【作品#0664】アンダーワールド(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

アンダーワールド(原題:Underworld)

【概要】

2003年のアメリカ/イギリス/ドイツ/ハンガリー合作映画
上映時間は121分

【あらすじ】

ヴァンパイアのセリーンは、宿敵ライカンが人間のマイケルを追跡していることを突き止め、マイケルの行動を監視する。

【スタッフ】

監督はレン・ワイズマン
音楽はポール・ハスリンジャー
撮影はトニー・ピアース=ロバーツ

【キャスト】

ケイト・ベッキンセイル(セリーン)
スコット・スピードマン(マイケル)
シェーン・ブローリー(クレイヴン)
マイケル・シーン(ルシアン)
ビル・ナイ(ビクター)

【感想】

合計5つのシリーズ作品が作られることになった記念すべき「アンダーワールド」シリーズ1作目。本作製作時にはケイト・ベッキンセイルはマイケル・シーンと交際していたが、後に破局して、本作の監督レン・ワイズマンと交際し結婚することになった。

この映画製作当時で二丁拳銃に黒のロングコートを組み合わせれば、当然「マトリックス(1999)」っぽくなる。ただ本作は「マトリックス(1999)」が緑っぽい色調だったのに対して、青っぽい色調で統一しており、その世界観はそれなりに雰囲気あるものに仕上がっていると思う。

さらに主演したケイト・ベッキンセイルがカッコよくて美しい。本作では何度となく彼女の目を意識したカットがある。特に振り返って髪がファサっとなって彼女の顔が映るショットは癖になるほどである。彼女が主演したことが本作の成功の要因だと思うが、物語的にもっともっと彼女にフィーチャーした作品にすべきだったと思う。

本作は製作過程でアイデアがまとまり切らずにエピソードの前半部分を映画化したことになる。そして、本作は成功を収めたことで後半部分も映画化の実現に成功した。ただ、この前半部分でさえ情報を詰め込み過ぎなうえ、情報の処理が決してうまくないため、あらゆる意味で飲み込みづらい作品と言える。

まず、冒頭のナレーションでヴァンパイアとライカンの大まかな歴史を説明しているのだが、この時点で説明不足だし、理解しづらい。せっかくゴシック調の意図がある作品なのだから当時の絵画を模したもので説明を進めていったら良かったんじゃないかと思う。また、仮にここできれいに情報をまとめて観客向けに説明できたとしても、後に情報がどんどん追加・修正されていくので観客は大変だ。恩人だと思っていたビクターが実はセリーンの家族を殺していたとか、後から情報を出していく手法は少し卑怯に感じる。

また、ヴァンパイアの世界では3人の長老の交代制を敷いているようだ。2人の長老が寝ている間に1人の長老が仕切っている感じなのだが、ビクターは後のことをクレイヴンに託して眠りについている。もしビクターが眠りにつくなら他の長老が仕切っているはずなのだが、どうやらそうでもない様子。そっちが作ったルールをいとも簡単に破ってしまうとは(ただのミスなのか…)。だとしたら上述の3人の長老制に何の意味があるのか分からない。しかも元老院の連中も含めて全員皆殺しにされる顛末である。

そして、ヴァンパイアとライカンの争いなのだが、ほとんど人間のギャング同士の抗争にしか見えないのは痛いところ。ライカンは狼男に変身するところでそのらしさを感じることができるがそれくらいである。アクションシーンは割と銃撃戦がメインになっている。ちなみに、その銃撃戦もどこかリアリティに欠けると思っていたら、演者の誰もが銃弾を発射する際に目を瞑っていないのだ。おそらく空砲すら使っておらず、銃弾はすべてCGなのではないかと思う(違ったら申し訳ない)。この点も本作のマイナスポイントだろう。

それから、セリーンは追われている人間のマイケルと恋仲になるのだが、この部分はめちゃくちゃ弱い。セリーンはマイケルに命を救われたことで恋が芽生えた様な感じになっているが、ヴァンパイアの彼女が人間のマイケルに惚れる過程は全く描かれなかったと言っても過言ではない。その逆も同様である。上述のようにアイデアがまとまり切らずに事実上の二部作になったというのに、情報を詰め込み過ぎた故にこの二人の禁断の愛の描写が割を食ったのだろうか。それともそもそもこの程度の描写で十分だと判断したのだろうか。

ラストのアクションもセリーンの怒りの感情が反映されたようなものにはなっておらず、どこか迫力不足でインパクトに欠けた。ケイト・ベッキンセイルは良かったし、部分的に印象に残る箇所もあったが、全体通して見ればイマイチという印象は拭えない。

【関連作品】

「アンダーワールド(2003)」…シリーズ1作目
アンダーワールド/エボリューション(2006)」…シリーズ2作目
アンダーワールド ビギンズ(2009)」…シリーズ3作目/前2作品の前日譚
アンダーワールド 覚醒(2012)」…シリーズ4作目
アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2016)」…シリーズ5作目



取り上げた作品の一覧はこちら



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