ptureのブログ -2ページ目

ミステリー作家?ホラー作家?中編3つの本。1話目は高校の時の俳句部の顧問だった元先生を女性が訪れ、死んだ双子の兄が遺した俳句を見て死因の究明をお願いする話。2話目はカッフェーで見かけたダラスのつぼにある黒蝶に端を発して、花魁が出揃うという夢見の呪いをかけられた男の話。3話目は長野の庭に次々に色とりどりなきのこによる輪、フェアリーリングが発生することに悩まされる主人公と、そんなものは見えない有名精神科医の従兄弟の話。バラエティ豊富で、つくづくこの作家、よく調べて書くなあと感心。1話目の、俳句が次々隠された顔を見せ始め、そして、その解釈がまた変わっていくあたり。国語の授業から一転、ミステリーに入り込んでいく。なるほど、季語を季語として扱わないとか、奥が深すぎる。痴呆症ってここまですっかり忘れるものではないよなあ。2話目は大正から昭和の頃の香りがよいなあ。さらには花魁の文化も垣間見える。ちな、この前の本で予習の形になってうれしいじゃん。うわ、気色わる!こりゃホラーだ。3話目はミステリとホラーの融合具合が見事じゃん。しかもそれがどんでん返しのキーになるんだから。うーん。うまいなあ。おもしろかった。 

野暮ったい大学の書道部所属の女子大生がお婆ちゃんが大事にしてるかんざしを見つける。すると、その簪に封印されていた花魁の幽霊に取り憑かれる。幽霊が成仏するにはどうすればよいのか、どうやら恋の成就に興味がある模様ということで、恋愛コンサル的に学生たちの相談にのり解決していくという物語。軽い感じでお互いに言い合う雰囲気がいいじゃん。主人公の多摩子ちゃんのちょっとズレた感じが微笑ましい。書道マニアガールって言われて、いやあそれほどでもって照れるのは、まあお約束だけど、笑ってしまう。今回は書道よりも花魁という文化で学びあるなあ。吉原は一晩限り、仮初の夫婦を演じる場、花魁を買うには最低でも3回通うことが必要、一度目は女性つっけんどん、二回目はお酌を、3回目でやっとだって。どれだけ粋を重んじてるんだろう。遊びに本気を感じる江戸時代。改めて日本って独特だし、いまだそういう心持ちは文化として連綿と伝わってるんだなと。そして、多摩子ちゃんの恋。へー。王子様へは恋というよりは憧れでしたか。なるほどなあ。しかし、恋をここまで突き詰めるってすげえなあと思ってしまった。楽しみました。 

まだ東京はコロナ禍。でも江戸は太平...だと話は始まらない。今回はいきなり夜中に苦しみそのまま心筋梗塞的に死んじゃう事件が発生。商家の主人。それが続く。さらにその商家の前で穢れている、とのたまう謎の巫女。毒?でもこんな症状、例がない。八方ふさがり。いっそ腑分けしちゃおう。そうだそうだ。だったら蘭学者にお願いしちゃおう。いやまて、俺も参加するぞみたいな、なんとも賑やか。そして犯人追い詰めるために現代の機器でつよーい武士をやっつける。今回は強水流だよ。ケルヒャーだよ。んでもっておゆうさんを伝十郎と宇田川がとりあうよ。おー、やっとかい。 

今回も古地図で江戸の街をあっちいったり、こっちいったり。清澄橋も霊岸橋も微妙に今とはズレてんなあ、あ、今のこの辺は昔は海だわ。IBMとか昔は松平の家かあ、品川ちょっと遠いよな。東京が親しみやすくなるのが不思議。おもしろかった。 

コロナの初期で緊急事態宣言の直前の3月が舞台。仲の良い叔父と小学卒業間近の姪が理由をかこつけて鹿島まで数泊しながら歩いていく。女の子はサッカーが大好き。時々叔父を相手に練習してる。なので旅もドリブルしたり、リフティングの自己記録を更新しようとしたり。叔父は行く先々で文豪たちの気配を感じながら、気になる光景を文字で記録していく。途中で合流した新卒予定の女子大生と3人で、ゆっくり、歩く速度で交流を深めていく。文体が昔の文豪たちのそれの描写に似てるかも。自然のみずみずしさを謳うというよりは、見た風景と、そこから生じる自身の感情を言葉を選びながら、できる限り正確に伝えようとしてる感じがなるほどなあと。当時の小説が今も残る理由はこういうところにあるんだなと再認識。わかりやすいものではないし、時には腹に落ちるまで何度も読み返したり。今の小説とは全く別物かも。ただ、この作者、若いんだよな。文学おたくさんなんだろな。こんな旅行の仕方はありかもしれない。世の中にはいろんな作家がいるもんだなあ。楽しみました。 

