★1956~1957年 増田屋/イチコー リンカーン恐竜 ~ ブリキ自動車コレクションから222 | ポルシェ356Aカレラ

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★カワイモデル「サウスショアーライン85tBB凸形電機」実物画像の件
5月5日にアップしました「カワイモデル閉店~後日談の記事」でサウスショアーライン85tBB凸形電機の実物の画像が見つからないことを記しましたが、その後、色々調べて見ると、TMS2009年12月号掲載の中西進一郎氏/西 裕之氏/関田克孝氏による「広告に見る戦後日本 鉄道模型 製品の歴史〈連載第27回〉」の記事中にカツミのOゲージ版サウスショアーラインBB凸型電機が採り上げられ(カツミもカワイも期せずして同形機をモデル化した理由は不明)、同記事中に実車について、「South Shore & South Bend Railroad 1929年~1930年GE製85tBB電気機関車1011~1013の3両でボールドウィンの図面を元に製作されれた電機で、米書の中には製造所を「Boldwin-GE」と記載しているものもあるが、形態上のGEらしさは、側面中央にある唯一の十字窓とキャブ前面の窓の数にようやく見いだせる。」との記載があり、ここに記載されている語句をKey-WordにググってみたところWeb上で以下2つの画像がヒットしました。

このカラー画像には撮影1965年と記載があることから、製造から35年程度経った時点の姿のようです。


こちらの白黒画像は撮影時期不明。カワイモデル製品と同様にボンネット上にベルが付いていることが確認できます。上のカラーもこの白黒も重連運転をしているのは余程重いモノを牽引する運用だったのでしょうか。


実車のようにカワイモデル製BB凸形電機での重連運転。1965年時点での実車はオレンジ色のため、カワイモデル製の赤屋根に深緑の何とも洒落たカラーリングはカワイオリジナルだったのでしょうか。




 


パンタ側ボンネット上にはベルが付いています。






★閑話休題
今回も国産旧車ファンの方には「何じゃらホイ」(笑)的な記事となりますが、ブリキ自動車コレクションからシリーズ第222回記事として、1956~1957年の増田屋/イチコー製のリンカーンをご紹介します☆☆☆



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★リンカーン (LINCOLN)
リンカーンの歴史は1917年(大正6年)に遡り、既に100年を超える時を超えて現在も製造/販売されている米フォードの高級車です。残念ながらフォードモーターの日本に於ける事業撤退により正規輸入は途絶えているものの、キャデラックと共にリンカーンはアメリカを代表する高級車として長い歴史を持ち、その歴史の中で数々の名車も生まれています。
今回は1956年(昭和31年)~1957年(昭和32年)の増田屋/イチコー製のリンカーンをご紹介します。


●五十嵐平達氏が撮影されたリアルタイムの1956~1957年リンカーン
何れも二玄社1971年12月24日発行 五十嵐平達 編著 世界の自動車 第47巻「リンカーン」より転載。

(1)1956年リンカーン プレミア 4ドアセダン スウェーデン大使公用車
左に初代クラウンRSが写り込んでいますが撮影場所は不詳。



(2)1957年リンカーン プレミア ランドー4ドアHT
五十嵐氏によるキャプション:銀座裏通りの小さな料亭前で主人の戻りを待つ黒塗りのリンカーンはいかにも日本的で時間を持て余した運転手により車体はピカピカに磨き込まれていた。



(3)1957年リンカーン プレミア クーペ 2ドアHT
大森山王下にて。右上に観音クラウンRSのタクシー、前方の小型4輪は初代トヨエースでしょうか。五十嵐氏のキャプションには次のような記載があります。「都内でもリンカーンの2ドア クーペは珍しくオーナーは米軍人でボディカラーはピンクであるのにも驚いたが、当時の新聞が『近頃の米車は尖ったものが出っ張っていて危険極まりない』と真面目に怒っていたことを思い出させる写真。」



