブドウの実を大量に頬張っているため不可能。

盛り上がるはずの「年越しブドウ」だったのに、

2013年午前0時を迎えても、引き続きモゴモゴとしか言えない、

静かな年明けとなりました。



対処法としては、種なしブドウ、事前に種と皮を取っておく、

種なしオリーブの実を代用する、フライングして半分食べておく、

などあるようですが、後の祭り。

けれどもスペインの文化を体感でき、興味深かったです。





年越しの後は、初日の出を見に行くことに。

初日の出の習慣はスペインにはなく、

早起きして日の出を拝みに行くんだと言ったら、

皆口を揃えて、「絶対嫌だ!」と首を横に振ります。

特に年越しは夜更けまでパーティーで盛り上がっているので、

早起きなんてもっての他、というのが通常で

ここでも文化の違いを感じました。

そんな状況で、6時に起きて、

私と愛犬メルローを、快く海に連れて行ってくれた旦那様はエライ!

日本とスペインをつなぐ架け橋-1
人気のないカタルーニャの小さな海辺で、日の出を待つメルロー。


日本とスペインをつなぐ架け橋-2

本日のスペインの日の出は、午前8時20分前後。
地中海の水平線から勢いよく昇る2013年初めての太陽。


その力強い神々しいほどの光は、

希望に溢れた一年を予感させました。





このブログを読んでくださっている皆様や、

たくさんの方々のおかげで、

充実の2012年を過ごし、

美しい2013年の初日の出を、スペインでこうして

拝むことが出来たことを感謝すると同時に、

皆様にとって、今年がこのスペインの朝日のように

光り輝く一年になるよう、心からお祈りしています。

今、マドリードで注目のレストラン。サント レストラン & デリ

マドリードにある、サント レストランは、

スペインのガストロノミーのシーンで、

注目されているレストランの一つです。

日本とスペインをつなぐ架け橋-1



シェフはブラジル人の Juliana Aguiar。

サント レストラン & デリという自身のレストランに辿り着くまで、

スペインの三つ星レストランとして知られるMugaritzやBerasateguiの

キッチンで経験を積んだ実力派の彼女の料理の特徴は、

地中海料理をベースとした多国籍料理。



アルヘシラスやイスタンブール、

そして彼女の母国であるブラジル、

南米料理が彼女のセンスによって地中海料理と融合し、

全く新しいハーモニーを生み出し、

流行に敏感なマドリレーニョ達の話題をさらっています。

このレストランの詳細は、Club Verumでご紹介しています。


★【Club Verum】サント レストラン & デリ in マドリード


★Santo restaurant & Deli



特別な日に飲むCAVA

スペインの街もクリマス一色。

カタルーニャの人々は、CAVAの産地ということもあり、かなりの割合で、クリスマスや記念日にCAVAを飲みます。

photo:01



特別な日に飲まれるカバの代表選手は、写真上段にある、ボトルの形がとっても個性的な、幻的なカバ

「クリプタ/ Kripta」

photo:02



お次は、快気祝いにいただいた、中央のマグナムボトルのカバ

「グラモナ インペリアル」

また、以前試飲会にも参加させていただいた、

「レカレド」

この三社のカバは、スペインの中でも高品質カバのブランドとして、絶大な人気がある上、日本でも購入可能です。


ちなみに我が家は、グラモナのマグナムで乾杯する予定です♩

楽しいクリスマスを!




iPhoneからの投稿

美味しい!ほやほやオリーブオイル

週末は天気良く、暖かく、体調も良かったので、退院後初めての外出をしました。

エルモラールのオリーブオイルの収穫、搾油シーズンが終わってしまう前に、是非とも現場を実際に見てみたかったという理由もありました。搾油所まで、徒歩五分。先日から、簡単な家事と、ワインは解禁になりました。皆様、ご心配おかけしましたが、順調に回復中です!


