会社員時代、大阪支店で受けたクレームの電話対応を、本社で引き継いだことがあります。
対応は2時間以上に及びました。

当時は、どの段階で上司へ引き継ぐのか、どのような場合に会社として対応を終了するのかといった基準がありませんでした。
私も途中で対応を代わってもらう判断ができず、相手の話を聞き続けることになりました。

しかし、長時間対応したからといって、問題が解決したわけではありません。
対応する側の負担が増える一方で、お客様にとっても納得できる回答が得られないまま、時間だけが過ぎていました。

このような対応を繰り返さないためには、担当者個人の判断に任せるのではなく、誰が対応を引き継ぎ、
どの段階で会社として判断するのかを、あらかじめ決めておく必要があります。

■2026年10月から、カスハラ対策が義務化されました

2026年10月1日から、企業にはカスタマーハラスメントを防止するために必要な措置を講じることが義務付けられました。

ただ、方針や相談窓口を設けるだけで、社員を守れるわけではありません。

実際に相談があったとき、誰が事実を確認し、どの段階で担当者から引き継ぎ、
会社としてどのように対応するのかまで決めておく必要があります。

社員から「カスハラかもしれない」と言われてから考えるのではなく、
相談を受けたときに動ける状態をつくっておくことが大切です。

■すべての苦情がカスハラになるわけではない

お客様から厳しい意見を受けたからといって、すべてがカスハラになるわけではありません。

商品やサービスに問題があり、会社として改善すべき内容が含まれていることもあります。
その場合は、事実を確認したうえで、必要な説明や対応を行わなければなりません。

厚生労働省では、カスタマーハラスメントについて、次の三つをすべて満たすものとしています。

・顧客や取引先などによる言動であること
・社会通念上許容される範囲を超えていること
・その言動によって、労働者の就業環境が害されること

そのため、社員から相談されたときに、相談を受けた人の印象だけでカスハラに当たるかどうかを判断することはできません。

どのような言動があったのか、その対応がどのくらい続いているのか、
社員の業務や心身にどのような影響が出ているのかを確認する必要があります。

お客様からの正当な意見には向き合いながら、社会通念上許容されない言動からは社員を守る。
その両方を考えることが、会社には求められます。

■二つの裁判例から分かる、会社に必要な対応

顧客などへの対応によって心理的な負担を受けた社員について、会社の安全配慮義務が争われた裁判例があります。

NHKサービスセンター事件では、コールセンターで働く社員が、
電話の相手から暴言やわいせつな発言を繰り返し受けていました。


会社では、不適切な電話を上司へ転送する、同じ相手から繰り返し電話があった場合は担当者の判断で電話を切る、
大声を出されたときはヘッドセットを外すことができるなど、社員が一人で対応を続けないためのルールを設けていました。

さらに、メンタルヘルス相談やカウンセリング、ストレスチェックなどを利用できる体制も整えていました。

裁判所は、社員の心身の安全を守るための具体的なルールが設けられ、
そのルールに沿った対応が行われていたことなどを総合的に考慮し、
会社の安全配慮義務違反を認めませんでした。

一方、社会福祉法人むつみ福祉会事件では、保護者への対応によって強い心理的負担を受けた保育士に対する、
法人側の事後対応が問題になりました。

この事件では、保護者の言動がカスハラに当たると判断されたわけではありません。
ただ、顧客などへの対応によって強い心理的負担を受けた社員に対し、
会社がどのように対応する必要があるのかを考えるうえで参考になります。

法人側も、カウンセリングや個人面談、業務量の削減などを行っていました。

しかし、心理的な負担が続いていたにもかかわらず、その後のカウンセリングが行われていなかったことや、
本人の心身の不調や業務上の負担が面談記録に十分残されていなかったことなどから、
必要な対応が十分に行われていたとは認められませんでした。

二つの裁判例から分かるのは、相談窓口や制度を用意するだけでは足りないということです。

社員が途中で上司へ引き継げるのか、相談後も心身の状態を確認しているのか、
講じた対応が実際の負担軽減につながっているのか。
そこまで確認して、初めて会社の仕組みが機能しているといえます。

■相談を受けたあとに、会社がどう動くか

社員から相談を受けたときに避けたいのは、「お客様だから仕方がない」「もう少し様子を見てほしい」と、
十分な確認をしないまま対応を続けさせることです。

まずは、相手からどのような言葉や行為を受けたのか、いつから、どのくらいの頻度で続いているのか、
そのとき会社や社員がどのように対応したのかを確認します。

通話記録やメール、これまでの対応履歴など、確認できる資料があれば併せて整理します。

そのうえで、担当者が対応を続けるのか、上司や別の担当者が引き継ぐのか、会社として対応を終了するのかを判断します。
状況によっては、警察や弁護士などへの相談が必要になることもあります。

その場の問題が収まったように見えても、そこで対応を終わらせてはいけません。

社員の心身に影響が出ていないか、業務上の負担が続いていないかを確認し、
必要に応じて担当業務の見直しや相談の機会を設けることも必要です。

カスハラに該当するかどうかを、相談した社員だけに判断させるものでもありません。

会社として事実を確認し、どのような対応を取るのかを決め、その後の状態まで確認するところに、会社の役割があります。

■お客様を大切にすることと、社員を守ること

カスハラ対策は、お客様からの意見を受け付けないためのものではありません。

会社側に改善すべき点があれば、事実を確認して対応する必要があります。

一方で、お客様からの言動だからという理由で、社員が暴言や過度な要求に耐え続ける必要もありません。

社員から「カスハラかもしれない」と言われてから初めて対応を考えるのでは、遅い場合があります。
相談先、事実確認の方法、上司へ引き継ぐ基準、対応を終了する基準、
その後のフォローまで、会社として事前に整理しておく必要があります。

