AIを導入したのに、なぜか現場だけ忙しくなっていないでしょうか。
「AIツールを全社導入したのに、現場の残業が減らない」
「効率化されたはずなのに、別の確認作業が増えている」
最近、このようなご相談をいただくことがあります。
実際に現場で起きているのは、「AIが使えない」という話ではありません。
多くの場合、AIの出力結果と、現場で長年積み重ねてきた運用ルールが噛み合っていないことで、新たな手作業が発生しています。
■AI導入後、現場で増えていた【新しい仕事】
例えば、定例会議の議事録作成。
AIを使って音声を自動要約し、議事録作成の負担を減らす予定でした。
しかし実際には、「AIが出力する文章」と「社内指定のフォーマット」が合っていませんでした。
その結果、担当者はAIの要約画面を見ながら、手作業でフォーマットへコピー&ペースト。
さらに、過去の議事録と見比べながら、表現や文末、体裁まで修正していました。
「AIで楽になるはずだったのに、なぜ前より確認作業が増えているんだろう」
という戸惑いの声も出ていました。
また、別の事例では、顧客からの問い合わせ対応をAIが一次処理しているにもかかわらず、担当者が改めて管理システムへ手入力を行っていました。
理由はシンプルです。
AIの出力だけでは、「社内ルールに沿った分類」ができなかったからです。
結局、担当者がAIの回答内容を目視で確認し、手動で振り分ける作業が発生していました。
つまり、
「AIが仕事を減らした」のではなく、
「AIと既存業務を繋ぐ新しい仕事」が現場に増えてしまっていたのです。
■なぜ、こうしたことが起きるのか
AI導入後に現場負担が増えてしまうケースには、ある共通点があります。
それは、
「AIを入れること」が目的になってしまっていることです。
現場には、長年の運用の中で作られた細かなルールがあります。
・誰が見ても分かる表現にする
・過去の資料と表記を揃える
・部署ごとの管理ルールに合わせる
・独自の分類方法で整理する
こうした“暗黙のルール”は、長年の運用の中で自然と積み重なっているケースも少なくありません。
しかし、その整理をしないままAIだけを導入すると、現場は「AIの出力を、どう既存ルールに当てはめるか」を考え続けることになります。
結果として、
・転記作業
・目視確認
・修正作業
・整合性チェック
といった新しい業務が発生し、かえって現場の負担が増えてしまいます。
■本当に見直すべきなのは「AI」ではなく「今の業務」
だからこそ、AI導入で本当に大切なのは、「どのツールを使うか」だけではありません。
むしろ重要なのは、
「今の業務フローを、そのまま続ける前提になっていないか」
を見直すことです。
例えば、
「なぜこの運用になったのか」
「どの工程に現場としての配慮があるのか」
「AIを入れても残した方が良い確認作業は何か」
現場の運用には、「過去のトラブルを防ぐため」「認識ズレを減らすため」といった理由が隠れていることも少なくありません。
だからこそ、単純に作業を減らすのではなく、「どの業務に意味があるのか」を現場と一緒に整理していくことが大切です。
・今の運用を変えずにAIだけを入れるのか。
・AI導入をきっかけに、現場と共に業務そのものを見直すのか。
この違いが、
「AI導入で業務効率が上がる会社」と
「新たな手作業が増える会社」
を分けているのだと思います。
ただ実際には、
「どこまで整理すればいいのか分からない」
「長年の運用なので、何が不要なのか判断できない」
「現場だけでは暗黙ルールに気づけない」
というケースも少なくありません。
だからこそ、第三者の視点を入れることで、“当たり前になっている非効率”に気づけることがあります。
私自身、単にツールを導入することよりも、「現場で本当に回る形」に整えることを大切にしています。
AIで効率化できるかどうかは、ツールの性能ではなく、
「導入前にどこまで既存業務と向き合えたか」
で決まるのではないでしょうか。
私がなぜ、ここまで「業務の進め方」や「働く時間との向き合い方」にこだわるのか。
その背景にある想いや仕事への向き合い方を、以下のページにまとめています。よろしければぜひご覧ください。
【代表 青木優介の取扱説明書(プライベート)】
https://www.pro-tean.com/message