久々の500ページ超一気読み。自衛隊三部作の一つで今回は海。長編だからゆっくり進むかと想いきやわずか5ページ目からおっぱじまる。見学用に展示された潜水艦にいきなりの出航命令。何?え、進まない?なにかがスクリューに。巨大ザリガニが会場を襲う。ハサミで切り、食らう、人を。お、おう。まだこっちの準備がろくすっぽできてない状態から、逃げ惑う子どもたち小学生から高校生まで十数人を懲罰くらい不良士官候補生二人が潜水艦に避難させ、彼らの密閉された中での生活が始まる。一方、巨大ザリガニを迎え撃つ警察と政治機構。ザリガニの正体は?警察は全く歯がたたないが、自衛隊は政治絡みで出動できない。米軍は業を煮やし日本人の犠牲なと見向きもセずに自国基地のために攻撃を辞さない。緊張全く解かれぬまま、一気にクライマックスまでいくんだから、読み止めるなんてできない。ただのディザスターものとはちょっと違って、いじめっ子の陰湿さの要素、それを助長する親と環境とか、あとから絶対ざまみろ要素もがっつりぶちこんできてるし。メインキャラのお姉さん女子高生と口の聞けない姉弟はけなげだし。そういうの、最後に全部ザリガニの排除以上に大花火打ち上げてくれちゃったよ。あー、もう。この作家好きだわー。つかれたー。でも、それ以上におもしろかったー。ところで海上自衛隊といいつつも、潜水艦ほぼ動かんのよな。 

 

5歳上で大学時代に作家となったお姉さんと、主人公で弟の大学生、その彼女、その幼馴染の4人の日常の物語。お姉さんがある日、実家にいる弟に一緒に住むようにお願いしてきた。ここでしっかり家族マターつまり、両親に相談しているあたりが、真面目な家族なんだなという印象。この作家なので、アウトローなことはないけど。お姉さんって何を考えてるんだろう、どうして弟といっしょに住む?ってのは、エピソードからするとささいで、そうしないと物語が始まらなからなんて想いつつも、なぜというのはしっかり最後までくすぶる。物語中に出てくる職業はほぼ2つのみ。小説家と編集者。なので、必然小説とはどう書かれているのか、小説家は何を書きたがっているのか、どんなことに苦しんでるのか、そもそも小説家になりたがるのは、どんな人で、どんな生活をしてるかなんてのが、そのまま書かれてるんじゃと思う。そこが興味ぶかい。なるほど、作家にしてみれば、如何に物語の中に種をまけるか、そして種を育てるのは読書。ときに作家が意図しないでまかれる種もあるらしい。育ち方は作者の想像を超えることもある。んー。なるほど。エピソードを編むもう一つの側面を強く感じたな。そして、お話はいつも通りの清々しいハッピーエンドではわーって感じでした。おもしろかった。 

そういえば、ちゃんと読んだこと無いかも。まさに昭和的な大ブームだったわけで、1999年には自分は何してるんだろうなんて考えてたことを覚えてる。支離滅裂な幾編もの詩がいろいろな未来を予言しているけれど、そんなものは解釈の仕方でどうにでもなるものでしょう、と結論づけてたよな。そして7月を超えてのY2K。今に至る。結論を知ったあとに読むのは、犯人を知った状態のミステリかしら。ふーん。しっかり書かれてるんだな。各方向からのつっこみを想定しての説明がまずは見事。これは十分信じるに値する感じだし、テレビで扱うにはもってこいだよ。どんなことでも真剣にみたいな感じが懐かしい。一方で当時の空気がレトロでいいなあ。ロケット戦争だとか、超光化学スモッグだとか、さも万能なコンピュータ推測だとか。環境汚染なんてのは新し目の概念だったのかもしれない。毒物の汚染の恐怖がかなりのページを割いてるよな。フリークス的な奇形生物を全面にだして。今なら、ピーってところか。しかし、もう少し時期をぼやかして、ハズレた場合の言い訳みたいなところがほぼないのも驚いた。だからこその大ベストセラーになったのか。もう、当たらないわけがないみたいな一発的な。今これだけの熱量のトンデモ本ってないかもなあ。楽しみました。 