私が2時間以上対応したときも、途中で上司へ引き継ぐ基準や、会社として対応を終了する基準が決まっていれば、
違う進め方ができたはずです。
長時間対応を続けることが、必ずしも問題の解決につながるわけではありません。
会社がどの段階で担当者から対応を引き取り、組織として判断するのかを決めておくことが、
社員を守り、問題を前へ進めることにつながります。

大切なのは、ルールを作ることだけではありません。
社員が困ったときに、そのルールが実際に使われ、会社として対応できる状態になっていることです。

当社でも、カスタマーハラスメントへの考え方を社内外に示すため、基本方針を定め、ホームページで公表しています。

基本方針を公表することは、取り組みの一つです。実際に問題が起きたときに、方針に沿って判断し、
担当者だけに対応を任せない運用まで整えておく必要があります。

【当社のカスタマーハラスメントに対する基本方針】
https://www.pro-tean.com/news/228

私が支援の中で、会社と社員のどちらか一方だけではなく、双方の状況を確認しながら一緒に考えることを大切にしている背景については、
以下のページでもご紹介しています。

もし少しでも気になっていただけたなら、のぞいてみてください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message

【参考資料】

厚生労働省「あかるい職場応援団 カスタマーハラスメント」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/customer-hara/

厚生労働省「あかるい職場応援団 NHKサービスセンター事件」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/judicail-precedent/70/

厚生労働省「あかるい職場応援団 社会福祉法人むつみ福祉会事件」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/judicail-precedent/78/

人事労務の業務では、法令を調べても、それを自社の状況にどう当てはめればよいのか迷うことがあります。

私自身も会社員時代、人事担当者としてどこまで判断してよいのか、
何を確認すればよいのか分からなくなったことがありました。
その中で、今でも覚えている出来事があります。

■20時を過ぎてから、会社まで来てもらった

ある日、どうしても処理を進めなければならない業務があり、法的な判断基準や処理方法を自分で調べていました。

しかし、調べれば調べるほど、どのように判断すればよいのか分からなくなり、
このまま自分一人で判断するのは難しいと感じました。

もちろん、会社の制度や運用方針については、上司に相談しながら対応していました。

ただ、このとき迷っていたのは、自分が担当する業務を進めるうえで必要となる法令の読み方や、
処理の考え方についてでした。自分の担当としてどこまで整理すべきか分からず、
一人で悩んでいました。

そのため、遅い時間だとは分かっていましたが、20時を過ぎた頃、
社外の人事労務コンサルタントへ相談の連絡をしました。

すると、会社まで来てもらえることになり、状況と自分で調べた内容を説明すると、
それまで自分が考えていたものとは違う角度から、判断の仕方を示してもらいました。

その結果、整理できずにいた内容について、何を確認し、どのような順番で考えればよいのかが見えてきました。

■その場の答えよりも、考え方がその後に役立った

会社まで来てもらったことは、もちろんありがたいことでした。

ただ、私が今も覚えているのは、その場の答えよりも、どのような基準で考え、
何を確認すればよいのかを教えてもらえたことです。

人事労務の問題は、会社の規模や業務内容、これまでの経緯によって、
必要な対応が変わります。

一つの答えを知るだけでなく、考え方や確認するポイントが分かったことで、
その後の業務にも活かすことができました。

■必要なときに相談できる関係があった

勤務していた会社では、社外の人事労務コンサルタントと契約しており、
月に一度、定期的に訪問して労務相談や法改正内容の情報をもらっていました。

判断に迷ったときは、定期訪問の日を待たず、メールや電話でも相談をさせて貰っており、
緊急性が高い場合や、直接話し合った方がよい内容については、別途来社してもらうこともありました。

月に一度の定期訪問だけでなく、実際に困った時点で相談できたことが、
人事担当者として業務を進めるうえでとても助けになりました。

■相談を受ける側になった今、心がけていること

現在、私が人事労務の支援をする際にも、この経験が活きています。

お客様から相談を受けたときは、聞かれたことだけに答えるのではなく、なぜ相談に至ったのか、
会社として何を実現したいのか、その背景にどのような事情があるのかまで確認するようにしています。

同じ内容の相談でも、会社の状況や相談に至った経緯が違えば、必要な対応は変わります。
目的や背景を確認しなければ、質問には答えられても、実際の問題が解決しないことがあるからです。

私自身が相談する側だった頃、その場の答えも大切なのですが、
考え方や確認すべきことを整理してもらったことに助けられました。

現在の支援に活かしているのは、当時と同じ対応方法ではなく、お客様と一緒に考え方を整理する姿勢です。
この経験が、私の支援の原点の一つになっています。

私自身が相談する側だった頃、その場の答えよりも、考え方や確認すべきことを整理してもらったことに助けられました。
その経験が、現在の支援の原点の一つになっています。

私が支援の中で「一緒に考えること」や「相談できる関係」を大切にしている背景については、
以下のページでもご紹介しています。

もし少しでも気になっていただけたなら、のぞいてみてください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message
 

新しい制度やルールを作るとき、『同業他社ではどうしているのだろうか?』と
気になるのは自然なことだと思います。

何もない状態から考えるよりも、具体的な事例があった方が、検討すべきことが見えやすくなり、
社内でも話し合いやすくなるからです。

私自身も、会社員時代に人事制度づくりに携わった時に、同じように他社の事例を調べたことがあります。

■「これは、うちの会社には合わない」と感じた経験

当時、外部コンサルから、上場企業で導入されている人事制度を提案されました。

「この制度を導入すれば、今抱えている課題を解決できる」という説明で、参考になる部分も多くありましたが、
内容を確認していくうちに、「これは、うちの会社には合わない」という違和感が強くなりました。