オリーブ(アルベキーナ)は箱毎に収穫され、すぐに村の搾油所に運ばれ、あっという間に、鮮度満点のエキストラバージンオイルになります。

photo:02



収穫直後に搾油された、ほやほやのエルモラールのエキストラバージンオリーブオイル。

photo:03



その全工程は、また後日ご紹介します。

お昼は早速、この出来たてのオリーブオイルをいただきました。私はあらゆる料理にこのオリーブオイルを使っていますが、素材の味を一番味わえるのは、パンと一緒に食べること。

パンがヒタヒタにつかるくらいたっぷりとオリーブオイルをまわしかけます。

photo:04




「ウーン!美味しすぎるっ!」

正直、私はカタルーニャの固いパンが苦手で、ここではパンはほぼ食べないのですが、このオリーブオイルのおかけで、スッカリたいらげてしました。


ずっと美味しいと思っていましたが、出来たてのオリーブオイルはまた格別です!

今日の夜も、日頃食べないパンと、このオリーブオイルをメインに、チーズと生ハムと、この土地でとれた赤ワイン(旦那様のワイン♩)で乾杯しようと思います。

photo:05













iPhoneからの投稿

スペインの医療事情について(私の体験談)

久しぶりのブログ更新です。

プリオラートもすっかり冬になったな♪

我が家って最高だな♪



と思わず浮かれてしまいましたが、

実はちょうど先週の火曜日から入院していたので

病院生活に比べたら、普通の生活が送れるってなんて幸せなんだろう!

と喜びをかみ締めています。


健康とか、体力があるとか、お酒が強いとか、

胃腸が強いとか、骨太だとか、

そういうことだけが取り柄の、健康優良児だったので、

入院は初めて。そして手術なんて、もちろん初めてのことでした。

しかも、異国の土地「スペイン」で。




一ヶ月半前の検診で、手術が決定した時、正直、手術の為だけにでも

日本に一時帰国しようとも思いました。

外国の医療を信用できなかったのですね。




ですが、早いほうが良い、ということと、

スペイン人の家族や親戚が口を揃えて、

「スペインの医療技術は世界的にみても高いんだよ!」

と言うので、思い切ってスペインで手術することにしました。





スペインの健康保険は、公営保険と私立保険の2種類ありますが、

公営保険適応内での手術は、2年待ち以上を覚悟して、

と言われたので(実際、2年半以上待っている人を知っています)

実費で支払うことに。

本当は私立保険を適応させるのがベストですが、

この時点でまだ入会していなかったので仕方ありません。



実費で払うと決まった途端、全てが嘘のようにスムーズ!

バレンシアの大きな病院を推薦され、そこに入院。

清潔で眺めの良い一人部屋。

病院到着日が早速手術日だったのですが、怖かったのは

1ヶ月前に検診してくれた私の主治医と

面会することなく、手術が行われそうになったこと。




看護師や受付にどんな手術をするのか聞いても、

皆、「さぁ~?」と首をかしげるばかり。

しかも、オペするドクターは別の人だというから、

万が一、情報の行き違いがあったら大変!と、

オペ室で麻酔を打とうとする看護師を制止して、



「ドクターに確認させてください!念のため!」


と必死に抵抗して、どんな手術をするのか

やっとのこと、直接聞くことができました。

最後の最後で確認できて一安心。

全身麻酔、3時間の手術。

どうやら6時間くらい眠っていたようです。




最初の夜は悪夢のように苦しく、一晩中吐いたり、

と大変でしたが、旦那様ロジェールが3日3晩、

一人つきっきりで看病してくれた為、

乗り越えることができました。

感謝感激です!





命の別状は全くない、おそらく難易度は高くないであろう

手術なのに、苦しいものだなぁ、と二日間ずっと思っていました。



興味深かったのは病院食です。

手術後の朝、日本では大抵水っぽいお粥が出るとのことですが、

この病院では、チキンスープ。

2食目、3食目となるにつれ、

スープに小さなパスタが混じってきます。

2日目のお昼から、固形物が食べられるようになりましたが、

いきなり、ハンバーグとパンと、スープパスタ。

その日の夜のメインはハムでした。



スペインでは、「回復する為には、とにかく肉を食べよ!」

という考えがあるのでしょう。

日本とは全く違う、と改めて実感。興味深かったです。




手術はどうやら成功したようです。



ドクターは「MUY BIEN!MUY BIEN!(とても良い!)」

と仕切りに言っていました。

(が、スペイン人は口癖のようにこう言うのでイマイチ信憑性に欠けます。)

そして、まだ薬の管を血管から抜いていない為、

支え棒をつたって腰を曲げて歩くのがやっとの私をみながら、

「今日、退院しても良いくらいMUY BIEN!(とても良い!)」

(本当っ!?)


