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スパゲティ グルグルの3区分:終始一貫グルグル派/初期グル途中からなりゆきまかせ最後ズルズル派/ノングルうどん食い一筋派。この最初の話でもう拍手。あくまで中年のおじさんを観察してってのがいい。フォークでたくし上げて口に目一杯ほうばる姿が目に浮かぶ。ノングルうどん食いって言葉がもう大好き。観察力とユーモア、そして気づきが見事に調和。さらにイラスト。いいなあ。忍び笑いが止まらん。うな重をきれいに食べれないだって?それは不思議かも。食事廃棄物だって。なぜ綺麗が難しいのかの考察もあるけど、苦しくないかなあ。デパートの大食堂。確かに大きなテーブルで真ん中にお茶の入ったやかんと湯呑。醤油かけご飯は卑しくないんだの心の叫び。地球滅亡前夜の最後の晩餐がいつのまにやら冷蔵庫の片付けになっちゃったかー。いくらに対する筋子の扱いのひどさ、その他諸々、よくもまあの書き散らかされたかのような銘文の数々よ。きっとそれはそれは楽しく書いてるんだろうなあ。あー、おもしろかった。 

これまでサッカー一途だった新二くんだけど、あまりに完璧な兄へのコンプレックスもあり高校ではサッカーではなく陸上を選ぶ。幼馴染の陸上の天才、蓮をむりやり誘って。青春まっしぐらってほど青臭くはない。等身大の高校生たちの生活が懐かしく、また新鮮。一世代前の舞台だし。スマホでなくてケータイみたいな。競技の中心はリレー。なるほど、奥が深い。立派な団体競技であり、その時最速な選手が集うというのとも違うんだな。速さを表現するためなのか知らんけど、レースシーンの記載がすっごい短い。3行くらい。一人じゃなくてレース全体が。タイムは43秒台ってあるので、それよりも遥かに短い。こいつは新機軸ですな。緊張感とあっという間感に包まれる。陸上の天才というのは、走る姿勢のスムーズさらしい。もっとも効率のよい姿勢で突っ走るみたいな。そして蓮くん、天才なだけに人間的にはかなり適当ってあたりはよくあるタイプだな。楽しみました。 

いつもながら日本酒うまそうだなあ、おい。もちろんつまみも。日本酒の説明がうまいんだと思う。今回は焼酎も登場。焼酎と水をあわせて数日置く、「前割り」だって。なるほど、やってみようかな。本ではそれを温める。とても上手いらしい。お湯割りとはまた違うということだわな。きんきんに冷やしてもうまそう。 

OLのアキさんと年下会社員のリョウくんの関係が仲のいい歳の近い姉弟みたいで和むよ。蹴飛ばされまくってるなあ。一言多いからなあ。いや、こりゃもう喋らずとも突っ込まれそうな勢いかも。そうそう、生まれたての子猫5匹いたんだよな。それぞれ引き取られて、そして、ウメさんの家でみんな一同に会してって素敵じゃん。自分の飼ってる猫の姉弟と会えるなんて機会はペットショップ経由の場合はほぼ無理だもんな。葉ワサビの醤油漬けだと。なにそれ、食べたい。この味が思うようにでない美音さんに味の秘訣を教えたのはなんと、ひょんなことがきっかけで数十年ぶりに再会できたウメさんの幼馴染。えーご都合主義?いや、こんなことも有り得る。長く生きていればってね。今回はウメさんにスポットが結構あたったな。かっこいい婆ちゃんなので、よいと想います。おもしろかった。 

2作目。そうそう、災害伝承を研究するイケメンで人気のある民俗学の准教授と、不動産鑑定士のお姉さん、そして主人公の大学生、萌花ちゃんは准教授の教え子で、お姉さんの仕事のアシスタントをバイトでやってる。バイトといっても民俗学的な観点で不動産鑑定のお手伝い。思い出した。今回は2つの話。ひとつは神隠しならぬ神戻し。とある准教授の物語とは違い、その実態は望まれずして生まれた子を、子を欲する家庭への養子を斡旋する特別養子縁組。もしかして誘拐を生業にしていたのかと言う不安からの人情派の婦人科医のご先祖。いいねえ。ただちょっとテンポがゆっくりかなと。もう一つの話は限界集落の土地の売買について。ソーラーパネルを設置したく、京都の大きな土地がほしい、住民側は土地にある小さな天満宮をどう解釈するかの難問を投げかける。その実態は人の往来で踏み固め、防災のいち手段をするというもの。こちらもなるほどなあ。往来だけでなく、巨大な寺社を建てることで土地を固めることも当時の人々のアイディアで、その最たる人は秀吉だった、人に来てもらうために派手な金屏風をとか、本当なのか?びっくりだぞ。だとしたら、ちょっと秀吉見直した。おもしろかった。 

6作目。今回は老人相手にSF商法を駆使する会社の支店長が殺される。犯人らしき人物を見たという目撃者はこぞって交番に貼ってある指名手配犯だという。でもなにか腑に落ちないエンマ様。そして顧客リストには怪しい人物が。エンマ様の大学の恩師。ここから行動心理学を知り尽くした二人の戦いが始まる。エンマ様に初めての強敵というわけなんだけど、それ以上に人は自分をも騙すという点。元教授、自分の過去を改ざんして偽りの人生を築き上げてた。それはより不幸で自分を罪人とすること。いつもと違い、少し悲しい方向の話かも。そんなことあるんだろうか。でもさもありなん。過去の自身の記憶は果たして事実なんだろうか。虚構なんだろうか。思い込んだらそれが自分の中では事実になりうることはわかるかも。でもこの手の小説にそれを持ち込んだら、あれえと思っちゃうよな。多分シリーズで一回しか使えない形だろうなあ。相棒の西野くん、すっかりキャバクラ刑事だな。馬鹿全開。ライバルの筒井綿貫刑事コンビがすっかりエンマ様を認めて共闘してるのも嬉しい。おもしろかった。 