当時の会社の文化や仕事の進め方、社員との関わり方を考えると、そのまま導入すれば、社員から多くの質問や不満が出て、
担当者がその対応に追われ、通常業務にも支障が出ることが想像できました。

そこまで負担をかけて導入しても、制度が定着せず、最終的には形だけが残ってしまうのではないかという危機感がありました。

そこで、提案された制度をそのまま導入するのではなく、参考にできる部分と当時の会社には合わない部分を整理したうえで、
担当者の間でたたき台を作り、部長や役員へ説明しながら内容を見直し、当時の会社に合う人事制度へまとめていきました。

この経験が、他社の事例を確認する際に、その内容だけでなく、自分たちの会社との違いまで考えるようになった理由の一つです。

■参考になる事例は、会社の状況によって変わる

お客様から「他社ではどうしていますか」と聞かれた時の対応は、
お客様の状況をどこまで理解しているかによって変わります。

初めてご相談いただいた会社では、当社にお客様の情報がないため、まず会社の規模、仕事の内容、
現在の運用、何に困っているのかを確認させていただきます。
そのうえで、参考になる事例をお伝えします。

一方、すでに契約をいただいており、お客様の状況やこれまでの経緯が分かっている場合は、他社の事例を先にお伝えし、
その内容とお客様の会社の状況を照らし合わせながら、一緒に確認することもあります。

他社の事例を紹介して終わりにするのではなく、そのまま取り入れられる部分と、会社に合わせて変える部分をお客様と整理し、
その会社ではどのようにするのかまで一緒に考えます。

■同じことは、どんなルールづくりにも言える

お客様からも、似たような話を伺うことがあります。

社長が「うちでもこれを使えないか」と持ち帰ってきた制度を、管理部が調べて導入を検討するのですが、
そもそも何のためにその制度が必要なのかが不明確なまま進んでしまい、現場に合わせて無理やり形にした結果、
誰にも使われないまま残ってしまう。

こうしたことは、決して珍しくありません。

『使われなくなってしまうルール』を防ぐために、まず確認したいのは、
何を解決するためにそのルールを作るのかということです。

一つの考え方は、他社の事例を『答え』としてではなく、
自社との違いを確認するための『材料』として使うことだと思っています。

最近、災害時の対応基準を整えたいというお客様からご相談をいただいた時も、
この考え方で進めていきました。

「どのような状況になったら、社員をテレワークへ切り替えるのか」
「他社が実際に使っている判断基準を知りたい」

何もない状態から基準を作るのは時間と労力が必要なため、他社の基準は具体的な検討材料になります。
ただし、他社と同じ基準を設ければ、自社でも同じように対応できるとは限りません。

例えば、事務作業が中心の会社と、工場や店舗など現地でなければできない仕事がある会社では、
テレワークへ切り替えられる範囲が異なります。

電車通勤が多い会社と、自動車通勤が中心の会社でも、同じ気象情報が発表された時に受ける影響や、
判断するタイミングは変わります。

また、テレワークの制度があっても、実際に自宅で対応できる業務が整理されていなければ、
災害時にすぐ切り替えることはできません。

こうした違いを一つずつ確認することで、自社では何を優先して判断するのか、
誰が最終的に判断するのか、社員へどのように伝えるのかが見えてきます。

■他社との違いから、自社の考え方が見えてくる

他社の基準を見ることで、何を決めておく必要があるのかが分かります。
そのうえで、自社との違いを確認すると、それまで言葉にしていなかった自社の考え方が見えてくることがあります。

他社のやり方は、自社の答えを見つけるための『材料』です。
何を選び、何を変えるかを自分たちの言葉にしていくことが、使われないまま終わるルールと、
現場で本当に機能するルールの差になるのだと考えています。

私がなぜ、ここまで「会社に合うルールをつくること」や「お客様と一緒に考えること」にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。

もし少しでも気になっていただけたなら、のぞいてみてください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
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仕事を進める上で、「あの件、伝えておいたはずなのに」という事態に直面することはありませんか。

現場のコミュニケーションでは、「言ったつもり」という発信者側の思い込みが、

大きな認識のズレにつながることがあります。

私自身、社内の情報共有において、共有漏れを起こしてしまった苦い経験があります。
ある時、一部のメンバーと顔を合わせて直接口頭で話した内容について、
自分の中ではすっかり「他のメンバーにも同じように話した」気になっていました。

頭の中では全員に共有したつもりでいたのですが、後になって、
その情報が届いていなかった担当者から「その件については聞いていません」と言われました。
その瞬間、「またやってしまったか」と、自分の中にある「言ったから伝わっているはず」という
思い込みの根深さを痛感しました。

これまでは、「伝えたつもりだった」で終わらせていました。
しかし振り返ると、「誰に伝えたのか」が曖昧なまま、自分の中だけで「共有できた」と思い込み、
その後の確認まで意識が向いていなかったのだと思います。

これは単なる連絡漏れではなく、発信者側の「伝えたつもり」という思い込みが生んだ認識のズレでした。

■ 「言ったつもり」が起きてしまう4つの原因

振り返ってみると、自分の中にはいくつか共通する思い込みがありました。

① 「誰に伝えるか」が曖昧
「みんなに言った」「その場にいる全員に向けて話した」と思っていても、
実際には「誰に伝えたのか」が曖昧になっていることがありました。

私自身も、誰かに話したことで「全員に共有した」と思い込んでいたことがあります。
しかし、誰に向けた話なのかが明確でなければ、聞いている側も「自分への話だ」と受け取りにくく、
「誰かが対応するだろう」と考えてしまうことがあります。

② 「伝えた」と「伝わった」を同じだと思っている
私は、一度話したことで、「伝えた」=「共有できた」と考えていました。
しかし、実際には「伝えたこと」と「相手が同じ認識になること」は別のことでした。