体力には自信のある私もさすがに、

「先生、もう一日どうかいさせてください!」

と思わずお願いしてしまいました。




結局3日で退院して、すっかり元気になりましたが、

退院して、同じ手術を行った日本人の体験談をみてみると、

だいたい1週間は入院しているようです。



「スペインの医療はスパルタだ!」

と思わずにいれない経験となりましたが、

重いものはもてない、家事はまだできないけど、

調子はずっといいので、スペインの医療レベルは

恐れることはなさそうです。




ただお支払いは、

手術+入院3日間+各検査等含めて、

70万円強。(1ユーロ=100円換算)

保険を適応させてない、ので仕方ありませんが、

公営保険(日本でいう社会保険)を毎月結構な額支払いながら

手術2年以上待ちは「ある意味恐怖だな」と思いました。




というわけで、数年ぶりにゆっくりとした師走を

エルモラールで送っています。

ロジェールをはじめ、家族みんながとても協力的で、

食事はお義母さんが全部作ってくれ、食器だけでも片付けようとすると

怒られます。仕事をしようとしても怒られます。

スペイン人の家族の絆と愛情を、ますます感じている今日この頃。

それに比例するかのように、壁だったカタルーニャ語も、

少しづつですが、分かるようになってきました。




そして、なんと!何十年ぶりかの禁酒!1週間が経過しました。

不思議と食事中もワインを飲みたくならないのは、

やっぱりまだ体が本調子ではない証拠でしょう。

1ヶ月間の禁酒と禁ヨガはとても辛いですが、

無理をせず、ゆっくりと、

スペインの家族と、ここエルモラールで、

共に年を越し、輝かしい2013年を迎えようと思います。

































































































CLUB VERUMのFacebookページが出来ました!

先日ご紹介した「CLUB VERUM」への

たくさんの応援ありがとうございます!

FACEBOOKページも設立しました。

こちらから、サイトの更新や、最新ニュースを

お知らせしていきますので、

良ろしかったら、「いいね!」お願い致します。




メルマガ第二号は12月3日配信予定です。

11月に配信した「スペインワインと食メルマガ第一号」への

たくさんのご感想ありがとうございます。



メールマガジンでは、

●ブログよりも濃いスペインの現地情報、日本のスペイン関係事情

●スペインワインと食協会主催、後援イベント情報

●協会お勧めのスペインレストラン情報


などお伝えしていく予定です。

次号は12月3日に配信予定です。


スペインメルマガ配信希望の方は、

こちらにメールアドレス、氏名をご記入の上、メールください。

info⭐spainwinefood .org
⚠⭐マークを@に変換してご送信ください。

ますますスペインワインと食の輪が、大きく広がりますように!

日本とスペインをつなぐ「CLUB VERUM」がスタートします!

スペインのワイナリー「ヴェルム」と

日本の皆様をつなぐプラットフォームサイト、

CLUB VERUM」がいよいよスタートしました!




数年前から、日本を訪れるうちに、日本文化に恋に落ち、

東日本大震災がおきた時、真っ先に

ワイナリーヴェルムが所有するオーケストラで

チャリティーコンサートを行ったことは、

このブログでもご紹介させていただきました。

・【レポート】VERUMチャリティーコンサート Framenco Orquesta


そんな親日家のヴェルムの醸造責任者

エリアス・ロペス・モンテロの想いが、

CLUB VERUM」として、形になりました。


「ゆくゆくは、スペインと日本をつなぐプラットフォーム的な

 存在を目指しています。」

とエリアス。

これから、ヴェルムからのお知らせはもちろん、

スペインの、ワイン、ガストロノミー、ブドウ栽培学、醸造学や、

アート、文化、など、幅広くスペインの最新情報を皆様にお届けします。



-------------------
CLUB VERUM(クルブ・ヴェルム)
http://clubverum.com/












遅い夢は、ない。【6】最終回

遅い夢は、ない。【5】から続けます。

「通常のイタリアワインの試験でも難しいはずなのに、

筆記も実技試験もイタリア語でなんて

外国人にとっては、ますますハードル高いですよね。」


その人はいつものように、穏やかに答えました。



「試験当日は、緊張しすぎて記憶がほとんどありません。

 ですが、全力で取り組みました。

 結果、日本で言うシニアソムリエはダメでしたが、

 一般ソムリエは合格!

