真夏。川。魚取り。大人への偏見。いたずら。友達。上下関係。面倒見。秘密基地。釣り。甘いトマト。幻の魚。うん、少年時代のステレオタイプって感じだな。だけど、リアルだった。そんなに昔の世界ではないのが意外。コンビニもでてくるし。大人と友達になれる感覚が特に新鮮だったな。中華料理屋さんを営む金さんに釣ったナマズを売りにいく。喜ぶ金さん。でも危ないことしちゃだめよ。以前まで金さんにナマズを提供していた、おじいさんとも仲良くなる。おじいさんは少年のお父さんにとっても釣りの師匠。都市とは全く違う世界がやっぱり眩しいよなあ。知ってるよ、別にあの頃が泰平で夢のようなひとときだったなんてことはなかったことを。今より喜怒哀楽をコントロールできないし、心だって傷つきまくり。でも、大きくなったらと夢で生き抜いてきたのかもしれないな。いろんなことを思い出す。おもしろかった。
時は1820年代。深川の料亭に奉公してる姉弟。歳は23歳と20歳。ちょっと高めだよ。お姉さんが主人公で、作った座禅豆がある与力に気に入られたのをきっかけに料亭の中で料理人として修行を始めていくという、鉄板なストーリー。だけど、ちょっときよちゃん、自分を卑下しすぎ。読んでて、さすがに辟易してきちゃったりして。一方で、きよちゃんを取り巻く人達は人情派のいい人ばっかり。男女双子として、生まれてきたきよちゃんは縁起悪すぎとして、家の奥に隠した両親でさえも実はいい人だとか。男女双子の女の子は忌み嫌われるって知らんかったな。ひでえ話だ。江戸の文化というか当時の生活が垣間見えるのが、この手の物語のいいところだけど、これもしっかり出てた。朝暗いうちから隣の家から七輪かりて土間のへっついと合わせてご飯を作るとか、寒さと眠さが伝わってくるよ。深川のあたりは井戸の水はしょっぱくて飲めないから、水を買ってただと!知らんかった。うん、いいじゃないか。シリーズになってるんだ。弟も馬鹿っぽいけど、姉ちゃん好きのいい奴みたいだし、続けて読みましょう。おもしろかった。
20作目。心臓移植をした医学生が、手術後からいつも同じ夢を見るという。これは臓器の記憶ではないのかという事象に鷹央先生一派が喜々として調査に乗り出すというお話。あれ、トリックはわかったけど、今ひとつしっくりこない。当事者の心理がハードルになってトリックが成り立たないんだよなあ。ぎゃーぎゃー大騒ぎしながら、微笑ましく物語は進む。んー、今回はちょっと失敗なんじゃない?そして謎解き。なるほどー。こりゃどんでん返しだ。動機にしかけてきたよ。うわ、伏線が全部回収されていく。動機がヤクザの世界独特というのが理解しきれなかったんだなあ。お見事。途中、延々と刑事コロンボ談義。このエピソードが、いやこっちも素晴らしかったって。倒叙もの、いいよなあ。ところで右胸ついて自死未遂、心臓はかろうじて外れてますってのは伏線じゃなかった。ということは誤植だな。はい、おもしろかったー。
手足が毛だらけになり、それはまるで猿のよう。そしてぐにゃぐにゃと動く。これは呪いか。怪異の気配は感じられない。おー、そうそう、そういった本だった。物語の中でのみ通用する常識みたいのが、ホラー系にはあって、それが特有の世界観を作り出す。そう考えると、気配がないのに怪現象があるのは、不思議だなあと。うん、怪異自体あることが本来は不思議なんだけど。いじめられてる学校の先生に怪異が取り付き、壮絶な身体能力をもった怪異と化す話。なんだかすかっとしてしまった。もしかして、自身の常識が毒されたのかもしれんなあ。でも、憎たらしいんだもん、ガキどもが。ざまみろ。もちろん九十九が怪異はきちっと退治したところで、私も正気に戻りましたとさ。おもしろかった。
たまには怪談読みたいなと、これを選ぶ。目次。よしよしたくさん入ってる。著者前書きがあって、「今回は、凄まじく怖い話ばかりを収めてみた」とある。いいねえ。確かにこれは怖いだろうなあという話も入ってる。多彩。長めの話。一行だけの話、笑っちゃう話、わけわからん話、悲しい話。2メーターくらいある化け物に追いかけられ、2km以上走って逃げるとか、もうスポーツ小説ですか。大きな頭に小さな手足が直接ついてる化け物、タイトルは首手足ってそのまんまかよ。今回、郷内さんの業界友達がえらくたくさんでてくるな。4人も!そんなに商売になるのか、お祓い系は。はい、満喫しました。楽しかった。