自分の中では理解できている内容でも、相手にとっては初めて聞く話かもしれません。
一度聞いただけで内容や背景まで理解し、同じ認識を持つことは簡単ではありません。

③ 相手の状況を考えずに伝えている
私は、思いついた時に伝えないと後で「何だったっけ」と忘れてしまうことがあるため、その場ですぐに話していました。

しかし、その時の相手が話を受け取れる状況かどうかまでは考えられていませんでした。
忙しい時や別の作業に集中している時は、返事があっても内容まで十分に認識されていないことがあります。
自分が伝えやすいタイミングではなく、相手が受け取りやすいタイミングを考える必要がありました。

④ 相手の理解を確認していない
私は、一度伝えたことで、自分の役割は終わったような感覚になっていました。

そのため、相手がどのように理解したのか、認識にズレがないかを確認するところまではできていませんでした。

情報共有は、「伝えた」で終わるものではありません。
相手が内容を理解し、同じ認識を持てて初めて、情報共有ができたと言えるのだと思います。
そのためには、伝えた内容が相手にどう伝わったのかを確認することも大切なのだと思います。

■ 個人の意識ではなく、「伝える仕組み」に落とし込む

私自身、こうした出来事を経験する中で、「伝えたか」ではなく「相手に伝わったか」を意識するようになりました。

自分の中では「100%伝えた」と思っていても、相手が正しく受け取っていなければ、現場の仕事は前に進みません。

この思い込みによる認識のズレを防ぐため、現在当社では、関係者全員に知っておいてほしいことや、

対応してほしいことについては、「チャットツールなどでのテキスト共有」と「それぞれに直接話す」という方法

を組み合わせて伝えるように改善しました。

二重の手間には見えますが、文字として記録に残した上で、口頭でも本人に直接伝えることで、
「言ったつもり」のまま終わることを防ぎやすくなります。

どちらか一方だけに頼るよりも、結果として認識のズレを防ぎやすいと感じています。

これは個人のコミュニケーション能力だけの問題ではありません。
「言ったつもり」を防ぐための手順を、組織の小さな「仕組み」として定着させることが重要です。

誰に何を伝えたのかを後から確認できる状態にしておくことで、記憶の曖昧さを補い、

認識のズレや手戻りを減らすことができます。

「言ったつもり」は、誰にでも起こり得ます。

だからこそ、個人の記憶や感覚だけに頼るのではなく、「誰に・何を・どのように伝えたのか」を確認できる仕組みを

持つことが、「言ったつもり」による認識のズレを防ぎ、仕事を円滑に進めることにつながるのではないでしょうか。

私がなぜ、ここまで「現場のすり合わせ」や「人と組織の関わり方」にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。

よろしければ、ぜひご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
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「この前、しっかり時間をとって教えたはずなのに、全然違うやり方になっていた」
「『分かりました』と返事をしたから任せたのに、後になってミスが発覚した」

現場で社員に業務を教えている経営者や担当者の方から、こうしたお悩みを聞くことがあります。

多くの場合、「教え方が悪い」「理解力が足りない」という単純な話ではありません。
実際に現場を見ていると、そこにはいくつか共通した原因があります。

■ 「分からないことが分からない」という状態
 

業務を教え終わった後、
「分からないことがあったら聞いてね」
と伝え、業務を進めてもらいます。

これは、多くの職場で見られる光景です。

教える側からすれば、
「何も質問が来ないということは、しっかり伝わっているのだろう」
と思うことがあります。

一方で、教わる側は、必ずしもすべてを理解できているとは限りません。

「何が分からないのかが、自分でも分かっていない」
という状態になっていることも少なくありません。

業務の全体像が見えていないため、どの部分を質問すればよいのかすら言葉にできないことがあります。
その結果、質問が出ないまま作業が進み、教える側は「伝わっている」と受け止めてしまうことがあります。

■ 疑問を飲み込んでしまう心理

また、教わっている最中に「あれ?」と疑問に思うことがあっても、
その場で声に出せないことも少なくありません。

「こんな初歩的なことを聞いて、理解が遅いと思われないだろうか」
「忙しそうに教えてくれているから、話を遮ってはいけない」

そんな遠慮から疑問を飲み込んでしまうことで、教わる側にはモヤモヤが残ったまま業務を進めることになります。

そのまま業務が進むと、小さな認識のズレが後になって大きなミスや手戻りにつながることもあります。

■ 「手順」は伝わっても、「背景」が伝わっていない

もう一つ多いのが、作業のやり方だけを伝えて、
「なぜそうするのか」という背景が共有されていないケースです。

例えば、
「この書類はこの順番で処理してね」
という手順だけを教わった場合は、その手順どおりであれば作業を進めることはできます。

しかし、少しでも想定外のことが起きると、どのように対応すればよいか迷ってしまうことがあります。

その業務が誰にどう繋がっているのか。
なぜその順番で処理するのか。

こうした背景や目的まで共有されていないと、自分で判断することが難しくなってしまいます。

結果として、質問をする時にも、
「どこまで進めて、何に困っているのか」
が整理できず、報告の段階で認識がずれてしまいます。

■ 「普通」が人によって違う

そして最も根深いのが、
「普通はこうだよね」という、それぞれの思い込みです。

教える側は、
「これくらいは言わなくても分かるだろう」
という前提で説明を省くことがあります。

一方で教わる側も、
「これまでの経験ではこうだった」
「自分なりにはこれが普通だと思った」
という解釈で動いてしまうことがあります。
どちらも悪気はありません。

お互いが、自分の「普通」を前提に話し、判断してしまうため、
同じ説明を聞いていても、教える側と教わる側で受け取り方が異なってしまうことがあります。
その結果、お互いの認識にズレが生じ、ストレスを抱えてしまいます。

