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「外国特派員から見た日本のメディア」ブロガーミーティングに参加して思ったこと

BLOGOS×日本財団主催のブロガーミーティング「外国特派員から見た日本のメディア」に参加しました。ニューヨークタイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーさんとAP通信特派員の影山優理さんが講師となり、海外メディアの記者の目から見た日本の報道機関、報道の違いなど大変興味深い話をしてくれました。

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マーティン・ファクラーさんは、これまでの経験を通じて日本のメディアは、いまだにお上が言ったことを下に伝える体制が残っていると言われていました。日本のメディアは基本的に政府が発表するものをそのまま伝える「発表ジャーナリズム」が多く、本当にそうなのか疑問を抱き、現場がどうなっているのかという深い分析に基づいた報道が少ないと述べていました。特にそれが顕著になったのは、3.11であり、メディアからの報道内容と現実で見たことが乖離していることに市民が気づき、日本のメディアに大きな変化が必要であることを気づかせる転換点となったと述べていました。

日本とアメリカの報道の違いについても興味深い話がありました。影山優理氏が語っていましたが、AP通信などの海外メディアの記者が書く記事は、誰がその記事を書いたのか必ず記者名を明示する署名記事であり、個人が説明責任をもって記事を書くことが基本になっているが、日本では記者名が明示されていない記事が多く、誰が書いたのか分かりにくい、つまり責任の所在が分かりにくいと述べていました。

日本とアメリカの政治報道の違いについても述べていましたが、マーティン・ファクラーさんは、特に日本の新聞では、政治家個人の動きに関する記事ばかりで、どの政党が日本をどのように変えるのかいった深い分析がなく、表面的な内容ばかりで、「木を見て森を見ていない」内容の記事が多いと言われていました。

また、基本的に日本のメディアでは何が起きたのかという何らかの出来事を伝える記事が多く、しっかりとした調査に基づいた調査報道が少ないとも言われていました。日本で評価されるのは特ダネであり、いかに他のメディアより早く報道するかという「くだらない競争」に明け暮れていると言われていました。

さらに「アクセスジャーナリズム」といって、権力側から情報を引き出すために、権力側に近づいたり、情報をくれる当局などを批判しなくなるようになる動きが、日本だけでなく世界でもあることを紹介したうえで、特に日本のメディアは権力側にすり寄る傾向があり、権力から距離感をもって、庶民側に立った権力を監視していく意識が薄いのではないかと述べていました。そして、こうした傾向性を助長させる記者クラブの存在を問題視していました。

今回お話を聞いて、非常に共感できる部分があったので、会場で売られていたマーティン・ファクラーさんが書いた著書『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』という本を買ってみました。内容がおもしろいので一気に読んでしまいました。本の最後の章に「新聞の変革に日本の民主主義が隠されている」という章がありました。その中で、戦後、日本人自身が自分たちの力で民主主義を獲得したわけではないので、自分達の力で民主主義を守ろうという意識が低く、「国やお上に任せていれば、平和な世のなかが築かれる」という意識が日本を形作ってきたのではないかとありました。そういえば、日本で水戸黄門が人気を得たのは、困ったときにお上がやってきて悪い人を成敗してくれるという日本人のメンタリティにあっているからという話を聞いたことがあることを思い出しました。こうしたメンタリティを脱却していくには、メディアだけにまかせるのではなく私達1人1人が能動的に権力を監視して、自ら民主主義を勝ちとっていく意識を持つようにならなければいけないことを実感しました。


広報で大切なストーリーとは何かについて考えてみる

日々の広報業務を行うなかで、最近特に大事だと感じるスキルの一つが、ストーリーを生み出す力です。ストーリーの大切さについては、これまで何度かこのブログでも取り上げてきましたように、たくさんの情報が溢れる中で、人々の関心を惹いて説得させるにはストーリーの要素がないと非常に難しいと思います。