著者は二人の学者さん。ゴリラの研究で京大総長だった山極さんとシジュウガラの研究の鈴木さんで二人の対談形式。所々に可愛いイラストがあるのがなんか嬉しい。なるほど、シジュウガラの鳴き声には言葉としての意味があり、それには文法もある。文法を異ならせると内容が伝わらない。なるほどというよりもそれを実証させる鈴木さんのアイディアが、目からウロコ。生物が言葉を持つようになった意味と経緯、そしてそれは種によって異なる。人の場合はどうだったか。そして、生物の最頂点に経っているのは人間という考えは西欧的なもので、単なるおごりたかぶりであること。それぞれの生き物の優位点、あるいは特徴を取らまえ、理解することこそ大切と、話は言葉、コミュニケーションから地球に住む生き物の話につながっていく。こういうところが学者さんの好きなとこ。楽しみました。 

かなりのユニークなシチュのミステリー。彼氏が欲しい美人で積極的な麗子さんと、彼氏よりも謎がほしい、童顔で静かめなゆいかさん。舞台はいつもランチ時にひらく合コン。そこで、ゲストの男性陣の謎のお話とゆいかさんの謎解き。それが6話。シチュがいつも似てるという点では鴨川食堂とかもあるけど、こちらはランチ会場自体は変わったりするのでワンパターン的ではない。よくもまあ、考えたもんだ。ランチ合コンって初めて聞いた。確かに合理的かも。そこでの安楽椅子探偵っすか。謎は、毎朝エレベーターが屋上に止まっていて、閉まっているはずの屋上への扉が開いているのは幽霊のせいなのか?とか、キッチンカーに定期的に大量の弁当を買いに来る女性だとか、離婚した彼女から返してもらった婚約指輪がなくなったけど犯人は?だとか、双子の弟の婚約者が残したメッセージの意味だとか、犯罪臭は弱めで生活の中の謎系。そういうの好き。推理は事実よりも、心情を推理してって感じ。だから事前に全ては明かされず、一緒に考えてもしゃーないか。アフリカで誕生した人類が日本人になるまでゆいかさんの「謎、解けました。すべての構図がみえました」ってくると、えーもう?って感じだった。楽しみました。続きあるので、読みましょう。 

7作目。前回のおさらいをしないで読んでしまい、ちょっともったいなかったか。悪魔の軍隊とか、ラスボスかもの少女とか。すっかり忘れてる。今回は、一言でいっちゃえば、ミカヅチたちの真の姿が少しづつ明確になっていくということかな。赤バッチのテノールな声は神に届くとか?天目さんは幽世をつかってショートパスで通勤しちゃうくらいに霊的に鍛えられてたり。そして主人公の怜の出生の秘密も明かされる。明かされたけど。屍蝋化した両親の遺体が天目さんのテリトリにある。まあ、守りの霊能者の仲間だったくらいしかうまく理解できない。今回はあんまり悪魔側のご活躍はありませんでした。代わりに怜が入ったことにより、イカヅチチームに心が灯り今は最高のチームワークを誇ってるところの描写に力が入ってたな。怜くん、よかったじゃん。おもしろかった。 

こんなタイトルで200ページ弱だから、当時の、楽しく、ちょっとミーハーで軽薄っぽい内容かと思ったのに。そっちじゃなかった。バブルの初めの頃に小さな出版社にかろうじて拾ってもらった著者を描く。子供がいるのに、月収10万。雑誌の発行のために家に全く帰れない。作った雑誌は国会で青少年育成に害をもたらすとコテンパンにされる。時代の華々しい面よりも、70年代からの学生運動のもとになる思想みたいのが残り変化していく様を強く感じた。そして、オウム事件が語られる。あ、宝島のあの一連のムックをつくっていたのかあ。今でも家に何冊か残ってる。本が売れなくなっていく様もとてもリアル。バブル前後の、出版すれば必ず売れる時代からなんと変わってしまったことか。一番最初の会社の偉い人3人がいずれも警察の厄介になってるってのはマジか。すげーな。自身の中学、高校時代の社会を垣間見えた。楽しみました。 

2作目。「人魚の干物」を手に入れた古物商が見るようになった足のない子供の幽霊。さて一体どんなストーリーにつながるのかな。話は現在と当時を行き来しながら、昔の暗い時代の物語が進行していく。悲しい子供。身勝手な大人。罪をなすりつけられる男。そして呪物になっていく。この過程が物語の真髄なんだよな。もう一つは突然心筋梗塞で死ぬ人間。呪いの人形のせいだ。でも、誰が作ってる?神さまにSNSでお願いすると、夜中に郵便受けに呪いの人形が入る。ずいぶん俗物的だけど、その呪いはどうやら確実。こちらは神って一体なに?なぜ呪物ができあがる?という構成。こちらもいいじゃないか。神秘的な九尾先生も一緒に酒飲みな俗物になりさがっていってるのも良し。おもしろかった。でも不思議と頭からどんどん抜けていっちゃうのはなぜでしょう。