 真っ先に日本の家族に報告しました。

 次にFAENZAのオーナーに電話。

 厨房の皆の「ブラーバ!」が聞こえました。」

 

 「帰国してからは明治屋に声を掛けて頂き今に至ります。

  諦めず、嘘を付かず、馬鹿に見えるくらい遅くても、

 地道にやれば何とかなるものだ。友達は一生。

 お金じゃ買えない。周りに全てに助けられての今です。」


私はその人、樋口淳子さんに、こう尋ねました。

日本とスペインをつなぐ架け橋-1
スペインに旅断つ前に
六本木のフェルミンチョで行った「グラシアス会」にて。
大好きな樋口淳子さんと。



「樋口さんにとって、6ヶ月のイタリア留学の成功は、

その後の人生を大きく変えた出来事でしたね。」



「私が留学を決意したのは、

 やっぱり歩けた!と、病院の廊下に立てた時だと思います。

 もう一生歩けないと半ば絶望しかけた時に、
 
 もう一度チャンスが与えられたと思ったからです。

 諦めた夢にトライできるかも?と。

 新たなスタートを切るチャンスを貰えた!と考えよう。

 それが一番のエネルギーに繋がりました。

 何歳になっても遅い夢はなく、大切なのは、

 気持ちですね!

 イタリアでソムリエ試験に受かって10年、

 こんなに変化があるとは予想しませんでした。感慨深いです。」


樋口さんのお話を聞いて、

人は、どんな苦しい状況の中でも、

信念と行動力さえあれば何でも出来るんだ。

ということを痛感しました。苦しければ苦しいほど、

その山を登り切った後の景色は美しい物なのだと。



樋口さんがプリオラートにいらっしゃらなければ、

恐らくこのお話を聞く事はなかったでしょう。

以前から樋口さんのことを、

「博学で思いやり一杯な方。
 どんな風に生きたらそんな風になれるんだろう?」

と思っていましたが、人にはミラクルはないのだ、と改めて感じています。

人一倍の経験と努力があってこそ、人は、素敵に輝けるのだと。



樋口さんとの出会いに心から感謝すると共に、

私も小さなことでくよくよしてられない!

前進しなくちゃ!とフツフツとやる気がわいてくるのでした。



そんな深い知識と経験をお持ちの樋口淳子ソムリエは、

東京の丸ビル内にある、MEIDI-YA STORE (明治屋)

ワインショップでワインアドバイザーをされています。

樋口さんの趣味は葡萄畑巡り。自分への投資としても、

毎年数回、自腹で各国の生産者を訪ね、土壌を見て、

生産者に触れるのが生きがいと言われます。

だからこそ、実際、その土地に訪れたからこそできる貴重なお話や、

アドバイスもたくさん聞けるわけですね。




後談となりますが、

今年の5月に私達のワイナリーを訪れてくださり、


日本とスペインをつなぐ架け橋-2
DOQプリオラートのブドウ畑にて。
樹齢38年のCabernet Sauvignon。



グリフォイ・デクララのワイン、PRIMON(プリモン)と

樋口さんがプリオラートで出会ったご縁が実り、

晴れてこの11月から明治屋様でのお取り扱いが決定しました!


日本とスペインをつなぐ架け橋-1




スペインワインでは、あの有名なリオハの「RODA」も、

樋口さんがきっかけで明治屋に並ぶことになりました。




「留学してからは視野が広がり、
 今はスペインワインに深い興味を覚えます。
 
 郁美さんともワインがご縁。
 そしてプリオラートへと繋がりました。」

と樋口さん。



是非、一度MEIDI-YA STORE 丸ビルストアーに、

樋口さんを訪ねてみてはいかがでしょう?

