★1936年 リンカーン・ゼファー LINCOLN ZEPHYR ~自動車カタログ棚から 026 | ポルシェ356Aカレラ

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●ニューヨーク近代美術館 が「アメリカで最初に成功した流線型」と評したリンカーン・ゼファーは1935年(昭和10年)11月にデビューした戦前の名車。
それまで高級車リンカーンの伝統であったシャシーを販売して顧客が自ら好みのボディを架装するという特別注文的な生産形態から脱却して、当初から数種類の既製ボディを用意した初めてのリンカーン。基本構造は、のちにカロッツェリア・ギアのチーフスタイリストとして1970年代のスーパーカー「デ・トマソ・パンテーラ」などを手掛けたトム・ジャーダの父、ジョン・ジャーダが設計した。当時のフォード社長エドセルの指示によりボディ・スタイリングには特段の配慮が為され、フォード・デザイン部長ユージン・グレゴリーが今日の目で見ても尚美しい完成された流線型ボディを造った。
フェンダーに埋め込まれたヘッドランプ、形跡だけをとどめるランニングボードなど美しく纏められた非常に未来的な流線型デザインは、フォルクスワーゲン・ビートルにも強い影響を与えた。

●デビュー翌年の1937年型から は2ドア3座クーペなどのボディバリエーションが追加されたが、発売当初の1936年型は2ドアと4ドアのオーソドックスなセダンのみであった。エンジンは水冷V型12気筒SV、4380cc、110ps。全長5144㎜、全幅1854㎜、全高1753㎜、ホイールベース3099㎜、車重1519㎏と堂々たるサイズだが、流線型のために意外にコンパクトに見える。車名の「ゼファー」というのは、シカゴ・パシフィック鉄道の豪華特急列車のペットネームから取られたもので、ゼファーの生産第一号車は同鉄道社長にデリバリーされたと言われる。

●自動車デザイナー でもあり自動車史研究の国内第一人者であった五十嵐平達氏はゼファーについて「完璧と思われる纏まりのよいスタイル」と評し、氏の著作によると、日本国内でも1935年12月に日本フォードが新聞に全面広告を出し東京駅前の丸ビルに専用ショールームを設けてモダンな薄茶・薄緑・グレイなど明るいボディカラーのゼファーを展示し、発表当時の路上を走るゼファーを見た印象は新しい時代の到来を感じさせるものであったという。

●1935年11月発行 リンカーン・ゼファー 本カタログ(日本フォード発行・日本語版)
$1959PORSCHE356Aのブログ-本カタログ表紙リンカーンゼファー

※中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-本カタログ中頁(その1)紙リンカーンゼファー
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・米国における一御所有者の手記
$1959PORSCHE356Aのブログ-本カタログ中頁(使用者の手記)リンカーンゼファー

●1935年11月発行 リンカーン・ゼファー 簡易カタログ(日本フォード発行・日本語版)
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※中頁から
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$1959PORSCHE356Aのブログ-本カタログ簡易中2リンカーンゼファー

※裏面スペック
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●オマケ: 増田屋斎藤貿易製1/19.5スケール1936年「リンカーン・ゼファー」masudaya(Modern Toys)
全長約26.5cm。ボディはセルロイド製、メッキパーツはブリキ製。増田屋(現・増田屋コーポレーション)は1724年創業の300年近い歴史を持つ日本の玩具メーカー。これは増田屋がゼファーの美しさを非常に上手くミニチュア化した実車と同時代に造られたモデル。カタログ同様、リンカーンの車名が箱絵の左下に小さく「リンコン」と表記されている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-増田屋リンカーン前側

$1959PORSCHE356Aのブログ-増田屋リンカーン後側

$1959PORSCHE356Aのブログ-増田屋リンカーン横側