普通の医療物かと思いきや、ちょっと違う。主人公の若い医師ルミ子先生は庭で聴診器を拾う。それは不思議なアイテムで患者の胸にあてると心が聞こえ、人生を後悔している人に、別の人生を見せる。ルミ子先生の患者は老若男女いずれもだけど、共通は余命があまりない人ばかり。患者たちはこうじゃなかったはず、あの時、こうしていればという人生を垣間見る。そこに感動はあるのか。いや、ないなあ。4つのエピソードがのってるけど、いずれも夢見た内容が、あまりハッピーじゃない結論に至ったり。それでも、経験できたことに満足して亡くなっていく患者。それと、入院している間に見舞いにくる親族との関係がギスギスしてたり、あるいは露骨なところがあったり。まあ、もうすぐ寿命がつきることを知ってる患者のところに日々見舞いにくる家族も、その接し方は難しいよなあと、しみじみ思う。笑える?泣く?事務的にはできないなあ。ルミ子先生、空気読めなくて、患者の家族を怒らせちゃうというキャラが新鮮。本人は全くその気はないのに。その後輩さんも輪をかけて。苦しんでる患者に、もうすぐ楽になりますよってたしかにそのとおりだけどさあ。でも、意外と患者には助けの声に聞こえるのかもなあ。楽しみました。 

新キャラ登場だけど、今回のお話用のキャラっぽいかな。次郎さんの遠い親戚のちょっと歳上のお姉さん、由紀乃さん。すっごい美人だけど空気を読まずに猪突猛進、人にどう見られているかなど一切気にしない人。こういうキャラって結構よくあるタイプだわな。彼女はアーティストで彼氏といっしょに北海道に移住してきたが、その彼が取り憑かれた状態で、自我が崩壊寸前。そこで第六にお声がかかる。由紀乃さんと次郎さんの関係が気になってしょうがない澪ちゃんエピソードがちりばめられつつ、問題の原因、つまり怪異の原因を特定していくストーリー。今回は霊じゃなく、呪い。呪術。霊と違い源は人間。であり、霊感があっても呪いの付近の生霊の気配だけ。ふむ、そういうものか。しかし太古の昔から今に至るまで存在するよなあ。果たしてどこまでが呪術なんだろ。プラシボ効果なんて一種の呪術だよなあ。すっかり次郎さんと澪ちゃんの関係も滑らかになったけど、物語が続く限りひっつくことはないんだろな。しかし、ひっついたあともこの仕事続けんのかな。自分ならちといやだ。最後はリアム登場でみんなでフランスでお仕事のようですな。おもしろかった。 

少食に大きなコンプレックスを抱える代理店勤務の若い女性が主人公。会社のみなさんと飲み会にも行けないし、一人で外食ができないし。もちろん、誰かと外食も。いずれも、自分の分を食べれないから。残す量が半端ないんだろうな。こういう人はこれまで物語の中でもお会いすることはなかった。でも考えてみりゃ夕食に対しての俺もそうなので、うん、気持ちわかるわー。仕事も忙しくストレスフル。もう夕飯の準備もしたくない。好きな小料理屋に食べにいきたいけど、2品くらいしか食べれないからなあ。そんなときに隣の大学院生さんを助ける。お礼として一緒にご飯に行ってもらい、自分でとった分以外を食べてもらう。楽しい。彼は料理も上手。彼女のためにご飯を準備して、素敵な豆皿に料理を盛る。料理は見た目もとても大事なわけか。いい話じゃないか。二人の関係のみならずそれぞれの生活の紆余曲折が丁寧に、料理を挟み込みながら描かれてる。んで、いい雰囲気からちょっと壊れ気味になり、もちろん最後はハッピーエンド。はい、立派な恋愛小説でもありました。でも嫌味が欠片もない、読んでてキャラみんなを好きになっちゃう、豆皿いいなと、100均で見直した。おもしろかった。