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企業向けにクオリティの高いビデオコンテンツを生みだすサイト「Poptent」

企業の広報活動で人々にストーリーを伝える手段の一つとしてビデオコンテンツの重要性が言われています。先日もNews2uが主催した「ネットPR Day2012」でEdelman DigitalのKevin Kingが言っていましたが、「ウェブ上のコンテンツの51%が動画であるにもかかわらず、企業の情報発信はテキストのコンテンツばかり」というのが現状のようです。

とはいっても、企業がクオリティの高いビデオコンテンツを作りだすことは、時間やコスト、ブランドイメージなどを考えると非常にハードルが高いと思います。そんな課題を解決すべく、ビデオクリエイターが集まるコミュニティーを構築し、企業向けにクオリティの高いビデオコンテンツを従来のやり方よりも低コストで制作することができるPoptentというサイトがアメリカで注目を集めています。この記事でも詳しく紹介されていますが、数多くの有名企業が、ストーリーを伝えるビデオコンテンツを制作するためにこのサイトを活用しているそうです。

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このサイトが非常にユニークな点は、企業が制作したいビデオコンテンツのお題をPoptentのサイト上に出し、そのお題にそったビデオコンテンツをクリエイター集団が制作してサイト上にアップロードし、企業側はそれらの応募作品の中から最もクオリティの高いビデオを選択して報酬をお支払するという仕組みです。報酬はサイトを見る限り、US$7,500が多いので、日本円にして約60万円ぐらい。その他に管理費として、Poptentが企業側にUS$40,000(約300万円)を請求するそうですが、従来のやり方と比べると10分の1ぐらいの低コストで制作できるとのことです。

記事によると、企業側は、制作したいビデオコンテンツの中で伝えたい方向性をまとめた書面のクリエイティブブリーフ、メッセージング、ロゴなどの素材などをクリエイターに提供し、後は作品がウェブにアップされるのを待つだけで、従来のやり方と比べると効率よく進めることができ、より多くの選択肢の中から良い作品を選択することができるとのことです。

実際、サイト上で応募を締め切った企画で集まった作品を拝見すると、素晴らしい作品がアップされていて、選ぶほうも楽しいだろうなと思いました。見るだけでストーリーを伝えるための構成なども勉強できます。最近締め切った企画で紹介されていたColgateの作品集なんかは感情に訴える作品が多く、見てて感動しました。

ここまでクオリティの高いクリエイターを集めるのは大変だとは思いますが、日本でもこのようなサービスが始まって欲しいです。

今後の広報活動の課題は共有されやすいコンテンツの生成と増幅

今後の広報活動において最も大事なことは、人々にシェアされやすいコンテンツを作りだすことです。ここでいうコンテンツとはメッセージを伝えたい人々に何らかのアクションを起こさせるストーリーのあるコンテンツであり、テキストだけでなく、グラフィック、ビデオなどの映像も含みます。

そのためには、どんなコンテンツがシェアされやすく、あるコンテンツをエンドユーザーに伝えるのにどのプラットフォームが適しているのか、どんな手段を使えばコンテンツが広まるのかという視点が大事になってきています。

EdelmanのCEOであるRichard Edelmanがつい最近スタンフォード大学で行われたAcademic Summitで行ったスピーチの中で、最近の米国のメディア業界におけるコンテンツを中心とした変化について大きく5点に渡って紹介しています。

まず1つ目は、以前もこのブログで紹介したことがあるBuzzFeedのような人々が共有しやすいコンテンツを独自の知見とテクノロジーによって創り出すメディアサイトの台頭です。大手の主要メディアもこの方向に向かいつつあるそうです。

2つ目は、コンテンツを広める手段としてのペイド広告の活用です。例えば、Facebookのスポンサー広告を活用して、コンテンツを広めていくことが今後大切になるだろうとのことです。特に多くの人が使っているモバイル端末上では、従来のディスプレイ広告では有効に機能しないので、Facebookのスポンサー広告のように有機的に拡がっていくソーシャル広告を使うほうが有効だろうとのことです。

