当ブログでよく採り上げている
タイの代表的英字紙「バンコクポスト」の
アジア経済特集版「アジア・フォーカス」。
その2面にタイの地場銀行カシコン銀行が提供する
経済・社会の統計データ「In Numbers」。
先週分でひときわ大きなサイズで目立っていた「450」。
この数字、何かというと、
タイ人のTOEFL(Test of English as a Foreign Language)、
いわゆるトーフルの平均点。
また、それが東南アジアでの最低点とも説明。
さらには、タイ周辺国のラオス、カンボジア、ミャンマーの
平均点が500点周辺であることも補足されていた。
世界の国々の英語力を比較するうえで、
よく利用されるのが、TOEFLやTOEIC。
何年か前ではあったが、
日本はアジアで北朝鮮と並んで
最下位グループに位置しているなど、
何かの記事で読んだこともある。
ただ、この種の国際比較を公正に行うには、
各国で実際に受験している人数なども考慮に入れる必要がある。
以前、TOEIC関係者から聴いたが、
TOEICについては、日本は世界で最も多く受験しているようである。
それはそうだと思う。
私も新卒で入社したトーメン(現:ト豊田通商)では、
内定を受けた大學4年生の、当時でいえば解禁日に、
内定者全員が集められて、人生で初めてのTOEICを受験した。
当時は今ほど社会的に英語を求めれていなかったが、
それでも商社をはじめ、多くの企業では、
TOEICなどを社員に受験させていた。
社内の公用語が英語となる企業も出現している昨今、
以前にも増して受験者数は増えているのではないだろうか。
他方、タイの比較対象として挙げられた
周辺国のラオス、カンボジア、ミャンマー。
それぞれの国でその受験料がいくらなのかにもよるが、
英語をそれほど必要としない方々が、
そのような英語の試験を受験しているとは思えない。
つまり、欧米の大学受験などを筆頭に、
何か特定の目的でをもって受験している受験者が、
少なくとも日本と比べて多いのは明らかであろう。
その意味では、タイでは、この十数年、
外資系企業がタイでの投資を増やすなか、
英語を苦手としているタイ人も、
大學で、あるいは、企業に勤めながらも、
場合によっては会社負担で、
受験している人が増えているように思う。
日本もそうであるが、やはり受験者数が増えると、
平均点は下降基調となるはずであり、
平均点450点であるタイ人の英語力が、
同500点周辺であるラオス、カンボジア、ミャンマーのそれよりも
低いと断定することはできないのではないだろうか。
実際タイで、もちろんバンコクの企業で働くタイ人ではあるが、
読み書きは別として、タイ人の英語力はそれほど低いようには思えない。
一人あたりのGDPがタイよりもはるかに低い
カンボジア、ラオス、ミャンマーで、
十分な教育を受けられている生徒、学生はどれほどいるだろう。
比率でいえば、タイのそれよりも明らかに低いのではないか?
平均点などで国際比較する場合、そのサンプルの質や、
母集団の大きさも考慮に入れないとミスリードにつながる可能性もある。
ただ、私が考えている以上に、
タイ周辺3ヶ国もグローバル化している可能性も否定できない。
日本人のTOEFL平均点を知らないが、
ただ、実際に受験したカンボジア、ラオス、ミャンマー人の平均点が
500点前後であったことは事実であり、
我々日本人も、より啓発的な姿勢でそれを受けとめる必要があるとは思う。