きっと、素敵な発見があるはずです!

--------------

MEIDI-YA STORE (明治屋)

[住所]
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング地下1階
[電話番号]
03-3201-6611  FAX 03-3213-1356
[営業時間/定休日]
10:00~21:00(月~土)
10:00~20:00(日)
休前日は21:00まで
年中無休 (但し1月1日は定休日)
[アクセス]
JR東京駅丸の内南口、 東京メトロ丸の内線東京駅


--------------------

【バックナンバー】

・遅い夢は、ない。はこちら→★
・遅い夢は、ない。【1】はこちら→★
・遅い夢は、ない。【2】はこちら→★
・遅い夢は、ない。【3】はこちら→★
・遅い夢は、ない。【4】はこちら→★
・遅い夢は、ない。【5】はこちら→★






遅い夢は、ない。【5】

遅い夢は、ない。【4】から続けます。

外国で、言葉が分からない苦しみ、もどかしさは

痛いほど分かります。実際私も英語もスペイン語も分からない状態で

スペイン留学に挑み、初日から玉砕しかけた経験があるので。

「スペイン語が何となく分かりだすまで、

 私は3ヶ月以上かかりました。毎日日本人皆無の語学学校に通って、

 スペイン人のルームメイトと生活して、やっとです。

 それなのに、週一回のイタリア語レッスンで

 ソムリエ試験に挑まれたなんて、本当にすごいですね!」



その人はいつでもどんな時もそうなように、

笑顔で明るく答えました。


「でも、ずっと一番の劣等生でしたよ。

 一ヶ月の研修の合間にイタリア縦断ワイナリー巡りと、

 シチリアでオリーブオイルとマルサラの研修を受けました。



 残りの5ヶ月は、トリノから急行でエミリアロマーニャの

 FAENZAの4星ホテルのレストランで無給で働きながら

 ワイン、サービスの勉強をしました。

 会話が出来ない切なさ、孤独感を噛み締めながら

 単語を覚え、少しずつ仲間入りしていきました。」



その人は、いつものように屈託なく話すけど、

想像を絶する努力を人一倍されたことは、

私にも簡単に予測が出来ました。





「ある日、急に相手の話が理解出来るようになったんです。

 そして、いよいよミラノでのソムリエ試験に挑むため、

 レストラン最後の日がやってきました。

 いつもサービスしていたお客様が11人テーブルに勢揃い。

 「まぁ、一杯やりなさい」とグラッパを頂きました。

 そして手渡された真っ赤な薔薇一輪と封筒。

「試験を頑張ってね!」と言われて涙が溢れました。

 ホテルオーナーが、

 「何時まで仕事してるんだ。早く上がってBarに行きなさい!」

 とせかすので行ってみたら、同僚、厨房、フロントの皆が勢揃い。

 オーナーが、MOETをポ~ンと開けて下さり、

 皆から「ミラノで頑張っておいで!」と祝福されて、

 涙が止まらずに困りました。「おめでたい時に泣かないの!」

 と言われましたが、やはり涙が止まりません。

 先ほど頂いた封筒を開けたら、心のこもったメッセージが。

毎日変わらぬサービスをありがとう。
 君の誠実さは僕達が良く知っている。試験頑張れ!


この経験は私にとって、一生光り輝く宝物です。」 



「翌朝、皆から見送られミラノへ。

 9/23でしたが、ヴェネトの山に雪が降り寒さに震えながら

 FAENZA駅で電車を待ちました。

 ミラノでは最低に安い宿を取り、1週間フランスパン1本、

 紅茶一箱で過ごし、試験勉強に打ち込みました。

 応援してくれた皆や、家族のことを思うと、

 是が非でも合格しなくては!

 という思いで胸が一杯ではち切れそうでした。」


・遅い夢は、ない。【6】最終回 につづく!

・遅い夢は、ない。はこちら→★
・遅い夢は、ない。【1】はこちら→★
・遅い夢は、ない。【2】はこちら→★
・遅い夢は、ない。【3】はこちら→★
・遅い夢は、ない。【4】はこちら→★