●1956年 リンカーン4ドアセダン 写真
ニュー・エンパイア・モータース輸入した国内登録車の珍しい写真(モーターファン「自動車図鑑1956年版」より)。黒塗りの4ドアセダンで地域名なしの都内登録の3ナンバーが付いています。




★1956年型 リンカーン
戦後3度目のフルモデルチェンジで1955年(昭和30年)に公開されたショーカー「リンカーン・フューチュラ」をアイドルとする未来的とも言えるスタイリングデザインに生まれ変わっています。1956年型のスタイリング上のトピックはリアホイールにスパッツを付けていることで、このスパッツにより一目で1956年と識別出来ます。シリーズはカプリと新設された上位グレードのプレミアの2つ、ボディは4ドアセダン、2ドアHT、2ドアコンパーチブルの3種が造られています。エンジンは6リッター(368 cu in)V8の285馬力でこの年、軒並み300馬力以上が用意されたGMやクライスラーの上位車種の出力には及びませんでした。ボディカラーは明るい色が多くなり、ルーフを白系とした洒落たツートンカラーがイメージカラーとなっています。また、1956年型ではリンカーンを含むフォード系各車が一斉に電装系を12Vとしたほか、室内の衝撃吸収パッドやすり鉢型ステアリングなど安全装備が強化されたことがトピックと言えます。ライバル・キャデラックとは異なる都会的なセンスを持ったリンカーン1956年型は4万7670台(月販4000台前後)が売れ、アメリカ車中のシェア0.84%を得てリンカーン史上最良の年とも言われます。しかし、それでも当時年産10万台と言われたキャデラックの半分にも届かなかったのです。

●1956年リンカーン実車 本カタログより抜粋 (縦205×横450㎜・20頁)

プレミア クーペ 2ドアHT 青ボディ


プレミア クーペ 2ドアHT 緑ボディ


プレミア2ドア コンバーチブル 白ボデイ


カプリ4ドアセダン 白/ライトブルー


洒落たダッシュボード。スピードメーターは130マイル(208㎞)までの表示。




★1957年型 リンカーン
この年はマイナーチェンジながら、1955年5月にフォード社初のスタイリング担当副社長に就任したジョージ・ウォーカーの影響で大胆な縦デュアルヘッドライトと尖ったテールフィンを持つ派手なスタイリングデザインに変更され、前後の印象は大きく変わり、サイドビューからも1956年型のリアホイールを覆っていたスパッツが消えています。
ボディは新たに4ドアHT「Landau」が追加されて計4種となり、他車に対抗しエンジンは圧縮比を10:1まで高め遂に300馬力を超えています。派手に装いを変えた1957年型リンカーンでしたが、生産数は前年より約1万台少ない37426台に止まり、米車中のシェアは0.61%に落ちています。一つにはアメ車の過剰な馬力競争の中にあって公表馬力が控え目だったリンカーンは、リンカーンの車両重量との良好なバランスなど馬力の本当の意味を理解していないユーザー(カタログ上の馬力が大きいことのみを重視するユーザー)には受け入れられなかったためと言われます。


●1957年リンカーン実車 簡易カタログより抜粋 (縦305×横355㎜・12頁)


プレミア ランドー 4ドアHT。1957年式で新たに加わった4ドアHT。ちなみに日本車の4ドアHTは時系列的には15年も後の1972年230セドグロまで待たなければなりません。




プレミア クーペ2ドアHT


プレミア コンバーチブル


プレミア 4ドアセダン




【1957年リンカーン プレミア ランドウ4ドアHT 実車主要スペック】  (1957 LINCOLN PREMIERE LANDAU 4-DOOR HARDTOP Specifications)
全長5705mm・全幅2040mm・車高1529mm・ホイールベース3200mm・車両重量1940kg・FR・水冷V型8気筒OHV6040cc・最高出力300ps/3000rpm・最大トルク55kgm/2800rpm・変速機3速コラムAT・乗車定員6名・最高速180km/h・日本国内輸入代理店:ニュー・エンパイア・モータース