4作目。結構久しぶりだけど、登場人物や設定覚えてるぞ。1話目。金縛りにちょくちょくあい、そのために寝不足で困ってる露ちゃんの友達とそのお母さんの話。ナルコレプシーつまり過眠症が問題の原因。不眠の原因が過眠。うまいなあ。2話目は過去のある時を忘れていることに気づいた女の人の話。「軽鴨の子殺し」がきっかけで過去が一気に蘇る。3話目は露ちゃんの友達が隣の班がつくったカレースープを全部捨てちゃった話。こちらは呈色反応により真実が明確になる。4話目はうまく隠されたお宝、5話目は理恵さんの職替もてもての話。いやあ、料理を作りながら話を聞いて、そして解決してしまう、その推理力のすさまじさよ。いくら小説とはいってもさあ。隠しものは、うまく誘導されたから俺にもわかったけど。あと、理恵さんがどの職を選ぶのかもあたったけど。これは謎ないけど。この謎解きのキーがほんと、多彩でそれがこのシリーズの、スープ部分と並ぶ真骨頂だよなあ。はい、おもしろかった。にしてもうまそうだな。
「地底人からの極秘メッセージがあなたの常識と魂を同時に揺さぶる衝撃ノンフィクション」だそうだ!うさんくささ通り越して清々しい。ぜひ読まねば。地底人とは恐竜から進化した、すなわち人類よりも遥かに昔から存在し、隕石アタックからの氷河期を逃れるために洞窟の奥に逃れ、卓越した科学文明を発達させ現在では宇宙上の異空間に存在するとのこと。そんな地底人が作者の眼の前にアンドロイドの形で現れ、人類を観察し、そして作者に彼らの考えを語るという話。いやあ、トンデモ設定きたぞ。小説でもここまでの設定はめったに見れない。内容つまり地底人の語る話はそこまで道を外れてはいないけど、どこかで聞いたり、あるいはそりゃ無理があるだろみたいなもの。あえてここでは記載しない。それはこの本の楽しみ方を阻害しちゃうから。やっぱ、地底人すげーとか、俺も地底人と同じ考えだぜとか、そんなふうに盛り上がるのが正しいような。楽しみました。
縄文人、さすがに100万年の歴史はないよね。1.4万年。この期間がずれちゃうと、この本の本筋がかすむよな。
日本人は女性的かあ。これはなるほど。だから集団心理が秀でていると。
A級戦犯処刑されてないだと。いや、東條英機とかいるでしょ。
と、ツッコミどころ満載。
異世界に残るとはどういう気持だろう。新キャラの醤油職人のおじさん。のぶ同様行ったり来たりしてたけど、ある日道が閉ざされる。暮らしの質は大きく異なる。そして食事も。なるほど、夜中ラーメンが食べたくなってどうしようもなくなったというのは、苦しいだろうな。でもやさしい物語。
エーファちゃんや弟妹が美味しいもの食べて幸せそうというのが、この本読んでての一番の幸福ポイントだあ。
今回の一番は、山菜の天ぷらかな。塩だけで。実はこちらでも、食べたくてもそうそう食べられないもんな。苦みが少しで、パリっとした食感。
奇譚拾遺使に硝石収集局というのが出てきた。いずれもスパイ部局のことだって。うわ、このネーミング、趣味ど真ん中だわ。
巻を重ねてどんどん引き込まれ感が強くなっていく。おもしろかったなあ。
いつのまにやらの8作目。今回は鯛焼き屋さんを営む30代の禄郎さんと13歳下の婚約者のユイちゃんの物語。んまあ、なんというか偶然なのかどうなのか、あれよあれよと話が進展していくのについていくのがやっとって感じ。うまいよなあ。禄郎さんは人がしゃべった嘘が必ずわかってしまう。助教授の彼みたいだ。なので彼は人付き合いが極端に悪い。嘘をついてることを知りたくないから。うん、そのとおりだ。騙し騙されくらいがちょうどよい。高校の時の大事な試合でのアンパイヤがストライクをボールと嘘をついたのは何故かというのが最後に解き明かされる謎。おや、ここだけは意外に重い。全体はいつもの通り、優しく、仲良く、昭和ホームドラマみたいな感じ。これが好きなんだよな。今回は怪盗紳士ちょっとだけ復活?みたいな感じで高ぶってしまった。はい、おもしろかった。
今回も安定のおもしろさ。1つ目はホテルに宿泊してる認知症気味のおばあさん。家に帰りたくともわからない。持ってるボストンバッグには現金500万円。捨ててある薬は14日分で100万弱。一体何者?というか、高い薬に脳みそ持っていかれた。2つ目はあるサプリにはまり込んだ、颯太くんの同僚のお母さん。しかもマルチ商法化しちゃってるかなり悪質な感じ。そのお母さんを洗脳した怪しげな女に罠をかけるお話。こちらは新キャラの毒島さんの先輩登場。漢方の知識にまたまた脳みそ持ってかれた。漢方薬とは日本の薬であって中国のものではない。仏教の伝来とともに伝えられ、日本で独自の発展をとげただとか、西洋医学は病気を直し、漢方は病人を治すだとか。深いぞ。とっても興味ぶかい。3話目は同僚の馬場さんの婚約者さんの庭が毒になる植物満載な話。またまた、毒島さんの先輩さん活躍。すべての物質は毒であり、用量のみが毒か薬かを決めるかあ。なるほど、そのとおりだ。そして植物はすべてが身を守るために毒をもつねえ。先輩さんの過去がすごすぎた。毒盛られたって…これまで、ありそうでなかったよな。