ptureのブログ

横溝先生のエッセイ。新聞の連載だったみたい。時は昭和51年。犬神家の一族の公開直前くらいのタイミングのようで。当時の世間の熱中具合、角川の辣腕、一方での先生の戸惑いではないな、淡々と状況を他人事のように見ながらの普段の生活感がいいなあ。戦後書かれた小説がだんだん読まれなくなり、また復活し大ブームになるという流れがすっげーな。昭和30年代は社会派ミステリーが全盛となって、ホラーファンタジー的探偵小説は落ち目に。でも終わらなかった。昭和44年くらいからヤングによる盛り上がりで復活。文庫が飛ぶように売れて、どの本も100万部以上ってスケールがすごいよなあ。小説に関しては選択肢も今とかわらず、いや今以上にあっただろうに。すっごい金持ちになったと思うんだけど。そういう姿がほとんど描かれてない。いいとこ、軽井沢に別荘もって成城に住んでるってだけ。別荘はまだしも、成城は当時は大したこともなかっただろうなあ。ますますもって、先生、庶民だったんだなあ、だから金持ちをあそこまでキチガイのように表現できたのかもななんて思う。勢いのある昭和を体験できたのがうれしい。おもしろかった。 

とある牛丼屋さんを中心に展開する物語。大きくは仕事ができる理系女子店員さんが、デブってことで他の人妻店員やらに敵視される。この人妻さん、もう最低。でも読んでて思った。攻撃を受ければ本質はわかるけど、そうでなきゃ、なかなかわからんものなのかも。自分の都合で平気で嘘ついて悪びれないとかも、そこから不利益追わなきゃわからんわな。でも、かなりの仕返しくらって、ざまあ。離婚までさせられたわけだし、やりすぎに思えなくもないけど。彼女さんと相思相愛で幸せそうな店長さんは和むわなあ。別れるときに5年後のこの時間に会おうと約束した男女。そして5年後女性は事故死で行けなかったことを知る男性。そのほかいくつかのエピソードが絡み合いと言うよりも、ふとしたことでつながってという感じか。そこに不思議は感じない。たまたま、つながった話の部分部分を物語に起こした感じだよ。人生の奇跡とかってやつとは正反対だわな。でも、作家は何を書きたかったんだろう。日常の徒然なのかしらねえ。おもしろかった。牛丼食べたくなるな。 

定年と同時に奥さんから離婚届を突き出されて受諾。そしてなにかしなきゃと南アルプスの山小屋のバイトをみつけ、面接の連絡をしたところ現地まで来いと言われて、ぼろぼろになりながら小屋にたどり着く。そのまま仕事を始めるも若いスタッフたちのようにうまく立ち回れない。でもひたすら真面目に。アル中気味の酒もすっぱり飲まず。奥さんが見限った理由はもちろん家を顧みなかったこと。あふれる後悔の念みたいのがすごいインパクト。ここに酒もはいってきてるわけで、自戒的な迫力がさすがこの作家、すげえなあ。でも山の景色、一緒に働くみんな、そして山で共存するほかの小屋の人や救助隊達との交流が暖かい。わかっちゃいるけど、感動的。ギター習ったり、新しいメニューを開発したり、みなさん良い人すぎ。あら、救助隊の面々も名前レベルだけどでてきてうれしい。迷い犬が山にでてきたよ。あー、かわいい。最後はやなやつ出てきて悪者認定でざまみろで、万事が万事、丸く収まりハッピーエンド。はい、おもしろかった! 

おお、トンデモミステリーだ!エジプト文明の頃が舞台のミステリだよ。果たして、亡き先王のミイラはどうやって密室から移動したのか、そして誰が主人公であるセティを殺し、心臓の一部を隠したのか、その理由はというのが主題なんだけど。主人公のセティ、死んだあと、神様に言われて現世に蘇って心臓の欠片を探す。それを周りの人は神様にあったのかあ、戻ってきたのかあと納得する。うむ。古代らしいのか?自分を殺した犯人は?ていうのは、他でも読んだことあるけど、神様も絡んできたよ。しかも、悪の神様もでてきて、この世を滅ぼそうとしてる。なんてスケールのでかい話なんだ?読んでて楽しくなってきたよ。一方で奴隷の、異国の少女へのひどい仕打ち。古代の奴隷ってやっぱりこんな扱いだったのかと、とても悲しくなる。んでもう、ストーリーは怒涛。え、この王様、のちのツタンカーメンなのかよとか。パンとワインでなくて、パンとビールなのかあ。そういや他に食い物でてこなかったな。パピルスに絵文字がバンバンでてくる。普通に利用してる。なんかうれしい。いいんじゃないですか。続編は無いわな。おもしろかった。 

2作目。ランチ時間を時間休で伸ばして、ランチ合コンを開催。そして相手からでてくる不思議話をその場で推理し、そして解決する。その後は普通に日常がまた返ってきて後日談を聞くという展開は今回も変わらず。なんだけど2作目にもなるとそのパターンに新鮮さは感じない。うーん、なんか強引な謎解きだし、前回よりも難解にした推理に重きをおいて、ストーリー自体のパワーが落ちちゃったな。しみじみするところがなかったというか。マンネリは良くないということで、ゆいかちゃんが転属になったり、上司の亀部長が外れたりはあるんだけど、そこに感情が動く要素がなかった印象。ところでランチ合コンって実際やってる人いるんだろうか。話盛り上がったら、次は夕食でもという流れになるんだろか。それと周りは普通に昼食食べる人もいるわけで、ちと想像しにくいな。続きは5-6作あるみたいなんだけど、どうしよかな。楽しみました。 