●東京玩具商報1958年11月号 関東トイズ 広告(国立国会図書館の蔵書より複写)
手許にある32㎝サイズの1957年リンカーン4ドアの箱には増田屋やイチコーの商標が印字されていますが、同一金型と思われるこの広告には4ドアセダン以外にコンバーチブルも掲載され何故か関東トイズが広告主となっています。野村トーイのホンダT360がアサヒ玩具の広告に掲載されているなど、製造メーカーは1つでも販売会社は複数存在した製品は多数あるため、イチコーが製造した1957年リンカーンの販売会社は少なくとも増田屋と関東トイズの2社が存在したということでしょうか。この広告に掲載されている1957年リンカーン2種も全長27㎝の出来の良い1956年オールズモビルと全長22㎝の小ぶりの1958年オールズモビル2ドアHTも全て製造メーカーはイチコーです。


1957年リンカーン4ドアセダンは「No.12 リンカン(ラッパ入り)」都内550円・地方600円と記載されています。同時期に販売されていた萬代屋の初代スカイラインは地方220円だったことから、このリンカーンはサイズが大きいこともあり、当時としてはかなり高価な玩具だったことが判ります。


女性フィギュア付1957年リンカーン コンバーチブルは「No.60 カール人形運転自動車」 都内500円50円・地方550円と記載されています。ルーフがない代わりにフィギュアが乗車しているにも関わらず上掲のセダンより50円安価な価格設定となっています。




●増田屋/イチコー 1/30程度 1956年リンカーン プレミア クーペ 2ドアHT
箱に増田屋とイチコーの2社の商標がプリントされたブリキ。箱はないよりはマシ程度の劣化がかなり進んだ状態ながら絵柄は何とか楽しめます。この個体は室内パーツもなしですが、室内シート付やライト点灯バージョン等のバリエーションあります。全長約185㎜(実車比1/30.5程度)・全幅約80㎜(実車比1/25.5程度)・ホイールベース105㎜(実車比1/30.5程度)・箱サイズ:縦81×横190×厚さ63㎜・品番/当時定価不明。チープな造りながらリアホイールのスパッツやフロントマスクなど1956年型リンカーン2ドアHTを比較的正確にスケールダウンしています。入手難易度は低くはなくとも如何せん日本では人気もないため、箱が付いても精々3万円位の評価でしょうか。














1950年代のリンカーンが種車のバットモービル&バットボート(英コーギージュニア)との大きさ比較


上箱右下に増田屋商標


上箱左下にイチコー商標




室内造作なし


シャシー裏




●増田屋/イチコー 1/18程度 1957年リンカーン プレミア ランドウ 4ドアHT
これも箱に増田屋とイチコーの2社の商標がプリントされたブリキ。2004年Schiffer Publishing発行コレクター向け資料本 The Big Book of TIN TOY CARS「Passenger,sports,and Concept Vehicles」には箱付完品の評価額は2200ドルと記載されており、海外での評価は高いブリキです。カラーバリエーションはこの白系ルーフ/空色と白系ルーフに赤の2種(?)。この空色は手元にある個体以外は見たことがなくレアカラーかもしれません。箱絵は4ドアHTですが、本体は4ドアながらルーフは2ドアHT特有の美しいラインを描いておりスケールモデルとして見ると微妙な仕上がりです。ルーフを取り去りフィギュアを乗せたバージョンも造られています。全長約320㎜(実車比1/17.8程度)・全幅約140㎜(実車比1/14.6程度)・ホイールベース185㎜(実車比1/17.3程度)・箱サイズ:縦145×横325×厚さ100㎜・品番/当時定価不明。入手難易度は10段階評価で8程度、箱付の評価額は米国内2200ドルとしてもこのクルマに馴染みの薄い日本国内では12~15万円程度でしょうか。