3つ目は、サーチエンジンがコンテンツを評価するアルゴリズムとして、ソーシャルネットワーク上でのデータをシグナルとして活用しているということです。つまり、ソーシャルネットワーク上で多く共有されているコンテンツほどサーチエンジンの検索結果の上位に表示されるということです。

4つ目は、「サーキュレーション(購読者数)」ではなく「アンプリフィケイション(増幅)」です。これまでは、PR活動においてメディア媒体のサーキュレーション(購読者数)が重視されていたわけですが、今後は、コンテンツの増幅を意味する「アンプリフィケイション」が大切になるだろうとのことです。メッセージを伝えたい人々に実際にどれだけ伝わったかという指標です。

5つ目は、ビジュアルコンテンツの活用です。コンテンツの内容によってはテキストよりも映像や画像のほうが伝わるので、ビジュアルストーリーテリングをより身近にできるようにしていく必要があります。

こうしたトレンドを踏まえると、今後のPR活動は、データなどを用いて人々に共有されやすいコンテンツを企画し、テキストだけでなく、映像やインフォグラフィックスなどのビジュアル素材を使って、PC、スマートフォン、タブレットなど様々なデバイスに最適化した共有されやすいコンテンツを作っていくことが課題になっていきそうです。




広報と広告について改めて考える

広報に携わる人は、「広告」と聞くと、雑誌や新聞でのイメージ広告や記事広告、オンライン上でのバナー広告、電車や駅構内などの交通広告など、企業がお金を払って主観的に伝えたいメッセージやブランドイメージを伝える媒体として認識している人が多いと思います。そして、「広報」は記者を始めとする第三者から見た客観的な企業の評価や信頼性を高める活動であるのに対し、「広告」はメディアの有料スペースを購入して企業の主観的なメッセージをいつでも伝えることができる活動として、広報と広告を完全に立て分けるのがこれまでの一般的な考え方だと思います。しかし、最近この考え方を改めなくてはいけなくなりつつあると考えています。

たくさんの情報が溢れている中で人々のアテンションを得るには、客観的であれ、主観的であれ、情報を受け取る側の関心をひくコンテンツの中身が重要であることを考えれば、従来のメディアリレーションによって獲得したメディアでの掲載記事であれ、企業側が有料で作成した広告であれ、そんなに違いがないように思います。また、中立性があると言われているメディアの掲載記事も、企業が渡航費や宿泊費を払って記者を海外の自社イベントに招致して、記事を書いてもらったりしているケースもあれば、メディアの記者との関係性が深い広報代理店と契約して、結果的に記事掲載を得ていることを考えれば、必ずしも中立性があるとは言えないと思います。

つまり、従来のような広報と広告という立て分け方ではなく、両方をうまく使い分けて、伝えたいメッセージとコンテンツの内容によって、どちらを使うかという判断が重要になるのだと思います。ただ、広告と言っても従来のような見たくもないのに突然目の前に割り込んでくるインタラプション広告や、雑誌・新聞のイメージ広告は基本的にスル-しているので、個人的に使いたくありませんが、ソーシャルネットワーク上で波及力の高いメディアの記事広告やFacebook広告、Twitter広告はコンテンツと組み合わせて戦略的に使っていきたいと思います。先日、GMがFacebookの有料広告に効果がないとアナウンスして話題になっていましたが、それに対してフォード社がコメントしたように、「Facebook広告が効果を発揮するのは、魅力的なコンテンツや技術革新と組み合せられた時」なのだと思います。

また、Jeremiah Owyangによると、「あらゆるブランドがソーシャルネットワークを使って最新の製品をプロモートしているので、ソーシャルネットワークのスペースが飽和状態にあり、その結果、ソーシャルネットワークはコンテンツを可視化させる広告によって今後マネタイズができるだろう」と言われています。そして、ペイド、オウンド、ア-ンドのチャンネルが融合していること、また目立ちたければ、広告でコンテンツを増強していく必要があることを述べています。

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こうしたトレンドを考慮すると、従来のように広報と広告を立て分けるのではなく、両方を融合させた考え方が必要になってきていると思います。