■ 「伝わったか」を確認する仕組みを作る

これらの認識のズレを防ぐためには、
「教えた=伝わった」
という思い込みを捨てることが大切だと考えています。

私自身も、
「ここまで説明しなくても伝わるだろう」
と背景を省いてしまい、後から「そういう意味だったんですね」
と認識が食い違った経験が何度もあります。

そこで今は、
「分からないことがあったら聞いてね」
と相手からの質問を待つだけではなく、
「今説明した業務の目的を、軽くまとめてみてくれる?」
「もしこういう例外が起きたら、どう対応する?」
と、こちらから問いかけることを意識するようになりました。

相手の言葉で説明してもらうことで、どこまで伝わっていて、
どこがまだ伝わっていないのかが見えてきます。

大切なのは、「教えたか」ではなく、「伝わったか」を確認することです。

忙しい現場では、まず業務を進めることを優先しなければならない場面も少なくありません。
だからこそ、最初に少しだけ認識を合わせる時間をつくることで、
後からの手戻りや説明のやり直しを減らせることがあります。

その一手間が、結果として認識のズレや手戻りを減らし、
現場をスムーズに動かすことにも繋がるのではないでしょうか。

私が普段どのような人間で、どんな想いで仕事や人生に向き合っているのか。

プライベートな一面も含めた私の「取扱説明書」を以下のページにまとめています。
よろしければぜひご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message
 

私にとって6月は、お神輿を担ぐ季節です。
今年も2週連続で地域のお祭りに参加してきました。

1週目は、隣の町会のお神輿に知り合い2名を連れて参加。
そして2週目は、以前の職場の後輩がいる地域のお祭りに、小学校からの同級生を連れて参加してきました。

今回は、隣の町会に参加させてもらったり、後輩のところへ友人を連れて行ったりと、
様々なご縁の中でお神輿を担ぐことができました。
こうした繋がりの中で参加できることも、毎年の楽しみの一つです。

 

 

■ お神輿ならではの「空気感」と「一体感」

お神輿の話をすると、担いだことがない方からはよく、
「重くて痛そうなのに、何が楽しいの?」
と聞かれることがあります。

たしかに肩は腫れますし、長年担いでいる私の肩には「神輿こぶ」もあります。
毎年当たり前のように担いでいますが、お神輿ならではの空気感や、
人との繋がりが、毎年自然と足を運びたくなる理由なのかもしれません。

年齢も職業も違う人たちが、一つのお神輿を担ぐために呼吸を合わせる。
お神輿は大勢で担ぐからこそ、周囲の動きに合わせながら担がなければなりません。
自分だけ違う動きをすると、肩と棒がぶつかって余計な負担がかかります。

だからこそ、自然と周囲の空気を感じながら、全員で息を合わせて担ぐことになります。
そして、その動きが揃った時には独特の一体感が生まれます。

外から見ると、大きく揺れているお神輿の方が迫力があり、盛り上がっているように見えるかもしれません。
しかし、担ぎ手からすると、ガチャガチャと不規則な音が鳴っている状態は、決して良い担ぎ方ではありません。

担ぎ手全員の動きが揃い、一定のリズムでお神輿が進んでいる時ほど、お神輿は安定します。
担ぎ手としては、その状態こそが一番気持ち良く担げている状態だと思っています。

 

 

同じ半纏を着ている人は、初対面でも自然と仲間のような存在になります。
「お疲れさまです。」「よろしくお願いします。」
そんな一言から会話が始まり、一緒にお神輿を担ぎ終える頃には、自然と打ち解けています。
同じ半纏を着ているだけで、自然と人との距離が近くなる。
お神輿には、そんな不思議な力があるように感じています。

■ なぜ「お神輿の会」には入らないのか?

こうしてお祭りの話をすると、
「そんなに好きなら、お神輿の会に入って毎週担げばいいのに」
と言われることがあります。

実際、一緒に担ぐ方の中には、シーズン中ほぼ毎週どこかのお祭りで担いでいる方もいます。

ただ、私は「たくさんお神輿を担ぎたい」というタイプではありません。
私にとってお神輿は、毎年この時期になれば自然と参加する恒例行事のような存在です。

だから参加するのも、自分の地元や、知り合いから声を掛けてもらった地域など、ご縁のあるお祭りがほとんどです。

お神輿を追いかけて毎週担ぐというよりも、
「今年もこの地域のお祭りがやってきたな」
と感じながら、その一員としてお神輿を担ぐ。

だから私は今年も、ご縁のある地域のお祭りでお神輿を担ぎました。

お神輿を担いでいる時間だけでなく、途中の休憩時間も楽しみの一つです。
普段は違う場所で生活している人たちと、飲み物を片手に他愛もない話をする。

そうした何気ない時間も、お祭りならではの楽しさだと思っています。

 

 

知り合い、友人、以前の職場の後輩、そして地域の方々。
普段は違う場所で生活している人たちが、お神輿を通じて自然と集まり、他愛もない話で笑い合う。
毎年同じようにお神輿を担ぎ、同じように笑い合えることが、私にとっては何より大切な時間です。

普段の仕事では、経営者の皆様と組織づくりや人事労務について向き合っていますが、
お祭りの日だけは完全に仕事モードをオフにして、ただお神輿を楽しませてもらっています。

もしこの記事を読んで、
「来年は少しだけ担いでみたい」
「お祭りの雰囲気を味わってみたい」
と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお声がけください。
来年、一緒に楽しみましょう。

