【タイトル】
エドtv(原題:Ed TV)
【概要】
1999年のアメリカ映画
上映時間は123分
【あらすじ】
ケーブルテレビの「トゥルーTV」の視聴率は低迷を続けており、シンシアが発案した「台本なし、俳優なし、編集なし」でごく普通の人を24時間カメラで追い続けるという企画を進めることになる。その普通の人に選ばれたのは30歳を過ぎてビデオ店で働いているエドという男に決まったが…。
【スタッフ】
監督はロン・ハワード
音楽はランディ・エデルマン
撮影はジョン・シュワルツマン
【キャスト】
マシュー・マコノヒー(エド)
ジェナ・エルフマン(シャリ)
ウディ・ハレルソン(レイ)
エレン・デジェネレス(シンシア)
サリー・カークランド(ジャネット)
マーティン・ランドー(アル)
エリザベス・ハーレー(ジル)
ロブ・ライナー(ウィテカー)
デニス・ホッパー(ハンク)
【感想】
1994年のフランス/カナダ合作映画「Louis 19, King of the Airwaves」のリメイクに当たる本作は、カメラが一般人を追い続けるという設定であり、製作時期の近い「トゥルーマン・ショー(1998)」とよく比較されることになった。8,000万ドルの予算に対し、たったの3,500万ドルしか稼ぎ出すことができなかった。
エドは「普通の人」として番組の主演に抜擢されるのだが、彼に起こることって全然普通ではない。兄貴の恋人と恋仲になり、その後知り合った女性と浮気をして、少年時代に出て行った父親が急に現れ、母親から教え込まれた父親に関する話が嘘だったことが判明し、その母親は父親とよりを戻して父親は腹上死。部分的に演出がなされている場面はあったが、それ以外の事はごく自然に発生しているという「設定」だ。
ただ、あくまで本作は映画という名の「作り物」である。皮肉を効かせるにはかなり出来過ぎた話になっているように感じる。その本作自体も作り物であるという観点から皮肉っているわけではなさそう。
本作がどうも芯食った作品になっていないのは、主演の二人であるエドとシャリが自分たちがどう世間から見られているかをそこまで直接的に感じていない点にあると思う。この「エドtv」が討論番組で話題になったり、新聞紙面上でアンケート結果が記載されたりする程度である。彼らの知り合いや周囲の人間があまりにも優しすぎる気がする。彼らの職場で上司や同僚に顔と名前が一致するほどのキャラクターも登場しなかった。彼らが直接面と向かって何かを言われるのは、シャリが仕事中にお客さんから嫌味を言われる場面くらいだろう。
また、同時に割と想像通りの物語になっているところも要因だろう。テレビ局が視聴率しか考えていないとか、契約の関係でエドが身動きできない状態になるとか、スポンサーとの兼ね合いやプライバシーを無視した非人道的な考えを持つ人間とか…。どれもこれもテレビでは言えないけど、多くの視聴者が薄々気付いていることであろう。そんなリアリティ番組の内側を暴露しますというスタンスで臨んだところで何の驚きもない。
そして、本企画の仕掛け人シンシアは、エドに入れ込んでしまい、彼の良き相談相手となり、エドがシャリとの恋を成就させると涙を流して喜んでいる。「テレビの人間にこんな純粋な人間なんていない」という皮肉だろうが、観客には伝わったんだろうか。
ラストはプライバシーを散々犯されてきたエドが、テレビ会社の役員ウィテカーの「とある事情」を生放送で明かそうとしてそれが未遂となってしまう。ウィテカーが電話で放送を中止させたことでエドが公表した事実はテレビの放送に乗らなかったことになる。
この結末にしたことで結局テレビ会社の幹部が勝利したようにも見えてしまう。所詮は一般人の男がテレビ会社の幹部には勝てないと言いたげでもある。また、本作のようにメディアを皮肉るような作品において、最後の最後にテレビ局側が勝利したとなると、映画の製作サイドがヒヨったようにも見える。ここまでやるならテレビ局側が完全に負けるという結末にしないと「所詮はあなたもそっち側の人間なのね」と思われかねない。
キャスティングも良いし、それなりに笑える場面も用意されていると思うが、興行的に失敗したこともそんなに評価もされていないことも頷ける出来だったと感じた。
【関連作品】
「めまい(1958)」…エドが勤務するビデオ店に「めまい」のポスターが貼っている場面を確認することができる。ちなみに、その直後には変装したシャリがビデオ店にいるエドを見る場面があり、変装がバレたシャリは逃げて映画館に逃げ込むことになる。「めまい」を観ている人なら似たような展開があることに気付くだろう。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
音声特典
├ロン・ハワード(監督)による音声解説
├ローウェル・ガンツ(脚本)、ババルー・マンデル(脚本)による音声解説
映像特典
├未公開シーン
├NGシーン
├ミュージック・ハイライト