6作目で最終巻。元のタイトルは覇拳葬魔鬼だそうで。本当に同じ中身?こういうタイトルが流行ってたとは、時代は変わるもんだなあと。最終回の今回は不法ごみ捨てがそもそもなんだけど、それを行っているのはいつも通りのヤクザのフロント。そしてそのフロントはもっと大掛かりな、殺し屋のネットワーク構築を組み上げつつあり、それを佐伯と所長がぶち壊すというお話。前作は原発の運営問題という結構政治的というか実害に目を向けたけど、今回は純粋にヤクザ潰し・そういった意味では元のタイトルに近いのかもしれないか?んなことはないか。結局無事に事件が開発、佐伯も出向が解かれる。んー。次の展開は読めるよな。ほら、やっぱ新しいチームでまた心機一転だよ。いいねえ。続いてないのかな。調べてしまった。ないかー。所長の内村よかったな。日本を良くするために官僚はいるという信念がもう、竜崎。そんな所長を佐伯は一目どころか尊敬して信頼してるし。これでおしまいはちとさみしい。おもしろかった。 

心のケアを求めてやってきた人に治療薬として猫を処方する。先生はミケと呼ばれ。読み進めていくうちに謎は増える。病院は存在したりしなかったり。常に予約の患者を待っている。先生と看護婦にそっくりな、芸姑さんと保護センターのスタッフ。なるほど、それぞれがこうつながるのか。ことの始まりは違法ブリーダーのひどい世界。それを考えると、どんなに次の世界が素敵でも、死んでいった子たちでない、そこで生まれた命に対してもただ、人間は馬鹿で自分勝手で申し訳ないと謝罪の気持ちでいっぱいになっちゃう。そしてそれを知ってか知らずか、彼らはこの物語のように助けてくれる。財こそが愚かさの原因なのかもなあ。 

成猫を突然飼うってどんなもんなんだろう。もし犬を処方したら結果人は癒され、前を向ける話にはなるんだろうけど、効果具合は変わってくるんだろうな。それもぜひ読んでみたいなんて思った。おもしろかった。 

Unlimitedで星4つ半。「リンゴ畑に現れたUFOや龍が教えてくれた不思議なメッセージとは? 奇跡を成し遂げた木村秋則が、封印していた不思議体験と独自の人生哲学を赤裸々に語る」というコピー。これはトンデモ本だろ。でも一方で無農薬栽培のパイオニアで奇跡のリンゴを作った人とも。これは気になる。そして読み終わると、判断がつかない。UFOや龍から栽培のヒントを得たわけでもないし、そもそも不可思議記述なしでも十分読めるんだけどねえ。自然を信じ、土こそ大事、土を育てるのは雑草も、虫も微生物もバクテリアも。自然とは生き物が相互作用するものであり、それらはすべて必要で、コントロールすることが大事とのこと。うん、立派だ。作者を助けてくれる人や知り合いも錚々たる人たちばっか。よかったねえと思いつつも、実は龍を見た仲間だとか、おいおいみたいなカミングアウトだよ。UFOに至っては見るだけでなく攫われたとか。それらの出現をどういうふうに認識しようかなと考えつつ読み終わる。結論は…楽しみました。 

しばらく図書館予約で待ってたところ、先にKindle Unlimitedにでてきた。ラッキー。シリーズ7作目は、メンバーみんなしての引越。勇くんと万場さんがチームに正式配属になったって、これまでそうじゃなかったのかー。今回のストーリーは千一とあだ名される、嘘ばかりつく死刑囚が、他にも3人殺してると教誨師に話したことから始まる。嘘か本当か、チームが動く。時間はあまり残されていない。刑が執行される前に明るみにしたうえで、彼を人として刑に服させたい。人としてとはどういう意味だろう。罪の意識をもたせるということ?すべての被害者に謝罪しろということ?これはもうホラーじゃなくなってきたよ。まあ、背景として死刑囚の過去のエピソードとか、家族の話の悲惨さには引いたけど。ちょこっとだけ、不思議なシーン、つまり彼の告白のきっかけとなった季刊誌に載ったスナップがあったけど。決してありえない写真ではないだろうってことで、特にひっかかりはしなかった。このシリーズは他のみたいに大きな流れ、大きな解明みたいなものはないから、いつまでも続けられることができるけど、どうするんだろう。いや、つづけてもらっていいのよ、キャンピングカーでの生活とか楽しいし。でも続けるなら怪異が正しい行いにつながってるみたいなところをもっと続けてほしいなと。おもしろかった。 

海上保安庁をよく知らなかったんだな。海における警察といえばそうなんだけど、尖閣諸島問題を皮切りに、もっと軍備を持つべき、有事には海上自衛隊と一体化すべき、それを阻止する非軍事性を明記する庁法25条を撤回すべきなどという世間の声なのか、政治家の発言がそんなに大きいとは。そうした意見があることすら知らなかったよ。今回は特に政治家の無知と思い込みが如何にバカげているかが、えらく強調されてる気がする。苦労させられた、海保庁のトップだからしょうがないのかもしれないけど、ちょっと繰り返しすぎかしら。せっかくの崇高な使命がちょっとくすんじゃうよ。 

国同士、政治でいがみ合っていても、海上保全では強調しあうという側面があるんだな。突き詰めると、武力ではない、言葉で問題を切り開こうという明確な例を目の当たりにできた。まさに知られざる世界だな。おもしろかった。