下箱に三越の値札剥がし跡




こうして見ると実車の光り輝くクロームの魅力が最も上手く再現できるマテリアルはやはりブリキと感じます。




上箱の’57の文字は以前の所有者により書き込まれたもの。


箱右下に増田屋商標


箱左下にイチコー商標


コーギージュニア「バットモービル&バットボート」との大きさ比較


実車に忠実に造られたホイールキャップ




一応実車を参考にプリントされている室内。ハンドルはブリキ製。




のっぺりとしたシャシー裏


シャシー裏・前輪間のイチコー商標


2004年Schiffer Publishing発行コレクター向け資料本 The Big Book of TIN TOY CARS「Passenger,sports,and Concept Vehicles」に掲載された白ルーフ/赤ボディ。箱付完品の評価額2200ドルと記載されています。


コンバーチブル。これも箱付完品の評価額は2200ドル。


フィギュア男女2名+犬乗車のコンバーチブル。関東トイズの広告では女性フィギュア1名だけ乗車でしたが、こんなに沢山乗車したバージョンも造られたのでしょうか。これも2200ドル評価。


2015年11月10日(火) ヤフオクで7万7000円で落札された白ルーフ/赤の箱無・傷み有の個体



●増田屋/イチコー 1/18 程度 1957年リンカーン プレミア ランドウ 4ドアHTとイチコー1963年横目セドリックカスタムの並び
概ね同スケール(リンカーンの方がやや大き目)の2車の大きさ比較。実車はセドリックよりリンカーンは全長で約1m長く、横幅は35㎝幅広いという実車の大きさの対比が再現された並び。多少オーバーながら国産車と比べればリンカーンはまるで恐竜のように大きかったことは間違いありません。








●増田屋/イチコー 1/30程度 1956年リンカーン プレミア クーペ 2ドアHTと1/18 程度 1957年リンカーン プレミア ランドウ 4ドアHTの並び








※リンカーンについては過去の自動車カタログ棚シリーズに以下の記事がありますので御参照ください。

1) 1936年 リンカーン・ゼファー
自動車カタログ棚シリーズ第26回記事 

2) 1957年 リンカーン
自動車カタログ棚シリーズ第236回記事 

3) 1958年 リンカーン・コンチネンタル・マークⅢ
自動車カタログ棚シリーズ第206回記事 





★オマケ(その1): トミカリミテッドヴィンテージNEO 大都会PARTⅢ ニッサンキャラバン救急車「渋谷病院」
今月のTLVは当初、非NEOで唯一今月発売のデボネアの新たなカラバリ2色を購入するつもりだったのですが、デボネアは既に以前出た黒などの良い色が手元にあるため取り止め、往年のトミカや永大グリップゼッケンの初代キャラバンと一緒に並べたい衝動に駆られて、この救急車だけ購入。税込定価5390円と高価だけによく出来ていると思いますが、テールライトが別パーツではなく印刷であることや往年の救急車ミニカ―ではよくあった病人のフィギュアも付かないことなど少々残念な点もあります。


1978(昭和53)年11月14日放送「大都会PARTⅢ」第7話「逃亡の滑走路」の箱内側の解説。










1/67トミカ、1/51程度グリップゼッケンの初代キャラバンとの並び。グリップゼッケンは救急車も出ていますが、すぐに見つからなかったため警視庁パトカーが代理出演。最新のTLV-NEOと比較してもグリップゼッケンのルーフ上のランプ類等の配置が正確であったことが判ります。












★オマケ(その2): AEONオリジナルトミカNo.74 1/64スケール 日産スカイライン400Rカナダ警察デザイン仕様
2024年5月26日(土)イオン限定発売の新製品。イオンの過去の各国パトカーのトミカは既に警視庁仕様以外の大半をヤフオクで1台400円前後で売却してしまって手元にありませんが、今回はモノが「昔から泣く子も黙るスカイライン」とか「特集にすると自動車雑誌は必ず売り上げが伸びると言われたスカイライン」ということで1台のみ購入。










★オマケ(その3): 今日のビートルズ「Mother Nature's Son」 1968
ポールがギター1本で弾き語りしたホワイトアルバム収録曲。筆者が高校生の頃にコピーし歌っていた曲の1つでカセットテープがどこかに残っているはずのため、もし見つかったらyoutubeにアップしたいと思います☆☆