以前読んだ「全脳思考」という本の中で、「知識社会において、成長企業がトップシークレットにすべきものがあるとすれば、そのひとつは物語(ストーリー)のパターンだろう。なぜならば、顧客は、自分の内面に流れる物語と企業が描く物語が共鳴したときに、企業の物語の中へ引き込まれていくからである。」、「企業の物語に引き込まれた者は、あなたの商品を消費するだけではなく、あなたの商品の伝道師になっていく」と、ストーリーの大切さについて述べています。

つい先日も起業家、メディア専門家であるヴィクター・ダラン(Victor D’allant)氏のミートアップに参加したときにも、ヴィクター・ダラン氏が強調していたのはストーリーの大切さでした。「情報」は単なる事実を伝えるだけですが、「ストーリー」は人々の感情に訴えかけ行動を起こさせると言われていました。

このようにストーリーの大切さは分かるのですが、では具体的にストーリーって何?と言われると、それを定義することが非常に難しいです。ヴィクター・ダラン氏のお話や、その他ストーリーの専門家の話を聞く限り、ストーリーは単なる事実の羅列ではなく、人間の感情や喜怒哀楽と深く関連しているように思えます。人間も会社も順調な時もあれば、試練の時もあると思いますし、得意なことや苦手なこともあると思います。そういった真実の姿を事実を踏まえながら自分なりの解釈で嘘偽りなくさらけだすことがストーリーになるのかなと思います。

ストーリーの専門家であるロバート・マッキー(Robert McKee)は、以下のビデオの中で、ビジネスのあらゆる局面で私達が行っていることは、上司の説得であったり、お客様が製品を買ってくれるような説得であったり、「人々を説得する」ことが主要な仕事であるとして、3つの説得方法を述べています。その3つの中で最も効果的な説得方法として、ストーリーによる説得を述べています。その理由として、ストーリーは、単なるポジティブな話だけではなく、挫折や障害などのネガティブな話などもさらけだすため、聞いている方は、この人もしくは会社は嘘をついていないと考え、結果として信頼してくれるようになると述べています。



ストーリーについてはもっともっと研究していきたいと思います。


人々がニュースに接するメディア媒体の変化に応じたPR活動の必要性

つい先日、紙媒体の形で80年間出版を続けてきた米国のNewsweek誌が紙媒体の発刊を年内にやめて、来年からは全て電子版に切り替えることが発表されました。これに象徴されるように、ますます人々が情報に接する時に使うメディア媒体の主流が、紙媒体からオンラインやデジタルメディアに移行しつつあるようです。

過去約20年間に渡ってニュースが人々の間でどのように消費されているのか調査し続けているピューリサーチセンター(Pew Research Center)の最近の調査によると、米国内では明らかにオンライン上でニュースに接する人々の割合が増えていて、ソーシャルネットワークサイトを通じてニュースに接する人の割合が2010年と比較して2012年は2倍に増えているそうです。それに対して、下の表を見れば分かるように、紙媒体の新聞を読む人の割合が2002年に41%だったのに対し、2012年には23%にまで減少しています。また、紙媒体の雑誌を読む人の割合は、2002年に23%だったのが2012年に17%に減少しています。

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これはアメリカ国内での調査結果ですが、この傾向は近いうちに日本でも顕著になっていくように思えます。実際、電車に乗っている時や、待合室などにいる時に周りを見回すと、スマートフォンやタブレットに目を落としている人がかなり増えたと思います。それに対して、電車の中で新聞や雑誌を読んでいる人がかなり減ったように思えます。

人々に情報を届ける役割を担う企業の広報担当者として、こうした状況がどのようなことを意味しているのか、より深く考えていかなければならないと思います。人々の最近の行動様式に合わせて情報を届ける手段を変化させていかなければ、なかなか情報を届けることができなくなるのは当然の結果のように思えます。

これまでと違うやり方に挑戦していくのは勇気がいることですが、最近の人々の行動様式を研究し、時代にあった広報を実践していくことが求められています。