今年もたくさんのご縁の中でお神輿を担ぐことができました。
また来年も、変わらずこの場所でお神輿を担げたらと思っています。

私がどのような人間で、どんな想いで仕事や人生に向き合っているのか。
プライベートも含めた私の「取扱説明書」をまとめていますので、よろしければご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message

「あの人が休むと仕事が止まる」
「難しい案件は、結局いつも同じ人に集まる」
「あの人が辞めたらどうしようという不安がある」

このような状況は、会社の規模に関係なく見られることがあります。

一見すると、その人が優秀だから仕事が集まっているように見えます。
しかし実際には、それだけが理由ではないケースも少なくありません。

■ 現場で起きている「あの人しか分からない」の正体

会社の中で、
「あの人に聞かないと分からない」
「あの人しか対応できない」
という仕事が増えていくことがあります。

最初から意図してそうなったわけではありません。

取引先とのやり取りや、過去の経緯を踏まえた判断、イレギュラー対応などを積み重ねるうちに、

気づけば特定の人しか分からない業務が増えていくのです。

その結果、周囲も「この件は〇〇さんに聞こう」となり、

本人も「自分が対応した方が早い」と考えるようになります。

こうして少しずつ、その人に仕事や相談が集中していきます。

■ なぜ、「あの人しか分からない」が生まれるのか

「他の人へ仕事を振ればよいのではないか」
そう思われるかもしれません。

しかし実際には、それほど単純ではありません。
日々の定型業務であれば、手順を共有することで引き継ぐことができます。

一方で、
・マニュアルに載っていない問い合わせ
・部署間の調整が必要な案件
・過去の経緯を知らないと判断できない対応
など、
その場で判断が求められる業務も少なくありません。

そして、その判断の背景にある考え方や過去の経緯が共有されていないため、
「この件は〇〇さんに聞かないと分からない」
という状態が生まれてしまいます。

つまり、仕事が集中しているのは作業そのものではなく、
【判断基準】
が特定の人の頭の中に残っているからなのです。

■ 「業務を分ける」だけでは解決しない

この状態から抜け出すために必要なのは、
単純に作業を振り分けることではありません。

大切なのは、
その人の頭の中にある
「なぜそう判断したのか」
「どのような基準で対応しているのか」
を整理することです。

例えば、
「このパターンなら対応する」
「この条件なら上長へ相談する」
など、
暗黙の判断基準を言葉にしていくことで、他の人も対応しやすくなります。

結果として、
特定の人への依存を減らし、
組織全体で支えられる状態へ近づいていきます。

■ 属人化の解消は、優秀な人を守ることでもある

ただし、長年その業務を担当してきた人ほど、
自分の中では当たり前になっているため、
何を共有すれば良いのか分からないことがあります。

もし、
「特定の人に業務が集中している」
「その人が休めない」
「辞められたら困る」
と感じているのであれば、一度立ち止まって、
その人の頭の中にある判断基準を整理してみることをおすすめします。

■ 当社も同じ課題と向き合っています

実は当社でも、同じような課題があります。

どうしても私に情報が集まりやすく、
「この件は社長しか分からない」
という状態になってしまうことがあります。

また、私の頭の中にある前提や判断基準を十分に共有できておらず、社員との認識にズレが生じてしまうこともあります。

その結果、
「まずは社長に確認しよう」
という流れになり、業務が止まってしまうこともありました。

だからこそ現在は、
業務の進め方や判断基準を少しずつ言葉にしながら、特定の人だけが分かる状態を減らしていく取り組みを続けています。

会社の規模に関係なく、
情報や判断基準が一人に集中することは起こり得ます。

重要なのは、その状態を放置せず、少しずつ共有できる形へ変えていくことではないでしょうか。

私がなぜ、ここまで「仕事の偏りを減らすこと」や「働く時間との向き合い方」にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。よろしければぜひご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message

「社員数は順調に増えているのに、なぜか自分の確認作業ばかりが増えている」
「現場に業務を任せているつもりなのに、細かな相談や報告への対応で1日が終わってしまう」

組織が拡大し、複数の社員を抱える経営者の方から、こうしたお悩みを聞くことがあります。

■ 現場で起きている「確認」のすれ違い

経営者は会社をさらに前進させるため、社員に様々な業務や役割を任せていきます。その際、「ある程度は現場の状況に合わせて、自分で判断して動いてくれるだろう」という期待を持っていることが少なくありません。

しかし実際には、社長の元に「この件はどう進めましょうか?」「この場合はどちらを選びますか?」という確認の連絡が日々集まってきます。

毎日このような確認が続くと、「どうして自分で考えて動いてくれないのか」ともどかしさを感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、現場の社員と対話を重ねていくと、彼らが決して受け身の姿勢になっているわけではないことが分かってきます。

