「残業を減らす」というのは会社側にとってはとても耳心地の良い言葉です。また、一般的にも「残業」が多い会社よりも少ない会社の方が良い会社であると思われています。

ただ、実際に仕事をしている人や会社にとって、「残業を減らす」というのは本当の意味で良いことなのでしょうか。

私はサラリーマン時代に最大で月に160時間の残業をしていました。他の会社を含めても残業が全くないということはなく、平均して40~50時間は残業をしていたと思います。
残業を多くしていたことを自慢するわけではなく、残業しない方が良いと当時から思っていましたが、業務量が多かったため残業を減らすことが出来ませんでした。

当時、会社側から「残業が多い人TOP10」が毎月発表され、私にも上司や部下がサポートにつくなどの対策が取られました。それでも、残業時間は一向に減りませんでした。

なぜなら、根本的な問題が「個人の業務の進め方」ではなく、「一人で抱えきれない業務量」にあったからです。

残業が多かった人たちは皆、日々の通常業務に加えて、会社が新しく始める「前例のない新規業務」を追加で任されていました。誰もやったことがない業務のフローをゼロから構築し、なおかつ納期にも間に合わせなければならない。これでは、残業が減るはずがありませんでした。

私がベンチャー企業出身だからかと思いますが、この傾向はベンチャー企業に多く見られると思います。
当時は、「はい・イエス・承知しました」という返答以外はなく、「できません。やれません。」とは言えない感じでした。

その為、残業を減らせと言われても残業が減らず、当時は深夜残業が発生する22時で打刻をしてそこから2時間程度業務を行い、終電で帰宅するとか、土日に自主出勤と称して出社し、打刻せずに業務をしていました。

つまり、根本的な業務の見直しを全体的に行わない限り、平日に残業を減らしても業務が無くなる訳ではないため、そのしわ寄せは自宅に持ち帰って行ったり、土日で仕事をしたりと見えない残業が増えるだけになってしまいます。

では、どの様な対応を取っていくのが良いのでしょうか。
これが正解というものはありません。
会社の状況によってケースバイケースになってしまうため、効果のあった以下3つの方法をお伝えしたいと思います。

①残業が多い人との対話を持つ機会を作る
残業が多い人にとって、目の前の業務を処理することが優先となり、先を見通した業務の進め方が出来なくなっている場合が多いです。
そこで、一度立ち止まって自己分析をする時間を強制的に作るようにし、定期的に伴走して業務管理を行う時間を設けます。

もちろん、残業の多い方の中には、「自己分析は出来ている」「先を見通した業務の進め方もしている」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
その様な方達には、次の方法を伝えてください。

②属人的な業務をしていないか?標準化された業務はどの程度あるのかを確認する

私もそうでしたが、他の人に頼るのがとても苦手でした。そのため、自分一人で業務をする傾向があり、結果として属人的な業務が多くなってしまっていました。

そこで、第三者が客観的に見ながら担当者に質問をし、業務の整理をするだけでなく、標準化出来る様に壁打ちをしながら一緒に業務に入ることで、担当者から少しずつ業務が離れ、残業が減る傾向にあります。

では、「業務に追われていない」「属人的な業務を行っていない」という状況でも、残業が多い人に対しては、次の方法を検討してみてください。

③担当者の方に対して、「あなたの仕事は何ですか?また、何のために仕事をしていますか?」と対話をする


この方法だけ聞くと、何のことやら分からないと思います。
この質問の意図としては、業務にも追われていない・属人的な業務もしていないのに、残業が多いということは、会社でのご自身の立ち位置や目的が会社の方向性とズレてしまっている可能性が高いです。

つまり、これだけ残業して会社に貢献している自分を評価して貰いたいという可能性があるのではないかと思っています。
もちろん、反対意見もあるでしょう。

そこで、「1on1」等で上司から対話を行うことで、「やり方」の問題ではなく「在り方」の問題ということを本人に気付いて貰う事が効果的な方法に繋がります。

この3つの方法で、多少なりとも残業が減るようになれば、「余裕(余白)」を持った業務の進め方が出来るかと思っています。

この余白は、決してサボるための時間ではありません。これまで目の前の業務しか見えていなかった人が、ふと顔を上げて「この作業、もっと楽にできないかな」と考えたり、隣の部署の人に「そっちの状況はどう?」と声をかけたりするための、大切な「息継ぎ」の時間です。

ギリギリの状態で走り続けることは、結局のところ誰のためにもなりません。
ほんの少し立ち止まり、周りを見渡す「余白」を持つこと。その小さな余裕の積み重ねが、結果として一人ひとりの前向きな変化を引き出し、無理のない会社の成長へと繋がっていくのだと私は思っています。

私がなぜ、ここまで「変化」や「残業時間への向き合い方」にこだわるのか。その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。よろしければぜひご覧ください。

【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
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