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2002年に発覚した北九州監禁殺人事件の犯人夫婦の息子と、フジテレビのプロデューサーの話。インタビューすることによりタイトルにある、人殺しの息子はどんな生活を送らざるを得ないのか、彼に罪がないのは火を見るより明らかなのに、心無い対応をする世間の実態とはどのようなものなのか、そして彼自身もひどい目にあい、マインドコントロール状態にした親をどう思うのかということが、丁寧に、朴訥な言葉で、リアルに描かれてた。この事件を始めて詳しく知ったと思う。そして、犯人の父親。人はここまで凶暴になれるのか。自分以外に愛情をかけらも持てない、サイコパスがあまりに非現実的だ。それを自身で理解し、通常生活を行う中でそれは欠点であることを理解する必要をひしと感じるも、そんなことは学校が教えてくれるんだろうか。これは犯人だけではない。世間の匿名の声も同様だ。虫唾が走る。犯人と匿名の言葉に違いがあるように思えない。 

テレビのプロデューサーというよりはジャーナリストというほうがしっくりくる。こんな視点が常に必要だと思う。おもしろかった。 

学校の教材となった物語を集めたものだそうで。テストの問題にもなってるんだ。「受験勉強をすると重松清がもれなくついてくる」だって。時代が少し違うのかな。学生時代なら、そんな本は読まなかったかもしれない。でも今は、へー、そんな物語乗っけて、みんな話に夢中にならんのかなーって思ってしまう。お母さんが入院している間のお父さんの準備する夕飯のカレーライス。親子の心理状態のごく一般的なものと今はおもうけど、学生さんたちはどう思ったんだろう。90代になった親友同士のお婆ちゃん。でも関係は皮肉屋さんと素直さん。皮肉屋ばあさんに振り回されてるように見えちゃうよな。本質はもちろん違う。この作家の小説はたくさんの表面を見せる。人の本質はそのままには現れない。そして本質がわかるにはきっとたくさんの経験が必要で、体験の中でふと感じたことを物語で、ああ、やっぱりそうかと固定化できるのが素敵なところ。それを試験中に経験しちゃうとしたらなかなか愉快だなと。おもしろかった。 

自分で言っちゃってるよ。「ほっこり人情系作家あるまじき、アホ丸出しなエッセイ」って。全く明るく下品で馬鹿で。エッセイなので、誇張してるかなと思いつつも友人の姿を思い浮かべると、あ、これほんとだって思ってしまう。友人すごいな。作者いわく「右脳と左脳の細胞をあわせても27個くらいしかない」って。なんと大学に通ってたころの自由な時間を満喫してることか。さすがに時代は今とは違うな。広っぱで野宿して焚き火なんて今はだめだろ。知らない子供と気軽に遊ぶのも昔ほどは一般じゃないとも思う。日本全国、バイクで走り、いい川や海を見ると、潜ったり。あれ、でもこの作家、俺よりも年下だったよな。俺の大学時代はほぼバイトとスキーだった。全く違う生活を彼は送ってたんだな。こっちはこっちで楽しかったけど、そちらもとても楽しそうで。2LDKの秘密の洞窟とか、羨ましい。誰もその存在に気づいていないなんて、あるんだなあ。おもしろかった。 

リレキショを作成する主人公。バイトのため。その初っ端から、ん?となる。嘘を書いているの?記憶がないの?お姉さん、本当は何者なの?悲壮感はまるでなし。主人公の半村良くんは一つづつ、何かを覚える。感情自体も。お姉さんの友人、良くんのバイト先の先輩のおじさん、良くんに手紙をくれる受験生の女の子。不思議な感覚の小説だよ。現実の世界なんだけど、ファンタジーが見え隠れするような。状況を推理するのも無粋。というわけで読んで、感じることに専念していく。過去なんてどうでもいいじゃないか。苦しかったら逃げちまえ。そして、新しい楽しいことをみつけようってことだよなあ。わかる。わかるよ。でもね、社会保険とか戸籍とか、やっぱそれが現実なのよってさみしくなった。この作家のデビュー作なのか。たしかにこの斬新さはインパクトあるなあ。楽しみました。 

こりゃまた、珍しいアプローチとでもいいましょうか。主人公たる眉目秀麗だけど凄まじい借金に溺れてる探偵のもとに若い女性が訪問。自分は昔話題になった、ある新興宗教の集団殺害の唯一の生き残り。自分の記憶はところどころはっきりしないところがある。問題はそこで仲のよかった少年を自分が殺したかどうかを調べてほしいというもの。まあここまでならありそうな話だけど、探偵はこれを少年は死んでいない、奇跡がおきて聖人になったと結論づけた。そうすると何人もの刺客というか、奇跡はありえない、なぜなら真実としてこんな可能性もあるからと挑戦してくる。探偵はそれを論破する。この論破がなかなか見事でそこが推理の鍵にもなってる。その可能性はないのだとぶっ潰す様は心地よいけど。探偵はすべての可能性を考えた。そしてすべてありえない。ゆえに奇跡と認定するしかないってこと。なんだけど、クライマックスはそこに時間差が入ってきたりで複雑で、ちょっとついていけなくなっちゃった。ラストは自分で見逃した可能性が浮かぶ。それこそが真実として。あー、ちょっと凝りすぎだな、俺にとっては。楽しみました。 