むしろ逆で、真面目で責任感があるからこそ、「自分の勝手な判断で会社に迷惑をかけてはいけない」と考え、

少しでも迷う部分があれば社長に確認をしているケースが多いのです。

社員としては「間違えないようにきちんと確認したい」という誠実な思いがあり、社長としては「もっと現場で判断して進めてほしい」という願いがある。

お互いが会社を良くしようと真剣に取り組んでいるのに、結果として「社長の承認待ち」という状態が生まれ、

社長の忙しさが増してしまっています。

■ なぜ「自分で判断すること」が難しいのか

社員が判断できないのは、能力が足りないからではありません。

多くの場合、「どういう時に例外を認めるのか」という判断基準が共有されていないだけです。

実際の業務でよくあるのが、取引先から「通常の納期より少し早めてもらえないか」というイレギュラーな相談を受けたケースです。

社長であれば、「この顧客とは長年の付き合いがあるし、今後の取引拡大も見込めるから、

今回は特例で受けよう」と即座に判断できます。

しかし、新しく入った社員や現場の担当者には、その結論に至るまでの背景や、顧客との関係性の深さが見えません。

彼らに共有されているのは、「通常の納期は◯日」という基本ルールだけです。

基本ルールから外れる事態が起きた時、それを「特例として通していいのか」「お断りすべきなのか」を決めるための判断基準は、社長の頭の中にしかありません。

「業務の手順」自体は共有されていても、その業務の途中で発生する「判断の基準」が共有されていないため、

社員は行動を止め、答えを持っている社長に聞くしかなくなってしまうのです。

■ 「業務を渡す」から「基準を言葉にする」へ

社員が増えても社長の忙しさが変わらない場合、必要なのは「さらに業務を切り出すこと」ではなく、

「社長の頭の中にある基準を言葉にして渡すこと」です。

これは、「何をするか」という作業内容だけでなく、「どこまでなら自分で決めていいか」という権限の境界線を

整理するということです。

「基本ルール通りなら、私に確認せずに進めていい」
「ただし、納期変更や値引きの相談があった時だけ、事前に相談してほしい」

このように、自分で判断して進めてよい範囲と、社長の確認が必要な範囲を明確に切り分けるだけで、

現場の迷いは減り、社長への確認連絡も大きく減少します。

■ 経営者の頭の中にある「独自の基準」を整理する

ただ、経営者自身が「自分が無意識に行っている判断基準」を言葉にするのは、非常に困難です。

日々の経営判断として自然に行っていることほど、自分自身ではその基準を客観視しにくいからです。

「なぜこの時はOKを出したのか?」と聞かれても、「これまでの経験上、大丈夫だと思ったから」という

感覚的な答えになりがちです。

もし「人に任せているはずなのに、自分の仕事が減らない」と感じた場合は、

一度第三者の視点を入れてみることをおすすめします。

第三者からの客観的な問いかけを挟むことで、経営者の頭の中にある感覚的な基準が整理され、

社員が迷わず動ける「明確な基準」へと変換しやすくなります。

人数が増えた時こそ、ただ業務を渡すのではなく、お互いの認識をすり合わせ、

「判断の基準」を整理するタイミングだと考えています。

私自身も、社員へ任せたつもりだったものの、前提や背景を十分に共有できておらず、

お互いの認識がずれてしまった経験が何度もあります。

説明したつもりでも、実際には「結論」しか伝わっておらず、その背景にある考え方や目的までは共有できていませんでした。

その結果、社員からすれば「なぜそうするのか」が分からず、確認や認識合わせに時間がかかってしまうこともありました。

だからこそ今は、結論だけではなく、「なぜそう考えたのか」「何を大切にしているのか」という判断の背景まで

伝えることを意識しています。

業務を任せること以上に、判断基準を共有することの難しさを日々実感しています。
どんな会社でも、複数人で仕事をしている以上、考え方や感じ方には違いがあります。

だからこそ、「ちゃんと伝えたつもり」だけではなく、日々の対話や言葉選びが大事になるのではないでしょうか。

私がなぜ、ここまで「当たり前の共有」や「働く時間との向き合い方」にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。よろしければぜひご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message

「最近入った社員が、指示したことしかやってくれない」
「昔は少しの指示で、みんなが意図を汲んで動いてくれていたのに」
役割分担が増えてきた会社の経営者や管理職の方から、こうしたお悩みを聞くことがあります。

■ 現場で起きている「常識のズレ」が生むすれ違い

これまで少人数で上手く回っていた会社ほど、新しい人が入ってきた時や外部に業務を委託した時に、既存メンバーとの間で「業務の進め方」に関する違いが起きやすくなります。

例えば、新しい担当者に「A社向けの提案資料を作っておいて」と指示を出したケースです。
担当者は、指示通りに基本フォーマットに沿って資料を完成させました。
しかし、それを見たベテラン社員は「A社向けなら、いつも過去3ヶ月のデータも添えていたよね」と不満を抱きます。

一方で、新しい担当者からすれば「そんな独自のルールがあるなら、最初に言ってほしかった」と戸惑うしかありません。

「これくらいは分かるだろう」という期待と、「聞いていないので基本通りに対応した」という認識。
この小さなズレが積み重なることで、ベテラン層は「最近の人は気が利かない」

「毎回ゼロから教えないといけないから疲れる」と疲弊し、

新しい人は「この会社には見えないルールが多すぎる」とモチベーションを下げてしまうすれ違いが起きています。

■ 「阿吽の呼吸」で上手く回っていた会社ほど起きやすいこと

なぜ、昔は上手くいっていたのに、今はすれ違ってしまうのでしょうか。

創業期や長年同じメンバーで働いてきた組織では、日々同じ空間で同じトラブルを

乗り越え、多くの時間を共有してきました。
そのため、わざわざ言葉にしなくても「A社といえばこの対応」「うちの社長が気にするのはこのポイント」という【暗黙のルール】が自然と共有されています。


いわゆる「阿吽(あうん)の呼吸」です。これは、スピード感を持って事業を進める上では非常に上手く機能します。

しかし、この関係性は「同じ背景を共有している人たち」の間でしか成立しません。

会社が成長し、全く違う環境で育ってきた新しい人が入社したり、業務委託のパートナーが入ったりした時、この阿吽の呼吸は突然「目に見えない壁」へと変わります。
経営層やベテラン社員は、自分たちの頭の中にある「これまでの常識」を、

