【タイトル】
アンダーワールド 覚醒(原題:Underworld: Awakening)
【概要】
2012年のアメリカ/カナダ合作映画
上映時間は88分
【あらすじ】
何世紀にもわたって続いてきたヴァンパイアとライカンの争いだったが、ついに人間にその正体がバレてしまい、ヴァンパイアとライカンの混血であるマイケルと、彼を助けようとしたセリーンは捕らえられてしまう。冷凍カプセルに閉じ込められていたセリーンは12年の時を経て目を覚まし、彼女を捕らえたディジェン社を脱走する。
【スタッフ】
監督はモンス・モーリンド/ビョルン・スタイン
音楽はポール・ハスリンジャー
撮影はスコット・キーヴァン
【キャスト】
ケイト・ベッキンセイル(セリーン)
スティーヴン・レイ(レーン)
マイケル・イーリー(セバスチャン)
チャールズ・ダンス(トーマス)
【感想】
「アンダーワールド」シリーズの4作目は、前作「アンダーワールド ビギンズ(2009)」が1作目以前の話を描いていたため、物語としては「アンダーワールド:エボリューション(2006)」の続きとなる。
本作を鑑賞してまず感じる「バイオハザード」感。本作に登場するアンディジェン社はどう見ても「バイオハザード」シリーズに登場するアンブレラ社を連想するに決まっている。さらには「バイオハザード(2001)」でアリスがケルベロスを蹴り倒す有名なシーンをそのままなぞったようなシーンが本作にも登場する。
映画としては同時期に始まったシリーズ同士。なぜ「アンダーワールド」は「アンダーワールド」らしく突き進もうとしないのか。ケイト・ベッキンセイルの主演する「アンダーワールド」シリーズに意味があるのに、同時期に始まった「バイオハザード」に寄せてしまったらオリジナリティは失われ、似たようなシリーズとして位置づけられてしまうではないか。人間を登場させるのは良いとしても、他に進めるべき道があったはずである。この点だけ取り上げても本作は評価できないと言っても良い。
また、人間を登場させるにしても、人間によってヴァンパイアもライカンもそのほとんどが滅ぼされたと冒頭にナレーションで説明するだけってさすがに酷すぎないか。彼らの戦いを3作品かけて描いて来たのに、4作目の冒頭で人間によっていとも簡単に滅ぼされたんじゃ過去の作品は何だったのかという印象になってしまう。
ところが、その人間側も会社の人間はすべてライカンである(これもどうかと思うが)。なので、本作で人間側を担うのは刑事のセバスチャンである。ところが、この人間側の代表となるキャラクターはあまりにも奥行きがなく、セリーンをただただ全面的に味方する立場となっている。
それから、本作の冒頭ではセリーンと恋仲になった混血のマイケルが撃たれるところから始まる。セリーンとマイケルのロマンスについてはシリーズで驚く程に印象が薄く、彼らがなぜ惚れ合っているのかなどさっぱり分かりかねるところがあった。なので冒頭でマイケルが撃たれて、その後どうなったか分からなくなったとしても過去作の積み重ねが全くないためセリーンに共感しづらい。しかもこの冒頭の短い場面でマイケルを演じているのはスコット・スピードマンではない代役であるところもかなり痛い。その後、セリーンはマイケルの居場所を問い詰める場面などがあるのだが、しばらくすると別の混血イヴの話に移行して、マイケルの話はなかったかのように登場しなくなる。そうかと思えばイヴ救出の場面でマイケルを見つける場面があって思い出すというようなヘンテコな感じになっている。なので、愛するマイケルへの仕打ちに対する復讐として始まりながら、徐々にイヴを守る話に移行していき、最後にはその両方が交じり合う非常に焦点のボケた作品になっている。
さらに、そのイヴに関連する話も面白みに欠け、ドラマとしてもアクションとしても印象に残らない。セリーンからすれば娘を名乗るイヴが登場すれば、子育てをしていないセリーンが母性に目覚めるとか、マイケルと同じ混血だから親近感を抱くとか、いかようにも掘り下げられたと思うが、過去作でマイケルとの関係を描けなかったように本作のそれも全然描けていない。
個人的にはケイト・ベッキンセイルの魅力頼みのシリーズだと思うが、もう少しストーリーもアクションも頑張ってくれよと言いたい。
【関連作品】
「アンダーワールド(2003)」…シリーズ1作目
「アンダーワールド/エボリューション(2006)」…シリーズ2作目
「アンダーワールド ビギンズ(2009)」…シリーズ3作目/前2作品の前日譚
「アンダーワールド 覚醒(2012)」…シリーズ4作目
「アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2016)」…シリーズ5作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
<Amazon Prime Video>
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├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
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├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
<4K Ultra HD+BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├監督と製作スタッフによる音声解説
映像特典
├アンダーワールド・アニメーション
├予告編
├メイキング・ドキュメンタリー集
├NGシーン集
├ミュージック・ビデオ:“Heavy Prey" by Lacey Sturm feat. Geno Lenardo