続編。読みながら前編を少しづつ思い出していくのが楽しいじゃないか。そうそう、想像の上をいく新医療、そして爆発的に増えるがん、ついには手術中に幹部である心臓が爆発とか。そしてブラックジャックばりの、医師免許を失効されたけど神の手を持つ、”サーペント”大河と優秀な医師にしてオームスを唯一操れるオペレータであり、ついでにナースエイドもしてる澪ちゃんたちがますますもって、魅力的。困難にたちあっても、悩んでも、最後は患者のためという視点に舞い戻るところの心地よさ。いいなー。今回は政治的なことはできるけど、医師としての腕はからっきしの嫌味上司の猿田先生がMVPだった。ほんと、あほーとか思ってたけど、いつのまにやら、これ以上ない味方になってくれる。最後まで澪ちゃん、上から目線だったのがいいねえ。巨大企業の暴走と対峙する、結構重厚になりそうななか、大河と澪ちゃんのかけひきがコミカルで素敵。常に澪ちゃんがけなされる方面で、鷹央シリーズとは逆。この辺のリズム、さすがだよな、この作者。はい、おもしろかった! 

6作目。理恵さんはビーフカレーがとても美味しく、お店の雰囲気がしずくを思わせる洋食屋に出会う。お店は母と娘の二人が回してる。取材を通して仲良くなった頃、店の入るビルを取り壊すから賃貸契約解除、それとともに母親は廃業することに。娘は反対。地元の常連さん達がカレーの存続を求めてるから。でも母親は考えを曲げない。レシピも娘に教えない。このカレーには何があるんだろうかというのが、メインストーリー。そこまで美味しいビーフカレー。食ってみたい。そういや、洋食屋さんでも喫茶店でも、一番人気がカレーってあんまりないな。かつカレーってのはあるかな。実はこのカレーは麻野さんに料理を教えてくれた師匠格の人につながる。おお、うまいなあ。じんわりと暖かくなる感じ。今回も冴えてるなって感じ。メインの話以外でも、リモートワークから始まるj不倫疑惑、まさかの真実はほんわか。親も介入の子供同士のトラブル。露ちゃん大活躍が嬉しいねえ。なめこのポタージュだって。なにそれ。とろみも残ってるみたい。里芋のポタージュだって。なるほど、それもうまそう。あら、理恵さん長期出張してたのか。どうりで、おや?って思う部分あったな。おもしろかった。 

学校の裏に大量に捨てられてた注射器で遊ぶ子供のひとりが針で指先を怪我。10日後に突然死。だれだ、捨てたやつは。医療廃棄物じゃないか。絶対許さんというその学校の先生が、疑惑解明活動を実施。そして黒幕のヤクザに、二人の子供をめちゃくちゃにされ、自身も殺されてしまう。なんだ、こいつは。絶対許せねえ。ぶち殺してやる。多分佐伯が。という義憤を通り越した、下手したら恨み節でぽっぽぽっぽと読み進む。このノリ、JKといっしょだな。こっちのほうがはるかに古いけど。そして、勧善懲悪ざまみろというこですかっと終了。ところで佐伯と白石さんの先祖のうんぬん。入鹿暗殺から始まる殺しの家系とか、そういう設定まったく使われてないと思うんだよ。あっても別に問題ないけど、毎回、その説明を読むのがちとめんどいみたいな。先祖設定なくても、すっかりキャラ立ちしてるからなあ。はい、おもしろかった。 

先月出た最新刊。今回はサイン本だよ。内容にはなんの関係もないけど。にしてもまだまだ、縁が拡大していく。全くサザエさん時空にならないところがすげえ。地味に一番の好きなところは鈴花ちゃんとかんなちゃんが毎朝の日課の研人にぃを起こすことを卒業すると宣言し実行したところ。これからは芽里衣ちゃんにって。うん、研人も売れっ子になって、花陽ちゃんも結婚。他の面々も成長という面では著しくない分、その分、二人に。ストーリーは1話目がなんとイギリス警察のジュンさんの縁がなんとなく堀田家にからみついてしまったような。いいんです。ご都合主義だろうと。家の軒下から子猫5匹と親猫がでてきたり、花陽の親友で同級生の和ちゃんが妊娠したり。もうなんでもかんでもLoveだねえの奇跡で、とても気持ちよく前向きにハッピーエンドときたもんだ。どうだい。すばらしいだろ。はい、最高です。 

この作家の、衣・食・住・健康/美容・お金・仕事・趣味/娯楽・人間関係・エイジングが書かれてる。ふむ。あえて全方向について語ろうということか。それぞれからこの作家が浮かび上がってくる。中には全くわからない分野もある。好きな服のメーカー、下着の選択、化粧品。一方で記載時の作家の年齢が自分と大きくは離れていないこともあり、死生観やらお金については結構共感した。そしてやっぱりすげえなあと思うことは、数十年ものを書くことで生活してきたということ。しかも、作家は卑下してるけど、しっかりと自堕落にならずに計画だてて生きてるってところ。一緒だ!って思ったことは飼っている老猫がいるから旅行はしない、できない、外出は近所の散歩くらいというところか。それを全く嘆くことなく、逆に猫との生活の愛おしさが滲み出てきてるのが素敵だよな。楽しみました。