新しい人も当然持っているものと無意識に錯覚してしまいます。
そのため、ズレが生じた時に「能力が足りない」「気が利かない」と個人の資質の問題にしてしまいがちです。

しかし、本当の原因は個人の能力ではなく、「暗黙のルールが言語化されていない構造」そのものにあります。

■ ガチガチのルール化ではなく、「当たり前」の整理から始める

組織の役割分担が進む中では、これまで「言わなくても分かっていたこと」を、

あえて言葉に落とし込む作業が必要になります。
ただ、ここで「立派なマニュアルを作ろう」「ガチガチの制度を整備しよう」と

身構える必要はありません。
大切なのは、現場の温度感を残したまま、お互いの認識をすり合わせることです。

「新人が悪いのか、ベテランが厳しすぎるのか」と個人の問題にするのではなく、
「そもそも何が当たり前になっているのか」を整理するだけで、現場のすれ違いが大きく減るケースは少なくありません。

ただ、実際には「自分たちの当たり前」を自分たちで洗い出すのは非常に困難です。
当たり前すぎて、何が独自のルールなのか気づけないケースがほとんどだからです。

もし「うちの会社も、見えないルールで回っているかもしれない」と感じた場合は、
一度第三者の視点を入れてみることをおすすめします。
外からの視点を入れることで、「それは御社独自のルールですね」「ここを言葉にしておけば、新しい人も迷いませんね」と、思い込みや見落としに気づき、絡まった頭の中を整理しやすくなります。

「あの人しか分からない」を減らし、新しく入った人でも迷いにくい状態を

作ること。
それが、安定した組織基盤を築く第一歩だと考えています。

当社も、人数は少ないですが、私の思い込みで話しをしてしまったり、
前提共有が不足したまま話を進めてしまった結果、認識のズレが生まれ、

確認や修正が増えてしまうこともあります。

どんな会社でも、複数人で仕事をしている以上、考え方や感じ方には

違いがあります。
だからこそ、「ちゃんと伝えたつもり」だけではなく、日々の対話や

言葉選びが大事になると痛感しています。

私がなぜ、ここまで「現場のすり合わせ」や「働く時間との向き合い方」

にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。

よろしければぜひご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
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AIを導入したのに、なぜか現場だけ忙しくなっていないでしょうか。

「AIツールを全社導入したのに、現場の残業が減らない」
「効率化されたはずなのに、別の確認作業が増えている」

最近、このようなご相談をいただくことがあります。

実際に現場で起きているのは、「AIが使えない」という話ではありません。
多くの場合、AIの出力結果と、現場で長年積み重ねてきた運用ルールが噛み合っていないことで、新たな手作業が発生しています。

■AI導入後、現場で増えていた【新しい仕事】

例えば、定例会議の議事録作成。

AIを使って音声を自動要約し、議事録作成の負担を減らす予定でした。
しかし実際には、「AIが出力する文章」と「社内指定のフォーマット」が合っていませんでした。

その結果、担当者はAIの要約画面を見ながら、手作業でフォーマットへコピー&ペースト。
さらに、過去の議事録と見比べながら、表現や文末、体裁まで修正していました。

「AIで楽になるはずだったのに、なぜ前より確認作業が増えているんだろう」
という戸惑いの声も出ていました。

また、別の事例では、顧客からの問い合わせ対応をAIが一次処理しているにもかかわらず、担当者が改めて管理システムへ手入力を行っていました。

理由はシンプルです。

AIの出力だけでは、「社内ルールに沿った分類」ができなかったからです。

結局、担当者がAIの回答内容を目視で確認し、手動で振り分ける作業が発生していました。

つまり、
「AIが仕事を減らした」のではなく、
「AIと既存業務を繋ぐ新しい仕事」が現場に増えてしまっていたのです。

■なぜ、こうしたことが起きるのか

AI導入後に現場負担が増えてしまうケースには、ある共通点があります。

それは、
「AIを入れること」が目的になってしまっていることです。

現場には、長年の運用の中で作られた細かなルールがあります。
・誰が見ても分かる表現にする
・過去の資料と表記を揃える
・部署ごとの管理ルールに合わせる
・独自の分類方法で整理する

こうした“暗黙のルール”は、長年の運用の中で自然と積み重なっているケースも少なくありません。

しかし、その整理をしないままAIだけを導入すると、現場は「AIの出力を、どう既存ルールに当てはめるか」を考え続けることになります。

結果として、
・転記作業
・目視確認
・修正作業
・整合性チェック

といった新しい業務が発生し、かえって現場の負担が増えてしまいます。

■本当に見直すべきなのは「AI」ではなく「今の業務」

だからこそ、AI導入で本当に大切なのは、「どのツールを使うか」だけではありません。

むしろ重要なのは、
「今の業務フローを、そのまま続ける前提になっていないか」
を見直すことです。

例えば、
「なぜこの運用になったのか」
「どの工程に現場としての配慮があるのか」
「AIを入れても残した方が良い確認作業は何か」

現場の運用には、「過去のトラブルを防ぐため」「認識ズレを減らすため」といった理由が隠れていることも少なくありません。
だからこそ、単純に作業を減らすのではなく、「どの業務に意味があるのか」を現場と一緒に整理していくことが大切です。

・今の運用を変えずにAIだけを入れるのか。
・AI導入をきっかけに、現場と共に業務そのものを見直すのか。

この違いが、
「AI導入で業務効率が上がる会社」と
「新たな手作業が増える会社」
を分けているのだと思います。

ただ実際には、
「どこまで整理すればいいのか分からない」
「長年の運用なので、何が不要なのか判断できない」
「現場だけでは暗黙ルールに気づけない」
というケースも少なくありません。

だからこそ、第三者の視点を入れることで、“当たり前になっている非効率”に気づけることがあります。

私自身、単にツールを導入することよりも、「現場で本当に回る形」に整えることを大切にしています。

AIで効率化できるかどうかは、ツールの性能ではなく、
「導入前にどこまで既存業務と向き合えたか」
で決まるのではないでしょうか。

私がなぜ、ここまで「業務の進め方」や「働く時間との向き合い方」にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。よろしければぜひご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message